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“独立”する富裕層  政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/701.html
投稿者 中川隆 日時 2019 年 10 月 31 日 12:23:22: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 新自由主義を放置すると中間階層が転落してマルクスの預言した階級社会になる理由 投稿者 中川隆 日時 2019 年 4 月 16 日 11:09:23)


“独立”する富裕層  政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない

“独立”する富裕層  - NHK クローズアップ現代 2014年4月22日(火)放送
〜アメリカ 深まる社会の分断〜

100万ドル以上の資産を持つアメリカの富裕層。
その富裕層が今、自治体の在り方を変えようとしています。
貧富の格差による社会の分断が進むアメリカ。

富裕層は税金が貧困層のためばかりに使われていると反発。
みずからが住む地区を周囲と切り離し、新たな自治体を作る動きを強めています。

女性
「高い税金を払っているのに、それに見合うサービスを受けていません。」

全米で富裕層の自治体は急増。
社会を2分する議論が起きています。

報道官
「反対派を押し切って、新たな市が誕生しました。」

オバマ大統領も危機感を強めています。

オバマ大統領
「アメリカの格差は拡大し、固定化している。」

一方、富裕層を失った自治体は税収が減り、公共サービスを削減。
貧困層が打撃を受けています。

男性
「公立病院の予算が削減されたので、私たち家族は困っています。」

深まる富裕層と貧困層の分断。
アメリカ社会はどこへ向かうのか。
最前線からの報告です。


“独立”する富裕層 税に対する不満


アメリカ南部、ジョージア州の議事堂。

先月(3月)新たな自治体の設立を求める法案を巡り、議論が交わされていました。
この法案を提出したのは会社経営者や弁護士など、富裕層を中心とした住民のグループです。

住民
「私たちが作る市の方が、税金をより有効に使える。
この法案の支持を求める。」

住民
「今の自治体は住民の方を向いていない。
私の会社をサポートしてくれる自治体を作りたい。」

一方、法案は富裕層の身勝手だと批判する声も上がりました。

反対派
「これは有色人種や貧困層を隔離するための意図的な行為だ。」


自治体の設立は地域住民の意思だとする富裕層の報告書にも、抗議が殺到しました。

反対派
「あなたが作る自治体に住みたい人はいない。
あなたはおかしい。
うその報告をしている。」

男性
「いや、おかしいのはあなただ。
私たちの報告は正しい。」

法案を提出したグループの代表、ウッドワースさんです。
経営コンサルタントの夫を持ち、自身もインテリア関係の会社を経営。
湖畔に邸宅を構えています。
自治体の設立に動いたきっかけは税金の使われ方への不満でした。
特に問題にしているのが警察官の配置です。

マリーケイ・ウッドワースさん
「私の家の近くでも麻薬取引や売春が行われるようになってきた。」

警察官は貧困層が多く住む治安の悪い地区にばかり回され、自分の地区はおざなりにされていると感じていたのです。

マリーケイ・ウッドワースさん
「自分たちが支払う税金に見合う行政サービスを受けているとは思えません。
私たちは社会を分断したいわけではありません。
ただこれまでの自治体に代わって、より自分たちに合った自治体を作りたいだけなのです。」


富裕層が作る自治体 衝撃の運営手法とは


富裕層の動きを後押ししているのが、同じジョージア州で大きな成功を収めた市の存在です。
州の北部にある人口9万4,000人のサンディ・スプリングス市です。
市民の平均年収は1,000万円近く。
医師や弁護士、会社経営者などが多く住む高級住宅地です。

市が誕生したのは2005年。
住民投票で94%の圧倒的賛成を得て、それまで属していたフルトン郡から分離したのです。
貧困層に多く配分されていた税金を取り戻そうという主張が、富裕層だけでなく中間層にも支持されたのです。

サンディ・スプリングス市 エバ・ガランボス初代市長
「私たちの税金はほかの場所で使われ、私たちのためには使われていませんでした。
1ドルの税金につき半分の50セントしか、サンディ・スプリングスに使われていなかったのです。」

住民グループ代表 オリバー・ポーターさん
「政府による所得の再分配には反対です。
人のお金を盗む行為だと思います。」

ジョージア州で50年ぶりに新たな市として誕生した、サンディ・スプリングス。
州の法律によってさまざまな財源が与えられました。
市民が支払う固定資産税の15%。
売上税の一部。
そして酒税や事業の登録料など、市の去年(2013年)の収入は、日本円にしておよそ90億円。
州で1、2を争う豊かな自治体が誕生したのです。

さらに富裕層は、市の運営にビジネスのノウハウを取り入れました。
警察と消防を除く、すべての業務を民間に委託。
同じ規模の市なら数百人は必要な職員の数を9人に抑え、徹底的なコストカットを進めました。

市民課や税務課。
道路や公園などを造る建設課。
さらに、市の裁判所の業務まで民間に委託しました。
裁判長は必要なときだけ時給100ドルで短期雇用します。


この結果、当初年間5,500万ドルと試算された市の運営費を、半分以下に抑えることに成功したのです。
コストカットによって生まれたお金は富裕層の要望によって、市民の安全を守るサービスに使われています。


女性職員
「事故発生、けが人なし。」

ここは24時間市民から通報を受け付ける、民間の緊急センターです。
市民の承諾を得て、住所や家族構成、持病の有無など、さまざまなデータが登録されています。

10秒以内に電話を取ることが義務づけられ、90秒で警察や消防が出動します。
市が市内全域に配置する警察官はおよそ150人。
早ければ2分で、現場に警察官が到着するといいます。
現在、市民の9割が公共サービスに満足と回答。
うわさを聞いた富裕層が、全米から相次いで流入し人口が増えています。

市民
「(この街が)好きかって?
大好きよ。
ニューヨークから移り住んで来たけど、ここにはすべてが揃っているわ。」

市民
「とても安全だと感じています。
サンディ・スプリングス市に住めて幸せです。」

今サンディ・スプリングス市の設立と運営のノウハウを知りたいと、全米各地から視察が相次いでいます。
そのほとんどが、税金の使われ方に不満を持つ富裕層だといいます。
サンディ・スプリングス市を手本に誕生した自治体は、ジョージア州ですでに5つ。
現在、フロリダ州、テキサス州カリフォルニア州などで30余りの自治体が、新たに誕生しようとしています。

サンディ・スプリングス市 ラスティ・ポール市長
「自治体は税金を当たり前だと思わないことです。
税金に見合うサービスを提供しなければ、市民はすぐ不満をため、税金を払わなくなります。
公共サービスの質を高めて、市民に税金を払う動機を与え続けるのです。」


“独立”する富裕層 アメリカ 深まる分断

このように富裕層が、自治体を作る動き、今後、全米に拡大していくと見られています。
一方で富裕層がいなくなった自治体は、歳入が減って、一部公共サービスの削減を始めています。
貧困層の暮らしに暗い影を落とし始めています。


富裕層を失った自治体 貧困層に打撃が


ジョージア州フルトン郡。
サンディ・スプリングス市の設立などによって、年間40億円余り税収が減りました。
南部のサウス・フルトン。
郡の中で最も貧しい地域で、住民の生活に大きな影響が出ています。

機械部品のセールスをする、アブラハム・ワトソンさんです。
今年(2014年)に入り、次々と公共サービスが打ち切りになっていると訴えています。

アブラハム・ワトソンさん
「臭いです。
ごみが腐り始めています。
ごみ収集車がめったに来なくなったので。」

3人の子どもを持つワトソンさん。
暮らしに余裕がない中、公共サービスの利用は欠かせません。
家の近くにある、フルトン郡が運営する図書館です。
子どもたちは放課後や週末、ここで読書や宿題をしてきました。
しかし今年の2月、突然開館時間が2時間以上短縮されました。

算数の勉強に使っているパソコンも、閉館時間が来れば強制的にシャットダウンされます。

子ども
「閉館につき使用不可。」

アブラハム・ワトソンさん
「閉館するから切ったんだ。」

閉館時間の変更は、事前に住民には知らされていませんでした。

アブラハム・ワトソンさん
「誰が閉館時間を決めているのか?」

職員
「議会で承認されたんですよ、予算が削減されたから。」

アブラハム・ワトソンさん
「郡の議会で?
予算の削減が理由?」

職員
「予算の削減。」

フルトン郡の一般会計です。
歳入が減少し続け、ついに2年前歳出が上回るようになり、公共サービスの削減が余儀なくされているのです。
図書館のほかに、郡が運営する公園の予算も削減されました。
20か所ある高齢者センターの食事代は、一部値上げになりました。

中でも深刻なのが、貧困層の治療を中心に行う公立病院の予算削減です。
2,500万ドル、日本円でおよそ26億円が削減されることになりました。
医師の数が減らされ、診察に支障が出るのではないかと不安が広がっています。

フルトン郡 ビル・エドワーズ議員
「郡の税収が少なくなれば、当然その範囲でやりくりしなければなりません。
やむをえずサービスをカットしているのです。
私は、フルトン郡の住民が状況を理解することを望んでいます。
さもなければ、フルトン郡の財政は破綻してしまいます。
これだけは、なんとしても防がなくてはなりません。」

ワトソンさんは公立病院の予算削減が、息子のキャメロン君に与える影響を心配しています。

アブラハム・ワトソンさん
「この子には右耳に障害があります。
耳がふさがった状態になっているのです。
息子の治療ができる専門医の数が削られてしまうから、予算の削減は本当に困ります。」

全米で貧富の格差の研究をしてきたコナー准教授です。
富裕層の自治体設立が格差の拡大に拍車をかけていると、警鐘を鳴らしています。

テキサス大学 公共社会学部 マイカン・コナー准教授
「アメリカ社会では分断が深まっています。
同じ地域の中でも少し離れただけで、全く違う社会が生まれています。
経済面でも教育面でも、機会の平等が失われているのです。
このまま富裕層の独立が続けば、公共サービスを支える人がいなくなってしまいます。
それを顧みず、社会の分断は進む一方です。」


“独立”する富裕層 アメリカ 深まる分断

ゲスト堤未果さん(ジャーナリスト)

●格差拡大し加速化する社会の分断 この動きをどう受け止める?

今まさにアメリカは、経済格差が完全に1%の持てる者とそれからそれ以外の持たざる者、完全に国を分断してしまっていると。
そういう状況になっています。
(分断されていると。これが法律の下に行われている。自治体を作るという動きはそうだったが?)
はい。
もともと合法的に市が独立するということはもちろん可能なんですけれども、サンディ・スプリングス市のように、統治機能まで含めて民営化してしまう、民間に委託して、そうするともう税金というものが全く意味が変わってきて、サービスをお金で買うという契約社会になっていくわけですね。
その分税が、税金が囲い込まれることになるので、不動産の価格は上がる、その周りの地域が税収が減って、荒廃していくと。
ですから全米の都市の中に、捨てられた居住区のようなものが、点々と今存在している状況になっております。

●富裕層やその周辺地域 実際に取材に行ってどうだったか?

サンディ・スプリングス市自体は、本当にお金持ちの社会主義国のような、天国のような、ぴかぴかですばらしい所だったんですけど、本当に目に見えないフェンスが建っていて。
(目に見えないフェンス?)
はい、フェンスで囲われている、合法的な特権地区というような形ですね。
先ほども言いましたように、税収がほかで減っていきますので、やはり仕事がなくなって、まず治安が悪くなるんですね。
そうすると犯罪率が高くなりますから、ますますフェンスは高くなっていく。
ここがやっぱり1番大きいです。
サンディ・スプリングス市のような所の近くにある都市で取材をしたときに、公共サービスの1つとして刑務所を維持できないから開放すると。
(刑務所を開放する?すると、どうなるのか?)
そうなると囚人が街に解放されて、たくさん普通に歩くようになるんですけれども、警察もまた公務員ですから、警察は失業中なわけです。
ですから非常に恐ろしいSFのような状況になっていて、片や、目に見えないフェンスの中の富裕層の地区は、非常にハイテクでハイセキュリティーの地区になっていると、すごくコントラストが激しかったですね。

●公共サービスの1つ 教育という点ではどうだったか?

アメリカは、教育予算が連邦と自治体と半分ずつ予算を出すんですけれども、サンディ・スプリングス市のような例えば富裕層の街というのは、公立の学校にやる必要がないので、公教育にお金を出すという概念がなくなっていくんですね。
そうしますと、公立の学校が切り捨てられていった州では、自治体では、貧困層の子どもの受け皿がなくなっていくので、教育難民、学校に行かれなくなった子どもたちが、もう全米各地の都市であふれているという、そこまで事態が進んでおります。
(先進国のアメリカで、そういうことがすでに起きている?)
そうですね。
ブッシュ政権、オバマ政権と続いた2大政権で公教育を解体して、教育ビジネスという民間サービスに委託するということを国が後押ししてやってきたんですね。
ですから公教育というのは、弱い立場の子どもたちを平等にすくい取るという社会的共通資本ですから、これが徐々に解体されているということです。

●フェンスを隔て、本当に互いが見えないのか?

そうですね。
これは本当に今、アメリカで起きていることというのは、1つの国の中に2つの違う国が存在しているような感じで、例えば日本で若年ホームレスは私たちの目に映らないというようなこといわれますけれども、フェンスの中の富裕層にとって、フェンスの外の荒廃した、捨てられた居住区の人たちは、やはり見えないわけですね。
全くお互い別の次元に住んでいるような、そんな状況になっています。
(別の次元?)
はい。

●格差是正のためにある公共サービス 富裕層がその義務を放棄するとどうなる?

公共ですとか税金ですとか、共同体とか、もっといってしまうと、もう国とは何かという、そのコンセプトが全く違うものになっていく。
お金を払って、その分のサービスをもらうという契約社会のようになっていくわけですよね。
ですから言ってみれば、お金がなくなったらそこでそのコミュニティーに、地区の中には恐らくいられなくなると、それが縁の切れ目のようになってしまう。
公共という概念があれば、弱い立場になったり、急に事故に遭って障害を負ってしまったり、高齢になってしまったりという、困った立場になったときは、税金を払っている分、国や自治体が守ってくれると、それが公共の概念なんですけれども、全くこれが対極にあるという、こちらは株式会社化された自治体であり、国家だということになっています。

●アメリカンドリーム 今は存在しないような状況?

80年代ぐらいまでは頑張れば報われるとか、努力すればチャンスをつかめば、マイノリティーでもスターになれる、そういうのがあったんですけれど、今、構造として1%が99%を切り捨てていく構造を、国の政策が後押しをしているために、アメリカンドリームが機能する構造自体が崩れていると。
そしてまた中流層が消滅していますから、ますます富める者はますます富む、それ以外の者は地盤沈下していくという、国の構造が全く変わってしまっているんですね。

●アメリカという国は今後どうなっていくのか?

今アメリカ国内にも2つの流れがありまして、オバマ大統領はブッシュ政権の政策を継承して、1%のための、より1%が大きくなっていくような政策の方向性を進めてはいるんですけれども、一方で、1対99%の分断はおかしいじゃないかと、失われたものをもう一度取り戻したいという声が、相当アメリカで大きくなっている。
これ今、どちらの流れがこの国を、未来を引っ張っていくかという、今ちょうど岐路にいるという。
(岐路とは、国を見つめ直す時期ということか?)
国とか共同体は何かということですね。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3488_all.html  


▲△▽▼

カタルーニャ独立運動とナショナリズム 2017-10-02

 州都バルセロナを擁するスペインの東北部、カタルーニャ州において、スペインからの独立の是非を問う住民投票が強行され、混乱に陥っています。


『スペイン カタルーニャ州の住民投票開始も混乱
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171001/k10011164091000.html

 スペイン北東部のカタルーニャ州で、スペインからの独立の賛否を問う住民投票が始まりました。しかし中央政府は、投票は憲法違反だとして、警察が、一部の投票所の封鎖に乗り出し、住民との間で衝突に発展して複数のけが人も出ており、混乱が広がっています。

 スペイン第2の都市バルセロナを中心とする北東部のカタルーニャ州は、独自の言語や文化を持ち長年スペインからの独立運動が続いていて、日本時間の1日午後4時ごろから独立の賛否を問う住民投票が始まりました。
 州政府は、投票の結果独立賛成が過半数を占めれば一方的にスペインからの独立を宣言するとしています。

 しかし中央政府は、投票は憲法違反で無効だとして実力で阻止する措置に乗りだし、一部の投票所で投票箱などを押収したことを明らかにしました。
 各地の投票所では投票しようとする住民とこれを阻止する警察の機動隊との衝突にも発展し、一部では、警察がゴム弾を発射するなどしてけが人も出ています。(後略)』


 スコットランドのイギリスからの独立騒動の時も指摘しましたが、スコットランドにせよ、カタルーニャにせよ、いわゆる「ナショナリズム」に基づき、各地の住民が独立を求めているのではないと思います。


 むしろ話は逆で、スコットランドやカタルーニャの独立運動は、イギリスやスペインの「ナショナリズムの崩壊」の一環であると確信しているのです。


 カタルーニャ州が独立を志向するのは、元々、民族的に特色があるのは確かです。イザベル女王とフェルナンド国王が結婚し、カステーリャ王国とアラゴン王国が統合された際に、カタルーニャも併合されたのです。


 もっとも、それ以上に重要な事情は、カタルーニャがスペインの経済の中心であることになります。カタルーニャ州は、自動車産業などが発展し、スペインのGDPの20%を生産している地域なのです。


 スペイン中央政府に税金をたくさん支払っているにも関わらず、交付金が少なく、
「カタルーニャ州は損をしている」
 ということで、独立運動が盛んになったのでございます。


 日本で言えば、
「東京から税金を吸い上げ、地方交付税などで地方に回している! 東京都民は損をしている! 独立だ!」
 といった感じでございましょうか


 国家とは、ナショナリズムがなければ成立しません。ナショナリズム(国民意識)の本質は、非常事態発生時の「助け合い」の気持ちになります。


 東京都の税金が地方に交付税として配分されるのは、
「非常事態発生時に、日本の各地方がそれなりに経済力(モノやサービスを生産する力)を保有していなければ、助け合いができない」
 ためです。


 分かりやすい例を出すと、このまま東京一極集中が続き、人口の大半が首都圏で暮らすようになった日本国において、首都直下型地震が起きたらどうなるのか? です。


 もちろん、日本の各地は被災地を助けようと努力はするでしょうが、経済力がなければどうにもなりません。


 東京から税金を吸い上げ、各地に配分する地方交付税は、「東京都民の安全保障」という観点からも、正当化される政策なのでございます。


 ところが、価値観から「安全保障」を排除し、「カネ」を中心に考えるようになると、それこそ、
「東京から税金を吸い上げ、地方交付税などで地方に回している! 東京都民は損をしている! 独立だ!」
 といったバカげた話になりかねないのです。というよりも、そのまんまの独立運動を繰り広げているのが、現在のカタルーニャ州です。


 カタルーニャ独立運動は、カタルーニャ州民のナショナリズムの高揚でも何でもありません。単なる、スペイン王国のナショナリズムの崩壊過程なのでございます。


 東日本大震災の際に、
「東北は神戸とは違い、GDPを稼がないから、復興させる必要はない」
 といった主旨のことを述べた官僚(元官僚?)がいたという話を耳にしました。


 次なる震災が「首都圏」だったとき、我々(都民)は東北の「同じ国民」にも助けてもらわなければならない。そのためには、何としても東北を復興させ、経済力を蓄積しなければならない。


 といった、国家の安全保障の概念が、グローバリズムの蔓延により失われ、国民の「助け合いの精神」が壊され、一人一人が非常事態に対して脆弱になっていている。


 ナショナリズムの崩壊と安全保障の弱体化は、別に日本に限った問題ではないことが、カタルーニャ独立運動から見て取れるのです。


 我々、人間は、一人一人は本当に弱い存在です。我々は一人で、東日本大震災のような大規模自然災害に立ち向かえますか? 北朝鮮や中国といった敵性国家の侵略行為から、個人で家族を護れますか。


 できるはずがありません。


 だからこそ、「国民が助け合う」というナショナリズムを基盤に、国家が成立している。少なくとも現代という時代において、人間は国家という共同体なしでは生きられないのです。この現実を「人類」は改めて認識しなければなりません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/



▲△▽▼

カタルーニャ州はスペイン東北部の地中海岸にあり、交通の要地として古代から栄えていました。中世にアラゴン・カタルーニア連合王国として栄えていましたが、スペイン王国成立後は統合されていました。
 とくに1714年にスペイン継承戦争でブルボン家による支配が始まると、カタルーニャは独立を求めて武力蜂起しましたが鎮圧され、ほとんどの自治権を失いました。今でも人気サッカーチーム・FCバルセロナの本拠地であるカンプノウでは、前半の17分14秒に「独立コール」が沸き上がります。またそこから300年後の2014年にも、非公式ですが独立を問う住民投票が行われました。

 フランコ独裁政権が瓦解した直後の1979年に自治州となりましたが、これはスペイン全土が17の自治州にまとめられたからで、カタルーニャだけに自治が認められたわけではありません。

 カタルーニャ州の面積はスペイン全土の6.4%ですが、人口は16%にあたる750万人、GDPは20%をこえています。カタルーニャ州は貧しい州を援助させられているとの不満がくすぶります。

 今回のカタルーニャ州の住民投票では、スペイン中央政府が数千人の警官を派遣して実力行使で妨害したため投票率が42%しかなく、独立反対派の大半は棄権したようでもあり、カタルーニャ州全体の民意としてはやや不透明です。

 スペイン中央政府は、カタルーニャ州が強引に「独立」すれば、すべての自治権を停止すると公表しています。同じように独立志向の強いバスク州やガリシア州などに飛び火することを警戒しているはずです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2097.html



▲△▽▼

2017年10月03日
カタルーニャ独立か スペイン政府は全力で防止

人種、民族、宗教は同じだが、不況のスペインより独立した方が得というのが主な動機
引用:http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/images/PK2017100202100182_size0.jpg


カタルーニャ独立住民投票が実施

スペインのカタルーニャ州で独立住民投票が実施され、州政府は賛成票が9割を占めたと発表しました。

プチデモン州首相は9月2日にテレビ演説し、「共和国をつくる権利を勝ち取った」と宣言しました。

投票結果の報告を受けた議会は、2日以内に独立を宣言すると見られている。

スペイン政府は投票自体が「存在していない」と言い独立を認めない姿勢を見せています。

カタルーニャは独立後に欧州連合(EU)へ加盟し、欧州の防衛機構に参加したいようだが、外国との交渉は行われていない。

スペイン検察はプチデモン州首相を逮捕する可能性があるとしており、2014年の住民投票では州首相が公民権停止処分を受けていた。


スペインの裁判所は、独立住民投票は違憲という判決を下しており、スペイン政府は住民投票そのものが違法だという立場を取っている。

カタルーニャ自治州の有権者は約530万人で、948市町村に約2300の投票所が設置されました。

スペイン機動隊は319か所の投票所を閉鎖し、投票用紙の没収や関係者の身柄拘束、ウェブサイトの閉鎖などが行われた。


カタルーニャ自治州は面積でスペインの6.3%だが、人口では16%とかなりの割合を占めている。

九州と四国と沖縄を合計(約1,815万人)した割合約14%より多く、日本から九州四国沖縄が同時に独立するのに匹敵している。

スペインが必死にならざるを得ない理由がここにあり、独立されたら目に見えて国力が落ちてしまう。


カタルーニャが求めているのは「お金」?

