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金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/555.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 01 日 05:42:04: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 本当はヤバイ MMT 投稿者 中川隆 日時 2021 年 2 月 12 日 09:55:41)

金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる


【ゆっくり解説】ハイエクvsケインズ〜経済学を変えた世紀の対決





経済学に限らずその後の歴史を変えた二人の経済学者の世紀の対決、その後編です。
果たして市場に必要なのは「自由」なのか「介入」なのか?



【ゆっくり解説】ハイエクvsケインズ・完結編〜経済学を変えた世紀の対決〜ケインズの遺したスタグフレーション




【ゆっくり解説】ニューディール政策は失敗だった?




【ゆっくり解説】ナチスドイツの経済政策【ヒトラーはドイツ経済を救った?】〜しくじり財政破綻〜




ヒトラーの戦争はドイツを滅ぼしたが、経済政策はドイツを復興させた。
そう説明されることも最近、増えましたが本当でしょうか??
解説します。



【ゆっくり解説】英国IMF危機〜しくじり財政破綻〜【英国病・福祉国家の末路】



ゆりかごから墓場までの福祉国家であった英国の財政破綻。
なぜ大きな政府は破綻したのか?
解説します。



【ゆっくり解説】経済成長ってなに?【政府支出が増えると経済成長する?】
2020/11/14




今、ネットで話題になっているのが「政府支出が増えると経済成長する」というもの。
本当にそうなのでしょうか? 解説しました。
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 中川隆[-6177] koaQ7Jey 2021年4月01日 05:49:47 : ioAjLYoQAE : YUlsd0dYaE9mS0U=[8] 報告
政府が事業者を救済しても無数のゾンビ企業を作るだけで、いずれ経営破綻する
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/554.html

何故公共事業が長期的には失業を生むか
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1564.html

共産主義としてのリベラリズム、資本主義という名の共産主義
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/545.html

公共事業や量的緩和で経済は救えない _ 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/892.html

インフレで起きる事
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1559.html

2. 中川隆[-6169] koaQ7Jey 2021年4月01日 10:06:55 : ioAjLYoQAE : YUlsd0dYaE9mS0U=[17] 報告
新型コロナの世界的流行で経済が深刻な景気後退に陥ったことで、各国は金融緩和と現金給付などの財政出動を行なった。しかしリーマンショックの倍ほどの経済危機を資金注入で無理矢理持ち上げようとすると副作用が生じる。紙幣を刷り過ぎたためアメリカでは物価高騰の初期症状が見られている。

金融市場では物価上昇に先んじて貴金属や農作物などのコモディティ資産が高騰しているのは去年より報じている通りである。紙幣の価値が下がることが懸念されているため、紙幣を紙幣以外の何かに取り替えることが流行しているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13062


紙幣を刷ったところでものが増えるわけではない。人々は政府から現金が入金されて喜んでいるが、日用品の物価の上昇が止まらなくなってようやく我に返るだろう。インフレを避けるため、海外の投資家はコモディティを買い漁るだろう。個人投資家が貴金属や農作物に投資する方法もある。


インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
2021年3月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
2021年3月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
2021年3月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
2021年2月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
2021年2月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
2020年3月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
2021年1月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
2021年1月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

3. 2021年4月04日 07:04:57 : gDb5AlH4lg : VVV5Zk1LelZYVXc=[6] 報告
世界最大のヘッジファンド: コロナ増税に警戒せよ
2021年4月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13108#more-13108

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がYahoo Financeのインタビューで増税の可能性について語っている。コロナ禍での景気刺激策には莫大な金額が費やされたが、それは国の借金で賄われる。それがどういう結果を生むかということである。

「ナチス台頭の日と同じ」

ダリオ氏は聞き手にコロナ禍の経済について解説してくれと言われ、やや投げやりにこう答えた。

言うまでもないだろう。話はシンプルだ。経済の脈拍が弱くなったので政治家は医者のように患者のもとに駆けつけ刺激策を注射した。つまり大量の小切手を切って国民に配った。その量は経済に空いた穴の5倍から7倍の金額だ。

何故投げやりかと言えば、金融家にはこうした政策の無意味さがよく分かっているからである。トランプ前大統領がそうした政策を発表した時、ジェフリー・ガンドラック氏は即座に批判した。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681


ダリオ氏も紙幣を刷っても経済全体に存在する商品やサービスの量が変わるわけではない、「紙幣は食べられない」と言ってこうした政策には批判的だった。紙幣は食べられないが株価や日用品の価格は上がる。

収入を給料ではなく株価の値上がりに依存している人々は得をし、貧富の差は拡大するが、大してお金を持っていない人々さえこうした政策を支持している。人々は自分が何を支持しているのか分かっていないのである。給与所得者がインフレ政策を支持するのは狂気の沙汰である。インフレの意味を分かっているのだろうか。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


1933年3月5日

ダリオ氏は今回、更に踏み込んだ発言をしている。次のものである。

政府には当然資金がないので、中央銀行に紙幣を刷らせてお金を借りた。要するに1933年3月5日と同じことが起きている。

1933年3月5日に何が起きたか知っている読者が居るだろうか。ドイツでナチスが実権を握った議会選挙の日である。

何故この日の話が出てくるのか。ナチスのスローガンが「国民にパンと仕事を」だったからである。第1次世界大戦の敗北後、インフレの懸念があったにもかかわらず、ナチスは財政出動・インフラ投資を公約に掲げた。そして国民はそれを選んだ。ナチスは実際にはイデオロギーではなく経済政策で選挙を勝利したのである。

未曾有の景気後退に陥ったドイツ国民はインフレ懸念を無視して借金による財政出動を選んだ。今と全く同じ状況である。

政府から10万円が振り込まれて喜んでいる人はその後の推移を理解しているだろうか。ダリオ氏が危惧しているのはその後の増税や資本統制、そして独裁政治である。

増税と財政出動の組み合わせは政府の権力を絶大にする。それこそが独裁政治の始まりである。10万円は最初は皆に振り込まれたが、これからは政治家の靴を舐める人々に優先されて与えられてゆくだろう。人々は学ばないが政治家は学ぶからである。

独裁の原因は政治的イデオロギーではなく肥大した政府予算である。中国共産党とナチスドイツの共通点は、政府部門の経済に占める割合が大きいことである。この観点からフリードマン氏の以下の議論を読めば、彼の意味するところがよく分かるだろう。

ミルトン・フリードマン氏: リベラリズムは衆愚政治である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12998


資産家が逃げ始める

また、ダリオ氏はバイデン政権による富裕層への課税についてもコメントしている。

アメリカには2つの政党があるが、どちらも幾分極端なイデオロギーをはらんでいる。資本主義と社会主義と呼ぶべきだろうか。そして中間でいることは難しい。アメリカではどちらかの政党を選ばなければならないからだ。

資産への課税はこの派閥的対立をよりはっきりさせるだろう。2つの派閥の格差を埋めようとする大きな運動がアメリカには存在する。結果として大きな増税が行われるだろう。

ここからは投資家としての観点である。増税が行われれば株式市場はどうなるだろうか?

例えば法人税を減税すれば株式市場にとって得になる。逆に言えば、税率がどのように変化するにしても、それは資産価格と資金の流れに影響するということだ。

トランプ相場で株価が上がったのは法人減税のお陰である。法人税が減税になれば投資家の取り分となる企業利益が増えるため、法人減税は投資家の懐にお金を放り込むことに等しい。一方でバイデン政権は法人増税を考えている。株式市場への影響について投資家は考えておいた方が良いだろう。

また、ダリオ氏は資産そのものに課税する資産税についてもコメントしている。ダリオ氏自身が富裕層であるため、政治的議論には踏み込みたくないとして、資産そのものに課税する資産税が行われれば何が起こるかについてだけ述べている。

資産税については33の事例を研究したが、どのケースでも持続せず、大きな税収をあげることができなかった。

スイスには資産税があるが、極小さな税率で、持続している。ノルウェイも資産税があり、小さな税率で、持続している。しかし高い税率の資産税は様々な理由で持続しなかった。

ここでは細かく理由を挙げてはいないが、基本的に富裕層は自分で住む国を選ぶことが出来る人々である。例えばGO TOトラベルのようなものに自分のお金が使われてゆくのを見れば、富裕層でなくとも政治家のくびきから逃れたいと思うだろう。そしてお金があればそれが出来てしまう。税金を払うということは、政治家が自分の票田にお金をばらまくのを身銭を切って助けるということである。

前にも言ったが政治家がなりふり構わず増税を試みる時、富裕層と中間層の間で責め合いが起きるだろう。無益なことである。何故か政治家が非難されることはない。そしてダリオ氏はその結果について次のように示唆している。

その他にも様々な課税の可能性があるが、問題はそれが資本主義と資本主義者にとってどういう環境になるかである。何故ならば、それが資金の流れに強く影響するからだ。

ダリオ氏はぼかしながら話しているが、アメリカから富裕層が資金ごと逃げ出してゆくシナリオを明らかに想定している。ドル暴落からのアメリカ没落をダリオ氏はこれまでも示唆している。

世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9934

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13108#more-13108

4. 中川隆[-6035] koaQ7Jey 2021年4月04日 07:09:55 : gDb5AlH4lg : VVV5Zk1LelZYVXc=[10] 報告
民間銀行の信用創造について低レベルの誤解をしている人が多い
民間銀行は自己資金ゼロでも、顧客に借用書を書いてもらって、融資金額を顧客の銀行預金として記帳するだけでお金が無から生まれると思っているアホが多過ぎる。
そもそも民間銀行が自己資金も持っていないのに顧客に融資したとしたら、顧客が自分が借りた金を日銀券(円紙幣)で引き出したいと言った時に、全く金を持っていない民間銀行が顧客に日銀券を渡せる訳がないですね。小学生でもわかる道理です。

信用貨幣論というのは要するに、
貨幣と言っても、マネタリーベース、マネーストック、銀行預金、国内で商品購買に使うお金、国内で不動産・株式購買に使うお金、為替交換して外国に投資するお金等 何種類もありますが、

・政府の信用創造: 国債と硬貨国債を発行、国債は政府が発行する有利子貨幣、硬貨は政府が発行する無利子貨幣

・日銀の信用創造: 日銀当座預金と日銀券(円紙幣)を発行、日銀当座預金は有利子貨幣で、日銀は民間銀行から国債を買って、民間銀行の日銀当座預金口座に日銀当座預金を信用創造し、マネタリーベースを増やす。
日銀券(円紙幣)は日銀が発行する無利子貨幣で、日銀は民間銀行の要請で日銀当座預金と日銀券(円紙幣)を交換する。

・民間銀行の信用創造:、銀行預金は民間銀行が発行する有利子貨幣で、民間銀行は一般人に融資して民間銀行の口座に銀行預金を信用創造し、マネーストックを増やす。民間銀行が日銀券(円紙幣)を持っていてもマネーストックにはならない。

お金の又貸し説は日銀当座預金では正しい

民間銀行の信用創造というのは民間銀行が自分の持っている日銀当座預金口座の日銀当座預金を日銀券に変えるという意味です。日銀当座預金口座は政府と民間銀行しか作れないので、民間銀行に借金しないと日銀券を発行してもらえないのです。
それが、借金でお金を作る、という意味です。
ゼロからお金を作るのではなく、日銀当座預金を日銀券に変えているだけです。 銀行が顧客に金を貸せるのは、貸す金額と同額の日銀当座預金を持っている場合だけです。

民間銀行の持っている日銀当座預金は、顧客から銀行預金として預かっている日銀券を日銀でデータに変えて保管したものです。民間銀行の融資というのは顧客から銀行預金として預かっているお金を又貸ししているだけです。

 銀行は自己資本だけではなく、お金を借りてそれをさらに融資するという「又貸し」を行っています。銀行の最大の他人資本は「預金」であり、この他に、他の金融機関からの借り入れや社債を発行して集めたお金、さらには中央銀行から借りたお金なども他人資本となります。融資が焦げ付いた場合、預金などの他人資本に手を付けるわけにはいかないので、銀行には一定水準以上の自己資本を持つことが義務付けられています。 国際的な業務を営む銀行の場合、自己資本比率=自己資本÷融資額(リスクアセット)×100 の下限は8%、国内業務に限っている場合には4%という「自己資本比率規制」があり、これを維持することがBIS(国際決済銀行)によって義務付けられています。

一方、日銀は買いオペで国債を買って日銀当座預金を信用創造できますが、マネタリーベースを増やすと貨幣価値が下がってしまい、マネタリーベースすべてを使って買えるものの総量はマネタリーベースを増やしても変わりません。
日銀当座預金の信用創造というのは単に貨幣価格の単位を変えただけです。
いままで1万円札で10ケ買えていたものが、貨幣量を10倍にすると貨幣価値が1/10になって、1万円札で1ケしか買えなくなります。 日銀が信用創造で円貨幣を増やしても、貨幣の単位が変わるだけで経済には(長期的には)影響しません。

民間銀行が一般人に融資して民間銀行の口座に銀行預金を信用創造しても、それは民間銀行が元々日銀当座預金口座に持っている日銀当座預金の一部を一般人専用にしているだけで、お金が増えた訳ではありません。民間銀行の信用創造というのは日銀当座預金を日銀券(円紙幣)に変えてマネーストックが増えた場合だけです。但し、マネーストックが増えても国内で商品購買に使われなければ物価は上がりません。

お金が増えるのは、買いオペで日銀が国債を買い取って、その代金を日銀当座預金口座に信用創造して、マネタリーベースが増えた場合だけです。マネタリーベースが増えると貨幣価値は下がりますが、物価があがる訳ではありません。

日本人の給料は30年前と変わらないので、国内で商品の購買に使われる総額も同じで、従って国内物価は上がりません。金利も変わりません。円の貨幣価値が下がったというのは輸入物価やゴールド・原油・鉄鋼・穀物・大豆などの商品相場が上がったという事で、国内の消費者物価や金利が上がった訳ではないんですね。

▲△▽▼


古典派経済学の貨幣数量説・貨幣の中立説
貨幣中立説は、歴史的には大航海時代以後にスペインなどが重金主義を採用したことによる反動ともいえる。
重金主義とは、貿易などを通じて貴金属や貨幣を蓄積することにより、国富を増すことを目指す経済思想や経済政策の総称。

一方、古典派経済学の貨幣中立説は貨幣量の増減は物価にだけ影響を与え、生産活動や雇用の増減などには影響を与えないとする説。 中立説によれば、貨幣は社会的な分業や効率性をもたらす以上の役割はない。経済活動の本質は物々交換であり貨幣はその仲介を行っているにすぎず、貨幣量の増減は貨幣錯覚による混乱をもたらすが国富・国民経済の観点では中立的であり、国富の増大には貨幣量の拡大ではなく生産・供給能力の増強によるべきとした。

貨幣数量説は貨幣の中立性を前提にしており、物価の乱高下は流通貨幣量の管理によって押さえ込むことができるとする。管理通貨制度が定着する以前は、社会に存在する貨幣の総量は誰にも計測できず、金塊が採掘されるなり、難破などの事故により貴金属が喪失するといった確率現象や、貯蓄のために金塊を退蔵するといった個々人の経済行動は、物価に対して深刻な影響を与える要素であった。

ルーズベルトやニューディーラーは古典派経済学・マルクス経済学の系統で、ソ連の5か年計画を真似してニューディール政策を行っています。ルーズベルトやニューディーラーは勿論 緊縮財政派です。
長期的には貨幣の中立性は成立し、金融政策は実体経済に影響を与えず、ただ名目変数を動かすだけであるという点では、新古典派経済学、マネタリスト、ニュー・ケインジアンの見解は一致しています。

一方、ケインズやMMT学派は古典派経済学・マルクス経済学の貨幣数量説・貨幣の中立説を否定して、金融緩和や財政出動が経済を変えると思っているのですね。 1970年代までは欧米政府はすべてケインズ政策に基づいた経済政策を行っていましたが、悉く失敗したので。経済政策をハイエクの自由主義経済と財政均衡主義に変えたのです。
しかし、三橋貴明さんはそういう経済の流れを全く知らず、重商主義とケインズ・MMT学派と新自由主義の三つしか考えていないのです。この現代に既に大失敗したケインズ政策をもう一度繰り返す事に意味は無いのですけどね。

5. 中川隆[-6034] koaQ7Jey 2021年4月04日 07:17:10 : gDb5AlH4lg : VVV5Zk1LelZYVXc=[11] 報告
金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる

日本のデフレは高度成長期みたいに輸出で稼げなくなったのが原因だよ、輸出が増やせない限りデフレからは永遠に脱却できない、財政出動や公共事業をやっても貧富の格差が大きくなるだけで無意味だ:

戦後の日本経済史

・一億総中流社会 → GHQ は日本共産党と労働組合を合法化、農地解放、意図的なインフレ政策・預金封鎖で富裕層の資産を奪い貧困層に分配した

・自民党による一党独裁 → 農地解放で農地をタダ同然で手に入れた小作人・貧農全員が自民党を支持したので自民党以外の政党は政権を取れなくなった

・chouse 戦争・ベトナム戦争 → 日本はアメリカの侵略戦争に加担、戦争特需でぼろ儲けして GDP 世界第二位の超大国になる

・日中国交正常化 → 中国に技術援助すると持ち掛け、中国の日本への戦争賠償金請求を放棄させた

・プラザ合意 → 日本からの膨大な輸入でアメリカ経済が崩壊したので、日本に政治的圧力をかけ超円高にして日本からの輸入を減らそうとした。アメリカは10年間で総額430兆円の公共投資の実施を日本政府に約束させ、意図的に平成バブルを起こさせた。

・平成バブル崩壊 → 日本の凄まじい経済侵略を恐れた CIA は先物取引・オプション取引、金融工学の研究をした。 ソロモン・ブラザーズ証券は裁定取引を使って日経平均株価を38,915円まで上げてから売り攻勢をかけ 7607円まで暴落させるのに成功した。 更に日銀に金融引き締めをさせ、外資はインサイダー情報を使って日本株を底値で爆買い、日本株の3割、株取引の7割は外資になった。

・中国経済・kan国経済の躍進 → 日本の凄まじい経済侵略を恐れた CIA はアメリカの製造業をすべて中国に移転させ、中国の元とkan 国のウォンを意図的に通貨安にして、日本の輸出を壊滅させた

・迂回輸出 → 日本からアメリカに直接輸出するのではなく、組み立てだけ中国・kan国の工場で行って、中国製品・kan国製品として迂回輸出して稼ぐ様になった

・中国の環境破壊 → 日本企業の中国工場では猛毒化学物質が含まれる汚染水や煙をそのまま垂れ流している。中国では飲料水や農業用水にも水銀・鉛が含まれ、人間が住めない土地になってしまった。

・中国・kan国の反日運動 → 日本企業の中国工場では中国人従業員をタダ同然で酷使、日本企業のロリコン社員は毎晩10歳以下の女児と xxx しまくったので、中国人の怒りを買って反日暴動が頻発した

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金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる

新型コロナの世界的流行で経済が深刻な景気後退に陥ったことで、各国は金融緩和と現金給付などの財政出動を行なった。しかしリーマンショックの倍ほどの経済危機を資金注入で無理矢理持ち上げようとすると副作用が生じる。紙幣を刷り過ぎたためアメリカでは物価高騰の初期症状が見られている。
金融市場では物価上昇に先んじて貴金属や農作物などのコモディティ資産が高騰しているのは去年より報じている通りである。紙幣の価値が下がることが懸念されているため、紙幣を紙幣以外の何かに取り替えることが流行しているのである。

紙幣を刷ったところでものが増えるわけではない。人々は政府から現金が入金されて喜んでいるが、日用品の物価の上昇が止まらなくなってようやく我に返るだろう。インフレを避けるため、海外の投資家はコモディティを買い漁るだろう。個人投資家が貴金属や農作物に投資する方法もある。


インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
2021年3月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
2021年3月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
2021年3月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
2021年2月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
2021年2月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
2020年3月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
2021年1月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
2021年1月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

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今、ネットで話題になっているのが「政府支出が増えると経済成長する」というもの。 本当にそうなのでしょうか? 解説しました。

経済成長ってなに?【政府支出が増えると経済成長する?】
https://www.youtube.com/watch?v=C12Mllv1nbQ

ハイエクvsケインズ・完結編〜経済学を変えた世紀の対決〜ケインズの遺したスタグフレーション https://www.youtube.com/watch?v=lEe7KCshrec

ニューディール政策は失敗だった
https://www.youtube.com/watch?v=rz9-7V-c9H4

ナチスドイツの経済政策【ヒトラーはドイツ経済を救った?】〜しくじり財政破綻〜 https://www.youtube.com/watch?v=hsFvF1XxA0k

英国IMF危機〜しくじり財政破綻〜【英国病・福祉国家の末路】
https://www.youtube.com/watch?v=QE83IQM2SfY

6. 2021年4月10日 13:06:57 : 418tx6eY3U : RHN3UGNkQXhJWlE=[9] 報告
ジョージ・ソロス氏: 財政出動でドルが上昇して下落する理由
2021年4月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13260


コロナ禍における景気後退でアメリカは未曾有の金融緩和を行なっているにもかかわらず、ドルは下落せずむしろ上昇している。一方でレイ・ダリオ氏などのファンドマネージャーらはドルに弱気の姿勢を示している。

