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家族と国家とフェミニズム(つづき) あっしらさま
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/534.html
投稿者 律 日時 2004 年 7 月 02 日 08:24:17:yVvnimQRLLslo
 

あっしらさま。しばらく掲示板に関われないでいたら、いろいろお話が進んでいました。
遅くなってしまいましたが、もう少しだけおつきあいください。

誤解を与えているのかもしれませんが、基本的にはわたしはあっしらさんのお考えに賛同しています。力点の置き方の違いかなとも思っているのですが、あっしらさんはご迷惑でしょうね。

まずは、疑問点から。

あっしらさん**********************
私が言ってきたのは、家族の孤立化や閉塞ではありません。
国家や社会といった言葉は、基本単位である家族(個人ではない)を確固たる実体とした連合の在り様を指す抽象概念でしかないことを“常識”にすることが重要だという主張です。
国家や社会を家族や人々と同じように実体視することは大きな錯誤であり、そのような錯誤は、家族や人々に大きな災厄をもたらす危険なものだと考えています。
家族(家族を形成する人々)が、他の家族(人々)との相互依存関係性をきちんと理解し、それをできるだけうまく機能させる制度として国家があると考えることで、現実の諸問題は解決に向かうと考えています。
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国家と社会ということばを同列に置いているのが混乱の元かなと思っています。
国家も社会も確かに抽象的な概念ではありますが、国家の持つ機能はある程度可視的なもので限定的な概念です。しかし、社会はより広い概念なので、いろいろな「社会」状態を含み込んでいると思います。もちろんどちらも実体ではないですが、それは「家族」また「個人」という概念も、実は実体ではないのと同じです。
(たとえば、グブリアム、ホルスタイン『家族とは何か』新曜社http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788506009/qid=1088720420/ref=sr_8_xs_ap_i8_xgl14/250-6653545-9204250
もちろん、国家とはことなり、家族的な集合や個人そのものという実体はあるわけですが。
私が言いたかったことは、「他の家族(人々)との相互依存関係性をきちんと理解し、それをできるだけうまく機能させる制度」あるいは装置として、いきなり「国家」じゃ単位が大きすぎて、「家族」や個人がより支配されやすい状態になり、危ないのじゃないですか、ということです。
「中間集団の必要性」、ということを書いたつもりですが、意をくんで頂けなかったようですね。

あっしらさん******************
逆に言えば、「家族・個人はその制度上に取り込まれてしまっている」と考え、「これを無視して個別で解決するのは困難」と判断すると、人々を支配することに意義や意味を感じている人たちの支配強化に無自覚的に協力することになり、現在よりも深刻な問題を生み出すことになります。
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個別の家族でできることは限られていますので、やはり困難だと思います。
繰り返しになりますが、それゆえに、いきなり姿の見えない「国家」ではなくて、もうすこし単位の小さな顔が見ようと思えば見えるくらいの「中間集団の形成」が必要ではないかということを言いました。

ところで、あっしらさんは次のようにもお書きになっています。
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他者が自己(家族)が生存するためやより良く生きていけるための“手段”や“客体”に見えたり、自己を家族のために他者の“手段”や“客体”として差し出すしかないとあきらめざるを得ない人たちで満ちている現状では、お考えの内容は旧軍のような精神論を超えるものではありません。
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もし、「他の家族(人々)との相互依存関係性をきちんと理解し、それをできるだけうまく機能させる」という状態を志向されたいのであれば、その「他者が自己(家族)が生存するためやより良く生きていけるための“手段”や“客体”に見えたり、自己を家族のために他者の“手段”や“客体”として差し出すしかないとあきらめざるを得ない人たちで満ちている現状」への対処が必要なわけですよね。
 
 あっしらさんは、これに対して「経済状況の改善」を案として出されています。私は全くこのことは最重要であるし、同意しています。しかし同時に、「人はパンのみにて生きるにあらず」というようにも思っています。

