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ほんの数日前,ホワイトハウスから「アメリカ合衆国の国家安全保障戦略」(33ページ)が発表された。それについてのニューヨークタイムズ、シドニーモーニングヘラルド紙(オーストラリア)の記事を参考に以下(一番下の部分)に転載するが、この文書こそ,アメリカ政府の所有者(米英支配エリート)の、世界に対する公布でありメッセージ。米国支配エリートの「ご託宣」に注意深く耳を傾ける必要がある。いわゆる陰謀論が,米英支配エリートが支配的意志を持ちながら,それを秘匿するというものをいうならば、こんにち「陰謀」は消滅しつつあ、そして「陰謀論」という秘匿された意志とそのビジョンを明らかにしようとする知的試みも逆接的にだが、その必要性が後退しつつあるともいえる。なぜなら,米英支配エリートは、もはや世界に対する支配意志をつつみ隠そうとせず,むしろ,どうどうと大胆にそれをおおやけにする傾向がつよまっているからだ。居直ったように野獣たちが、武断的に世界を支配することをあまりに明瞭にあられもなく断言している今回のこの文書に、あらためて強い衝撃を覚えている。ここにかかれていることは、以前から実は支配エリートが意志としてもっていたが、さすがに、世界に新自由主義経済体制を武断的力によって徹底する実質的な「グローバル全体主義」にもっていくという意志の表明はこれまで避けられて来た。したがって、今回のこの文書は、米英の野獣の意志がpublic化、表に出て来たという意味で、歴史的に決定的な飛躍がある。米英支配エリートは、もはや自分たちがどう思われようが、気にならない、どうとでも思えと突き放した観がある。つまり、世界の人々の抑圧・征圧に対して、見通しがたったもの、もはや世界が後戻りができない地点まで情況を引きずりこんだ、あるいは、具体的プラン策定が終了した、という確信があるようにすらみえる。
日本の政策立案者たち、日本の未来を憂える者たちは,この文書を徹底して分析し,眠りから覚めたほうがいい。専門職にある人間は,必ずホワイトハウスのホームページに行き,この33ページの文書(PDF)に直接当たってほしい。日本の政策立案の位置にある者なら、もういいかげん寝ぼけたこというのはやめてほしい。日本列島に住む人々(「いわゆる日本人」だけじゃないム)が米英超富裕支配エリートによって武断的圧力(有事法による米軍プレゼンスの強化)のもと、見えない檻(おり)の中にいれられようとしている窮極的局面を迎えている。アルゼンチンでは、半数の銀行が既に米国シティーバンクによって買収が終了している。日本の金融機関が外資に次々乗っ取られ、そして、最終的には社会インフラ(郵便、電信、交通、水道、病院、教育、福祉)がすべて民営化され、かつ、超巨大多国籍企業が多国籍金融資本の合同チームによって買収され、すべてのコストがあがり、金持ち以外ろくなサービスをうけられなくなる。日本列島にすむ人々の生殺与奪の権利は米英支配中枢へ移行する。IMF,世界銀行、米国財務省、米国中央銀行、そしてそれらの総合的意向をうけたWTOの執務室で日本の政策立案はなされることになる。上記のような全サービス分野の貿易協定の基礎的批准(今年末。すべて隠密裡に準備進行中)とその後の制度の維持をWTOが差配しているからだ。EU加盟国でも、各国政府が独自経済政策の立案することが次第にできなっており、EU本部の密室的決定(選挙で選ばれているわけではないEU官僚による)に従うしかない構造になっているのと、平行している。痛恨きわまりないのだが、日本の経済官僚の現在やっていること(サービス分野での自由貿易協定批准作業)は、米英支配中枢の政策プランの意向を受けた現地の現場監督のようなことなのだ。売国奴そのものといっていい。仮に、自分は意識していないと弁明したところで。彼らの罪は、日本史の中で拭えない汚点となる。
この文書の基調
アメリカはソ連崩壊の冷戦終了後,唯一スーパーパワーとなった(単極構造世界の中心)。もはや40年代の外交戦略は完全に過去のものとなった。今後、われわれは、アメリカに軍事的のみならず,経済的に張り合おうと,あるいは優越を試みようとするいかなる対抗的な力の存在も絶対に許容しない(そのような野心すらもたせないようにする)。経済的優越性を軍事力によって確保する。我々の信奉する経済体制(新自由主義=新資本主義=自由貿易,市場原理,競争原理、規制緩和,民営化=弱肉強食の論理)を世界全体にあまねく徹底する。この経済体制、価値体系の導入に抵抗するものは武力ででもなぎ倒す。米国に敵意を抱く国々やテロリストたち(特に大量殺傷兵器を持つ連中)を絶対にゆるさない。問題が発生していなくても、先制攻撃によって,彼らを挫く所存である。我々が外国への資金援助という手段を使い、あるいは、IMF&世界銀行を駆使し,我々の信奉する価値(values)と思想(ideas)に対抗し,挑戦するものをゆるさない。特に、回教徒の価値と思想は許容しない、つまり、必ず(軍事力を使ってでも)つぶす。新自由主義,新資本主義を徹底するため、今後2ー3年以内に、海外援助金を1.5倍に増やし、そのシステムが及んでいない国々で我々のいうことをきく国々をその方向で支援する。京都議定書には調印しないかわりに(態度不明にしているがその意味)、向こう10年間で現在の水準から18%二酸化炭素排出を減らす所存である。また、国際犯罪法廷の条約には批准しない。潜在的な的は唯一中国だけ。我々はこうした考えを「明確なアメリカ国際主義」(Distinctly American Internationalism)と呼ぶ。
