(回答先: Re: “定型句”的レスから脱却してください 投稿者 596 日時 2002 年 4 月 19 日 23:33:29)
>>「地方は物価が安く暮らしやすいので給与水準も低くて済む」ことで、地場産業が
>>育ったり、大手企業が進出したりしたのです。
>>「空気もきれいで人もぎすぎすしていない」ことはいいことだと思いますが、総体
>>的に低い給与水準でも仕事が得られない状況が続けば、穏やかな精神的に維持でき
>>ないと思います。
>地方で仕事が得られないのであれば東京で仕事をしても良いでしょう。
>地方が更に低い給与水準になれば安く製品ができますから、地方にメリットができて
>きます。地方に工場など作るほうが採算が合うようになります。
これ以上東京圏に人口が集中して、水・住居・交通など生活条件が維持できるのかという問題は別にするとしても、東京圏も、「デフレ不況」の打撃が少なく相対的にましだというもので、失業率は上昇し求人倍率も下がっています。
また、地方に住んでいる人には、家族の問題などで東京に出てくることができない人もいます。
根源的な問題は、日本が「本社管理国家」になって、国民全体がそこそこのレベルで生存できるのかということです。
「地方が更に低い給与水準になれば安く製品ができますから、地方にメリットができて
きます。地方に工場など作るほうが採算が合うようになります」と言われても、それこそ、為替レートで中国に近い水準まで給与が下がらなければ実現できません。
日本は、米国や英国と違って、国際金融で稼ぐことができません。
国際基軸通貨発行国で最大のGDP規模を持つ米国や長い金融商売の歴史を持っている英国に対抗して、日本の銀行が国際金融で発展することはできません。
日本の銀行は、日本経済からの掠め取りに大きく依存しますから、日本経済が不調になればなるほど存立が危うくなります。
日本の国際的企業は、徐々に海外に生産拠点を移し、管理部門・国内営業部門・開発部門・国内物流部門のみになっていくという状況にあります。
身体に例えれば、全身が機能するのではなく、頭脳だけが機能するような方向に動いているとも言えます。
これは、日本市場に無関係で海外市場のみで存立している企業には痛くも痒くもないことです。それどころか、低コストで生産できるようになったことで、さらに発展する可能性もあります。
しかし、そのようになった日本市場は購買力が下がりますから、国内市場に依存する割合が高ければ高い企業ほど収益が減少し、企業の存立そのものが揺らぐようになります。
現時点では日本で生産しても国際競争力は維持できますから、「中低所得者負担減」で国内需要を増大させる政策を採り、中国などとの生産品の“棲み分け”を考えていくべきなのです。
コストが安いからと言って中国に生産拠点を移していく状況を見逃していれば、歯止めを失った企業経営者は、高級品まで生産拠点を移していくことになります。
今後、中国企業が高級品の生産に向くようになれば、愚かな経営者は、対抗上と称して、高級品まで中国で生産しようとするからです。
このような過程で打撃を受けるのは日本であり、日本のなかでもより大きな打撃を受けるのが地方です。
そして、そのようにして中国に生産拠点を移しても、“国益第一主義”で動く中国政府は、自国企業と競合する日本企業を追い出す(生産を続けるメリットがないようにする)でしょう。
日本の統治者は、企業経営者に頭を下げてでも、日本向けや先進諸国向け製品の生産拠点を中国に移すことを思いとどまらせなければならないのです。
中国向けだけでは中国政府もなかなか受け入れないでしょうが、中国への直接投資は、そのような範囲にとどめるようお願いすべきなのです。
米国とは違う経済条件にある日本は、全身を使った経済活動を継続することで国民全体の生活をそこそこに保つことができるのです。