幼児虐待の件についても、以下のように述べられています。
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この間の経済状況は、自己(家族)がそこそこの生活を維持できるだけで身も心もすり減らすといった人々を増やしています。それは同時に将来の不安を増幅していますから、子どもの将来も心配の大きなネタになり、こうすべきということをしない子どもにイラツク機会も増加させます。
良い悪いではなく、言葉では可能であっても、現実行動としてよその家族を気にかける余裕がある人はそれほどいないというのが現実です。
それで幼児虐待が絶滅できるとは考えていませんが、人々の生存様式が変わる、すなわちひとを“手段”や“客体”と見ずに相互依存的な存在と考えるほうが自分のためになると確信する社会になれば、幼児虐待も大きく減少すると考えています。
そこに至る道は短くはないので、就業(お金を稼ぐ機会)や老後の経済的生活に不安を抱かなくてもよい国策に転換することが急務だと思っています。
これだけでも、幼児虐待はけっこう減少するはずです。
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繰り返しが多くてもうしわけないですが、この件についても先に述べたように、その通りだろうと思っています。
たとえば、以下の調査結果などを参照してみます。
「児童虐待の実態」(東京福祉局)http://www.fukushi.metro.tokyo.jp/press_reles/2001/pr1005.htm#gaiyo

山田和子氏(国立医療科学院)の論文に転載されている大阪府の調査結果
http://shoroku.niph.go.jp/kosyu/2000/200049020006.pdf

東京の方の調査では
「主たる虐待者の就労状況では、実父で定職のあるものは約6割にとどまり、無職のものが約14%、また転職が多いものが約9%となっています。不安定な就労状況が経済的な困難と結びつき、虐待へとつながる要因の一つとなっています。
 実母では、家事専業が3割弱、無職が2割弱となっています。パートを加え、就労している者が35%程度に過ぎないことから、家庭にいる者の方がリスクが高い傾向がうかがわれます。」
というように、経済的な問題が一番大きな要因であることを示しています。
(しかし同時に、実母がもし家庭に居続けずに、パート労働にでる選択をできるのであれば、虐待リスクは下がるということもいえそうです。経済状況の悪さが働き口がないという状況にさせている可能性もありますが、夫が働きにでることを「許さない」というケースはどうでしょうか)

大阪府の調査でも、虐待のハイリスク要因として「経済不安」があげられるケースが61%ですので、あっしらさんの言われるとおりに、もし、完全に経済状況が改善されるのであれば、かなりの虐待が減るでしょう。しかし、「経済不安」がなくても虐待に至るケースも4割程度あると考えられるわけです。

東京都の調査では、以下の点が指摘されていました。
「 虐待につながると思われる家庭の状況では、「経済的な困難」が最も多く、「ひとり親家庭」、「夫婦間の不和」、「育児疲れ」、「親族・近隣・友人からの孤立」が続いています。
 これらの要因は複雑にからみあっていますが、特に「経済的な困難」と「親族・近隣・友人からの孤立」が他の要因との関連が多くみられ、キーとなっていることがうかがえます。」
「 住居の状況をみると、集合住宅に住む家族が7割を超え、都全体での世帯と比較すると、その比率が高くなっています。
 また、集合住宅の中では、賃貸の住宅に住む者の割合が高くなっています。」

私はもちろん、「経済的困難」の解決が先決であり急務であろうとはおもっていますが、家族の孤立化状況への対処も何らかの形で必要だろうと思う、という意見を述べたということです。

その方策としては、あっしらさんがいうような
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すべての男性を幼児期から青年期までフェミニズム教育過程に置くのですか?
(世界支配層がそれを「得」だち判断すればそうなるでしょう(笑))
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教育による改善などは無意味でしょう。(もっとも教育をやるにしても男性だけっていうのも全く無意味です)。
教育にそんな力はありません。あっしらさんが精神論に力はないとおっしゃっているとおりです。
そのような心理的な動機付けを変える方策よりも、インセンティブ(環境誘因)を高めるような状況の改善が必要と思っています。そのうちの最も重要な一つは、あっしらさんが提案されている「経済状況の改善」でしょう。

しかし、「経済状況の改善」を具体的にどう行うか、というときに考えなければならない点があるだろうと思っているわけです。

また、具体的に経済的には何の問題もない(むしろ、恵まれている)のにDVが生じているご夫婦を何例か知っているということが、以上の点にこだわる理由の一つです。これらの夫婦は、「孤立化」状況に近いことがDVを生じさせる要因の一つになっているのではないかと思われたからです。
ただ、確証はないので、強くは述べられませんが。