こんな内容だ。よく読むと、世界に対する恫喝以外の何ものでもないことがわかる。恐ろしさをおぼえるのは、以下の部分の3行目だ。
Much of the document focuses on how public diplomacy, the use of foreign aid, and changes in the International Monetary Fund and the World Bank can be used to win what it calls a battle of competing values and ideas - including "a battle for the future of the Muslim world".
つまり支配エリートの信奉する価値と思想に挑む連中とは断固たたかう、と。それをIMFや世銀を駆使してそうする、と。つまり、新自由主義=新資本主義という価値と制度が、やはり、彼らの価値の中核だ。そして、核心的なのは、ムスリム(回教圏)固有の価値や思想や経済制度は腕づくでなぎ倒すと宣言している点だ。アメリカが当面標的にしているのは、パレスチナ、アフガニスタン含め、全回教徒圏である、ということだ。イラン、カタール(天然ガス)が次の順序だろう。とにかく、米英支配エリートの信奉する価値体系以外は世界に存在させない、世界は米(英)支配エリートが新自由主義経秩序を武断的につまり、類絶的な軍事力によって、普及し確立する、と。
要するに、「グローバル全体主義」(支配エリートの思想による武断的世界支配)による、惑星経営(global management)を宣言している、ということなのだ。文化の多様性、例えば、伝統文化に根ざした、独自の経済制度・経済文化などを許容しない、と断言している。つまり、たとえの話、縄文以来我々に根ざしている、互いが平等で助け合う精神による日本独特の経済制度を考案しても(戦後から80年代なかば、プラザ合意までがそれに近かった、天皇制を除いては)、万がいちにも絶対にそれを容赦しない、ということだ。
英文でfree and open societies,economic freedomと表現されているのは、いわゆる新自由主義の教義に基づく社会やあり方のことを指すのが約束ごとだ。同時多発テロのちょうど10年前1991年9月11日その日の議会演説でブッシュ父大統領は「世界新秩序」という概念を提示。しかし評判が悪くなり、同じことをグローバリゼーションと呼びかえしたが、99年シアトルサミットで5万人の若者たちに反グローバル化ののろしが上がり、グローバリゼーションという言葉もケチがついた。今度はそれを「明瞭なアメリカ国際主義」、に呼びかえることをやっている。アメリカは世界の諸国との協調をすくなくとも言葉の上で行ってきたにもかかわらず、今回のないようでもわかるように、もはや協調行動はとる必要なしとしつつ、それなのに国際主義などとという言葉を持ち込んだレトリックの狡猾さをみてほしい。
ちなみに、米国連邦政府の外交政策立案を担当しているのは、1920年代より伝統的に民間圧力団体である「外交問題評議会」(CFR)。現在、この団体の会員数は約3000名。米国各界の指導的人間によって構成されるが、どうしようもない芸能人会員なども含め、多くは「その他大勢」のいわばカモフラージュ要員(ゴミ会員=それでも入会審査は異常に厳しく、自分から入会志願して入れるようなものではない)。一握りの中核メンバーが政策立案をし、それは大統領府に、「提言」の名のもと、送りつけられる。大統領は、この提言を事実上拒否できない(この民間団体の関係者から選挙資金や政治献金がでているため)。ケインズ経済学の泰斗、ガルブレース教授がJ.F.ケネディー大統領の特別補佐官として働いていたとき(彼は27歳のとき、19歳のケネディーとハーバード大の学生寮の寮監と学生という関係で知り合って、この時点ですでに貧困者を経済政策を通じどう救うかの問題で意気投合している。ガ教授はFDR,つまり、ルーズベルト大統領のニューディール政策の立案者の重要人物、懐刀だった)、大統領と彼がいかにCFRから強力な圧力を受けて、独自に外交政策を決められず、全くにっちもさっちもいかなかった非常にくるしい経験を、のちに苦々しい思いで吐露している。この団体がシンクタンクの一つと誤解している人が少なくないが、その理解は完全に間違っている。そんなものではなく、この組織こそ、米国連邦政府に対する、米国最強の民間圧力団体(pressure group)なのである。歴代閣僚の供給源として最大の機関であることからもそれはうかがえる(ガ教授もCFR出身の閣僚とスタッフに取り囲まれたという)。この団体が20年代から発行している雑誌が「Foreign Affairs」であり、現在、朝日新聞の雑誌「論座」で毎号、主要論文が提携翻訳されている。これらを読めば、今回、ホワイトハウスが出した文書が、この圧力団体の主張していることと全く同一であることを認識できるはずだ。つまり、実際の執筆者が誰であり、連邦政府の実質の政策プランナーがどういう連中か推認できる。(論座9月号199ページ、ステファン=ブルックス論文「アメリカの覇権という現実を直視せよ」を読まれたい。大学院出たてのぺーぺーのにいちゃんに書かせている論文だが、まさに、これが、今回ホワイトハウスから出されたこの文書と同心円を描いていることに注目。アメリカが単極構造世界の絶対的な中心であることの承認を迫り、同時に、最後に、いかにもとってつけたように、アメリカ連邦政府は貿易障壁を取り除くことで第三世界などの利益を守れなどという、新自由主義の典型的レトリック、呪文を唱えている(この雑誌のいつもの調子)。