世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927


このギャップは何なのだろうか。今回の記事では著名ファンドマネージャーであるジョージ・ソロス氏の論考を読みながらその原因を見つけたい。

財政出動とドル相場

今回引用するのはジョージ・ソロス氏の著書『ソロスの錬金術』から1980年代のドルの推移について分析した部分である。

1980年代とはアメリカで15%ものインフレが起こった時代であり、コロナ禍における大規模な現金給付により物価高騰が始まっている今のアメリカと似通っている。

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098


当時のレーガン大統領はそうした状況にもかかわらず財政赤字を拡大し続けた。

レーガン氏は政府予算を小さくする「小さな政府」を標榜する共和党の大統領だったが、口では財政赤字を縮小すると約束しながら軍事拡大のための支出を増やし続けた。この財政赤字の拡大は、短期的にはドル相場の上昇をもたらし、そしてその後のドル暴落の原因を作った。ソロス氏は次のように書いている。

短期的には促進効果を持つが、長期的には抑制効果をもたらす1つの要因は、財政赤字である。なぜなら、財政赤字は金利メカニズムを通して、生産的な用途から資源を吸収してしまうからである。

財政出動の最大の問題は人々が必要としていないものを作り上げてしまうことである。それは人々が自分でお金を払ってまで手に入れたくないものを無理矢理作り出す。

しかも資金がそうした本当は必要とされていないプロジェクトに行ってしまえば、人々に必要とされるものを作っている人に資金が行かなくなる。それは長期的には経済活動を低下させる。ソロス氏の弟子であるドラッケンミラー氏が言っていたことを思い出したい。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


結果として生じた低成長は金利の恒常的低下をもたらし、長期的には通貨の上昇をさまたげる。しかし短期的には逆の効果を持つ。

短期的な金利上昇、長期的な金利低下

ソロス氏は次のように述べている。

高い金利のおかげで海外から資本を吸い上げている間は、この問題は水面下に隠れている。

現在、アメリカで行われている金融緩和にもかかわらずドルが上昇しているのは、金利が上がっているからである。ドル円のチャートを掲載しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-9-usdjpy-chart.png


アメリカの長期金利は次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-9-us-10-year-treasury-yield-chart.png


財政出動は少なくとも短期的な経済拡大をもたらすため、金利を上昇させる。

短期的には高い金利に引かれてドルに資金が集まってくる。しかし高金利が経済にどういう効果を持つかを考える必要がある。

高金利は住宅ローンや企業の設備投資の融資の金利などを通して経済を弱体化させる。今は現金給付などの財政出動がその分を補っているが、米国政府はいずれ選択を迫られることになる。高水準の財政出動を止めた時に金利が低下しドルの下落を余儀なくされるか、永遠に高水準の財政出動を続けるかである。

前者は直接のドル下落シナリオとなる。後者の場合も、ドルの下落は免れそうにない。高金利の状態で赤字国債を発行し続けることは国家の財政にとって命取りとなる。政府は増え続ける国債に対して高い金利を払い続けなければならないからである。

高金利で増える利払い

事実、コロナ禍における財政出動でアメリカの政府債務はGDP比130%に達しようとしている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2020-4q-us-public-debt-to-gdp-chart.png


これは金利が1%上がればGDPの1.3%分利払いが増えるということである。しかもバイデン政権のインフラ投資で政府債務はここから更に増えることが想定されている。

財政出動を続けなければ投資家を惹きつけている高金利がなくなりドルが下落してしまうが、そうしている内に利払いは増えてゆく。ソロス氏は次のように続ける。

投機的な資金流入は短期的に見れば自己強化的な効果を持つのだが、長期的に見れば、利子及び返済義務を累積させるために自己強化とは反対の方向に作用する。

やがて債務の返済が増加し、トレンド循環の土台になっている関係が崩れる。そして為替レートのトレンドが逆転し始める。

ソロス氏の文章は1980年代のレーガノミクスにおけるドル相場の分析だが、恐らくは2020年代にも同じことが起きるだろう。ちなみに当時のドル円のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/1980s-usdjpy-chart.png


レーガン大統領の任期は1981年から1989年である。ドルの暴落は1985年のプラザ合意に始まり、ドルの価値は円に対して実に半分になっている。しかもこのドル暴落は最終的には1987年のブラックマンデーにおける株価暴落に繋がっているのである。以下の記事では当時のソロス氏のドル売りトレードを解説している。

プラザ合意からブラックマンデーまでを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/933


結論

細部に違いはあれ、コロナ禍におけるドル相場は恐らくこのシナリオと似た道筋を辿ることになるだろう。こうしたドルバブルの崩壊シナリオは長期的にはレイ・ダリオ氏が主張しているドル暴落シナリオと同じものである。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


しかし、今回ソロス氏のドル相場分析を用いたことで、ドルが上昇している現状から下落に変わるまでの道筋をもう少し具体的に示すことができたのではないか。

また、ソロスファンドの最近の動向について書いた記事も参考にしてもらいたい。

ジョージ・ソロス氏、コロナ禍の2020年に23.2%の利益
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13046

ジョージ・ソロス氏、暗号通貨インフラに投資
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13062

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13260

7. 2021年4月11日 07:34:46 : QAcplW15Vw : UDVHQXBaTUZoLjY=[24] 報告
最強経済を謳歌する米国で始まった「強烈なインフレ」は世界と日本に何をもたらすか?=高島康司
2021年4月11日
https://www.mag2.com/p/money/1040198


アメリカ経済急回復の背後で起こっている事態について解説したい。いま起こっているインフレは、アメリカ社会の基底部にまだ存在している社会不安の根深さを現している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)


アメリカ経済急回復の背後で起こっていること

アメリカの速いペースの経済回復の背後で起こっている事態について解説したい。意外な状況が見えてくる。

アジア系に対するヘイトクライムや激しい人種差別のニュースはまだ多いものの、日本にいると経済状況についての詳細は伝わってこない。

バイデン政権になってからアメリカはめざましい経済回復を実現しつつある。以下が中国、アメリカ、そして日本の成長率だ。左が2020年、右が2021年の数値だ。

     2020年 2021年
中国    2.3%  8.4%
アメリカ −3.5%   6.4%
日本   −4.6%   3.3%

2020年度には主要国では唯一プラス成長を維持した中国がこの成長率であるのは不自然ではないものの、アメリカのマイナス3.5%からいきなりプラス6.4%のリバウンドはあまりに高い成長率だ。この数値が予想通りに実現すると、実に37年ぶりの高い成長になる。

これは主に次の4つの要因によってもたらされたものだ。

<米国経済「急成長」の要因>
1)巨額の経済政策
2)ウイルス接種の進展による社会活動の再開
3)相場の上昇による消費拡大
4)FRBの金融緩和策

まず(1)だが、バイデン政権は国民1人当たり15万円の直接給付を含む200兆円の経済政策を実施している。これは日本の国家予算の約2倍の規模だ。さらに、今後20年間で220兆円のインフラ建設計画が議会で審議されている。

これは史上まれに見る規模の経済政策で、アメリカのGDPの15%にも匹敵する。これはEUの7%、日本の4%の経済政策と比較しても群を抜いて大きな規模だ。これが国内の消費を後押している。

また、消費を一気に加速させることになったのは、(2)のワクチン接種の進展による行動規制の解除である。これまでロックダウンなどで押さえられてきた人々の行動が開放され、消費の拡大をさらに加速させている。

こうしたトレンドをさらに後押ししているのが、(3)の相場の上昇である。アメリカでは富裕層のみならず中間層も、株式を中心になんらかの投資を行っている。バイデン政権の経済政策によって莫大な資金が市場に流れ、これが株価の大幅の上昇をもたらした。これで利益を得た人々の消費が拡大した。

そして最後に(4)、FRBのゼロ金利を含む金融緩和政策がある。ローン金利は極端に低いので、住宅や車の売れ行きが好調だ。

始まったインフレ
こうした状況で懸念されているのが、インフレである。

米政府は3%程度のインフレになると予測していたが、米労働省が発表した2月の生産物価指数を見ると、次のようにかなりの価格上昇になっているものもある。

鉄鋼:22%
石油製品:11%
住宅:13.4%(6月の見通し)

これは相当な上昇幅だ。バイデン政権は巨額の経済政策の実施によって、ドルの供給量は増大している。これがインフレの原因であるような印象を持つかもしれない。しかし、通貨供給量の増大だけでは実際にインフレは発生しないケースがほとんどだ。2%のインフレを目標にして通貨供給量を増大させたアベノミクスがよい例だろう。2%のインフレ目標はついに実現できなかった。

インフレの昂進の原因となるのは、供給をはるかに上回る需要の存在である。需給ギャップがある状況で通貨供給量を増加させると、インフレは加速する。

いまアメリカでは、国民への直接現金給付を含む大規模な経済政策やワクチン接種による行動規制の緩和などが背景となり、これまでコロナ禍で抑制されていた消費は一気に拡大している。これが急激な需要の増大になり、かねてからの通貨供給量の増大とあいまってインフレを引き起こしている状況だ。

インフレを招いた「住宅の需要増大」
そうしたなかでも、インフレのけん引役のひとつとみなされているのが、特に郊外の住宅に対する需要の大きな増大だ。いま住宅は飛ぶように売れている。

以下のような要因がその原因として指摘されている。

1)リモートワークの普及により進む郊外移転
2)住宅ローンの金利低下
3)ミレニアル世代の持ち家需要の増大
4)戸建ての慢性的な供給不足

新型コロナウイルスのパンデミックの行動規制によってリモートワークが一般的になったところに、かねてからの金融緩和策によって住宅ローン金利が低下したため、特に30代のミレニアル世代を中心に条件のよい郊外の戸建ての需要が高まったということだ。もちろん、国民の直接現金給付なども含むバイデン政権の経済政策も住宅の購買を後押しした。

そして、一度住宅価格が上昇すると、投資のための需要も活発になるため、さらに住宅価格が上昇するという循環になった。

こうした住宅市場の活性化は、材木などの原材料の価格の大幅なインフレを引き起こしている。特にインフレ幅が大きいのは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で需要が大きく落ち込んだため、供給量を減らしていた材木の価格高騰である。特に需給が逼迫している南部テネシー州のような地域では、なんと3倍にもなっている。

これは材木だけではない。住宅建設は、周辺産業の多い裾野の広い分野である。住宅に関連したあらゆる産業で需要が増加するので、住宅建設は製品価格を押し上げる、いわばインフレのけん引役にもなっている。

住宅価格高騰の暗い背景
もし、住宅価格の高騰が上で示したような原因でもたらされているのであれば、それは健全なことだ。

新型コロナウイルスのパンデミックで加速したリモートワークは、住宅需要を増大させ、経済成長にプラスの効果をもたらしたと楽観的に解釈できる。

パンデミックが終わってもリモートワークは定着するので、バイデン政権の経済対策と低金利政策に後押しされ、アメリカの力強い経済成長をけん引するこという見方だ。

しかし、調べて見ると、そんな単純なものではないことが見えてくる。実は住宅価格高騰の背景には、「アメリカの一層の分断と混乱」を示す状況が背景にあるのである。

社会を混乱させる悪循環
アメリカは、2020年5月にミネソタ州、ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警察官によって殺害されてから、全米5,000カ所で人種差別の撤廃を要求する「BLM」運動が、燎原の火のごとく盛り上がった。過激な極左の「アンティファ」などの扇動で、激しい暴力的な抗議も各地で行われた。

それに、トランプの熱烈な支持者である白人至上主義者などとの激しい衝突が頻繁に起こった。ポートランド、シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ミネアポリスなどの大都市の中心部は騒然とした状況に陥った。

警察官は憎しみの対象となり、殺害されたり暴力を奮われた。また多くの都市で警察予算が削減された。

その結果、警察官の退職や警察署の規模が縮小され、都市の治安が悪化した。どの主要都市でも殺人や強盗などの犯罪件数は極端に増加し、非常に危険な状態になった。

これに対処するため、多くの市民は銃を購入し、銃の販売は一気に増加した。

そして、かねてから拡大していたリモートワークが追い風となり、都市の中心部の高価なアパートや住宅から、人々が治安のよい周辺の州の郊外に戸建てを購入し、移動したのである。この結果、大都市中心部の地価は下落し、郊外の地価が急上昇するといった逆転現象が見られるようになった。

一方、人口が減少した都市の税収は大幅に減った。これが背景となり、警察予算がさらに削減された結果、治安が一層悪化するという悪循環になった。

住宅価格高騰といまも続く悪循環
これは2020年の状況である。この光景を主要メディアなどを通して目にした我々は、アメリカの分断の深刻さを思い知った気分になった。

その分断の象徴として起こったのが、今年の1月6日に発生した米連邦議会議事堂への侵入事件であった。

【関連】トランプ支持派の報道されぬ末路とは?議会侵入者は全員逮捕、テロリスト指定で徹底排除へ=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1037485

いまバイデン政権に変わり、巨額の経済政策とワクチン接種の拡大を背景にして、急速な経済回復が進んでいる。アメリカは元に戻りつつあるような印象を受ける。そのため、今年の1月まで続いていたアメリカ国内の騒然とした状況を我々は忘れがちになる。もうこれは、トランプ政権時代の過去の出来事のような印象を持つ。

しかしながら、実は社会の存続さえ脅かしかねないこの悪循環はいまも続いている。ただ報道されなくなっただけなのだ。

最近FBIが公表したデータでは、全米37の主要都市で、昨年の3月よりも殺人件数は平均で20%も増加していた。

また銃の販売数も、分断と混乱が拡大した昨年を上回っている。ほとんどのアメリカの州では、銃を購入する場合、購入者の身元が確認される。この確認を担当するのは全米のFBIの支局である。銃砲店から送られる身元確認の件数から、銃の販売数をおおよそ予測できる。今年の2月の身元確認要求を前年同月比で見ると、23%も増加している。市民は護身用の銃の購入に、いまだに殺到しているのだ。


そして、銃を購入している人々を見ると、アメリカが荒れた昨年と同じような傾向があるという。これまで銃などはまったく手にしたこともない主婦やOL、また普通のサラリーマンのような人々が銃を購入している。

やはりこれは、バイデン政権になってもアメリカの都市部の治安悪化は継続し、先に記した悪循環がまだ存在していることを示唆している。

治安悪化の都市脱出を示す住宅価格高騰
もちろん住宅価格高騰とそれがけん引するインフレは、バイデン政権の経済政策とワクチン接種による行動制限解除の効果があることは間違いない。

しかし、それだけではないことも確かだ。住宅価格高騰の背景には、アメリカの分断を背景とした都市部の治安悪化がある。

このアメリカのきわどい状況は、高い経済成長によって見えにくくなっている。経済成長が予測通りに続くなら、国内のこうした矛盾もある程度抑制されるだろう。

しかし反対に、ワクチンの効果が限定的な変異種の蔓延による新たな感染拡大が起こるなら、住宅価格の高騰が象徴する分断と矛盾も再燃するはずだ。

2020年の状況に逆戻りするか、もっと悪化するかもしれない。

暗号資産とゴールドの上昇
さて、このように見ると、いまアメリカで起こっているインフレは、アメリカ社会の基底部にまだ存在している社会不安の根深さを現している。

このインフレは通貨供給量の増大と需給ギャップだけが原因で発生しているものではない。通貨価値が下落するインフレでは、現物資産に人気が集まり高騰する。だが、さらに背後に将来的な社会不安の可能性があると、現物資産への資金の移動が一層進むのかも知れない。

いまあらゆる暗号資産が高騰しているが、その背景にもこうした事情がありそうだ。

8. 2021年4月12日 14:08:29 : F28bjgJ4Vg : aHFqN2tuN21FdDY=[23] 報告
量的緩和で上がらなかった物価が現金給付で高騰する理由
2021年4月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13296


2008年のリーマンショック以後、アメリカや日本などの先進国は紙幣を印刷する量的緩和政策を行なってきた。紙幣印刷を乱用すればインフレが起こるという懸念があったが、実際にはデフレ圧力は根強くインフレは起こらなかった。

現在、金融市場ではコロナ禍の現金給付などの財政政策で物価高騰が懸念されている。お金をばら撒けばインフレになるだろうということである。

金融市場で取引される貴金属や穀物などのコモディティ価格は日用品の価格に先行して上がっており、インフレでコモディティが上がると踏んだファンドマネージャーらの資金がコモディティ市場に向かっているのは明らかである。例えば以下は銅価格のチャートである。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-11-copper-chart.png

以下は大豆価格のチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-11-soybean-chart.png


機関投資家の資金が入っていることが見て取れる。価格はかなり上がっているが、バイデン政権のインフラ投資がこれから行われることを考えても、そうしたインフレ予想が正しければこれらのコモディティバブルはまだまだ中盤ということになるだろう。

本当にインフレは来るのか?

一方で物価上昇予想に対する疑念の声もあるだろう。これまでいくら紙幣を刷ってもインフレにはならなかったからである。「今回は違う」と言うことが出来るのだろうか? しかしインフレ予想に限っては今回は違うということを数字で示すことが出来るのである。

それはマネーサプライである。マネーサプライとは中央銀行が発行した現金(紙幣と硬貨)に銀行に預けられている預金を足したものであり、つまり「世の中にどれだけお金があるか」を示している。

これは量的緩和で増加するマネタリーベースとは違う。マネタリーベースは現金に市中の銀行が中央銀行に預けている預金を足したものであり、これは消費者や企業の持つ口座にある預金とは異なる。

量的緩和では中央銀行が銀行の持つ国債を買うことで現金と入れ替え、銀行の持つ現金の量(マネタリーベース)を増やす。

しかし銀行がいくらお金を持っていようとも、消費者や企業の銀行口座に入っていなければそのお金は使われることがない。銀行はこれを人や企業に貸し出すことでマネタリーベースはマネーサプライになるのである。

つまり、マネタリーベース(銀行の持っているお金)が増えようともマネーサプライ(消費者や企業が持っているお金)が増えなければインフレにはならない。リーマンショック以後の金融緩和ではマネーサプライは大して増えなかった。では今はどうなっているだろうか? アメリカのマネーサプライの増加率(前年同月比)のチャートは次のようになっている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-mar-us-money-stock-growth-chart.png


最新3月のマネーサプライは前年同月に比べて25%以上の増加となっており、これは過去30年に遡っても比べられる時期の存在しない増加スピードである。

何故そうなったか。トランプ氏とバイデン氏が立て続けに国民の銀行口座に直接お金を注入したからである。量的緩和と現金給付はマネタリーベースとマネーサプライのどちらを増やすのかという意味でマクロ経済学的に大きく異なる。

それが筆者が「今回は違う」「物価高騰が起こる」と考えている根拠である。このマネーサプライのチャートは長年マクロ経済学をやってきた人間からすると仰天のチャートなのだが、それが分かってもらえるだろうか。パウエル議長はそれがどれだけ分かっているだろうか。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12500

結論

ということで筆者も著名ファンドマネージャーらもコモディティに大きく投資している。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

ガントラック氏: ドルは下落へ、コモディティは買い、ジャンク債は売り
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7051

貴金属や穀物は実は日本の個人投資家でも買える。その方法については以下の記事で解説している。

インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900

コモディティはどれも大分上がっているが、コモディティバブルはまだ中盤だと筆者は見ている。ここ1ヶ月ほど横ばいになっているのはインフレ懸念で金利が上がってきたからである。しかしインフレ懸念による金利上昇とコモディティ価格の低迷が長期的に両立することはないだろう。

そして一番上がるのは何よりビットコインである。ビットコインもコモディティであり、最近の金利上昇もものともせずに上がり続けている。ビットコイン相場の今後の推移については以下の記事を参考にしてもらいたい。

ビットコイン価格高騰の理由と今後の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13194

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12175

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13296

9. 2021年4月14日 13:16:36 : FQrGsP3YVY : VUVVL3ZhT3JrRms=[16] 報告
現金給付でも日本がインフレにならない理由
2021年4月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13311


前回の記事ではアメリカで現金給付が物価高騰を引き起こし始めている理由について説明した。

量的緩和で上がらなかった物価が現金給付で高騰する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13296


しかし同じく現金給付のあった日本では現状ではアメリカほどのインフレは始まっていない。今回の記事ではその違いについて説明したい。

コロナ禍の現金給付

2020年、コロナ禍における緊急事態宣言を受け、日本政府は1人あたり一律10万円の現金給付を決定した。その総額はおよそ13兆円となった。

日本政府にはお金がないため、この予算は国債を発行して賄われ、その国債は日銀が量的緩和によって引き受けている状態である。

つまり、アメリカも同じだが、この現金給付は実質的には中央銀行が紙幣を刷って国民に配ったということになる。こうした政策を行なった場合に一般に懸念されるのが物価上昇、つまりインフレである。しかし日本経済には今のところ大きなインフレの兆候は見られない。消費者物価指数は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-jan-japan-cpi-chart.png


今のところは2020年に入ってからコロナの影響で下落トレンドに入っており、現金給付の影響は確認できないように見える。チャートを見て分かるように今年に入ってからは少し跳ね上がっており、その後のデータを待ちたいが、少なくともアメリカのように明らかなインフレにはまだなっていない。


2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098

インフレにならない日本

この違いは何だろうか。1つには現金給付の金額とやり方だろう。日本では1人あたり10万円が配られた一方、アメリカではトランプ政権が1,200ドル(13万円)、バイデン政権が1,400ドル(15万円)と2年連続の給付となっている。

