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(回答先: 日本政府が意図的に日本人を少子高齢化させた理由 投稿者 中川隆 日時 2019 年 6 月 21 日 10:22:02)
日本は世界で一番インフラが充実している国だったけど…
鉄道、宅配、コンビニ、病院が、次々とブラック化するワケ
2020/12/30
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E9%89%84%E9%81%93-%E5%AE%85%E9%85%8D-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%8B-%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%8C-%E6%AC%A1%E3%80%85%E3%81%A8%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%AF%E3%82%B1/ar-BB1ckzs7?ocid=msedgntp
街中に”便利”があふれている© ITmedia
日本で生活していると、そのありがたさになかなか気付かないが、実はこの国ほど生活インフラが充実している国はない。よく言われるのが、鉄道だ。時刻表通りに秒単位の正確さで目的地に到着する、いわゆる「定時運行」は、日本人の生真面目さと規律正しさを象徴する鉄道文化として、多くの外国人が「世界一」だと評価している。
ただ、そういう分かりやすいものだけではなく、実は「世界一」は日本にあふれている。例えば、今も年末で大忙しの「宅配」。米国の宅配技術企業「ピツニーボウズ」が10月13日に発表した年間世界宅配便件数指数によると、宅配便取扱個数は中国がダントツで世界一だが、年間1人当たりの受け取った荷物の数では、平均72件で日本が「世界一」となった。
では、なぜ日本人は世界で最も宅配を利用するのかというと「世界一便利」だからだ。低価格で全国どこにでも驚くほど迅速に届けてくれて、しかも細かな時間指定や再配達にまで対応してくれる。「遅い!」「荷物が壊れている」と文句を言う人も多いが、ここまで手厚い宅配サービスを提供している国は、世界を見渡してもそれほど多くない。
日本人が荷物を届けることに強いこだわりを持っているのは、郵便サービスの質が世界トップレベルであることからもうかがえる。万国郵便連合(UPU)が世界170の郵便事業を調査した「郵便業務発展総合指数」で日本は17年、18年と「郵便のサービス品質が高く他国に優れている」「アジア太平洋地域で抜きん出た郵便サービスの品質を維持している」などベタ褒めされて3位に輝いている。
また「世界一便利」ということでいえば、忘れてはいけないのが、コンビニだ。24時間いつでも食品、弁当、惣菜、雑誌などが買えるだけではなく、ATMや各種支払いができて、チケットや宅配の受け取りもできる。最近では、カフェまで併設して飲食ができる。ここまで便利なコンビニは世界を見渡してもそうない。
●医療の手厚さも「世界一」
これを実現させているのは、大手コンビニチェーンのネットワーク力だ。現在、日本には5万5906店(日本フランチャイズチェーン協会 20年11月度)のコンビニがあって、その9割を大手3社が占めている。コンビニの数だけ見れば、日本よりも人口の多い米国や中国のほうが圧倒的に多いが、「寡占」ともいえるほどはりめぐらされた大手チェーンの店舗ネットワークは日本だけだ。
例えば、日本の約2.6倍ほど人口のいる米国のコンビニ市場は15万3000店と言われているが、そのほとんどはガソリンスタンドに併設した「個人商店」なので、サービスの質はバラバラ。日本国内で2万1038店舗(20年11月末現在)あるセブン-イレブンも、米国とカナダを合わせて約9800店舗ほどの展開で、米国内でのシェアはわずか1割にも満たない。
国土の中にはりめぐらされたネットワークによって、手厚いサービスを提供することでいうと、他の追随を許さないほど「世界一」なのが「医療」である。
日本の病院数が諸外国に比べてダントツに多く、「世界一」であることはよく知られている事実だが、実はそこで行われている医療の手厚さに関しても「世界一」だということは、あまり知られていない。
スタンフォード大学で医療政策部を設立した国際医療経済学者のアキよしかわ氏が立ち上げた、グローバルヘルスコンサルティングジャパン(以下、GHC)という会社がある。このGHCは、24時間体制で急性期患者(重症患者)の治療を行う大きな病院――いわゆる「急性期病院」を対象に経営改善支援を行っており、国内800以上の急性期病院のビッグデータを有している。