カタルーニャは自治州として議会を持ち、広範な自治権があり、経済力ではスペインの5分の1を占めている。

2008年のリーマンショック以来スペイン経済は停滞し、財政赤字も深刻化し、政府からの交付金より税負担のほうが重くなっていた。

カタルーニャ自治州は独立すればスペインの財政赤字を負担せずに済み、経済的にも発展すると主張している。


これは例えば九州や四国が日本から独立すれば、「日本の借金1050兆円」は払わなくて良いというのに似ている。

これだと残された本体は、借金を返すのがより難しくなり、税収はさらに減少し財政悪化するでしょう。

2014年11月にも住民投票が実施され、有権者の34%が投票し、80%以上が独立に賛成しました。


ただこれではカタルーニャ有権者の27%しか独立賛成には投票しておらず、他の66%の有権者は住民投票そのものに反対だった可能性がある。

今回の住民投票では警察によって投票用紙が没収されたり投票所が閉鎖されたため、投票できなかった住民が居ると考えられます。

集計された投票は約226万票で、有権者全体約530万人の42%に相当し、没収や閉鎖がなければ投票率50%を超えていたでしょう。


報道によるとスペイン警察は9月30日に、2300施設のうち約1300施設を閉鎖したとも言われていて、最大100万人以上が投票できなかった可能性もある。

カタルーニャでは独立を求めるデモが、バルセロナ等では独立に反対するデモがあり、各地で警察などと衝突しました。

カタルーニャ独立運動の特徴は、人種や民族が独立したいわけではなく、「金を払いたくない」という要求が独立運動に発展した点にあります。


他の国の独立運動では、民族や宗教が異なっているが、カタルーニャは主として経済的な利益を求めている。

むしろカタルーニャの独立意識は古代ギリシャの都市国家に近く、近代国家や帝国主義の独立とはかなり違っている。

もしカタルーニャの独立が認められたら、国家の概念も変わっていくかも知れません。
http://www.thutmosev.com/archives/72915472.html



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2017.10.09
警官隊が暴力的に住民投票を妨害したカタルーニャでは体制転覆を繰り返すソロスが独立派を支援

カタルーニャではスペインから独立すべきかどうかを問う住民投票が実施され、92%が独立に賛成した(投票率43%)という。この投票をスペイン政府は非合法だと宣言、警官隊を投入し、暴力的に投票を妨害した。2014年のウクライナでとは雲泥の差だ。

ウクライナの場合、アメリカのネオコンやNATOを後ろ盾とするネオナチがチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ、さらにブルドーザー、ピストルやライフルを持ち出していたが、それでもビクトル・ヤヌコビッチ政権は警官隊に暴力的に対応しないように支持していた。それでも気に入らないバラク・オバマ米大統領は当時のウクライナ政府に対して警官隊を引き揚げさせるように求めている。​最終的に反政府派は無差別の狙撃を始めた​。

このクーデターではイゴール・コロモイスキーという三重国籍(ウクライナ、キプロス、イスラエル)の富豪や世界的な投機家のジョージ・ソロスが資金を提供していたと言われている。このソロスは自身の基金を使い、規模は大きくなかったようだが、2014年からカタルーニャの独立運動も支援していたと伝えられている。言うまでもなく、ソロスが国を乗っ取ろうとする目的は私利私欲。それ以外にはない。

9月にはイラクのクルド組織が独立を問う住民投票を実施、やはり圧倒的な多数が賛成したという。この組織は1960年代からイスラエルの指揮下にあり、今回の住民投票の黒幕はネオコンとイスラエルだと見られている。ここにきてクルドが注目されているのは、新たな侵略戦争の主力になりそうだからだ。

2011年春からシリアを侵略、バシャール・アル・アサド政権を倒すためにアメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする勢力が送り込んだ傭兵、つまりアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)はシリア政府の要請で介入してきたロシア軍によって壊滅寸前の状態。そこで、トルコの反発を承知でクルドを前面に出してきたわけだ。

ここにきてサウジアラビアもこうした武装集団への支援を打ち切る姿勢を見せているようだが、これが事実ならアメリカにとって深刻な事態。1970年代からアメリカの支配システムを支えてきたペトロダラーはサウジアラビアを中心に動いてきたからだ。アメリカや国連がサウジアラビア批判を強めてきたなら、サウジアラビアのアメリカ離れは事実の可能性が高いと判断できる。

カタルーニャの独立にアメリカの政府や有力メディアが好意的だとするならば、逆のことが言える。つまり、独立をアメリカ支配層が望んでいるということだ。実際、NATOはカタルーニャの独立に賛成しているようだ。

カタルーニャでは1930年代に自治が認められたが、ナチス時代のドイツを後ろ盾とするフランシスコ・フランコが独裁体制を樹立すると自治は認められなくなる。自治が復活するのはフランコが死亡した1975年の後。独立運動が復活するのは2006年からだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201710080000/



▲△▽▼

2017年12月25日
カタルーニャ州選挙で独立派が勝利も 逮捕や国外逃亡で過半数割れ

独立派は選挙で勝ったが、数名が逮捕中なので議会は過半数割れ
引用:http://media.ws.irib.ir/image/4bn48a043ea878yuqo_800C450.jpg


カタルーニャ州議会選挙

スペイン・カタルーニャ州の州議会選挙が2017年12月21日に実施され、独立派が過半数を得ました。

選挙は比例代表制で、定数135議席のうち独立派の3党で70議席を獲得し、もし小選挙区制だったらもっと多くを占めていた計算になる。

これに先立つ2017年10月1日にはカタルーニャ自治州による独立住民投票が実施され、9割以上が独立に賛成していました。


スペイン政府は憲法上独立投票は無効だと言い、警官を配備して投票を妨害したり、投票所を閉鎖させたりした。

プチデモン州首相は2日以内にカタルーニャ共和国の独立を宣言するとしていたが、スペイン政府は州首相や閣僚を逮捕する方針を示した。

プチデモン州首相はベルギーに逃亡したが、独立派が持っていた議席は政府に没収され、独立運動は潰された。


州政府はEUに加盟するのを独立後の政策の基本としていたが、交渉に応じた国は一カ国もなかった。

こうした前置きがあって12月21日にカタルーニャ州議会選挙が実施され、独立派は約52%の議席を獲得しました。

67議席だと50%を割り込むので、過半数といっても3議席の差だが、議会は再び住民投票や独立宣言などを行う事が出来る。


スペインのラホイ首相の国民党(PP)は、たった3議席しか獲得できず、求心力の低下が懸念されている。

投票前後にスペインの株価指数などは下落し、混乱が長期化するという懸念がもたれている。

ただ独立派3党の議席は分散していて、最大議席を獲得したのは、反独立強硬派のシウダダノス党になった。


独立は再び潰されるか

今回の当選者には独立派の70人中7人が独立投票を実施した罪で逮捕されたり逃亡していて、実際には議会に出席できない。

すると現実の州議会の議席数は「独立反対派65」「独立派63」になり、実は反対派が多数を占めている。

独立住民投票を実施したプチデモン前州首相はベルギーに滞在しているが、スペイン政府は引渡しを求め、帰国すれば逮捕される。


こうした情勢を見ると国際社会、特に英仏独などの欧州主要国がカタルーニャに賛成しない限り、再び政府に鎮圧されるでしょう。

欧州主要国は今の所、州議会との接触すら拒絶しており、相手にしない態度をとっている。

英仏独もまた自国内に独立を希望する地域やグループを抱えているためで、自国に飛び火するのを恐れている。


カタルーニャ独立問題の特徴は、通常独立運動は民族や宗教、政治主張などの対立で起きるが、そうしたものとは関係がない点です。

カタルーニャは「カタルーニャ民族」でもスペインと異なる宗教でもなく、共産国家やイスラム国家を作ろうとしているのではなかった。

独立したほうが経済的に豊かになれるという主張で、例えば東京が日本から独立するのに近い。


スペインは経済政策失敗などで長い不況が続いており、対照的にカタルーニャは経済成長を続けていました。

独立すればカタルーニャは政府への「上納金」を払わずに済み、スペイン政府の債務を払わなくても良くなります。

こうした金目当ての独立なので、国際社会にはもう一つ同情が広がり難い。
http://www.thutmosev.com/archives/74189329.html




6. 中川隆[-13844] koaQ7Jey 2018年8月04日 16:42:51: b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17599]

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愛国的リバタリアンという怪物 - 内田樹の研究室 2018-08-04

これは2017年の6月に劇団態変の金満里さんの求めに応じて寄稿した一文である。
杉田水脈発言から「社会的弱者は殺してもいい」と言って19人を殺害した植松聖に言及する人が多かったので、旧稿を筐底から引き出して諸賢のご批判を請うことにした。

相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。

それは単に権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。

もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日本社会内部にはたしかに存在しているからである。

アナウンサーの長谷川豊は事件の直後の2016年9月に自身のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」というタイトルの記事を投稿した。これには批判が殺到し、専門医からも事実誤認が指摘されたが、この人物を日本維新の会は千葉一区から衆院の立候補者として擁立するということが先日発表された。

重篤な病人や障害者に対する公然たる差別発言にはまだ一定の社会的な規制が働いており、有名人の場合には、それなりの批判を受けて、社会的制裁が課されているが、在日コリアン、生活保護受給者やLGBTなどの社会的弱者に対する差別や攻撃の発言はほとんど何のペナルティもないままに垂れ流しされている。

際立つのが片山さつき議員で、生活保護受給者は「実質年収4百万円」の生活をしているという無根拠な都市伝説の流布に加担して、生活保護叩き発言を繰り返してきたが、最近も捏造投稿に基づいてNHKのニュース内容にクレームをつけて、生活保護受給者が社会福祉の「フリーライダー」だという世論の喚起に励んでいる。もちろん、本人がそう「信じている」という信憑の問題もあるのだろうが、「そういうこと」を公言すると選挙で票が集まるという現実的な打算も同時に働いているはずである。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が「弱者叩き」の代表格である。「ラストベルト」のプア・ホワイトたちの輿望を担って登場したはずのトランプだが、就任後実施された政策は富裕層への厚遇措置ばかりで、移民排斥や、海外企業の国内移転への圧力などの「雇用対策」は今ここにいる社会的弱者のためには何の利益ももたらしてはいない。選挙公約だったオバマケアの廃止は、それによって2400万人が医療保険を失うという予測が公表されて、さすがに与党共和党も加担できず、改廃法案を撤回するという騒ぎになった。アメリカの有権者はそのような人物を大統領に選んだのである。

これはおそらく全世界的な傾向である。社会的弱者たちは、自己責任で弱者になったわけであり、いわばそういう生き方を選択したのだから、政府や自治体が、公金を投じて彼らを支援することは「フェアではない」というロジックは目新しいものではない。これは「リバタリアニズム(libertarianism)」というかたちで、建国当初からつねにアメリカ社会に伏流していた考え方である。アメリカが世界に冠絶する覇権国家となり、その国の作法や価値観が「グローバル化」したことによって、アメリカ的な「リバタリアニズム」もまたグローバル化したということだと私は理解している。

「セルフメイド・マン(selfmade man)」というのは建国以来、理想とされてきたアメリカ市民像だが、要するに誰にも頼らず独立独行で自己実現を遂げることである。「リバタリアン(libertarian)」というのは、その過激化したかたちである。
リバタリアンは、人間は自分の運命の完全な支配者であるべきであり、他者であれ公共機関であれ、いかなるものも自分の運命に介入する権利はないと考える。だから、リバタリアンは政府による徴税にも、徴兵制にも反対する。当然ながら、社会福祉のための原資の提供にも反対する。

ドナルド・トランプが徴税と社会福祉制度につよい嫌悪感を示すのは、彼がリバタリアンの伝統に連なっていることを示している。トランプは選挙期間中に対立候補から連邦税を納めていないことを指摘されて、「すべてのアメリカ人は納税額を最小化するために日々知恵を絞っている。私が連邦税を払っていないのは私が賢いからである」と述べて支持者の喝采を浴びた。これは別に露悪的な発言をしたわけではなく、ほんとうにそう思っているからそう言ったのである。彼に喝采を送ったプア・ホワイトたちは、自分たちとは桁が違う大富豪であるトランプの「納税したくない」というリバタリアン気質が「自分と同じだ」と思って、その発言に賛意を評したのである。

トランプは軍務の経験も、行政の経験もないはじめての大統領だが、それは軍務に就くことも、公共機関で働くことも、どちらもリバタリアンとしては「やらないにこしたことはない」仕事だからである。アメリカの有権者たちは彼の「公的権力を用いて私利私欲を満たすが、公益のためには何もしない」という態度がたいそう気に入ったのである。

今の日本で起きている「弱者叩き」はアメリカ原産のリバタリアニズムが日本に漂着し、日本独特の陰湿なしかたで退廃したものだと私は理解している。
トランプのリバタリアニズムはこう言ってよければ「あっけらかん」としている。ロシアとの内通疑惑が暴かれたことによって、彼が「愛国者」であるかどうかについてはアメリカ人の多くが疑問を抱いているだろう。けれども、リバタリアンにおいて、愛国者であることは「アメリカ人的であること」のための必要条件ではない(国家や政府などというものは「ない方がいい」というのが正統的なリバタリアンの立場だからである)。

けれども、日本では公的立場にある人間は「国よりも自分が大事」というようなことを(心で思っていても)口には出さない。仮に、安倍晋三が所得税を払っていなかったことが発覚したとしても、彼は「私は賢いから税金を払わずに済ませた」という言い訳をしないだろうし、その言い訳に喝采を送る有権者も日本にはいないはずである。日本ではリバタリアンも愛国的なポーズをすることを強いられる。
だから、日本では「リバタリアンでありながら、かつ愛国的」という奇妙な生き物が生まれてくる。現代日本に跋扈しているのは、この「愛国的リバタリアン」という(「肉好きのベジタリアン」とか「気前のいい吝嗇漢」というような)形容矛盾的存在である。

一方において、彼らは自分が獲得したものはすべて「自己努力によって獲得されたもの」だから、100%自分の所有に属し、誰とも分かち合う気がないと断言する。同じ理屈で、貧困や疾病や障害や不運などによって社会的弱者になった者たちについても「すべて自己責任で失ったもの」であるので、そのための支援を公的機関に求めるのは筋違いであると主張する。ここまではリバタリアン的主張であるが、日本の「愛国的リバタリアン」はこれに愛国主義(というより排外主義、外国人嫌い(ゼノフォビア))をぱらぱらとまぶして、社会的弱者というのは実は「外国人」であるという奇妙な社会理論を創り出す。ここが日本のリバタリアニズムの独特の歪みである。

日本型リバタリアンによると、社会的弱者やあるいは社会的弱者を支援する人たちは「外国人」なのである。仮に血統的には日本人であったにせよ、外国渡来のイデオロギーや理説に「感染」したせいで、「外側は日本人だが、中身は外国人」になっているのである。だから、社会福祉や教育や医療などの活動に公的な支援を求める組織や運動は本質的には「日本の国益よりも、彼らが忠誠を誓っている外国の利益に奉仕するもの」なのだという妄説が出来上がる。生活保護の受給者は多くが在日コリアンであるとか、日教組の背後にはコミンテルンがいるとか、朝日新聞は反日であるとか、翁長沖縄県知事は中国に操られているといった類のネトウヨ的妄説はその典型的なものである。

語っている本人もさすがにほんとうだと思ってそう言っているわけではいないだろう。にもかかわらず、彼らが「反政府的な人間=外国人」というスキームに固執するのは彼らにリバタリアンに徹底する覚悟がないからである。

リバタリアンであれば、話はすっきりしている。貧乏なのも、病気なのも、障害者であるのも、すべては自己責任である。だから、それについては他者からの同情や公的支援を当てにしてはならない。医療保険制度はいらない(医療は「サービス」なのだから金を出して買え。金がないやつは死ね)。公立学校も要らない(教育は「サービス」なのだから、金を出して買え。金がないやつは働いて学費を稼ぐか、有利子で借りろ)。社会福祉制度はいらない(他人の施しがないと生きていけないやつは死ね)と、ずいぶん非人情ではあるけれど、バケツの底が抜けたように「あっけらかん」としている。

しかし、さすがに日本では(心ではそう思っていても)そこまでは言い切れない(居酒屋のカウンターで酔余の勢いで口走ることはあるだろうが、公的な立場ではなかなか口にはされない。

その不徹底をとりつくろうために、日本的リバタリアンは「排外主義」的イデオロギーを装飾的に身にまとう。そして、貧乏人も、病人も、障害者も、生活保護受給者も、みな本質的には「外国人」であるという摩訶不思議な理説を噛ませることで、話のつじつまを合わせようとするのである。

相模原事件の植松容疑者はその意味では障害者支援をめぐる問題の本質をよく見抜いていたというべきだろうと思う。彼自身は生活保護の受給者であったが、その事実は「わずかな賃金を得るために、他人に顎で使われて、自分の貴重な人生を空費したくない」という彼のリバタリアン的な気質と齟齬するものではなかった。けれども、自分以外の生活保護受給者や障害者は彼の目には許し難い社会的寄生者に見えた。この矛盾を彼はどう解決したのだろうか。自分には公的支援を受けることを許すが、他人には許さないという身勝手な識別を可能にする境界線として最終的に彼が思いついたのは「私は日本人として日本の国益を優先的に配慮しているが、彼らはしていない」という「日本人/非日本人」スキームであった。

だから、植松容疑者がこれは「日本のために」したのだとか、「社会が賛同するはずだった」とかいう自己弁明を繰り返し、「国益を害するものたち」を「処分」する「官許」を首相や衆院議長に申請したことには論理的には必然性があったのである。彼は自分が「愛国的リバタリアン」という政治的奇形物であり、現在の日本の政界の指導者たちの多くが程度の差はあれ自分の「同類」だと直感していたのである。
http://blog.tatsuru.com/2018/08/04_1031.html

 

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コメント
1. 中川隆[-13686] koaQ7Jey 2020年2月20日 10:59:19 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-218] 報告
2020年02月20日
働かない人の収入が働く人より多い世界 マネー経済が実体経済を圧倒


上位数人が下位半分の資産を所有している
働くより金転がしが儲かるのでこうなる

画像引用:https://fashionmarketingjournal.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/thejick01-1.png

マネー経済が実体経済を圧倒

1%の超富裕層が富の半分を所有している、というような説明を聞いたことがあると思います。

アメリカでは上位3人(ゲイツ、バフェット、ベゾス)の合計資産約30兆円が下位半分の資産を上回っている。

アメリカ人の5人に1人が資産ゼロで、3割程度が10万円ほどの預金額しか持っていない。


さらに世界の上位62人は世界の個人資産の半分を持っていて、彼らの大半は世襲や相続で資産を引き継いだ。

この状況は19世紀以前に王や皇帝や貴族が支配していた頃と同じで、封建時代より格差が酷いという。

江戸時代の殿様は意外に貧乏で、食事や生活は質素だったので、現在より格差が小さかったかも知れない。


現代の格差拡大はマネー経済の拡大と実体経済の縮小が原因と言われています。

実体経済は生産や移動やサービスなど物理的な行動を伴う経済で、GDPという数字で表されます。

対して「ビットコインが値上がりした」ように物理的な行為が伴わないものを、マネー経済などと呼んでいます。


現金と預金などの通貨流通量は100兆ドルで世界のGDP合計は約80兆ドル(2018年頃)とマネーの方が大きい。

GDPは物理的行為をお金に換算した合計なので、働くよりお金を転がした方が儲かるのを意味している。

例えば苦労して東大に入り一流企業に入り経営者に上り詰めた人より、親から相続したお金を転がして遊んでいるほうが儲かる。


これが格差を拡大していて、まじめに働くより寝ていた方が儲かるから、どんどん差が開いています。

働いたら負けの社会

マネー経済の拡大によって2030年には上位1%の資産家が全世界の富の3分の2を所有する、とオックスフォード大教授などが言っています。

超格差を予言したピケティ教授の『21世紀の資本』がベストセラーになったが、当時は空想と思えたことが現実になっている。

ビケティによると格差が拡大する理由は労働によって得られる賃金より、不労所得である財産の伸び率が高いからです。


その結果が全世界GDP合計80兆ドルに対して通貨流通量は100兆ドルになったので、今後さらに差が開きます。

こうした社会では一生寝ずに働いたとしても、寝転んで資産運用する人よりずっと少ない資産しか作れません。

10年ほど前にネットで「働いたら負け」という言葉が流行したが、今の世界は正に働いたら負けで、働かない人が巨万の富を持っている。


千年以上前から「労働は美徳」としてきた日本人はこういう生き方が苦手であり、労働によって尊敬や称賛を得るのが当然だと考えて来た。

欧米では労働は刑罰であり、偉い人は働かず命令したり遊んだり、非生産的な事ばかりしてきた。

例えば10億円を持っている人が年2%で運用したら2000万円を得られるが、労働で2000万円得られるのは芸能人など限られた職業です。


非正規や派遣労働者の多くは年収200万円程度ですが、これは1億円を2%で運用するのと同じ金額です。

年2%なら投資の才能がゼロでもこつこつ積み立てるだけで良いので、ほぼノーリスクで得られるリターンです。

日本では実質賃金が増えていないが先進国共通の現象で、全世界「働いたら負け」になっています。


こうした世界がいつまで続くかですが、マネー経済は何も生み出していないので、実体経済が作ったものを浪費しているだけです。

実体経済が生み出したお金をマネーゲームの勝者が総取りする不合理な経済が、永遠に続くとは思えない。

王や貴族の支配が終わったように、マネー貴族の世界もいつかは終わるでしょう。

http://www.thutmosev.com/archives/82236298.html

2. 中川隆[-13486] koaQ7Jey 2020年3月23日 17:31:56 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1418] 報告
2020年03月23日
アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層