あっしらさん*************************
「支配−被支配関係構造」を残したまま“性差問題”が解決できると判断するのは夢想です。
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わたしはあっしらさんと違って自分の意見に対して自信もないのですが、あえて強気で行きます。
性差や人種、民族、宗教、階層などなどの問題を捨象した形で「支配−被支配関係構造」を解消できると考えるのは夢想です。

わたしは「性差」だけを問題にしたいわけではありません。性差や人種などの論点を前面に出すと、逆にその間の差異、区別が強調され、けっきょく運動の目的とは逆の事態になる(分断される)という事態になってしまう危険はありますから、私も今はあまり全面にこれらの要素を出すことは得策ではないのではないかとの危惧は持っていますが、しかし、同時に、これらの問題を「たいした問題ではない」こととしていると、結局この「差異」を軸とした社会編成が繰り返されることになると思っています。

たとえば、男女雇用機会均等法に応じて、「総合職」「一般職」という風に性差に関わりない職域区分をもうけたけれども、けっきょく大部分は従来の男性・女性の区分と変わりないという状況になってしまったように。

支配層は、性差や人種や民族などはが重要だとは思っていないかもしれませんが、支配しやすいような道具であれば、それを積極的に使うでしょう。そして、これまでの支配層は実際にそうしてきたわけです。そうであれば、これを無視して「支配−被支配関係構造」を解消できると考えるのは無謀です。
個々人は具体的な生活状況の中で生きています。それにはわかりやすい区分や境界があったほうが動きやすい。以上にあげたような要素はまさにそのようなものです。そしてそれは「支配」の道具として使われてきました。これについては同意していただけるものとおもっているのですが、どうでしょうか?

あっしらさん*****************
(米国の実状は、かつて夫がひとりで稼いでいた実質所得を夫婦共稼ぎで得ているというものです。性差や人種を強調したほうが支配が安定化すると判断すれば、そうすることを選択するだけです。男が外で稼ぎ女は家事や子育てに専念するほうが社会秩序も保たれ経済活動もスムーズだと判断すれば、それを「善」として喧伝するのです。そして、それを現実的なものとするため、女性の就業機会を少なくします。社会的性差はそのようなものです。日本でも、結婚退職するケースもある女性を雇用調整の安全弁と考えたり、家計の補助者として働きたい女性を低賃金労働力や雇用調整の安全弁と考え、巧妙に利用しています)
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この辺のことは了解しています。事態としては日本も米国のような状況になっていくと思っています。フェミニズムの成果というよりも、経済論理の成果でしょうね。
(この点に関する私の考え方は、熊沢誠さんに近いです。「性差」の論理より、「企業の論理」のほうが強いと思っています。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004306949/qid=1088722305/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-6653545-9204250
問題がすべて社会的性差にあるというふうに根源的に捉えているわけではないですが、しかし、男女は人種や民族よりも使いやすい「差異」であるが故に、簡単に全面的に「どうでもいいこと」と切り捨てるのは危険だと思っているのです。
(さきほども申し上げたとおりに、全面に性差や人種の問題をだして問題だと言いつのるのは得策ではないと考えています)

NUEさんが「妊娠出産を捨象する」という時点でアウトだ、というようなことをおっしゃっていましたが、そういうことです。具体的な現象は細かいことに規定されています。
ここを捨象しては「支配−被支配関係構造」の解消などできないのではないのですか?とおたずねしております。

あっしらさん*****************
「妻は夫に従うべきである」や「男性は女性を支配する側である」はそのような“観念”の理非はともかく、離婚によって、従わないから受ける暴力や支配をまっとうするための強制力として暴力から逃れられるのではないですか?
「夫が暴力をふるうのは自分が至らないからだ」や「夫はわたしがいないとだめな人だから」と判断する女性は、暴力を受けることで生じる苦痛や屈辱とそれらの判断との比較考量でどうすべきかを決すればいいんじゃないですか?
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これはですね。そう考えられたらよいのです。比較考量できる状態であれば。
しかし、現実的にはそうではないことが多いですよね。そうできない状態の人に「比較考量せよ」というのは酷なことですので・・・・私も解決策を持っているわけではないですので、強くは反対できません(宗教集団に入って気持ちを切り替えるというのは一つの手ではありますがね。「自分が変われば相手が変わる」ということでうまくいく場合がある。強くは勧めませんが)。なので、自分で悩んでおきます。