●手厚い医療体制
そんなGHCが12月23日に出した『医療崩壊の真実』(アキよしかわ/渡辺さちこ著、エムディエヌコーポレーション刊)には「日本の世界一手厚い医療」がうかがえるデータが多く掲載されている。分かりやすいのが「在院日数」だ。
諸外国で急性期患者の治療にどれだけの日数を費やしているのかという平均在院日数の国際比較を見ると、ドイツや韓国が7.5日、スウェーデン5.5日、オーストラリアが4.2日と概ね1週間で退院しているところ、日本は16.2日と2倍以上も長く入院させているのだ。
実際、諸外国では「日帰り手術」をしているような疾患でも、日本では何日か患者を入院させる。例えば、諸外国では局部麻酔での手術が多く、90%以上が「日帰り」である白内障手術も、日本の病院の場合、「日帰り」は52.9%にとどまる。
もちろん、これは入院させたほうが病院にとって「得」になることも大きい。GHCのデータでは、白内障手術の医療費は14.7万円だが、2泊3日の入院治療だと22万円。また、欧米では外来治療が一般的なポリペクトミー(内視鏡でのポリープ切除)も、日本では外来が7.3万円、2泊3日の入院だと18.1万円だ。つまり、「世界一手厚い医療」は純粋に「患者のため」だけではなく、病院経営的なメリットから施されている部分もあるのだ。
いずれにせよ、日本には世界一たくさんの病院が乱立して、諸外国ではありえないほど世界一手厚い医療を国民に施してくれている事実は変わりがない。
●日本のインフラが崩壊しつつある
という話を聞くと、何かに気付かないだろうか。そう、実はここまでご紹介した「世界一のインフラ」は近年、「崩壊の危機」が叫ばれているものばかりなのだ。
日本の「世界一の定時運行」を象徴する新幹線は、3年前にあわや大事故につながる重大インシデントが発生。背景にあるのは、正確で安全な運行を陰で支える保守点検作業員の深刻な人手不足である。これがいよいよシャレにならなくなってきていることは、鉄道各社が「終電繰り上げ」に踏み切っている事実が雄弁に語っている。
「世界一の宅配」に関しても、数年前から「宅配クライシス」が叫ばれている。ドライバー不足や低賃金などの劣悪な労働環境から、いままでのような水準の宅配サービスが提供できないと現場から悲鳴が上がっていて、これまでご法度だったライバル社同士の配送協力や、鉄道やバスなどの公共交通機関の活用なども始まっている。
「世界トップレベルの郵便」は高齢者をカモにしたかんぽ保険の不正など不祥事続発。現場に厳しいノルマをかけるなどのパワハラも多数報告され、経営陣が「再発防止」を叫ぶも状況はまったく改善されていない。
「世界一のコンビニ」も同様だ。バイトが集まらないところに、サービスの多様化によって仕事量が増えている。以前から労働環境のブラック化が指摘され、19年はセブン-イレブンの24時間営業問題をきっかけに、さまざまな問題が噴出した。
そして、「世界一の医療」についてもはや説明の必要はないだろう。日本よりも桁違いに多くの感染者や死者が出ている欧米ではもはや聞かれることが少なくなった「医療崩壊」がなぜか連日のように叫ばれている。現場の医療従事者によれば、もはやいつ崩壊してもおかしくない危機的状況だという。
●人口減でインフラにひずみ
では、なぜわれわれの便利と安心を長く支えてきた「世界一のインフラ」がここにきて示し合わせたように一斉に音をたてて崩れてきているのか。
1つには「人口減少」があることは言うまでもない。ITなどで効率化できるインフラもあるが、鉄道、宅配、郵便、コンビニ、そして医療というのは、どうしても安全面などから「人」に依存する部分が大きい。というわけで、人口が減少に転じていけば当然、現場の負担は重くなって、労働環境は急速にブラック化していく。
つまり、今の鉄道、宅配、郵便、コンビニ、医療などで叫ばれる「危機」の本質は、人口増時代に調子に乗って日本中に広げすぎたインフラが維持できなくなっているということなのだ。ただ、この本質はなかなか語られることが少ない。あれが悪い、こいつが悪いと犯人探しをして「広げすぎたインフラをたたむ」――つまり再編・統合を頑なに避けてきた。
分かりやすいのが「宅配」だ。もう忘れている人も多いだろうが、宅配クライシスが叫ばれたとき、当初「アマゾンが悪い」と叫ぶ人たちがあらわれた。「配送無料」のアマゾンでポチポチと買うことが、ドライバーの皆さんを苦しめているということで、アマゾンのヘビーユーザーを叩くようなムードもあった。