しかもトランプ政権においては現金給付だけではなく、失業保険にも現金給付に匹敵する金額を振り分けた結果、働くよりも失業して失業保険をもらった方が儲かるとも言われたほどであり、総合して考えると日本とはそもそも給付の金額が違うということになる。

では日本国民の預金は現金給付で実際どれくらい増えたのだろうか。現金(紙幣と硬貨)と預金の合計であるマネーサプライの上昇率(前年同月比)は次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-jan-japan-money-stock-growth-chart.png


前年比で14%の伸びとなっており、増加しているのは事実である。しかし前回の記事で取り上げたアメリカのデータと比べればどうだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-mar-us-money-stock-growth-chart.png


アメリカでは25%以上もの伸びとなっており、日本とは比較にならない。

日本ではアメリカほどインフレにならないのも当然である。そしてこれは、日本はアメリカほどお金を刷っていないので、円の価値はドルほど毀損していないということにもなる。アメリカの金利が上がってもドル円がそれほどドル高に振れなくなっている一因はそれだろう。近年ドル円はめっきり上がらなくなっている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-13-usdjpy-chart.png


平均的には裕福な日本

また、デフレの原因の1つには日本はアメリカほど貧富の差が激しくないこともあるだろう。例えば貯金がほとんどない人に10万円を渡した場合にはその人は少なくとも数万は使う可能性が高いだろうが、1億円持っている人に10万円を渡したとしてもその人の消費行動にはほとんど影響を与えないだろう。

つまり、貧乏な人が多い国ほど現金給付でインフレになる可能性が高いと言える。アメリカ人は実際にはほとんど預金を持っていない。お金を持っているのは極一部の超富裕層である。そういう意味でアメリカではやはりインフレになりやすく、それはドルが下落しやすいという意味でもある。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏などがドル下落をしきりに懸念しているのはそういう理由なのである。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


一方で日本人は給付された現金をアメリカ人ほどは使っていない。それらのお金は単に日本人の預金に追加され、国債で賄われたその資金は後で消費税増税などのやり方で回収されることになるのである。

国の借金を軽く考えている日本国民は多いが、消費税は恐らく20%までは軽く上がるだろう。そして10万円のつけを何倍にも返すことになる。本当にGO TOトラベルや東京オリンピックに自分の金が使われている現状は良いのだろうか? もう少ししっかり考えてもらいたいものである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13311

10. 2021年4月15日 15:51:40 : 2WCnPZKA5U : aFYyNHFXQVpEVEk=[23] 報告
 10年前に比べて実感として2倍になっている食品価格
2021年04月15日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1464.html


 とにかく、食品が高い。生鮮野菜が高い。肉が高い。スーパーに行って店頭の価格表示を見ただけでげんなりして、とても手が出ない。
 私のような超低年金老人は、エンゲル係数が50%程度はあるので、スーパーに行くのは、値引き売り尽くしサービスが始まる17時以降に限られてくる。

 とにかく、安い食品を探して鵜の目鷹の目で陳列棚を漁る。買うのは割引表示のある消費期限が近いものばかり。アジの干物が大好物なのだが、私の買う半額干物は、生臭くて美味しくない。
 結局、何を食べているかというと、ドラッグストア(当地ではバロードラッグ)で売ってる18円のうどんと焼きそばばかりだ。バロー白だしで味をつけて、切り落としベーコンとカット野菜を入れて食べる。毎回毎回同じメニューで飽きたわい。

 野菜も高いので、バロードラッグでカット野菜の売れ残り値引き品ばかり買っている。春になれば、畑を耕して、苗を植え付け、なるべく自給自足にする。
 今年植え付けたものは、大根・トマト・茄子・キュウリ・蕪・ネギというところ。だが何よりも、肥料がめちゃくちゃ上がった。中袋500円だった油かすが二倍の1000円になっている。だから、使いたくないが安い化成肥料を使うことにした。

 この時期は、まだ凍結・遅霜が五月まで続くので、屋根のない場所に置いたら一発アウト、だからベランダの屋根の下で大きめのプランターで育てるしかない。
 種やら支柱やら、肥料やら、いろいろ金がかかって決して経済的なわけではないが、安心できる食材ということだ。

 コンポストを使いたいが、うちはカラスや野生動物に狙われて、発酵する前にむちゃくちゃ荒らされる。鶏糞は鳥インフルエンザ以来、石灰の量が増えて、酸性を好む芋類ができなくなる。
 畑の野菜も、アライグマに荒らされるので、まともな収量は期待できない。アライグマは知能が高いので、獣害対策など平気ですり抜けてくるのだ。
 野ネズミも凄い数がいて、芋類を荒らしまくる。
 
食料品が高くなり始めたのは、たぶん昨年の春頃からだ。一説によればコロナ禍の影響ともいわれるが、たぶん違う。これは世界的な蝗害と、中国の食料不足が影響を及ぼしているのだ。
 現在、主要食料としては、小麦粉が1割ほど値上げされている。米はあまり上がっていない。トウモロコシは、消費者レベルでは分かりにくいが、畜産飼料としては深刻な状態だといわれる。

 食料価格推移をネット上で調べているが、分かりやすい資料が少ない。2021年度データが含まれているのは以下くらいしかない。
 https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20210215_1

syokuryou001.jpg


 上の解説をみると、中国が大規模に食料買い付けに走っている事情が見える。
 結局、食料品価格の上昇の大元には、昨年の蝗害と、中国の大水害による不作がありそうだと見えてくる。
 上のグラフは、残念ながら、都市の街角での食料品価格を反映しているようには見えないが、今年2021年は2006年のちょうど二倍に達していることが分かる。

 もっと直接的な日清製粉の小麦粉価格を見てみよう。
 https://kona-mon.com/%E6%9C%80%E8%BF%91%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E7%89%A9%E4%BE%A1%E3%81%AE%E6%8E%A8%E7%A7%BB/

 syokuryou002.jpg

上のグラフは、2013年、キロ225円だった小麦粉が、2018年255円に上昇したことを示す。
 以下は、2020年データを含むGDFREAKのグラフ。
 https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050006070101020/3
syokuryouhin003.jpg

 上の小麦粉指数では、2006年77程度だったものが、2020年には、111まで上昇している。これは過去最大の上昇であると書かれていて、やはり原因が中国の食料危機にあることを示している。
 メディアは、このことを、ほとんど報道していないが、実際には、昨年の蝗害と大水害の影響が、我々の食料価格に深刻に反映されているのだ。
 なぜ、メディアは伝えないのか?

 こうして調べてゆくと、昨年春から上昇が続く食料価格が、簡単には終わりそうもないとわかり、今年、再び、蝗害と中国大水害が続くなら、日本列島もとんでもない事態になる可能性を考えなければならない。食料危機が始まっているのだ!

 モス、串カツ田中、丸亀が「一斉値上げ」…ウラにある「世界の物資争奪戦」のヤバい実態 2021年4月14日(現代ビジネス)
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82211

 日本ではデフレが続いていると喧伝されており、物価は下がっているとイメージしていた人も多い。だが生活必需品は一貫して値上げが続いており、事業者側はそれを悟られないよう価格を据え置いて内容量を減らす、いわゆるステルス値上げを行ってきた。

 だが、こうした小手先の対応も今年あたりで限界となる可能性が高い。世界経済はコロナ危機と米中デカップリングが重なり、サプライチェーンが混乱あるいは縮小しており、物資の争奪戦となっている。資材価格や食料価格が急騰しており、いずれ最終製品に転嫁される可能性が高まっている。

 始まった物資の争奪戦

 今年の4月から小売店や外食などで商品やサービスの値上げが相次いでいる。ファストフードのモスバーガーが主力商品を20〜30円値上したほか、居酒屋の串カツ田中も全商品の9割について平均10円程度の値上げを実施。丸亀製麺も「かけうどん(並)」や「ぶっかけうどん(並)を300円から320円に改定するなど一部商品の値上げを行った。

 4月は消費税の総額表示義務化のタイミングと重なっており、これが価格改定のきっかけとなっているのは間違いない。だが、値上げの根本的な原因は表示の問題ではなく、全世界的な原材料価格の高騰である。

 小売店で売られる食品も価格が上がっている。食用油などを製造する昭和産業は、消費者向けのサラダ油ハンディやキャノーラ油を3月に値上げしたが、6月にも値上げキロあたり30円の値上げを行う。日清オイリオグループ、J−オイルミルズも4月に続いて6月の再値上げを決めている。

 今のところ最終商品の価格には反映されていないが、砂糖は卸価格が上昇中であり、小麦粉については政府の売り渡し価格が4月から5.5%引き上げられた。小麦は国内生産者保護のため基本的に政府が買い付けているが、2007年以降、政府の売り渡し価格は市場価格に連動する仕組みになっているので、このまま上昇が続くとパンなどにも影響が出てくるだろう。

 コロナ危機で不景気が続いているので、食品価格の上昇について疑問を持つ読者の方もいると思うが、実はコロナ危機こそが食品価格上昇の元凶となっている。

 新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、全世界的に物流網に混乱が生じており、コンテナ船の運賃は下がるどころか逆に跳ね上がった。航空機も便数が減った分、搭載できる貨物の量が減っており、必要な量の物資を運べないという状況が続いている。このため航空貨物の運賃も上がる一方である。

 一方で、日本を除く先進各国ではワクチン接種が順調に進んでいることから、各企業はすでにコロナ後の景気回復を見込んで、商材の確保に躍起となっている。物流が混乱しているところに、コロナ後を見据えた物資の争奪戦が加わっているので、食料を中心に世界のコモディティ価格が跳ね上がっているのだ。

 国連食糧農業機関(FAO)が産出する世界食料価格指数は、2月時点で116を突破しており、コロナ前をはるかに上回っている。食料だけでなく、半導体や金属類など物資の争奪戦が始まっており、あらゆる資材の価格が急上昇している。

 トランプ政権がもたらした「中国の台頭」

 しかも、困ったことにこの動きは一時的なものではない可能性が高まっている。その理由は、トランプ政権が始めた米中分離(デカップリング)政策である。

 トランプ政権は中国からの輸入に高関税をかけて、中国からの輸入を制限した。その結果、中国は東南アジアとの貿易を拡大させ、米中の経済的関係が急速に希薄化した。これまで、米国が中国からの輸入を制限することは、中国にとって最大の脅威だったが、実際に米国が関税をかけても、思った程、中国の経済は悪化しなかった。このため、中国は米国の通商政策を恐れる必要がなくなり、米国に対して強気に出るようになってしまった。

 3月にアラスカで行われた米中会談では、冒頭から激しい議論の応酬となったが、ここまで中国側が強気のスタンスを見せたことはなかった。米国側はトランプ政権が関税カードを使い切ってしまったため、十分な交渉カードを持っていない。

 バイデン政権は人権問題を前面に出して争う構えだが、中国側から譲歩を引き出すのは容易ではないだろう。実際、ウイグル問題で東南アジア各国は、制裁を強く主張する米国には同調しない方針を明確にしつつある(困った事に米国に同調しない国の中には日本も含まれている)。

 このまま米中分離(および東南アジアと中国の一体化)が進んだ場合、世界経済は米中欧という3つの大国を核にブロック化が進むことになる。ブロック経済下においては、近隣諸国との貿易比率が高まるのは確実なので、従来のような全世界的なサプライチェーンは縮小する。

 サプライチェーンが縮小すると、遠距離の輸送コストは上昇し、仮に遠隔地から買う方が価格安い場合でも、輸送コストの関係から採算が合わないケースが出てくる。結局は多少、コストが高くても、近くの経済圏から調達する割合が高くなるので、これは価格上昇要因となる。

 脱炭素で逆に原油価格が上昇する

 コスト上昇要因はそれだけではない。このところ電気料金やガス料金など光熱費も値上げが続いているのだが、これもコロナ後の景気回復期待から原油価格が上昇した影響が大きい。だが景気回復期待が一服すれば、原油価格は下がるのかというと、そうはいかないというのが市場関係者の一般的な見方だ。

 その理由は、今後、脱炭素シフトが進むことで石油の需要減少が見込まれることから、産油国が収益を維持するため、価格を引き上げる可能性が高いからである。

 現時点においても、産油国が増産を決断すれば原油価格は下がる可能性が高いが、産油国は減産維持で一致している。脱炭素で原油の消費量が減っていくのは確実なので、産油国は需要の低下に合わせて価格を高めに誘導していくだろう。

 再生可能エネルギーの発電コストは、すでに火力の半分以下となっており、脱炭素シフトが順調に進めば、長期的にはエネルギー価格は低下が予想される。だが、これは10年〜20年というスパンの話であり、近いタームでは、産業界は値上がりした原油価格に大きな影響を受けてしまう。

 つまり、資材価格、食料品価格、エネルギー価格のいずれも上昇が続いており、世界経済の構造転換によってそれが恒常化する可能性が高まっているのだ。

 実は海外では日本ほど露骨にステルス値上げが行われるケースは少なく、原材料コストが上昇した場合には、そのまま製品価格に転嫁されることが多い。日本でステルス値上げが横行しているのは、日本経済の貧困化によって消費者の購買力が著しく低下しており、価格を上げると販売数量が激減してしまうからである。

 だが、事業者がステルス値上げで対処するにしても物事には限度というものがある。ここまで各種コストが上昇してしまうと、製品価格に転嫁できなければ、企業は利益を維持出来なくなる。筆者は、これまで継続してきたステルス値上げは今年あたりで終了になると予想している。今後、仕入れコストの上昇に直面した事業者は、いよいよ最終製品に価格を転嫁していくことになるだろう。

 どういうわけか、ネット上では「日本はデフレだ」と声高に主張する意見が多い。だが、消費者物価指数はほぼ毎年のように上昇しているし(繰り返すが、上昇率が鈍いだけで、絶対値は確実に上がっている)、何より日常的な買い物をしていれば、値上げが続いていることは一目瞭然である。

 筆者は「この人たちはスーパーに買い物に行かないのだろうか」といつも不思議に思っているのだが、いくらデフレだと叫んだところで、名目価格が露骨に上昇すれば、さすがに物価が上がっていることに気付くはずだ。公務員など特別な環境にいる人を除いて、多くの労働者の賃金は大幅に下がっているので、ほとんどの人にとって、生活はますます苦しくなる。
********************************************************
 引用以上

 上で語られていることを要約すると
 @ 昨春から始まった食料品値上げブームは、これまで価格を上げずに内容量を減らすステルス値上げで行われてきたが、すでに限界に達していて、これからは実質的値上げに転嫁される。

 A 現在、食用油・砂糖・小麦粉の値上げが予定されているので、食パン値上げが避けられない。

 B コロナ危機が物流停滞、輸送費上昇を招いている。

 C ワクチン普及後の経済回復を視野に入れて、物資争奪戦が始まっている。

 D トランプ政権の中国孤立化政策のため、逆に中国の台頭を許している。

 E このままでは、米中対立は、世界ブロック閉鎖経済を生み出す。

 F 全世界的サプライチェーンは縮小し、グローバルスタンダードは後退する。

 G 「脱炭素」政策で、石油需要が減少することで、投機筋は市場縮小を前提に、石油価格を上げてくるので、これも食料価格を押し上げる。

 H 日本はデフレではない。すべての価格が上がるスタッグフレーションに移行する。

だいたい、こんなところだが、昨年の巨大な蝗害被害や中国大水害に触れていない。
 実は、蝗害は1年だけの突発はなく、最低でも3年続くといわれているので、今年もまた昨年並みの蝗害が起きる可能性が強い。
 中国大水害も、本当の原因は、中国がインドに渇水不作をもたらすため、ヒマラヤ山麓(チベット高原)に数万カ所のヨウ化銀射出装置を設置したことで、降雨が「東亜三角弧」=長江流域のような特異地形に集中したせいと言われている。

 中国は、ヨウ化銀人工降雨政策をやめていないので、今年も、大水害が繰り返される可能性が強い。
 
長江大洪水と天河計画 2020年07月28日
 https://f2.proxypy.org/o/6c6d74682e393931312d7972746e652d676f6c622f6d6f632e3263662e3936676f6c622e616d6169616b6f742f2f3a70747468

 もしも、昨年と同じような農業被害が生じるなら、今年の食料危機は半端なものにならない可能性がある。
 あらゆる食品の大規模な値上げが避けられなくなり、本当の品不足も生じるだろう。

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1464.html

11. 2021年4月18日 10:09:00 : cVvh3vnihc : SkQ4eVFEeU43Y0U=[34] 報告
米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念
2021年4月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13336


4月13日に最新の米国消費者物価指数(CPI)が発表され、3月のインフレ率は前月比年率で7.7%まで高騰したことが明らかになった。

物価上昇止まらず

前月の4.3%も十分に高かったが、これでコロナ禍の現金給付とインフラ投資がアメリカ経済に過剰な資金を流し込み、物価の高騰を招いていることが明確となった。ここでは去年から言い続けていることであり、投資家としては貴金属や穀物などのコモディティへの投資を当然継続ということになる。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11801


まずはインフレ率のチャートを掲載しよう。過去10年間のインフレ率(前月比年率)を掲載するが、7.7%という数字は過去10年間で最高である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-mar-us-cpi-growth-chart.png


しかし前月の時も書いた通り、本当に考えるべきは数字自体ではない。この物価高騰の裏にあるのがトランプ政権とバイデン政権の巨額の財政支出であるということであり、バイデン政権のインフラ投資はこれから行われてインフレ率を更に押し上げることになる。アメリカ政府は完全にやり過ぎたのである。


今後の金融政策と金融市場

ではこれから相場はどうなるか? 現時点ではインフレを懸念していないと主張しているFed(連邦準備制度)のパウエル議長もそろそろインフレが冗談では済まなくなりつつあることに気付くかもしれない。筆者は2月の時点で指摘しておいたが、彼はいつも後になってからでなければ気付かない。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避 (2021/2/24)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12500


恐らくはFedは今年の後半にかけて金融引き締めの可能性を恐る恐る示唆し始めるだろう。2018年にはパウエル議長はインフレ率が上がっていないにもかかわらず引き締めを強行して株価暴落を引き起こした。当時のことは以下の記事に纏めてある。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7959


当時の株価暴落は結局パウエル議長が引き締めを取り下げたことで解決した。逆に言えば引き締めを容易に取り下げられたからこそ当時の株価暴落は止まった。しかし今回は違う。引き締めを行わなければインフレ率はどんどん上がっていくだろう。

ずっと言い続けていることだが、中央銀行は今年の後半には金融引き締めを行なって株価を下落させるか、引き締めを行わずに物価高騰が止まらないかの二択を選ばなければならなくなるだろう。ここまで順調に来ている株式市場もそろそろレイ・ダリオ氏の懸念が実現してしまうタイミングに近づいてきたということである。

世界最大のヘッジファンド: 2021年、株高は続かない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12032


コモディティは上昇再開

しかしまだもう少しの時間の猶予はあるだろう。金利上昇が一服したこともあり、かねてより推奨しているコモディティ価格も再上昇を開始している。

まずはコモディティバブル銘柄筆頭の銅価格チャートを掲載する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-copper-chart.png


銅相場はコロナの影響が少ない中国経済の好調に助けられており、金利上昇懸念で数ヶ月の間は停滞していたが、やや上向きに再始動を始めた。しかしやはり筆頭よりは出遅れに注目したい。当面の間停滞していた金相場が再び動き始めている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-gold-chart.png


金についてはソロスファンドのCIO(最高投資責任者)がビットコインに需要を取られているという見方を表明していた。

ジョージ・ソロス氏、暗号通貨インフラに投資
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13062


しかしインフレになって金相場だけが上がらないということは考えづらいだろう。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏もいずれ需要は金に戻ってくると述べていた。3月前半の記事なので金相場の底をきっちり当てた主張となっており、流石はガンドラック氏と言うべきだろう。

ガンドラック氏の金価格推移予想: 政府債務はインフレで返済へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12846


穀物で調子が良いのはコーンだろうか。数ヶ月横ばいにはなっていたが、ほぼ下がることなく上昇トレンドを継続している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-corn-chart.png


そして今年の初めから推し続けているビットコインは怒涛の勢いで上がっている。今年はこれだけで他の仕事をしなくても良いくらいである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-btcusd-chart.png


ビットコインもまた通貨でなければコモディティの一種である。これだけ上がってもマイナード氏の目標価格まではまだ10倍の上昇余地がある。

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12175


また、最近上場した暗号通貨取引所のCoinbase Globalに投資をするという選択肢もある。紹介記事の時点から少し上がってしまったが、まだまだ割安である。

暗号通貨取引所のCoinbase上場、規制リスクを除けば株価は非常に割安
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13328


いつものことだが、中央銀行が何かを甘く見ている間はトレンドは続く。コモディティバブルはまだまだ半ばを過ぎた辺りであり、終盤ではない。中央銀行はすべてが手遅れになってからようやく動き始めるだろう。投資家は中央銀行で遊ぶのが仕事のようである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13336

12. 中川隆[-5049] koaQ7Jey 2021年5月04日 05:22:24 : 6g3hl1MK3s : ZGxQcUswWnJzNVk=[8] 報告
第1四半期米国GDPは加速、コロナ前の水準を超えて上昇する個人消費の理由
2021年5月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13456


2021年1-3月期の米国のGDP統計が発表され、実質経済成長率が前期比年率で6.4%となったことが分かった。前期の4.3%から更に加速している。アメリカのGDPは少なくとも数字の上ではコロナ禍による去年の落ち込みから急速に回復しているようである。