大統領を当選させるには政党全体で2000億円は集める必要がある。
勝負を決めるのは大企業や大資産家の献金

引用:http://homepage3.nifty.com/fukuda326/obama2.jpg


金で政治や外交を販売する国

早くも2020年11月3日にアメリカ大統領選があるが、毎回両陣営は巨額の献金を集めて戦っています。

企業や投資家が選挙に投資して政治を買っているが、アメリカではそれが違法ではなく合法です。

仮に安倍晋三氏や枝野幸男氏が有名企業や資産家から多額の献金を受けて、彼らに優遇税制を作ったら日本では犯罪です。

だがアメリカではあからさまに政治献金し、見返りにその人を無税にしても、完全に合法なのです。

むし違法だったらばれたら取り締まるので問題は小さいのだが、分かっているのに誰も止められない。

調査によると過去の大統領選の政治献金の多くを、少数の資産家と企業が拠出していたそうです。


全米で上から100人の金持ちと企業を並べていけば、その人たちに間違いないでしょう。

アメリカでは有権者やスポンサーが多くの献金をしていますが、そんなのは選挙に影響しない。

最近10年ほどの選挙では民主党が圧勝を続けたが、資金集めでも圧勝していました。


オバマ大統領が2回目の大統領選で使った選挙資金は6億ドル(600億円)とされていて、この多くは例の少数の資産家と企業が出しました。

例えばビルゲイツの資産は10兆円を超えますが、4年に一度たった数十億円を寄付するだけで、あらゆる税金が免除されるのです。

オバマもヒラリーも、どんな手段を使ってでも自分のスポンサー達の資産を守るでしょう。


政治献金すれば税金免除

有名な投資家JソロスやWバフェットは民主党を支持し、ゲイツとジョブズ家も民主党を支持していました。

こうした金持ちが支持するという事は、多額の献金をするという意味でもあります。

スタバ創業者、マードック氏、フェイスブック創業者などが「公式に」民主党に寄付しています。


表向きの寄付金額は数百万円から数億円なのだが、全てを明らかにしていないのは、日本の政治献金と同じでしょう。

例えばクリントン夫妻は15年間で150億円の講演料を受け取り、年間50時間ほど講演した事になっている。

仮にヒラリーやオバマが「最近の天気の話」をしたとしても、講演料ではなく政治献金なのだから誰も文句を言わなかったでしょう。


クリントン夫妻は元大統領と現国務長官の地位を利用して、アメリカの外交を外国に販売していた。

例えばロシアの原子力企業が米政府の認可を必要としたとき、クリントン財団に2.5億円寄付したら認可された。

日本の政治家は政治パーティーを主催してパーティー券を販売しますが、アメリカでも同じ事をしています。


1枚数百万円のチケットを販売し、支援者に買ってもらって事実上の政治献金を受けています。

オバマが2回目の大統領選で6億ドル集めたと書きましたが、民主党全体では15億ドルくらい集めました。

アメリカの法律では一人が50万円くらいしか寄付出来ないし、企業献金は禁止されているが、抜け道が用意されている。


献金団体に寄付して、献金団体が民主党や共和党に寄付すれば、無制限でいくらでも献金が可能です。

献金者の名前は公表されるが、「AさんがBさんに依頼して、Cさんの名前で献金」などのテクニックで、いくらでも誤魔化せる。

大統領選だけでなく、州議会選挙から市会議員選挙まで、アメリカは全てこうであり、献金を集めなければ当選出来ない。


という事は当選した政治家は多額の献金者に借りができるので、何かの形でお返ししなければならない。

そのお返しとは資産家の納税額を低く抑えることで、大抵の資産家は税金を払っていません。

アメリカの長者番付の上位100人くらいは、まったく納税していないか、ほとんど納税していないかのどちらかです。


トランプが当選した時にも外交素人が駐日大使になったり、支援者や活動家へのご褒美を配っていました。

近年問題になったのがロシアや中国の政治関与で、こうした国々の介入で当選した大統領は彼らに便宜を払うでしょう。

http://www.thutmosev.com/archives/65502675.html

3. 中川隆[-13475] koaQ7Jey 2020年3月23日 17:45:38 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1429] 報告
2019年12月26日
金持ちの嘘くさい寄付 バフェットとゲイツは無税で子供に相続

良くこんな白々しいセリフが喋れると感心するビルゲイツ
全資産を非課税で子供に相続させる。


アメリカ1位と2位の大資産家、バフェットとゲイツがともに、全資産を慈善団体に寄付すると言っている。

ところがその実体は「脱税」そのものなのです。


慈善事業という脱税


数年前、全米一の資産家のウォーレン・バフェットが全資産を慈善事業に寄付すると発表し話題になった。


バフェットの友人のビルゲイツもまた、資産の95%を慈善団体に寄付すると発表し、献身的行為として賞賛された。

またアラブの某王様が全資産20兆円以上を、やはり慈善団体に寄付すると発表した。

彼らは一様に「子供を金持ちにするほど愚かではない」「お金を持っていても意味は無い。」などと仙人のような事を言っている。


急に世界の金持ち達は自己犠牲や弱者への愛に目覚めたようです。


だが本当の目的は他にあるという先例もある。

T型フォードで有名なフォードは莫大な遺産を子供達に残したが、80年代には日本車に押されてフォードの経営は悪化していた。

金持ちにとって相続税などで子孫が代替わりするたびに資産が目減りするのは悩みの種だった。


そこでフォード一族は親族会議を開き、一族の資産を慈善団体に寄付する事にしました。

フォード財団は初代フォードが存命中に設立したが、目的は最初から脱税と相続税の免除だった。


時代を経るごとに一族は本業よりも慈善活動に力を入れるようになり、今では慈善事業が本業です。


カーネギー財団とかフォード財団などアメリカには慈善団体が多いが、目的はすべて金儲けと脱税です。


「慈善事業」という言葉の響きには誤解があり、多くの人は金持ちが自分の金を貧しい人に寄付すると思っている。

そうではなく、慈善団体は営利事業として投資を行い、利益の一部を寄付して、出資者に配当金を支払うのです。


事業そのものには税金が掛からないうえ、出資者への配当金も、ほぼ無税でしかも世襲です。

資産を相続せず、役員の役職を継ぐので代替わりしても相続税は一切掛からない。


バフェットやゲイツの「お金に興味が無くなった」という言葉は、興味が無ければドブにでも捨てたらどうなのかと思える。


バフェットの資産数兆円を慈善団体に寄付し、子供を役員にする事で非課税で全資産を相続させることができる。

役員は出資金の金額で決まり、世襲で相続されるので多くの金持ちがそうしている。

財団の利益は寄付事業をした残りが、出資比率に応じて分配される事になっている。

アメリカの大金持ちの生き方


アメリカには○○財団がやたらと多く、トンチンカンな日本の知識人は「アメリカの金持ちは募金をするが日本人はしない」と言っています。

日本人には社会に貢献する気持ちが無くて恥ずかしい、アメリカ人はキリスト教徒なので寄付で社会貢献している、などと言っていました。


アメリカ人が寄付するのは慈悲の心からではなく、金儲けの手段の一つなのです。


財団を設立して脱税する手口を始めたのは、ロックフェラーだったとも言われている。

アメリカでは大統領選の選挙資金の80%をこうした金持ちが出しているので、決して金持ちの脱税を止めたりはしません。


州議会議員や市議会議員でも、もちろんこうしたお金の恩恵を受けているので、金持ちから税金を取ることは無いのです。


例えばバフェットが全資産5兆円を財団に寄付したとします。

アメリカの法律では財団が解散すれば5兆円はそっくりバフェットに返還される事になっています。


実際にはその時には84歳のバフェットはなくなっていて、子供か孫の世代になっていますが、同じように非課税で返還されます。


解散するしないは、最大出資者のバフェット一族が、役員として決定権を握ります。

寄付したお金は自分の資産ではないので一切非課税になり、相続税や財団の資金運用にも掛かりません。

バフェットがやっているバークシャー・ハサウェイより有利な条件で資金運用できるのです。


ビルゲイツの7兆円も同じように、彼が生きているうちに「永遠の預金」に預け、子孫は配当金をずっと受け取れます。

例えば5兆円の5%が毎年分配されたとしても、毎年2500億円を受け取れる訳です。

しかもこうした財団はインフレにもデフレにも強く、元本が目減りする事はまず無い。


これは寄付ではなく日本語では「永久非課税の定期預金」に過ぎません。


因みに日本の慈善団体はこれほど優遇されておらず、世襲は上手く行かないので、日本の金持ちは寄付しません。


その代わり日本では政治団体を非課税で相続できるので、資産を寄付して息子に相続させる政治家が多い。
http://www.thutmosev.com/archives/36362336.html

4. 中川隆[-9226] koaQ7Jey 2020年12月18日 21:15:35 : dXlYweNl5Q : dXV3Uzk5ZVI1dlE=[12] 報告
富裕層への減税は社会のため? いいえ、富むのはお金持ちだけでした。最新研究が「トリクルダウン」を否定
ハフポスト日本版 2020/12/18
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%88-%E5%AF%8C%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F-%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%8C-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A/ar-BB1c1WRv?ocid=msedgntp


お金持ちに減税すると、豊かになるのは結局お金持ちだけ――。

過去50年の間に、様々な国で導入された富裕層への減税。

その背後にあるのが「富裕層が富むことで経済が活発になり、貧しい人も含む社会全体に富が行き渡る」とする経済理論・トリクルダウンだ。

しかしイギリスの経済学者たちによる最新研究から、富裕層の減税に社会全体を豊かにする効果はなく、むしろ富裕層だけが豊かになってきたことが明らかになった。

豊かになるのは富裕層だけ

研究を発表したのは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのデヴィッド・ホープ氏と、キングス・カレッジ・ロンドンのジュリアン・リンバーグ氏だ。

研究者たちは1965〜2015年の50年間に、日本やアメリカ、イギリスなど18の先進国で実施された富裕層への大幅減税を調査した。そして、それぞれの減税が所得不平等や、経済成長、失業率にどんな影響を与えるかを調べた。

その結果、大幅減税の後、上位1%の人たちがシェアする税引前の国民所得が0.8%増加していた。この効果は、短期間と中期間続いた。

一方で、国民1人あたりのGDPや失業率に変化はなく、トリクルダウンによる社会全体への経済効果は見られなかった。

研究者たちは「富裕層への大幅減税は、所得の不平等を引き起こしていた」「それと比較して、減税は経済成長や失業率には大きな効果はなかった」と指摘する。

様々な研究が問題視する、富裕層への減税

富裕層への減税は、特に1980年代以降に、様々な国で何度も実施されてきた。

アメリカのレーガン政権やイギリスのサッチャー政権が導入した減税がよく知られているが、日本でも安倍政権下で法人税率が引き下げられ、大企業や富裕層を優遇する政策が取られてきた。

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%88-%E5%AF%8C%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F-%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%8C-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A/ar-BB1c1WRv?ocid=msedgntp&fullscreen=true#image=2


しかし近年、様々な研究が「富裕層への減税は富裕層の収入を増やすものの経済発展にはほとんど効果がない」と指摘している。研究者たちは「今回の研究もそれらの関連する研究結果と合致する」と述べる。

研究者の1人、リンバーグ氏はCBSのインタビューで「研究から、富裕層の税率を低くする経済的に正当な理由はないと言えます。実際に歴史を振り返ってみると、戦後の富裕層への税率が高かった時代の方が、経済成長率は高く、失業率は低かった」と語っている。
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%88-%E5%AF%8C%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F-%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%8C-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A/ar-BB1c1WRv?ocid=msedgntp

5. 中川隆[-4257] koaQ7Jey 2021年6月14日 07:56:25 : knap5NOqi6 : NjFLWTFoSHNTekU=[4] 報告
納税しない米富裕層 調査報道「プロパブリカ」が納税記録を分析
2021年6月13日
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/21183


 米国の調査報道機関「プロパブリカ」は8日、公式サイトで米国最富裕層の租税回避の実態を暴露する記事を掲載した。主に寄付金で運営している同サイトは、米国の内国歳入庁(IRS)の内部資料を独自に入手し、富裕層数千人の15年以上にわたる納税状況をチェック。アマゾン創始者のジェフ・ベゾスなど著名な資産家がほとんど納税義務を果たしていない実態を暴露した。

 報道によると、2007年には世界で最も裕福な資産家だったジェフ・ベゾスは2007年、2011年には一銭も納税しておらず、2018年には世界で2番目に裕福だったテスラ創設者のイーロン・マスクも所得税をまったく払わなかった。

 さらに総合情報サービス大手ブルームバーグCEOのマイケル・ブルームバーグ、莫大な資産を持つ投資家カール・アイカーンも納税を複数回免れ、同じくジョージ・ソロスも3年連続で納税をしていなかった。

 米国民の年間所得の中央値は7万j(約770万円)で、そのうち14%を納税している。ところが最富裕層の多くは、資産を株や不動産として所得しており、これらの価格が高騰して資産が増えても、米国の法律では、売却するまで課税所得として定義されない。

 調査分析の結果、最も裕福な25人の米国人は、2014〜2018年にかけて合計4010億j(約44兆1100億円)の資産を増加させたが、納めた連邦所得税は、その3・4%に過ぎない136億j(約1兆4960億円)だけだった【表参照】。

 なかでも世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、会長兼CEOのウォーレン・バフェットは、5年間で資産を243億j(約2兆6730億円)増やしながら、支払った税金は2370万j(約26億700万円)。「真の税率」は0・1%だった。

 アマゾンのジェフ・ベゾスも990億j(約10兆8900億円)の資産を増やしながら、報告した総所得はその4・26%の42億2000万j(約4642億円)であり、納税額は増加資産の0・98%に過ぎない9億7300万j(約107億300万円)だった。アマゾンの収益が倍増した2007年にベゾスの資産は38億j(約4180億円)にはね上がったが、借金の活用や投資損失の計上などで所得を圧縮することにより、税金を一銭も払っていなかったという。

 ブルームバーグの納税率も増加資産の1・3%、イーロン・マスクは3・27%だった。いずれも一般世帯の税率14%からはかけ離れた低い税率だ。

 分析によると、これらの富裕層は、資産や所得が増えても、身内に分割相続したり、それを担保に借金をする形をとる。富の増加分は現金化せず、所有株の売却もしないので、課税対象となる所得が生じない。さらに銀行から低利率で借り入れをして暮らし、借金の利子は所得の控除に使う――という仕組みだという。

 さらに、これら上位富裕層25人が2018年に手にした1兆1000億j(約120兆円)の資産は、一般的な米国人労働者1430万人分の賃金に匹敵する。しかも、これら平均的な所得者の納税額は1430億j(約15兆7000万円)で、上位25人が同年に納めた税額19億j(約2080億円)の75倍にのぼっていた。

 同サイトは、この不公平な税制によって「連邦予算は、軍事支出を除いて、何十年にもわたって抑制され、国内の道路や橋は崩壊し、社会サービスは衰退し、社会保障とメディケアの支払い能力が常に問題視されている」と指摘し、富裕層の課税強化を訴えている。

 これに対してホワイトハウスは、「(政府関係者が)機密情報を許可なく開示する行為は違法」と指摘し、IRSを外局とする財務省が司法当局に捜査を要請している。

https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/21183

6. 保守や右翼には馬鹿し[83] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年3月23日 10:47:42 : JvKaF64CkU : dTRCbmk4cENCV2c=[5] 報告
保守系インフルエンサーがインボイスに賛成するのは「ルサンチマン」故である 〜ラッシュ『エリートの反逆』が明らかにした“強者”の弱者に対する怨嗟〜
2023年3月23日
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/24206

こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。

みなさん、こんにちは。表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。

「インボイス」について、ここ半年ほどあれこれ情報配信してきましたが、なかなかその真実が国民に知られていない、という残念な状況があります。ようやく、この度地上波TV(正義のミカタ)でも一部取り上げられたのですが、メインで解説した方(森永康平さん)とは違う見解をお持ちの出演者がおられたということで、番組内容が混乱してしまい、視聴者にはあまりしっかり分かり易く情報が提供されなかったようです。

ついては当方の個人メルマガ『表現者クライテリオン編集長日記』で、その様子を解説すると共に、なぜそんなヘンテコリンな言説が特に保守論客系の方々からあるのかについて、社会科学的に解説しました(https://foomii.com/00178/20230320171958106917)。

如何にご紹介差し上げますので、是非、ご一読下さい!

……

インボイス制度については賛否入り交じって色んな意見がネット界でも飛び交っていますが、煎じ詰めて簡単に言うと、次の様なものです。

「インボイス制度が今年の10月に導入されると、今まで消費税を納める必要が無かった売り上げ1000万円以下の零細事業者・個人事業者達も、(事実上)消費税を納めなければならなくなる」

つまりインボイス制度の本質は、「免税業者からも税を取り立てるようにする制度変更」なのです。

そうなると、デザイナーだとか声優だとか一人親方や個人タクシードライバーとかも、今まで払って無かった税金を払わないと行けなくなります。

例えば、800万円の売り上げがあったタレントさんは、インボイスが入れば(かつ値上げしなければ)約73万円もの大増税になるのです!(一同、当面は納税軽減措置が執られるようですが、結局はこうなります)

ちなみにここで重要なのは、その業者が今までお客さんから「消費税は頂きません!」というスタンスで商売をしていたとしても、それとは無関係に、(インボイス制度になれば、先の例で言えば)約73万円を納税すべきだという事になります。

その結果、多くの事業主の貧困化が一気に進行する他、廃業に追い込まれるケースも多発する事になります。実際、声優業界は、インボイスが入れば3割弱が廃業を検討すると表明しているそうです。

そんなこんなで、全国の零細事業者、個人事業者はインボイスに大反対している、という次第です。

(なお、それだけの増税に耐えかねた事業主は、何とか生き延びようと、「値上げ」を試みます。そうなると、発注業者も我々消費者も皆、値段が上がる、という不利益を被る事になります。つまり先の73万円を、タレントさん(下請け)、TV局(元請け)、あるいは、視聴者’(消費者)の三者が分担しながら負担する事になるわけですから、結局皆にとって不利益が生ずるのです)。
 
……ということで、テレビ番組「正義のミカタ」で先週の土曜にインボイスが取り上げられたのですが、そこで大変奇妙な現象が起こったのです。

番組内でも、番組後のネットでも、

「インボイスの何が悪いんだ!」
「今まで、零細・個人事業主は消費税を納めてなかったのがズルいのだから、払うのが当たり前だ!」

という声が多数湧き上がったのです。

そしてそうした声の中には、あからさまに「インボイス反対論者に対する嫌悪の念」の表明も含まれていました。例えば、高橋洋一さんは、

「番組で出てきた反対団体を見たら、ゾッとしますよ」
https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1637061370553458688

とツイートされています。

これはもう、インボイスの中身に対する批判というよりも、インボイスに反対する人達に対する嫌悪というべきものですね。

これは「大阪都構想」の時に生じたのとよく似た現象です。

大阪都構想は、大阪市民を守る共同体である「大阪市」を廃止するという話で、それに対して反対運動が起こったわけですが、その反対運動に維新や高橋さん等の保守派の人達は激しい嫌悪、憎悪を表明されたのです。

このインボイスについても、「1000万円以下の事業者の免税制度」を廃止するという話だから、それに対して反対運動が起こっているわけで、それに対して、保守の論客達が嫌悪、ないしは憎悪を感じておられるわけです。

ですからこの両者は、「弱者保護を廃止する事に対する弱者からの反対」に嫌悪・憎悪する、という意味で全く同じ構図なのです。つまり「インボイス導入」も「大阪都構想」も、「社会的弱者を保護する制度の廃止」を意味するもので、それに対して、一部の保守論客や維新らが推進しようとし、それに反対する勢力を「ぞっとする」という嫌悪や憎悪の念を差し向けているわけです。

しかしながら、高橋さんの態度に象徴されるこうした「弱者保護への怒り」は決して異常な反応というものではなく極めて一般的、かつ、凡庸な反応だということが政治社会学的に知られています。これは、政治社会学の世界では、1990年代から西側諸国で起こった新しいタイプの「ルサンチマン」だと言われています。

その点を指摘した代表的論客がアメリカの社会批評家で歴史学者のクリストファー・ラッシュです。

ラッシュは『エリートの反逆』の中で1990年頃から、民主主義国家におけるエリート達が、「弱者が享受する社会的保護や公共サービス」を攻撃し、彼らが支援する政治的勢力による差別的な政策を支援する、という奇妙な現象が起こっていると指摘します。そしてこれこそ、現代民主主義の深刻な病理だと論じたのです。

日本で言うならそれは、弱者を切り捨てる新自由主義や構造改革やグローバル化を自民党や維新が推進し、それを「エリート知識人達」が支援するという現象に対応します。

先日、成田祐輔氏が「働けない高齢者は集団自殺しろ」と発言し、それをホリエモン達が支持するという現象もそれと同様の話です。

彼ら「エリート達」は、弱者保護(低所得者矢高齢者に対する保護)に対して、激しい不公平感を抱いているのです。

この理由について、ラッシュは、『彼らは自らが稼いだカネの何十%、場合によっては、半分以上ものカネを、税金として納めている一方、貧困者や高齢者達は、全然働かず、彼らが納めた税金で保護されて生きている、という事について激しい不満を感じているからだ』というものだと論じています。

現代民主社会では、そうした弱者保護が当然だということになっており、それによって「強者達」は不利益を被っているわけですが、彼らにはその現状を変えられないわけです。

こうした不満があるのに、その状況を変えられない……と言うときに生ずるのが「ルサンチマン」(弱者の怨嗟・怨恨)なのです。

長い間、このルサンチマンは弱者から強者に対して抱くものだったのですが、先進諸国が法的に弱者保護を制度化したものだから、今度は強者から弱者に対する恨みつらみが生まれ、これがルサンチマンと化したのです。

こう考えると、当方がインボイス導入に対する反対論を展開した途端、保守の論客達が一斉に筆者を批判し出すのは、強者・エリート達が抱く典型的なルサンチマン故なのだ、という実態が見えてきます。

で、財務省は兎に角、カネをたくさん吸い上げる制度をつくることを自己目的化しているので、

 「消費税で、弱小業者が利益を得る益税があるのです!」

なぞという説明を繰り返し、そういう強者側のルサンチマンを煽って、弱者達から搾取しようとしているわけです。

ホンットに、おぞましい話ですが、現代人は、このコンクリートジャングルの中の、単なる野蛮人と化しつつあるのである。

ホント、ぞっとしますね(‘-‘*)。
https://38news.jp/economy/24206

7. 保守や右翼には馬鹿し[84] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年3月23日 10:56:30 : JvKaF64CkU : dTRCbmk4cENCV2c=[6] 報告
エリートは弱者保護(低所得者矢高齢者に対する保護) に激しい不公平感を抱いている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14097937

“独立”する富裕層  政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/701.html

藤巻健史 _ 年収30億円富裕税で日本は平等に貧乏な国になる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14084052

政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、 その会社の労働者は救済しない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056768

大企業が破綻すると、 一般社員は直ちに失業者となるが、経営陣は優雅な余生を過ごす。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096504

欧米政府は「労働者」を救済するのに対し、日本では倒産しかけたダメ企業を救済
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14082503

倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14033162

日本国民は政府のATM。給料の半分近くを税金と社会保険料で毟り取られる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14083040

「日本人は生産性が低い」という都市伝説に騙されるな _ 生産性が低いというのは賃金が安いというだけの事
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/198.html

藤井聡先生は 「日本人は生産性が低い」というデマを撒き散らしているデービッド・アトキンソンが完全なバカだと言い切ってくれました
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/694.html

生産性の高い社会のゆくすえ - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14089041

アメリカの富裕層の税負担が貧困層より低い理由
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1093.html

国家を亡ぼす「狂った税制」
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/730.html

アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/634.html

アメリカのロビイストは政治家に「この法案を成立させたら何億ドル差し上げますよ」と働きかける
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/530.html

日本人は何時から羊より大人しくなったのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14088062

日本人の出生率を増やすのは簡単だが、 絶対に人口を増やしてはいけない理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14097253

8. 2023年7月30日 04:41:39 : mHUJYzIuus : eTV1SkFnRUhhUnc=[1] 報告
<△26行くらい>
アメリカで富裕層の民族大移動が起きている―ゾンビタウン・サンフランシスコ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14134714


アメリカでは強盗を通報すると解雇される
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14129465

“独立”する富裕層  政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/701.html

アメリカでは10万人以上が麻薬過剰摂取によって亡くなり、 2,100万人が麻薬依存症になっている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14133859

アメリカは人々が知っているアメリカではなくなった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14061155

これが竹中平蔵先生の理想の国 アメリカ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14017630

アメリカに1年住んだ この国ヤバすぎだぞww
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14093367

崩れ始めた アメリカ帝国
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14116245

9. 2023年10月01日 11:36:32 : aCDqMRONBI : LmhicS52dTQxaG8=[2] 報告
<■72行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
アメリカの買い物難民増加、ネット消費に加え万引き被害で閉店
2023.09.30
https://www.thutmosev.com/archives/299706yt.html