しかし、ヤマトが残業代を230億円も未払いしていたことからも分かるように、アマゾン以前からとっくに日本の宅配は崩壊寸前だった。アマゾンはその背中を押しただけに過ぎないのだ。
そして、実はこれとまったく同じ構造が今の「医療崩壊」に言える。マスコミや日本医師会は、コロナ患者が急激に増えているので、医療が崩壊寸前だと叫ぶが、コロナ以前からとっくに日本の医療は崩壊寸前だ。
●病院は世界一多くて、手厚いが……
先ほども申し上げたように、日本の病院は世界一多くて、世界一手厚いが、人口1000人当たりの医師数は、OECD平均が3.5人のところ、日本は2.4人しかない。看護師も先進国の中では平均並だ。
そのように諸外国と比べて大して多くもない医療従事者が、世界一多い病院に振り分けられ、世界一手厚い医療を提供させられる。諸外国ではあり得ないほどのブラック労働が起きるのは容姿に想像できよう。中でも特に虐げられるのが、患者と最もよく接する看護師だ。
「第9回医師の働き方改革に関する検討会」(2018年9月3日)で配布された「諸外国の状況について」という資料の中に、諸外国の医療体制を比較した一覧がある。その「病床百床あたり臨床看護職員数」を見ると、米国は394.5、英国が302.7、ドイツが164.1、フランスが161.8であるのに対して、日本はどうかというと、83と断トツに少ない。
このように病院の医療従事者を世界一劣悪な環境でこき使ってきた国が、新型コロナを「2類相当」として感染者を公立病院や地域の急性期病院に集中させれば、どんな阿鼻叫喚の地獄となるのかは、分かりきっていたことなのだ。
そして、世界一多い病院に医療従事者が「分散」させられることの弊害も生じる。ある病院にはすさまじい数の患者が押し寄せて、医師や看護師は目が回るほど忙しいが、ある病院はコロナを恐れて患者がまったく来ないで閑古鳥が鳴いていて、医師や看護師も通常通りという「格差」ができる。
実際、GHCの調査でも今年の2〜6月にコロナ患者を受け入れていない266の病院のうち、35病院(15%)で集中治療専門医や救命救急専門医が常勤し、89病院(39%)に呼吸器内科専門医がいた。コロナ重症患者の命を救える専門知識を持つ人たちが、コロナ医療に関わっていない現実があるのだ。
これらの問題を解消するには、「医療体制の再編・統合」をしなくてはいけないのは明らかだ。
●インフラを整備してきた問題
では、なぜそんな分かりきったことを今日にいたるまでやらなかったのかというと、日本の医療政策に影響力を持つ日本医師会が「医療体制の再編・統合」に対し、後ろ向きだからだ。よく言われるように、日本医師会は現在、医療崩壊の危機が叫ばれているような病院の「代弁者」ではない。
日本医師会会員数調査(令和元年12月1日現在)によれば、会員総数17万2763人のうち8万3368人は「病院・診療所の開設者」であり、その内訳は、病院開設者が3985人に対して、診療所開設者は7万473人と大多数を占めている。こういう比率なので、日本医師会の提言は、町の小さな医院や個人クリニックを利するようなものが多いと言われているのだ。
日本の多すぎる病院を統合・再編をして医療資源を集中させるとなれば、10万2105施設(厚生統計要覧令和元年度)ある診療所もその影響をモロに受ける。地域内に分散された医療インフラを集約するためにも、整理統合や規模拡大が促されていくだろう。
つまり今、議論になっている「生産性向上のために中小企業の合併・統合を促す」政策と同じようなことが、町の医院、個人クリニックにも起きるかもしれないのだ。
町の医院、個人クリニックの業界団体である日本医師会にとって、そんな暴論は断じて認められない。中小企業の業界団体である日本商工会議所が「中小企業再編」に頑なに反対しているのとまったく同じだ。
地域に大小さまざまな病院があふれている国は、一見すると医療が充実しているように見えるが、「人」という限りある医療資源をそれだけ分散させていることでもある。医療従事者の数に対して病院や病床という「器」が多すぎるので、1人当たりの負担が重くなって結果、医療現場を弱体化させている。これが、世界一病院が多くて、世界一手厚い日本の医療が、欧米の数十分の一程度の感染者で崩壊寸前になっている理由だ。
人口右肩上がりの日本では、「大きい」「多い」は無条件で素晴らしいことだとされてきたが、もはやそういう時代は終焉(しゅうえん)を迎えた。
調子にのって広げすぎたインフラをこれからどうやってたたんでいくのか。日本人としてはなかなか受け入れ難い現実だが、いい加減そろそろこの問題と向き合わなくてはいけないのではないか。
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