あっしらさん***************************
男性に生まれつこうが、女性に生まれつこうが、気に入らない現実を甘んじて受け容れる必要なぞありません。
私がいろいろ書いているものは、“正しい”と信じられているものが歪められたものでしかないことや、歪められたものが“正しい”と信じられる現実の在り様を現実に生きている人々の力で変えることができるということに他なりません。
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そういうお考えだと思っています。私もそう考えています。それをするにはどうしたらよいかということなのですが、「経済状況の改善」だけではどうにもなりませんよね?
また単なる教育(教え込み)でもどうにもなりませんよね。私もこの解を持っていませんが、この点を考える上での、重要視するポイントが違うのかもしれません。

あっしらさん*****************
まずは、「支配−被支配関係構造」やそれから導かれる他者を“手段”や“客体”と考える意識(「世界観」)を社会構造の変容を通じて変えるべきです。
それで、あなたの言われる“性差問題”はほとんど解消されると考えていますが、そうでない場合は、それに一点集中して問題を解消すればいいのです。
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「ほとんど解消される」とは思えないなあ、ちょっと見通しが甘いんじゃないかなあと言うのがこれまでの私の言い分でしたよね。でも、「そうでないばあいは、それに一点集中して問題を解消すれば」とおっしゃられるのですから、要するに力点の置き方の違いだろうとおもったわけです。
ところで、「他者を“手段”や“客体”と考える意識」を変えるために「経済状況の改善」だけで足りるとお考えなのですか?

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あっしらさん*************
男である「私」として数十年も生き、まわりも「私」を男として接してくるわけですから、当然のように、「男性としての自分」に疑いをもつこともありますよ。
男としても人としても「私」に疑いを持ちつつ生きています。
(そうでなければ、このようなテーマであれ国家社会や世界に関するテーマであれ、あれこれ書くようなことはなかったと思っています)
********************

まあ、全くないとは思っていません。おっしゃるとおり、そうでなければ興味も持たれないでしょうからねえ。ただ、その深度の問題なのかもしれません。ぷち熟女さんたちに違和感をもたれてしまうのは。そういう部分が見えてこないのでしょう。
私自身、あまりこの深度が深くない方なのでこれ以上突っ込む資格はありませんが。


あっしらさん*********************
「男性性」や「女性性」を具体的に列挙していただければ幸いです。
**************************

わたしの考えではありませんが、伊田広行氏があげている表を示してみます。
おもしろそうなら、他の方も巻き込んで議論するのも良いですが、そうでもないかも。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4272350188/250-6653545-9204250

***********************************
「男らしさ」                   「女らしさ」
やさしくない・他人の気持ちに鈍感   やさしい・思いやりがある・人の気持ちに敏感
偉そう・権威的・上手にでる      非権威的・下手に出る
支配的・リーダーシップ        従順的・リーダーになることを避ける
責任を取る              責任を取らない
甘えない・弱みを見せない      甘える
自信がある・堂々としている     自信がない・自信なさげ
外見に気をつかわない        化粧熱心・外見に気をつかう
子どもに無関心           子ども好き
人を笑わせる            人に笑わしてもらう
理性的・論理的・冷静        感情的・直感的・気分的
理系・数学、機械に強い       文系・国語が得意・機械に弱い
大人っぽい             子どもっぽい
決断力がある            優柔不断
口数が少ない            おしゃべり・口数が多い
上昇志向・出世志向         上昇志向無し
積極的・能動的・活動的       消極的・受け身・おとなしい
視野が広い             視野が狭い
挑戦的・冒険的           保守的
好戦的・暴力的・乱暴        平和的・おだやか
涙を見せない            すぐに泣く
性的なことに積極的         性的なことに消極的
体力がある・力が強い        体力がない・力が弱い
大きな声              小さな声
背が高い              背が低い
言葉遣いが乱暴           言葉遣いが丁寧
料理・家事全般が不得意       料理・家事全般が得意
仕事ができる・熱心         仕事ができない・不熱心
不真面目              まじめ
からっとした性格・しっと深くない  ねちっとした性格・嫉妬深い
細かいことを気にしない       細かいことに気がつく
度胸                愛嬌
***********************

この表を用いて、伊田先生は自分の男らしさ得点、女らしさ得点を出してみようといっています(「非常に当てはまる」4点から「全く当てはまらない」0点の四件法で)。

まあ、それはやらなくてもいいかもしれませんが・・・・・・・・


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