http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/350.html
Tweet |
新自由主義を放置すると中間階層が転落してマルクスの預言した階級社会になる理由
2015-01-03
話題の本、トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)を読んでみた。
すでに世界的ベストセラーになっているのでご存じの方も多いと思うが、数百年にわたる膨大な所得税・相続税の資料等をデータベース化し、
労働によって生み出される富(所得等)よりも、蓄積された資本そのものが生み出す収益(利子・配当等)の方が長期的には伸び率が大きいことを実証したものである。
http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/en/pdf/F10.9.pdf
つまり、汗水垂らして働く労働者よりも、株を持った伝統的金持ちの方が有利であり、どんどん貧富の差が拡大するのが資本主義の本質であるということだ。
当たり前にも思えるが、実際のデータの裏付けをもってこれを示したところに意義があるわけで、「このデータ部分だけでノーベル賞に値する」(ローレンス・サマーズ)という意見もあるのは納得できる。
データの解釈や、補充についての議論は今後もあると思われるが、このような研究態度自体への評価は変わりないものと思われ、経済学のパラダイムに転換を迫る書であることは間違いないだろう。
日本における所得格差は戦前は欧州なみ(に大きかった)が戦後は欧州と同様に下がった、
しかし、アングロサクソン諸国では近年急激に格差が拡大している、
など興味深いデータが極めて多い。
数百年にわたる資本と所得の歴史がわかるため、FXの為替の月足チャートと本書に示されたデータを比較したファンダメンタル分析や、自己の資産管理の方針などにも益するところは大きい。実にいろいろなことが読み取れる本だ。
日本語翻訳は、著者原文の仏語版からではなく、英訳からの重訳ということになるが、山形氏らの工夫もありこなれていて読みやすい。
この書は普通の近年の経済学書とは違って高等数学などは使ってなく、むしろ文学作品などの引用もあり、歴史的記述もありで、一般読者にも理解しやすい。ベストセラーになったゆえんであろう。この訳書も年末年始のアマゾンのベスト1売り上げを記録している。
本文だけで600ページもある大著であるが、大河小説でも読むように一気に読めてしまうものであり、読後感もトルストイか何かを読み終えたという感じである。
著者のピケティは数学が苦手なわけではなく、もともと数学専攻であり、高等数学を駆使した経済学に飽き足らずに、この歴史的データの解析に取り組んだという。ヨーロッパの学者らしい展開だ。
なお、前半のデータ解析部分が重厚なのに対して、最後の提言部分はやや物足りないが、基本は経済学史として読むべきものだろう。また、日本語書名で「(21世紀の)資本論」を避けて「資本」としたのは、ピケティ自身がマルクスの資本論に否定的であることを考慮したためであろうが、本の中身を考えればちょっとわかりにくい。『21世紀の資本・論』というあたりが妥当かもしれない。
ともあれ、FXや株式投資に取り組んでいる方には、ぜひご一読をお勧めしたい。なお、いくつか梗概書が出ているが、不評のようだ。原本を買って(借りて)ざっと読むほうがはるかにいいだろう。
http://blog.goo.ne.jp/yamahafx/e/e3ae1098ff385009f45c45e051971d98
▲△▽▼
特集:資本主義をとことん考えよう 第1部 何が問題か
◇ピケティ理論で知る資本主義の本質
吉松崇 (経済金融アナリスト)
43歳のフランス人経済学者、トマ・ピケティ氏の新刊書の英語版『21世紀の資本論(Capital in the Twenty-First Century)』が、米国で大変なブームを巻き起こしている。ポール・クルーグマン・プリンストン大学教授のようなリベラル派から、ケネス・ロゴフ・ハーバード大学教授のような保守派まで有名経済学者がこぞって書評で取り上げ、「ピケティ現象」とでも呼べる様相を呈している。
クルーグマン氏はこの本を「恐らくこの10年で最も影響力の大きい経済書になるだろう」と持ち上げた。『ニューヨーク・タイムズ』紙はピケティ氏の米国での販売促進ツアーを「まるでロックスターのような歓迎を受けている」と評して、この人の特集まで組んだ。
同書は本文600ページ、脚注を含めて700ページの大著で、決して取っ付きやすい本ではない。にもかかわらずセンセーションを巻き起こしているのは、これが「貧富の格差」そのものに焦点を当てた本だからだ。
2008年金融危機からの緩慢な景気回復過程で、米国の中間層の所得は伸びていない。一方、高額所得者の所得は着実に伸びている。いや、もう少し長く、例えば過去30〜40年で見ても、中間層の所得が高額所得者の所得に比べて伸び悩んでいることは多くの人が指摘し、また皮膚感覚で感じていることである。
ピケティの本がすごいのは、格差が拡大しているという事象を、過去100年以上の統計データを使って、これが一過性の現象ではなく長期にわたるトレンドで、「富と所得の格差の拡大それ自体が資本主義市場経済に内在する」ことを論証してみせたことにある。これはこれまでの経済学の常識を覆す衝撃的な主張である。だからこそ多くの経済学者や評論家がこの本を取り上げて大騒ぎになっているのだ。
ピケティのこの主張に対して、保守派の一部からは政治的左翼の主張に過ぎないとの批判が起きているが、これは全くの的外れだ。この本は政治的プロパガンダの本ではない。経済統計データに基づく実証分析の本である。
◇二つの指標
この本のメッセージはシンプルだ。要約すれば、
@先進国では、長期的・趨勢(すうせい)的に労働分配率が低下し、資本への分配率が上昇している
A資本の分配率上昇の恩恵をより大きく享受しているのは、中間層ではなく富裕層である
という2点に絞られる。ピケティは、二つの指標でこの事実を立証した。ひとつは総資産/総所得比率、もうひとつは所得上位十分位(つまり、10%の高額所得者)の総所得に占める割合である。
総資産/総所得比率から見ていこう。総資産とは、一国のある時点での使用総資本(土地、工場設備のような実物資産、海外への投資など)である。一方、総所得は国民純所得、すなわちNNI(GDP−減価償却+対外債権・債務が生む純利益・損失)である。したがって、総資産/総所得比率とは、国全体の資本の蓄積額と国民の所得額の比率を示す。
ピケティによれば、この総資産/総所得比率は、第一次世界大戦前の西欧(イギリス、フランス、ドイツ)では600〜700%だったが、二つの大戦を経て1950年には200〜300%に低下し、戦後の復興期まで低位にあった。ところが、70年あたりから再び上昇し、2000年には500〜600%と1910年のレベルに近づいている。なお、米国については、1910年のレベルは西欧よりは低いが、2000年のレベルは西欧より高い。
この比率が時系列で上昇傾向にあるということは、資本の蓄積のスピードが総所得の上昇スピードより速い、つまり「資本の収益率(r)∨総所得の成長率(g)」ということである。ここで資本の収益率とは、土地や株式のような直接資本と債券や貸し出しのような間接資本の収益率の加重平均である。一方、総所得は資本が生む収益と労働所得の合計である。
仮にr=gであれば、資本の蓄積スピードと総所得の伸び率が同じなので、総所得に占める資本所得の比率が一定となる。従って、総所得に占める労働の所得、つまり労働分配率も一定になる。実際、標準的・教科書的な経済成長論では、長期においてはr=gが成立する、と考えられてきた。なぜなら資本市場も労働市場も長期的には競争的な市場で、一方に有利な方向に偏ることは考えにくいからだ。
この場合、総資本/総所得比率も長期においては一定の値に収まるはずである。すなわち、ピケティの主張するr∨gとはこの標準理論への挑戦であり、長期的・趨勢的に労働分配率が低下し労働者の窮乏化が起こる、という話だ。
次に、もうひとつの指標、10%の高額所得者の総所得に占めるシェアを見てみよう。米国は1910年にこのシェアが40%だった。好景気のピークだった20年代後半には、これが50%にまで高まる。その後、大恐慌と第二次世界大戦を経て、50年には35%にまで低下し、70年代まで横ばいだったが、80年以降再びシェアが高まり、2000年代は45〜50%と過去の最高値に近付いている。
西欧(イギリス、フランス、ドイツ)の場合、1910年には米国以上にそのシェアが高かった(格差が大きかった)が、第一次世界大戦と共にシェアの低下が始まっている。戦争とともに累進税率を含む所得税が導入され、貧富の格差が縮小したからだ。
また、第二次大戦後は政府が関与する所得再分配の程度が米国に比べてはるかに大きいので、米国ほどシェアが高くはない(格差が大きくない)。とはいえ、70年代以降、シェアが高まっている(格差が拡大している)という傾向は同じである。
中間層に比べて高額所得者は、所得のうち資本収益の比率が高いと考えられるので、格差拡大の理由はr∨gにある、とピケティは考える。
◇クズネッツ・カーブへの挑戦
さて、先に触れた標準的・教科書的な経済成長論の端緒を開いたのは米経済学者のサイモン・クズネッツ(1901〜85年)である。国民所得計算の生みの親でもあるクズネッツは、米経済学会会長だった55年、先進国と発展途上国の経済成長と所得分布のパターンを分析して、「経済発展の初期には貧富の格差が拡大するが、発展段階が進むと格差が縮小する」と主張する論文を発表した。発展段階の初期においては労働生産性の低い農業所得と高い工業所得が混在するが、発展段階が進むと後者の比率が大きくなり、また後者は技術革新による生産性の上昇を享受するからだ。
この、「発展段階の初期に格差が拡大して、その後格差が縮小する」というクズネッツの主張はクズネッツ・カーブと呼ばれる。ピケティ氏は、このクズネッツ・カーブについて「クズネッツは、1913〜48年の米国のデータに基づいて推論を行ったので、こういう主張になったのであり、観測期間をさらに長く取ると私の主張になる。私の手法とクズネッツの手法は本質的に変わらない」と述べている。
第一次大戦前から第二次大戦後という期間を取ると、米国でも西欧(イギリス、フランス、ドイツ)でも貧富の格差が縮小しているのは、前述の二つの指標から明らかだ。クズネッツはこの現象を経済発展がもたらす自然な姿であると捉えたが、ピケティは「この期間に起きた現象が特殊なのであり、19世紀半ばから1910年まで、そして1970年から現在にいたる期間に見られる現象、つまり、富と所得の格差の拡大が資本主義・市場経済における経済発展の自然な姿である」と考える。
格差が縮小した期間に起きたことは、言うまでもなく、二つの世界大戦である。ピケティによれば、戦争が幾つかの回路で貧富の格差を是正した。第一に、戦争による物理的破壊で資本が毀損(きそん)され収益額を引き下げた。第二に、民間資本が国債購入という形で戦費調達に利用されたが、国債は戦後のインフレで毀損された。そして、累進税率を持つ所得税の導入である。
◇資産課税を提言
r∨gが趨勢的なトレンドである限り、富と所得の格差の拡大は避けがたい。ピケティの予測する21世紀の資本主義像は、現代の福祉社会型の西欧資本主義ではなく、19世紀型の資本主義だ。資本の蓄積は経済成長を越えて更に進み、その時、所得の格差を決定づけるのは、個々人の能力ではなく、個々人が初期条件として有する資本、つまり相続で得た富である。「21世紀には、個々人がどのような知識を身に着け、どのような職業に就くかではなく、誰の子供に生まれるか、誰と結婚するかが所得を決定する」。
このような社会では、人々は資本主義・市場経済を政治的に支える大前提である「機会の平等とメリトクラシー(能力主義)に対する信頼」を失う、とピケティは考える。これを克服するには、所得税の累進税率の引き上げと再分配の強化だけでは十分ではなく、資産に対する累進課税が必要である、というのがピケティの政策提言である。例えば、純資産100万ユーロ(約1億3000万円)以下は非課税、100万〜500万ユーロには年率1%、500万ユーロ以上には年率2%、というように。
だが、資産に対する課税は簡単ではない。所得ではなく財産に課税することの政治的なハードルの高さに加え、そもそも資産をどう評価するのかという技術的な問題があり、また、租税回避地(タックスヘイブン)の問題もある。これは、ピケティのこの本の中で最も論争を呼ぶテーマである。
米国でピケティ・ブームが起きているのは、一つには、1970年代以降に生じている中間層と富裕層の所得格差の拡大という明白な事実を、アカデミズムがきちんと説明できていなかったからだろう。標準的・教科書的な経済成長論の生みの親とも言えるロバート・ソロー・マサチューセッツ工科大学名誉教授が「格差拡大についての断片的な説明はこれまで幾つもあったが、この問題を包括的・理論的に説明したのはピケティが初めてである」と、この本を書評で絶賛しているのは象徴的である。
また、政治的には、リベラル派と目されたオバマ政権が、人々の期待に応えているとは到底言えないという状況があるだろう。2008年の金融危機とほぼ同時に成立したオバマ政権が、危機の根源である金融機関規制問題にほとんど手を打てていない。さすがに5年もたてば、金融緩和で景気は回復しているものの、貧富の格差は拡大している。
リベラル派の論客クルーグマン氏が、「今米国は、セオドア・ルーズベルト大統領(共和党)のような大資本と戦う政治家を必要としている」と述べているのは興味深い。リベラル派にとって、ピケティ氏はようやく手に入れた理論武装なのかもしれない。
◇仏ではブームにならず
米国でこれほどのブームとなっているピケティ氏だが、本家のフランスでは大きな話題になっていないという。これにはいくつかの理由が考えられる。第一に、西欧では米国に比べて政府による所得再分配への関与がはるかに大きいので、現に顕在化している所得格差は米国ほど大きくはないだろう。第二に、社会主義政党の支持基盤が伝統的に強いフランスでは「格差の拡大が資本主義市場経済に内在している」というピケティ氏のメッセージが、米国とは異なり、そもそも衝撃ではないのかもしれない。
だが、おそらく最大の要因は、ユーロ圏の経済状態にあるのだろう。フランスの失業率は10%を超えて横ばいであり、改善の兆しはない。米国や日本とは異なり、そもそも経済が08年の金融危機と10年のユーロ危機からほとんど回復していないのだ。
このような状態では、差し当たりの問題は所得格差ではなく職の確保である。12年に雇用の拡大を約束して当選したオランド大統領も有効な手は打てていない。だから、5月の欧州議会選挙では反EU政党が票を伸ばした。つまり、今はピケティ氏のメッセージが人々をひきつける状況ではない、ということだろう。
さて、日本はどうだろうか? 日本の貧富の格差は、今のところは米国に比べればはるかに小さいだろうが、今後どうなるかは分からない。ピケティ氏はトレンドとしての貧富の格差拡大は、日本も含め先進国共通だという。それに所得再分配への政府の関与の程度は、日本は西欧に比べれば小さく、どちらかと言えば米国に近い。この本の邦訳出版は今年12月に予定されている。日本でどのように受け止められるか楽しみである。いずれにせよ、格差問題を語るのに、これほどの話題となったピケティ氏を無視するわけにはいかないだろう。
http://www.weekly-economist.com/2014/08/19/%E7%89%B9%E9%9B%86-%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%82%92%E3%81%A8%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%93%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%88%E3%81%86-%E7%AC%AC%EF%BC%91%E9%83%A8-%E4%BD%95%E3%81%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%8B-2014%E5%B9%B48%E6%9C%8812-19%E6%97%A5%E5%90%88%E4%BD%B5%E5%8F%B7/
▲△▽▼
所得1億円超だと税負担率はこんなに低い、金持ち優遇の実態
2016年11月28日 「週刊ダイヤモンド」編集委員・原英次郎
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/225.html
政府税制調査会の議論が、大詰めを迎えている。報道では配偶者控除の引き上げやビール税の一本化などが注目されているが、実は隠れた重要なテーマがある。それは日本の所得税が金持ち優遇になり過ぎているのではないかという点だ。
日本の所得税は二つの大きな課題を抱えている。一つは、共働きやパートタイムなど働き方が多様化している今、働き方に影響を与えない税制にいかにリフォームしていくか。もう一つは、格差拡大を是正するために、いかに所得の再配分機能を回復していくか、である。金持ち優遇は後者に関連する。
■所得金額約1億円超から税負担が軽くなる
日本の所得税率は現在、5%〜45%まで7段階の累進税となっている。最高税率は45%で、4000万円以上の課税所得に適用される。よく誤解されがちだが、例えば、課税所得が5000万円の場合、丸々5000万円に45%が適用されるのではなく、4000万円を超える1000万円に対して45%の税率が適用される。いわゆる超過累進税率方式を採用している。
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/225.html
グラフを見ていただきたい。これは分母に所得、分子に所得税を採って、所得税負担率を計算したものだ。対象者は確定申告を行った申告納税者だけで、企業が税金徴収を代行(源泉徴収)しているほとんどの会社員が含まれていないという限定つきながら、大きな傾向を示していると言える。
グラフの実線が負担率。ひと目で分かるように2013年、2014年とも所得税負担率は1億円近辺をピークに、それ以上稼ぐと徐々に低下していき、100億円以上では13年で11.1%、14年で17%しか負担していない。それはなぜか。
理由は簡単だ。給与所得や事業所得に対しては、最高税率45%の累進税が適用されるのに対して、株式等譲渡所得(いわゆるキャピタルゲイン)や配当、債券・預金の利子などの金融所得に対しては、20%の軽減税率が適用される「分離課税」となっているためだ。
このため所得(グラフでは合計所得)に占めるキャピタルゲインの比率が高くなるほど、全体を平均すると負担率が低くなる。グラフの破線が所得に占めるキャピタルゲインの比率を示しているが、超高額所得者ほどキャピタルゲインの占める比率が高く、その結果、負担率が低くなっている。
負担率が20%を下回る所得層がいるのは、金融所得に対する税率20%の内訳が、所得税15%+住民税5%となっており、国税庁の元データが所得税の15%のみを集計しているため。2013年分では、その15%をも下回る層が存在するのは、2013年末まで10%(所得税7%+住民税3%)と、軽減税率をさらに軽減した税率が適用されていたからだ。
■金融所得課税5%の引き上げで
約1兆円の税収増が見込める
税率は負担能力に応じて徐々に高くなっていくのが公平だとすれば、この状態は明らかに公平の原則に反しているように見える。ただ、ことはそう単純ではない。
理由は大きく言って二つある。一つはキャピタルゲインをどう考えるかという問題。株式に対する課税は毎年の含み益(株式を保有したままで利益が出ている状態)に課税されるわけではなく、売却して利益が実現したときに課税される。
とすると、ある企業が小さいときに投資して、それが10年や20年後に大企業となった結果、売却して大きな利益を得た場合、その一時点だけを捉えて、給与所得並みの高い税率を課すのは公平と言えないという考え方もある。同じようなことは、ベンチャーの経営者が努力してビジネスを成功させて株式の上場にこぎつけ、保有株式を売却した際にも起こる。キャピタルゲインに対する税率を高くし過ぎると、リスクに挑戦する意欲をそぎ、経済全体の活力をそぐことにもなりかねないというわけだ。
もう一点は、グローバル化し資本が自由に動ける現在の世界では、金融資産に対する投資は「逃げ足が速い」という性質を持っていること。キャピタルゲインに対する税率を上げた結果、投資資金が海外に逃げ出し、かえって税収が減るという可能性もある。実際、G5(英米仏独日)では、フランスを除く4ヵ国が、金融所得に対して分離課税制度を採用しており、事業所得などとは別の税率を適用している。
一方、キャピタルゲインをもたらす企業の利益も、社会全体からもたれされたものだから、税負担率を上げて社会全体に還元すべきという考えも成り立つ。東京財団の森信茂樹上席研究員の試算によれば、いまの分離課税のままで、金融所得に対する税率を20%から25%に引き上げると、約1兆円の税収増になるという。これを原資に、貧困対策や教育に回すこともできる。社会全体が健康になり教育水準も上がれば、ひいては企業の利益にもプラスになるだろう。
税の形は、どのような国の形を目指すのかということの具体的な表現であり、民主主義の基本中の基本のテーマである。確かに、金融所得一つをとっても、分離課税がよいのか、どの税率が公平なのかをピンポイントで判断するのは難しい。だが少なくとも専門家任せでなく、納税者である国民が、いまの所得税が金持ち優遇になっているという現状を知る、このことが議論のスタートになる。
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/225.html
▲△▽▼
お金持ちが経験、お金がお金を呼ぶ「ゾーン」とは?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170326-00000011-zuuonline-bus_all
ZUU online 3/26(日) 18:30配信
お金持ちは、お金を引き寄せる。
お金の性質を理解して、
お金がお金を呼ぶ「ゾーン」を体験せよ。
私は、よく「菅下さんはお金持ちでいいですね」と言われます。
自分の貯金額を明かしたことはないのですが、なぜかそう言われます。どうも、私は「お金持ち顔」なのだそうです。
(本記事は、菅下清廣氏の著書『今こそ「お金の教養」を身につけなさい 稼ぎ、貯め、殖やす人の”37のルール”』(PHPビジネス新書)の中から一部を抜粋・編集しています)
でも中学生で父が事業に失敗したあのころ、私はしばらくお金に嫌われてしまいました。大学生の頃もアルバイトをしていましたが、貯金をするほどの余裕はなかった。必死にアルバイトをしていた私と、いまの「お金持ち顔」の私。何が違うのでしょう。
私は「貧乏」も「お金持ち」もどちらも経験しましたが、明らかに違うことがあります。それは「お金が向こうから寄ってくるかどうか」です。
お金を持つと、お金がお金を吸い寄せ、さらにお金が集まります。なぜか。お金持ちの人には、お金儲けの話が集まるからです。
「あの人はお金持ちだから、おそらくいい頭脳と人脈をもっているに違いない。相談にいってみよう」
と、なるわけです。有益な相談もたくさんありますから、結果としていい人脈やお金が集まってきます。
よく考えたら、当然のことです。貧乏な人にお金儲けの案件を持ち込んでも、無駄ですから、貧乏な人には、人も金も集まってきません。
■お金がお金を呼ぶ「ゾーン」とは?