GDPで経済を計測する限り、米国経済は全国的ロックダウンのあった去年のダメージから順調に回復しているように見える。事実、実質GDPはコロナ前の水準まで戻りそうな勢いである。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-1q-us-real-gdp-chart.png


コロナは依然として世界中で流行している。しかしアメリカのGDPは回復しているようである。それはどういうことなのだろうか。通常ニュースではGDPそのものの数字しか報じていないが、GDPは内訳を眺めて初めてその意味が分かる。そして何故こういう数字になったのかが分からなければ、今後どうなるかも分からないのである。


GDP回復の理由

ということでGDPの構成要素を見てゆこう。まずは実質個人消費である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-1q-us-real-personal-consumption-expenditures-chart.png


個人消費は実は既にコロナ前の水準を超えて上昇している。その理由は実体経済の回復ではない。トランプ政権とバイデン政権が2年連続で大規模な現金給付を行なったからである。振り込まれた現金を使ってアメリカ国民は消費をしている。

次に投資を眺めてみよう。個人消費との対比が面白い。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-1q-us-real-gross-private-domestic-investment-chart.png


投資もかなり回復しているが、この第1四半期はマイナス成長となった。理由は明らかに長期金利の上昇だろう。アメリカの長期金利のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-5-3-us-10-year-treasury-yield-chart.png

新型コロナによる景気後退と中央銀行の金融緩和でアメリカの金利は一旦急落した。一時はそれが株式市場と実体経済を支えていた。しかしGDPが回復するにつれて金利もほぼ元の水準に戻っている。

長期金利は企業の投資のための貸出金利などを通じて実体経済に影響を与える。金利が高いということは企業がお金を借りにくいということである。

投資が今回マイナス成長になったのは金利高の影響が大きいだろう。金利がこの水準で留まるか更に上昇する場合、企業投資はしばらく足踏みする可能性が高い。

一方で個人消費も自動車ローンなどを通じて金利の影響を受けるのだが、現状では現金給付の威力が勝っているということである。

ここまで話せばアメリカ経済がどういう状況かよく分かるだろう。低金利のサポートもない今、アメリカ経済は現金給付などの財政支出でもっている。GDPの数字の上では好調に見えるアメリカ経済も、2年続いている莫大な財政支出の薬が切れれば立ちどころに弱り始めるだろう。

迫りくるインフレ

そこでインフレが問題になるのである。経済成長を今の水準に保とうと思えば財政支出の水準を維持しなければならない。だが現在の財政赤字はGDPの15%近くに達している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2020-us-budget-surplus-to-gdp-chart.png


リーマンショックの頃の財政赤字さえ小さく見えるほどの赤字幅である。この水準の財政赤字を続けてお金をばら撒き続けると当たり前のことだがインフレになる。アメリカでは物価高騰が既に始まっている。

米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13336


そこで米国政府は選択を迫られる。経済成長を維持するためにこの規模の赤字を垂れ流し続けて物価高騰が止まらなくなるか、インフレを止めるために財政赤字を縮小して経済成長を諦めるかである。

結論

どちらにしても実体経済には良いことにはならない。だから債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は財政出動に反対したのである。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681


しかし彼の忠告を誰も聞かなかった。ファンドマネージャーは金の亡者のように言われることもあるが、本当に金の亡者なのは政治家と、財政出動を支持する全有権者である。

経済学者ハイエク氏はインフレ主義に科学的根拠などないと何十年も前に主張した。しかし誰も耳を貸そうとはしなかった。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


誰も正しい主張など求めていないのである。求められているのは耳障りの良い主張と自分に都合の良い主張である。それはアメリカでも日本でも変わらない。自民党支持者は給与所得の半分以上を五輪のための税金と返ってこない社会保険に持って行かれて幸せを感じる自虐趣味者ばかりなのである。

他の国民が愚かでも投資家は自衛をすることが出来る。それで皆、コモディティに賭けているのである。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13456

13. 2021年5月11日 13:58:41 : yXfuG4Z41k : bHRLOVJvWU0vWGs=[22] 報告
アメリカの現金給付の威力を確認する
2021年5月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521#more-13521


コロナ禍における経済対策の一環として日本では2020年に10万円の現金給付が行われたが、アメリカではトランプ政権時に2回、バイデン政権時に1回、合計3回の現金給付が行われている。

1度目はアメリカで全国的ロックダウンのあった2020年3月に1人あたり最大1,200ドル(約12万円)、同年12月に追加の最大600ドル、そして新政権に代わった今年の3月に最大1,400ドルが配られた。

日本の10万円に対してアメリカの現金給付の合計は最大3,200ドル(約32万円)であり、これらの資金はコロナでアメリカ経済に空いた穴を埋めるとともに物価高騰のきざしを生み出している。アメリカでは日用品や不動産の価格が上がり始めている。

米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念
止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
しかしインフレの要因は低金利など他にもあるだろう。そこで今回はアメリカ人に送られた現金がどのように実体経済に波及しているのかを経済指標から検証してみよう。

現金給付と経済指標

先ずアメリカ国民に現金が送られたことで当然ながらアメリカ国民の収入が増えた。以下はアメリカの実質個人可処分所得のグラフである。


2020年の4月、2021年の1月、同年の3月に所得が大きく増えていることが分かる。これが現金給付の影響である。

そして収入が増えれば消費も増える。以下は実質個人消費のグラフである。


グラフが細かいが今年の1月と3月に所得のチャートと同じ2つの山が出来ているのがお分かりだろうか。一方で全国的なロックダウンとなっていた2020年4月には、現金給付は使われず消費は落ち込んだままとなっている。送金された現金はその後使われたのだろう。

こうした観点から先日報じたアメリカのGDPを見ればその意味がもう少しよく分かるだろう。

第1四半期米国GDPは加速、コロナ前の水準を超えて上昇する個人消費の理由
2021年1-3月期のアメリカのGDPはかなり良い数字になったが、それはGDPの構成要素である個人消費が上記のように現金給付によって底上げされた要因が大きい。

このように経済の供給能力が変わっていないかむしろ下がったにもかかわらず、需要だけが無理矢理拡大された場合、当然ながらものの価格は上昇する。消費者物価指数の上昇率(前月比年率)をもう一度掲載しよう。


最新の3月のインフレ率は7.7%と10年来の高い数字となった。

今後の資金の流れ

このインフレ率は続くのだろうか? ヒントは貯蓄率の水準にある。


貯蓄率とは可処分所得の内どれだけが消費に使われず残されたかを示す数値である。2020年4月は現金が送られたにもかかわらずロックダウンで消費が出来なかったのだから、貯蓄率は高い。その数字は徐々に下がってきたがその後の2度の現金給付で1月と3月にまた上がっている。

そして2020年4月の現金給付の影響が収まった2020年後半においても貯蓄率の水準はコロナ以前よりもかなり高くなったままだった。

つまり、アメリカ国民はロックダウンの有無にかかわらずまだまだ消費を躊躇っているということである。コロナが終息するかどうかは分からないが、人々が状況に慣れてくるにつれてこれらの資金は実際に使われてゆくことになるだろう。つまり現金給付の影響はこれからだということである。

そして最後の問いはこれである。現金給付の効果が切れればインフレも収まるのか? その答えはイエスである。しかしアメリカ経済はそれに耐えられるだろうか。アメリカのGDPはほとんど現金給付でもっているのである。株価も現金給付でもっていると言ってもいい。

現金給付の効果が剥がれる頃には「コロナはまだ終息していない」の掛け声のもと、同じような経済対策が有権者から要求されるようになるだろう。現金給付は麻薬と同じで、依存すれば依存するほど止められなくなってゆくのである。止めてしまえば経済成長も株価も台無しになるだろう。

インフレは根深い問題である。有権者と政治家の共依存が強まるほどコモディティ価格は上がってゆく。投資家は別にそれで良いのだが、国民はそれで良いのだろうか。


ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521#more-13521

14. 2021年5月15日 16:33:08 : aAI8B5VOhA : aVNDSnNoSWkydVE=[18] 報告

ドラッケンミラー氏: 中央銀行はインフレで火遊びをしている
2021年5月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13556

かつてジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを率いたスタンレー・ドラッケンミラー氏がコロナ禍の量的緩和をやり過ぎだと批判している。CNBCによるインタビューをこの記事では取り上げたい。

コロナ禍とドラッケンミラー氏

昨年は多くのヘッジファンドマネージャーが株価の回復を予想できなかった。筆者も失敗した1人であり、ドラッケンミラー氏も同様である。

ドラッケンミラー氏: 量的緩和はコロナから株式市場を救えない、株のリスク・リワード比は過去最悪 (2020/5/13)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10768


今回のインタビューでドラッケンミラー氏はその失敗を率直に反省している。彼は次のように述べている。

去年の今頃、ある経済クラブで経済のV字回復はおとぎ話だと主張したが、それはどうしようもなく間違っていた。

去年の株価回復は政府による現金給付が個人消費を押し上げ、それが企業利益も潤して株価に還元された。現金給付の効果については以下の記事で詳しく説明している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521


こうした背景を踏まえてドラッケンミラー氏は次のように続ける。

中央銀行と米国議会がやったことは理解できる。リスクとリワードの観点から言えばそれは正しい決断だったのだろう。

だがその後どうなったか。市場経済に注ぎ込まれた資金が過多となったためアメリカでは物価高騰が始まっている。そしてそれは株価をも圧迫し始めている。

グロース株急落の理由は止まらない期待インフレ率上昇
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13541


最古参の投資家の1人であるドラッケンミラー氏は当然これを心配している。資金が過多となって株価がバブルになるのも問題だが、資金過多で物価が高騰し市民が苦しむ上に株価も下がるとすれば、緩和政策に何の意味があるのだろうか。

ドラッケンミラー氏は次のように主張する。

状況が変われば彼らも変わらなければならない。状況はあれから劇的に変わっている。

去年の春、中央銀行はたった6週間の間に、2009年から2018年に行われた量的緩和の量を超える量的緩和を行なった。

それは劇的な量的緩和だった。ドラッケンミラー氏は本来、量的緩和政策には賛成していない。彼は先進国経済が低成長なのは量的緩和政策のせいだと考えている。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


しかしV字回復を読み間違えたドラッケンミラー氏は中央銀行が去年行なった措置を責めることはない。

はっきり言ってそのことに問題があるとは思っていない。去年、経済はブラックホールの中で、何処に向かっているのか誰にもわからない状況だった。

だが問題は別にある。彼はこう続ける。

問題があると思っているのは、中央銀行がワクチンの後に、そして小売店売上が通常以上の水準まで上がった後にも、2.5兆ドルの量的緩和を予定していることだ。

ブラックホールは起こらなかった。それは良いことだ。しかし彼らはいまだブラックホールの中にいるかのように振る舞っている。そして経済は実際には加速している。

中央銀行の現在の政策は完全に不適切だ。

止まらなくなるインフレ

筆者と同じように、ドラッケンミラー氏も早くからインフレに警鐘を鳴らしていた投資家の1人である。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182


彼もわたしも今年はそれで大いに儲けている。しかし投資家はどういう状況でも儲けられる。インフレでなくなれば別の投資を行うだろう。

しかし心配すべきは経済がどうなるかである。経済を救う名目で行われた緩和政策が日用品の価格を高騰させようとしている。株価についてもインフレは必ずしもプラス要因ではないことは以下の記事で解説しておいた。

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


中央銀行の不適切な政策の結果は何だろうか? ドラッケンミラー氏によれば、それはドルの暴落である。

このインタビューの中でドラッケンミラー氏はドルの下落予想について詳細な解説を行なっている。示唆に富んでいるがやや難しいので分かりやすく噛み砕く必要があるだろう。また別の記事で個別に取り上げたいと思う。それまではレイ・ダリオ氏による同じ予想を読み返しながら待っていてもらいたい。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13556


▲△▽▼

ドラッケンミラー氏: 現金給付がドルを暴落させる理由
2021年5月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13560


前回に引き続きCNBCによるスタンレー・ドラッケンミラー氏のインタビューである。

財政出動と中央銀行

2020年初頭に新型コロナウィルスが世界的流行となった後、日本やアメリカの政府は大規模な景気刺激策を行なった。アメリカではトランプ政権が2.2兆ドル、バイデン政権が1.9兆ドルの財政政策を行なっており、これが景気回復と株価の高騰を支えている。

日本もアメリカもコロナ以前に既に莫大な政府債務を抱えていた。にもかかわらずこのような大盤振る舞いが可能だったのはなぜか。ドラッケンミラー氏は次のように説明している。

このような財政出動は中央銀行の助けなしには不可能だっただろう。中央銀行が紙幣を刷ってそのための資金を作っている。

正確な数字は覚えていないが、債券の発行額を一気に6割も増やすようなことをすれば、中央銀行の助けなしには債券市場は崩壊していただろう。

しかしそうはならなかった。中央銀行が市場にあふれるはずだった債券を買い上げたからである。結果として金融市場は今、物価が高騰するのではないかとの懸念で持ちきりである。前回の記事を置いておこう。

ドラッケンミラー氏: 中央銀行はインフレで火遊びをしている
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13556


長らく出なかった紙幣印刷の副作用がついにアメリカでは出つつある。しかし景気刺激をすることはとりあえず出来ている。ドラッケンミラー氏は次のように続ける。

だからこの大規模な財政政策を可能にしているのは中央銀行だ。問題は、もしインフレになるとすれば、いや仮にならないとしても、負債は莫大なものになるということだ。

これは議会予算局の想定でわたしではないが、中央銀行の支えがなくなれば10年物国債の金利は4.9%になるという。そうすれば政府支出の30%が国債の利払いで飛ぶことになる。

中央銀行の支えがなければそういう世界になるのである。その結果どうなるか? ドラッケンミラー氏はこう続ける。

そうすると中央銀行はそれをマネタイズせざるを得なくなる。そして中央銀行がそれをマネタイズするとき、それはドルにとって酷い結果となるだろう。

当然そういう結果になるだろう。インフレとはそういうことである。インフレとは貨幣の価値が下落することであり、つまりはドルの価値が下落することである。

インフレとドル安の違い

しかし市場経済は面白いもので、物価の上昇と為替の下落は必ずしも同じ時期に起こるものではない。例えば1980年代においてはレーガン大統領が同じような政策を行なったが、その結果としてドル安が起きたのは何年か後のことだった。

ジョージ・ソロス氏: 財政出動でドルが上昇して下落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13260


この記事で少し説明してあるが、コロナ相場でドルが実際に下落するのはいつになるだろうか。このことについてはもっと詳しく検証する必要があるだろう。

多くのファンドマネージャーがドルの下がるタイミングを狙っている。世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏もその1人である。

世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927

そろそろドル下落をしっかり考えなければならない時期だろう。ドル円は今のところ次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-5-15-usdjpy-chart.png


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13560

15. 2021年5月19日 08:46:02 : Kpt2nOGYwY : ZmVhb01GanViNnM=[2] 報告
ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
2021年5月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574

引き続きYahoo! FinanceによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。

今回取り上げるテーマはインフレと中央銀行である。莫大な現金給付などの景気刺激の結果アメリカでは物価高騰の初期症状が始まっており、筆者や多くのファンドマネージャーの予測した通りとなっている。

実現したインフレとその見通し

ガンドラック氏も未曾有の景気刺激策による経済への歪みをコロナ相場の初期から心配していたが、インフレは現実のものとなりつつある。CPI(消費者物価指数)は市場予想を上回る速度で上昇し、それが株価急落の引き金となった。

しかしガンドラック氏によればCPIに表れている物価高騰はインフレの本当の実態を表していないと言う。彼は次のように述べている。

CPIは実態を表していない。住宅価格のインフレを計算するための家主のみなし賃料(訳注:家を所有している人が賃料を払っているものと想定して算出する数値)は12ヶ月で2%の上昇となっているが、住宅価格の上昇は17%だ。

家主のみなし賃料を住宅価格で置き換えて計算すると現在のインフレ率は年間8%ということになる。

CPIは様々な品目の物価を集めて1つの指数としたものだが、その品目の1つである家主のみなし賃料の数字がおかしいとガンドラック氏は主張している。何度か取り上げたように、住宅価格は世界中でかなり上がっている。

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中

既に上がっているCPIだが、インフレの実態はそれ以上のものであるということである。

インフレは止まるのか

しかしガンドラック氏によればそのインフレ率はまだ上がり続けるという。彼は次のように述べている。

DoubleLineにはインフレを予測するためのモデルがあり、直近数ヶ月の予想をするためにかなり役立っている。

そしてそのモデルによればインフレ率は今後数ヶ月上昇を続けるだろう。7月にピークとなるかもしれないが、もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば、経済にとって深刻な懸念となるだろう。

インフレなどの経済指標は金融市場に大きな影響を持つが、各々のヘッジファンドにはそれを予想するための独自のノウハウを持っている。ガンドラック氏は債券の専門家なので彼のインフレ予想モデルは非常に興味深い。

そのモデルによれば、7月にピークになる「かもしれない」そうだが、この予想には筆者も頷ける。アメリカで行われた3回の現金給付について書いた記事を読んだ読者にもその意味が分かるだろう。

アメリカの現金給付の威力を確認する
つまりインフレ率などの指標は現金給付によって持ち上げられており、最後に行われた3回目の現金給付の効果が7月頃には薄くなってくるだろうということである。

一方で「もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば」という言葉の意味は、現金給付の効力が切れても物価高騰が止まらないのであればというように解釈できる。前回の記事で取り上げた箇所でガンドラック氏は、失業保険を手厚くし過ぎた結果人々は働くよりも失業保険を受け取って家でNetflixを見ていると指摘していた。

ガンドラック氏: 現金給付と失業保険が失業を悪化させる
コロナ禍の莫大な景気刺激策はこうした歪みを多く生み出している。

政策による歪みがインフレを生む

働き手が減れば物価は上昇する。現金給付による単純な貨幣インフレだけではなく、こうした構造的な歪みが物価高騰を引き起こしているのだとすれば、インフレ率は7月以降も上がり続けるだろう。だからその後のインフレ率を見ておくことは投資家にとって非常に重要となるのである。

ガンドラック氏などの投資家がこうした懸念を真剣に考えているのに対して、何も考えていない人もいる。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)のパウエル議長である。

4月FOMC会合結果: パウエル議長のインフレ無視は続く コモディティバブル継続へ
パウエル議長はインフレは一時的なもので心配ないと言い続けている。中央銀行の話になるにつれてガンドラック氏の口調が厳しくなってゆく。

Fedは「一時的」と言うのが好きだ。Fedは実際にはインフレ率が国債の金利よりも高い時が一番満足なのだろう。彼らはその状態を目指してきた。

だから「インフレは一時的だ」ということにすることで人々を心配させないようにしているが、根拠は何なのだ? こんな未曾有の状況でそれが一時的かどうか誰に分かるだろうか。

インフレは良いものだという主張に何の根拠もなければ、インフレが一時的だという主張にも何の根拠もない。中央銀行の主張には基本的に何の根拠もないのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信

ガンドラック氏の中央銀行批判は続く。彼はリーマンショック当時にバーナンキ議長がリーマンショックの原因となったアメリカの住宅ローン危機の深刻さを甘く見た時のことを話している。

ベン・バーナンキが住宅ローン危機について完全に間違った時のことを忘れてはならない。彼はサブプライムローンだけの限定的な問題だと主張したが実際には被害はその何十倍も大きかった。

だから彼らが「インフレを一時的」だと言うとき、どうやって判断しているのかと思う。

これは判断というよりは投資家をミスリードするための洗脳のやり方なのではないか。

なかなか痛烈な批判ではないか。

こう考えるのはガンドラック氏だけではないだろうが、これまで中央銀行は基本的にすべての経済危機を見誤っている。リーマンショックもジョージ・ソロス氏などの投資家は事前に警鐘を鳴らしていたが中央銀行は聞きもしなかった。

今回のインフレについてもガンドラック氏、ドラッケンミラー氏などの優れた金融家が事前に警鐘を鳴らしているが、中央銀行は全く別の方向に突っ走っている。いつも同じことである。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
好きな方向に突っ走れば良いだろう。責任を負わされるのは日用品の価格が高騰して買えなくなる国民である。しかしこれはすべて彼らがインフレ政策を支持した結果なのだから何を言うことが出来るだろうか。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574


ガンドラック氏: インフレが止まらなければ株価急落へ
2021年5月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13593

前回に引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。

ガンドラック氏のインフレ予想

コロナ禍における現金給付などの景気刺激策で市場経済に多額の資金が注ぎ込まれたことで、アメリカでは物価高騰の初期症状が始まっている。

インフレ懸念についてはここでは去年から報じてきたことであり、筆者を含め多くの機関投資家たちが金属や穀物の価格上昇に賭けて既に儲けている。


金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる


しかし株式市場は今になってようやくインフレが懸念材料だと気付き始めたようであり、今後アメリカの物価がどうなるのかが投資家の注目を集めている。前回の記事で報じたように、ガンドラック氏は今後のインフレについて次のように述べていた。

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574

インフレ率は今後数ヶ月上昇を続けるだろう。7月にピークとなるかもしれないが、もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば、経済にとって深刻な懸念となるだろう。