こうした大型チェーンも都市部から撤退している


https://www.businessinsider.jp/post-219812

関連動画が記事下にあります

アメリカの都市部で買い物難民

アメリカ各地では全土で近くに買い物する店がない”買い物難民”が増加しているが去年まで原因はネットショップに押されて実意店舗が閉鎖しているからでした

23年に入ると全米の特に都市部で治安悪化と万引き被害で閉店する店が増え、都心部の買い物難民が増加しています

コロナの3年間ではアマゾン等ネットショップで購入する人が増え、アメリカでも多くの実店舗は自粛や閉鎖に追い込まれた

アメリカと言えば大型車でショッピングセンターに乗り付けて1週間分の食糧を買うライフスタイルが主流だったが、そうした店が少なくなっている

アメリカは1980年代に巨大な街のようなショッピングモールが全米に建設され、小さなスーパーや個人商店が駆逐されていきました

1人が1台ずつ巨大な自動車を保有していたので自分の街に商店がなくなっても困らず、週末に1週間分の食料を買い込んで、イナバの物置のような巨大冷蔵庫に保存する生活スタイルでした


2000年代にアマゾンのようなネットショッピングが台頭し、2010年代になると売上げが落ちた大型モールが次々に閉鎖されました

大型ショッピングモールの来店客数は全米で最盛期の3分の1程度になってしまい、全米モールの3分の1が数年以内に閉鎖され最盛期の半分以下になると予想されています

大型ショッピングモールが閉鎖された後には、郊外の小規模スーパーが埋め合わせをするが都市の中心部は地価が高いのでスーパーの出店は難しい

アメリカは富裕地区、中間地区、貧困地区と分かれていて貧困地区で買い物をするスーパーが撤退し、替わりに低価格なファーストフード店が進出した

これが21年から22年頃までの状況だったが22年くらいから万引きや集団強盗が日常化し、大手小売店が都市から撤退し始めた

理由は盗難の増加でカリフォルニア州を始め多くの州では1000ドル以下の窃盗や万引きは「貧困が原因」で本人に罪は無いので逮捕や起訴できないという法律ができた


万引き損失で廃業する店多数
ほとんどの州でこうした法律ができてから全米都市部の治安が劇的に悪化し、買い物をするように堂々と店の商品を持ち去る人が増えた

「常連客」として毎日複数の店で1000ドル未満の万引きを繰り返し、それをネットなどで販売して利益を挙げている人もいます

またロサンゼルスやニューヨークでは集団強盗が多発し、数十人が一度に入店しそれぞれが1000ドル未満の商品を持ち去る「強盗チャレンジ」が流行している

これらの行為は合法的に行われているので警察に通報しても捜査対象にならず、むしろ「人権弾圧」や「人種差別」や「少年への虐待」になる場合がある

最近アメリカで増えているのは万引きや強盗に「何もしてはならない」という社内規則で、万引きを確認した店員はレジにそれを打ち込むだけです

23年になって店員が警察に通報したり「万引きを防止して」解雇される例が相次ぎ、会社側は社内規則に違反したとしている


警察に通報しても警察は捜査せず商品も帰ってこないのに、現場検証などで閉店するので売り上げが減るだけだというのが店の主張です

こんな事が毎日繰り替えされるので多くの小売店が赤字になり、閉店する店が増えて人々が買い物をする場所がなくなっています

サンフランシスコの中心部には2019年にデパートやスーパーなど203店舗があったが2023年に107店舗に減少、コロナもあったが4年で半分に減った

理由はコロナで離職した労働者が戻ってこない、消費者がネット利用などで減少、そして万引き増加と周辺地区の治安悪化などでした

買い物をするには自動車やタクシー利用だとしても歩く必要があり、道端には浮浪者やホームレスが座り込んでいてゴミだらけだったりします

小売店の利益率は1%程度なので毎日100万円分の万引きがあると毎日1億円多く売らないと損失を回収できません

1000ドルの万引きをする人が毎日10人居るだけでどんな大型店舗でも営業を続けられなくなりますが、実際に毎日100万円以上万引きされます

店員が怪しい人に声をかけるが堂々と「盗む用の袋」に商品を詰めて出ていき、それを毎日合法的に繰り返しています

情けない事に万引きを職業としている日本人も存在し、ユーチューブなどで「貧しいので仕方がない」と言い訳をしています


「合法的に」商品を持ち去る人が増えたので店は物理ゲートを設置したり商品に鍵をかけている
https://www.youtube.com/watch?v=w-29nymZYKI

https://www.thutmosev.com/archives/299706yt.html

10. 中川隆[-12174] koaQ7Jey 2023年11月16日 19:20:36 : y4lua1fIb6 : eWN6d0h4ckdmMzY=[6] 報告
今日、アメリカその他の国で出現しつつあるのは、新しいかたちの貴族制
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16825650
11. 中川隆[-10860] koaQ7Jey 2024年4月18日 19:11:17 : ETfFzj67wY : SG1WdzIuNjhnTUU=[3] 報告
<■81行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
サマーズ氏、大富豪が税金を払わない方法と、それを取り締まれない理由を語る
2024年4月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47393

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏が、Washington Postによるインタビューで富裕層への課税について語っている。

富裕層への課税

バイデン政権が超富裕層への課税を考えている。所得ではなく資産に課税する資産税なども含めて富裕層への課税はこれまで何度も議論されてきた。

富裕層は数が少ないので民主主義のターゲットにされやすいからである。一方で富裕層は、特にアメリカではロビー活動を通して数の不利に対抗してきた。

この議論は今でも続いており、特に与党民主党が富裕層への課税に積極的で、野党共和党は比較的消極的である。

サマーズ氏は民主党の支持者なのだが、彼はバイデン政権の富裕層への課税の計画について微妙な意見を持っているようだ。

IRSの予算不足

まず、彼は税金がきちんと徴税されていないと主張する。彼は次のように主張している。

IRS(訳注:アメリカの国税庁)の資金不足のために、毎年1000万ドル以上稼いでいる人が確定申告をしなくても警告さえ受け取らない状況は馬鹿げている。

アメリカではIRSの予算不足が問題となっている。脱税している人に対してIRSの職員の数が足りないため、十分な取り立てを行なうことができず、普通の納税者がIRSに電話をしてもまともに連絡も取れないような状況が常態化している。

これも民主党がIRSの予算を増やそうとしている一方で、共和党が反対しているのである。

起業家の節税

そして次にサマーズ氏が問題として取り上げるのが、起業家の節税策である。

アメリカで大富豪と言えばその多くが大企業の創業者だが、起業家にとって節税をすることは比較的簡単である。

サマーズ氏は次のように言う。

200億ドルの価値のある会社を立ち上げた起業家が、その会社の株式を担保に借金をしてクルーザーを買い、株式を子供に相続させ、結局誰も税金を払わないということが簡単に出来るのは馬鹿げている。

知識のある読者ならば知っているだろうが、これはbuy, borrow, die(買って、借りて、死ね)と呼ばれる有名な節税策である。

まず株式を取得する。創業者の場合なら最初から持っていることになる。

そしてビジネスが成功すれば株の値段はどんどん上がってゆくわけだが、株式は売却時に利益が出れば税金を払うということになっているので、売却しなければ株の値上がりに税金がかかることはない。

創業者のような大株主であれば自分に給料を払うこともできるわけだが、給料には所得税がかかるのでこれもしない。

では確かに資産は株の値上がりで増えているが、増えたお金を使えないではないかということになる。

そこで「借りて」の部分が出てくるのである。株式を売却して現金を得るのではなく、値上がりしている株式を担保に借金をして現金を得るのである。

大富豪であれば低い金利で現金を借りることができる。だから意外にも、大富豪には借金をしている人が多い。現金を持っていない(持たない方が節税になる)からである。

そして死ぬ。アメリカでは相続税はほとんどないようなものなので、子供も同じ戦略を使い続けることができる。

そして誰も税金を払わない。

何故課税できないか

何故この戦略は長年そのままになっているのか。サマーズ氏は次のように述べている。

バイデン政権がそれを阻止しようとしているのは正しい。

だが献身的で思慮深い優れた人たちでさえ、しばしば行き過ぎた考えをしている。

バイデン政権の予算案で大富豪への課税として考えられているものの中で、値上がりした株式を持っているが、まだ売っていないために利益は現金としては入ってきておらず、それを担保にお金を借りてもいない人への課税は、家族経営の会社へのダメージが大きすぎ、多くの人が公平と考える範囲を逸脱している。

こうした節税への対策としてバイデン政権が考えているのは、含み益への課税である。つまり、株式を売却していない段階で発生している利益について課税するというものである。

しかしそうすると、レストランのオーナーなど、小規模経営の会社の納税が一気に増すことになる。

結論

政治家の多くは富裕層から税金をせしめてやろうと躍起になっている。だが税制というのは非常に高度な専門分野であって、素人の思いつきでは上手くいかないのである。

富裕層への課税に賛成するサマーズ氏も、バイデン政権の案には次のようにコメントしている。

申し訳ないが、そういう考えは学者による机上の空論を大人が誰も止めなかったものと形容するしかない。

何故そうなるのか。根本的には、政府と民間の人材の能力差が問題の根底にある。

税制は高度な専門分野であり、その分野の第一人者は有名な会計事務所にいて、富裕層の資産が課税によって盗まれることから守る仕事に就き、合法的に課税を防ぐ代わりに多額の報酬を受け取っている。

一方でそういう人材は政府には行かない。報酬が違いすぎるからである。また、そもそも節税の補助を一生の仕事にしているような人々は政府による課税が正当だとは思っていないので、仮に同じ給料でも政府の仕事には就かないだろう。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
政府と会計の専門家の密かな戦争は大昔から続いてきた。興味のある人は以下の記事も読んでみてもらいたい。

アメリカに壊滅させられたスイスのプライベート・バンキング

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47393

12. 中川隆[-10603] koaQ7Jey 2024年5月16日 06:58:21 : QhE6X22Uxw : cXgyMlp1bWNPUi4=[10] 報告
超富豪オリガーキーに支配されるアメリカ帝国〜トップ0.01%層が牛耳る米国政治ー貧富の差は世界最悪!!!
伊藤貫セミナー Ito Kan Seminar (公式)
https://www.youtube.com/watch?v=yvbIOYtbcV0&t=16s
13. 中川隆[-10363] koaQ7Jey 2024年6月02日 08:41:36 : pd6waTzt6s : aUJjYTBxNUtiRGM=[4] 報告
<■67行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
アメリカの貧困地区には電気ガス水道電話もまともな住宅もない
2024.06.01
https://www.thutmosev.com/archives/35343.html

貧しい町の「家」はこんな感じ、アメリカ人は政府が公営住宅を建てろとは思わない


https://www.bbc.com/mundo/noticias-46976811
アメリカの非常に遅れている分野

アメリカは今も数千万人が住む地域にインターネットがなく電話も通じない場合があり、昔のように無線通信で外部と連絡を取っている場合がある

アメリカは資本主義なので利益の出ないサービスをする企業がなく、利益がなければ電気もガスも水道も電話もインターネットサービスもしない

以前ソフトバンクが米電話会社スプリントを買収したが、アメリカでは全土で電話サービスを提供している企業はなく世界的にもかなり遅れているのが分かった

ネット環境もそうで全米すべてで高速インターネットサービスを提供している会社が無く、今もダイヤルアップ回線しかない場所が存在する

携帯電話は都市から10キロも離れると圏外になることが多く、実は日本もそうなのだが都市や街への人口集中が強いので多くの場所で携帯電話が通じている

水道や電気のようなインフラでも資本主義は徹底していて、以前ある州で農業企業が水道会社に高い料金を提示して水道の権利を買い占めてしまった

おどろいた事に水道会社は住民より農業企業が高い料金を提示したのを理由に住民向け水道サービスを停止し、住民は隣町に水を買いに行っている

さらに驚くのはアメリカ合衆国は住民を救済するために何の行動も起こさず、「高い料金を提示した方に売るのは当然だよね」と住民自身も考えていた事でした

例えて言えば熊本市よりtsmcが高い料金を提示したので、水道会社が熊本市への給水サービスをやめて全量をtsmcに売ってしまうような話です

電力についてはアメリカでは日本より早く自由化が進められたが、もう想像した通り電力会社は高い料金を提示した方に電気を売る会社になり、多くの地域で電気料金は2倍程度値上がりした

そうなるのは結局電力会社が一つの地域に一つしか存在しないからで、電力を自由化しても首都圏3000万人に電気を供給できるのは東京電力しかない

この状態で電力を完全自由化したら、自分が東電の社長なら東京の電気料金を10倍に値上げして「嫌なら電気を使うな」と言います

電力を価格を含めて完全に自由化した国の多くは、現実にこんなくだらない事が起きています

アメリカには公営住宅がない
アメリカでは地域によって貧富の差が激しいがテキサス州のメキシコ国境の街は全米で有数の貧困地区だといわれている

エスコベアズは人口2500人で日本では村なのだがアメリカは人口に関係なく市で、住民の98%がスペイン語を話すメキシコ人やヒスパニックとなっている

アメリカの最低賃金は15ドル以上の地域があるがこの町は約7ドル1000円で、日本と同じだがアメリカの物価は日本の2倍以上です

アメリカの平均年収が6万ドル以上に対してエスコベアズの年収は3万ドルで450万円、日本と同じくらいだが物価は日本の2倍以上です

これがインフレで経済成長した国の現実でnyやシリコンバレーのような高収入の人が平均をあげてしまい、平均についていけない人は経済破綻してしまう

例えば日本の平均年収が1000万円になったとして東京の平均年収が2000万円で青森や沖縄は500万円のまま物価だけが現在の2倍か3倍になるイメージです

こうした取り残された町では貧困率が50%に達するがアメリカは資本主義なので社会保障がなく、公営住宅というものが存在しません

URや市営住宅のような建物を無数に立てれば住宅問題は解消するが、「それは共産主義で民間の事業だ」と言って反対する人がいます(トランプ大統領など)

アメリカ資本主義によると住宅問題は市場原理に任せるべきなので、国や市が住宅を建てると市場を歪ませて資本主義を破壊するらしいです

現実に破壊されているのは貧困層の住宅で、アメリカの貧しい州には倉庫やバラックのような(見た目廃墟)に住んでいる人が多く、実際は自分の家に住むホームレス状態です

アメリカには60万人以上のホームレスが居てまともな家に住めない人も無数にいるが、「国や市が住宅を建てるべきだ」と言うと「この共産主義の赤野郎」と非難されます

因みに東京都営住宅の平均家賃は2万円程度で貧困者は無料、そうした公営住宅が無数にあるので日本では貧困者が多くてもホームレスが少ない
https://www.thutmosev.com/archives/35343.html

14. 中川隆[-10084] koaQ7Jey 2024年6月27日 02:21:59 : ViQkSMeUe6 : RDg0UzN5WUR4bnM=[5] 報告
【伊藤貫】人類の支配者について〜資本主義と民主主義は両立しない【チョムスキー】
https://www.youtube.com/watch?v=pADY3NeMTnI
https://www.youtube.com/watch?v=WEnv5I8Aq4I&t=0s

超富豪オリガーキーに支配されるアメリカ帝国〜トップ0.01%層が牛耳る米国政治ー貧富の差は世界最悪!!!(伊藤貫)
https://www.youtube.com/watch?v=yvbIOYtbcV0&t=0s

伊藤貫セミナー Ito Kan Seminar (公式) - YouTube
https://www.youtube.com/@kpnews1216/videos
https://www.youtube.com/@kpnews1216/playlists

伊藤貫の真剣な雑談
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14111186

15. 中川隆[-9847] koaQ7Jey 2024年7月15日 01:23:47 : PuL4YszGro : Z2NXV1pJRkV0T28=[5] 報告
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コントのようなアメリカの万引き無罪法の顛末
2024.07.14
https://www.thutmosev.com/archives/36027.html

一つ一つの商品を鍵を開けて取り出してもらう


https://ja.foursquare.com/v/foodmaxx/4b6e417af964a52089b42ce3?openPhotoId=5cabb20ab3c961002c06f156
アメリカで大半の小売業が閉店危機

アメリカではほとんどの州で1000ドル(10万円から15万円)程度までの強盗や万引きが軽犯罪になり罪に問われなくなっている

警察が逮捕することもできるが軽犯罪なので起訴しても100%処罰無し、それどころか犯人を逮捕した店員や傾圧感が有罪判決を受けた事すらある

1000ドル未満万引きが軽犯罪なのは背景に貧困があり、貧困の背景しは人種間の格差や貧困の世襲といわれるような状況がある

悪いのは貧困であって彼らではないという考え方なので万引きをするのは正当な権利、それを暴力をもって防止したり拘束するのは人権侵害にあたる

悪質な万引き犯の多くは黒人なのだが、白人警官が黒人の犯人を暴力で逮捕した場合、事件はすぐ人種問題に飛び火する

犯人を捕まえた店員や警備員のほうが実際に有罪判決を受けた例もあり、多くの店は「万引きを制止したり妨害してはならない」というマニュアルになっている

ある有名な全米チェーン店で余りにも堂々と万引きをしているので、女性店員2人が警察に通報したところ、店側は社内ルールに違反したとして2人を解雇した

チェーン店として店員は「売上ゼロ」とレジに打ち込めばよかったのに、警察に通報したせいで業務に支障をきたしたのだという

数千ものアメリカの万引き動画が投稿されているが顔が写っていてもその動画をもとに逮捕された人は1人もいない

万引きを日常的にしている人がいて「1000ドル」は1回の犯行金額なので理論上は一日に何度も繰り返せるが、「同じ店では一日一回まで」というルールでやっている人が多い

同じスーパーに同じ人が毎日やってきて毎日1000ドル近くを持って行き、店員は見ていても声もかけないし堂々とカバンに詰め込んで出ていきます

これをビジネスにしているマフィアなどの組織もあって何しろ合法なのでリスクゼロで毎日一店あたり1人1000ドル盗めるので10店をハシゴすると毎日1万ドル×人数になる

最新の商店はもっとも非効率なシステム
こんなのが100人もいたら毎日100万ドル(1.5億円)が盗まれてしまうので、はっきり言えば黒人が多い地区の実店舗は凄い勢いで閉店している

NY、SF、LAなど大都市ではスーパーマーケットや商品を売る商店がなくなっていて、店があるべき市街地で買い物する場所がない

そんなアメリカでもようやく万引き対策をする店が増えてきているが、その方法は単純に「鍵付きケースに商品を入れる」というものだった

アフリカの店では銃を持った警備員が見張っていて店員にお願いすると鍵を開けて商品を出してくれるらしいですがそれとほぼ同じ

最先端の資本主義のアメリカはぐるっと回ってアフリカ最貧国の経済システムを導入したことになる

SNSによるとカリフォルニア州の多くの店舗が鍵付きになったらしいが、店員は前と同じ人数なので鍵を開けてもらうのに時間がかかる

店員は常に鍵を開けて欲しいという客に呼び出されていて、ちょっと計算すると10分間で10人の客が5つの商品を買っただけで、毎分5つ以上の鍵をあけて商品を取り出さなくてはならない

最近は盗難が多発し過ぎてセルフレジすら廃止する店が増えていて、商品は鍵を開けて取り出してもらい有人レジで会計してもらう

この”システム”はうまく機能しておらず呼び出しベルを鳴らして店員が来るまで10分以上かかったり、開けてくれる店員が見つからず何も買わずに店から出て行く人もいる

多くの客が多くの商品を同時に買うような店では絶望的で、これよりはネットで注文してドライブスルーで受け取るシステムがましに思える

宝石店以外では結局店員がカギを開ける仕組みはうまく行きそうになく、客が自由に商品を手に取れる仕組みは昔話になりそうです
https://www.thutmosev.com/archives/36027.html

16. 中川隆[-9603] koaQ7Jey 2024年8月05日 18:57:41 : DbOIAtchfM : SXVZcGE0bHhsSVU=[22] 報告
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上位1%が富の半分を所有するアメリカの仕組み
2024.08.05
https://www.thutmosev.com/archives/80434166.html

貧しい人は高金利で借金し、支払った金利は富裕層の資産になる

富裕層向けの金利は驚くほど低く、税金も払わなくて良い

120124.poor-america
画像引用:http://blog.hix05.com/blog/Photo2012a/120124.poor-america.jpg
中流以下の借金が資産家の資産になっている

ある統計によるとアメリカでは数千人の資産家が富の半分を所有しています

別の言い方では10人ほどの資産家がアメリカの全資産の1割を所有し、アメリカの数十人が全世界の半分を所有しています

世界全体でみると人類の1%が下位80%以上の富を独占し、99%の人が18%を奪い合っています

日本は違うよというのも間違いで、人口の2%が約17%の個人資産を所有しています

アメリカや欧米の報道は偏っていて、「10人の資産家が人類の半分を所有している」のような言い方をします

この時の人類の半分は貧しい人から数えて人類の半分で、貧しい人は最初から資産を持っていません

「上位26人が下位38億人分の富を保有」も同じ論法で、下から数えるのでとんでもない人数に増えます

例えば平均的な日本人の年収250万円は、世界では上位2%の高収入であり、普通の日本人はアフリカ人100人分くらいを所有している事になる

所得で計算するとアメリカでは上位1%の所得が、1980年に国民総所得11%だったが現在は20%を占めている

一方アメリカの下から50%の低所得層は、以前は国民総所得の20%だったが現在は12%に減少した

貧しい人は所得があっても支払いで消え、豊かな人は所得のほとんどが資産になるので、資産格差は所得より遥かに大きいでしょう

こうした富の独占が起きる理由は、貧しい人の借金が資産家の資産になるという、資本主義のメカニズムによるものです

私たちは銀行やカード会社などから借金をしますが、そのお金はどこから来るのでしょうか?

