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「検察審査会」 誕生の意義
まず誤解してはならないのは、
「検察審査会制度」は、国民の権利を守るために作られた制度であるということである。それは決して政治機構の一部として作られたものではない。
どういうことかと言うと、
国民が刑事裁判に関わりあう場合、自分が「被告」としての立場である場合と、「被害者」としての立場である場合とがある。
そこで国民が、「被告」の立場で裁判に臨んだ時は、自分の前に立ちはだかる国家権力は、もちろん裁判官と検察官である。そしてこの両者によって、自分がイワレの無い罪を蒙ることになった場合は、上級審に訴えることができるという「三審制度」がある。
では、国民が「被害者」の立場で裁判に関係する時においてはどうか。実は、自分の前に立ちはだかる国家権力はやはり裁判官と検察官なのである。
被害者である国民は、まず裁判の前に、検察によって起訴妥当かどうかの判断を仰がねばならない。そしてこの判断が「起訴に相当せず」と検察でなされた場合、国民がそれに異議を申し立てることは出来なかった(「公訴権」は検察官のみにあることになっている─ 刑事において)。
しかし、憲法32条によれば
32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
とある。この条文は、国民が“被告”である場合はもちろん、“被害者”である場合でも当然保障されなければならない。
すなわち、国民は“被害者”の立場で裁判を受ける権利を、単なる検察官判断によって奪われることはできないのである。
かかる主旨から、現在の司法体制を補完する意味で「検察審査会制度」は誕生したということが出来るであろう。
これは、国民にとって、憲法で保障された権利の内実が一歩前進したということで画期的な意味がある。
検察審査会は第四権力?
今、一部の国会議員の中で、検察審査会は三権のどれにも属さない第四の権力となってるから憲法違反との主張がなされている。
しかしもともと三権(国会・行政・司法)とは、国家統治機構のことであり、その構成メンバーはいわゆる“公務員”である。したがって統治される国民自体はその三権のどれにも属さない。
そして新たに誕生した「検察審査会制度」というものは、憲法に基づき国民が直接担う制度であるからには、その“審査会”が三権のどれにも属さないのは当然である。
もしこれを“第四権力”と呼ぶなら、三権の部外にある国民そのものを意味すると捉えてよいだろう。
恥ずべき国会議員としての所業
いやしくも国民の権利と利益を守る国会議員である者が、国民の権利を拡大することに繋がっているこの「検察審査会制度」を屁理屈を付けて糾弾するとは、もはや国会議員としての資格はないと断言してよいであろう。
恥を知るなら、即刻バッジを外すべきことではないか。
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