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(回答先: 録音データに生々しい検事の恫喝・おみや(小沢起訴相当議決の根拠である石川供述と大久保供述が崩壊しています) 投稿者 小沢内閣待望論 日時 2011 年 1 月 21 日 12:56:09)
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2010.04.28
小沢一郎氏を起訴相当とした検察審査会の議決
昨日の小沢氏を起訴相当とした検察審査会の議決が話題になっている。「市民目線からは許し難い」との報道があり、感覚的な反応かとも思ったが、議決の要旨を見ると、きちんとした議論をしたことが伺われる内容だった。読売新聞記事「小沢民主党幹事長「起訴相当」議決の要旨」(参照)より。今後の推移のための資料になるし、独自の報道ともいえないので、あえて全文引用しておきたい。
小沢一郎・民主党幹事長に対する東京第5検察審査会の議決の要旨は次の通り(敬称略)。
被疑者 小沢一郎
不起訴処分をした検察官 東京地検検事 木村匡良
議決書の作成を補助した審査補助員 弁護士 米沢敏雄
2010年2月4日に検察官がした不起訴処分(嫌疑不十分)の当否に関し、当検察審査会は次の通り議決する。
【議決の趣旨】
不起訴処分は不当であり、起訴を相当とする。
【議決の理由】
第1 被疑事実の要旨
被疑者は、資金管理団体である陸山会の代表者であるが、真実は陸山会において04年10月に代金合計3億4264万円を支払い、東京都世田谷区深沢所在の土地2筆を取得したのに、
1 陸山会会計責任者A及びその職務を補佐するBと共謀の上、05年3月ころ、04年分の陸山会の収支報告書に、土地代金の支払いを支出として、土地を資産として、それぞれ記載しないまま総務大臣に提出した。
2 A及びその職務を補佐するCと共謀の上、06年3月ころ、05年分の陸山会の収支報告書に、土地代金分が過大の4億1525万4243円を事務所費として支出した旨、資産として土地を05年1月7日に取得した旨を、それぞれ虚偽の記入をした上で総務大臣に提出した。
第2 検察審査会の判断
1 直接的証拠
(1)04年分の収支報告書を提出する前に、被疑者に報告・相談等した旨のBの供述
(2)05年分の収支報告書を提出する前に、被疑者に説明し、了承を得ている旨のCの供述
2 被疑者は、いずれの年の収支報告書についても、その提出前に確認することなく、担当者において収入も支出もすべて真実ありのまま記載していると信じて、了承していた旨の供述をしているが、きわめて不合理、不自然で信用できない。
3 被疑者が否認していても、以下の状況証拠が認められる。
(1)被疑者からの4億円を原資として土地を購入した事実を隠蔽(いんぺい)するため、銀行への融資申込書や約束手形に被疑者自らが署名、押印をし、陸山会の定期預金を担保に金利(年額約450万円)を支払ってまで銀行融資を受けている等の執拗(しつよう)な偽装工作をしている。
(2)土地代金を全額支払っているのに、土地の売り主との間で不動産引渡し完了確認書(04年10月29日完了)や05年度分の固定資産税を陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本登記を翌年にずらしている。
(3)上記の諸工作は被疑者が多額の資金を有していると周囲に疑われ、マスコミ等に騒がれないための手段と推測される。
(4)絶対権力者である被疑者に無断で、A、B、Cらが本件のような資金の流れの隠蔽工作等をする必要も理由もない。
これらを総合すれば、被疑者とA、B、Cらとの共謀を認定することは可能である。
4 更に、共謀に関する諸判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を有する被疑者の地位とA、B、Cらの立場や上記の状況証拠を総合考慮すれば、被疑者に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能である。
5 政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。
(1)「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか。
(2)近時、「政治家とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり、市民目線からは許し難い。