お金持ちは、一定額以上貯まったら、あえて貯金をしようとはしていません。お金が向こうから寄ってきて、よほど浪費しなければ結果として貯金できてしまうからです。
私も年収10年分貯まった頃から、「お金を貯めよう」という意識は無くなりました。10年分の貯金があれば、人間は気前が良くなります。すると、さらにいい人が集まってきます。ですから、もともとお金持ちの家に生まれた人は、お金が集まりやすいはずなんです。それでもお金が貯まらないということは、頭が悪いか、素行が悪い。どちらかです。
話を戻します。お金がお金を呼びはじめると、お金は勝手に増えてくれます。たとえば、1千万円をローリスクで利息10%の商品に投資すると、年間100万円になります。月8万円程度のお小遣いがもらえれば、これまで食事などに使っていたお金を、別のことに投資できるようになります。
でもこれでは、「お金がお金を呼ぶ」と言うほどではないです。まだ、少し甘い。本当に「お金がお金を呼ぶ」スパイラルをつくるには、5千万円、1億円クラスのお金が必要です。
1億円あれば、たとえ5%の運用であっても、年間500万円のキャッシュフローが生まれる。30代くらいの方の年収が、そっくりそのままもらえちゃうわけです。
こうなると、お金がお金を呼ぶ「ゾーン」に入ります。あなたに関係のない話をしているのではありません。1億円だって、今は夢のように思えても、貯まります。その「はじめの一歩」が、この本でおすすめしている「恒産」なのです。
お金というのは不思議なもので、10万円しかない人には減る一方、100万円くらいなら横ばい、1000万円になるともう減りません。1億円貯まったら、もう楽勝ゾーン。
■金融リテラシーや投資頭脳は、お金の量に比例
貯蓄が一定のレベルを超えると、貯金の利子もつきますし、お金につながる情報も自然に寄ってきます。おそらくあなたの頭には、最低限の金融リテラシーも備わっているでしょう。さらに一定額になると、「もう少し増やしたい」と思いはじめるから、自然と投資や金融の勉強をはじめます。
お金もリテラシーもないときは、勉強も苦痛です。でもお金が増えると、さらに知識量が増え、お金も増える。すると勉強が楽しくなるから、やっぱりお金も増えます。
金融リテラシーや投資頭脳は、お金の量に比例します。資産家ほど、実はとても勉強家なのです。やっぱり、樽に小銭を貯めていてもダメなんです。
■ピンチをチャンスに変えた経験
お金持ちは、素直。
浅はかな失敗をしても、すぐに方向転換できるかどうか。
エニグモの田中さんは、ピンチをチャンスに変えました。ピンチを機に、自身の人生を上昇気流に乗せました。でもピンチの渦中にいる時には、どうすれば上昇できるのか、一体なんで下降しているのか、わからないことが多いものです。私もそうでした。
私は大和証券時代、常にトップセールスを誇っていました。しかし、当時の日本企業は成果主義を導入していませんでしたから、どんなに頑張っても月給以上はもらえません。私は、転職を考えました。
私の先輩で、相場能力の優れた方がいました。営業成績が極めて高く、良質なお客さんをたくさん持っていた先輩は、大和証券を辞め、小さな証券会社の外務員になりました。
外務員になると、取引手数料の一部が収入になるので、成績が上がるほど手取りも増えます。証券会社に机と電話を貸してもらい、「身ひとつ」で営業します。頑張りによっては、年収1億円も夢ではありません。
その先輩から、「菅下君、一緒にやろう」と誘われたのです。まだ新人でしたが、「君の相場観は抜群だし、営業もできる。2人でチームを組めば、自分がいないときにお客さんを見てもらうこともできるから都合がいい」と言われ、うかつにも「やってやろう」と思ってしまいました。22歳か、23歳のころです。
大和証券という一流の証券会社に入社したわけですから、その後の人生も、一流で終えられる可能性があります。でも小さな証券会社に行ったら、先はないかもしれない。でも若いから思慮が浅く、新しい会社に「来週からお世話になります」と挨拶に行ってしまったのです。先輩の隣に、席が用意されていました。
こんな私を救ってくれたのが、当時私が勤めていた大和証券の大阪営業部長です。「思い立ったたが吉日」と私は大和証券にさっさと辞表を提出し、過去にお世話になったこの部長に挨拶に行きました。大阪の営業を仕切っている方で、めちゃくちゃ偉い人です。
その部長に、「『大番』のギューちゃんを目指して、相場で勝負します」と言ったら、すごい剣幕で怒られました。彼のデスクは、100坪くらいのフロアの一番前にありました。500人の部下のデスクが整然と並び、営業マンたちは忙しく電話をしています。その前で、飛び上がるほど怒られました。500人、ほぼ全員が私を見ました。
「目先の金儲けに目をくらませて、人生を誤るとは何事だ。辞表を提出してしまったのなら、しょうがない。俺が口をきくから、世界最大の証券会社に行け」
その言葉が、ピンチをチャンスに変えました。当時、世界最大の証券会社だったメリルリンチが、日本に進出したばかりだったのです。先輩も「同じ相場師になるなら、ちっぽけな大阪の相場師より、世界の相場師になれ」と言ってくれました。
私がメリルリンチに入社できたのも、先輩が大和証券の国際部門経由で、推薦してくれたからです。メリルリンチの採用担当者は「大和証券の推薦なら採ります」と言ってくれました。
些細なことで、ピンチはチャンスに変わります。特に若いと、人生経験が少ないから、判断も浅い。判断を簡単に誤り、人生を下降させます。私を叱ってくれた部長は、私にとって人生の神様です。彼はのちに大和証券の副社長になり、私がメリルリンチに行ったあともずっと応援してくれました。
いい先輩や上司に恵まれた方は、是非大切にしてください。そして先輩の言葉には、素直に耳を傾けましょう。もしも、悪い遊びに誘う先輩に恵まれてしまったら、それは悪い運です。さっさと断ち切って、遊びや飲みの時間を勉強に充てましょう。それが、幸運を呼び込む秘訣です。
菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。
▲△▽▼
2017年03月28日
日本の税金は不平等 富裕層がトクをして庶民は貧しくなる理由
『ルポ 税金地獄』が明らかにする驚きの事実とは - 松浦 新
http://blogos.com/article/215762/?p=1
ルポ 税金地獄 (文春新書) – 2017/3/17 朝日新聞経済部 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4166611216?tag=bunshun_asyuracom-22
重税国家ニッポンの現実を知っているだろうか。
給与明細を見ると、所得税、住民税、健康保険税、復興特別所得税……3割〜4割を「取られ」ている人がほとんど。
買い物すれば消費税、家を持てば固定資産税、親族が死ねば相続税もかかる。
一方で節税ノウハウをもつ富裕層は巧みに税逃れをし、資金の海外流出は止まらない。
不平等な税金システムの実態に迫る『ルポ・税金地獄』の著者より、驚きの事例を紹介する。
◆◆◆
タワマンで節税。税法の抜け穴をよく知る資産家たち
英領ケイマン諸島、バミューダ、オランダ領セント・マーチン島……。
そのコンサルタントの男性が開いたパスポートには、世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)を訪ねたことを示す入出国のスタンプがいくつも押されていた。男性は、タックスヘイブンでの会社の設立や資産運用に携わって30年近くになる。
取材したのは2016年春。世間ではタックスヘイブンを利用した富裕層の税金逃れや資産隠しを暴露した「パナマ文書」が話題になっていたが、男性はまったく意に介していなかった。
「したり顔で解説するコメンテーターや学者を見ると思いますよ。この中に、実際にタックスヘイブンで会社を設立し、現地の法律事務所と折衝して金融取引をしたことがある者がどれだけいるのかとね」
男性は自らの取引で法に触れたことは一度もないと、胸を張った。
そして、タックスヘイブンでの取引について、日本でいったん納めた税金を取り戻した「戦歴」を語った。日本の税法を研究して「抜け穴」があることをわかったうえでの取引だったためだ。
このコンサルタントの男性が言うように、税法には多くの「抜け穴」がある。それは、世界の税制が1つではなく、それぞれの国が税制を定めていることから生じる抜け穴といえる。国内の制度でも、税制が複雑で、いろいろな利害関係があるため、「抜け穴」はできる。富裕層は専門家に相談するなどして、こうした抜け穴を活用しやすい立場にいる。
朝日新聞経済部は、15年8月から1年余りにわたり、経済面を中心に「にっぽんの負担」という連載を続けた。こうした税の抜け道を駆使して節税に励む富裕層や税制優遇で恩恵を受ける大企業がある一方で、低所得層が税や社会保険料の負担に追い詰められていること、様々な税制が時代遅れになっていることを現場から報告して、解決策を探った。
なかでもタワーマンション(タワマン)を利用した富裕層たちの節税策は、本連載で報じたことで大きな反響を呼んだ。
それは、タワマンの高層階の「時価」と、相続税や贈与税のために使われる「評価額」との差が大きいことに着目した節税手法だった。
相続税や贈与税は国税だが、その評価額には、自治体が集める固定資産税の評価額が使われる。それは、総務省が定めた基準で計算したマンション建築にかかる費用(再建築価格)がもとになる。マンション全体で再建築価格を算出し、上層階か下層階かに関係なく部屋の広さで割り振られる。
ところが、実際のタワマンは、階が上がるにつれて販売額は高くなる。この時価と評価額の差に注目した節税がタワマン節税の基本だ。私たちが取材した中では、タワマンを活用して6億円の資産を課税されずに息子に渡すことに成功した富裕層もいた。
都心のタワーマンション群は富の象徴。
連載の反響は大きかった。これを受けて政府は18年度から固定資産税に例外を設け、タワマンの場合には上層階の固定資産評価を上げ、下層階は下げる方針を決めた。階数によって増減率は変わるが、40階建ての場合は、最上階の評価額が5%上がり、1階は5%下がる。1階と最上階は固定資産税も相続・贈与税も評価額が1割違うことになった。
しかし、これで十分なわけではない。低層階と高層階の実際の価格差は1割程度では済まない。また、40階の評価は5%高くなるにすぎない。一方、評価の差が大きくなると、通常のマンションに比べて、タワマンの低層階の評価が低い現象も生まれかねない。公平さを追求すると、すべてのマンションを個別に評価しなければいけなくなり、タワマン節税の対策が、固定資産税の制度全体の見直しにつながりかねないのだ。
ふるさと納税の恩恵は富裕層に
こうした制度の矛盾をつく節税対策はまだある。その代表はふるさと納税だ。
16年10月、横浜市の赤レンガ倉庫のイベント広場で開かれた「ふるさと納税大感謝祭」には、全国61市町村の「出店」が軒を連ね、「地方物産展」の様相になった。初日は、午前10時のオープンとともに、待ちかねた来場者が会場になだれ込み、足の踏み場もないぐらいの盛況になった。中でも行列ができたのは、宮崎県都城市のコーナーだった。持ち込んだホットプレートで焼いた人気の宮崎牛が試食でき、紙コップで焼酎の「白霧島」がふるまわれた。
15年度のふるさと納税の寄付額が約42億円と首位になった都城市の人気の高さを見せつけたが、会場となった横浜市は逆に、15年度のふるさと納税による市民税の流出が約31億円、神奈川県も県民税の減額が約21億円と、いずれも全国一多かったので、制度を象徴する光景となった。
ふるさと納税大感謝祭。都城市の前は賑わいを見せる。
ふるさと納税は本来、自分が応援したい生まれ故郷などに寄付をして、所得税や住民税を軽くするしくみだ。だが、記者が「大感謝祭」で見た光景は、自治体の特産品を売り込む自治体の姿でしかなく、寄付によって解決したい地域の課題を訴える自治体のコーナーを見つけることはできなかった。
そして、ふるさと納税による減税の恩恵を受けやすいのは、やはり富裕層だ。都城市は100万円を寄付すると、小売価格で60万円を超える焼酎1年分がもらえる。ふるさと納税による減税には所得に応じた上限がある。100万円を寄付すると、計99万8千円が所得税と住民税から戻ることになるが、その恩恵を受けるためには、サラリーマンなら年収3千万円ぐらいが必要となる。
このように、富裕層は様々な税制の「抜け道」を活用できる。さらに、多くの税制優遇も用意されている。子や孫への贈与が1500万円まで非課税になる「教育資金贈与信託」の制度は、安倍政権が発足してすぐの13年4月に始まったが、信託協会によると、信託財産の総額は16年9月末に約1兆2千億円に達した。
個人に適用される所得税は最高で45%だが、法人実効税率は16年度に30%を切った。こうしたことを背景に、「合同会社」の設立が増えている。06年にできた新しい会社の形態で、少ないお金で設立でき、決算公告の義務もない。その設立数が、10年の約7千社から16年は約2万4千社に増えた。個人のアパート経営者が合同会社を設立して節税するような動きが広がっていることも一因だ。
税金で貧困率があがる日本
著者・松浦新。朝日新聞経済部記者。
一方で、消費税が上がっても給料が上がらない人は多い。その結果、消費増税があった14年度の実質賃金は3.0%も下がった。消費税で物価が上がっても賃金が上がらないため、給料で買えるものがそれだけ減ったということだ。実は、実質賃金は11年度から5年連続して下がり、10年度より5.3%も減っている。賃金が下がったり、物価が上がったりして、実質的な給料の価値が下がっているのだ。
庶民の生活を圧迫しているのは消費税だけではない。高齢化とともに上がり続けている年金、医療、介護の社会保険料は、所得が低い人にも容赦なくかかる。増え続ける非正規労働者が多く加入する国民健康保険には所得に関係なく、世帯ごと、家族の人数ごとに定額でかかる負担があり、悪税と言われる「人頭税」のような要素がある。
自治体財政も逼迫しているため、税も保険料も、滞納すると差し押さえをするなど厳しい取り立てが待っている。
本来、税や保険料は、富める者から貧しい者に再分配をして、自由な経済活動で生じた格差を是正するためにある。ところが、日本では、再分配の前と後で貧困率を比べると、勤労者や子供のいる世帯で再分配後の方が貧困率が上がる逆転現象が経済協力開発機構(OECD)の加入国で唯一起きている。再分配が機能していない先進国として恥ずかしい事態だ。