銀行は預金した人の預金や、投資家の投資、日銀から調達などを元手にしてお金を貸しています

知っての通り現在は銀行預金は10年金利が‎0.02%という超低金利で、銀行はタダでお金を調達しています

皆さんがカードで買い物した時の金利は年16%、銀行が運営するカード会社はタダで調達したお金を貸して16%も儲けています

資産家は働かずに貧困者からお金を受け取る
実際には住宅ローンなどの貸し出し金利も低金利下が進んで、多くの銀行の貸出金の平均金利は1%を下回っています

ともあれ貧しい人ほど高金利でお金を借り、豊かな人はその配当を受け取るという仕組みが存在します

貧しければ貧しいほど金融機関は高金利で貸し、支払いで得たお金を配当として富裕層に配っています

富裕層はまったく労働しなくても毎日お金が増えていき、貧しい人は汗水たらして働いて高金利を払っています

この仕組みがあるから貧しい人はどんどん貧しく、お金持ちはどんどん資産が増えていくのです。

日本の個人資産は約2,000兆円超で米国の個人資産は約120兆米ドル(1京8000兆円)というとんでも無い額ですが、庶民には無関係な数字です

アメリカの金融資産は上位1%が3割を保有していて上位10%が7割を保有、日本では上位1%が24%を保有し上位10%が57%を保有しているという数字があります

資産10兆円のwバフェットは以前、「私より使用人のほうが納税額が多い」と言っていました

それだけアメリカの富裕層は納税しておらず、富裕層に増税するべきだという趣旨でした

その後も富裕層増税は行われずバフェットだけが自主的に納税した話も聞かないので、相変わらず特権を甘受している

バフェットの2015年の総所得は1156万ドルで547万ドルの税控除を受け、184万ドル(約1.9億円)の連邦所得税を支払った

バフェットは真面目に払っているようだがおかしな点があり、年収11億円で資産10兆円になるには1000年もかかる

バフェットの資産の多くは株や土地や権利に化けていて、それらの増加にはおそらく所得税がかかっていない

アメリカの富裕層は相続税も払っておらず、資産数兆円ともなると相続税を払わなくてもいい仕組みがある

ビルゲイツは資産13兆円で、2017年頃に「資産全額を寄付する。もうお金に興味が無い」と言って世界を驚かせた

これには裏がありビルゲイツはゲイツ財団をつくり資産を寄付したが、財団は営利事業をして出資者に配当金を出す

ゲイツが100%出した財団が年1000億円の利益を上げたとすると、数百億円が配当としてゲイツに支払われる

娘や息子を財団役員にすると配当は子供に支払われ、事実上相続税なしで13兆円を子供に渡すことが出来る

つまりアメリカの富裕層は年収の1%も税金を払っておらず、相続税は1ドルも払っていない
https://www.thutmosev.com/archives/80434166.html

17. 中川隆[-9296] koaQ7Jey 2024年8月28日 17:11:28 : 64fh0dvUVg : dlRGYWFrUXh6L1U=[15] 報告
特番「左右ではなく上下の分断が進む米国!そしてトランプは何と戦っているのか?」ゲスト:経済安全保障アナリスト 平井宏治氏
松田政策研究所チャンネル 2024/08/27
https://www.youtube.com/watch?v=d26x_6s7eQs
18. 中川隆[-8878] koaQ7Jey 2024年10月11日 07:12:45 : S5ZERITXNY : SWxYenozNG0uVDI=[6] 報告
<■1148行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
イラク戦争の背景

東北学院大学講師・世界キリスト協議会前中央委員
川端 純四郎

 ご紹介いたします。

 先生は1934年のお生まれです。東北大学文学部に学ばれ、博士課程を終えられてから、ドイツのマールブルグ大学に入学されました。帰国後、東北学院大学教員として35年間お勤めになりました。その後ひきつづき講師として、現在も勤務されています。一貫して平和、人権、政治改革の活動に積極的に関わっておいでになりました。

 「9条の会」の講師団メンバーとしても、全国を股にかけて講演なさっており、昨年は1年間で80回以上の講演会を開いておられます。

 先生は今朝8時前に仙台を発ち、はるばる鋸南町においで下さいました。今日の講師としてほんとうにふさわしく、よいお話をうかがえると思います。早速、先生からお話をうかがいたいと思います。 先生、どうぞよろしくお願いいいたします。
                                        安藤

 みなさん、こんにちは。 安房郡の水清き鋸南町に伺って、こうしてお話できることをありがたいと思っています。初めておうかがいしました。木更津まで来たことはあるのですが、今日、電車で君津を過ぎたらとたんに山が美しくなり、あそこまでは東京郊外のなんとまあみっともない風景でしたけれど、あそこから南に来ると一気にほんとうに昔のよき日本の風景がよみがえってくるようでした。ほんとうに嬉しく思いました。

 いま、「さとうきび畑」の朗読と、合唱団のコーラスをお聞きしたのですが、どちらも聞いていて涙が出ました。

 私は、戦争に負けた時小学校6年生でした。仙台で敗戦を迎えましたが、仙台も空襲で全滅いたしました。街の真ん中にいましたから、もちろんわが家も丸焼けでした。忘れられない思い出があります。街の真ん中の小学校でしたから、同級生が一晩で8人焼け死にました。隣の家の、6年間毎日いっしょに学校へ適っていた一番仲の良かった友達も、直撃弾で死にました。今でも時々思い出します。

 今このような歌を聞くと、どうしてもその人のことを思い出します。思い出す私の方はもう70になりますが、記憶に出てくるその三浦君という友達は、小学校6年生のまま出てきます。どうして小学校6年で人生を終わらなければいけなかったのか、生きていてくれたらいろんな事があったのに、と思います。戦争なんて二度としてはいけない、というのが一貫した私の願いです。

 私は牧師の家に生まれました。父はキリスト教の牧師で、教会で生まれ教会で育って、讃美歌が子守歌でした。牧師の中には戦争に反対した立派な牧師さんもおられたのですが、私の父のような多くの普通の牧師は、政治や社会に無関心で魂の救いということしか考えていませんでした。で、私もその親父に育てられましたから、大学を出、大学院に入って博士課程までいって、ずっとキルケゴールや実存哲学という、魂だけ見つめているような学問をやっていて、政治とか経済、社会とかは25歳までいっさい関心がありませんでした。

 25歳の時チャンスがあって、ドイツ政府の招待留学生となってドイツヘ勉強に行くことになりました。1960年のことでした。1960年にドイツへ行ったというだけで、どんなにノンポリだったか分かります。安保改訂問題で日本中が大騒ぎの時、それを尻目に悠々とドイツ留学に行ったのです。幸か不幸かまだ世界は貧しくて、飛行機などというものは贅沢な乗り物で、まだジェット旅客機機はありませんでした。プロペラ機でヨーロッパヘ行くには途中で何遍も何遍も着地し、給油して、今のようにノンストップでシベリヤを越えて、などというのは夢のような話でした。しかもベラ棒に高いのです。船の方があの頃はずっと安かったのです。特に貨物船に乗せてもらうと飛行機よりずっと安いのです。そこで一番安いのを探して、5人だけ客を乗せるという貨物船をみつけました。

 その船で神戸を出航し、インド洋からスエズ運河をぬけ、地中海を渡ってイタリアのジェノバに上陸。そこから煙を吐く蒸気機関車でアルプスを越えて、ドイツのマールブルクという町に着きました。

 実は、飛行機をやめて船で行ったということが、私の人生を大きく変えることになりました。あの時もし飛行機で行ったなら、私は一生、世間知らずの大学に閉じこもって勉強だけしている人間で終わった、と思います。

 ところが船で行ったおかげで、しかも貨物船に乗ったおかげで、私は途中のアジア・インド・アラブの国々をくわしく見ることができました。まっすぐ行けば船でも二週間で行くそうですが、何しろ貨物船ですから、途中港、港に寄って荷物を下ろし、また積んで、一つの港に4日から5日泊まっているのです。おかげでその間、昼間は上陸してそのあたりを見て歩き、夜は船に帰って寝ればいいのですから、東南アジアからアラブ諸国をくまなく見て歩きました。

 1ヵ月かかりました。神戸からジェノバまでのこの船旅。その時見たものが、私の人生を変えたのです。何を見たかはお解りですね。アジアの飢えと貧困という厳しい現実にぶつかったのです。

 降りる港、港で、ほんとうに骨と皮とに痩せせこけた、裸足でボロボロの服を着た子供達が、行く港も行く港、集まって来るのです。船の事務長さんに、「可哀想だが、何もやっては駄目だよ。1人にやると収拾がつかなくなるよ」と言われていました。だから心を鬼にして払いのけて通り過ぎるのですが、その払いのけて通り抜ける時に触った子供の肩、肉などなんにもない、ただ骨と皮だけのあの肩、あの感触が、今でも時々蘇ってきます。

 船に帰って、眠れないのです。明日も、あの子供たちに会う。どうするか。私が考えたことは、「神様を信じなさい。そうすれば救われます」と言えるか、ということでした。

どんなに考えたって、言えるわけがありません。飢えて捨てられた孤児たちに、こちらは着るものを看て、食うものを食っておいて、「神様を信じなさい、そうすれば救われます」などとは、口が裂けても言えないと思いました。牧師館で生まれて、キリスト教しか知らずに育って、キリスト教の学問をして来て、それではお前キリスト教って何なのか、25年お前が信じてきたキリスト教とは、飢えた子供たちに言えないようなキリスト教なのか。とれが私の考えたことでした。

 もし言えるとしたら、ただ一つしかない。そこで船を降りて、服を脱いで、子供たちに分けてやって、食っているものを分けてやって、そこで一緒に暮らす、それなら言える。言えるとしたら、それしかありません。言えるじゃないか、と自分に言い聞かせました。

 それなら、船を降りるか──。くやしいけど、降りる勇気がありませんでした。折角これからドイツヘ勉強に行くという時、ここで降りて、一生インドで暮らすのか、一生アジアで暮らすのか、どうしてもその気にならないのです。
 ですから理屈をこねました。

 「降りたって無駄だ。お前が降りて背広一着脱いだって、何百人人もいる乞食の子に、ほんの布切れ一切れしかゆきわたらないではないか。自分の食うものを分けてやったって、何百人もの子供が1秒だって、ひもじさを満たされる訳がないじゃないか。お前が降りたって無駄だ。それは降りたという自己満足だけで、客観的にはあの子らはなんにも救われない。」

 「だから降りない、勇気がないのではなく、無駄だから降りない。」と自分に言い聞かせるのです。でも、降りなければ「神様を信じなさい」とは言えません。言えるためには降りなければならない、しかし降りても無駄なのだ。

 堂々巡りです。寄る港、寄る港でこの間題に直面しました。毎晩毎晩同じ問題を考え続けて、結局、答えが見つからないまま、閑々として港を後にしました。、出港の時、あの子たちを見捨て自分だけドイツへ行くことに、強い痛みを感じました。これは永く私の心の傷になって残りました。

 このようにして初めて、世の中には飢えた仲間がいるという、当然分かっていなくてはいけない事実に、何ということでしょう、25にもなってやっと気づいたのです。飢えた子供たちがいる、それを知らんぷりしてドイツに行くのか、お前が降りてあの子たちと一緒に暮らすことはあまり意味ないかも知れない、しかしやっぱり船を降りないのだとしたら、せめて世の中に飢えた子供なんか生まれないような社会を作るために、自分で何かしなければいけないのではないか。ただ魂の中だけに閉じこもっていていいのか。

 これが、私がヨーロッパヘ行く1ヵ月の旅で考えたことでした。

 ドイツヘ行って、宗教の勉強をしました。ブルトマンというドイツの大変偉い先生の所に1年いて、いろいろ教わりましたが、結局、私の結論としては、実存哲学だけではだめだということでした。自分が自分に誠実に生きる──これが実存的、ということですが、それだけでは駄目だ。自分が生きるだけでなく、みんなが人間らしく生ることができるような世の中になるために、自分にできる何か小さなことでもしなければいけない。

 こう思うようになって、日本に帰ってきたのです。

 それじゃあ、世の中で、そのように飢えて死ぬような子がいなくなるような社会とは、どうすれば出来るのか。これはやっぱり、飢え、貧困、戦争、差別、そういうものが生まれる原因が分からなければ、除きようがありません。原因を勉強しなければいけない。そのためには社会科学を勉強しなければいけない。特に経済学を勉強しなければいけない──。

 ドイツヘの留学は、大学院の途中で行きましたので、帰国して大学院に復学しました。幸い東北大学は総合大学ですから、中庭をへだてて向こう側が経済学部でした。帰ってきた次の日から、私は、経済学部の講義を経済原論から、授業料を払わずにもぐりで、後ろの方にそっと隠れてずっと聞きました。

 それからもう45年になりますが、ずっと宗教哲学と経済学と2股かけて勉強してきています。今日も、多少経済の話を申し上げるわけですが、やっぱり自分がクリスチャンとして、今もクリスチャンであり続けていますが、同時に、自分の救いということだけ考えていたのでは申し訳ないと思うのです。現実に飢えて死ぬ子がいるのです。ユネスコの統計によると、毎日2万人の子が栄養不足で死んでいるそういう世の中、このままにしておくわけにはいかない、自分でできることは本当に小さいけど、その小さなことをやらなかったら、生きていることにならない──。そう思って45年過ごしてきたわけです。

 キリスト教の中でずっと生きていますので、一般の日本の人よりは外国に出る機会が多いと思います。特に世界キリスト教協議会という全世界のキリスト教の集まりがあります。その中央委員をしていましたので、毎年1回中央委員会に出かけて、1週間か2週間会議に参加しました。世界中のキリスト教の代表者と一つのホテルに缶詰になり、朝から晩までいろいろと情報交換したり論議したりします。そのようなことを7年間やりましたので、世界のことを知るチャンスが多かったと思います。それを辞めてからも、自分の仕事や勉強の都合で、今でも毎年二週間ぐらいはドイツで暮らしています。そうしていると、日本ってほんとうに不思議な国だということが分かってきました。

 日本にいるとなかなか分からないのです。島国ですし、おまけに日本語という特別な言葉を使っています。他の国との共通性がない言葉です。ヨーロッパの言葉はみんな親戚のようなものですから、ちょっと勉強するとすぐ分かります。一つの言葉の、ドイツ弁とフランス弁、ベルギー弁、オランダ弁というようなものです。日本で言えば津軽弁と薩摩弁の違い程度のものです。津軽と薩摩では、お互いに全然通じないとは思いますが、それでも同じ日本語なのです。ヨーロッパの言葉とはそういうものです。ですからお互いに何と無く外国語が理解できるというのは、別に不思議なことではないのですね。ですから、自分の国のことしか知らないという人は、非常に少ないのです。

 新聞も、駅に行けばどんな町でも、ヨーロッパ中の新聞が置いてあります。ドイツのどんな田舎町へ行っても、駅にいけばフランスの新聞もイタリアの新聞も売っていますし、それを読める人がたくさんいるのです。そういう社会ですから、日本人とはずいぶん違います。自分の国を客観的に見られる。他の国と比べて見ることができるのです。

 日本にいると比べられません。そのうえ、日本はマスコミが異常です。ワンパターンのニュースしか流しません。ヨーロッパではいろんなテレビがあって、テレビごとに自由な報道をやっています。バラエティー番組のようなものがなくて、ニューハ番組が充実しています。きちんとした議論をテレビでやっています。ですから日本にいるよりは、比較的自分の国の様子を客観的に見られることになります。ドイツに行く度に、日本とは不思議な国だなあと思うのです。

 例えば、もうだいぶ前、バブルの頃です。日本のある有名なモード会社がミラノに支店を出しました。そしてマーケティング調査をしました。どんな柄が流行っているか、アンケートを集めそれを整理するために、イタリア人女性3人雇ったそうです。アンケートの整理をしていたら5時になりました。あと少ししか残っていなかったので、日本ならの常識ですから、「あと少しだからやってしまおう」と日本人支店長は声をかけました。ところがイタリア人女性3人は、すっと立って「5時ですから帰ります」と言って出て行こうとしました。思わず日本人支店長は怒鳴ったのだそうです。「たったこれだけだからやってしまえ」と。途端にこの日本人支店長は訴えられました。そして「労働者の意志に反する労働を強制した」ということで、即決裁判で数万円の罰金をとられました。

 これがヨーロッパの常識です。つまり9時から5時までしか契約していないからです。5時以後は命令する権利はないのです。9時から5時までの時間を労働者は売ったんであって、5時以降は売っていないのですから、自分のものなんです。会社が使う権利はありません。当たり前の話です。

 その当たり前の話が日本では当たり前ではないのです。残業、課長に言われたので黙ってやる。しかもこの頃は「タダ残業」ですからネ。本当にひどい話です。常識がまるで違うのです。あるいは有給休暇。ドイツのサラリーマンは年間3週間とらねば「ならない」のです。3週間休まなければ罰せられます。日本は有給休暇など殆どとれません。ドイツでは取らないと罰せられます。ですからどんな労働者でも3週間、夏はちゃんと休んで、家族ぐるみイタリアへ行ってゆっくり過ごしてきます。有給になっているからです。或いは日本では1週間40時間労働です。ドイツはもう随分前から36時間です。土日出勤などありえない話で、日本のように表向き40時間労働でも、毎日毎日残業で、その上休日出勤、日曜日には接待ゴルフなど馬鹿なことをやっています。接待ゴルフなど、ドイツには絶対ありません。日曜日は各自が自由に使う時間で、会社が使う権利はないのです。

 そういうところもまるで常識が違います。或いは、50人以上だったと思うのですが、50人以上従業員がいる会社、工場は必ず、労働組合代表が経営会議に参加しなければいけないことになっています。そんなことも、日本では考えられないことです。ですから配置転換とかもとても難しいし、労働者の代表が入っているから、簡単に首は切れません。

 そういういろんな面で、日本の外に出てみるとびっくりするようなことが山ほどあります。日本という国は、高度に発達した資本主義国の中で例外的な国なのです。資本主義が発達した点では、アメリカにもフランスにもドイツにも負けないのですが、資本主義が発達したにしては、労働者が守られていない。或いは市民の権利が守られていない。会社の権利ばかりドンドンドンドン大きくなっているのです。それが日本にいると当たり前のように思われています。外国で暮らしていると、日本は不思議な国だと分かります。特にこの数年それがひどくなってきているのではないでしょうか。

 私たちの暮らしは、戦後50何年かけて、少しずつよくなってきました。例えば年金なんかも少しずつ整備されてきた。健康保険制度も整備されてきた。介護保険も生まれてきた。或いは、労働者も土曜日チャンと休めるようになってきた。ところがこの数年、それが逆に悪くなつてきています。年金は削られる一方、介護保険料は値上がりする、労働者は首切り自由でいくらでも解雇できる。労働者を減らすと政府から奨励金が出る。タダ残業はもう当たり前・・・。

 特にこの数年、構造改革という名前で、日本の仕組みが変わってきています。いま申し上げたように、戦後50年かけてみんなで、少しずつ少しずつ作ってきた、いわば生活の安心と安全を守る仕組み、そういうものが今はっきり壊されかかっているのではないでしょうか。

 小泉首相という人は「自民党をぶっ壊す」といって当選したのですが、この4年間を見ていると、あの人は自民党を壊したのではなく「日本を壊した」のではないかと思われます。これまで日本が戦後50年かけて作ってきた社会の仕組みが、バラバラにされているのです。フリーターとかニートがもう30%でしょう。そうなると当然、この人たちは生きる希望がありません。お先真っ暗。いまさえよければ、ということになる。ですから若者が当然刹那的になる。人生の計画なんて立たない。今さえよければということになっていきます。

 昔なら10年に1回あるかないかのような犯罪が、いま毎日のように起きています。私は仙台にいますが、この正月には赤ん坊の誘拐事件で一躍有名になってしまいました。あんなことが日常茶飯事として起こっています。栃木県で女の子が山の中で殺された事件は、まだ解決されていませんが、こんな事件が今は「当たり前」なのです。世の中がすさんできて、何が善で何が悪なのか、みんなに共通な物差しというものがなくなったというふうに思われます。

 そのような世の中の変化、私は多分、「構造改革」というものがその犯人なのだ、と思っています。

《逆戻りの原因はアメリカの変化》

 その構造改革というのは、どこから来たのか。もちろんアメリカから来たのです。アメリカが変化した、日本はそのアメリカに右ならえをした、それが構造改革です。

 それでは何が変わったのか、これが一番の問題です。この変化の行き着くところが、憲法改悪です。

 社会の仕組み全体がいま変わろうとしているのです。憲法も含めて。いったい何がどう変わるのか。いったいどういう構造をどういう構造に変えるということが構造改革なのか。そこのところがアメリカを見ればよく分かってきます。アメリカがお手本なのですから。

 アメリカはソ連崩壊後変わりました。ソ連とか東ドイツは自由のないいやな国でした。昔1960年に西ドイツヘ留学した折、東ドイツへ何回か行く機会がありました。ふつうはなかなか行けないのですが、幸いキリスト教国なので、ドイツのキリスト教はしっかりしていまして、東ドイツと西ドイツに分裂しても、教会は分裂しなかったのです。東西教会一つのまんまです。ですから、教会の年1回の大会には、西で開く時は東の代表がちゃんと来たし、東で開く時は西の代表が行けたのです。ですから一般の人の東西の往来が難しかった時でも、キリスト教の人だけはかなり自由に行き来ができました。

 私も連れていってもらって、何回か東ドイツへ行って見ました。ご存じのように自由のないいやな国でした。ですからソ連や東ドイツが崩壊したのは当然だし、いいことだと思います。しかしソ連や東ドイツが100%悪かったかというとそんなことはありません。良い部分もありました。何から何まで全部ひっくるめて悪だったというのも間違いです。基本的に自由がない。ですから、ああいう国は長くは続かない。これは当然そうだと思います。滅びたのは当然だと私は思います。

 しかし同時に、良い面はなくしては困るのです。良い面は受け継がなければいけません。最も目につくのは女性の地位でした。これは立派なものでした。いまの日本なんかより遥かに進んでいました。男女の平等が徹底的に保障されていました。専業主婦などほとんど見たことがありません。だれでも自由に外に出て、能力に応じて働いていました。それができるような保障が社会にあるのです。文字通りポストの数ほど保育所があって、子供を預け安心して働きに出られるようになっていました。同一労働同一貸金の原則はきちんと守られていて、女性だから賃金が低い、女性だからお茶汲みだけなどというようなことは一切ありませんでした。これは凄いなと思いました。あれは、日本はまだまだ見習わなければいけないことです。

 もう一つ私がびっくりしたのは、社会保障です。私が初めて東の世界を見たのは、何しろ1960年の頃のことです。日本はまだ社会保障がない時代でした。いま若い方は、社会保障はあるのが当たり前と思っておられる方も多いと思いますが、そんなことはないのです。日本は1972年が「福祉元年」といわれた年です。それまでは、福祉はなかったのです。大企業とか公務員だけは恩給がありましたが、商店の経営者とか家庭の主婦なんか何もありませんでした。健康保険も年金も何もありませんでした。72年からようやく国民皆年金、国民皆保険という仕組みが育ってきたのです。

 もともと資本主義という仕組みには、社会保障という考えは無いのです。自由競争が原則ですから、自己責任が原則です。老後が心配なら、自分で貯めておきなさい。能力がなくて貯められなかったら自業自得でしょうがない。こういうのが資本主義の考え方です。労働者が、そんなことはない、我々だって人間だ、人間らしく生きていく権利がある。だから我々の老後をちゃんと保障しろと闘って、社会保障というものが生まれてくるのです。自然に生まれたのではありません。

 労働者が団結して闘って、止むを得ず譲歩して社会保障が生まれてくるのです。資本主義の世界で最初の社会保障を行ったのはビスマルクという人です。ドイツの傑物の大首相といわれた人です。ドイツの土台を作った人ですが、この首相の頃、何しろマルクス、エンゲルスの生まれた故郷ですから、強大な共産党があり、国会で100議席くらいもっていました。そこで、ビスマルクが大弾圧をやるのです。社会主義取り締まり法という法律を作って共産党の大弾圧をし、片方では飴として労働者保険法という法律で、労働者に年金を作ります。世界で初めてです。辞めた後年金がもらえる仕組み、病気になったら安く治してもらえる仕組みを作った。こうやって鞭と飴で労働運動を抑えこんでいったのです。

 社会保障というのは、そうやって労働者の力に押されてやむを得ず、譲歩として生まれてくるのです。放っておいて自然に生まれてくるものではありません。

 そこへ拍車をかけたのが、ソ連や東ドイツです。ソ連や東ドイツヘいってみて、1960年の時点なのですから、日本にまだ社会保障などなかった時、そう豊かではなかったのですけれども、老後みながきちんと年金をだれでも貰える、そして、病気になればだれでも、医者に行って診察を受けて治療を受けられる。これにはほんとうに驚きました。これが社会主義というものかと、その時は思いました。ただ自由がないのです。例えば、牧師さんの家に泊めてもらうと、こちらがキリスト教徒ということが分かっていますから、牧師さんも信用して内緒話をしてくれるわけです。