7月が分水嶺となる理由については前回解説したのでそれを参照してもらいたい。今回論じるのは7月以降インフレが止まらなかった場合株式市場がどうなるのかである。

インフレと株式市場

インフレは金利上昇を通じて株式市場に影響を与える。株式市場は長年低金利によって支えられてきたからである。しかし低金利は中央銀行が国債を買い入れる量的緩和によって実現してきた。

ガンドラック氏によれば、その他の買い手は米国債の保有に及び腰になっているという。ガンドラック氏は国債の金利は保有のリスクに見合っていないと説明する。

アメリカの超長期国債は去年ちょうど1.00%まで下がったが、今では2.4%まで上昇している。(訳注:金利上昇は債券価格下落を意味するので)どれだけの資金が失われたか投資家は分かっていない。

去年の3月か4月に投資家が超長期国債に殺到した時の買い手がその後の価格下落で被った損失は30%とかなり大きい。株式を保有した場合に覚悟するような損失だ。一方でリワードは1%の金利を30年貰い続けることだ。

コロナ以後、国債のリスク・リワードはかなりおかしなことになっている。

そのような状態で国債を保有したい投資家は果たしているだろうか。ガンドラック氏は次のように続ける。

金利が上がった時、米国債を買いたい投資家は多くない。外国の投資家はもう何年も米国債を売っている。国内の投資家も国債保有を減らしつつある。もう中央銀行しか残っていない。

だから現在上がっている金利については中央銀行がどう動くのかによって今後の見通しが変わってくる。アメリカの長期金利は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-5-18-us-10-year-treasury-yield-chart.png


この金利がどうなるかによって株式市場の命運が決まる。ガンドラック氏は次のように予告している。

インフレが夏以降も上がり続けた場合、金利上昇が中央銀行の覚悟を試すような展開になるだろう。中央銀行は無制限の量的緩和を行うと主張している。どうなるか見てみよう。

買い手が減り続けている米国債を中央銀行が吸収できず金利が上昇してしまった場合、これまで低金利に依存してきた株価にとって大きな問題となるだろう。

結論

ガンドラック氏に限らず、金利が上がってきたことで株価の水準に危機感を持っている著名投資家が増えてきた。同じく債券投資家のスコット・マイナード氏も同じ理由で2021年の株式市場は下落すると予想していた。マイナード氏の方が今後の推移を詳しく説明しているのでこちらも参考にしてもらいたい。

マイナード氏の2021年株式市場の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12828

実際に株価は上値が重たくなっているようである。2人の債券投資家の予想は当たるだろうか。インフレ指標には今後も注目である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13593

16. 2021年5月19日 12:40:46 : Kpt2nOGYwY : ZmVhb01GanViNnM=[9] 報告
05-19 巨大な公共投資が機能しない理由
2021/05/19



17. 2021年5月21日 08:17:23 : tKbYp4q0Yg : WFlqNGZCelhaS3c=[2] 報告
ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
2021年5月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619


引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は量的緩和と現金給付が貧富の差を是正するかという議論だが、ガンドラック氏の論点は示唆に富んでいる。

コロナと財政政策

コロナで職を失ったり商売が立ち行かなくなった人が大勢いる。それで現金給付のような政策が支持されており、アメリカでは増税と景気刺激の組み合わせを行おうとしているバイデン政権が選ばれたのである。

しかし国民から多く徴収して多くばらまくという政策には経済学的には疑問も残る。増税をすればその分国民は消費が出来なくなるだろう。その分を政府が代わりに投資するというコンセプトなのだが、これは実際にはライブのチケットを買おうとする音楽ファンの国民からチケット代を取り上げ、代わりに五輪のチケットを渡す政策に等しい。

日本で自民党が行なっている増税・財政支出の組み合わせも同じである。このような経済政策が機能するだろうか。それを考えるためには、歴史上同じような政策が採用された例を探せば良い。ガンドラック氏は次のように論じている。

現在のような節操のない金融・財政政策を行なった結果を歴史上の例から探すと、かなり悲惨な結果となる。その結果は大体内戦か革命だ。

歴史的に著名な例はフランスの王政である。ガンドラック氏はフランス革命の時にも現在と同じような経済政策が取られたとし、次のように述べる。

例えばフランス革命だろう。フランスは1770年代に金本位制度から離脱したが、1780年代には食糧を求めて暴動が起きた。パンが不足してパンの価格が高騰したので、女性たちはヴェルサイユ宮殿にいるルイ16性と王妃マリー=アントワネットに対してデモを起こした。

金本位制度からの離脱とは、元々中央銀行が紙幣と金を交換する約束をしていたのをその約束を反故にし、紙幣を持ってきても金は渡さないと宣言することである。

つまり金本位制度からの離脱は中央銀行の債務不履行であり、紙幣の価値を下落させる量的緩和と基本的に同じである。アメリカでは1970年代に同じことが起こり、ニクソンショックと呼ばれた。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


それと同じことがフランス革命においても起こった。当時パンの価格が高騰したことは、現在金融市場において物価高騰が懸念されている状況と重なる。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182


現金がばら撒かれたにもかかわらず、何故フランスの人々はデモを起こさなければならなかったのか。ガンドラック氏はこう語る。

何故それが起こったか。紙幣印刷と現金給付によって中流階級が貧乏になり、貧困階級は死ぬほど飢えた。一方で紙幣印刷のレバーを握っている側は更に裕福になった。

量的緩和がどういう理由で行われているかを考えればそれは明らかだろう。量的緩和は政府債務を支えるために行われている。金利を低く抑えられなければ政府は膨大な借金の利払いで他の支出が出来なくなる。他の支出が出来なくなれば何故困るのか。政府予算に依存して利益を得ている人々が利益を得られなくなるからである。

だからばら撒き政策は既得権益層をますます裕福にし、その恩恵は中間層には返ってくることはない。

アメリカの消費と中国の輸出

ガンドラック氏は今の状況に照らし合わせてより具体的な話もしている。

こうした政策はアメリカの消費を促進している。だがアメリカの生産者にはほとんど関係のない話だ。消費は増えたが、消費されるものは中国から来ている。アメリカ人が中国のものを大量に消費しているので中国のGDPはどんどん上がっている。

現金給付によりGDPの構成要素である個人消費は上がった。現金給付によって毎月の消費が押し上げられる様子は以下の記事で解説している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521


しかし消費される商品は何処から来ているのか。これらの商品の多くは現代においては中国で作られている。つまりアメリカの資金が中国に流れているのである。アメリカは借金をしてこれらの政策を行なっているので、アメリカは実質的には借金をして中国に貢いでいることになる。

更に言えばその資金は何を通して中国に流れてゆくのだろうか。ガンドラック氏によれば、その資金はAmazon.comなどのオンラインストアを通して中国に流れてゆく。

こうした消費はどうやって起こるか。単純化して言えばこうした消費はアマゾンを通して行われている。アマゾンはこうしたビジネスで大きなシェアを獲得している。だからジェフ・ベゾス(訳注:Amazon.comのCEO)のようなシリコンバレーの億万長者が政府の現金給付によって相当に豊かになる。

しかしその資金は中流階級の自国民には返ってこないのである。中間層に何が起こるかと言えば、後に残った莫大な政府債務を返すために増税のくびきに掛けられることになる。

大きな政府と小さな政府

増税と財政出動を組み合わせ、国民から大きく吸い取り大きく吐き出す政府のことを大きな政府と言うが、予算の大きな政府の政治家達が資金を吐き出す時には当然ながら彼らの利益となる場所に資金吐き出すことになる。

日本政府が消費増税を行いオリンピックやGO TOトラベルを強行する理由は何か。一般国民から吸い取って自分の票田である宿泊業界や大手メディア、広告代理店などに吐き出すためである。保守派とは伝統的にこうした政府の利権を認めず政府の予算を縮小しようとする立場のことを言うので、自民党は保守ではない。何度も言っているのだが大半の日本人にはこれが分からないらしい。

純粋に資本主義的な存在であるガンドラック氏やドラッケンミラー氏などの大物ファンドマネージャーらが、政治家たちの政治的な言い分とは距離をおいて本当に国民のためになる政策とは何かという話が出来るのは興味深い。実力のある人間は利権がなくとも金を儲けられてしまうので反利権派になるのである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619

18. 2021年5月29日 07:24:12 : GnRMpOkTQU : R25CMktuWjhaeFE=[14] 報告
コモディティバブルはまだ終わっていない
2021年5月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13717


アメリカでインフレ懸念が起こっている。日本の何倍もの規模で行われた現金給付などの景気刺激策が物価や不動産価格の高騰を招いている。

インフレとコモディティ

そのトレンドの先駆けとなったのが、金融市場における金属や農作物などのコモディティ銘柄の高騰である。政府が注入した資金はまず金融市場に入り、その後日用品の価格にまで波及した。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
アメリカでインフレ止まらず、4月は年率9.6%
コモディティ銘柄の上昇相場は去年からのものであり、従って既にかなり上がっている。主要銘柄で一番上がったのは恐らく銅である。コロナ後好調な中国の需要も受けて飛ぶ鳥を落とす勢いである。価格チャートを掲載する。


以下は大豆の価格チャートである。


カテゴリーの異なる銅と大豆が同じような動きをしていることから、これがコモディティ全体の上昇トレンドであることが分かる。他のコモディティも多かれ少なかれ同じ動きである。

期待インフレ率とコモディティ

コモディティ市場全体を支配する大きなトレンドを引っ張っている1つの数字が存在する。市場の期待インフレ率である。10年物のアメリカの物価連動国債から算出される市場の期待インフレ率は次のように推移している。


物価が高騰すると市場が予想しているから、先回りして金属や農作物が買われている。このトレンドが続くかどうかである。

インフレ率の見通しについては著名投資家でも判断の難しいところである。インフレ率は債券の価格に関わるので、債券投資家の領分である。もっとも著名なのは恐らくジェフリー・ガンドラック氏だろう。

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
彼はこの記事で、アメリカのインフレは7月にピークになるかもしれないと述べている。そうなる理由はこの記事で説明しているので参照してもらいたいが、短く言えばここまでインフレを押し上げていた短期的なインフレ要因が剥落するからである。

短期的要因が剥落した後にインフレがどれくらい強いかということには専門家の中でも議論がある。経済学者ラリー・サマーズ氏はインフレが長期に及ぶ可能性を指摘している。

ラリー・サマーズ氏: インフレリスクは本物、利上げで景気後退へ
問題は7月以降インフレがどうなるかということである。

コモディティの相場見通し

期待インフレが短期的に収まれば、短期的にはコモディティ価格に大きな影響を及ぼす。ガンドラック氏は上記のインフレ見通しもあり、コモディティが一時調整局面に入るとの見方を示している。

ガンドラック氏: ビットコインとコモディティは調整へ
しかし長期的にどうなるかを考える時には、問題はより簡単となる。

順に考えよう。インフレがこのまま上がり続ける場合、コモディティ価格はどうなるか?

上で述べた通り、これまでコモディティは期待インフレ率の上昇に導かれて上がってきた。中央銀行の内部では一部これを懸念する声もあるが、議長のパウエル氏は何の根拠もなくインフレは一時的であると言い張っている。

4月FOMC会合結果: パウエル議長のインフレ無視は続く コモディティバブル継続へ
ガンドラック氏やサマーズ氏のような才能が必死になって頭を働かせている時に、中央銀行のトップは何も考えなくて良い。気楽な仕事である。

しかしこれは、期待インフレ率がもう少し上昇しなければ中央銀行は動かないということを意味している。2018年に自分の金融引き締めで株式市場を暴落させて以来、パウエル氏は金融引き締めをやりたくないのである。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因
したがって、期待インフレ率が上がり続ける場合、コモディティ相場にはまだ上昇余地があるということになる。

一方で期待インフレ率が下がる場合、短期的にはコモディティ価格は下落するかもしれない。これがガンドラック氏が想定するシナリオである。

長期見通し

しかし長期的にはどうなるか? この相場の出口は何処だろうか。

期待インフレ率が下がり、金利が下がることになれば、金融市場は更に加熱することになる。読者にはもうお分かりかもしれないが、このゲームは市場が加熱しすぎて金融引き締めに追い込まれるまで決して終わらないゲームなのである。

したがって期待インフレ率が下落する場合も一旦の調整を経た後、加熱し過ぎるまでコモディティ価格は上がり続けるだろう。これが長期の見通しである。

バブルは終わるまで終わらないのである。そしてこのコモディティ相場予想は暗号通貨に対しても適応される。暗号通貨はコモディティの一種である。筆者の推しているイーサリウムの価格推移は次の通りである。


筆者がビットコインよりもイーサリウムを推す理由については以下の記事を参考にしてもらいたい。

停滞するビットコイン、暴騰止まらぬイーサリウム
株式市場に関しても筆者はコモディティの推移と同じような見方をしているが、バリュエーションの問題から株式よりはコモディティを選ぶだろう。

インフレ懸念が株式市場バブルの終わりではない理由


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13717

19. 中川隆[-4450] koaQ7Jey 2021年6月04日 06:57:36 : gFTpnByYk6 : Nll1WVVkQTN5b2M=[8] 報告
06-04 水害・データセンタ・物価上昇・宝石貿易の闇
2021/06/04


20. 中川隆[-4167] koaQ7Jey 2021年6月18日 18:12:08 : miENho5Kzg : dnZJcjFka2JYTlU=[26] 報告
世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で株式の実質リターンがマイナスになる
2021年6月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14073


世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の5月29日のインタビューから量的緩和バブルの終着地点について語った部分を紹介したい。

コロナ後の経済と量的緩和

コロナ以後、世界経済には大きな穴が空き、多くの国が政府債務を増やして景気刺激を行うことで対応しようとした。

その借金の額が膨大になったのがアメリカである。アメリカでは30万円を超える現金給付が行われた上に、失業保険の大幅拡充まで行われ、一部の労働者は働かずに失業保険を受け取ることを希望していると債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は指摘している。

ガンドラック氏: 現金給付と失業保険が失業を悪化させる
結果としてアメリカでは大量の借金上乗せが必要となり、大量の国債が刷られた。そして今後も同じように景気刺激を続けなければ株式市場も実体経済も持たないだろう。

ドラッケンミラー氏: 緩和終了でバブル終了へ
ダリオ氏は次のように指摘している。

需要と供給の問題がある。これから国の予算がどうなるかを考えれば、大量の現金、大量の借金が必要となることは明らかだ。

中央銀行が大量の紙幣を刷り、それを政府がどんどん使ってゆく。しかしこれまで日本とアメリカの経済政策が証明してきた通り、そのお金は金融市場には行くが国民には届かない。ダリオ氏は次のように続ける。

株式が上がるだろう。株式、ゴールド、ビットコイン、不動産、すべてが上がることになる。ドルの価値が暴落するからだ。

一般国民は貧しくなってゆくが、投資家は逃げ切れるのだろうか? しかし金融業界の人間ならば痛感しているだろうが、金利が10%の世界と金利がマイナスの世界では、ヘッジファンドであってもリターンは縮小されてゆく。何故か? ダリオ氏はこう説明する。

資産価格が上昇するたび、そこから将来得られるリターンは低下する。どの資産でも債券と同じだ。そしてそれは最終的に国債の金利に近づき、その資産を買うインセンティブがなくなる。

実際に、例えば配当の多い銘柄を買っている投資家は、低金利の状況下において配当率も以前ほどではなくなっていることを感じているだろう。すべては金利に連動するからである。

量的緩和の行く末

しかし問題はそれだけではない。株式のリターンが少なくなり、それは何処まで行き着いてしまうのだろうか? ダリオ氏は次のように続ける。

ここで問題が生じる。この状況で金融引き締めを行うことは非常に難しい。すべての資産が金利に対して敏感に反応するようになっているからだ。すべての資産が暴落してしまう。

そして中央銀行はますます紙幣を印刷しなければならなくなる。そうすれば1970年代に起こったように、株式や他の資産の実質リターンがマイナスとなる。このパターンは歴史上何度も何度も起こっている。

ダリオ氏は興味深いことに株式の実質リターンがマイナスになると言っている。これでは株式投資家も助からないことになってしまう。

しかしこれは意外なことではない。何故ならば1971年のニクソンショックからインフレが収まるまでの10年間、米国株の実質リターン(株価を消費者物価指数で割ったもの)は次のようになっているからである。


これが物価高騰時における株式の本当のリターンである。米国株のリターンが10年間マイナスだということが今の投資家に信じられるだろうか?

勿論、名目で見ればリターンは良くなる。しかしアメリカ人にとっては投資のリターンでものを買えるわけでもなく、円建てで考えなければならない日本の投資家にとっては、インフレ時に米国株に投資するとドル暴落で結局こういうリターンになるのである。

国民の悲劇は株のリターンがマイナスになることだけだろうか。ダリオ氏によれば、それだけではない。

お金が必要だ。だから紙幣を印刷する。お金が必要だ。だから税金が上がってゆく。これがトレンドを生んでゆく。

日本ではインフレにならないから日本人は問題を避けられているのだろうか? しかし日本の税率はアメリカとは比べ物にならない。所得税と社会保険と消費税を足し合わせた場合、大半の給与所得者は収入の半分以上を税金その他で持っていかれている。そのお金は容赦なく東京オリンピックに流れてゆく。日本人が自分で選んだ道である。

結論

今回の論考は日本の投資家にとって米国株投資を考え直さなければならないものとなったのではないか。

こうした状況下では最終的には株式よりも金属や穀物などのコモディティが上がるだろう。

ではコモディティを買えば投資家は紙幣印刷の弊害を避けられるのだろうか? 実はコモディティさえも買えなくなる可能性がある。ダリオ氏はこう付け加えている。

その次には何が起こるだろうか?

資本統制があるかもしれない。資金は何処かに行きたい。資金は現金以外のほとんどすべてのものに流れてゆく。

実際、過去にはアメリカ政府はゴールドの保有を国民に禁じたことがある。

世界最大のヘッジファンド: 金保有を禁止した政府はビットコインも禁止する
政府が自分の紙幣印刷の責任を国民に押し付けるためには何でもありである。経済学者ハイエク氏がどれほど慧眼だったかを思い知らされる。

インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14073

21. 中川隆[-5173] koaQ7Jey 2021年7月02日 17:44:54 : gGFm0tJbPw : bFJOOXFDREFDS28=[30] 報告
「怖いインフレの可能性」パイレーツ・ラジオ@clubhouse(Live配信2021/7/1) - YouTube


22. 中川隆[-5138] koaQ7Jey 2021年7月04日 10:37:14 : oK8CEMlMsc : dnU4eC52a0R2cC4=[15] 報告
マイナード氏: 短期では株価下落から金利低下へ
2021年7月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14321

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がFOX Businessのインタビューで金利と株価について語っている。

テーパリングで金利低下

Fed(連邦準備制度)は6月のFOMC会合で利上げとテーパリング(量的緩和縮小)を示唆した。金利を上げて現在のアメリカの物価上昇を抑えるためである。

しかしマイナード氏は逆に、利上げとテーパリングは金利低下要因になると予想していた。

マイナード氏: 株価下落と金利低下の理由、今後の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14114


その後アメリカの長期金利はどうなったか? 見事にマイナード氏の予想通り、下落トレンドを続けている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-3-us-10-year-treasury-yield-chart.png


債券のスペシャリストの面目躍如である。

マイナード氏の論理によれば、利上げとテーパリングはインフレを抑えるので金利低下要因だと言う。金利の動きを纏めれば、今年前半は中央銀行の引き締めのない環境でインフレが進むことを懸念しての金利上昇、テーパリング示唆後は中央銀行が対処しインフレが収まることを予想しての金利低下ということだろう。

同じく債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏や経済学者のラリー・サマーズ氏とは違い、マイナード氏は今回のインタビューでも金利上昇シナリオは心配ないと主張している。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037

サマーズ氏: アメリカのインフレ率は5%まで上がり、今年後半に株式市場は荒れる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14272


マイナード氏は次のように述べている。

金利についてそれほど心配すべきことはない。われわれのリサーチによれば、経済に存在する債務の量、特に政府債務の量を考えれば、金利が2%に近づけば経済は減速を始めることになる。

債務の量が多過ぎるのである。特にコロナ後にアメリカの政府債務は激増した。少しでも金利が上がれば利払いが多くなり、経済が滞ってしまう。一度金利が上がってもそれが重しとなって金利はそれほど上昇できないという論理である。

世間では債務の量を懸念しない人々も多いが、このように債務は経済の専門家以外には見えにくい形で既に先進国経済にのしかかっている。だからファンドマネージャーには財政支出反対派が多い。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


しかし財政出動依存症の人々には永遠に理解できないだろう。

また、マイナード氏は株式市場の動向も金利低下要因だと言う。

景気拡大の2年目には株式市場にかなり大きな調整があることが多い。だから夏の間に調整があると予想している。そうなれば金利にとっては上昇ではなく低下の要因となるだろう。

株式市場が下落すると金利は一般に低下する。株式の代わりに債券が買われる(債券価格上昇イコール金利低下)からである。

しかしこれはどうだろう? 筆者はこの論理を少し疑っている。問題は金利が低下しているということである。

筆者は現在の長期金利低下を株式にとってプラスの要因だと思っている。よって金利がそのまま上昇を続けていれば株式の下落もそれほど遠くなかっただろうが、今回金利が低下したことによって少なくとも当面は株価下落の脅威が去ったと考えている。