朝日新聞経済部は、介護や医療などの現場で高齢者らが置かれた実態を報告した『ルポ 老人地獄』(文春新書)を15年12月に上梓した。今回の『ルポ 税金地獄』は、その解決のための国民の負担を考える続編と言える。団塊世代が後期高齢者になる2025年まで10年を切り、これを支える現役世代が確実に減っている今、いかにしてすべての世代の可能性を高める社会を作っていくかを考えるヒントになれば幸いである。
▲△▽▼
▲△▽▼
アメリカが滅びてもアメリカの多国籍企業は滅びない
アメリカ株で儲けるほど簡単な事は無い
ダウ・ジョーンズの100年に渡る株式市場の値動き。
数々の暴落で激しく揺れ動くチャートだが、凄まじい上昇にあるのが分かるはずだ。
https://4.bp.blogspot.com/-oN-T0gr5iHQ/VzQ_TB_m2YI/AAAAAAAA20E/kZ0WYHFYsow3CsuaH4uO86GO4uYHJf2agCLcB/s1600/img%2B-001.png
http://stockcharts.com/freecharts/historical/img/100-100.png
NYダウ工業株30種平均 超長期月足チャート 1928年11月〜
http://baseviews.com/chart/dow-ja.html
2015年06月25日
投資の神様・バフェットの真似をしても損する理由
「ハンバーガーが安ければ買うでしょう。株も同じです」と言うのだが
バフェットは最も優秀で最も成功した投資家で、多くの投資指南では彼の手法を見習うべきだとされている。
だが日本人がバフェットと同じ事をしても、まず失敗する。
バフェットの必勝法と矛盾
世界で最も成功した投資家はアメリカ人のウォーレン・バフェットで、資産は5兆円とも言われている。
彼の投資法の信奉者は多く、投資の王道の一つとされている。
だがバフェットの投資法を模倣しても、他の投資家と同じように9割の人は人生トータルでは投資で損をする。
正しい投資法を実行しているのに、どうして多くの人が負けるのか不思議な気がします。
バフェットの投資理論の多くは、第二次大戦後のアメリカでしか通用しないのだが、その理由をこれから説明します。
バフェットの成功は彼自身の優秀さや正しさ以外に、多くの偶然にも支えられていました。
バフェットの誕生日は1930年8月30日で第二次大戦が終わったとき、15歳の頃には投資を始めていました。
父親は地元では成功した株のディーラーで、州議会議員も勤めた名士でした。
アメリカの大恐慌は1929年10月24日に発生し、丁度バフェットガ生まれる1年前で、既に昔話になっていました。
大恐慌直前には1929年9月3日にダウ平均株価381ドルの史上最高値をつけていました。
ダウ平均株価は5年間で5倍に高騰し、あらゆる評論家や経済学者全員が「これからも株価は上昇する」と断言しました。
しかし最高値をつけた3年後の1932年7月8日にダウ工業株平均が41ドルと、ほぼ10分の1にまで下落してやっと大底を打った。
これが第二次世界大戦の原因になる世界不況を作った大暴落なのだが、第二次大戦前には、株の暴落は珍しくは無く、優秀な投資家は皆「空売り」で儲けていた。
世界恐慌までのアメリカは自由貿易主義、自由経済主義のような事を唱えていて「経済は放置すれば完全な状態に保たれる」と思われていた。
大恐慌が始まっても「市場の作用」によって自動的に立ち直ると考えられていたので、誰も何の対策もしませんでした。
こういう時代では明らかに、バフェットの投資法は通用しません。
そして日本を始めアメリカ以外の多くの国では、大恐慌時代のアメリカのような投資状況なのです。
恐れを知らない投資家
大恐慌の結果アメリカは「自由経済なんか嘘だ!」という事を学び、市場や経済を管理する「管理経済」に移行しました。
自由放任でうっちゃらかしから、管理して乱高下しないよう調整する事にしたのです。
この変化によって大戦後のアメリカでは株式相場は「必ず上がるもの」になり暴落は滅多に起きなくなり、しかも下落幅は戦前より小さくなりました。
「もう株の暴落を起こさない」のがアメリカ政府の政策であり公約になったのです。
この時颯爽と株式投資に参加したのが10代のバフェットでした。
バフェット以前にもアメリカには投資の天才が星のように存在しましたが、彼らは「株は暴落する」という考えを捨て切れませんでした。
日本でもバブル崩壊を体験した世代の投資家は、「土地は値下がりしない」と言われても信用しないと思います。
大恐慌では株が10分の1になった訳で、市場崩壊を目の当たりにした戦前投資家は、政府を信用しませんでした。
バフェットは戦前投資家とは違い、アメリカ政府を100%信用した上で投資しています。
「アメリカは永遠に世界のリーダーである」「株は暴落せず、永遠に値上がりし続ける」といった事がバフェット投資の前提になっています。
バフェットがもし15年か20年ほど早く生まれていたら、株を始めたころに大恐慌に遭遇してしまい、脳味噌を焼かれてしまったでしょう。
毎日毎日株価が下がり続け、3年後に10分の1になったら、彼も投資から手を引いて別な仕事をしたかも知れません。
戦前の投資家は大恐慌で脳を焼かれてしまい、株が暴落する恐怖から、値上がりした株を直ぐに手放しました。
バフェットは株が暴落するのを見た事が無いので、株を持ち続けました。
為替変動の影響が無いアメリカ
先ほど「日本を始めアメリカ以外の多くの国では、大恐慌時代のアメリカのような投資状況」だと書きました。
日本では第二次大戦後も、株は上がり続けるものではなく、定期的に暴落が起きています。
暴落の原因のほとんどは、為替変動やオイルショックなど外部の要因から来ています。
ところが世界で唯一、為替相場の影響を受けない国があり、機軸通貨のドルを発行しているアメリカです。
為替変動はドルに対して乱高下する事で打撃を受けるので、アメリカだけがドルに対して変動しません。
日経平均株価を見れば、円高で下がり円安で上昇するのがはっきり分かる。
投資家がいくら正しい判断をしても、円高になればまったく無意味で、株価は一律に下落していきます。
東北地震の後でドル円レートが70円台まで円高になりましたが、天変地異や世界経済危機の度に円高になるのも特徴的です。
アメリカでは9.11など悪いニュースがあればドル安になり、むしろ輸出では有利になるが、日本は円高になります。
日本の複雑怪奇な為替と株の市場では、バフェットの理論は残念ながら通用しません。
バフェットは良く講演で次のような言葉を話します。「株は一度も下がった事が在りません。保有し続ければ必ず儲かるのです。」
「ハンバーガーが安ければ買うでしょう。株も同じです。さあ買いましょう。」
彼が日本人なら決してそう言わないでしょう。
成功した投資家の大半がアメリカ人
バフェットは年率22%のペースで資産を1949倍の6兆円に増やした。
バフェットの投資法の根幹になっているバリュー投資法は、価値のある会社を見つけたら、買って買ってとにかく買いまくる。
早く言えばこういう事で、マクドナルドやコカコーラが有名です。
コカコーラには価値があり、しかも割安だと判断したら、買い続けて株価が上がって資産が増える。
日本では通用しそうに無く、しかも日本人がアメリカの株を買っても、為替変動の影響を受けるので、日本株を買うのと同じリスクを負う。
バフェットが来日したとき「日本には永続的価値のある会社が1社もなかった」と言いましたが、コカコーラ方式では日本では存続し得ないのです。
世界の著名投資家のほとんどがアメリカ在住や出身者で、アメリカ人がいかに投資環境で恵まれているか分かる。、
外国人がアメリカ人のように投資しても、基軸通貨ではないので、いつか為替でやられてしまう。
現代の世界三大投資家ソロス・バフェット・ロジャーズは3人ともアメリカで成功した人です。
「事業」ではなくいわゆる金転がしの意味の「投資」では、世界の著名投資家の9割までをアメリカ人が占めている。
大半はバフェットと同様に「買って買って買いまくった」結果資産を急増させた人たちです。
ジョージソロスは「ショート」つまり空売りで有名ですが、インタビューで「生涯通産で利益を上げたのはロングだけ」と言っています。
投資の魔王のようなソロスですら、アメリカ以外では通用しなかった可能性があるのです。
株を買って保有し、利益が出たらまた買い増すという方法は、アメリカ人にしか実行できません。
他の国の人が同じ方法を取っても、いつか為替変動や外部要因の暴落でやられてしまうでしょう。
http://thutmose.blog.jp/archives/35127740.html
▲△▽▼
現金に固執する貧乏人よ、富裕層が大量に抱える株式とその絶望的な格差に気づけ=鈴木傾城 2018年12月9日
https://www.mag2.com/p/money/596640
私たちがこの資本主義で有利に生きようと思ったら、「優良企業の株式を大量保有すればいい」という至極単純な結論に行き着くはずだ。フォーブスの超富裕層のリストを眺めれば、小学生ですらも気づく事実である。
だが、貧困層であればあるほど、現金にこだわる。現金の呪縛から逃れられるかどうか。現金に対する執着から株式保有の優位性に頭を転換できるかどうか。それが大きな分かれ道になる。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
株で儲けてもすぐ現金に戻りたがる…その「呪縛」は解けるのか?
資本主義に君臨するのは「巨大多国籍企業」
弱肉強食の資本主義に君臨しているのは、巨大多国籍企業である。政府ではない。だから、現代社会は多国籍企業の都合の良いようにできている。そして、現代社会においての超富裕層(スーパーリッチ)は、すべて多国籍企業の創業者か、その大株主である。
この創業者と大株主は「株式を大量に保有している」という点では同じだ。シンプルに世の中を見回せば、超優良企業な株式を大量保有するということが現代の資本主義の最大の成功になることが分かる。
現代の資本主義のパワーは、ゴールドにあるわけでもなければ土地にあるわけでもなければ先祖代々の身分にあるわけでもない。ただ単に「優良企業の株式の保有」に集約されている。
そうであれば、私たちがこの資本主義で有利に生きようと思ったら、「優良企業の株式を大量保有すればいい」という至極単純な結論に行き着くはずだ。フォーブスの超富裕層のリストを眺めれば、小学生ですらも気づく事実である。
ところで……。
富裕層と言えば「現金を大量に持っている人」というイメージがあるが、そうではない。現金はインフレで目減りする。さらに現金を長期保有したところで、配当もつかない。
だから現金を持っていても駄目なのだ。株式を保有しておかなければならないのだ。
ゴールドでも不動産でもなく「株式」
ゴールドでは駄目なのか。ゴールドでも駄目だ。ゴールドを大量保有してフォーブスの富裕層リストに載っている人はいない。
なぜゴールドが駄目なのかというと、ゴールドは長期保有していても「成長しない」うえに、現金と同じく「配当もつかない」からである。
株式の実質投資利回りは長期で見た平均は7%であると、ジェレミー・シーゲル氏、バートン・マルキール氏、チャールズ・エリス氏、ジョン・ボーグル氏等の数十年に渡る調査で分かっている。この7%の利回りの積み重ねが長期保有で大きな差となっていく。
株式と並んで唯一、注目に値する資産は不動産だ。しかし、それでも不動産保有者が継続的に富裕層リストに上がってこないのは、不動産が生み出す利回りよりも優良企業の株式が生み出す利回りが大きいからに他ならない。
株式の大量保有は現代の資本主義でうまく生き残るためには、非常に重要な法則であると断言できる。
だから現代の資本主義では「株式を保有しているかしていないか」で、長期で見ると凄まじい差となって現れるのだ。
限度の中で、いかに最大限に株式を増やせるのか?
超富裕層たちは、私たちの想像を絶するほどの株式を保有しているのだが、彼らがそれだけの株式を保有しているのは、一般的には自分で創業した企業が優良企業多国籍企業になったからである。
だから優良な多国籍企業をゼロから作り上げる才覚がある人間が、超富裕層になれるということになる。もし事業家としての才覚がないか、事業の運営に関心がないのであれば「終わり」なのか。
そんなことはない。なぜなら、普通株式は「株式市場でいつでも買える」からである。株式市場で大量に買えばいい。
もちろん、株式は無料で大量に買えるわけではないので自ずと限度がある。しかし、その限度の中で、いかに最大限に株式を増やせるのかが重要なのだ。
そうすれば、実質投資利回り7%の資本主義の魔術が自分の資産の中で働くようになっていく。
現金に固執する貧困層、現金から離れる富裕層
貧困層であればあるほど、現金にこだわる。
現金があれば、売っているものは何でも買える。誰でも現金のパワーは子どもの頃から知っているので、そのパワーから離れられない。株式を保有しても最後に現金に戻すことを考える。人々はそれほど現金至上主義である。
しかし、富裕層は逆だ。富裕層であればあるほど現金から離れる。
現金は何も生み出さないし、インフレで目減りするし、その上あれば無意識に使ってしまう性質があることを知っているからだ。現金は「資産を減らす」のである。だから、現金から離れて不動産や株式に向かって現金の保有率を極限まで下げる。
現金の呪縛から逃れられるかどうか。現金に対する執着から株式保有の優位性に頭を転換できるかどうか。それが大きな分かれ道になる。
親の遺産が転がり込んだとか、宝くじに当たったとか、保険金が入ったとか、まれに大きな金が転がり込んでくる人もいる。しかし、現金至上主義のまま多額の現金を手に入れると、往々にして使い果たすのは、やはり現金の呪縛にかかっていて「使わずにおられない」からでもある。
資本主義の中で「資産を増やす」という行為に向かうのは、まずは自分が現金の呪縛にかかっていないかどうか、心の中をのぞき込む必要がある。
分かっていても離れられない。だからこそ「呪縛」
「株式なんか信用できない。現金だけが信用できる」という無意識の呪縛から逃れられないのであれば、いかに優秀で勤勉で知識があったとしても株式の長期保有をすることができない。
「現金に戻したい」という欲求が心の底から湧いてきて、保有する株式が上がっても下がっても良いニュースが出ても悪いニュースがでても、常に売ってしまうことになるからだ。
「優良企業の株式の保有数を増やす」ことが資本主義で生き残るための重要な要素にも関わらず、その本質が決して理解できないのである。頭で分かっていても、現金の呪縛がかかっていて、どうしても「現金に戻してしまう」のだ。
それほど、現金への呪縛が強い。客観的に資本主義を見ると「富=株式」になっているにも関わらず、「富=現金」という意識があまりにも強すぎて「富=株式」という現実が感覚として捉えきれない。
分かっていても離れられない。だからこそ「呪縛」なのである。
「現金こそすべてだ」という呪縛は解けるか?