外国から来る手紙はみな開封されていると言っていました。政府が検閲して開封されてくる。だから、「日本へ帰って手紙をくれる時は、気をつけて書いてください。政府の悪口など書かれると私の立場が悪くなるから。手紙書くときは開封されることを頭に入れて書いてくれ。」というふうに言われました。こんな国には住みたくないなと思いましたけれど、同時に社会保障という点では驚きました。こういうことが可能な社会の仕組みというのがあるんだなあ、とこう思ったのです。

 その後、スターリン主義というものによって目茶苦茶にされていくのですが、私の行った頃はまだ、東側の社会保障がある程度きちっと生きていた時代です。こうして、ソ連や東ドイツが社会保障というものを始めると、資本主義の国もやらざるをえなくなってきます。そうでないと労働者が、あっちの方がいいと逃げ出してしまいます。ですから西ドイツが一番困りました。地続きですから、何しろ。ですから、東に負けないだけの社会保障をしなければならなかったのです。そうすると、自由があって社会保障があるのですから、こっちの方がいいということになります。いくら向こうは社会保障があっても自由がないのです。こうして西ドイツは大変な犠牲を払って、社会保障先進国になってきました。そのことによって、東ドイツに勝ったのです。

 実際西ドイツの労働者は、別に強制されたわけではありません。自主的に西ドイツを選んだのです。ですからあのような東西ドイツの統一も生まれてきたのです。

 つまり資本主義の国は、ひとつは自分の国の労働者の闘いに押されて。そこへもってきて、ソ連、東ドイツの社会保障という仕組みの外圧で、それに負けるわけにいかないものですから、そういう力があって、社会保障というものを造り出していくのです。しかし社会保障というものは莫大な財源がかかります。


《社会保障をやめて小さな政府へ──構造改革の中身(1)》

 いま日本政府は社会保障をどんどん削っていますけど、それでも国家予算の中で一番多い費目は社会保障です。大変な財源が必要なのです。そこで資本主義の国は、新しい財源を見つける必要ができてきます。

 そこで見つけたのが2つ。1つは累進課税です。それまでの資本主義にはなかった、累進課税という新しい仕組みです。つまり収入の多い人ほど税率が高くなるという仕組みです。日本でも1番高い時は1980年代、1番大金持ちはの税率75%でした。ですから、年収10億あれば7億絵5千万円税金にとられたのです。今から考えれば良く取ったものです。今は35%です。大金持ちは今ほんとうに楽なのです。35%ですむのですから。年収10億の人は3億5千万払えばいいのです。昔なら7億5千万取られたのです、税金で。「あんまり取りすぎではないか、これは俺の甲斐性で俺が稼いだ金。それを取り上げて怠け者のために配るのか。」と彼らはいいました。

 そうすると政府は、「いやそういわないでくれ。そうしないと、資本主義という仕組みがもたない。だから体制維持費だと思って出してくれ。そうでないと社会主義に負けてしまう」と言って、大金持ちからたくさん取ったのです。大企業も儲かっている会社からたくさん税金取った。法人税もずっと高かったのです、以前は。こうやって大金持ち、大企業からたくさん取る累進課税で一つ財源を作ったのです。

 もうひとつは、企業負担です。サラリーマンの方はすぐお分かりですが、給料から社会保障で差し引かれますね。そうすると、差し引かれた分と同額だけ会社が上乗せするわけです。自分が積み立てたものが戻ってくるだけなら、貯金したのと同じです。労働者の負担する社会保障費と同額だけ会社も負担しているのです。倍になって戻ってくるから、社会保障が成り立つわけです。

 これも資本主義の原則からいえば、おかしいことです。いまいる労働者の面倒を見るのは当たり前です。会社は労働者がいるから成り立っているのですから。だけど、辞めてからは関係ないはずです。契約関係がないのですから。辞めた人が飢え死にしようがのたれ死にしょうが、会社の責任ではないはずです。

 だけども一歩ふみこんで、それでは資本主義の仕組みがもたないから、労働者が辞めた後まで面倒みてくれ、そこまで企業負担してくれ、そうしないと資本主義がもたないから、ということになります。

 こうやって、社会保障というものが資本主義の国で成り立っているのです。これは、ただの資本主義ではありません。資本主義の原則に反するような累進課税とか、企業負担というものを持ち込んで、社会主義のよいところを取り入れた資本主義です。これを「修正資本主義」と呼びました。

 資本主義の欠点を修正して、社会主義に負けないようないい仕組みに造り直した資本主義ということです。学者によっては、資本主義の経済の仕組みと社会主義経済を混ぜ合わせた「混合経済」と呼ぶ人もいます。所得再配分機能を政府が果たすということです。もちろん修正資本主義というものは、このような良い面だけではなくて、公共事業という名前で国民の税金を大企業の利益のために大々的に流用するというようなマイナスの面もあることも忘れてはなりません。

 しかし、ともかくこうやって、西側の世界は、自由があって社会保障がある、そういう社会に変わっていくのです。そのことで東に勝ったのです。ところが、そのソ連と東ドイツが居なくなったのです。

 その前にもうひとつ。先進資本主義国というのは或る一種の傾向として、労働者が闘わなくなってきます。これは先進資本主義国の宿命のようなものです。つまり資本主義国というのはご存じのように、地球上の大部分を占めている低開発諸国、貧しい第3世界といわれた世界から、安い原料を買ってきてそれを製品にして高く売っています。そして差額、莫大な差額を儲けている。超過利潤と呼ばれています。だから遅れた国は働けば働くはど貧しくなるのです。一生懸命働いてコーヒー豆作っても、それを安く買われてチョコレートやインスタントコーヒーなどの製品を高く買わされるのですから、結局差額だけ損をすることになります。

 この20年、先進国と遅れた国の格差は開く一方、全然縮まらない。地球上の富を先進国が全部集めちゃって、とびきりぜいたくな生活をやっています。ですから先進国の労働者にも、当然そのおこぼれの分け前に預かるので、低開発国の労働者にくらべれば、ずっと豊かになります。豊かにれば闘わなくなってしまいます。その上、それを推し進めるようなありとあらゆる謀策が講じられているのです。

 資本主義というのは、物を売り続けなければなりたたちません。売ったものをいつまでも使われていたのでは、資本主義は成り立たないのです。早く買い換えてもらわなければなりません。いま、日本の車はよく出来ているので、30年は楽に乗れるのに、30年乗られたら日本の自動車会社はみな潰れます。3年か5年で買換えてもらわなれりばいけません。買い替えてもらうには、自分の車は古いと思ってもらう必要があります。ですからコマーシャルで、朝から晩まで何回も、「あんたは古い、あんたは古い。こんないい車ができてます。こんな新しい車が出ましたよ。もっといいのが出ましたよ」と宣伝して洗脳しいるのです。だから3年も乗ると、どうしても買換えざるをえない心境に引き込まれてしまいます。全てのものがそうです。まだまだ使えるのに新しいものに換えてしまう。そういう仕組みができているのです。

 そうしないと、資本主義はもちません。ですから労働者はどうなるかというと、「次、この車に買換えよう、次、パソコンこっちに買換えよう、次、今度はデジタルテレビに買換えよう、じゃあセカンドハウス、つぎは海外旅行・・・」。無限に欲望を刺激され、自分の欲望を満たす方に夢中になって、社会正義とか人権とか考えている暇がなくなっていくのです。

 いま日本の大部分がそうですね。「もっといい生活を」ということだけ考えています。ほかの人の人権だの社会正義なんて見向きもしない。見事に資本の誘惑にひっかかってしまいます。

 もちろん、欲しいからって、お金がなければ買えません。家がほしい、車がほしい、パソコンほしい・・・。それが、実はお金がなくても買える、なんとも不思議な世の中です。ローンというものがあるのですね。

 フォードという人が見つけたのです。それまでは、「つけ」で何か買うなどということは、労働者にはありませんでした。労働者が「つけ」で買ったのはお酒だけです。酒飲みはお金がなくても飲みたいのです。だから酒屋だけは「つけ」がありました。大晦日に払うか払わないかで夜逃げするかどうかもあったでしょうが、今は家を「つけ」で買う、車を「つけ」で買う、なんとも奇妙な世界になってきました。これをフォードが始めたのです。それまでは、自動車というのは大金持ちのものでした。フォードが、あのベルトコンベアーというのも発明して、大量生産を始めたのです。そうなれば、大量に売らなれりばなりません。大量に売るためには労働者に買ってもらわなくてはなりません。でも労働者にはお金がないのです。そこで、ローンという、とんでもないものを考え出したのです。ローンなら金がなくても買えるんですから、みんな買う。当然な話です。

 そりゃあ豊かなのに越したことはありません。マイホームが欲しくなる。ですからみんなローンで買う。そして「マイホーム」という感じになるのです。でも本当はマイホームではありません。あれは銀行のものです。払い終わるまでは、所有権は銀行のものです。銀行から借りてローン組んだだけなんです。こうして次々と新しいものを買わされていく。そのローンは多くの場合退職金を担保に組みます。一度退職金を担保にローンを組んでしまったら、ストライキはできなくなります。会社と闘って退職金がすっとんだら終わりなのです。家も途中でおしまいになってしまいます。ですから、ローンでマイホームが変えるようになってから労働運動は一気に駄目になりました。みんな闘わない、会社と喧嘩したくない、というふうになります。これはもちろん、向こうは計算済みのことです。

 ですから、高度に発達した資本主義社会というのは、労働者が、ある程度ですが、豊かになり、そして、このような消費社会に組み込まれてしまって、身動きができなくなるのです。

 こうして、いま日本では労働組合も、労働運動もストライキもほとんど力を失いました。そうなれば、政府は社会保障なんて、何も譲歩する必要がはありません。労働者が必死になって運動するから、止むを得ず健康保険とか年金制度とかやってきたのであって、労働者が闘わなければ、その必要はないのです。いま、どんどん社会保障が悪くなってきています。次から次から悪くなる。20年前だったら、いまのように社会保障が悪くなったらたちまち、大ストライキが起こりました。しかし今は何も起きません。労働組合が弱体化している、労働運動が骨抜きという状態です。

 そこへもってきて、ソ連や東ドイツがいなくなったのです。こうなればもう社会保障をやる必要はありません。社会保障は止めます、修正資本主義は止めます、ということになるわけです。修正資本主義にはいろいろな意味があるのですけど、一つの特徴は、大金持ちや大企業からお金を取って、弱い立場の人たちに配るところにあります。所得再分配と言われる働きです。だから政府は大きな政府になります。こういう仕組みが修正資本主義で、いろんなマイナス面もあるのですが、プラスの面も大いにあります。

 この仕組みをやめる、というのが今のアメリカです。もう政府は面倒みません、自分でやりなさい、と自由競争に戻る。自由競争一筋。これが、ソ連が崩壊した後に新しくなったアメリカの仕組みなのです。そして、それに日本が「右へならえ」ということなのです。

 それに対してヨーロッパは、アメリカのいうことを聞かず、「われわれはこれからも、社会保障のある資本主義でいきます。むき出しの裸の自由競争には戻りません」。これがヨーロッパなのです。なぜヨーロッパがそういえるかというと、労働運動が強いからです。先進資本主義国なのになぜ労働運動が弱くならないのか。これはこれで時間をかけて考えなければならない問題なのですが──。

 現実の問題として強い。ヨーロッパだって大企業は社会保障を止めたいにきまっています。しかし止めると大騒ぎになります。労働者が絶対に言うことを聞きません。だからやむを得ず守っているのです。企業負担もうんと高いです。日本の会社の倍以上払っています。ですからトヨタ自動車もフランスに、フランス・トヨタを作っていますけど、日本トヨタの倍以上払っています。それでも儲かっているのです。

 ですから、ヨーロッパでも、社会保障は少しずつ悪くなってきてはいますが、日本に比べれば遥かに違います。このようにして、ヨーロッパはアメリカと別の道を進み始めました。アメリカは剥き出しの資本主義に戻りますが、ヨーロッパは修正資本主義のままでいこうとしています。

 しかし、それでは競争で負けます。アメリカや日本は企業の社会保障負担がうんと減っていますから、利潤が増えています。ヨーロッパは高い社会保障負担でやっていますから、儲けが少ないのです。そこで競争しなくてすむようにEUいうものを作って、枠を閉ざしちゃいました。アメリカや日本の会社がヨーロッパに来るときは、ヨーロッパ並みの負担をしなければ、EUには入れません。だからEUの中でやっている時には、日本にもアメリカにも負ける心配はないのです。

 そういう仕組みを作って、アメリカとは別の道を進み始めました。そのためにユーロという別のお金も作りました。イラク戦争で表面に出てきたのですが、イラク戦争がなくても、ヨーロッパはアメリカとは別の道を進み出していました。もう2度とアメリカとは一緒にならないでしょう。

《規制緩和とグローバリゼーション − 構造改革の中身(2)》

 もう一つ、ソ連、東ドイツ崩壊の結果、アメリカが大きく変化したことがあります。それは何かというと、大企業・大資本を野放しにしたことです。

 ソ連がいる間は、大企業や大資本に、「あなた達は資本主義なんだから儲けたい放題儲けたいだろうけど、それをがまんしてください。あなたたちがやりたい放題にやったら、他の資本主義国はみんな負けてつぶれてしまう。アメリカの資本と競争できるような資本などどこにもありませんから。そうなれば、ソ連の方がましだということになる。だから、やりたい放題は抑えてほしい」と言ってその活動を制限してきました。

 具体的に何を抑えたかというと、為替取引を規制したのです。これが一番大きな規制です。いまではもう、中央郵便局へ行って「ドル下さい」といえば、すぐドルをくれます。「100ドル下さい」といえば「ハイこれ1万2千円」。ユーロでも、「下さい」といえば「100ユーロ・ハイ1万4千円」とすぐくれます。でもこれはごく最近のことです。それまでは、外貨・外国のお金は、日本では勝手に手に入りませんでした。お金を外国のお金と取り替える、つまり為替取引は厳重に規制されていて、個人が勝手にはできなませんでした。外国旅行に行くとか、何か特別な理由が認められた時しか、外国のお金は手に入りません。

いまは何も制限ありません。自由にだれでもいつでもできます。理由など聞きませんから、100ユーロとか千ドルくださいと言えば、そのままくれます。これが為替取引の自由化というものです。これがなかったのです。ソ連が崩壊するまでは、アメリカも厳重に規制していました。それをとっぱらったのです。理屈っぽく言えば、資本の国際移動が自由にできるようになったということです。こうして、アメリカの巨大な金融資本が、世界中を我が物顔にのし歩く時代が来るのです。

 もうソ連も東ドイツもなくなったのですから、「いや永いことお待たせしました。今日からもう儲けたい放題儲けていいですよ。やりたい放題やっていいですよ」ということになったのです。これが規制緩和とことです。規制緩和ということは要するに、大資本が野放しになったということです。そうなったらどうなるか、世界第2の経済大国といわれる日本でさえ、全然太刀打ちできません。アメリカの巨大資本、金融資本・銀行ですね。日本の銀行とは勝負になりません。ボブサップと私が裸で殴り合ぅようなもので、一コロで殺されてしまいます。

 それでもやれというなら、ボブサプは手と足を縛ってもらって、目隠ししてもらって、こちらは金槌でも持たしてもらって、それでやっと勝負になるのです。今まではそうだったのです。それを全部外して自由にする、無条件で自由競争にするというのです。負けないためには、相手に負けない位大きくなるしかないですから、合併、合併、合併。あっという間に30ほどあった都市銀行が3つになってしまったのです。UFJとか「みずほ」とか、元何銀行だったか覚えておられる方おられますか。すぐ言えたら賞金をさし上げてもよろしいのですが、まず、言える方おられないでしょう。合併、合併であっという間に3つになりました。3つにになってやっとなんとか対抗できるというくらいにアメリカの巨大銀行というのは大きいものなのです。それでもダメで、長銀はのっとられてしまいました。北海道拓殖銀行も山一証券ものっとられてしまいました。次々とのっとられています。

 ついこの間は青森県の古牧という温泉がのっとられまし。広くていい温泉なんですけど、驚いたことにゴールドマンサックスでした。世界最大のアメリカの金融投資会社、ハゲタカファンドの代表のようなものです。これがどうして古牧温泉なのかと思ったのですが、テレビで放送していました。古牧だけではありません。他に28ケ所、超有名温泉みんな買い占めちゃったのです、ゴールドマンサックスが。

どうするかというと、従業員みんな首切っちゃってパートにして、腕利きのマネージャーを送り込み、部屋をヨーロッパ、アメリカ向きに整備しなおして、欧米からの観光客をワーツと呼ぼうという作戦なんですね。儲かるようにして高く売るのです。ゴールドマンサックスが経営するのではありません。いま赤字の会社を買い取って、儲かるように造り直してすぐに売っちゃうのです。これが投資銀行のやっていることです。確かに、いわれてみればそのとおりで、日本の温泉ほどいいものはありません。知らないだけで、こんないいものは世界中どこにもありません。だから日本の温泉の良さが分かったら、おそらくヨーロッパ、アメリカからごっそり観光客が来ると思います。そこにゴールドマンサックスが目をつけたのですね。そして近代経営やって外国人が来て楽しめるような設備に変えて、世界中にジャパニーズスパーなんていって売り出す気なのですね。ですから、そのうち皆さんも温泉にいらっしやるとみんな英語で案内され、アメリカのお湯の中に入ることになってしまいます。

 アッという間に日本はアメリカ資本に乗っ取られようとしています。去年のホリエモン合併もそうです。今年から商法改正(改悪)して、乗っ取りを認めるということになったのです。株の等価交換、面倒な仕組みですから詳しいことは申し上げませんが、アメリカ株1億ドル分と日本の株1億ドル分を、等価父換していい、こういっているんです。ところが、アメリカの株の値段が高いのです。ですから1億ドルといっても、株の数からすると、例えば千株位しかない。日本は株が安いですから、同じ1億ドルで1万株位あるのですね。そうすると、千株と1万株で取り替えますから、あっという間にアメリカは大株主になってしまう。この等価父換を認めると、日本の大企業全部乗っ取られてしまう。

 そこで、日本の優良企業が狙われています。超優良企業を株式等価交換で、簡単にアメリカが乗っ取ることができる。今年からそれが可能になるはずだったです。それで去年、実験をやったのですね。ホリエモンにやらせてみたのです。ホリエモンはアメリカのリーマン・ブラザースから借りてやったのです。で、出来そうだなと分かったので、アメリカはお金を引き上げてしまいました。ホリエモンに乗っ取られては困る、いずれ自分が乗っ取るのですからネ。最後の段階で資金引き上げましたたから、ホリエモン降りる外なかった、多分そういう仕組みだったのではないかと思います。

 今年から自由に、日本中の会社をアメリカが乗っ取れるはずだったのですが、あのホリエモン騒動のおかげで日本の大企業が震え上がり、政府に泣きついて、「なんとか商法改正を見送ってくれ」と。それで見送りになりました。ですから、ちょっと一息ついているのです。今年すぐ、乗っ取られるというわけではありません。でも、いつまでも見送りというわけにはいかないでしょう。2・3年後には解禁。そうなれば、日本はほぼアメリカ資本に支配される、ということになるでしょう。

 日本ですらそうなのですから、まして、フィリピンとかタイとかいう国はたまったものではありません。あっという間に乗っ取られてしまいます。アメリカに勝手に経済的属国にされてしまう。それに対して、いやそんなの困るから、アメリカ資本が自分の国の株を買うことを法律で禁止する、というようなことをやろうとすると、アメリカはそれを認めないのです。グローバリゼーションだから地球はは「一つ」だというのです。いくら規制緩和しても相手国が法律で規制してしまったら終わりです。ですから、自分の国だけ勝手に現制することは認めません、地球はひとつですよ、グローバリゼーションですよ、ときます。フメリカの大資本が地球上のどこの国でもアメリカ国内と同じ条件で商売できるようにする、これがグローバリゼーションです。いやだと断ると制裁を加えられます。

 クリントン大統領の時は経済的制裁だけですんだのですが、ブッシュになってから、軍事的制裁になりました。いうことを聞かないと軍事制裁だぞという、これがネオコンという人たちの主張です。イラクを見ればみな震え上がるでしょう。ですから、アメリカの言いなりにグローバリゼーションで国内マーケットを開放して、アメリカ資本に全部乗っ取られてしまう、というのがいま着々と進行しているのです。

《アメリカの孤立》

 そこでどうなったかというと、ヨーロッパと同じように、「そんなの困る。自分の国の経済の独立は自分たちで守りたい」という人たちが手を繋いで、「アメリカに支配され引きずり回されないように、防波堤を作ろう」という動きが始まりました。だいたい5・6年前からです。アセアン(ASEAN東南アジア諸国連合)の動きが始まりました。5つの国です。インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン。元来はアメリカが造らせた組織だったのですが、いつのまにか自主独立を目指す組織に成長しました。

 手を繋ぎ、アメリカに引きずり回されないように、アメリカの資本が勝手に入ってこないように、自分たちの経済は自分たちでやりましょう、と。ところが、ASEANが束になったってアメリカにはとてもかないません。そこで、知恵者がいました。アセアンだけではかなわないので、中国と手を繋いだのです。「アセアン、プラス中国で、アジアマーケットを作り、アメリカにかき回されないようにしよう」しようというのです。確かに、中国が入ったらアメリカはうかつに手が出せません。しかし中国だけ入れると、反米色があまりにも露骨ですから、「アセアン、プラス・スリーでいきましょう。アセアン+日本+韓国+中国、でいきましょう」ということになります。日本はアメリカの51番目の州だといわれているのですから、日本が入れば、アメリカも安心します。

 EUのように、アセアン+スリーで、自分たちの経済は自分たちでやれるように、アメリカに引きずり回されないような自立したアジアマーケットを形成することが目標です

 ただひとつ、日本が具合が悪いのです。日本はそのスリーに入っているのですが、(アセアンの会議に)行く度に「アメリカも入れろ、アメリカも入れろ」というのです。アセアン諸国はアメリカから自立するために作っているのですから、「アメリカを入れろ」といわれたんじゃあ困るので、結局日本は棚上げになってしまいます。実際にはアセアン+中国で、経済交流が進んでいます。いずれ2010年には、東アジア共同体・EACというものを立ち上げる、という動きになっています。

 そうなってくると韓国が困りました。日本・アメリカ側につくのか、中国・アセアン側につくのかで、2・3年前から中国側に大きく傾いています。留学生の数を見ると分かります。中国の北京大学には世界中の留学生が集まります。21世紀は中国と商売しなければメシが食えなくなることが分かっていますから、将釆、中国語がしゃべれる人が自国のリーダーになり、中国の指導者に友達がいないと困ります。それには北京大学に留学するのが一番いいのです。あそこはエリート養成学校です。この前行った時聞いてみたのですが、入学試験競争率5千倍だそうです。超難関です。大学の構内を歩いて見たのですが、広い敷地に6階建てのアパートが36棟ぐらい建っていて、みな学生寮です。全寮制。そばに教職員住宅があって、朝から晩まで共に暮らしながら勉強しています。授業は朝7時からです。ものすごく勤勉に勉強しています。

35年間私は大学の教員でしたが、愛すべき怠け者の学生諸君を教えてきたわが身としては、「あ、これはかなわないなァ、20年もしたら──」と思いました。向こうは国の総力を上げて次の時代の指導者を養成しているのです。日本はもう全然、ニートとかフリーターとかいって、若者の気迫がまるでレベルが違います。これは置いていかれるな、という気持ちになりました。このように世界中の国が、いま一流の学生を北京大学に送り込んでいるのですが、去年、北京大学留学生の中で一番数が多いのが韓国なのです。