特に恩恵を受けるのは、これまでインフレ懸念が重しとなっていたグロース株である。この点については以下の記事で説明しているので参考にしてもらいたい。

テーパリング示唆でハイテク株が上昇している理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14293


マイナード氏の長期株式見通し

一方で、マイナード氏は長期的には株式に強気らしい。彼は米国の株価指数S&P 500について次のように述べている。

今後2年でS&P 500は5000に達するだろう。S&P 500の1株当たり純利益が250になるのはたやすいだろうし、ゼロ金利下における20倍の株価収益率は完全に合理的に思える。

景気の良い話だがこれはどうだろう? S&P 500の1株当たり純利益は2021年の予想値で175ドルなので、250ドルと言えばここから40%以上となる。2年で達成できるだろうか? ちなみにS&P 500は現在4342辺りを推移している。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-3-s-and-p-500-chart.png


総合すると、マイナード氏は短期で株式に弱気、長期では強気ということになる。彼は次のように纏めている。

わたしはタイミングを考えるからもっと安く買いたいと思っているが、長期投資家なら今でも買い持ちにしているべきだろう。

ちなみに長期では彼はほとんど何に対しても強気である。株価下落で中央銀行が緩和再開を強いられると読んでいるのである。

マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13742

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12175


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14321

23. 中川隆[-5116] koaQ7Jey 2021年7月05日 09:56:58 : VQ9QaQgG0g : WW1vUERhelh2MU0=[6] 報告
中国の為替操作で日本にも悪性の物価上昇が迫っている

07-05 日本にも悪性の物価上昇が迫っている!
2021/07/05




人民元のガチガチの取引規制(などの為替操作)で中国が資源爆買いできる状況がおかしい。
24. 2021年7月21日 10:44:00 : dG8JfygVp2 : UUhFNHpwREMyZm8=[7] 報告
株価下落と金利低下の理由
2021年7月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14531

株式市場が多少荒れてきた。最近怒涛の勢いで予想を当てているスコット・マイナード氏の株価下落予想が当たりそうでまだ当たっていない状況が続いている。

マイナード氏: 短期では株価下落から金利低下へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14321


短期的な値動きに反応して記事を書くのは性分ではないが、現在の金融市場の状況を一度纏めておこう。

株価下落の原因

株価が荒れる材料があるとすれば、まず好材料が出尽くしたことだろう。2020年3月の底値からここまで、コロナの流行にもかかわらず株価が上昇してきた理由は金融緩和と政府の現金給付・インフラ投資である。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-s-and-p-500-chart.png


一番の要因は現金給付で、その威力については以下の記事で解説しておいた。

アメリカの現金給付の威力を確認する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521


トランプ政権から現在のバイデン政権まで、アメリカで現金給付は都度3回行われたが、今年3月の3回目の給付を最後に次の給付は目処が立っていない。

インフラ投資もバイデン政権が発表してから数ヶ月が立っており、株式市場にとって材料として目新しいものではなくなっている。

そして追加の緩和があるとすれば中間選挙のある2022年11月に向けてということになるだろうから、年内は基本的に何も出ない可能性が高く、株式市場は材料のないまま6ヶ月を過ごさなければならないということになる。「噂で買って事実で売る」の言葉通り、金融市場ではニュースは事前に織り込まれてしまい、新しいニュースが出なくなった時点で株価が下落することはよくあることである。

一方で金融緩和がどうかと言えばこちらも雲行きが怪しい。Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は「インフレは一時的」と言い続けていたが、Fedは6月の会合でいきなり利上げとテーパリング(量的緩和縮小)を示唆した。他のメンバーが上昇を続けるインフレ率を見て淡々と利上げを支持したものと思われる。

パウエル議長の玉虫色の議会証言に惑わされるな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14480


そしてインフレはまだ止まっていない。

好材料のない株式市場

ということで、目下株式市場には好材料が特にない。あえて言えば長期金利が低下していることだろうか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-us-10-year-treasury-yield-chart.png


しかしコロナも変異株が世界的に流行を開始している今、経済再開が株価を押し上げるというシナリオもないだろう。株式市場が独自の買い材料が何もないまま今年後半を過ごさなければならないことは事実で、これまであらゆる好材料(コロナによる景気後退も、それ以上の資金注入があれば株式には好材料である)を織り込み続けてきた株式市場である程度の手仕舞いがあってもおかしくはない。

この状況はいつ変わるだろうか? まずは追加の財政刺激が議論されそうな時期だが、上に述べた通り中間選挙が2022年11月なので早くても年明けになる。

これより早い転換点はインフレ相場の再開だろう。勿論インフレはハイテク株にはマイナスになるので株式市場にとって一概にプラスとは言えないが、株式もコモディティも一様に調整局面にある現在の相場とは様相の違った新たな相場になるはずである。

その転換点は物価統計から今年3月の現金給付や半導体不足による自動車不足などの短期要因が消え、その後に現在のインフレは短期要因だけではないということがはっきりしてくるタイミングということになる。

現在、物価統計は短期要因の剥落が予想されてはいるが、剥落はまだ始まっていない。

6月米インフレは再加速、原油高騰で火に油か
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14462


剥落が始まってから数ヶ月後がそのタイミングになるだろうから、これもやはり年末か遅ければ年始ということになるだろう。

結論

よって株式市場は少なくとも数ヶ月「何もない相場」を続けそうである。

この期間をどうトレードするか? もしマイナード氏の言うように株式市場に調整があるとすれば、為替相場にチャンスがあるかもしれない。

世界最大のヘッジファンド: ドルから人民元への逃避が始まる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14095


政府債務の急激な増加によりドルの暴落を多くの著名投資家が警戒しているが、前にも述べたようにそのタイミングは必ずしも債務増加に連動するわけではない。

ダリオ氏とサマーズ氏のドル下落に関する論争
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14160


債務増加により経済が見かけ上上手く行っているように見えている間はドルも好調となる場合は多い。しかしそのツケはその仮面が剥がれてくる時にこそ起きる。

だとすれば、株式市場にとって喜ばしくない時期は、逆に言えば本来上がるべきだが上がっていなかった通貨(例えば日本円やスイスフラン)にスポットライトが当たる時期になる可能性がある。

ドル円のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-usdjpy-chart.png


ユーロスイスフランのチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-eurchf-chart.png


特にコロナを比較的少ない財政支出で切り抜けているスイスの通貨は本来もっと上がるべきだが、恐らくその上昇(ユーロスイスフランの下落)は株式市場のリスクオフと一緒になって一気に来る性質のものだろう。借金のツケが実体経済に来るのが不況のときで、そのマイナス効果は見かけ上好況が続いている時には見えないというのと同じである。

新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10248


また、株式を買い持ちにしている投資家にとってはこうしたポジションを持っておくことはヘッジになると思われる。いずれにせよ色々準備が必要な半年間になりそうである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14531

25. 中川隆[-16072] koaQ7Jey 2021年7月24日 18:14:47 : vm2m0Yb61c : OVJpa2FtQ0tMUlU=[18] 報告
米連銀は火に油を注ぎ続けるか?低所得者にインフレ直撃、フルタイム労働でもホームレスに=矢口新
2021年7月20日
https://www.mag2.com/p/money/1081219

米国では物価上昇に賃金アップが追いつかず、明日の住居、明日の生活に脅える人々が急増している。このことは、大規模な政府の財政出動や中央銀行の金融緩和を負担しているのは、低中所得者層であることを強く示唆している。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)


中古車や住宅など身近な品目が値上がりする米国経済

米6月の消費者物価指数は前月比+0.9%、前年比+5.4%だった。コア指数は前月比+0.9%、前年比+4.5%だった。パンデミックからの需要の急回復に供給不足が重なり、前年比では、それぞれ約13年ぶり、約30年ぶりの伸び率だった。

半導体不足で自動車生産が滞り、中古車価格が19年比で+41%となるなど、国民に身近な品目も値上がりが続いている。

また、米4月のS&Pケース・シラー20都市住宅価格指数は、前月比+1.6%、前年比+14.9%だった。前年比では、1987年の統計開始以来の最高の伸び率を記録した。米5月の中古住宅販売価格中央値は、前年比23.6%の35万300ドルで、全米不動産協会が記録を取り始めた1999年以降で最大の上昇率となった。

そのため、レントも上がり、米国のどの州でも、どの郡でも、どの都市でも、フルタイムで週に40時間働く最低賃金労働者では、2ベッドルームの賃貸住宅の家賃が払えないことが、全米低所得者住宅連合の報告書でわかった。1ベッドルームの賃貸住宅でも、フルタイムの最低賃金労働者が家賃を払える郡は、全米で3,000以上ある郡の7%(218郡)だけとなった。
※参考:Minimum wage workers can’t afford rent anywhere in America – CNN(2021年7月15日配信)

回復遅れる労働市場。パウエル議長の「燃料」投下は続く
一方、米連銀のパウエル議長は「米経済は資産購入の縮小を開始できるだけの進展をまだ見せていない」と強調。「インフレは一時的なもの」で、警戒感を持ちながらも緩和的な金融政策を続けるとした。

パウエル議長が言及する経済回復の進展とは、労働市場の回復だ。ピーク時には2,500万人を超えていた失業保険の継続受給者が、先週発表の数値では324万1,000人にまで減少したが、まだ多いと言えば多い。

一方で、米5月のJOLTS求人件数は920万9,000件で、6月の雇用統計による5月の失業者数931万6,000人とほぼ一致していた。求職しながら求人に応じない理由としては、対人職の求人が多くコロナ感染が恐いため、失業手当を受け取っているため、子育て対策が不十分なためなどが挙げられている。

このことは、金融緩和により労働市場の回復がこれ以上進展するとしても、パウエル議長が望む水準にまで達成するには、相当期間を要することが見込まれることだ。

つまり、それまでは失業保険の継続受給者が2,500万人を超えていた時期と、同規模の金融緩和を継続する「懸念」があることを暗示している。

インフレの炎が、パウエル議長が見なしているように仮に「くすぶっている」だけだとしても、コロナ禍の最悪期に始めた、ほぼゼロ金利と大量の資金供給いう前代未聞の規模の「燃料」を注ぎ続けると言うのだ。

家賃高騰、週40時間労働でもホームレスに
ところが、米国にはインフレの鎮静化を相当期間も待てない人々がいる。

6月の住宅保護期限切れで、何百万人もの米国人が立ち退きに直面か、1,100万人以上の米国人たちが家賃を滞納している。そして、全国的な立ち退き強制禁止期間が期限切れとなる6月に、多くが自宅から追い出されるかも知れない。

CDCの立ち退き猶予9月から実施されていたが、6月30日に失効する。

立ち退き率は州によってバラツキが出る見込みだ。

例えば、予算と政策優先センターによれば、フロリダ州やサウスカロライナ州では賃貸者の4人に1人が家賃を滞納しているのに対し、メーン州やケンタッキー州では6%にとどまっている。

出典:Millions of Americans could face eviction as housing protection expires in June(2021年5月31日配信)

フルタイムで週に40時間働いてもホームレスになるとすれば、条件の合わない求人に応じることはできない。

米連銀の金融緩和でますます住宅価格が上がるとすれば、これ以上の労働市場の改善はむしろ望み薄になってくる可能性がある。

物価上昇に苦しむ低所得者、報酬が上がり続けるCEO
資産運用会社のブラックロックは、インフレ率の上昇を受け、9月からすべての従業員のベースサラリーを8%引き上げると報道された。状況次第では2022年初めにも追加で賃上げを行うという。

一方で、一般の米大企業の従業員たちはそこまで恵まれてはいない。

S&P500企業のCEOの平均報酬は昨年、平均的な労働者の給与の299倍だったと、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議が年次「役員報酬監視」報告書で発表した。

CEOたちは平均報酬総額1550万ドルを受け取った。過去10年間で毎年26万ドル以上の報酬増だった。その一方で、2020年の生産部門と非管理職の労働者の平均所得は4万3,512ドルで、過去10年間で毎年ほんの957ドルの上昇だった。

出典:Millions of Americans could face eviction as housing protection expires in June(2021年7月15日配信)

バイデン政権は大規模な財政出動の財源を賄うため、大企業や富裕層に増税を課すことはあっても、低中所得層に負担を強いることはないと公言してきた。しかし、賃金の上昇が物価の上昇に追いつかず、明日の住居、明日の生活に脅える人々が急増している。

このことは、大規模な政府の財政出動や中央銀行の金融緩和を「事実上」負担しているのは、低中所得者層であることを強く示唆している。

26. 2021年8月03日 03:57:55 : BTQjMJokpg : dDk5YjkvNHovTE0=[14] 報告
絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
2021年8月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681


2021年第2四半期のGDP速報値が発表され、実質GDP成長率は6.5%(前期比年率、以下同じ)となった。第1四半期の6.3%から少し加速した形となる。

実質GDPはコロナ前の水準を突破

アメリカでは物価高騰が懸念される中、今やGDP成長率よりもインフレ率の方が大切な統計となっているが、GDPの内訳にも投資家に大きな情報を与えてくれるものがある。絶好調に見える全体の数字に騙されてはいけないのである。

順番に見てゆくが、先ずは実質GDP全体の推移をチャートで見てみよう。成長率ではなくGDPの数値そのもののチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-gdp-chart.png


ついにアメリカのGDPはコロナ前の水準を突破した。

この規模の景気後退がこれだけの速度で回復したのは史上例がないのではないか。これは明らかにコロナ後に行われた現金給付やインフラ投資などの刺激策のお陰である。コロナ初期にジェフリー・ガンドラック氏が過剰と批判した刺激策の結果がこういうものになった。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681


全体の数字だけを見れば絶好調のように思えるアメリカ経済だが、内訳を見れば懸念すべき点がはっきりしてくるのである。

横ばいの個人消費

懸念すべき点とはまず個人消費の動向である。実質個人消費は11.8%の成長となり、前期の11.4%をやや上回る高成長を維持している。

しかし状況はそう楽観できるものではない、GDPの内訳のうち個人消費については四半期ごとではなく月ごとのデータが出ているので、そのチャートを掲載すると次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-real-personal-consumption-expenditures-chart.png


3月に急上昇し、その後4月、5月、6月とほぼ横ばいになっているのが分かるだろうか。

これは何故か? アメリカでは3月にコロナ後3度目となる現金給付が行われたからである。そしてその後は伸び悩んでいる。第2四半期は4月から6月なので第1四半期の1月から3月に比べて成長率は高い数字になるが、月次のチャートを見ればその後の成長がないことが読み取れる。

減速する投資

見ての通り個人消費は明らかに現金給付頼みである。それが弾切れになると何故まずいのか。企業投資が縮小し続けているからである。

実質国内民間総投資は-3.5%のマイナス成長となり、年末のピークから更に下降した。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-real-gross-private-domestic-investment-chart.png


チャートが下を向いている。

原因はいくつかあるだろう。コロナで状況を見通しにくい中で企業が設備投資を渋っている。特にリモートワークが主流になると物理的な施設が必要ではなくなり、設備投資をするにしてもその金額は減るだろう。

しかし一番の理由は昨年からの長期金利の上昇かもしれない。企業が設備投資を行うには銀行から融資を受けることが多いが、その金利が上昇すれば企業はお金を借りにくくなる。

ただ、長期金利は春頃から再び下落を始めている。この低金利トレンドが続けば、設備投資もある程度は持ち直す可能性がある。詳しくはスコット・マイナード氏の記事を参考にしてほしい。

マイナード氏が金利予想訂正、長期金利はやはり1%以下に下落へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14417


政府支出も頭打ち

そしてまた重要なのが政府支出・投資である。実質政府支出・投資は-1.5%のマイナス成長となった。しかしチャートを見た方が状況は分かりやすいだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-government-consumption-expenditures-and-gross-investment-chart.png


高水準で推移しているが成長率は鈍い。

政府支出がGDPの直接の構成要素であるため財政出動をすればGDPはその分だけ増加することにはなるが、GDPの成長を維持するためには増加した支出をその後も続けなければならない。そうでなければマイナス成長になってしまう。そして高成長を続けようと思えばどんどん支出を増やさなければならないのである。

それで政府支出による成長率の底上げ効果も、高水準の支出が続いているにも関わらず打ち止めとなっている。現金給付に依存していた個人消費と同じ状況である。

急降下の貿易収支

最後に輸出入だが、元々赤字だったアメリカの輸出入はコロナ後に急降下している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-net-exports-for-goods-and-services-chart.png


現金給付などの刺激策で輸入が増えたのだろう。ガンドラック氏はアメリカの緩和策がアメリカではなく中国を潤していると言っていたが、こういうことである。

ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619


輸出入がアメリカのGDPを底上げすることは期待できそうにない。

結論

ということで、株式市場だけ見れば絶好調のアメリカ経済だが、GDPを内訳まで見ると良いところがまるでないことが分かる。完全に現金給付と低金利に依存しており、現金給付の方は打ち止めとなっている。

ここまで考えると「これ以上ない好景気」だから売りだと主張しているマイナード氏の言い分が分かる。

マイナード氏: 今が売り時だ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14658


そしてガンドラック氏は追加緩和で物価高騰か、追加緩和なしで景気後退かどちらかの選択肢しかないと言っている。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037


アメリカ経済は実際にはかなり満身創痍である。そしてこの状況は、これだけ政府が散財してもドルがまだ下落していないという一点に支えられている。以下はドル円のチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-8-2-usdjpy-chart.png


だがそれもいつまで持つだろうか。

ドルが最後の砦である。ドルが緩和策に反応して下落し始めたら、いくら緩和しても外貨建てで見ればアメリカ経済は沈んでゆく。

レイ・ダリオ氏の言う通り、ドルが下落したらアメリカは終わりなのである。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681

27. 中川隆[-17311] koaQ7Jey 2021年8月10日 15:01:34 : vQyPMzu3FY : NVZsaVNGQzJVQkE=[40] 報告
COVID-19騒動は2020年3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言したところから始まる。

 この国際機関に対する2018年から19年にかけての上位寄付者を見ると、第1位はアメリカ、第2位はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、第3位はイギリス、そして第4位はGaviだ。Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された。活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団は有力メディアのスポンサーでもある。

 要するに、WHOは西側の強大な私的権力の強い影響下にある。そうした私的権力の広報的な役割を果たしているWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2020年6月、COVID-19を利用して資本主義を大々的に「リセット」するとしている。

 2020年12月にはバチカンを巻き込み、「​包括的資本主義会議​」を発足させた。この会議で看板的な役割を果たしている人物はリン・フォレスター・ド・ロスチャイルド。ロンドンを拠点とするNMロスチャイルド銀行の取り仕切ってきたエベリン・ド・ロスチャイルドの3番目の妻だ。ふたりは1998年のビルダーバーグ・グループの会議でヘンリー・キッシンジャーに紹介されて知り合い、2000年に結婚、新婚旅行の際にクリントン夫妻からホワイトハウスへ招待されている。

 こうした私的権力の構成員はいずれも富豪だが、​ATF(税の公正さを求めるアメリカ人)​によると、COVID-19のパンデミックが宣言されてから昨年12月7日までの間に651人の富豪が保有する財産の勝ちは1兆ドル以上増えて4兆ドルに達した。

 財産が急増した理由のひとつは相場が上昇し、金融資産の評価額が増えたこと。製造やサービスを生業にしている人びとは苦境に陥り、倒産が増えれば金融で生きている人びとは安値で手に入れることができる。

 金融資本の実働部隊として注目されているのはブラックロック、バンガード、ステート・ストリートをはじめとする「闇の銀行」。金融業者だが、銀行のような規制は受けない会社だ。1970年代から始まった金融規制の大幅な緩和によって誕生、この3社が大株主になっている会社はアメリカの主要500社の9割に近いという。

 この私的権力は経済システムを破壊するだけでなく、社会を収容所化しようとしている。そのために「ロックダウン(監禁策)」や「自粛」が使われた。

 こうした政策によって生産活動や商業活動は麻痺し、企業や商店の経営は悪化した。倒産が増え、必然的に失業者が増え、ホームレス、そして自殺者を増加させることになる。働き、集うことが「ノーマル」ではなくなり、公的な情報を知る権利、あるいは表現する自由などが奪われつつあり、「デジタル・パスポート」を携帯させ、国境を越えて人間を集中管理しようとしている。

 彼らの計画はそこにとどまらない。クラウス・シュワブは​2016年1月にスイスのテレビ番組で話をしている​のだが、その中で彼はマイクロチップで人びとを管理する計画を疲労している。最初は服、さらに皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202108090000/

28. 中川隆[-16827] koaQ7Jey 2021年8月27日 04:46:23 : uPBhgG61YE : Q29mZlM4WkdxRE0=[4] 報告
ガンドラック氏: 立ち退き猶予失効で賃料爆上げ、インフレ加速へ
2021年8月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15092


DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が既に高止まりしているアメリカのインフレ率が更に上がると主張している。Yahoo! Financeが伝えている。

アメリカのインフレ

コロナ禍でアメリカでは膨大な現金給付が行われ、アメリカでは物価が上がっているが、現在のところ短期的な減速状態にある。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14848


3月の現金給付の短期的影響が剥がれつつあるからである。この傾向は数ヶ月続くだろう。

減速するインフレ率にもかかわらず、ガンドラック氏はインフレ予想を崩していない。また、あるいはインフレが減速するならば経済成長率はもっと減速するだろうというのがガンドラック氏の予想である。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037


ガンドラック氏はコロナ対策として政府によって行われている失業保険の拡充を批判している。

何処へ行ってどんな職業の人に聞いても、労働者を確保するのが難しいと言う。当然だ。みな失業することによって給料かそれ以上のお金を得ているのだから。政府がそれを支援している。