優良企業の株式の保有を増やすためには、単に手持ちの現金を優良企業に置き換えていけばいいだけの話なのだが、その単純なことができないのは「現金しか信用できない」という呪縛にかかっているからだ。
株式を保有しても心の中で現金を渇望しているので、どうしても「現金に戻したい」という気持ちが心の底から湧いてきて、それに引きずられる。
実際のところ、この現金至上主義に対する呪縛を解かないと、いくら理論的に「優良企業の株式の長期保有が現代社会の要諦(ようてい)だ」と気づいてもどうしようもない。
この呪縛は、実際に長期保有した株式が「自動的に膨れ上がる」「配当が大量に入ってくる」という経験をしているうちに自然に解けてくるのだが、問題はそこまで至ることができる人は意外に少ないことだ。
呪縛を解くきっかけ「株式はすごい!」を体感できるかどうか
「株式はすごい。確かに資本主義のマジックだ」と体感するためには「すごい」と思える経験が必要なのだが、ほとんどの人は大量の株式を保有することもなく、10年20年という長期に渡って保有することもないので、体験できないまま途中で株式を売り飛ばして現金に戻っていく。
長期運用は複利のマジックも効くのだが、この複利もまた長期運用の中でしか働かないので、現金への呪縛がかかっている人はこれまた体感できないままである。
「優良企業の株式を大量に保有するだけで資産は増え続ける」というマジックは言葉に表したらシンプルこの上ないのだが、それができないのは長期に渡って保有し続ける意志が必要なのと、現金に対する呪縛が強すぎて株式よりも現金の方に惹かれてしまうからでもある。
低所得層になればなるほど、貧困層になればなるほど、資本主義とは「現金がすべて」だと勘違いして、そうでないと言われても理解できない。自分が現金至上主義で呪縛された状態であるということに気づかない。
「現金こそすべてだ」という呪縛があることが理解できているか。そしてその呪縛は解けるのか?あなたは、どうだろうか。
▲△▽▼
2019年4月15日
株式の長期投資は預金より儲かりやすい
塚崎公義(久留米大学商学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15927
今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、株式の長期投資の期待値について解説します。
投資家がリスクを嫌うから期待値がプラスに
前回の拙稿『株式投資はカジノより儲かりやすい』で、短期投資の期待値がプラスであるこよを示しました。「明日の株価の予想は5割の確率で1100円か900円になるだろう」と投資家たちが予想している銘柄があるとすると、その株価は1000円より安いはずである、それは投資家たちがリスクを嫌うからである、というのが論拠でした。
まったく同じ論拠で、「明日の株価の予想」を「10年後の株価の予想」に変更すれば、長期投資の期待値もプラスであることがわかります。今は預金金利がほとんどゼロですから、期待値がプラスなら預金より有利だ、と言えるでしょう。
そして実は、預金金利がゼロでなくても預金より有利なのです。それは、「株式投資の期待値が預金金利より低かったら、投資家たちはリスクを避けて預金をするから」なのです。
本稿は以上おわり、でも良いのですが、別の説明も考えてみましょう。
長期投資は会社の付加価値の分け前にあずかるもの
株式投資には、短期投資と長期投資があります。短期投資は、会社の価値には変化がないのに株価が変化する事を利用して利益を得ようとするものです。一方の長期投資は、会社が生み出す付加価値の分け前にあずかろうとするものです。
会社は株主と銀行から資金を集め、労働者を雇い、材料を仕入れて製品(財またはサービス)を作って販売します。売値から材料費等を差し引いた部分が「付加価値」で、その中から労働者に賃金を、銀行に金利を、株主に配当を支払います。残りは内部留保となりますが、これも最終的には株主のものとなります。
株主が大勢いる場合でも一人のオーナー社長がいる場合でも、基本は同じです。つまり、株式投資をするということは、オーナー社長と同じ立場に立つということなのです。
では、オーナー社長は確率5割で100円儲かるか100円損するか、という案件に投資するでしょうか。しませんね。期待値が預金金利と同じでリスクがあるならば、預金をする(または借金を返す)方を選ぶでしょう。彼らもリスクは嫌いですから。まして、大きな投資に失敗して会社が倒産してしまうようなリスクは避けるでしょう。
余談ですが、実は株主有限責任という法律があるため、資本金1円の会社が「100円儲かるか100円損するか」という投資をすることは合理的とも言えます。オーナー社長は資本金を失うだけで、あとは銀行が損を被ることになるからです。
もっとも、日本の大企業は倒産して従業員が失業することを極端に嫌いますから、オーナー社長の利益だけで意思決定がされるわけではありません。そもそも取引銀行がそのような投資は認めないでしょうし。
このように、オーナー社長はリスクを嫌うので、期待値がプラスの案件しか投資をしません。そうであれば、企業収益の期待値はプラスでしょう。そして、上記のように零細投資家であってもオーナー社長と同じ立場ですから、零細投資家の持っている株についても利益の期待値はプラスでしょう。
したがって、株式に長期投資をすれば、期待値としては預金金利よりも高い配当利回りが得られるはずです。配当しない企業もありますが、その場合には利益が内部留保されるので、長期的にはPBRが一定だとすれば、株価が上昇していく、ということになるはずです。
数年前、経済学者トマ・ピケティの著書『21世紀の資本』がベストセラーとなり、その中のr>gという式が話題となりました。株式投資等の利益率が経済成長率より大きいので、格差は拡大する、ということですね。
これに意外感を持った人が多かったようですが、資本家や投資家は期待値がプラスの案件にしか投資しないのですから、むしろこれは当然だと言えるでしょう。
ちなみに「経済成長率は金利と等しいはずだ」という考え方があり、それに従えば、ピケティの理論は「株への投資は期待値としては金利より高い」ということになりますから、本稿の内容と似ているわけですね。
経済は成長するから株価も上がるはず
経済は、基本的に成長します。バブル崩壊後の長期低迷期、日本経済はゼロ成長時代が続きましたが、その間も世界経済は成長を続けていました。つまり、世界中の株を全部持っていれば、企業の利益が増え、株価が上がっていくはずなのです。
実際には、世界中の株を全て持つことはできませんが、その一部を持つことは期待値としてはプラスだ、と言えるでしょう。特に、世界中の株に分散投資する投資信託などを長期保有すれば、期待値としてのリターンはプラスになるはずでしょう。
損得以外にも株の長期投資はオススメ(余談)
以上、株式の長期投資の期待値が預金より高いことを説明して来ましたが、筆者は期待値以外にも株式の長期投資をする理由があると考えています。それは、リスク分散です。
預金は安全資産で株はリスク資産だ、と思っている人が多いようですが、インフレを考えると預金は目減りするのでリスク資産です。一方で株は、インフレに強い資産です。「インフレになると企業の売り上げもコストも利益も増えるので、株価も上がる」というのが、その理屈です。
したがって、預金も株もリスク資産なのだから、バランスよく分散投資すべきなのです。もちろん、株の銘柄分散をしっかり行うこと、一度に買わずに少しずつ買う「時間分散」も忘れないこと、は当然ですが。
具体的には、たとえば「世界中の株に投資する投資信託を毎月一定額ずつ買っていく」といった投資をしておけば、インフレが来ても大丈夫ですし、インフレが来なくても期待値としては預金より良いのですから、ぜひ検討してみましょう。もちろん、投資は自己責任でお願いしますが。
▲△▽▼
株式投資はカジノより儲かりやすい 2019年4月8日
塚崎公義(久留米大学商学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15853
今回は
の著者である塚崎が、株式投資の期待値はカジノより高い、と説きます。
株の短期売買はカジノと似ている
株の投資は、短期投資と長期投資で全く異なります。短期投資は企業の価値が変化しないのに価格が変化することに着目して値上がりするか値下がりするかを賭けるものです。
長期投資はこれに対し、企業が生み出す付加価値の分け前にあずかろうとするものです。長期投資については別の機会に論じることとして、本稿は短期投資について論じましょう。
企業の価値が変わらないのに価格が変わるのは、なぜでしょうか。一つにはニュースが流れるからですね。大発明をした凄い企業なのに、投資家たちがそれを知らなかったとすれば、記者発表と同時に株価は上がるでしょう。あるいは、戦争勃発のニュースと同時に武器製造メーカーの株価は上がるでしょう。
しかし、世界中のプロたちが情報を得ようと頑張っている時に、個人投資家がプロより優れた情報を掴める筈はありませんし、戦争勃発をプロより正しく予想するのも無理でしょう。
今ひとつは、市場のムードが変化する場合ですね。バブルの時には皆が上がりそうだと思って強気になりますし、バブルが崩壊すると皆が下がりそうだと思って弱気になります。そこまで行かなくても、著名評論家が株価の強気予想を発表したりすると、投資家たちのムードが大きく変わる場合が少なくありません。
株価は美人投票の世界ですから、「何が正しいか」ではなく「人々が何を考えているのか」で動きます。従って、株価の短期的な動きを予想するのは、「あしたは人々は何を考えるだろう」と予想する事になります。それは不可能ですよね。
したがって、株を今日買って明日売って値上がり益を得ようという行為は、カジノのルーレットで赤に賭けて儲けよう、という行為と同じようなものなのです。
カジノのルーレットもディーラーの癖を読める人がいるようですし、株式投資もデイトレーダーで儲けている人もいるようですから、全く不可能ではないのでしょうが、本稿はそうした例外を考えずに一般的な話をしたいと思います。
もっとも、例外はあり得ます。「地元のレストランチェーンが最近混んでいる事をプロたちは知らないが自分は知っているので、決算前に買っておけば儲かるはずだ」といった場合ですね。その場合には、間違いなくカジノより期待値が高いでしょうが、本稿ではそうした場合は考えないことにしましょう。
カジノの期待値はマイナスである
カジノの期待値は、マイナスです。それは当然ですね。客が賭けた金額と客が受け取る金額の差額がカジノのコストと利益になっているわけですから。カジノ以外のギャンブルも、同じことです。
たとえばルーレットであれば、赤が出ると賭けた金額が2倍になりますが、赤が出る確率は5割より若干低くなっています。0と00が出ると、赤に賭けた人も黒に賭けた人も没収されてしまうからです。38個の数字のうち2個が出ると赤も黒も没収されてしまうわけですから、客の期待値としては5%程度の赤字ということになります。
一晩で何回もルーレットに賭けて、そのたびに5%ずつ期待値が赤字なのであれば、相当運が良くないと勝てないという事ですね。
もちろん、筆者は「カジノへ行くな」などと言うつもりは毛頭ありません。カジノのゴージャスな雰囲気は素敵ですし、「当たれ」と念じるのは楽しいですし、「大儲けしたら何をしようか」と考えるだけでワクワクできますから。
一方、株式投資には「胴元」がいません。株式発行にかかる費用は上場企業が負担するからです。売買する際に証券会社の手数料が必要ですが、手数料の安い証券会社を使えば良いわけですし、ルーレットのように1日で何回も取引をするわけでは無いでしょうから。
株式投資の期待値はプラスである
株式投資の期待値は、じつは(証券会社の手数料を除くと)プラスなのです。その理由は、投資家たちがリスクを嫌うからです。
「明日の株価は5割の確率で1100円か900円になるだろう」と投資家たちが予想している銘柄があるとします。その銘柄の今日の値段は、1000円より安いのです。投資家たちはリスクを嫌うので、期待値がゼロの投資案件には投資しないからです。
今日の株価が999円なのか980円なのかは、投資家たちがリスクを嫌う度合いによりますが、いずれにしても1000円よりは安いので、株を購入すれば期待値として明日までに利益が得られる可能性が高いのです。
そこが、カジノとの決定的な違いです。カジノはリスクを好む客ばかり集まるので、期待値がマイナスでも商売になるのですが、株式市場はリスクを嫌う客が多いので、リスクを好む客にとっては稼ぎやすい場所なのです。
初心者が儲かるとは限らない
上記は、あくまでも期待値の話ですから、初心者でも株式投資をすれば簡単に儲けることができる、というわけではありません。プロに比べると得られる情報が限定的ですから、「大事件が起きた翌日に知った時には暴落した後だったので、売り時を逃した」といったこともあるでしょう。
それ以上に問題なのは、株価が上がると「今が最後の買いのチャンスだ」と思って高値掴みをしてしまうケースや、株価が暴落すると「この世の終わりが来る」と感じて狼狽売りをしてしまうケースなどが多い、ということです。
反対に、損切りが下手なので、損を抱えてしまった銘柄を「塩漬け」にしてしまい、そのまま損失が拡大してしまったり、他の儲かりそうな銘柄を買うチャンスを逃したりするケースも多いでしょう。
したがって、投資初心者は自分で判断せずにサイコロを振って投資を決めた方が勝率が高いのかも知れません(笑)。
加えて、証券会社の手数料も安い所を選ぶか取引頻度を抑制するか、といった工夫が必要となります。
そうしたことを考えると、投資初心者にとっては、期待値がプラスであっても儲けることは容易ではないのかもしれませんね。
くれぐれも投資は自己責任でお願いします。
▲△▽▼
2019年01月13日
著名投資家が株式投資を勧める理由 株以外は儲からない
過去200年で伸び率が高かったのが株式で、ドル預金はマイナスだった
画像引用:https://www.avocado-fes-thought.com/myimg/investment_longterm/img1.png
過去200年で最良の投資とは
資産が兆単位の成功した著名投資家のインタビューでは、必ず株式投資を行っていると思います。
アマゾンなど事業を起こした成功者もいるが、彼らも資産の大半は所有株式の値上がりで築いた。
株以外の為替や先物やオプション、土地投資でそれほどの資産を築いた人は居ない。
投資の世界でとても有名なグラフがあり、1802年から2013年までの株・債券・金・預金・ドルの値上がり率を示しています。
グラフではすべての投資対象の価値は1800年時点で1ドル前後だが、株は213年後に93万ドルに値上がりしている。
2018年までに米株式市場はさらに高騰したので、現在は100万ドルを優に超えているでしょう。
もっとも値上がり率が低かったのは預金で、200年銀行に預けっぱなしだとインフレで価値が20分の1に減少しました。
2番目にダメだったのは金で、意外にも200年以上かけて3倍に値上がりしただけでした。
定期的に金投資ブームが起きていますが、投資結果はいつも惨憺たる結果に終わっている筈です。
株式に次いで良かったのは長期債券だが株が93万ドルに対して僅か1000ドルにすぎず、やはり負け組に入った。
短期債権は300ドルほどと長期債券の3分の1の値上がり率しかなく、買うなら長期債券に限ります。
このように投資の中では株式投資が圧勝であり他の投資は損なのだが、これは自分が米国民でドル資産を持っている場合です。
日本人は株を持っているだけではダメ
日本人は円で給料をもらい円資産を持っているので、投資も円ですることになるが世界の市場はドルで動いています。
円は為替レートの変動に左右され、困ったことに円は時間が経つとドルに対して値上がりします。
1950年に1ドル360円だったのが現在は110円以下なので、円の価値は60年で3倍以上値上がりしました。
結構なことですが問題があり、円高になると国内のすべての市場価値が下落してしまいます。
日本株、日本の土地、日本企業の業績などあらゆる相場が円高で下落し、円安だと上昇します。
超円高が発生した90年代と2000年代は失われた20年になり、経済はゼロ成長で日本はGDP2位から3位に転落した。
円高では日本から見て国内市場も外国市場も全て値下がりするので投資しても無駄、こんな国に住んでいる人はアメリカ人と違う投資戦略をとる必要があります。
アメリカ人は「株を買いさえすれば100%値上がりする」ので、Wバフェットはこの手法で5兆円も儲けました。
日本人は持っているだけではだめで、円高進行時のダメージを防がなくてはならない。
1ドル120円が80円になったら外国株を持っていても国内株を持っていても、40%は資産が目減りします。
そこで円安の頂点を過ぎて円高に転換し始めたら、いったん保有株式を整理する必要があります。
デフレ不況時や円高局面ではさきほど切り捨てた国債の減少率が最も少なく、僅かですが利益も望めます。
そのまま株式を保有すればいつか値上がりするので保有し続ける方法もありますが、それは20年後かも知れません。
1991年のバブル崩壊ではほとんどの日本人は「すぐ景気は回復して元通りになる」と考えたが、25年以上経っても株価は回復していません。
http://www.thutmosev.com/archives/78707239.html
▲△▽▼
2019年03月19日
株価は長期で上がるか? 配当金を含めて計算
配当金を含めた株価は2012年と比べて3倍になっている
画像引用:指数情報 − 日経平均プロフィルhttps://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?cid=7&idx=nk225tr
株価は一貫して上がるとは限らない
投資の大きな命題として、短期投資がいいか長期投資が良いかという比較があります。
短期投資は株価が変動を繰り返すのを前提にしていて、長期投資は株価は必ず上がるのを前提にしています。
言い換えると株価は長期的に必ず上がるのか、それとも必ずあがる訳ではないのかの論争です。
長期投資派の最大の根拠は米株価で、過去100年に渡って上昇を続けてきました。
100年続いたのだから今後も上昇するだろうというもので、Wバフェットなどもそう言っています。
一方で短期派が引き合いに出すのは日本株で、1990年にピークを付けた後2012年まで下落を続け、2013年から現在までは上昇しています。
1989年の日経平均最高値は約3万8900円だったのに対し、2013年以降の最高値は2018年10月2日の2万4270円でした。
アメリカ以外の株式市場では上海総合は2007年に5500だったが、2014年に2000まで下がり、現在も3000前後となっています。
株価は一貫して上昇し続けるという法則が当てはまるのはアメリカだけで、他の国はこの通りになっていません。
成長著しい中国でも当てはまらないのは、株価上昇が法則というほどではないのを示しています。
配当金は毎年蓄積されていく
だがそれでも投資手法として短期売買より保有したままの方が良いという根拠があります。
株式には配当というものがあり、例え株価が10%下落しても、10%に相当する配当を受け取れたら株主は損失を受けません。
その後株価が回復したら受け取った配当は丸儲けなので、株価が下がっても利益が出る場合があるのです。
先ほど書いたように日経平均1989年の約3万8900円から2009年には約7000円まで下落し、現在は2万1000円台です。
ところが株価に加えて配当金を加味すると様相が一変し「日経平均トータルリターン・インデックス」によると2018年10月に3万8400円に達しています。
1989年を100として計算しても、日経株価2万4000円でほぼ1989年の最高値約3万8900円を回復しています。
株価が上がらなくても配当は増え続けるので、やがて日経平均2万円以下でも、1989年に買った投資家は利益が出るようになります。
まあ買った株に利益が出るのにかかった30年という期間は長すぎますが、配当込みでは「いつか利益が出る」のは本当です。
自分が1989年の最高値で買った投資家にならないためには、投資を分散して株以外の債券や現金などに分けておく必要があります。
土地運用は一見良さそうなのだが、株価が下落すると土地も下落するので、分散する意味がなくなる事があります。
株や土地が下落する時に価値が上がるのは、それまで地味だった国債や預金で、デフレになるほど価値が上がる特性があります。
株を買うにしても一度に全額投資せず、コスト平均法を活用して期間を分散する必要があります。
http://www.thutmosev.com/archives/79341682.html
▲△▽▼
年収400万円層が知らない本当のルール。富裕層になるたった1つの方法とは=鈴木傾城
http://www.mag2.com/p/money/169957
あなたは、現在の資本主義のこの仕組みをあなたは理解しているだろうか。していないのであれば、生きるのに苦しむことになる。本質をつかまないと、踏みにじられるだけだ
資本主義ゲームのこの仕組みを理解しないと踏みにじられるだけだ
年収400万円以下=普通の人が知らないこと
日本人の平均年収は、国税庁の民間給与実態統計調査を見ると約6割が400万円以下となっている。大企業の社員や一部の公務員をのぞくと年収300万円台は珍しくないし、驚くべきことではない。
年収300万円が6割というのであれば、それが最頻値であり、それが普通であると考えるべきなのだ。これは年収だから、人々は1年間かけて必死で働いてこの金額を稼ぐ。
ところで、あまり誰も言わないことがある。
アメリカの大統領戦でドナルド・トランプが選挙を制して次期大統領に決まってから、急激な円安とアメリカ株式市場の上昇が起きたことだ。
2016年11月4日あたりは1ドル104円だったが、12月4日にもなると114円ほどに上昇していた。さらにニューヨーク株式市場はその1ヶ月で約10%も上昇していた。
米国株を所有して売りも買いもしなかった日本人の多くは、自分が保有している銘柄が何であったのかで振れ幅はあったとしても、11月だけで15%以上の資産増加があったと見るのが一般的だ。
1ヶ月に15%の上昇というのはどういう意味か。
資本主義の不条理にまず絶望しなければならない
1ヶ月で15%の資産が増えたというのは、資産が1000万円の人はたった1ヶ月で資産が150万円増えたということである。では、資産2000万円の人はどうなのか。資産は300万円増えたということになる。
売りもせず、買いもせず、ただアメリカの優良企業の株式を保有しているだけで、資産2000万円の人は1ヶ月で自分の資産が300万円膨らんだのを目にしたということである。
1年間、必死で働いて稼いだ300万円と、1ヶ月ぶらぶらしていたら棚からぼた餅で増えた300万円は、同じ300万円でもずいぶん性質が違う。
1年間も必死で労働していた人にとって、それは許しがたいことである。恐らく、深い嫉妬や自分のやっていることへの絶望や虚無感を止めることができないだろう。
せめてもの慰めは、日本で株式を買っている人は人口の2割にも満たない「少数の人間」であることだ。つまり、1ヶ月に15%の資産増加という僥倖を得た人はほとんどいない。
その2割の中でも長期投資をしている人はさらに極小でり、その保有の対象がアメリカ株であるというのは、さらにほんの少数である。
それを考えると、何もしないで棚からぼた餅で資産を増加させた人は恐らくまわりにいないし、まわりにいないから嫌らしい自慢話を聞かされることもない。
しかし、弱肉強食の資本主義の中では、労働力はもはや搾取される対象でしかなく、資産を持つ者と持たない者の呆れるほどの運命の違いが、ますます先鋭化しているのは見逃せない事実でもある。
ほんの1ヶ月で、100万円も200万円も300万円も「何もしない」で資産を膨らませた人は、本人は何も言わないが確実に存在しているのである。
この資本主義の不条理にまず絶望しなければならない。資産家はそうやって何食わぬ顔で資産を膨らませるのである。
資本主義のルールに即したシンプルかつ強力な手法とは?
