(回答先: Re: “定型句”的レスから脱却してください 投稿者 596 日時 2002 年 4 月 19 日 23:33:29)
>>工場の海外移転がなければ日本の黒字が多くなり円高になって不況になります。
>>「円高で不況になる」という論拠を示してください。
>海外に進出した工場が日本に輸出を始めます。その逆輸入が日本の黒字額を大幅に圧
>縮してくれます。
>工場の海外移転がなければ大幅な黒字になって円高になります。
「円高」に国際競争力が落ちれば黒字も減少し、「円安」になります。
海外に生産拠点を移して、失業者を増やして国内需要を減少させるより、そのような過程で調整される方が望ましいものです。
>>「景気が良くなる」というのもそうですが、「円安になれば海外からの輸入も少な
>>くなる」という論拠を示してください。
>以下は菅直人が宮沢さんが蔵相の頃に書いたもの。
>現代の経済理論が教える円とドルの均衡相場(理論値)は、1ドル=150〜160
>円ぐらいだ。そこまで円安を容認すれば、財政出動などしなくても、輸出の増加と対
>外投資の資産効果で景気は劇的に上向く。日本政府がすべきことは、「日本はこれ以
>上、世界経済の牽引車にはなれないので、円安と貿易黒字の増加を認めて欲しい」と
>G7各国に訴えて、一刻も早く財政再建に舵を切ることである。そのうえで、経済構
>造の改革を進めれば、為替は円高基調に向い、日本は数年のうちに再浮上することが
>できる。
「現代の経済理論が教える円とドルの均衡相場(理論値)は、1ドル=150〜160
円ぐらいだ」というのは、理論的為替レートを購買力平価と金利差から導いたものだと思われますが、現実の為替レートがそうでないという理由が何かということから出発しなければなりません。
投機的な為替変動を別にすれば、輸出や輸入の主力商品が何かというが重要になります。
日本は、原油など原材料を輸入し、自動車・家電・機械類・化学製品などを輸出するという構造です。
貿易が大きな黒字で輸出主力商品の国際競争力が高いという国の通貨の為替レートは、理論値よりも高くなります。(110円(当時)でも大きな黒字が出ているのですから、円が安くなるはずはありません)
これは、輸出商品を生産する企業の給与水準が低いということや、輸出企業が輸出商品の国内販売で高収益を上げている(国内で高く売っている)ので輸出でそれほど利益を上げなくてもいい状況を続けているということに支えられているものです。
やる必要がないことですが農産物まで全面的に輸入を“解禁”し、日本と同等の工業製品を生産して世界に輸出する国が出てくれば、菅直人さんが言うような理論的な為替レートに近づくでしょう。
「円安と貿易黒字の増加を認めて欲しい」という虫のいい話は認められないでしょう。
貿易黒字を減少させていけば円安の方向に動き、貿易黒字を増大させれば円高の方向に動くものです。
「「世界経済の牽引車にはなれないので、円安と貿易黒字の増加を認めて欲しい」とG7各国に訴えて、一刻も早く財政再建に舵を切ることである」というのも、財政再建と円安&貿易黒字がどうつながるのかわかりませんが、たぶん、円安&貿易黒字で景気がよくなるので税収も上がって財政再建に舵を切ることができるということでしょう。
「そのうえで、経済構造の改革を進めれば、為替は円高基調に向い、日本は数年のうちに再浮上することができる」というのはさらに難解な主張です。
経済構造の改革がどうして円高基調に向かうことになるか、また、「円安と貿易黒字の増加を認めて欲しい」とすぐ前で言っておきながら、「円高基調に向い、日本は数年のうちに再浮上することができる」という主張が、そうなっていく過程の説明抜きに出てくるのか理解に苦しみます。
>円安になれば海外製品が高くなるのは常識ではありませんでしたか。
円安になれば海外製品が高くなるのはそこそこ常識ですが、だからといって、輸入が輸入が少なくなるわけではありません。(日本市場に強く依存している企業は、円安になったからといっても、日本向け価格を上げて売れないと困るので、利益を削って同じ価格に据え置く場合もあります)
これは、前回も書いたように、「プラザ合意」でドルが半分という「ドル安」になっても、米国の輸入は拡大したことでもわかります。
自国に産業基盤がなかったり、国際競争力がないまま自由貿易を続けていたりすれば、為替レートが半分になると、同じ量を輸入しても輸入額は2倍になります。
同じ商品構成のまま輸入量が40%減ったとしても、輸入額は以前よりも多くなります。輸入品の物価水準は上昇します。