失業保険が手厚すぎるのである。そしてアメリカ経済にとってもう1つの急所が立ち退き猶予である。

アメリカの立ち退き猶予

現在、アメリカでは家賃を払えない人々に対する立ち退き要請が一部禁止されている。つまり、借り主が家賃を払えない場合にも家主が立ち退き要請を行うことが出来ない。

しかも奇妙なことに、この禁止を行なっているのがCDC(米国疾病対策センター)である。日本で言えば、尾身会長率いるコロナ分科会が家主の財産権を制限したようなものである。

実はこの命令には法的根拠がなく裁判所も合法性を疑問視しているが、裁判所はバイデン大統領からの黙認要請を受けて禁止を継続させている。

当然ながら家主からは猛反発を受けており、訴訟も行われているが裁判所はバイデン氏の言いなりである。日経新聞には「Housing is a human right(居住は人権)」と書かれた紙を持ったデモの人々の写真が掲載されている。アメリカ民主党は基本的に、自分では何もしないが自分の権利だけは要求する人々で出来ている。

さて、この状況が経済にとって何を意味するか? ガンドラック氏は次のように述べている。

景気刺激策や立ち退き猶予が終わる時、経済には途方もない歪みが生じることになる。立ち退き猶予が終わる時にはあらゆる結果が生じるだろう。家賃は高騰する。

アメリカの住宅市場はもう既にバブル状態である。

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14575


しかしガンドラック氏によれば、立ち退き猶予が終わればここから更に家賃の高騰が始まる。賃金を払わない借り主が立ち退いて、払える借り主が入ってくるからである。

それは当然ながらインフレを押し上げる。一方で、失業保険の拡充が終われば人々は仕事に戻るだろうが、アメリカ全体の限られた賃金の量をより多くの人々で奪い合うことになる。失業者の数は減るが、限られたパイを奪い合うようになるため消費が減ってデフレになるだろう。

結論

現在、アメリカ経済には相反するように見える2つの力が働いている。1つはインフレ圧力であり、もう1つはデフレと景気後退の圧力である。

これらは一見相反しているように見える。その結果が一時的に減速しているインフレ率である。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14848


しかしこの2つの圧力には1つ共通することがある。両方とも経済にとってはマイナスであるということである。

GDP速報でも報じた通り、刺激策によって数字の上では絶好調に見えるアメリカ経済は実際にはかなり危うい状況にある。刺激策がなくなればかなりのスピードで空中分解することになるだろう。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681


ガンドラック氏は次のように述べている。

政府は虎の尾を掴んでいる。だから今のところは引っかかれたり襲われたりはしていない。しかしひとたび虎の尾を離せば、間違いなく襲われるだろう。それが起きようとしている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15092  

29. 中川隆[-16766] koaQ7Jey 2021年8月28日 14:06:54 : pOtbpYEQOg : ZnRVRVNBUXpBWTY=[44] 報告
既に停滞しているアメリカのマネーサプライ
2021年8月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15116


コロナ後の景気回復と株高の要因を色々な観点から解説することはできる。しかし1つだけ原因を挙げろと言われれば、マネーサプライの増加と答えるだろう。

マネーサプライ

現金給付などあらゆる緩和策の成果はこの指標1つに集約される。マネーサプライである。マネーサプライとは、発行されている紙幣と硬貨に、企業や消費者が銀行口座に保有している金額を合わせたものである。

量的緩和で直接操作できるマネタリーベースは紙幣と硬貨に銀行が中央銀行に預けている資金を足したものであり、企業や消費者が直接引き出せる金額とは異なる。マネーサプライは直接経済に投入されうる資金の総額なのである。

本来、どれだけ緩和してもインフレにはならないというのが経済界の共通認識だった。事実、どれだけ量的緩和を行なっても、マネタリーベースは増えてもマネーサプライは増えなかった。

しかし逆に言えば、これまでインフレにならなかったのは、マネーサプライが上がらなかったからだと言える。しかしコロナ後の現金給付で消費者の口座に現金が直接振り込まれた結果、マネーサプライが上昇した。そして先進国では久々のインフレとなったのである。

サマーズ氏が今後3%のインフレ率が定着するプロセスを説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14895

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14575


現金給付終了後のマネーサプライ

しかし3回行われたアメリカの現金給付は3月を最後に打ち止めとなっている。マネーサプライがインフレの原因であったならば、マネーサプライが今後のインフレを決定するということになる。

そこで今回はマネーサプライの現状を見てみたいと思う。マネーサプライのチャートは次のようになっている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-aug-us-m2-money-stock-chart.png


コロナ後に大きく伸びている。これは1回目の現金給付である。その後年末および3月の現金給付で更に伸びて、その後は多少落ち着いている。

勿論高止まりはしているのだが、重要なのは伸び率である。この3月の再上昇より後の伸び率は、果たしてコロナ前の伸び率と比べてどうなのだろうか? それほど急角度で上昇しているようには見えない。

そこでこのデータを週次から月次にし、前月比年率の上昇率をチャートにして表示すると次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-aug-us-m2-money-stock-growth-chart.png


3月の現金給付によって3月と4月が上向いたあと、5月、6月、7月の上昇率は1.3%、7.0%、7.5%となっている。コロナ前の2019年後半の数字は10%前後だったので、この数字はここ数ヶ月のマネーサプライの上昇率がコロナ前よりも低い水準になっていることを示している。

マネーサプライと株価とインフレ

最近のアメリカの経済指標は調子が良くない。個人消費の先行指標である小売店売上高が減速していることは以前報じた通りである。

7月米小売店売上高はマイナス成長続く 追加緩和なしには景気後退か
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15015


小売店売上高とマネーサプライは、両方とも追加緩和なしにはアメリカ経済が沈んでゆくことを示唆している。

問題は不況でデフレなのか、不況でインフレなのかである。インフレについては強気と弱気両方の意見がある。

ガンドラック氏: 立ち退き猶予失効で賃料爆上げ、インフレ加速へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15092

サマーズ氏が今後3%のインフレ率が定着するプロセスを説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14895

マイナード氏: インフレは一時的で続かない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14005


これはなかなか難しい問題だが、小売店売上高とマネーサプライはデフレを示しているように見える。

結論

最終的なシナリオは変わらないのである。ただ、経済が一度沈んでから追加緩和があり物価高騰になるのか、追加緩和なしでも物価高騰になるのかの違いである。

しかしやはり当分はデフレシナリオが続きそうな気はしている。レイ・ダリオ氏やジョージ・ソロス氏らはデフレに備えたポートフォリオを組んでいたので、そちらも参考にしてもらいたい。

世界最大のヘッジファンド、米国株を大幅買い増し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14919

ジョージ・ソロス氏も米国株買い増し ビットコインで大儲けか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14943

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15116

30. 中川隆[-16705] koaQ7Jey 2021年8月30日 08:07:11 : 8AEwqZnhmE : WlBlQUpoZDhFMHc=[5] 報告
7月米小売店売上高はマイナス成長続く 追加緩和なしには景気後退か
2021年8月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15015

さて、Form 13Fの話が続いたが、今回はアメリカの消費を占う先行指標である小売店売上高を取り上げよう。

小売店売上高

小売店売上高はアメリカの消費に関する最速の指標の1つである。GDPの直接の構成要素である個人消費のデータは毎月発表されるが、月の終わりから1ヶ月ほど経ってからしか発表されない。

一方で個人消費のうち小売店で売られているもの(サービスなどを除く)の統計である小売店売上高は月末から半月ほどで発表されるため、アメリカの消費者の動向をいち早く知ることが出来る指標なのである。

現在はやはり小売店売上高のデータが重要な状況だと言える。これまで進んできたインフレが、半導体不足による自動車価格の高騰などの短期要因が剥落するにつれて後退しているからである。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
インフレが後退しているにもかかわらず経済成長が落ちないならば、何も言うことはない。高成長の時代である。

しかしインフレと同時に経済成長も後退しなければならないならば、やはり追加緩和が来るということである。そのシナリオに向けて経済が進んでいる(あるいは後退している)かどうかを知るためには、やはり小売店売上高を見なければならない。

減速続く小売店売上高

しかしここの読者には結果はある程度予想出来てしまうだろう。7月の実質小売店売上高は前月比年率で-17.5%のマイナス成長となり、4月のピークから更なる後退となった。チャートは分かりやすいように成長率ではなく実際の数字を載せている。


この小売店売上高のチャートは以前スタンレー・ドラッケンミラー氏が経済過熱の証拠として上げていたものである。

ドラッケンミラー氏: 緩和終了でバブル終了へ
元々景気刺激策の名目は何だったか? コロナ禍で経済に空いた穴を埋めるためのものだったはずである。しかし上記のチャートを見て分かる通り、2020年前半に小売店売上高に空いた穴は早々と塞がれた上に、元々のトレンドラインを大きく超えて上方向に上昇していた。

この上昇はアメリカでは3回も行われた現金給付が原因である。そして現金給付は今年3月のものを最後に打ち止めとなっている。だから小売店売上高は4月をピークに下落しているのである。

現金給付で無理矢理上げたものは、現金給付がなければ元の水準に戻ると考えるのが妥当だろう。そう考えれば今回の小売店売上高の下落はまだまだ初動に過ぎないことが分かる。CPI(消費者物価指数)と同じように、ここから数ヶ月は逆風が吹くことになる。

景気はどこまで落ち込むか

投資家にとっては考えなければならないことがいくつかある。先ずはこの現金給付のあとの失速によってアメリカ経済が何処まで落ち込むかということである。

現在、アメリカの実質GDPは数字だけ見れば年率6.5%の成長と絶好調の状態にある。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
しかし小売店売上高のチャートが元の水準に戻るとすれば、ここからかなりの逆風がアメリカ経済を待ち受けているということになる。

問題は来年の経済成長がどうなるかということである。問題は勿論、6.5%の経済成長が維持できるかどうかなどではない。むしろ、現金給付で持ち上げられた今年の高いGDPを来年のGDPは上回ることが出来るのだろうか? 上回ることが出来なければ、当然ながら定義上景気後退ということになる。

現在、中央銀行がテーパリング(量的緩和縮小)を示唆しているにもかかわらず、アメリカの長期金利が低下している。


この動きはここからの景気減速を事前に織り込んでいるものではないか。

このトレンドを見事に的中させた債券投資家のスコット・マイナード氏は、長期金利は1%以下にまで下がると予想している。

マイナード氏が金利予想訂正、長期金利はやはり1%以下に下落へ
そして同じく債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏も同じようなシナリオを予想していた。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
追加緩和が来るまで、アメリカ経済は暗い数か月を過ごすことになりそうである。機関投資家たちは、低金利で恩恵を受ける銘柄に投資している。

世界最大のヘッジファンド、米国株を大幅買い増し
ジョージ・ソロス氏も米国株買い増し ビットコインで大儲けか

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15015

ガンドラック氏: 緩和継続ならゴールドよりビットコイン
2021年8月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15078


引き続きYahoo! FinanceによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は金相場と暗号通貨について語っている部分を紹介する。

アメリカの量的緩和

コロナ以後、アメリカでは強力な量的緩和が続いているが、最近のアメリカにおける物価上昇を受けてFed(連邦準備制度)の委員たちはテーパリング(量的緩和縮小)を考え始めている。

パウエル議長に反旗を翻し始めた連銀総裁たち
ついにカシュカリ氏までテーパリングを支持
これまで株価を高く保っていた片翼がコロナ禍における現金給付であるとすれば、もう片翼は金融緩和だろう。それが少なくとも緩和縮小されそうである。これについてガンドラック氏は次のように述べている。

Fedがテーパリングを開始するかもしれないという噂がある。

しかし少なくとも量的緩和が行われている間は金利は非常に低い水準に保たれるだろう。CPI(訳注:消費者物価指数)が全体で5.4%、コア4.3%で上昇する中、実質金利は1970年代のジミー・カーターの時代に匹敵するマイナスとなっている。どちらの数字を取るにしても、実質金利は-3%か-4%ということになる。

ガンドラック氏が注目するのは名目金利からインフレ率を引いた実質金利である。金利が名目で高くとも、インフレ率も高ければ、実質金利は低くなる。そして経済に実際に影響を与えるのは実質金利である。

アメリカの実質金利(市場の予想値)は次のように推移している。


実質金利は低く保たれるのか

インフレ懸念でテーパリングだとは言っても、実質金利まで上がるとは限らない。インフレが上がる分だけ金利を上昇させるだけで済めば、実質金利には影響しないということになる。

少なくとも上のチャートを見る限り、状況はまだまだ十分に緩和的である。そしてインフレ率も上がっている。にもかかわらず調子の悪い資産クラスがある。ゴールドである。

ガンドラック氏は金相場について次のように語っている。

金価格は1,800ドルで停滞しているようだ。今われわれが話している現在、価格は丁度1,800ドル近辺だろう。一度2,000ドルまで上がって諦めた。およそ1年前のことだ。そして今、1,750ドルから1,850ドルの間を右往左往している。

金価格は現在次のように推移している。


金価格の停滞については、最近の短期的反発の前の記事だが、その反発の理由も含めて以下の記事で既に説明してある。

金価格急落の理由と今後の推移予想
しかしガンドラック氏はゴールドが他の資産に需要を吸い取られているのだと言う。ビットコインである。

緩和銘柄ビットコイン

ガンドラック氏はビットコインについて次のように話している。

ビットコインは過激なジェットコースターのような動きをしている。しかし長期的には大きく上昇した資産だ。この動きは政府が現金給付を行なって景気刺激したことが原因だろう。そして現金を受け取った人々は、恐らくゴールドを買うよりもビットコインを買うことになる。

だから景気刺激が暗号通貨の相対的パフォーマンスを決定する要因だ。

ガンドラック氏は以前よりビットコインを市場に注ぎ込まれている資金のバロメーターとして扱っている。ビットコインが上昇している間は市場に資金が溢れており、枯渇し始めるとビットコインが下落するということである。

そしてそのビットコインは次のように推移している。


どうも市場に資金は枯渇していないようだ。4月からのビットコイン急落を的中させたスコット・マイナード氏は、ビットコインは更に下がると言っていたが、これは残念ながら的中していない。

マイナード氏: ビットコインはここから更に半分以上下がる (2021/7/1)
そして最近のビットコイン下落のなか暗躍していたSoros Fund Managementにとっては大きな勝利となったようだ。

ソロスファンド、暴落中のビットコインをトレード開始 (2021/7/5)
両方とも同じ時期の報道である。

結論

金価格とビットコインのチャートを見比べると、ガンドラック氏の言う通りやはりビットコインが勝っているように見える。コロナで落ち込んだ経済を緩和で無理矢理持ち上げる相場においては、ゴールドより暗号通貨が向いているのかもしれない。

一方でガンドラック氏はビットコインを保有しているかどうかを聞かれて、次のように答えている。

持っていない。わたしにはリスキー過ぎる。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15078

31. 2021年9月05日 00:53:02 : mEmbBb0uLI : TmFqTk9kSFR4dVU=[2] 報告
低調な雇用統計、テーパリング懸念後退で金利上昇となった理由
2021https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15181

年9月4日 GLOBALMACRORESEARCH

注目していた読者も多いと思うが、9月3日に米国の8月分の雇用統計が発表された。失業率は5.2%(7月は5.4%)と悪くなかったが、問題は非農業部門労働者数である。

低調だった雇用統計

非農業部門労働者数は前月比23万5,000人増となり、予想の72万8,000人を大きく下回った。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-aug-us-all-employees-total-nonfarm-chart.png


GDPや個人消費が数字の上ではコロナ前の水準を上回っている一方で、労働者の数は以前の水準にまったく達しておらず、増加スピードは鈍化しているというのが今回の雇用統計の結果である。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP


個人消費のチャートをもう一度掲載してみれば、その違いが分かりやすいだろう。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-jul-us-real-persona-consumption-expenditures-chart.png

これはどういうことか。労働者は職場に戻っておらず、コロナ対策で大量にばら撒かれた現金給付や失業保険などの資金でコロナ前以上に消費しているということである。

これこそがアメリカで起こっているインフレの原因である。労働者が戻っていないということは、製品やサービスが生産されないということである。供給は限られ、需要はばら撒かれた現金によって強引に増やされている。

供給過少と需要過剰の結果は、当然ながら物価上昇である。まさにジェフリー・ガンドラック氏の予想通りの展開となっている。

ガンドラック氏: 現金給付と失業保険が失業を悪化させる
雇用統計と9月FOMC会合

今回の低調な雇用統計は明らかにアメリカにおけるデルタ株の流行が原因である。日本と同じくアメリカでも感染者数が増えており、職探しを延期した人も多かったのだろう。

ここで問題となるのがFed(連邦準備制度)の動きである。Fedはインフレを抑えるためにテーパリング(量的緩和縮小)を行おうとしており、何人かの連銀総裁らは今月のFOMC会合でのテーパリング発表を支持している。

連銀総裁らが次々に9月のテーパリング発表を支持 パウエル氏に反乱
しかしその内の何人かは今回の雇用統計が良い結果になることを条件に9月発表を支持していた。例えばアトランタ連銀総裁のボスティック氏は次のように述べていた。

8月の雇用の伸びが6月、7月並みの100万人近くになれば、10月というタイミングは適当だろうと思う。

10月開始、つまり9月発表である。しかし今回の雇用統計は100万人に大きく届かなかった。

また、ウォラー理事も次のように言っていた。

秋の初めにはテーパリングを開始したい。来年まで待つ理由は見当たらない。来週の雇用統計で非常に悪い数字でも出れば話は別だが、そういう状況も予想していない。

今回の数字が「非常に悪い」かどうかは彼次第だが、かなり悪いことは間違いがない。

以前よりテーパリングを支持していたブラード氏やカプラン氏はそれでもテーパリングを主張するかもしれないが、上記の2人はこれで年末まで待つ方向に動くかもしれない。またもやスコット・マイナード氏の予想が当たる方向に向かっている。

マイナード氏: 9月のテーパリング発表は起こらない
市場の反応

さて、低調な雇用統計を受けて金融市場はどう動いたか? まずアメリカの長期金利だが、面白いことに発表を受けて上昇した。


早期のテーパリング懸念が後退したにもかかわらずである。これもマイナード氏によって予想されていたことだが、奇妙なことにアメリカの長期金利はテーパリングを下落要因として動いている。

これは債券市場がアメリカ経済をかなり悲観していることを意味している。テーパリングが行われれば経済成長もインフレも両方沈んでゆく、一方でテーパリングが延期されればバブルが続き、物価が高騰するということである。どちらに転んでもどうしようもないアメリカ経済の現状を象徴した動きである。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
そして金価格はどうなったかと言えば、テーパリング懸念後退を受けて素直に上昇している。


テーパリングが金価格に及ぼす悪影響については以下の記事で説明した上で、ここ数ヶ月に関してはトレンドが逆転するということもそれぞれ事前に説明済みである。

金相場はテーパリングで暴落するか? 価格の推移予想と見通し
金価格急落の理由と今後の推移予想
そして同じようにドル円も下落している。


アメリカ経済の減速懸念についてはドル円の売りが有効であるということも既に説明済みである。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
特に株式を買い持ちにしている投資家には、ドル円の売りは株価下落時の良いリスクヘッジになってくれるだろう。

以上のように状況は大体予想通りに進んでいる。そろそろ数ヶ月のデフレ相場を抜けた後にどうなるかを真剣に考え始めるべきなのだろう。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15181

32. 中川隆[-16569] koaQ7Jey 2021年9月06日 01:51:44 : tQG9jXw8Tg : UzB3NWlzNFdDRE0=[5] 報告
長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
2021年9月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210

アメリカではテーパリング(量的緩和縮小)が始まろうとしている。金融緩和と財政出動で株価と経済を押し上げた流動性相場が終わり、別の新たな相場が始まろうとしている。

催促相場の始まり

この新たな相場の1つの特徴はドルが上がりにくくなることである。直ちに下がるとは言わないが、以下の記事ではトランプ相場の例を挙げ、流動性相場ではドルが上がるがその後の催促相場(市場が「緩和なしでは駄目だ」と言い始める相場)ではドルが上がりにくいことを説明した。


ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ

では金利はどうなるだろうか? アメリカの長期金利はテーパリングが噂された春頃から下がり始めたものの、8月からは小反発している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-9-4-us-10-year-treasury-yield-chart.png

これまで金利を低く抑えてきた量的緩和を縮小するテーパリング予想で金利が下がった。しかし最近の経済統計で経済活動が鈍化している状況が確認されるとテーパリングが先延ばしにされると観測され、金利は逆に上昇した。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
低調な雇用統計、テーパリング懸念後退で金利上昇となった理由

実体経済の様子


これが現在の状況である。テーパリングが行われるのは、当然ながらコロナ禍で行われた現金給付などの刺激策がアメリカで物価高騰を引き起こしているからである。

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
一方で個人消費などの経済活動は、刺激策がなければアメリカ経済は成長しないというシナリオを支持している。個人消費は今年3月の現金給付で跳ね上がって以降、横ばいを続けている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-jul-us-real-persona-consumption-expenditures-chart-1.png