 おととしまで韓国の学生は殆どアメリカヘ行っていました。去年あたりから中国へ変わったようです。つまり韓国は、21世紀の自国は、アメリカ・日本ではなく、中国・アセアンと組むことで繁栄を図りたい、と向きを変えたということです。

 それに拍車をかけたのが小泉首相の靖国参拝。これで韓国は怒っちゃってあちらを向いた。そうなると、アセアン、中国、韓国と繋がって、日本だけはずされてしまった、という状況がいま生まれつつあります。

 さらに中国は、数年前からいま、「ふりん政策」を国の方針としています。フリンといっても男女の不倫ではありません。富、隣。隣の国を富ます、隣の国を豊かにする──富隣政策です。隣の国と仲良くする。中国だけ儲けたのでは相手に恨まれてしまいます。英語では「ウィン、ウィン」(win-win)というようです。どっちも勝つ、中国も儲けるけど相手も儲けるような関係を必ず作っておく、ということが基本政策です。

 つまりアメリカは、やっとソ連を倒したと思ったら、今度は中国が出てきたのですから、中国を目の敵にしているのは当然です。中国にすれば、アメリカにやられないためには、単独では対抗できませんから、周りの国と手をつなぐ、ということです。

 アメリカは修正資本主義を止めて自由競争の資本主義に戻りました。その結果大企業・大資本は野放しになりました。そのためにアジアにそっぽを向かれることになりました。アメリカにはついていけない。アメリカに勝手にされては困る。もちろんアメリカと喧嘩をしては駄目ですが、自分の国は自分の国でやれるようにしなければならない──、というふうに変わったのです。

 そして最後に、3年前から南米が変わりました。ようやく日本でも報道されるようになりましたからご存じと思います。ただ日本のマスコミはちょっとしか書きませんから、気づいておられない方もおありかと思います。南米がものすごい勢いでアメリカ離れを始めたのです。

 今まで200年、南米はアメリカの裏庭といわれていました。アメリカはやりたい放題やっていました。チリは世界一の銅の産出国ですが、このチリの銅はすべて、アナコンダというアメリカの銅会社が一手で採掘していました。だからいくら掘ってもチリは豊かにならない。アメリカのアナコンダだけが儲かるのです。

 ブラジルは世界一の鉄の産地です。これもみな掘っているのは欧米の会社で、いくら掘ってもブラジルは豊かにならない。ベネズエラは世界第五位の産油国です。これもみなアメリカの石油資本が持っていく。

 こういう国はこれまで軍事独裁政権でした。政治家は、自分の国の資源をアメリカに売り渡し、自国の国民の反発は力で抑えつけ、莫大なリベートを貰って自分たちだけベラボウな贅沢をしてきました。これがアメリカと南米のパターンだったのです。

 それが、3年ほど前から、「おかしいではないか。やっぱりベネズエラの石油はベネズエラ人のものだ。石油を掘ったら、ベネズエラが豊かにならないとおかしいではないか。いくら掘ってもアメリカだけ儲けるのはおかしい。石油をアメリカの石油会社から取り上げて、ベネズエラで掘ることにしよう。国有化しよう」というような政策を訴える大統領が、当選するようになりまし。この3年間で、南アメリカは80%が、このような自主独立派の大統領になりました。アメリカ資本に任せず、自国の経済は自分でやろうという政策を掲げた大統領が、次々と当選したのです。

 いまでは、南アメリカでアリカの言いなりというのは、多分コロンビアしかないと思います。あとは殆どみな、自分の国は自分でやりましょというふうに変わってきました。ベネズエラのウゴ・チャベスという人がそのチャンピオンです。ご存じですね、時の人です。アメリカはそのチャベスの当選を必死になって妨害したのですが、結局ダメでした。チャベスが圧倒的多数で選出されました。その彼の言い分がふるっているのです。

 「失礼にならないようにアメリカから遠ざかりましょう」というのです。いきなり遠ざかったのではゴツンとやられますから、アメリカを怒らせないように、喧嘩しないように、少しずつ「小笠原流」で遠ざかって自主独立に向かいましょうというのです。

 これがいま世界の合言葉です。「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる。」日本もそうしなければいけない、と私は思っているのですが。絶対にやりません。

 こうやってアメリカは、ソ連や東ドイツがなくなってから、修正資本主義をやめて、いまの言葉でいえば「新自由主義」という仕組みに代わりました。日本はそれに右ならえしたのです。いま申し上げたように、このアメリカの新自由主義経済に無条件で追随しているのは、日本しかありません。あとはみな、「失礼にならないように」距離をおきました。

日本だけが無条件でついていきました。だから「ポチ」だといわれるのですネ、確かにポチと言われてもしょうがないほど、無条件でついていきます。それは恥ずかしいことですが、日本が追随していく。これが構造改革なのです。修正資本主義経済から新自由主義経済に変わるということです。簡単にいえば、弱い人の面倒を政府が見るような仕組みから、もう弱い人の面倒は見ませんという仕組みに、変わっていく──。これが構造改革です。

 だから、社会保障はどんどん悪くなる。自由競争で勝ち組と負け組がある。中には1千万ぐらいのマンション買って落ち着いているのもいる。片方には、国民健康保険料さえ払えなくて医者にも行けない。そういう人がもう全国で膨大な人数出てきている。まさに格差社会です。

 どんどんその格差が広がっています。金持ちからお金を取って弱い人の面倒を見る、というのが修正資本主義なのですが、それを止めてしまいました。野放しなのです。強い人はますます強くなり、弱いものは負けたら自己責任なんですよ。こういう仕組みにいま変わったのですね。

 それがいいか悪いか、止むを得ないのかどうかは、いろいろな立場によって考えが違うのですが、事実はそうなったのです。

 しかしヨーロッパは別の道をとっています。このように別の道もありうるというのも事実なのです。ヨーロッパのように社会保障を止めない資本主義もあり得るのです。

 日本の場合、アメリカほど徹底していませんが、流れとしては「政府はもう弱い人の面倒は見ません」、という方向に大きく動いています。


《憲法改悪の要求》

 こうして、アメリカは新自由主義経済で自国の企業を野放しにして、それを世界中に押しつけようとしたのですが、意外に抵抗が大きかった。ヨーロッパはいうことを聞かない。アジアも聞かない、南米も聞かない。これでは困るので力づくで押しつける。こういうことになるのですね。力づくで押しつける時に、最大の目標・ターゲットはもちろん中国です。やっとソ連を倒して、21世紀はアメリカが王様になれると思ったら、中国が巨大な国になってきて、アレリカの前に立ふさがっいます。このままではアメリカは王様ではいられません。中国を抑え込むことが21世紀へ向けてのアメリカの最大の長期的課題になっています。しかし戦争はできません。中国と戦争したのでは共倒れになります。唯一の道はエネルギーを抑えることです。

 ネオコンという人たちの書いた文章を読むと、非常にはっきり書いてあります。21世紀にアメリカが世界の支配権を握るには、中近東の石油を抑えなければならないというのです。中国は石油の自給ができません。どんどん石油を輸入していますが、殆どいま中近東から輸入しています。アメリカが中近東の石油を抑えれば、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなる。当然でしょうね。

 世界一の産油国サウジ・アラビアはすでにアメリカ側の国です。そこで第二の産油国であるイラクをアメリカは分捕りたいのですが、その理由がありません。そこでアメリカは「大量破壊兵器、テロ応援」という嘘をつきました。プッシュ大統領も、ついにウソであったことを認めました。

 ではなぜイラク戦争をやったのか。本当の理由はまだ公表されていません。しかしネオコンという人たちの文章を読むと、明らかに「石油を抑える。抑えてしまえば中国は言うことを聞かざるをえない」。ここに本当の理由があったことは明白です。そうだとすれば、恐ろしい話ですが、(次に)絶対にイランが狙われます。

 世界第1の産油国サウジアラビアは、昔からアメリカの同盟国です。第2位のイラクは抑えてしまいました。そしてイランは第3位の産油国です。ここを放っておいたのでは意味がないのです。中国はいくらでもイランから石油の輸入ができます。どうしてもイランまで抑えなければならないというのは、アメリカでは、いわば常識です。どんな新聞雑誌でも次はイランだということが堂々と語られています。

 ライス国務長官も3日前、「今イランに対するは軍事力行使の予定はない」と言っていました。「今は」です。イランは核開発やっているというのが理由です。たしかに妙な国ですが、しかし別に悪い国ではありません。あのあたりでは1番民主的な国です。曲がりなりにも選挙で大統領を選んでいますから。女性はみな顔を出していますし、大学へもいっています。イランは近代化した国なのです。サウジアラビアなどの国に比べたら、ずっと民主的な近代国家です。イスラム教のお妨さんが、選挙で選ばれた大統領より偉い、というのだけが変ですが、全員がイスラムですから、他国がとやかく言うことではないです。

 ですから、イランが悪魔の国というのは嘘なのです。イラクがそういわれたのも同じで、要するに悪魔の国と誤解させて、戦争しかけてもやむを得ないと思わせるための宣伝が行われているのです。

 イランはイランで、自分で自分他ちの国を近代化していけばいいのであって、核兵器持つなといっても、隣のパキスタンもインドも持っているのです。こちらのイスラエルもです。イランだけ持つなといっても、聞くわけありません。イランに持たせたくないのなら、「俺も止めるからあんたも」と言わなければなりません。「俺は持っている。お前だけ止めろ」と言ったってイランが聞くわけありません。そんな理屈が通るはずがないのです。実に馬鹿な理屈です。

本当にイラクに核開発をやめさせたいのなら、イギリスもフランスもアメリカも 「先ず自分が止める、だからお前も止めろ」と言うしかありません。お前だけ持つなと言って、聞くと思う方がどうかしています。核開発は現在の大国の論理では抑えられません。イランに言わせれば、「イラクがなぜあんなに簡単に戦争しかけられたかといえば、核兵器を持っていなかったからだ。持っていたら恐ろしくてとても戦争なんか仕掛けられない」ということになります。だからイランはいま核開発を急いでいるのです。核兵器を持たないとアメリカに攻められるから。そう思い込んでいるのです。

 そう思わせるようなことをアメリカはやってきたのですから、イランに核兵器開発を止めさせるためには、イラクから撤収して、中東の平和は中東に任せる、という姿勢を示すしかありません。自分がイラクを分捕って居座ったままで、イスラエルやパキスタンやインドの核兵器には文句をいわずイランにだけ、というのは通じない理屈です。実にゆがんだ国際常識というものが罷り通っている、と思います。

 もしアメリカがイランまで分捕ってしまえば、サウジアラビア、イラン、イラクと合わせて、世界の石油の70%ぐらいになるはずですから、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなります。だからつぎはイランだというのが、ネオコンの論理です。

 ただ問題は、イランに戦争を仕掛けるとしても単独ではできなません。兵隊がたりない。徴兵制ではなく志願兵制度ですから。いま、ありったけの兵隊さんがイラクに行っています。あれ以上いないのです。だからハリケーンが来ても出せなかったのですね。そうすると、イランに出す兵隊なんていないのです。そこで、アメリカの右翼新聞の社説など、堂々と書いています。「イラクにいるアメリカ軍でイランを乗っ取れ。カラッポになったイラクの治安維持は、日本にやらせろ」と。
 アメリカの論理から言えばそうなるのでしょう。自衛隊にイラクの治安維持をといいますが、実際は内乱状態ですから、今も毎日アメリカ兵は毎日5人位殺されています。そんなこと引き受けたら、自衛隊員何人死ぬか分かりません。第一そんなことは、憲法9条があるかぎりできないのです、絶対に。憲法があるおかげで、自衛隊はイラクにいますけれども、ピストル1発撃つことができないのです。憲法9条第2項というのがあるのです。自衛隊は戦力ではない・交戦権はないとなっていますから、不可能なのです。だから給水設備備を作るとか、学校修理とか、そういうことしか出来ません。これじゃあアメリカから見れば役に立たないのです。


《平和憲法こそ 日本生存の大前提》

 そこで、「9条2項を変えて、戦争ができる自衛隊になってくれ」というのがアメリカの強い要求なのです。みんな分かっています。言わないだけです。日本の新聞記者も知っています。しかし、「9条変えろ」がアメリカからの圧力、と書くと首になるから書かないだけです。でも誰も知っています。アメリカのに戦争に参加しなさい、という強い圧力がかかっているのです。

 ここのところをよく見極めておくことが必要です、「9条を守る」ということは、「アメリカの言いなりにならぬ」ということと一つ、なのです。

 アメリカと喧嘩しては駄目ですから、「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる」のが何よりも大切です。仲良くするけれども言いなりにはならない、ということです。ところが、憲法が危ないという、この危機的な状況にもかかわらず、国内で労働運動が弱体化していますから、ストライキも起きない。大きなデモも起きない。大反対運動も起きない──。という状況です。

 ではもう駄目なのでしょうか。そうではないと思います。それには日本の国内だけではなく、世界に目を向ける、アジアに目を向けるこちとが必要のです。ご存じのように、これからの日本は、中国と商売せずには、生きていけなくなりま。いま、大企業だけですけど、多少景気がよくなってきています。全部中国への輸出で持ち直したのです。中国マーケットがなくなったら日本経済はおしまいだ、ということは誰も分かってきています。

 お手元の資料の中の(貿易額の)丸い円グラフは、2003年のもので少し古いのですが、アメリカ20.5%、アジア全体で44.7%、つまり日本にとって一番大事な商売の相手は、アメリカではなくてアジアなのです。

 アジアと仲良くしなかったら、経済が成り立たないところへ、いま既にさしかかっているのです。左隣の棒グラフは2004年ですが、左上から右に折れ線がずうっと下がってくる。これが日本とアメリカの貿易です。点線で右へずうっと上がっていくのが中国との貿易。遂に去年(2つの折れ線が)交差し、中国との貿易の方がアメリカとの貿易額より多くなりました。しかも鋏状に交差していますから、今後この2つは開く一方になってきています。

 つまり、あと2・3年もすれば、日本は中国との商売なしには生きていけない、ということが国民の常識になるということです。いま既に、中国を含めたアジアが、日本の一番大事なお客さんなんです。仲良くしなければいけません。一番大切なお客さんの横っ面ひっぱたいたんじゃ商売は成り立ちません。

 靖国参拝などというものは、一番大事なお客さんの横面ひっぱたくと同じことなのですから、個人の信念とは別の問題です。小泉首相は総理大臣なのですから、個人の心情とは別に日本の国全体の利益を考えて行動しなければいけません。それは総理大臣の責任だと思います。その意味でアジアと仲良ぐできるような振舞いをしてもらわなければ困るのです。

 もう一つ。アメリカとの商売はこれからどんどん縮小していきます。それは、ドルというものの値打ちがどんどん下がっていくからです。これはもう避けられません。

 昔はドルは純金だったのです。1971年まで、35ドルで純金1オンスと取り換えてくれました。だからドルは紙屑ではありませんでした。本当の金だったのです。

 われわれのお札はみな紙屑です。1万円なんて新しくて随分きれいになりましたけど、綺麗にしただけちょっとお金がかかって、印刷費に1枚27円とかかかると聞きました。27円の紙がなぜ1万円なのか。これは手品みたいなものです。あれが5枚もあるとなかなか気が大きくなるのですが、本当は135円しかないのです。それが5万円になるのは、法律で決めているのです。日銀法という法律で、こういう模様のこういう紙質のこういう紙切れは1万円、と決められている。だから、あれを1万円で受け取らないと刑務所に入れられます。法律で決まっているからです。ですから日本の法律の及ぶ範囲でだけ、あれは1万円なのです。その外へ出ると27円に戻ってしまいます。

 金と取り換わらないお札というのは、簡単にいえばその国の中でしか通用しません。他の国へ行ったら、その国の紙屑と取り換えなければ通用しません。ところが、ドルだけは世界で通用しました。純金だからです。

 ところが、1971年にアメリカはドルを金と取り換える能力を失いました。ベトナム戦争という馬鹿な戦争をやって莫大な軍事費を使ったのです。背に腹は代えられなくてお札を印刷し、航空母艦を造ったりミサイル、ジェット機を作ったりしたのです。そのために、手持ちの金より沢山のお札を印刷しちゃったのです。

 その結果、アメリカは、ドルを金と取り換える能力を失ったのです。そこで、71年8月15日、ニクソン声明が出されました。「金、ドル交換停止声明」です。あの瞬間にドルも紙屑になったのです。ドルが紙屑になったということは、ドルがアメリカの国内通貨になったということです。

 ところが、問題はそれ以後なのです。世界で相変わらずドルが適用したのです。皆さんも海外旅行へ行かれる時は、大体ドルを持って行かれますね。どこの国へ行っても大丈夫なのです。金と取り換えられないお札が何故世界で適用するかは本当に不思議で、経済学者にとって最大の難問なのです。いろんな人がいろんな答を言っていますけど、あらゆる答に共通しているのは、ひとつは「アメリカの力の反映」だから、ということです。

 つまり、日本が自動車を作ってアメリカヘ売ります、ドルを貰いますネ。日本は損をしているのです。自動車という貴重なな物質がアメリカへ行って、紙屑が返ってくるのですから。物が減ってお札だけ増えると必ずバブルになります。

 バブルの犯人はそこにあるのです。日本が輸出し過ぎて貿易黒字を作り過ぎているのです。だから日本は、アメリカに自動車を売ったら、「純金で払ってください」と言わなければなりません。ところがそう言うと、ジロッと睨まれてお預けになってしまいます。日本には米軍が5万人います。「アメリカのドルを受け取らないとは、そんな失礼なこと言うなら、在日米軍クーデター起こしますよ」、これで終わりなのです。黙って受け取ってしまう。だから日本は無限に物を提供し、無限に紙屑をもらう。こうしていくら働いても日本人の生活はよくならないのです。しかもその紙屑でアメリカの国債を買っています。アメリカに物を売って、払ってもらった代金をアメリカに貸している。言ってみればツケで輸出しているようなものです、現実に。アメリカにいくら輸出しても日本は豊かにならない仕組みになつています。

 2週間前に『黒字貿易亡国論』という本が出ました。有名な格付け会社の社長さんですが、「貿易黒字を作るから日本は駄目なのだ」、ということを詳しく論じたたいへん面白い(文芸春秋社の)本です。確かにそうだと思います。だからドルは、本当は受取りたくないのです。みんな紙屑なんです。だけど受け取らないと睨まれる。アメリカの軍事力が背景にあるのです。

 その力をバックにして、紙切れのお札を世界に通用させている。例えていえば──餓鬼大将が画用紙に絵をかき1万円と書いて鋏で切り、これ1万円だからお前のファミコンよこせ、とこれを取り上げる──のと同じです。いやだと言ったらぶん殴るのです。怖いから黙って渡して紙屑もらうことになります。その紙屑で、他の人から取り上げればよいのです。「お前のバイクよこせ、よこさなかったらいいつける」。「あの人、あんたの紙屑受け取らない」、するとガキ大将が釆て、ゴツンとやってくれる──。餓鬼大将の力の及ぶ範囲ではそれが通用するのです。

露骨にいえば、ドルがいま世界に適用しているのは、そういう仕組みが一つあります。

 もう一つは、ソ連の存在です。もし紙屑だからアメリカのドルを受け取らないといったら、アメリカ経済は潰れます。アメリカが潰れたらソ連が喜ぶ。だから紙屑と分かっていても受け取ってきた。ソ連に勝たれては困るから──。

 これも確かに一理あります。ということは、ソ連がいなくなって、紙屑は紙屑だということがはっきりしてきたのです。今まではソ連がいるために、紙屑なのに金のように適用したが、今や「王様は裸だ」というのと同じで、「ドルは紙屑だ」といっても構わない時代です。

 ともかくドルが危ないのです。私が言ってもなかなか信用してもらえませんが、経済誌『エコノミスト』、一流企業のサラリーマンなら必ず読んでいる雑誌すが、これの去年9月号が中国“元”の特集でした。その真ん中へんに「プラザ合意20年」という対談がありました。その中で、榊原英資さんは「5年以内にドル暴落」と言っています。

 榊原さんは大蔵省の元高級官僚で日米為替交渉の責任者を10年やりました。円・ドル問題の最高責任者だった人です。「ミスター円」といわれていました。通貨問題に最も詳しい現場の責任者です。停年で大蔵省をやめて今は慶應大学の先生になっています。この人が「5年以内にドルが暴落する」、つまりドルが紙屑だということが明らかになる日が近いと言っているのです。

 ソ連がいる間は隠されていたのですが、いまはもう、ドルは紙屑だから受取りたくないという人たちが増えてきています。これまでは世界通貨はドルしかなかったので、受け取らなければ商売ができなかったのですが、今ではユーロという代わりが出来てしまいました。ドルでなくてユーロで取引する国が増えてきています。そしてユーロの方が下がりにくい仕組みになっています。ドルは下がるのです。

 なにしろアメリカは、永いことドルが世界通貨ということに慣れてきました。だから自動車が欲しければ日本から自動車買って、アメリカは輪転機を回せばよいのです。紙とインクがあればいいのですから。ほかの国はこんなことできません。自動車が欲しければ、一生懸命働いて何か輸出し、その代金で輸入しなければならないのです。アメリカ以外の国は全部そうやっているのです。

 輸入は輸出と一緒です。輸入するためには輸出しなければなりません。ところがアメリカだけは輸出しないで輸入ができるのです。ドルという紙切れが世界通貨ですから。極端に言えば、欲しい自動車や石油を日本やアフリカなどから買って、紙とインクで支払う。実際そうして世界の富がアメリカに集まったわけです。

 71年以降の30年間、この仕組みのために、世界中にドルが溢れ出ました。ドルがどんどん増えますから、当然値打が下がります。こうしてドル下落傾向。(資料の一番下のグラフがそうです。円が上がっていく様子、為替取引だから短期的には上下しますが、長期的には間違いなく円高。ドルがドンドン下がるのは確かです。)これがあるところまでいくと、ガクッと下がります。

 あるところまでいくと、「ドルは信用できない、下がる通貨は持っていたくない」となります。ですからドルを受け取らない、ユーロか何か、別な、下落しない通貨でなければ受け取らないということが出てくる。そうなるとドルは暴落します──。榊原氏がそういっているのです。

 ヨーロッパはユーロでいくでしょう。アジア経済圏はなんといったって元です、中国の。中国は賢いですから、元を押しつけないで、何かアジアの新しい通貨を作るかもしれません。しかし元が中心になることは間違いないでしょう。ドルはアメリカでしか使われなくなる。そうすると、今まで全世界で使われていたドルが、みんなアメリカに集まって来るわけですから、アジア、ヨーロッパで使われいていたドルがみな戻ってきて、簡単にいえばドルの値打が3分の1に下がることになります。

 アメリカの生活は大きく収縮します。一家で3台自動車持っていた家は1台に。1台持っていた家は止めなくればならなくなる、ということです。

 アメリカ経済の収縮。これは大変恐ろしい話なのです。世界経済が大きく収縮し、日本経済は大きな打撃を受けます。しかし避けられない動きなのです。いつのことか分からないが、そう遠くない将来にドルの信用がドンと落ちていく。結果として日本がアメリカにだけ頼っていたら、大変なことになります。