すでに資産家は、この資本主義社会の中で優良企業の株式こそが富の源泉であることを知っている。
ますます資本主義は「多国籍企業中心主義」と化しているので、もはや土地成金がフォーブスの金持ちリストの上位にくることも消えた。
世界でも有数の富裕層の「すべて」は、優良企業の株式の大量保有者でもある。
最も株式を大量に保有する条件を満たしやすいのは、自分で会社を興した事業家だ。そして、その株式を譲渡された妻や子供たち、その次に事業として投資を行っている投資家と続く。
事業家もその家族も投資家も、売って買って、売って買って…を繰り返して資産を膨らませたのではなく、成長し続けている企業の株式を「じっと持ち続けた」ことで大きな酬いを得ている。
「株式を売買」しているのではない。「株式を大量に保有」していることで富裕層になっている。それが、最も資本主義に即したシンプルにして強力な手法である。
現代の資本主義で錬金術を成し遂げるには、優良企業の株式を保有するのが有効であることはもはや疑問の余地がなく、あとはどれくらい優良企業の株式を大量に保有できるかが問われているということだ。
小金持ちと富裕層と超富裕層は、その資産の中身で何が違っているわけではない。本質的な部分を見ると、違っているのはただひとつ。優良企業の株式の「保有数」のみである。
単純明快に分かりやすく言うと、単に「数の問題」だ。
10株の株主も株主には違いないが、100株の株主に比べると規模に劣る。100株の株主も株主には違いないが、1000株の株主に比べると規模が劣る。もらえる配当も、影響力も、保有数が大きければ大きいほど強い。
資本主義は数がモノを言う。つまり株式市場で資産を膨らませるには、いかに売るかではなく、いかに買うかの方が重要であることに気付かなければならない。
この本質をつかまないと踏みにじられるだけだ
持たざる者が、優良企業の株式保有数を増加させるにはどうすればいいのか。それは「優良企業が最も安い時に大量に買う」ことで成し遂げる必要がある。
実は長期投資家のほぼすべては、「安い時に大量に買う」という方法を遵守している。
資産を持つ投資家は、金があるのだから株価が高い時でも株を買っているのかと言えば、まったくそうではない。株式を買うという行為の前では、すべての人が平等に「資金が足りない」という状況下にある。
優良企業の時価総額は、例えばファイザーでは約19兆円、コカコーラでは約18兆円、ペプシは約15兆円、エクソンは約37兆円、アップルに至っては約61兆円である。
世界最大の資産家であるビル・ゲイツの資産は約10兆円であることを考えると、ビル・ゲイツでさえ株を買うのに「資金が足りない」状況下にある。
だから、成功している投資家であればあるほど、株式が大暴落している局面で、大量かつ徹底的に株式を掻き集めて保有数を増やす努力をしている。
人生のすべてを使い、ありとあらゆる方法で「株数を増やす」のが、現在の株式至上主義と化した資本主義の中で生き残る最大の方策なのである。
「暴落時に株を買う」のも、「配当を再投資する」のも、「節制して余剰資金で株を買う」のも、すべて「株数を増やす」ためである。
ということは、「人気化してバブルになった株式を買う」のも、「下落局面で株を売る」のも、「安い時に買わない」のも「高値を追う」のも、すべて誤った方法であることが分かる。
私たちが資本主義の中でしなければならないのは、「株式の保有数を増やす」というゲームである。
それ以外のゲームは、資本主義の中で資産を極大化させるのにはあまり役に立たない。むしろ、余計なことをすればするほど基本から遠ざかっていく。
現在の資本主義のこの仕組みをあなたは理解しているだろうか。していないのであれば、生きるのに苦しむことになる。本質をつかまないと、踏みにじられるだけだ。
http://www.mag2.com/p/money/169957
2017-04-16
長期投資家には、北朝鮮がどうなろうと知ったことではない
2001年9月11日は何気ない一日になるはずだった。ところがこの日、二機の旅客機がアメリカのワールド・トレード・センターに突入して3000人以上が一瞬にして亡くなるという大惨事が引き起こされた。
現場はウォール街の近くであり、NY株式市場もこのテロで一週間も閉鎖された。
まだ、この時の株式市場の大混乱を覚えている人もいるかもしれない。二棟の高層ビルが影も形もなく崩れ落ちたように、今度はアメリカの株式市場が崩れ落ちる番だと世界中の投資家は青ざめていた。
そのためNY株式市場は相場が立った瞬間に一瀉千里に売りが殺到し、事件の10日後には15%以上も暴落となっていた。しかし、事件から2週間もすると人々はやっと冷静になり、株価は下げた分だけ戻した。
その後のアメリカは軍事にのめり込み、アフガニスタン侵攻やイラク侵攻と歩を進めていき「ブッシュの戦争」の時代に突入していく。
投資家にダメージを与えたのは2001年ではなく2002年の方だ。2001年の前半には1万ポイントを超えていたNY株式市場は2002年の後半には8000ポイントを割って7500ポイントにまで近づいていた。1年で25%以上も下落した。
今回の北朝鮮を巡る動向でどうすればいいのか?
では2001年の高値で優良企業の株式を買って長期保有した人は大損害を受けたのだろうか。まさか。それから6年後、NY株式市場は1万4000ポイントをつけるほどの「大暴騰」に転じていたからだ。
その間、アメリカはイラク戦争に突入してベトナム戦争を彷彿とさせる泥沼に陥って戦費を無駄に消耗し、「もうアメリカは終わりだ」と言われていた。
ところが株式市場と不動産市場はどんどん上昇していき、特に2006年からはブーストがかかったかのように高値を目指していったのだった。
この頃になると、もう2001年9月11日に起きた同時多発テロの大暴落のことを覚えている人など誰もいなかった。人々は根拠なき熱狂に酔いしれていたのである。
しかし、2008年に入ってからNY株式市場は変調を来すようになった。
サブプライムローンという爆弾が破裂し、9月15日にはリーマン・ブラザースが倒産して全世界を巻き込んだ金融崩壊である「リーマン・ショック」が投資家を襲いかかった。
2007年は1万4000ポイントに届いていた株価はリーマン・ショックの泥沼から抜け出せない2009年2月には7000ポイントさえも維持できなかった。
つまり、投資家は50%以上もの市場の大崩落に巻き込まれたということだ。もっと分かりやすく言うと、資産の半分が吹き飛んだということになる。
この時期の投資家は生きた心地がしなかっただろう。金融市場は死にかけており、アナリストはすべて絶望を語り、自分の資産が半分になって平静でいられる人はどこにもいない。
では、2007年の頂点で優良企業の株式を買って長期保有した人は大損害を受けたのだろうか。まさか。NY株式市場は2013年に1万4000ポイントを一気に追い抜き、2015年には1万8000ポイントに到達していた。
結論から言うと、同時多発テロでもアフガニスタン侵攻でもイラク戦争突入でもリーマン・ショックでも、長期投資家は優良企業の株式を売る必要はまったくなかった。何もしなくてもよかった。ただ保有しているだけでよかった。
そうであれば、アメリカの優良企業に投資している長期投資家は、今回の北朝鮮を巡る動向でどうすればいいのか、答えが見えてきたはずだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170416T1949100900.html
2017年03月30日
投資専門家の予測が当たらない理由 大資産家は損をしない
ロジャースが「ドルは消滅する」と言ったとたん、アメリカ経済は回復し始めた。
中国が超大国になるから中国人になるとも言っていた。
引用:http://kinyu-arekore.net/wp-content/uploads/2016/02/jimu2016.jpg
アナリストの予想は逆になる
2017年に入って為替と日経平均が小刻みに上下して、個人投資家や専門家を慌てさせている。
1年前に1ドル120円以上だったドル円相場は、3月現在で110円であり、先行き不透明になっています。
日経平均は2万円直前で頭打ちになり下落、NYダウは2万1000ドル達成を節目に下落しました。
専門家は1%上がれば「回復基調」「底打ち感がでている」と書き、逆に少し下がると「リスク回避懸念」などと書いた。
例に出して悪いが3月29日のロイターは「日経平均は続伸、米株高と円高一服が追い風」と米企業の好業績を並べていた。
だがこのつい2、3日前に1ドル110円を割り込みそうだった時には、悲観的な見通しを掲載していた。
経済メディアやエコノミスト、投資の専門家は少しでも上昇すると「上げ相場だ」と言い、少し下げると「下げ相場だ」と言っているだけです。
XXX銀行チーフエコノミストのような立派な肩書きを書いていても、やっている事はオウムと一緒で、早くAIで自動化したほうが良い。
オウムよりはしっかりした著名投資家や投資機関は中長期の見通しを発表するが、これがまた当たらない。
世界一の投資会社はゴールドマンサックスで、取引高は国家を遥かに上回る数千兆円とも言われていて、さぞ的確な予想をしているだろうと想像する。
だが2011年に東日本大震災が起きた後、GSの責任者は「日本売りで年末には1ドル195円を超え、国債大暴落が起きる」と言っていました。
現実には日本国債は大暴落どころか大人気でマイナス金利になり、年末に1ドルは80円でした。
予想の上手さと投資成績は無関係
GSの経済予想を時系列で並べても当たった例はほとんど無く、わざと逆の事を言って騙そうとしているのではという邪推すら起きてくる。
世界一の投資家のWバフェットも同様で、2008年の北京オリンピックの頃「中国の一人当たりGDPはアメリカ人と同じになり、中国のGDPはアメリカの5倍になる」という計算を披露しました。
この計算では中国の経済規模は日本の10倍になるが、現実には「水増し」を差し引くと未だにアメリカの半分、日本の1.5倍程度で頭打ちになっています。
バフェットと共に大投資家として名高いJソロスはトランプ大統領当選でドルが暴落すると予想したが、逆にドル高株高になって数千億円も損をしたとされています。
ソロスは2016年に中国人民元暴落も予想し、少しは下げたのだが暴落はしなかったので、これも儲からなかったでしょう。
冒険投資家Jロジャーズも2008年ごろは「子供を中国に移住させ、自分も中国人になるつもりだ」と述べるなど大変な入れ込みようだった。
「中国人はアメリカの4倍いるのだから4倍のガソリンを消費し、4倍の買い物をする」だから中国人になれば世界一の投資家になれると言っていました。
その後中国の失速が明らかになるとロジャースは中国の話をしなくなり、ベトナムとかミャンマーとか怪しげな国を「将来有望だ」と言っていました。
日本で経済や投資のニュース解説に必ず登場するのが元財務官僚のアナリストで、中でも「ミスター円」榊原英資は大人気です。
大恐慌でも投資家の財布は痛まない
だが榊原氏の相場予想となると、当たったことが一度も無いと言えるほど外れまくり、それでいて経済番組に必ず登場するので、テレビと財務省の癒着ではないかと疑っています。
このように経済専門家や投資専門家、アナリストから世界最大の投資機関まで、彼らの予想は99%まで外れる事になっていて、一般の人と同じレベルです。
それでもバフェットやソロスやGSは、我々一般人の年収を数分で稼いでいるので、相場の予想と投資で稼ぐのは無関係だと分かります。
彼らが運用する数兆円というような金額になると、「どこにいくら配分するか」という運用配分が重要になります。
どの国の株式に何%、どの国の国債にそれぞれ何%、あるいは成長分野の企業買収とか、細分化することで「絶対に損をしない」ようにします。
例えばリーマンショックの時ですら、世界全体では1年だけ0.05%マイナス成長だっただけで、分散していれば打撃を受けなかった筈です。
こうした事がお金持ちや大投資家の投資なので、予想が当たろうが外れようが、彼らの資産は守られているのです。
自分でリスクを負っているようで、実は株価が半分になっても、資産は保護される仕組みになっています。
一般の個人投資家はそうではなく、日経平均やNY株が1割も下がったら、資産の大半を失う人が続出します。
お金持ちや投資機関責任者の発言を真に受けると、個人投資家は酷い目に遭うでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/70226723.html
第一線を退いてからも資産が増大するビル・ゲイツ
ビル・ゲイツは現在も世界最大の資産を持つ富裕者としてその地位を守り続けていますが、ビル・ゲイツがマイクロソフトのCEOを降りたのは2000年でした。
そして、マイクロソフトから完全に離れて慈善団体に活動の重点を移したのが2008年です。つまり、ビルゲイツは2000年代にはすでに経営の第一線から身を引いており、事業活動はしていないことになっています。
ところが、それ以後も多少の順位の変動はあったものの、ほぼフォーブスの世界長者番付で世界一位を独走していると言っても過言ではありません。
経営の一線を退いてから、ビル・ゲイツの資産はさらに増大しているのです。ここに一体何が起きているのかを私たちはよく考える必要があります。
ビル・ゲイツはマイクロソフトから離れた2006年以後、マイクロソフトの株式をどんどん売却しているのですが、それで何をしていたのでしょうか。
抜け目ないビル・ゲイツは、激しい競争に晒されているマイクロソフトの株式を売却して、コカコーラやカーディーラーや銀行や鉄道やレストラン運営やホテル経営などの企業の株式に転換して保有するようになっています。
ビル・ゲイツの資産を運営しているのがカスケード・インベストメントという企業なのですが、この企業の運営者がマイケル・ラーソンという投資家です。
ビル・ゲイツは、第一線を退いて「投資」で資産を膨らませているということになります。
あまりにも激甚な競争に晒されているマイクロソフトの株式をタイミング良く安全な株式に変えて資産を守りつつ膨らませているというのが実態です。
株式の資産価値が増大しているから富裕層になった
ビル・ゲイツは資産を現金にしているわけではありません。リスクの高い株式からリスクの低い安定した株式に転換して、株式として保有しているわけです。
ビル・ゲイツの資産の中で大きなウエイトを占めているのがバークシャー・ハザウェイですが、このバークシャー・ハザウェイもまたアメリカの優良企業の株式を保有するコングロマリットです。
バークシャー・ハザウェイを保有するというのは、つまりクラフトハインツ、コカコーラ、ウェルズ・ファーゴ、IBM等を保有するのと同じと見て構いません。
何が起きているのかというと、ビル・ゲイツはアメリカの安全な優良企業の株式に資産を移し替えて、それを「じっくりと保有する」ことによって資産を膨らませているということになります。
ところで、バークシャー・ハザウェイのCEOはウォーレン・バフェットです。
今や、投資家でなくてもウォーレン・バフェットの名声を知らない人はいないはずですが、このウォーレン・バフェットもまたアメリカの優良企業の株式をじっくりと保有することによって資産を増大させた人物でもあります。
こうした人物を追って、フォーブスの資産家リストの上位に、「ザラ」のアマンシオ・オルテガ氏や「アマゾン」のジェフ・ベゾスが浮上しています。
これらはすべて自分が興した会社を世界有数の一流企業にした実業家です。
これらの実業家は「一流企業にした自分の企業の株式を大量に保有している」から富裕層になったわけで、株式をせっせと現金に変えているから富裕層になっているわけではありません。
株式の資産価値が増大しているから富裕層になったのです。
「優良企業の株式を大量に保有し続ける」の重要性
現在の富裕層とは何者なのかは、彼らをよく観察すれば分かるはずです。「優良企業の株式を大量に保有し続ける人間が勝ち組になっている」ということなのです。この文章は3つの重要な要素を含んでいます。
(1)優良企業の株式を保有する。
(2)大量に保有する。
(3)保有し続ける。
現在の富裕層とは、この3点を極限まで突き詰めた人たちです。彼ら「だけ」で上位を独占しているのです。
すでに、現在の資本主義というのは、富の源泉が多国籍企業に集約されているので、土地成金だとかゴールド保有者だとかダイヤモンド王が頂点に立つことはありません。
頂点に立つのは、「優良企業の株式を大量に保有する人間」でしかあり得ないのです。
これは逆に言えば、「優良企業の株式を保有しない」「保有しても少ししか保有していない」人は、かなり厳しいことになるということを示唆しています。
現金を積み上げても長期的に見ると意味がなく、金の延べ棒を買っても仕方がないのです。
現金もゴールドも価値が増大することもなければ配当を生み出すこともないので、それが長期で見ると巨大な差となって現れるわけです。
分かりやすく言えば、定期預金などしても、現代の資本主義の仕組みからすると、何の意味もないということです。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170414T1250340900.html
2016-12-18
予測せず、愛を囁き合っている間に資産は膨れ上がっていた
このメルマガを読んでいる人の大半はここ1ヶ月で資産を20%から50%近く増やしているはずだ。
なぜなら、アメリカの株式市場はトランプが次期大統領に決まってから一気に上昇し、さらに10円以上もの円安の恩恵も受けているからだ。
資産が1000万円の人であれば数百万レベルを一気に手に入れたことになるわけで、実際に「220万円のクリスマスプレゼントになりました」というメールも頂いている。
言うまでもないが、5000万円以上もの資産をアメリカの優良企業に投資している人は、1ヶ月で1000万円以上の単位で資産を増やしていることになる。
資産の規模の大小よりも、どんな人でもアメリカの優良企業の株式を保持し続けるという戦略だけで、ここ1ヶ月で20%から50%の資産増大を成し遂げているということが重要だ。
これが「買い持ち」戦略の威力である。
ただ、市場の状況は急変しやすいので、本当であればこうした変動に一喜一憂することなく、今後は急騰した分だけ急落することもあるという前提でサバイバルしておかなければならない。
世の中は予期せぬことは、いつでも起こり得る
ドナルド・トランプが大統領に決まる前、「トランプがもし次期大統領に決定したら株式は大暴落する」と預言していた人もいたし、「投資家はトランプを嫌ってドルを手放すので、円高ドル安になる」と言っていた人もいた。
「ドルは90円を目指す」と自信満々に断言していたエコノミストもいたし、「そもそもトランプが選ばれることは100%ない」と言っている人もいた。
全員、外れた。
これは「世の中は予期せぬことは、いつでも起こり得る」ことを意味しており、さらに「専門家の予測ですらもまったくアテにならない」ことを意味している。
もっと可哀想なのは、トランプが大統領選挙を制して「もう駄目だ」と株式をすべて処分した人だ。彼らが処分した瞬間に、アメリカの株式市場は激しくラリーし、円は大変動して、手に入ったはずの儲けをみすみす失った。
また、ドナルド・トランプが次期大統領に決まった後、「ドル安円高になる」と考えて、そちらの方向に為替取引で賭けた人もいるが、実際にはドル高円安に一気に大変動したので、逃げ遅れた人で阿鼻叫喚の地獄と化した。
しかし、私を含めて「安い時や適度な価格の時に買って、黙って持っていた人」は、たった1ヶ月で数十%もの利益を目の前で手にすることになったのだ。
優良企業の「買い持ち戦略」を取っていた人がやったのは、予測ではない。誰も予期しなかった動きの中で、ただ「市場にいた」だけなのである。
予測などしていない。予測はしなくてもいい。波に乗る必要はないし、情報に翻弄される必要もない。安い時に手に入れたものは、それは仮にもっと下がったとしても充分に安いのだから、あとはどこかのタイミングで騰がるだけである。
いつか騰がるのだから、別にいつ騰がるのかは予測する必要はなく、あとは好きなことをしてればいい。好きな人とたっぷり時間を過ごし、愛を囁き合っている間に資産は静かに膨れ上がっていく。
2016年は11月から12月にそうなって、私は何も予測しなかったが、資産は勝手に増えた。
では、これからどうするのか?
