(回答先: あっしらさんへ 投稿者 596 日時 2002 年 4 月 14 日 22:58:39)
596さん、こんばんわ。
>現在、日本では国内に投資しても妙味が少なく金は外国へ逃げて行ってしまいます。
>どんなに借金をして札を刷ってもその金の多くは外国へ行ってしまって日本政府の借
>金だけが増えてしまいます。
>日本政府の経済専門家は何してるんだ、と言いたくなります。
中低所得者減税を行いGDPの60%を超える個人消費の総需要を拡大しない限り、国内向け投資もそれほど行われません。
「日本政府の経済専門家は何してるんだ」と私も言います。
>>アルゼンチンは、フィリピンと同じで、一部資産家の大土地所有を崩壊させないと
>>根源的な“改革”にはなりません。
>ペロン派は同時に貧困層や労働者優遇をしておりました。
前回も書きましたが、生産基盤を強化しないまま、政府が生活扶助拡大や公務員増大などの政策でお金をばらまいても、ハイパーインフレになってしまうのです。
(生活扶助を受ける人も公務員も生産活動に従事するわけではないので、そのような人たちが保有するお金が増えれば、物価は上昇します)
>>1ペソ=1ドルは、メナム政権が打ち出した“構造改革”の要です。
>そのことが後々に悪い影響があったにせよ、メナム政権が5000%のハイパーイ
>ンフレを緩やかなインフレにしました。
>メナム政権の改革の大部分は間違っていなかったのではないでしょうか。
アルゼンチンのあのような経済破綻をもたらしたメナム政権の改革の大部分が間違っていなかったと思われているようなレスには驚きです。
それは、“理念”を政策化したことで数多くの人が困窮に陥っても、「“理念”は正しかったのだ」、「何か悪い“外部要因”があったからだ」という言い逃れを許すことにつながります。
たんなる景気後退ではなくあおのような「経済破綻」をもたらした改革は、間違いであると断ずるしかありません。
結果主義者ではありませんが、あのような結果をもたらした改革を間違っていなかったのではと言われるのでは、議論を行うのは無駄だと思われます。
こういうことからも、自民党よりも“理念主義”的な民主党に危険性を感じるのです。
メナム政権は、サッチャリズムやレーガノミックスと同じ考え方に立つ経済政策を行い、「累進税緩和」・「課税最低限引き下げ」・「付加価値税(消費税)比重増大」・「雇用制度の柔軟化(首切りのしやすさ)」・「規制緩和」などを推進しました。
そして、その政策で、前から書いているように、多くの人たちの生活実態ではなく、GDPに代表される経済指標は確かに良くなりました。(それさえ、10年弱という一時的なものですが)
しかし、改革が始まった91年に6.9%だった失業率は、95年に18.4%になり、今回の経済破綻時点では25%を超えたのです。
5000%のインフレでも、多くの人が就業でき最低限以上の生活を維持できるなら、0%のインフレで、多くの人が失業し生活不安に陥るよりましだと思っています。
(別に5000%のインフレ状況を容認するわけではありません。インフレの“修復”は銀行→企業・農業生産者の順番で行われ、一般勤労者・年金生活者・生活扶助受給者はそれらが“修復”=値上げした困窮を修復するというかたちで最後に追いつくことになります。そして、追いついたときには、既にインフレが進んでいるという悪循環です)
アルゼンチンは、“構造改革”で、まず勤労者や貧困者が苦境に陥り、最後に中産階級が苦況に陥ったというものです。
中産階級は、1ペソ=1ドルの固定相場政策を信じて余剰資金を金融商品や貯蓄に投じ、今回の経済破綻で大損失を被ったのです。
(株式など元本が保証されない金融商品はあきらめるしかありませんが、預金が今後全額払い戻されるとしても、価値(ドル基準)は3分の1になってしまいます)
失業者や低所得者を増やす方法で経済成長を実現しても、輸出を順調に拡大していかない限り破綻し、中産階級までが没落することになるのです。
(輸出で経済成長を実現しても、多くの人の生活は困窮することになりますが...)
大資産家や大手外国金融資本は、「経済破綻」が事前にわかっていますから、金融資産をとっくに外国に逃避させており痛手を負いません。
米国は、国際基軸通貨国ということでアルゼンチンとは異なり、外国から大量の資金が流入し続けてきたことで“もっている”だけです。
米国は、外国からの借金で現状の経済水準を維持しているのであり、生産活動で維持しているわけではないのです。
>>6兆ドルを超える政府債務を抱え、その65%以上を外国の資金に依存している米
>>国は、表面的な経済指標はともかく、政府債務のほぼすべてを国内資金に依存して
>>いる日本より、内実は悪いと判断せざるを得ません。
>日本政府はすでに破綻しています。日本経済は恐慌に陥っていると言う人もありま
>す。それよりもアメリカ政府の状況のほうが悪いとはどうしても思えません。
私も、日本経済は「管理されたダラダラ恐慌」に陥っていると考えています。
※ 参考書き込み
『日本経済は「管理されたダラダラ恐慌」状況』
http://www.asyura.com/2002/hasan9/msg/134.html
しかし、外国の資金に依存せず、国際競争力を維持した生産活動力もあるので、米国より“安全度”が高いと思っています。
だからこそ、個人消費の総需要を高める合理的な政策を実行すれば、「デフレ不況」からも脱却できるのです。
ただし、このままずるずる「デフレ不況」を続けていけば、生産活動力も国際競争力も衰退し、立ち直る条件を劣化させたり失うことになります。
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※ 他の内容については別の書き込みでレスします。