今回のこの文書、この団体が作成したもの(提言書)を、大統領執務室側が原稿に手を入れ、まとめたものと思って間違いない。この団体は基本的にはアメリカ人から構成されるが、この団体の英国カウンターパートの組織とサークルを作っており(中核メンバーが重なる)、米英支配層が融合しているため、アメリカ固有の組織というより、米英支配中枢の、アメリカ代表部とみてよい。
これら支配中枢はアメリカ市民やイギリス市民同胞対する愛という意味での「愛国心」を動機として政策立案にあたっているのではない。彼らはその意味での「愛国心」のひとかけらもない連中だ。むしろ同胞白人からもむしり取れるだけ、むしり取ろうとしており、むしろカネ(と支配力)を愛する「愛金心」に忠実なだけなのだ。下々の民衆が「愛国心」をもってくれれば、それが最高とほくそ笑んでいる連中だ(ご苦労さま!ってネ)。「愛国心」は儲かる呪文だということだ。星条旗よ永遠なれ、でも君が代でも(天皇「陛下」バンザーイでもキャー愛子さまー、でもなんでもいいが)チミたちじゃんじゃん歌ってがんばってネ、の世界なのだ。「愛国心は悪党の最後の砦(とりで)」という言葉があるが、よくぞいったものだ。彼らは、愛国心とは全くことなる次元で呼吸をし、政策立案をしているから、「いわゆる愛国心」でものを見ている人々からは彼らの発想自体、ゲームのし方がよくわからないため、相手も自分と同じような人たちだろう、自国民に責任を感じながら政策立案しているだろう、などと思い込んだまま、まんまと騙され続けている。日本の政策立案者が、先方がアメリカの国益と言う言葉を使うとき、それをアメリカの一般の人々の利益総称のことだろう、とバカ正直に思って、各種の決断をしながら、騙され、すべてぶったくられているといった調子だ。彼らが「国益」というとき、反射的に、それはあくまで超富裕そうの支配エリートの利益のことであって、アメリカ国民には反利益的と思い浮かべることから、思考をスタートさせる必要があるにもかかわらず、である(日本でも同じ。財界と経済官僚が日本の国益といった場合、それは実質的には日本の超富裕層=株主層の利益のことをいっているのであり、庶民にとっては反利益名のがほとんど。戦前の東アジア進出のための呪文「国益」と言う言葉も財閥の利益のことを指すが、庶民は騙された。ム
911テロ直後、ブッシュ政権が通過させた、市民的自由を徹底して制限する1000ペーに渡る法律(内容読むと、ほとんど異常。ナチスのアメリカ化そのもの)の名前=Patriot Act(愛国者法)。このネーミングに彼らのレトリックが凝縮されている。
この文書”National Security Strategy of the United States of America"はホワイトハウスのホームページの、以下の部分にある。
http://www.whitehouse.gov/nsc/
これを伝える新聞の記事が以下。
The Bush Administration has spelt out its determination to enforce America's global domination, insisting it will allow no other power to challenge its military and economic supremacy.
In a 33-page document, published overnight Sydney time, President George Bush says the US will never allow its military might to be challenged the way it was during the Cold War.
It says "the President has no intention of allowing any foreign power to catch up with the huge lead the United States has opened since the fall of the Soviet Union more than a decade ago".
The document, titled The National Security Strategy of the United States, declares the policies of containment and deterrence - staples since the 1940s - all but dead. There was no way in this changed world to deter those who "hate the United States and everything for which it stands".
"America is now threatened less by conquering states than we are by failing ones."
