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(回答先: Re: 米国について本気でお勉強下さい 投稿者 ビルダーバーグ 日時 2002 年 9 月 30 日 16:06:12)
できるだけ一般に流通している情報を使って、平易・簡潔な主張を心がけているつもりですが、それだけに教科書的だったり、古くさく感じさせたりする弊を免れないのかも知れません。勿論、外交政策に関し第一線の外務省職員と同レベルの情報収集・分析の能力がある、と自惚れるつもりは毛頭ありませんが、逆に彼らが見えてないところが見えたりもします。
貴殿には二つの事を申し上げたいと思います。
一つは、人工国家としての米国の理想主義へのラディカルなまでの態度を過小評価してはならないということです。米国には人種差別が厳然として存在している、それどころか局地的にはそれがマイノリティ間の深刻な対立にまで拡大している、民主主義の適用に関して自国向けと他国向けでダブルスタンダードではないか、等々、ご指摘を受けるまでもなく、米国で一定水準以上の教育を受けた者なら誰でも知っている公然のことです。米国の主要メディアでも色々な形でしょっちゅう取り上げられていることです。こういう矛盾を抱えているのは事実ですが、現在の米国を自由主義や民主主義の完成形と考えるから間違うのです。時には極端に振れることもありますが、彼らの社会のダイナミズムを見損なうと分析を誤ると思います。もし米国人が「差別は人間の業のようなものだから仕方ない」と諦めるような国民であったなら、公民権運動もフェミニズムもアファーマティブ・アクションもなかったでしょう。共産主義に対してあれほど敵意を剥き出しにしたかどうかも疑問です。
自らの理想とする「社会のあり方」を言葉に換えて行く、その言葉同士を徹底的に闘わせ、法を作り出して行く、そのプロセスを通じて自分達の国を新しい、より良い形に変えて行く、この一連の行動様式は歴史の長い欧州諸国や日本などと明らかに異なるものとして捉える必要があります。米国の対外政策にも少なからずこの生理が影響を与えています。
第二点目はもう少し戦略的な面です。米国の対外政策の基軸として、アイソレーショニズム(モンロー主義)とユニラテラリズムとその中間にある国連(安保理国間)協調主義があると想定してみます。湾岸戦争の時もそうでしたが、911以前の米国は一国主義寄りでありつつも国連協調主義であったと言えます。国防長官や副大統領ですら今後一切の米国の国際関係がユニラテラリズムで片付くとは考えていません。然るべき大国間での妥協は米国の利害を著しく損なわない限り有り得ると構える立場です。しかし、パラダイムの転換を図るには意図的に振り子を大きく振ってやる必要があるのです。その原理的立場宣言がブッシュ・ドクトリンです。これはブッシュ大統領の政治思想的な立場とも関連しています。(あり得ないことですが)もし、マッケイン氏が大統領になっていたら、マッケイン・ドクトリンの持つ意味は同じ内容であってもその含意は大きく異なります。
このようにブッシュ・ドクトリンを捉え直すと、EU諸国や他の大国がどういう行動を採るか、日本政府はどう行動すべきかが見えてきます。
最後に、下記についてコメントします。
>そもそも、民主主義というなら、そのひとつの権利は「民族自決」であるわけで、ブッシュ・ドクトリンのどこが民主的なのか、教えて下さい、格付け会社と同様に、世界の国々の「民主主義の成熟度」を米国が判定して、水準以下の国の政権は米国が打倒してあげる、とでもいうのでしょうか。
国際秩序の破壊やテロ行為と無関係な非民主的国家に米国が関与することはあり得ません。