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20161218T1508040900
株式市場では、なぜいつも「大震災は買い場」になるのか?
大地震が起きて国内が混乱するような事態になると、だいたい株式市場は大きく値を下げる。
しかし、大地震が株式市場に凄まじい悪影響を与えるのは当日から1週間がピークであり、その後は復旧するにつれて当初の悪影響が少しずつ消えていき、1年経てば大地震の影響は株式市場には痕跡も残っていない。
そういった意味で大地震による大暴落は「分かりやすい買い場」となることが多い。これは1995年の阪神・淡路大震災でもそうだった。
1995年1月17日は火曜日だった。被害と死者が拡大していく中で、投資家は蒼白になっていった。21日と22日の土日になって悲惨な状況がテレビで連日のように報道されると、投資家の恐怖は絶頂に達した。そして、週明けの23日から株式市場は1054円もの大暴落を見た。
しかし4ヶ月後になると、市場はこの悲惨な大地震の記憶が薄らいだのか、徐々に値を戻して暴落前に戻ってしまった。
もちろん、神戸の大地震の爪痕は半年ではまったく回復していないのだが、恐怖が薄らぐと復興に意識が戻る。そうなれば震災の悪影響を織り込んだ株式市場はやがて値を戻すのである。
つまり阪神・淡路大震災の暴落は、長期投資家にとっては「買い場」だった。
「大震災は買い場」はアメリカにも当てはまった
「大震災は買い場」というのは、実はこの神戸の大地震の前年に起きていたロサンゼルス大地震でも同じだった。
1994年1月17日の地震の被害が壮絶なものであると分かるとニューヨーク株式市場は動揺し、やがて3月に入ると地震前には4000ポイント近くまであった株式市場は3600ポイント台にまで暴落した。
市場は一気呵成に10%もの暴落を見たということになる。しかし、やはり半年も経てば人々は落ち着きを取り戻し、1995年以降になってニューヨーク株式市場は二度と3600ポイントに戻らないほどの上昇気運に入っていった。
分かりやすく言うと、ロサンゼルス大地震で「アメリカはもう終わった」と言われていたときは「絶好の買い場」だったのである。
この時期、カリフォルニアに根を張って不動産ローンを手広くやっていた銀行「ウエルズ・ファーゴ」は売り叩かれて「倒産するのではないか」とさえ言われていた。
しかし、その時期に猛然とこの銀行を買い進めていたのが史上最強の投資家ウォーレン・バフェットであったのはよく知られている。
この時期に手に入れたウエルズ・ファーゴ株は、今やウォーレン・バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイの中核のポートフォリオとなっている。
このロサンゼルス大地震はアメリカ史上、もっとも経済損失の大きな地震だったのだが、それでも「大震災は買い場」という教科書通りの動きは揺るがなかった。
日本では2011年の東日本大震災が、史上最悪の大地震として記憶されている。
この地震では大津波が襲いかかって約2万人もの人々の生命を奪ったばかりでなく、福島第一原発が爆発してメルトダウンするという世界でも類を見ないほど悲惨な天災となって歴史に名が残った。
2011年3月11日の日経平均株価の終値は10254円だった。しかし、原発が爆発するような未曾有の災害が伝えられると3月15日になってパニック売りが発生して一時は8227円を付けるという大暴落になった。
震災前は1万円でそれが8000円台に落ちたのだから、たった数日で株式市場は20%もの大暴落に見舞われたことになる。
恐怖が勝っているので、売り止まらない心境に
この暴落分は2012年3月になって一時的に値を取り戻したのだが、この当時の民主党政権の大混乱で株式市場は再び低迷を余技なくされた。
本格的に株式市場が復活していくのは2012年12月の安倍政権の誕生を待たなければならなかった。
しかし、2年の忍耐で値が戻ったのだから、「大震災は買い場」は結果的に東日本大震災という未曾有の災害にも当てはまったと言える。
民主党政権の政治混乱が重ならなければ、回復はもっと早かっただろうが、パニック売りで起きた下落は、いずれは回復するというのは、だいたい当てはまる動きである。
株式市場が、いつもこのような動きをする理由は、だいたい想像できる。
パニック売りとは「恐怖が恐怖を生む」という現象であり、往々にして適正価格以上に売り込まれるからである。
災害によって、将来の企業収益に悪影響が起きると考える短期投資家は、その損のとばっちりに巻き込まれたくないと考えて、誰もが一刻も早く持ち株を処分しようと動き出す。
誰もが同じことを考えて売り急ぐので、相場は一気に下落する。そうすると、その下落を見た他の投資家が恐怖に駆られ、これ以上損をしたくないと考えてさらに売っていく。
そうやってドミノ倒しのように、次々と恐怖が伝染して売りが殺到するのがパニック売りなのだ。
問題なのは、恐怖に駆られているときは、もはやその企業の本来の価値以上に売り込まれても、投資家は「これ以上損をしたくない」という気持ちが勝っているので売り止まらないということだ。
割安な株式を見つけようとしている投資家たちはよくPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で割安性を計る。
一般的にはPERが10倍以下、PBRが1倍以下は割安であると言われている。優良銘柄がそうした価格に落ちることはめったにないのだが、パニック売りが発生しているときは、この規準以下の株価にまで落ちる株式が発生する。
要するにパニックが起きているという証拠である。
今後、株価がどうなるのか誰にも分からない
2016年4月18日月曜日、先週の熊本大地震の被害が拡大する中で日本の株式市場は下落した。
前日の終値は1万6848円だったが、これが終値1万6275円になったので572円もの下落だったことが分かる。率にするとマイナス3.40%程度なので、これは暴落というほどでもない。ただの下落だ。
しかし、アベノミクスを支えていた円安局面のピークでは日経平均株価は2万円を超えていたわけで、そこから1万6000円台に落ちているのだから、それこそ20%の下落を見ているということになる。
熊本大地震はその苦境をさらに後押ししたと考えられる。
今後、株式市場がさらに下落するのか、それともこれを底として持ち返すのかは、いろいろな予測があるはずだが、基本的にどうなるのかは「誰も分からない」というのが実情だ。
私自身もこれから市場がどうなるのか、まったく分からないし、予測するつもりもまったくない。実は、市場が上がろうが下がろうが、あまり関心も持っていない。
しかし、売りが殺到しているときは、会社の価値よりもさらに安く売られている株式が存在するのは強い関心がある。
「利益を出している企業が会社の価値以下に売られていたら買え。それを拾ってしばらくすれば、株価が回復する確率がかなり高い」
このような当たり前のことを実行するには、売りが殺到している時期こそが良い時期だ。それこそ、PERが10倍以下、PBRが1倍以下という絵に描いたような「割安株」が生まれる時期である。
今、そんな株があるのか。もちろんある。
今日、私は時価総額1兆円以上の、ある企業の株式を買ったが、この株式はそれこそ「PERが10倍以下、PBRが1倍以下」を地で行くような安値まで叩き売られていた。
適正価格を超えて叩き売られているのであれば、黙って買って置いておき、パニックが去って市場が「安すぎる」と気付いて再び買い上げるまで保有しておけば悪い結果にならない。
安く叩き売られている優良企業を拾っておけば、相場がいつ戻るのかなどあまり関係がない。相場がいつか戻ったら、どのみち安い株価は修正されるからである。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160418T1549550900
いったん悪材料が出ると、ドミノ倒しのように他に波及していく。
さらに、パニックがどんどん連鎖して、問題ないと思っていた部分にまで悪影響が及ぶようになる。
投資を巡る世界では、悪材料には過剰なまで強く反応するパターンが多い。
今回の中国の2015年6月12日から始まったバブル崩壊でも、いったん崩れ始めると売りが売りを呼び、パニックが発生し、落ちるときは一気呵成の暴落となっていた。
パニックのエネルギーは強大だ。
あの中国政府が数十兆円ものカネを投じ、先進国ではあり得ない情報規制や売り規制をして暴落を食い止めようとしても、歯が立たないほどの暴落である。
そのため、悪化していく相場を前にして多くの投資家が恐怖に駆られて自滅していく。真っ先に自滅していくのは、信用で相場を張っていた「投機家」たちである。
信用取引で相場を張っていると、思惑と反対方向に相場が動いたとき、通常の3倍かそれ以上の破壊力で資産を吹き飛ばす。今回のような暴落が起きると、真っ先に死ぬのがこうした投機家たちである。
また、レバレッジをかけて為替相場を張っている人たちも、通貨が暴騰・暴落する局面では一瞬で資金が吹き飛ぶので、相場が荒れている局面では、「全滅」に近い状況になる。
今回の円安から円高の局面でも、為替取引をしていた人たちの阿鼻叫喚は凄まじいものがあった。中には暴落と暴騰で二重の判断ミスをして往復ビンタで資金を吹き飛ばした人もいた。
ハゲタカとハイエナしかいない、地獄のような光景
では、現物取引をしている人は問題はないのか。現物取引の人は、暴落したからと言って精算を迫られるわけではないので、本来は問題ないはずだ。
しかし、暴落相場になると、現物取引をしている人ですらも犠牲となる。
なぜなら、自分の資産が日に日に吹き飛んで行く恐怖に耐えられる投資家というのは多くないので、相場が落ちれば落ちるほど、パニックに陥って「意味もなく」売り飛ばすからである。
優良企業の多国籍企業は、資本主義社会の中で最も強い存在であり、ある意味では政府よりもサバイバル能力に秀でている。政府が崩壊しても、きちんと経営されている多国籍企業は修羅場をくぐり抜けて生き残ることが多い。
そのため、多国籍企業に長期投資した人間は、全世界が荒れても保有している株式を売り飛ばすという選択肢は考える必要がない。
むしろ、強大な多国籍企業がパニック相場で売り飛ばされていれば、逆に買い進むのが本筋である。パニックに陥って売っている人間と一緒になって売っていたら意味がない。
毎日毎日悪材料が続き、相場が転がり落ち、予測が意味をなくし、全世界が総弱気派と化し、企業業績もボロボロになって予測もできなくなる局面というのは、10年に1度は予期せぬタイミングでやってくる。
しかし、全世界が危機に陥り、将来が見えなくなり、誰もが相場を見捨てるようになると、動き出す投資家がいる。ハゲタカともハイエナとも言われる投資家である。
たとえば、ジョージ・ソロスやカルロス・スリムのような投資家だ。彼らは転がり落ちた優良企業を好む。
(世界有数の金持ちカルロス・スリムが、1982年にやったこと )
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20120121T2128000900
資本主義のハゲタカやハイエナは、株式市場が暴落して阿鼻叫喚の地獄が出現すると遠くから姿を現し、転がり落ちた優良企業の株式のまわりに集まり出す。
転がり落ちて「腐った」株式は誰も拾わない。もっと腐るかもしれない。つまり、もっと下落するかもしれない。さらに、いつ上昇するのかも分からない。それは10年以上も先かもしれない。
多くの投資家は長期投資ができないので、持ち続けることができず、それを吐き出してしまう。飲み込めるのは、ハゲタカやハイエナだけなのである。
資本主義のハゲタカやハイエナは、そういった局面で、転がり落ちた株式をガツガツと食う。相場がさらに悪化していくと、ハゲタカとハイエナしかいない、地獄のようなおぞましい光景が出現するかもしれない。
地獄の門を開いたのは、中国だ。
全世界が危機に陥り、将来が見えなくなり、誰もが相場を見捨てるようになると、動き出す投資家がいる。ハゲタカともハイエナとも言われる投資家である。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150826T1722300900
世界有数の金持ちカルロス・スリムが、1982年にやったこと
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20120121T2128000900
現在、世界最大の資産家はメキシコのカルロス・スリム・ヘルという人物だ。メキシコ生まれの実業家だが、実際には実業家というよりも投資家としての側面が強い。
10代の頃から投資をはじめて20代の頃には億万長者になっていたという人だが、その大金はメキシコの株式市場で得たものである。
この人が大富豪になるきっかけは1982年にメキシコが経済危機に瀕した最悪のときだった。このときのメキシコの状況は、今のギリシャの状況によく似ている。
破綻の坂を転がり落ちていったメキシコ
1982年。石油に依存したメキシコ経済は累積債務がかさんで国家破綻寸前にまで転がり落ち、国債信用力も地に落ちて通貨は下落していた。
この経済危機のさなかにデ・ラ・マドリー大統領が就任してIMF(国際通貨基金)に支援を求めることになった。
IMFはメキシコに乗り込んで行ったが、やり方は例によって非情だった。徹底した緊縮財政を強要して、メキシコのペソも切り下げたのである。
国が破綻寸前にまで追い込まれて通貨が信用をなくし、しかも切り下げまで行われたというのは、つまり国民の預金が一気に価値をなくしてしまうということである。
その結果、国民は一気に貧困のどん底に突き落とされてメキシコは阿鼻叫喚の地獄に包まれた。
数年経ってもメキシコ経済は低迷したままで、1986年には債務がさらに膨れ上がって1,000億ドルを超える事態にも陥った。
結局、メキシコ経済が好転していくが、それは石油価格が上昇して外貨が稼げるようになったからである。
IMFの指導は関係がなかったし、政府の指導力が効力を発揮したというわけでもなかった。単に市場環境が好転して、メキシコは息をつくことができただけだった。
経済的な政府の無策や汚職はその後も続いたので、こういった弱点を見透かされて1994年にはヘッジファンドに狙われてメキシコ発の通貨危機、いわゆるテキーラ・ショックさえも起きている。
メキシコはお世辞にも投資環境が素晴らしい国とは言い難いところだったのである。
しかし、そのメキシコが史上最悪の国難にさらされているそのときに、カルロス・スリムはチャンスをつかんでいた。
メキシコのカルロス・スリム氏。ビル・ゲイツと並ぶ世界最大の資産家。
カルロス・スリムはそれをやった
カルロス・スリムはその時、何をしていたのか。
1982年、メキシコが債務危機に陥って、メキシコを代表する企業が次々と破綻の危機に追いやられていったとき、間違いなくメキシコは国として「終わっていた」状態だった。
メキシコ・ペソは切り下げられて、もはやメキシコには将来がないと多くの資産家が国外に逃げて行った。
そのとき、カルロス・スリムは国営化されるという噂のあった大企業の株を「捨て値同然の価格で買い集めていた」のである。究極の逆張りだ。
もちろん、これは大きな「賭け」であり、また長期戦でもあった。何しろ国の将来は真っ暗闇、好転する兆しもなく、100人に聞けば100人ともメキシコは「もう駄目だ」と言っていたときだ。
企業は次々と潰れていき、金持ちはアメリカに逃げていき、貧困層が街に溢れ、株式市場は壊滅的な大暴落に陥ってしまっている。
そんなときに株を買い集められる人は少ないし、ましてや明日にでも破綻するかもしれないような会社に全財産をつぎ込める胆力を持った人もいない。
しかし、カルロス・スリムはそれをやった。一世一代の大勝負に出て、しかも結果が出るまで何年も何十年も長期投資(バイ・アンド・ホールド)してきている。
ボロボロになった国の、国有化寸前にまで追い込まれた会社の株を不屈の意思で持ち続けることができる人もそういないはずだ。
カルロス・スリムはそれをやった。だから、メキシコがようやく立ち直ったとき、底値で買った株を持っていたカルロス・スリムが、メキシコはおろか、世界でも有数の資産家になっていったのである。
株式は紙幣に勝り、優秀な企業は政府に勝る
投資家はここで「なるほど逆張りで金持ちになれるのか」と考えるのだろうが、一般人の教訓はそうではない。
国家を信用して貯金をしていても助からないが、適切な企業の株式を適切な価格で買って保持しておけば、短期の浮き沈みがあったとしても、最終的には助かるということだ。
カルロス・スリムは優秀な投資家だったので、「勝負」と「賭け」に出た。金持ちになるにはそういった大きな賭け、大きな勝負が必要になって来るのだろう。
しかし、一般人はそんなことをしなくてもいい。
ただ単に、優秀な会社の株式をそれなりの価格で保持しておけば、それだけで政府を信頼するよりも報われる。
株式は紙幣に勝り、優秀な企業は政府に勝る。それが、1982年におけるカルロス・スリムの教訓なのである。
政府が累積債務を積み上げているとき、政府は信用してはいけない。むしろ、全力で預貯金をどこかに逃さなければならない。どこに逃がすのか。
現物資産か、外貨か、株式か、不動産である。
たとえば、日本は今、1000兆円における前人未到の累積債務を積み上げていて、歳入よりも歳出のほうが多い国家運営になっている。
しかも国家運営している政治家は非常に質が悪く国益にかなう政治をしていない。
いつ破綻するのかは状況にもよるので誰にも分からないが、いつか破綻するのは分かっている。そういう状況だ。
そんなことは誰にも分かっているので、それで誰もが馬鹿な国家のとばっちりを受けたくないと考えるようになっているのである。
現物資産か、外貨か、株式か、不動産か。
1982年、カルロス・スリムは迷うことなく「株式」を選び、そして最終的にはそれが功を奏した。何もしないで「現金」「紙幣」を抱いていた一般人は破綻した。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20120121T2128000900
株式市場が下落しても、株式資産を持つ私が動揺しない理由 2014年10月16日
アメリカ、イギリス、ドイツ、日本と、世界の主要な株式市場がことごとく売られ、ちょっとした暴落に見舞われている。
投資家が、ドイツ経済の失速、エボラ出血熱の拡大懸念等を懸念して、リスクから逃れようとしている。
株価が上がるか下がるかは、それぞれの判断に任せればいいが、現在は「市場は動揺している」という言い方が相応しい状況になっている。
私のなけなしの資産はほとんどがアメリカの多国籍企業のものなので、株価が下落したら私の資産も道連れになる。では、私が株を売ったのかというと、実は1株も売っていない。売るどころか下がれば拾い上げている。
私は基本的に市場が大暴落して動揺している局面の時だけ、目当ての株式に食いつく個人投資家である。今回の局面は私にとってちょっとした買い場であって、売り場ではない。
20%下がろうが、30%下がろうが、私には関係ない。リーマン・ショックのような局面が来て、持ち株が50%以上下がっても何ら問題ない。
下落相場は、私にとっては願ったり叶ったりだ
私の持っている多国籍企業の株式は、基本的に国家よりも強靱な体力があり、私はそれを自分の余裕資金で買い上げているから、暴落の局面は買い上げる局面なのである。
20%暴落したら20%余計に、50%暴落したら50%余計に株式を増やせる。下落相場は私にとっては願ったり叶ったりであり、まさしく「望むところ」なのである。
私はギャンブラーではないが、必要な時にリスクを取ることに対しては臆病ではない。自分が想定している株式が、価値相応の値段になったと思えば、欲しいものを取りにいく。
ちなみに、アメリカ国家の衰退の話と、私の持っている多国籍企業の株式の価値の話は別の話であり、アメリカの衰退が私の経済活動に何らかの影響を及ぼすことは一切ない。
現在、オバマ政権はレームダックと化して、アメリカの外交的戦略と威信はボロボロになっているが、それも私の持っている多国籍企業の価値と何ら関係はない。
さらに、ドルが暴落して紙くずになるというヨタ話も、私は考慮することはない。アメリカが死ぬ前には、世界経済が道連れになる。
まさか、アメリカがひとりで誰にも迷惑をかけずに静かに死ぬとでも思うだろうか。
中国がアメリカに次いで資本主義を牽引するという話も、ありえない方向が強まってきている。
中国共産党率いる中国は、香港の民主主義ですら弾圧するような政治体制である。こんな国が次世代を率いる国家になると思う方がどうかしている。
中国の金持ちが率先して逃げ出しているような国家の未来を信じろという方が無理だ。
中国とアメリカが20年後はどちらが強い国家なのかを考えたら、当の中国人でさえアメリカを選ぶ。
資本主義社会を動かしているのは誰なのか?