 いまのうちに、アメリカに輸出してドルをもらったらユーロに代えておいた方がいい。ユーロの方は下がらないからです。EUという所は、国家財政が赤字だと加盟できないことになっています。赤字だと穴埋めにお札を出すので乱発ということになって下がるのです。だからユーロは一応下がらない仕組みになっています。乱発できないようになっているのです。ドルは短期的に持つのはかまわないが、3年、4年と長期的に持っていると下がってしまいます。それならユーロにしておいた方がいいとか、これから生まれるかもしれないアジア通貨にしておいた方がよいとかいうことになります。世界の大企業や国家が、決済のために多額のドルを持っていますが、これがユーロに切り替えられるとなると、ドルはもう世界通貨ではなくなります。

 そうなると、アメリカだけに依存している国は、大変苦しくなります。21世紀の日本を考えた時、アメリカと仲良くするのは大切ですが、しかしアメリカ一辺倒では駄目な時代になっているのです。アジアと仲良くしなければいけません。

 しかしアジアと仲良くするのには、無条件ではできません。なぜなら、60年前、アジアに戦争を仕掛けて大変な迷惑をかけた。その後始末がちゃんとできていないのです。仲良くするするためには、60年前のマイナスを埋めるところから始めなければいけません。別に難しいことではないのです。「あの時はごめんなさい。2度とやりませんから、勘弁してください」。これで済むわけです。

 問題は、「2度とやりません」が、信用してもらえるかどうかです。信用してもらうための最大の決め手が「憲法第9条」です。憲法9条第1項、第2項がある限り、日本は2度と戦争はできません。イラクの状態を見ても、自衛隊は鉄砲一発撃てない。(世界中)みんなが見ています。この憲法9条第1、第2項がある限り、日本は戦争はできません。だから安心して日本と付き合うのです。

 もし日本が憲法9条を変えて、もう1回戦争やりますということになったら、アジアの国々は日本を警戒して、日本との付き合いが薄くなってしまいます。いま既にそうなりつつあります。小泉首相は靖国に何度も行く。自民党は憲法9条を変えることを決め、改憲構想まで発表した。アジアの国々は用心します。「そういう国とは、あまり深入りしたくない」。

 小泉首相は「政冷、経熱」でいいじゃないか、といいます。政治は冷たくても経済では熱い関係というのでしょうが、そんなことはできません。中国と日本の経済関係はじわっと縮小しています。統計でもそれははっきり出ている。

 おととしまで中国の貿易のトップはアメリカでした。次が日本、3位はEU。これがひっくり返ってしまいました。去年はトップはEU、2位アメリカ、3位日本です。明らかに中国は日本との商売を少しずつ縮小させている。その分EUに振り替えています。

 去年5月、ショッキングなことがありました。北京・上海新幹線という大計画をEUに取られました。北京〜上海って何キロあるのでしょう。日本の本州より長いのではないでしょうか。このとてつもない計画があって、去年、まだ予備調査の段階すが、日本は負けました。ドイツ、フランスの連合に取られました。予備調査で取られたということは、本工事は駄目ということです。中国にすれば、日本にやらせるのが一番便利なのです。近いですし、新幹線技術も進んでいます。まだ1度も大事故を起こしたことがありません。ドイツもフランスも、1回ずつ大事故を起こしたことがあります。技術からいっても資本からいっても、日本にやらせれば一番いいのに、日本が負けました。明らかに政治的意図が働いたと思われます。日本との関係を深くしたくない。いざという時、いつでも切れるようにしておく。いざというとき、切れないようでは困る。そういうことではないでしょうか。

 いまのままアメリカ一辺倒でいいのでしょうか。私は長島さんをよく思い出します。後楽園での引退試合の時、最後に「読売ジャイアンツは永久に不滅です」といったのです。永久に不滅どころか、去年のジャイアンツのサマといったらもう、見ていられない。アメリカもそうなるのではないでしょうか。小泉首相は「アメリカは永久に不滅です」と、いまもいっているのですが、そうではないのではないでしょうか。

 アメリカにさえ付いていれば、絶対大丈夫という時代は終わったのです。アメリカとも仲良くしなければいけませんが、しかしアジアとも仲良くしなければいけない、そういう時代がいま来ているのです。仲良くするのには、憲法9条を守ることが大前提です。これを止めてしまったら、アジアとは仲良くできません。

 憲法9条は、日本にとって“命綱”です。いままでは、憲法9条というと、「理想に過ぎない。現実は9条で飯食えないよ」という人が多く、中には鼻で笑う人もいました。しかしいまは逆です。9条でこそ食える。9条を変えたら、21世紀日本の経済は危ないのです。

 憲法9条を守ってこそ、この世紀の日本とアジアとの友好関係を守り、日本も安心して生きていけるのです。こういう世の中をつくる大前提が憲法9条です。憲法9条は美しいだけではなく、現実に儲かるものでもあります。そのことがやっと分かってきました。

 奥田経団連会長は、去年までは小泉首相を応援して靖国参拝も賛成だったのですが、そんなこといってたらトヨタは中国で売れなくなります。そこで今年の正月の挨拶でついに、「中国との関係を大事にしてほしい」と、向きが変わりました。
 財界が、中国と仲良くしなければ自分たちは商売ができない、となってくれば、日本の政治の向きも変わるだろうと思います。あと3年たてば多分、これは日本の国民の常識になってきます。中国と仲良くしないと経済が駄目になる。それは中国のいいなりになることではないのです。良くないことはきちんという。だけど敵にするのではなく、仲良くする。でなければ、日本の経済は成り立たない。これがみんなの常識になってくるでしょう。

 これまで60年、アメリカベったりだったから、アメリカから離れたら生きていけないと皆思ってきました。しかし現実の数字はそうでなくなっています。一番大事な経済の相手は、もうアメリカではなくアジアなのです。これに気づくのにあと2・3年かかるでしょう。これが世論になれば、もう、憲法を変えるなどということは、絶対にできません。

 しかし、この3年の間に、国民の世論がそのように変わる前に、憲法が変えられてしまったら、どうにもなりません。

 あと3年、必死の思いでがんばって、子供たちに平和な日本を残してやるのが、私たちの務めだと思います。そう思って、私も必死になってかけ回っています。あと3年ぐらいはまだ生きていけるだろうから、なんとしても3年間は9条を守るために全力をつくしたいと決心しています。

 ありがたいことに、9条を変えるには国民投票が必要です。国会で決めただけでは変えられません。国民投票で過半数をとらないと、憲9条は変えられないのです。逆にいえば、これによってこちらが憲法9条を守る署名を国民の過半数集めてしまえばいいことになります。住民の過半数の「9条を守る」署名を3年間で集めてしまう。そうすればもう、変えることは不可能になります。

 そうすれば、子供たちに憲法9条のある日本を残してやれます。2度とアジアと戦争する国にならないようにして、そしてもし長生きできれば、新自由主義という方向、つまりアメリカ言いなりではなく、もっと自主的な経済ができるように、せめてヨーロッパのような修正資本主義、ルールのある資本主義の仕組みにもう一度戻すこともできるでしょう。

 日本中で、飢えている人、因っている人、貧しい人が、それでも人間らしく生きていけるような、最低限の保障ができる、生きる希望が出る──。そういう社会にすることが大切なのだ、と思います。これは長期的展望です。簡単にはできません。一度、新自由主義になってしまったので、10年位かかるでしょう。国民が賢くなって、正しい要求を政府につきつけていかなければいけません。その中心になる労働運動の再建が必要です。

 結局国民が主権者なんですから、国民の願いがかなうような、そういう日本に作り替えていきたいなと、そういう道を進んでいきたいなと思います。

 鋸南町は合併を拒否なさったというので、日本でも有数な自覚的な町といえます。合併するとまず住民自治がダメになります。大きくなるということは、住民自治が駄目になることでもあります。住民が主人公になる町こそ大切。ぜひこの美しい山と海と禄のある町で、1人1人が主人公であるような地域共同体というものを、みんなが助け合える町になることを私も希望して、講演を終わらせていただきます。
http://kyonannet.awa.or.jp/mikuni/siryo/2006/kawabata-kouen060114.htm

19. 中川隆[-8716] koaQ7Jey 2024年10月29日 15:36:58 : 1Sx36ulAPs : TkdFNFpxSzkzZEE=[9] 報告
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サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
2024年10月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674#more-55674

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がダートマス大学でのインタビューで資本主義と社会主義の違いについて語っている。

社会主義とは何だったのか

社会主義がほとんど旧世代の遺物となってから長い時間が過ぎたが、恐らくそのためになぜ資本主義が成功しているのかということについて考える人は少ない。

そしてまさにそれが理由で日本やアメリカなどの資本主義国家とされる国に、実体経済を自由市場ではなく中央政府が支配する社会主義の影が忍び寄っていると筆者は考えているのだが、だからこそサマーズ氏に社会主義の国々がどういうものだったのかを語ってもらおう。

サマーズ氏は大学生たちに次のように語りかけている。

わたしはこの部屋にいる学生たちと同じくらいの年か、それよりも少し年上だった頃に、ここにいる学生がもう体験できないことを体験したことがある。

それは西ベルリンと東ベルリンを繋いでいたチェックポイント・チャーリーを通ったことだ。

チェックポイント・チャーリーとは、戦後に東西に分断されていた西ベルリンと東ベルリンを繋いでいた検問所のことである。第2次世界大戦後、アメリカと旧ソ連に分割統治されていたベルリンは、半分が資本主義、もう半分が社会主義によって運営されていた。

結局、ドイツは資本主義だった西ドイツが繁栄し、社会主義だった東ドイツが貧困に陥ったため、東ドイツが西ドイツに吸収される形で統合されたのだが、これはその前の話である。

サマーズ氏は次のように述べている。

それは2024年と1954年を繋ぐ門を通るような経験だった。その前後ではすべてが違った。西ベルリンと東ベルリンにはまったく共通点はなかった。

社会主義の失敗

当時、社会主義の国は次々に退廃していった。資本主義経済では起業家が消費者の需要に合わせてどのような商品を作るかを決め、需要が高い商品を作った起業家ほど高い対価を得る。

一方で社会主義の国ではどういう商品が作られるべきかを政府が決定する。

その結果は明らかである。資本主義国家では消費者が欲しがる商品がどんどん作られ、社会主義国家では消費者が欲しがらない商品がどんどん作られた。

そして西ベルリンは栄え、東ベルリンは貧困に沈んでいった。ソ連は崩壊した。中国はケ小平氏の時代から資本主義をある程度受け入れていった。

今でもかなり社会主義的な小国はある。サマーズ氏は次のように言っている。

北朝鮮は人に出入りをさせないが、それは抜け出す人が出ないようにするためだ。だから韓国から北朝鮮に行くことはできない。

北朝鮮に自由に出入りできないことには理由がある。社会主義国と資本主義国では貧富の差が激しいために、北朝鮮の人々が韓国の豊かな暮らしを見れば、誰もが北朝鮮から逃げ出したいと思ってしまうだろう。

国民にチェックポイント・チャーリーを通らせてはならない。だから自国民を囲うしかないのである。

社会主義の本質

読者の多くは、こうした社会主義の話が過去の遺物であるか、または北朝鮮のような極端な国のものだと思うだろう。

元々、社会主義は裕福な起業家たちを羨んだ労働者や農民に支持されて始まった。起業家が株式を持つことを禁じ、株主の役割を政府が担った結果、政治家だけが豊かになる社会が出来上がったのである。

しかしそれは今の日本に似ていないだろうか? 給与所得の半分を政府に持っていかれる現状は本当に資本主義なのか。東京の真ん中に税金で作られた巨大便器は消費者が望んだ商品なのか。これは社会主義の製品と何が違うのか。


出典:産経新聞
社会主義の本質は、人々の自由な商業活動、自由な物品の売買を禁じ、政府の決めたように経済を動かすことである。

サマーズ氏は次のように述べている。

社会主義を望む人々の衝動を理解することは困難だ。

合意した2人の大人が寝室で何をしようと自由であるのに、なぜ合意した大人同士が市場経済のなかで、互いに合意した賃金で雇ったり雇われたり、合意した金利でお金を貸したり貸されたり、合意した価格で商品を売ったり買ったりを自由にしてはいけないのか?

資本主義に反対することは、合意した大人同士が第三者に害を与えないかぎり、互いに利益がある行為をやっても良いという考えに反対することだ。

資本主義の本質はこうである。人々に自由な経済活動をさせれば、優れた起業家のような非常に裕福な人々が出てきてしまう。それを羨んだ人々は政府がそれを止めてくれると思い、起業家から自由を奪って政府にそれを与えた結果、起業家ではなく政治家が豊かになり、人々はむしろ更に貧しくなったのである。

サマーズ氏は次のように言っている。

反資本主義という姿勢は、本質的には反自由なのだ。

だがそれはまさに日本の状況ではないのか。自分の力で金を稼いだ高所得者から、当選させてくれと乞食のように頼む政治家に金を移転するのが今の日本経済である。

そしてそれは与党を支持した国民の多数派には決して移転されない。それを期待している人々は、控え目に言っても間抜けである。

他人の自由を奪うと自分に返ってくる。ばら撒き政策とはそういうものである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である


現実には金融所得の税率は低く、給与所得の税率は高いのだから、多数派に支持された政府が多数派だけ損をする社会を作っているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674#more-55674

20. 中川隆[-8695] koaQ7Jey 2024年10月30日 16:06:14 : OcZysigyQY : WFBhSXFiRzRoZGc=[16] 報告
<■80行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
サマーズ氏: 本当の資本主義国家では権力者が大衆にごまをする
2024年10月29日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55715

引き続き、アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏のダートマス大学におけるインタビューである。

資本主義と社会主義

前回の記事では、資本主義とは売り手と買い手に自由に売買させることであり、起業家が豊かになるのは単にその結果だという話をした。

サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
一方で社会主義とはその自由を奪うことであり、その結果起業家どころか社会全体も貧しくなる。世の中に出回る商品を政府が独占的に決定し、良い商品を作っても高値で売れないなら、誰も良い商品を作らなくなるからである。

誰が誰にごまをするのか

さて今回の記事である。サマーズ氏によれば、資本主義の国と社会主義の国を見分けられる簡単な方法がある。誰が誰に「ごまをすっているか」を見ることである。

サマーズ氏はアメフトのスタジアムを見学した時のことを次のように語っている。

ニューイングランド・ペイトリオッツの本拠地であるジレットスタジアムの見学に招かれた時のことだ。そこではスタジアムのオーナーが他のスタジアムのオーナーにスタジアム建設にあたっての課題について話していた。

ペイトリオッツのオーナーが話したすべての言葉は、チケットを買ってゲームを観に来る人々に「ごまをする」ためのものだった。

客を「ゲスト」と呼び、駐車場の除雪にかかる時間を5分減らし、ファーストフードの店の並び方を再設計して食べ物をより早く手に入れられるようにし、椅子の設計を変えて寒い日にも快適に座れるようにした。

アメフトチームのオーナーが、一市民である客に対してごまをすっている。なぜか? そこには資本主義が働いているからである。

サマーズ氏は次のように続ける。

すべては客にごまをすることだ。それはスタジアムのオーナーが優しくリベラルで親切で慈善的精神のある人間だからではない。客が快適になれば入場券にもっとお金を払ってくれるからだ。

それが資本主義のインセンティブの本質なのだ。

社会主義では大衆が権力者にごまをする

では社会主義の国ではどうなるのか。サマーズ氏は次のように説明している。

社会主義の国に行けば状況はまったく違う。社会主義の国では買い手が肉屋にごまをすろうとあらゆる努力をする。そうすれば良い肉を自分の家族に分けてくれるからだ。

社会主義の国では人々は電話会社にごまをする。そうすれば電話を6ヶ月ではなくて3ヶ月で手配してくれるからだ。

それが腐敗の温床である。何が作られるべきかを政府が決定する社会主義の国では、良い商品を作る人ではなく政府に権限を与えられた人に報酬が与えられる。竹中なんとかさんの顔が浮かんだのは筆者だけではないだろう。

資本主義と社会主義の違い

サマーズ氏は資本主義の本質について次のように語っている。

資本主義は売り手に対して買い手にごまをすることを要求する。

売り手とは誰だ? 権力のある人々だ。売り手は資金を持っている人々だ。資本主義は買い手、つまりすべての人々を幸せにするためにあらゆる努力をすることを企業に要求する。

だから本質的に、資本主義とは買い手である大衆の力を売り手である小数のエリートに対して増強するためのシステムなのだ。そして社会主義はその逆を行なっている。

この話はマクロ経済学の父と言うべきアダム・スミス氏の「神の見えざる手」の話と本質が同じである。彼の著書である『国富論』には次のように書いてある。

人は自分の利益を追求することで、意図的に公共の利益を促進しようとする時よりも効率的に公共の利益を促進することができる。

実際、人は一般に公共の利益を促進しようとしているわけでもなければ、自分がどれだけ社会に貢献しているのかを把握しているわけでもない。

しかし見えざる手に導かれ、自分が意図していない目的を実際には促進しているのである。

『国富論』は今なお有効な知識がつまったマクロ経済学の優れた入門書である。優れた経済学者の言うことは今も昔も変わっていない。

日本は資本主義か社会主義か

サマーズ氏は、資本主義国家では権力者が大衆にごまをすり、社会主義国家では大衆が権力者にごまをするという。

では日本は果たして資本主義なのか、社会主義なのか? 日本では(アメリカでも)政府支出が増大し、お金がどこに行くべきかを国民ではなく政府が決める状態が常態化している。

国民ではなく政府がお金を払う相手を決める社会ではどうなるのか? サマーズ氏は次のように言っている。

賭けてもいいが、もしジレットスタジアムが市に運営されていたら、同じように快適なものにはなっていなかっただろう。

ちょうど良いことに、日本にはコロナ禍における東京五輪のために作られ、その後ほぼ使われていない国立競技場という優れた例がある。


出典:産経新聞
その国が資本主義なのか社会主義なのかを見極めるためには、サマーズ氏いわく、誰が誰にごまをすっているのかを見ればいい。

日本の場合はどうかと言えば、簡単である。1行で終わるだろう。

人々が自民党にごまをすっている。そしてその見返りは返ってこない。

アダム・スミス氏は200年以上も前に『国富論』に次のように書いている。

わたしは公共の利益を推進するとうそぶいている人によって大きな何かが成し遂げられた例をまったく知らない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55715

21. 中川隆[-8535] koaQ7Jey 2024年11月14日 06:00:36 : s5SJUhE8xo : N0h2Rmh1c3hEbzY=[14] 報告
<■84行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
2024年10月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がダートマス大学でのインタビューで資本主義と社会主義の違いについて語っている。

社会主義とは何だったのか

社会主義がほとんど旧世代の遺物となってから長い時間が過ぎたが、恐らくそのためになぜ資本主義が成功しているのかということについて考える人は少ない。

そしてまさにそれが理由で日本やアメリカなどの資本主義国家とされる国に、実体経済を自由市場ではなく中央政府が支配する社会主義の影が忍び寄っていると筆者は考えているのだが、だからこそサマーズ氏に社会主義の国々がどういうものだったのかを語ってもらおう。

サマーズ氏は大学生たちに次のように語りかけている。

わたしはこの部屋にいる学生たちと同じくらいの年か、それよりも少し年上だった頃に、ここにいる学生がもう体験できないことを体験したことがある。

それは西ベルリンと東ベルリンを繋いでいたチェックポイント・チャーリーを通ったことだ。

チェックポイント・チャーリーとは、戦後に東西に分断されていた西ベルリンと東ベルリンを繋いでいた検問所のことである。第2次世界大戦後、アメリカと旧ソ連に分割統治されていたベルリンは、半分が資本主義、もう半分が社会主義によって運営されていた。

結局、ドイツは資本主義だった西ドイツが繁栄し、社会主義だった東ドイツが貧困に陥ったため、東ドイツが西ドイツに吸収される形で統合されたのだが、これはその前の話である。

サマーズ氏は次のように述べている。

それは2024年と1954年を繋ぐ門を通るような経験だった。その前後ではすべてが違った。西ベルリンと東ベルリンにはまったく共通点はなかった。

社会主義の失敗

当時、社会主義の国は次々に退廃していった。資本主義経済では起業家が消費者の需要に合わせてどのような商品を作るかを決め、需要が高い商品を作った起業家ほど高い対価を得る。

一方で社会主義の国ではどういう商品が作られるべきかを政府が決定する。

その結果は明らかである。資本主義国家では消費者が欲しがる商品がどんどん作られ、社会主義国家では消費者が欲しがらない商品がどんどん作られた。

そして西ベルリンは栄え、東ベルリンは貧困に沈んでいった。ソ連は崩壊した。中国はケ小平氏の時代から資本主義をある程度受け入れていった。

今でもかなり社会主義的な小国はある。サマーズ氏は次のように言っている。

北朝鮮は人に出入りをさせないが、それは抜け出す人が出ないようにするためだ。だから韓国から北朝鮮に行くことはできない。

北朝鮮に自由に出入りできないことには理由がある。社会主義国と資本主義国では貧富の差が激しいために、北朝鮮の人々が韓国の豊かな暮らしを見れば、誰もが北朝鮮から逃げ出したいと思ってしまうだろう。

国民にチェックポイント・チャーリーを通らせてはならない。だから自国民を囲うしかないのである。

社会主義の本質

読者の多くは、こうした社会主義の話が過去の遺物であるか、または北朝鮮のような極端な国のものだと思うだろう。

元々、社会主義は裕福な起業家たちを羨んだ労働者や農民に支持されて始まった。起業家が株式を持つことを禁じ、株主の役割を政府が担った結果、政治家だけが豊かになる社会が出来上がったのである。

しかしそれは今の日本に似ていないだろうか? 給与所得の半分を政府に持っていかれる現状は本当に資本主義なのか。東京の真ん中に税金で作られた巨大便器は消費者が望んだ商品なのか。これは社会主義の製品と何が違うのか。


出典:産経新聞
社会主義の本質は、人々の自由な商業活動、自由な物品の売買を禁じ、政府の決めたように経済を動かすことである。

サマーズ氏は次のように述べている。

社会主義を望む人々の衝動を理解することは困難だ。

合意した2人の大人が寝室で何をしようと自由であるのに、なぜ合意した大人同士が市場経済のなかで、互いに合意した賃金で雇ったり雇われたり、合意した金利でお金を貸したり貸されたり、合意した価格で商品を売ったり買ったりを自由にしてはいけないのか?

資本主義に反対することは、合意した大人同士が第三者に害を与えないかぎり、互いに利益がある行為をやっても良いという考えに反対することだ。

資本主義の本質はこうである。人々に自由な経済活動をさせれば、優れた起業家のような非常に裕福な人々が出てきてしまう。それを羨んだ人々は政府がそれを止めてくれると思い、起業家から自由を奪って政府にそれを与えた結果、起業家ではなく政治家が豊かになり、人々はむしろ更に貧しくなったのである。

サマーズ氏は次のように言っている。

反資本主義という姿勢は、本質的には反自由なのだ。

だがそれはまさに日本の状況ではないのか。自分の力で金を稼いだ高所得者から、当選させてくれと乞食のように頼む政治家に金を移転するのが今の日本経済である。

そしてそれは与党を支持した国民の多数派には決して移転されない。それを期待している人々は、控え目に言っても間抜けである。

他人の自由を奪うと自分に返ってくる。ばら撒き政策とはそういうものである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

現実には金融所得の税率は低く、給与所得の税率は高いのだから、多数派に支持された政府が多数派だけ損をする社会を作っているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674

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