6 上記1ないし3のような直接的証拠と状況証拠があって、被疑者の共謀共同正犯の成立が強く推認され、上記5の政治資金規正法の趣旨・目的・世情等に照らして、本件事案については、被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。これこそが善良な市民としての感覚である。よって、上記趣旨の通り議決する。
◇
要旨中のAは小沢氏の元公設第1秘書・大久保隆規被告、Bは陸山会元事務担当者で衆院議員の石川知裕被告、Cは同会元事務担当者の池田光智被告
私が渦中で思ったことが、論点を整理しわかりやすく表現されているという点で、きれいなまとめになっていると思った。
私が気にしていたのは、「1 直接的証拠」の2点である。日本人は証言について、口から出任せでなんとでも言えると考えがちだが、法のプロセスでは証言は審議の上、事実として扱われる。というか、事実とは証言のことである。くどいようだが、日本人は物的な証拠のみを事実として考えがちだ。
今回の件で、この2点の事実から、法の専門家から見てで公判が維持できるかというのが一番の関心事だった。小沢氏の政治資金規正法の収支報告違反という点で、小沢氏本人の共謀共同正犯が成立するかというと、そもそも政治資金報告書を提出するのは会計責任者であって政治家本人ではないので、私の印象ではその筋での立件は困難ではないかとも思っていた。実際に検察の判断としても無理という結論になった。疑わしきは罰せずということでもあり、妥当な判断だろう。
他方、私の一市民の感覚としては、政治資金規正法の帳簿の記法が単式であればこういう、カネの入出を相殺するような報告もありえるだろうが、複式で記載すれば奇妙なカネの出し入れは明確になり、政治資金規正法の趣旨からすれば多いに疑問が残るところとなるはずで、議決書で「政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある」と明記されているのも同意できる。
今回の議決書で、ずいぶん踏み込んだものだなと思ったのは、法の専門家からの判断が出ていてなお、状況証拠が深く勘案されている点だった。私なりの結論からすれば、これも簿記形式の問題に帰してしまうのだが、仮に複式簿記的に見れば、これらの疑念があることはいかんともしがたい。
今後の展開の予想だが、仮に起訴に持ち込まれたとして、(1) 新証拠がなく現在の証拠から公判が維持できるか、(2) 共謀が認定されても微罪の類ではないか、という点を考慮すると、小沢氏が有罪となることはないのではないかとも思う。特に、公判を担うことになるのは、検察ではなく、国からの報酬に限定された新規の弁護人によるもので、ゼロからこれまでの証拠と供述を考証しなおすことになる。常識的に考えてもかなりの困難が予想される。
それでもこれまで検察審査会が行ってきた経緯を考えれば、市民社会のプロセスとして今後の経緯は重視されるべきだろう。裁判所の公式ページ「これまでに審査した事件は 検察審査会とは」(参照)より。
これまでに全国の検察審査会が審査をした事件は15万件に上り,その中には,水俣病事件,羽田沖日航機墜落事件,日航ジャンボジェット機墜落事件,薬害エイズ事件,豊浜トンネル岩盤崩落事件,雪印集団食中毒事件,明石花火大会事件といった社会の注目を集めた事件もあります。
また,検察審査会が審査した結論に基づいて,検察官が再検討した結果起訴した事件は,1,400件を超え,その中には,懲役10年といった重い刑に処せられたものもあります。
市民の意識として、権力に歯止めをいかにかけるかという民主主義の制度のためにも、検察審査会の議決は基本的に尊重されなくてはならない。
加えて二点。
検察審査会は市民が、検察権力行使に歯止めをかける市民側のバランスの機構でもあり、その個別の運営に問題があることもありえるが、機構それ自体の批判とは分けて考えるべき存在である。だが、ブログやツイッターを見ていると、今回の検察審査会の議決から、検察審査会そのものへの批判に飛躍している意見を散見して私は驚いた。いわゆる市民派といった人がたちが現実の市民を批判しているという奇っ怪な構図すら描かれている。それこそが市民社会の病理現象ではないかとも思えた。
今朝の大手紙社説は、今回の議決に絡めて、小沢氏の政治道義的責任を問うているもがあったが、私の考えでは、それはまた別のプロセスである。つまり、国会での小沢氏の説明責任といったものは、司法のプロセスとは独立したものだろう。まして、このことが政局にどう反映するかということは、別の視点の問題であるはずだ。
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