本当に中国が次世代の国家になっているのであれば、アメリカ人はみんな中国国籍を取得しようと画策するだろう。
現実はどうか。
中国人が必死になってアメリカ国籍を取ろうとしている。あるいは、アメリカで子供を産んで、自分の子供にアメリカ国籍をプレゼントできるようにしている。
中国人も自国を信じていないのだから、私たちが中国を信じる理由はない。国際ジャーナリストだか、経済評論家だかが、中国を礼賛しても別に気にする必要はない。彼らの言っていることは、ほぼ雑音である。
結局、今の資本主義社会を動かしているのはアメリカであり、もっと正確に言うと、アメリカの株式市場に上場されている多国籍企業群である。
私たちはインテル製のチップが搭載されたコンピュータを使い、マイクロソフトのOSを使う。
アップル製のスマートフォンを使い、シスコのルーターを使ってグーグルの検索エンジンに依存する。そして、フェイスブックで友人たちと交友を楽しみ、オラクルのデータベースを仕事で使い、買い物はアマゾンでする。
コカコーラやペプシを飲み、マクドナルドやケンタッキー・フライドチキンを食べ、クラフトフーズのお菓子を食べ、スターバックスのコーヒーを飲んで一息つく。
ディズニーの映画を観て、フィリップモリスのタバコを吸い、バドワイザーで酔い、身体の調子が悪くなれば、ファイザーやメルクの製薬に頼る。
エクソンやシェブロンが売る石油を買って、戦争が始まったら、レイセオンやロッキードやボーイングから武器や戦闘機を調達する。
私たちは、もうすでに、アメリカの多国籍企業に「支配されている」のである。
アメリカの国民が貧困に転がり落ちている理由
そういった世の中の実態が見えてくると、アメリカ国家の威信が低下しようが、アメリカ国民が貧困に転がり落ちていこうが、多国籍企業に影響を与えるものではないということが分かってくる。
そもそも、アメリカの国民が貧困に転がり落ちているのは、多国籍企業が彼らを見捨てた結果である。
この現象は、多国籍企業が無慈悲なまでに機能しているという証明であることに気付かなければならない。
多国籍企業は、高賃金の労働者を捨ててもやっていける体制を手早く整えた。そして、合理性・効率性を追及して余計なコストを極限まで削減できる体制を整えた。
その結果、多国籍企業は未曾有の利益を上げるようになったが、逆に労働者は合理化・効率化のあおりを受けて、片っ端からリストラされるようにあったのだ。
機能していないはアメリカ国家の方であり、多国籍企業は逆に背筋が寒くなるほど効率的に機能している。
世界に君臨するアメリカの多国籍企業が弱体化したという兆しはまったくない。グローバル化も終わる兆しもない。つまり、株式市場の乱高下があったとしても、多国籍企業の存続に何ら影響を及ぼしていない。
ということは、これからも多国籍企業はその驚異的で極限まで研ぎ澄まされたマネージメントによってさらに利益を上げていき、成長していくということでもある。
そんな多国籍企業の株式を、なぜ私が売らなければならないのだろうか。私は売りたくない。それよりも、イメルダ夫人が3000足の靴を買い集めたように、多国籍企業の株式を買い集めたい。
労働者は苦境に落ちる。しかし、多国籍企業は巨大な利益を吸い上げる。
それが資本主義の背筋が寒くなるような現実だ。
http://www.bllackz.com/2014/10/blog-post_16.html
株式の暴落に目を奪われていると大きなところで判断を誤る
ダウ・ジョーンズの100年に渡る株式市場の値動き。数々の暴落で激しく揺れ動くチャートだが、凄まじい上昇にあるのが分かるはずだ。
https://4.bp.blogspot.com/-oN-T0gr5iHQ/VzQ_TB_m2YI/AAAAAAAA20E/kZ0WYHFYsow3CsuaH4uO86GO4uYHJf2agCLcB/s1600/img%2B-001.png
この世で最も馬鹿げた預言は「将来、株式市場が暴落する」というものである。
これが馬鹿げているのは、「将来、必ず天気が崩れて雨が降る」と言っているのと同じことを言っているからだ。
株式市場は上か下にしか行かないのだから、下に行くと言っていればいつか当たる。それは別に預言でも何でもなく、単なる経済現象である。
たとえば「将来、絶対に雨が降る」と預言している人がいたとする。その人の通り、いつか雨が降ったら、人は彼を「将来が予見できていた」と尊敬するだろうか。
いや、絶対にそんなことはない。「いつか雨が降る」というのは誰でも知っていることであって、実際に雨が降ってもそれは「当たり前」だ。当たり前のことを預言のように言っても馬鹿としか思われない。
だから、別に経済学者やアナリストが「将来、株式市場が暴落する」と言っても、そんなものをありがたく聞く必要はまったくない。
それは、「いつか雨が降る」と同じことを言っているようなものだから、実際に暴落が来ても「当たり前だ」と思わなければならない。
次々と起きていた株式大暴落。そして経済危機
今まで、私たちは多くの金融危機を記憶している。時にはどしゃぶりの雨が降るように、時には大きな株式暴落も来る。
1927年には昭和金融危機が来て、1929年には世界恐慌が来て、世界はめちゃくちゃになった。1946年を迎えるまで、株式市場は死んでいたようなものだった。
人類大戦争だった第二次世界大戦が終わった後からは順調だったのかというと、まったくそういうわけではない。
1953年にはスターリン・ショックで株式市場は大暴落して多くの投資家が破綻した。1963年にはケネディー大統領が暗殺されて、ケネディー・ショックがやってきた。
その後、ベトナム戦争が泥沼化して1971年にはニクソン・ショックがやってきて株式市場はまたもや大暴落を迎えた。
1970年代のアメリカは、ベトナム戦争の敗退で自暴自棄な空気が蔓延し、不景気にのめり込んで治安も乱れ、まったく先が見えない状態にあった。
当時の資料を読んでいると、「もうアメリカは死んだ」という意識を持っている人も多かったようだ。ベトナム戦争の敗北は、今の私たちには想像もできないほどアメリカの威信を傷つけていた。
1980年代に入って、やっとアメリカは厭世的な気分を脱して、新しい時代に入って行くが、そこに起きたのが1987年のブラック・マンデーだった。
1987年10月19日に起きたこの暴落は、史上最大規模の株式暴落だった。株式市場は一瞬にして22.6%の下落となり、投資家を阿鼻叫喚の地獄に陥れ、全世界にこの暴落が駆け抜けた。
暴落の理由は何もなかった。不意に、何の予告もなく突如として壮大な暴落となっていったのだ。誰も何が起きているのか分からないまま、地獄に突き落とされたのである。
その頃、日本はバブル景気に沸いていたのだが、その3年後の1990年からバブルは崩壊し、1991年の絶望的な長期下落の時代に入って、日本の時代は終わった。
バブル崩壊で傷ついた日本をさらに追い詰めたのは、1995年の阪神大震災だった。それを乗り越えると、今度は1997年の山一証券破綻と金融不安で、さらに暴落を余儀なくされた。
アジア通貨危機、ロシア債務不履行、ITバブル崩壊
山一証券が破綻し、北海道拓殖銀行も消え去って、日本の沈没が決定的になっていたその頃、世界ではとんでもない危機が起きていた。アジア通貨危機である。
これは1997年7月にタイを発端として起きた金融危機だ。東南アジアの成長を破壊し、国家破綻にすらつながる巨大な金融崩壊劇だった。
この金融ショックが元で、韓国も国家破綻寸前にまで追い込まれてIMFの救済を受ける羽目になり、インドネシアの長期独裁政権だったスハルト政権は音を立てて崩れ去っていった。
そして、その余波で1998年にはロシアがデフォルト(債務不履行)した。世界中で危機が連鎖していたが、それを乗り切ったのがアメリカだった。
アメリカはインターネットという新しいパラダイム・シフトを受けて投機資金が大量に株式市場になだれ込んでいて、まさに世界に君臨する帝国となって、この世の春を謳歌しているように見えた。
ところが、2000年に入ると株式市場は一気に崩れ去り、IT関連株はことごとく消え去って行った。後にこれはITバブル崩壊と呼ばれるようになった。
一度、転がり落ちると、悪いことはどんどん重なった。
2001年9月11日。いつもと同じ朝が始まろうとしているちょうどその時、2機の飛行機がニューヨークのワールド・トレード・センターに突っ込んでビルを崩落させるという前代未聞の大規模テロ事件が起きた。
これが、世界史のひとつの転換になった「アメリカ同時多発テロ事件」だった。ニューヨーク株式市場は1週間閉鎖されていたが、再開と当時に株式は暴落していった。
しかし、当時のFRB総裁であったグリーンスパンは巧みにその危機を収束させて、アメリカを新たな成長気運に乗せたが、それが不動産を核とするバブルの醸成だった。
超弩級の株式暴落だったリーマン・ショック
欧米の銀行は、本来は家を持つような収入にない人たちにどんどんカネを貸して家を持たせた。
彼らの組んだローンはサブプライム・ローンと言われたが、このローンは債権として売られて世界中の金融セクターが資産として抱えることになった。
2007年、低所得層が借金を返せなくなっていよいよバブル破裂の兆候を見せ始めたが、金融セクターはどんどんサブプライムローンの債権を吸収していた。
しかし、2008年に入ると不動産バブルは弾け始め、一気に逆流がやってきた。
人々は次々と破綻して金融セクターは不良債権の山となり、名門投資銀行であったベア・スターンズが3月に破綻、そして9月15日にはリーマン・ブラザーズが倒産して、株式市場は何度も何度も大暴落を繰り返した。
これが、リーマン・ショックだった。この株式崩壊は超弩級のショックだった。アメリカのみならず、世界中がリーマン・ショックで経済崩壊寸前となった。
ユーロ圏も大きな波をかぶっていた。2010年には、ユーロの弱国ギリシャが破綻寸前に陥り、ギリシャ・ショックが起きて、ヨーロッパの銀行は莫大な負債を抱えてユーロそのものを激震させた。
日本はすでに1990年代のバブル崩壊から立ち直ることができておらず、日本の銀行はリーマン・ショックの影響はそれほどかぶらなかった。
しかし、2011年3月、日本は国家崩壊につながりかねない巨大なショックを被ることになる。
それが東日本大震災だった。この震災は津波の規模が非常に大きく、一気に約2万人を死に追いやった未曾有の大災害だった。その被害をもっと悲惨にしたのは、福島第一原発の爆発とメルトダウンだった。
当時の民主党政権はまったく危機に対処できず、2012年にもなると日本は国家崩壊さえも視野に入るほど追い込まれてしまった。
驚くべきことに、依然として「上昇し続けている」
日本が立ち直ることができたのは、2012年12月に民主党政権が崩壊して、次に来た自民党の安部政権が強力に円安・株高に政策を誘導したからだ。
しかし、それで安定したわけではない。2014年後半からの原油安によって新興国の株式市場も軒並み崩壊し、2015年からは中国が株式バブルも吹き飛んだ。その結果、日本の株式市場も巻き込まれて再び下落に見舞われている。
こうやって金融危機の歴史を見ていると、まさに「いつも」金融危機が来ていることが見て取れるはずだ。株式市場はいつでも暴落してきた。
そして、これからも金融危機が来るのは「当たり前」であり何の不思議もない。金融危機は、いちいち誰かが警告しようがしまいが何らかの形で必ず来るものなのである。
株式暴落もバブル崩壊も自然の摂理である。季節が巡るように大暴落も巡って来る。別にそれは預言でも何でもない。いつか雨が降ると言っているのと同じことだ。
しかし、これだけ暴落が繰り返されたのに、世界の株式市場は驚くべきことに、依然として「上昇し続けている」現象にも気付かなければならない。
特に特筆すべきは現在の資本主義を支配しているアメリカ市場の成長は、すべての暴落を飲み込んで、今もまだ成長し続けていることだ。
幾多もの戦争や災害、幾多もの経済不況、幾多もの金融危機を経験してきた資本主義だが、それでもまだ「株式《至上》主義」は機能し続けている。
これが意味するところは、今後も資本主義が終わる方に賭けるよりも、むしろ資本主義の成長に賭けた方が合理的であるということでもある。
株式市場の暴落は間違いなく来るのだが、その後の成長もまた間違いなく来る。株式の暴落にばかり目を奪われていると、大きなところで判断を誤るということだ。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160512T1741580900
優良株式が市場の暴落につられて下落したとき、あるいはほどほどの値段になったとき、その株式を大量に買って保持しておくというのは、すべての国の、すべての市場で有効な手段となる。
つまり、日本の株式市場でも、ヨーロッパの株式市場でも、タイや中国等の新興国の株式市場でも、中東の株式市場でも、まったく事情は変わらない。
「優良企業の株式を安く買って長く保持する」という原則は、別に特定の国だけに通用するニッチな法則ではない。すべての株式市場において、すべての時代に通用するものである。
メキシコの株式市場であっても、ロシアの株式市場であっても、それは機能する。
現に、メキシコの大富豪投資家であるカルロス・スリムは、メキシコがデフォルト(国家破綻)してメキシコ株式市場が史上最悪の「崩壊」を見せた1982年にメキシコの優良企業を全財産を使って買い占めて、数十年後、ビル・ゲイツを抜いて世界最大の資産家になっている。
その国がデフォルトしたときというのは、株式市場が最悪の局面に達する時なのだが、優良企業は国が潰れても生き残る確率の方が高いので、最悪の時が往々にして最上の投資機会となるのは歴史が証明している。
「悲観の時」が「投資に最も適した時」である
日本が史上最悪だった時と言えば、もちろん1945年の敗戦時だったのは間違いない。国土は灰燼と化し、産業は崩壊し、人々は傷つき、国家も破綻したのだ。
株式市場も混乱の中で停止したままであり、東京証券取引所が開始するのは1949年まで待つ必要があるほど、状況は悲惨だったのだ。
しかし、その後の日本は復興を目指して破竹の勢いで蘇っていくわけで、この最悪の時期の投資が最も最適な投資だったのは言うまでもない。
同じことは第二次世界大戦の敗戦国だったドイツにも言える。やはり国土が塵芥に化し、ナチス政権が崩壊して、何もかも無に帰したドイツでも、BMWやシーメンスのような企業はボロボロになりながらも生き残っていた。この時期が最上の投資機会だったのである。
もちろん、最悪の時に投資するのだから、投資は長期投資でなければ果実を得られない。いつ株価が上昇するのか、何のタイミングで景気が回復するのか、そんなことは誰にも分からないし、予測などまったくできないからだ。
しかし、一寸先をも見通せない最悪の状況の中にある「悲観の時」が「投資に最も適した時」だというのは誰もが認めるところである。
株式市場は、いつの時代でも何の前触れもなく暴落する。10年ごとに金融市場が崩壊しそうなほどの激震が来ると言っても過言ではない。
1950年代はスターリン・ショックがあった。1960年代はケネディー・ショックがあった。1970年代はニクソン・ショックがあった。1980年代はブラック・マンデーがあった。1990年代は日本のバブル崩壊やアジア通貨危機があった。2000年代はITバブル崩壊やリーマン・ショックがあった。
その度に「世界は終わった、アメリカは終わった、株式は終わった」とマスコミやジャーナリストが叫ぶのだが、実はその時が一番の「投資に最も適した時」だった。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20160306T1259310900
日本人の経済的困窮はバブル崩壊から始まっている。自殺者が3万人を超えるようになったのも、バブル崩壊以降だ。しかし、「貧困」が意識されるようになったのは、2000年を過ぎてからである。
最初は一部の若年層の苦境から始まったので、それは「格差」問題から始まった。
しかし、その格差がどんどん拡大していくと、「格差問題」ではなく「貧困問題」と言われるようになった。
高齢者は年金をもらって生活できるので勝ち組と思われたが、実は生活保護受給者のほとんどが老人世帯であるのを見ても分かる通り勝ち組ではなかった。
正社員が勝ち組だと思われた時代もあったが、リーマン・ショック以降はリストラされる中高年も増え、正社員が狙い撃ちで辞めさせられており、正社員でさえも勝ち組ではなかった。
衰退していく国の中で、日本人はトップの数%以外は、みんな貧困から逃れられない構造になっていたのである。
そこに、政府の累積債務問題が重なり、少子高齢化問題が重なり、2014年には増税が実施され、社会福祉の削減もじわじわと為されていくのだから、日本人の困窮化は、むしろこれからが本番であることが分かる。
企業は社員を切り捨てにかかる。政府は国民から収奪にかかる。福祉や行政は削減する方向に向かう。少子高齢化で活力が失われる方向に向かう。
そのような動きが複雑に絡み合って日本の国力は削がれていくわけだから、私たちはもう全員まとめて「生きるのが難しい時代」に放り込まれたのだ。
「日本がより悪くなる」というのは、現実化してしまった。
常に「引き上げ」の方向に圧力がかかるのは何か
2012年に悪夢のような民主党政権が終わって日本の完全崩壊は何とか止められた。
しかし、政権が変わっても、国の借金はゼロになるわけではなく、少子化問題が解決するわけでもなく、グローバル化が止まるわけでもない。
つまり、何とか完全崩壊を食い止めて踏みとどまることはできているのだが、復活には程遠い現状がある。それが、生活保護受給者の拡大や、実質賃金の減少となって現れている。
だからこそ、私たちが重要になっているのは、「劣悪になる環境の中で生き残ること」である。実質賃金が物価に追いつくのはいつも最後の最後なのである。
今までは真面目に生活しているだけで生きていけたが、資本主義においては賃金はコストに分類されるので、常に引き下げの方向に圧力がかかる。
だから、賃金に頼るというのは、「劣悪になる環境の中で生き残ること」にはならない。
では、資本主義の中で常に「引き上げ」の方向に圧力がかかるのは何か。それこそが株式である。企業経営者は企業価値を向上させることを求められ、それが株価上昇の圧力になる。
政治家は景気の上昇を求められるが、それが成功すると、真っ先に反応するのも株式市場である。逆に言えば、株式市場が上昇していくと、「景気が回復している」と時の政権は胸を張ることができるのだ。
だとすれば、劣悪になる環境の中で生き残るには、賃金で生活するにしろ、資本主義の王道である株式を保有しないというのはあり得ない。
2013年から株式が上昇しているが、上昇している、していないに関わらず株式は資産防衛のために持つべきなのである。
ちなみに、19カ月連続で実質賃金はマイナスになっているが、株式市場はどうだったのか。
2013年7月の日経平均株価は1万3668円だった。2015年2月の日経平均株価は1万8797円である。何と、36%以上も上がっている。
「物価上昇分を補って余りある」どころではない上昇だと思わないだろうか?