The document delivers Mr Bush's first comprehensive rationale for shifting military strategy towards pre-emptive action against hostile states and terrorist groups developing weapons of mass destruction.
He also seeks to answer the critics of growing US muscle-flexing by insisting that it will exploit its military and economic power to encourage "free and open societies" rather than seek "unilateral advantage". The document calls this "a distinctly American internationalism".
Mr Bush put the final touches on the strategy last weekend at Camp David, after working on it for months with his national security adviser, Condoleezza Rice, and with other members of the national security team.
It is the first wide-ranging explanation of the Administration's foreign policy - from defence strategy to global warming.
Much of the document focuses on how public diplomacy, the use of foreign aid, and changes in the International Monetary Fund and the World Bank can be used to win what it calls a battle of competing values and ideas - including "a battle for the future of the Muslim world".
It describes a commitment to bolster US foreign aid by 50 per cent in the next few years in "countries whose governments rule justly, invest in their people, and encourage economic freedom".
A senior White House official said Mr Bush had edited the document heavily "because he thought there were sections where we sounded overbearing or arrogant".
But its hawkishness is clear. "Our forces will be strong enough to dissuade potential adversaries from pursuing a military build-up in hopes of surpassing, or equalling, the power of the United States."
With Russia no longer able to come close to matching US military spending, the doctrine seems aimed at rising powers like China. It cites the non-proliferation agreements that have failed to prevent Iran, North Korea, Iraq and other countries from obtaining weapons of mass destruction.
It says the US will never subject its citizens to the new International Criminal Court, "whose jurisdiction does not extend to Americans".
The document makes no reference to the Kyoto accord but sets an overall objective of cutting US greenhouse gas emissions "per unit of economic activity by 18 per cent over the next 10 years".
The New York Times
This story was found at: http://www.smh.com.au/articles/2002/09/20/1032054963259.html