結局、グローバル資本主義が極まっていくというのは、株式上昇の圧力が苛烈なまでに激しくかかっていくということなのだから、優良株を保有していた人間が最後に生き残る。
資産家がより資産家になっていくのは、単純な原理だ。資本主義の象徴である株式を長期に渡って保有しているからである。
別に大金持ちになるという発想で株式を持たなくてもいい。「資本主義の中で生き残る」という発想で株式を持つべきなのである。
結局、グローバル資本主義が極まっていくというのは、株式上昇の圧力が苛烈なまでに激しくかかっていくということなのだから、優良株を保有していた人間が最後に生き残る。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150304T1629350900
通貨や国債よりも、株式や社債の方が重要
ただ、私が全資産を株式に変えて、それから1株も売らないどころか、むしろ増やしていくつもりでいるのは、自民党や日本が復権したからというような意味合いではなかった。
まして、為替の動きさえも、実はどうでもよかった。
今回の経済動向の動きは私にとってユーフォリア(幸福感)を生み出す甘美なものだったが、今回の動き自体はまったくどうでもよくて、私が見ているのはさらにその先である。
グローバル化はさらに加速して、グローバル主義が全世界を掌握してしまうのは止めることができない。そうなると、いずれは現在の政府は力を大幅に失う。
なぜなら、世の中の動きはグローバル化なのに、政府はグローバル化に抵抗する存在だからである。
グローバル化と政府が戦ったら、グローバル化が勝利するに決まっている。累積債務でよたよたになっている政府が勝てるはずがないのである。
それは、今の世の中がひとつの国の意向だけで動くのではなく、G7やG20のようにブロック化していく動きになっているのを見ても予見できるはずだ。
政府は単なる「省」や「州」のようなものとなり、地球全体はグローバル主義の「何か」が支配することになるのだと考えている。TPPという危険なものも、日本を省か州にする動きのひとつであると解釈できる。
グローバル化が世界を覆い尽くす。そして、政府を超えてグローバルに根を張っている「何か」はすでに目の前にある。
それが多国籍企業である。
つまり、多国籍企業が、政府を超える存在になり、やがて政府をも凌駕する権力機関になる。
何らかの金融崩壊や金融ショックが起きるたびに、政府は力を喪失していく。そして、多国籍企業は、いずれ政府よりも力を持つ。まだまだ先の話だろうが、いずれはそのようにシフトしていく。
通貨や国債よりも、株式や社債の方が重要になるのだ。
そのような世の中になり、多国籍企業がより強大な力になっていくのであれば、通貨や国債よりも株式を持った方がいいと考えるのは自然の摂理だ。
私たちが今、一番安心できるのは政府に身を委ねるのではなく、多国籍企業に身を委ねることだ。
あなたも、どこかに一生就職するつもりでお気に入りの多国籍企業を見つけ、あたかも貯金でもするかのように株式を買い集めてみてはどうだろうか。
政府よりも、自分の寿命よりも長生きする企業はどこかにあるはずだ。
http://www.bllackz.com/2013/05/100.html?utm_source=BP_recent
私はドル資産で持っているアメリカの多国籍企業の株式を今後「10年以上」に渡って保有するつもりでいる。
何にしろ、弱肉強食の資本主義社会の中で最後まで生き残るのは国家ではなく多国籍企業である。そして、その多国籍企業の多くはアメリカ市場にいる。
イノベーションも、パワーも、時価総額も、すべてアメリカの株式市場が圧倒しているので、アメリカの多国籍企業に投資しない理由を見つける方が難しい。このスタンスは、まったく何も変わっていないし、今後も変わらない。
ドルが崩壊する? そうなったら、世界も一緒に崩壊していくのだから何をしても無駄だ。
イノベーションも、パワーも、時価総額も、すべてアメリカの株式市場が圧倒しているので、アメリカの多国籍企業に投資しない理由を見つける方が難しい。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150318T1655500900
地獄を生き延びた超長寿企業30社は今後も充分に投資対象だ
新しくできた企業は、場合によっては大きく成長する可能性があるのだが、逆に資金が尽きて会社が死ぬ可能性もまた高い。時流に乗れば一瞬にして時代の寵児になるのだが、流れが変わると一瞬にして泡(あぶく)と化して弾ける。
2000年前後のITバブルの時に祭り上げられた企業は多くが弾け飛んだ。
その頃に最も注目を浴びていた「ヤフー」は生き延びて定着すると思われたが、17年経った今、米ヤフーは存続ができない状況にまで追い込まれている。
もちろん、新興企業の中から今後も数十年、いや数百年にも渡って生き残る企業も必ず生まれてくる。しかし、どの企業がそうなるのか誰にも分からない。
マイクロソフトがそうなるのか、アップルがそうなるのか、アマゾンがそうなるのか、誰にも予測がつかない。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
こうした企業に「超長期」で投資して、配当を人為的に10%以上にしながら再投資して資産を膨らます手法を使うには少々、不安がある。
投機ならいいが、何も持たない人間がもがくための投資には向かないのである。では、どうすればいいのか。
この100年を生き残るのは並大抵のことではなかった
「今後もずっと長持ちする企業」を見つける良い方法がある。
「数十年どころか100年以上も長生きして、今もきちんと利益を出し続けている企業を探す」のが最も合理的かつ確率的な解答となる。
今まで100年以上も生き残って利益を出している企業というのは、その事業と経営が時代の荒波をくぐり抜ける体質になっているという確固とした証拠である。
単純に100年と言うが、この100年を生き残るというのは、実際には並大抵のことではなかったはずだ。なぜなら、アメリカだけでも、この100年は激動だったからだ。
考えてみて欲しい。この100年の間、世界大恐慌、第二次世界大戦、スターリン・ショック、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争敗北、オイルショック、ニクション・ショック、ブラックマンデー……と、数限りない危機が直撃した。
その都度、アメリカのみならず、世界の資本主義が動揺し、企業収益は吹き飛び、先が読めない展開となり、多くの企業が崩壊していった。
世界大恐慌は1929年から1933年まで続いたと言われている。しかし、それ以後は経済成長期に入ったのかと言えばまったく違う。アメリカのみならず、全世界は1930年代は戦争の世紀であり、不況は長く執拗に続いて停滞していたのである。
10年以上、先のない陰鬱な経済停滞が続き、世界情勢の不安や戦争はいつ終わるのかも分からない暗黒の時代だった。100年以上も生き残ってきた企業は、そうした修羅場をくぐり抜けている。
さらにその後も、数々のショックを乗り切って、昨今ではリーマン・ショックの大暴落をもくぐり抜けて利益を出しているのである。その企業体力は並大抵のものではない。
寿命が凄まじく長いのに、今も利益を出し続けている企業は、今後も数十年生き残る確率が高い。
長期に渡って資金を預けるのであれば、わけの分からない新興企業より、地獄を生き延びてきた企業に金を預けるのは何の疑問もない。
当たりもしない評論家の下手な企業分析を聞くより、生き延びた企業の実績を見た方が100倍も確かだ。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/02/20170212T1947440900.html
- ケインズの偉大さとは 中川隆 2020/2/23 10:09:53
(0)
- 人類は愛と平和を求めているわけではない 中川隆 2020/2/22 10:25:50
(0)
- 欧州で増える貧困層 イギリスではフードバンク難民が100万人以上 中川隆 2020/1/16 18:11:25
(0)
- マルクス史観はどこが間違っていたのか? 中川隆 2019/12/29 12:58:53
(2)
- マルクスがイギリスで共産主義を考えた理由 中川隆 2020/2/05 13:53:06
(0)
- パリ・コミューンについて 中川隆 2020/2/05 13:49:35
(0)
- マルクスがイギリスで共産主義を考えた理由 中川隆 2020/2/05 13:53:06
(0)
- 貧困と格差が広がる日本!! 中川隆 2019/12/29 00:30:37
(0)
- 国家を亡ぼす「狂った税制」 中川隆 2019/11/25 09:29:52
(1)
- 「日本の法人税は世界的に高額」という大嘘 中川隆 2020/1/07 10:20:16
(0)
- 「日本の法人税は世界的に高額」という大嘘 中川隆 2020/1/07 10:20:16
(0)
- 社会主義はそんなに悪いか 中川隆 2019/10/31 13:57:07
(3)
- ロシア革命とは何だったのか? 中川隆 2020/1/09 19:28:04
(0)
- 社会主義の20世紀 おしつぶされた改革 〜プラハの春・ドプチェクの証言〜 中川隆 2020/1/09 12:07:50
(0)
- 社会主義の20世紀 カストロの選択 中川隆 2020/1/08 00:21:33
(0)
- ロシア革命とは何だったのか? 中川隆 2020/1/09 19:28:04
(0)
- “独立”する富裕層 政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない 中川隆 2019/10/31 12:23:22
(0)
- 上級国民/下級国民 _ 『持てる者』は“事実上の一夫多妻”、『持たざる者』は生涯独身 中川隆 2019/10/22 21:49:51
(2)
- 高校生で人生がほぼ決まってしまうフランスの超学歴社会…日本人ははるかに幸せ 中川隆 2020/3/17 10:00:01
(0)
- 1票の格差は是正するな、1票の格差はむしろ必要、 アメリカは70倍の格差 中川隆 2019/10/27 12:03:23
(0)
- 高校生で人生がほぼ決まってしまうフランスの超学歴社会…日本人ははるかに幸せ 中川隆 2020/3/17 10:00:01
(0)
- 退任するCEOの半数、辞任ではなく解任 中川隆 2019/10/15 11:06:29
(1)
- 「コーチング」などの名で中高年社員らを自主退職に追い込む手法 中川隆 2020/3/22 09:38:21
(0)
- 「コーチング」などの名で中高年社員らを自主退職に追い込む手法 中川隆 2020/3/22 09:38:21
(0)
- ベーシックインカムは社会保障費を極小にする為の新自由主義的な制度 中川隆 2019/9/19 20:31:20
(0)
- 公的サービスの民営化には無理があり、資本主義の競争原理になじまない 中川隆 2019/9/18 10:46:40
(0)
- シリコンヴァレーで加速する「カースト制度」の真実 中川隆 2019/9/06 18:53:59
(0)
- 所持金1200円の女性ら中年フリーターが「大人食堂」に集まる理由 中川隆 2019/9/06 05:52:35
(6)
- 貧困でも病気でも死ねない地獄。人生100年時代と生涯現役の最凶タッグが日本人を襲う 中川隆 2019/11/21 12:57:35
(0)
- 貧困ビジネスは儲かる 中川隆 2019/10/08 07:29:49
(0)
- なぜ生活保護申請担当職員は所持金600円のシングルマザーを追い返すのか? 中川隆 2019/9/20 04:24:29
(2)
- 年金を増額すれば税収は増える 貧困高齢問題の解決法 中川隆 2019/12/22 12:41:36
(0)
- 台風19号 _ 「ホームレス」が避難所での受け入れを拒否される 中川隆 2019/10/13 14:27:45
(0)
- 年金を増額すれば税収は増える 貧困高齢問題の解決法 中川隆 2019/12/22 12:41:36
(0)
- なぜ日本のシングルマザーは地獄なのか?約123万2,000世帯の半数が貧困 中川隆 2019/9/09 18:40:48
(0)
- 貧困でも病気でも死ねない地獄。人生100年時代と生涯現役の最凶タッグが日本人を襲う 中川隆 2019/11/21 12:57:35
(0)
- 日米で派遣労働が増加 多くの人が派遣を選ぶ理由 中川隆 2019/9/02 09:09:14
(0)
- 自称共産国家の中華人民共和国が世界史上最悪の階級社会になった理由 中川隆 2019/4/18 10:37:19
(2)
- ベルトルッチ ラストエンペラー The Last Emperor 1987年 中川隆 2019/4/18 11:46:33
(0)
- 謝晋 芙蓉鎮 1987年 中川隆 2019/4/18 11:28:23
(0)
- ベルトルッチ ラストエンペラー The Last Emperor 1987年 中川隆 2019/4/18 11:46:33
(0)
- 戦後の日本が世界で最も成功した社会主義国、理想の共産社会に近い一億総中流社会になった理由 中川隆 2019/4/18 08:07:14
(2)
- 日本政府が意図的に日本人を少子高齢化させた理由 中川隆 2019/6/21 10:22:02
(1)
- 日本は世界で一番インフラが充実している国だったけど… 中川隆 2020/12/30 17:49:58
(0)
- 日本は世界で一番インフラが充実している国だったけど… 中川隆 2020/12/30 17:49:58
(0)
- 日本政府が意図的に日本人を少子高齢化させた理由 中川隆 2019/6/21 10:22:02
(1)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。