4月以降の横ばいのチャートが、緩和がない場合のアメリカ経済の姿である。

米国政府はどうするだろうか? 緩和がなければ、実体経済は恐らく2022年には横ばいか、悪ければマイナス成長となるだろう。

しかし現金給付などの緩和を行えば、ただでさえ高騰している住宅価格は手が付けられないほど上昇し、アメリカ国民はインフレに苦しむだろう。

金利の推移見通し

長期金利がテーパリングで下がっているのはそれが理由である。債券市場は緩和を撤回すると実体経済が沈むということを理解している。そして緩和を続けるとインフレが止まらなくなることも理解している。だからテーパリング懸念で金利低下、テーパリング延期で金利上昇なのである。

だからその両方のシナリオを考えてみよう。テーパリングが強行され、利上げが行われる場合、アメリカ経済は高い確率でそれに耐えられない。短期金利が利上げに連動して上がる一方で、長期金利はそれほど上がらないか、むしろ下がってゆくだろう。

ではテーパリングと利上げがそれほど進まず、緩和的な環境が続く場合はどうか? この場合は物価の高騰が進み、短期的には長期金利は上昇するものの、最後には中央銀行は利上げでインフレに対応しなければならなくなり、その引き締めは今すぐ引き締めした場合よりも苛酷なものになるだろう。

こうした場合、債券投資家によく知られている結末は、長短金利差の縮小である。つまり、利上げによって短期金利は上がらざるを得ないが、長期金利は利上げと景気後退の両方の影響を受けるので、短期金利ほどは上がることが出来ないのである。

長短金利差の縮小

上記の考察により、どちらの場合にも最終的には長期金利は短期金利よりも上がらない、つまり長短金利差が縮小するという結論が得られた。これはインフレシナリオにもデフレシナリオにも対応できる投資戦略である。

典型的なのはアメリカで物価が高騰した1980年前後の状況である。インフレ率が15%以上を記録する中で長期金利も高騰した時代だが、短期金利と比較すると長期金利はむしろ大幅に下がった。つまり、長短金利差は縮小した。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-9-5-us-10-year-treasury-yield-minus-2-year-treasury-yield-chart.png


チャートを見ての通り、1980年前後には長短金利差は縮小するだけでなくマイナスになり、長期金利より短期金利の方が高い状況が続いている。

つまり、インフレシナリオになる場合、(金利と債券価格は逆相関なので、)短期国債を売って長期国債を買えば、短期金利上昇と長期金利低下の恩恵を受けられるということである。この場合、恐らく1980年と同様の長短金利差逆転が起きると筆者は推測している。

では引き締め政策でデフレシナリオになる場合はどうだろうか? その場合はこれまで投資家が長らく慣れてきた相場、つまりゼロ金利相場に戻ることになるだろう。短期金利も長期金利もゼロになる。現在の長短金利差は1%なので、金利差の下落余地は大いにあるということである。

結論

短期的には考えることが様々あるが、中長期的にはこのシナリオは不可避であるように思える。そしてこのシナリオは市場にまだ織り込まれていない、投資家に利益のチャンスがあるシナリオである。

現在、金融市場は緩和をして経済が浮揚して何の副作用もないという夢のようなシナリオを信じている。しかしその夢が崩れる時は確実に近づいている。

レイ・ダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏であれば、その副作用とは将来のドル下落だと言うだろう。

世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
ガンドラック氏: ドル暴落は何年かの内に 米国株から避難せよ
あるいはスコット・マイナード氏であれば金価格の高騰だと言うかもしれない。

マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
しかし著名投資家もあまり注目していない第3の副作用が存在する。長短金利差の縮小である。

このトレードはもはやあとはタイミングだけの問題であるように思える。ドルの推移予想についても以下の記事で書いているので、そちらも参考にしてもらいたい。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210

33. 2021年9月19日 14:17:04 : JK0s8EymKE : NENTTXVIUHJIUWs=[17] 報告
ガンドラック氏: 量的緩和はデフレの原因
2021年9月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15537

アメリカのインフレとその後のインフレ減速を見事予想したDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がValuetainmentのインタビューで政府の緩和政策と物価の関係について議論しているので紹介したい。

量的緩和がデフレを生む

先進国は長年量的緩和を行なってきた。コロナ後はそれに加えて政府は現金給付を行なった。日本でも10万円が給付されたが、アメリカではその3倍以上の金額が給付されている。

量的緩和政策は中央銀行が紙幣を印刷して債券などを買い上げる政策である。債券とは国や企業の借金を証券化したものであり、アメリカでは倒産リスクのある企業の債券であるジャンク債さえも中央銀行が買っている。

一般的には量的緩和は紙幣を無制限に印刷するためインフレを生むのではないかと言われている。しかしガンドラック氏の意見は逆である。彼は量的緩和の是非を聞かれ、次のように答えている。

短期的には良いことだと言えるかもしれない。だが長期的には債務には新陳代謝が必要だ。ゾンビ企業、非効率な企業を退場させる必要がある。だが、緩和のお陰でそれが起こらない。

これはデフレの一因だと言える。供給が過剰なのだから理屈が通るだろう。

市場経済では消費者の望む商品を作らない企業は淘汰される。しかしそれを政府が人為的に妨げると、消費者の望まないものを作り続けるゾンビ企業がどんどん増えることになる。

経済学では価格は需要と供給の兼ね合いで決まり、ゾンビ企業を生かすということは経済の供給(しかも不要な供給)を増やし続けるということである。供給の増加は当然ながら価格を押し下げる。つまりデフレになるのである。

デフレがインフレになる瞬間

しかし現在アメリカで懸念されているのはインフレであり、デフレではない。アメリカではコロナ禍で大量の現金給付を行なった結果、物価が上昇している。デフレが問題だったはずがいつの間にかインフレになっている。

それは何故か? 量的緩和を長年続けるとデフレと低成長が実現する。消費者の望まないものを作り続ける企業が増え続けるのだから当然である。インフレになる前に緩和は終了し、それで問題がないと人々は考える。

しかしそこにコロナショックのような衝撃が加わり深刻な景気後退に陥ると、インフレを引き起こす規模の刺激策なしには経済成長を支えられなくなる。インフレが起こると分かっていても緩和で経済を支えなければならなくなる状況に陥るのである。

ガンドラック氏は次のように続けている。

しかしこれほどの現金をばら撒いた場合、消費がデフレ圧力に打ち勝ってしまう。

この状況に陥った経済は急激なデフレと急激なインフレを行き来する非常に不安定な状態となる。緩和を止めれば急激なデフレになり、緩和をすれば急激なインフレになるからである。

まさにこれが現在のアメリカ経済の状況である。アメリカでは3回行われた現金給付が今年3月を最後に途絶えると、アメリカ経済は途端にデフレに向かい始めている。

予想通り減速の8月米インフレ率、デフレ相場に中国の不動産バブル崩壊の追い打ちか
もうアメリカには選択肢が2つしかない。緩和を続けて物価高騰を受け入れるか、緩和を止めて不況を受け入れるかである。

この状況は短期的にはコロナだが、長期的には量的緩和が作り出したものである。量的緩和によるデフレと低成長がなければ、コロナ禍も経済的にはこれほど酷くはならなかっただろうからである。

新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
量的緩和政策のそもそもの原因

そもそも何故量的緩和政策が行われたのだろうか? 量的緩和政策とは基本的に貸し手より借り手に有利な政策である。金利を押し下げることで莫大な借金を背負っている借り手は利払い義務が軽減される。

一方で貸し手はお金を貸しても金利が得られない状況に陥る。得られないどころか、銀行にお金を預けるとむしろ手数料を取られるというのが貸し手が置かれている状況である。

ここで考えてみてほしいのだが、経済における最大の借り手とは誰だろうか? 政府である。そして貸し手とは誰だろうか? 国民なのである。

つまり、量的緩和政策とは経済最大の借り手である政府が、貸し手である国民を犠牲にして自分を利する政策なのである。こうすることで政府は莫大な借金を背負っても、東京オリンピックやGO TOトラベルなどの政策で自分の支援者に金をばら撒くことが出来る。

そして奇妙なことに何も知らない大半の国民は無邪気にもそれを支持しているのである。人々が自分の置かれた状況についてどれだけ何も知らないかである。

量的緩和危機と中国恒大集団

ガンドラック氏のこのインタビューはある意味ではタイムリーである。何故ならば、非効率なビジネスを生かし続けた結果が、いま中国でGDP2%分の負債を抱えて破綻しかけている恒大集団だからである。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
中国もまた消費者の望まないものを作り続ける企業を長い間野放しにしてきた。しかし報道によれば中国共産党は恒大集団を救済しない可能性が高いらしい。中国共産党傘下の環球時報は次のように主張している。

恒大集団は『大きすぎて潰せない』の原則に基づく政府による救済を期待すべきではない。

これは中国共産党がアメリカとは違う方向に舵を切ったことを意味する。不況か物価高騰か選べと言われたら、米国政府は迷わず物価高騰を選ぶだろう。

しかし少なくとも現状では中国共産党はゾンビ企業の末路を市場経済に委ねたように見える。一方で、どの企業が生き残るべきかを消費者ではなく政府が決定する量的緩和は共産主義の定義そのものである。

結論

以下の記事で説明した通り、中国政府の選択は短期的には中国の不動産バブル崩壊というかなり大規模な経済危機を引き起こす恐れがある。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
しかしそれがなければ、中国も(そして日本も)いずれ現在のアメリカのような状況に陥るだろう。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
中国共産党はゾンビ企業の始末を市場に委ねようとしている。この意味では中国共産党は量的緩和を推進する日本の自民党よりよほど資本主義的である。

一方で、日本を含め多くの先進国の政治家は票田にばら撒くための政府予算にしがみつくためだけに緩和政策に執着している。増税と量的緩和という社会主義政策を推し進める政党を保守と呼んではならない。彼らは左翼である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15537

34. 2021年9月21日 04:57:01 : ZgWVSspngo : MUExTnU5T2lJaGs=[5] 報告
ガンドラック氏: 永遠に追加緩和か、景気後退か
2021年9月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15663


中国恒大集団のニュースと交互になっているが、引き続きValuetainmentによる債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。

日本を見てみろ

日本やアメリカなどの先進国政府は多額の負債を抱えている。その負債はコロナ禍で更に膨張した。これまではいくら緩和しても何も問題が起こらないかのように見えたが、アメリカで3回行われた現金給付によってアメリカの物価はついに上がり始めた。

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
債券の専門家であるガンドラック氏はこのことについて次のように述べている。

人々は言う。「日本を見てみろ。負債を心配する必要はない。日本のGDP比負債はアメリカより多い。」金利がゼロだからだ。政治家も最近ようやくこの困難な数学を理解したようだ。ゼロかける100兆は…ゼロだ。

現代マネタリー理論の論者に聞かれたことがある。「GDP比負債を気にする必要があるのか? インフレが起こらない限り、この考え方の何が悪いんだ?」わたしは答えた。「…インフレが起こっている。」

「インフレが起こらない限り」の決め台詞もアメリカではもう駄目になってしまったようだ。しかし何故アメリカでは物価は上昇したのだろうか? 量的緩和で紙幣をいくら印刷しても今のところ日本でインフレが起きていないのは事実である。では日本とアメリカでは何が違ったのか?

物価上昇の理由

1つ目の理由は現金給付である。量的緩和とは印刷した紙幣を使って中央銀行が銀行などから債券を買い上げる政策だが、それは中央銀行と金融業者のやり取りであり、その時点では消費者の懐とは関係のない取引である。銀行の持つ現金は増える(マネタリーベースが増加する)が、消費者や一般企業の預金(マネーサプライ)に影響はない。

しかしアメリカでは日本の3倍以上の規模の現金給付が行われたことで、消費者の銀行口座に直接資金が注入され、消費者が使えるお金(マネーサプライ)が急増してしまったのである。アメリカのマネーサプライのチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-aug-us-m2-money-stock-chart.png


コロナ後に急増していることが分かる。これがインフレを引き起こした原因である。

そしてもう1つの理由は、アメリカ人に貯金がないことである。

アメリカ人は日本人より貧しいのだろうか? 全体で見ればそうではないかもしれない。しかし平均的にそこそこの貯金のある日本人とは違い、貧富の差のおかげで大多数のアメリカ人には貯金がないのである。

アメリカではリボ払いによってクレジットカードの支払い残高を残す設定をデフォルトにしている人も少なくない。後で払えば良いのだから、何故今払わなければならないのかということである。日本人には信じられないがこういうアメリカ人が本当に実在する。彼らは日本の位置を聞かれてインドを指差す人々である。

だから貯金が10万円もないアメリカ人もかなり多い。むしろ支払い残高を含めるとマイナスになっているかもしれない。

ある程度貯金がある人々が10万円を渡されても、まったく使わないか、ある程度は残すだろう。しかしこうした人々が10万円を渡されたらかなりの部分使ってしまうに決まっている。そしてインフレが起こったのである。

使われてしまった紙幣印刷

結局、当たり前の話なのだが、紙幣印刷がインフレを引き起こすかどうかは、刷られた紙幣が使われるかどうかにかかっている。

貯金がある間は紙幣が配られてもそれほどは使われない。しかし問題は、ガンドラック氏によれば量的緩和政策が経済の低成長を引き起こすということである。

ガンドラック氏: 量的緩和はデフレの原因
量的緩和で印刷された紙幣は最初のうちは使われず、インフレも起こらないが経済成長率はじりじりと下がってゆく。結果として経済成長が高かった時代に蓄えた貯金も徐々に減ってくる。そうして貯金がなくなった時に臨界点は訪れ、物価が高騰するのである。

貧富の差と3倍の現金給付のお陰でアメリカはついにそのターニングポイントに到達してしまったようである。現金給付がなければ金がないターニングポイントである。コロナでそうなったわけではない。コロナが最後の後押しをしただけである。

ガンドラック氏は言う。

永遠に緩和し続けなければ、アメリカ経済は景気後退に陥るだろう。

緩和を止めるどころか、緩和を減らすことさえ景気後退なしには出来ないだろう。

その兆候は既に出ている。現金給付が今年3月を最後に途絶えると、アメリカでは既に景気減速の兆しが見られている。

予想通り減速の8月米インフレ率、デフレ相場に中国の不動産バブル崩壊の追い打ちか
現金給付がなくなったので、デフレと低成長へ逆戻りである。そしてそこに中国恒大集団の問題がのしかかってくる。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
恒大集団倒産と中国不動産バブル崩壊で空売りすべき銘柄リスト
恐らくはこのまま進めばアメリカ経済は来年には景気後退に陥るだろう。来年11月には中間選挙があるので、バイデン政権は追加緩和なしで景気後退とデフレよりは、追加緩和の道を選ぶだろう。

しかしその時がアメリカにおける本物の物価高騰の始まりとなる。これまで一時的な上昇に留まった金属や農作物などのコモディティ市場も、もはや留まるところを知らない上昇トレンドに乗ることになる。スコット・マイナード氏の言う「金価格5倍」の世界である。

マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
しかしそれよりも恒大集団と中国の不動産バブルの問題に取り掛かるのが先だろう。それと同時並行でアメリカの短期デフレ相場が続く。

短期デフレ相場に対処するための以下のポジションは、投資家が恒大集団の問題を対処するために役立ってくれるはずである。ドル円と米国債である。こちらの記事も参考にしてもらいたい。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15663

35. 中川隆[-15827] koaQ7Jey 2021年10月25日 23:22:30 : TB9yu1cbVQ : TGVnMUt0dC5KQXc=[41] 報告
ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
2021年10月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629

ブラック・マンデーを予測したことで有名な投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏がCNBCのインタビューでインフレについて語っている。

インフレ危機

ジョーンズ氏は次のように断言する。

今投資家が直面している最大の問題はインフレだ。

Fed(連邦準備制度)がインフレは一時的だと言い張る中でそうではないと言い続けてきたジョーンズ氏だから、今こう発言することに不思議はないだろう。彼はこう続ける。

インフレが一時的ではないことは明らかだ。このまま居座り、間違いなく金融市場に対する脅威となり、そして恐らくは社会全体への脅威となるだろう。

事実、ガソリン価格が高騰しているのは日本人でも実感しているはずだ。金融市場では原油価格は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/10/2021-10-25-wti-crude-oil-chart.png


去年マイナスになった原油価格を高値まで押し上げたのは、現金給付と西洋のリベラル派が推し進めた脱炭素政策である。需要があるにもかかわらず、化石燃料の生産を無理矢理抑制した結果がこれである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16442


高騰するエネルギー価格が既に高くなっている物価を更に押し上げてゆくとジョーンズ氏は主張する。

5.4%というCPI(消費者物価指数)の数字は本当に驚きだ。30年来の高い数字で、もちろんここから数ヶ月で更に上がってゆく。

原油価格の高騰はそこから数ヶ月の遅れを経て、原油を原料として作られる様々な製品のインフレへと転嫁されてゆくからである。

インフレを招く現金給付

そしてインフレの原因となっているのは脱炭素政策だけではない。マネーサプライ、つまり銀行口座に存在する貨幣の量についてもジョーンズ氏は言及する。

経済の需要の側を考えよう。つまりM2(訳注:マネーサプライ)だ。M2は新型コロナの流行が始まってから5.4兆ドルも増えた。この増加量は本来の増加量よりも3.5兆ドル多い。

3.5兆ドル、つまりGDPの16%分が預金として待機しており、株式や暗号通貨や不動産や消費に使われるのを待っている。

アメリカでマネーサプライが増加したのは明らかに現金給付が原因である。アメリカでは都度3回、合計で1人あたり30万円以上の現金が給付されており、これが銀行預金残高の爆発的増加と物価の上昇をもたらした。

そしてこれは対岸の火事ではない。日本にも遠からずインフレの時代が来るだろう。何故ならば、日本も再び現金給付を考え始めているからである。

日本でもインフレ近づく

アメリカで既に日用品の値段が上がって年間で10万円どころではない損失になっている消費者も多いだろうに、負け確定の戦略に後から率先して飛び込んでゆくあたりは流石、第2次世界大戦で負けた日本らしいというべきだろうか。脱炭素政策についても同じことで、先導していた菅氏と小泉氏はいなくなったが、それでも日本政府は西洋の間違いを今後も真似するのだろう。

現金給付に関しては経済学者ミルトン・フリードマン氏が述べた現金給付の本質をもう一度思い出してほしい。

ミルトン・フリードマン氏: リベラリズムは衆愚政治である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12998


こうした政策の中身は、現実には政府がまったく恣意的に国民の一部から税金を略奪して国民の他の一部に補助金として与えるということでしかない。

結局GO TOトラベルも現金給付もそういうものでしかなかったにもかかわらず、前者を否定する人も後者には気を引かれるらしい。しかし国民がそういう道を選ぶならば、来年か再来年には日本にもアメリカのような物価高騰が待ち受けているだろう。

皮肉なのは、現金給付と脱炭素政策という物価高騰の二大原因が両方とも政治家によって引き起こされた、つまり政治家が何もしなければ問題は生じなかっただろうということである。経済学者ハイエク氏は本当に慧眼だったと言わざるを得ない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


政府が自分の頭で考えて行動しようとすれば、その被害は増大するように思われる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629

36. 中川隆[-15360] koaQ7Jey 2021年11月11日 11:51:56 : N6zpS5ezAw : Uy9UNkFvUTlYZm8=[39] 報告
サマーズ氏: 中央銀行の甘さがインフレを加速させる
2021年11月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17215


アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで中央銀行のインフレ対策が甘すぎると指摘している。

止まらないアメリカのインフレ

アメリカのインフレは止まっていない。現金給付による需要過剰と脱炭素政策によるエネルギー価格高騰で加速しているアメリカのインフレは、アメリカ経済が減速の気配を見せている一方でそれほど弱まっていない。ジェフリー・ガンドラック氏が半年も前に予想した通りの展開である。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)
しかし緩和は続いている。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は今月テーパリング(量的緩和縮小)の開始を発表したものの、量的緩和は来年6月まで終わらず、利上げにも及び腰である。

11月FOMC会合結果: テーパリング開始決定
インフレが加速する中で量的緩和を行なっていることの異常さがここの読者以外の人々にも分かってもらいたいものである。

サマーズ氏はパウエル議長のインフレに対する姿勢が十分だったかと聞かれ、次のように答えている。

緩和状況を実質金利や資産価格で測るならば、先週水曜にパウエル氏が話した時よりも、あるいは数ヶ月前よりも緩和的になっている。だから経済はリスクの高いシナリオへ向かっているのではないかと憂慮している。

3日に行われたFOMC会合の後に金融市場がどう反応したかと言えば、1つは金価格上昇である。


コロナ初期に上昇した後は長らく低迷している金価格が少し息を吹き返してきた。そしてその理由は皮肉にも中央銀行がインフレを退治できないと市場が見透かしていることにある。

債券投資家のスコット・マイナード氏はインフレに見舞われたアメリカ経済の選択肢は2つしかないと述べた。

マイナード氏: 物価高騰か資産バブル崩壊か二者択一
そして筆者や著名投資家の多くは政治家と中央銀行は物価高騰を引き起こすだろうと予想しているのである。

リフレ派の言い分

政府や中央銀行は何故緩和を止めないのか? 端的な理由は頭の足りない有権者の票が欲しいからだが、彼らの理論的ベースになっているリフレ派の経済学者の論理についても考えてみよう。サマーズ氏は次のように述べている。

わたしの友人で元クラスメートでもあるポール・クルーグマンのような思慮深い人々の主張は、景気後退になれば破滅的な結果になるから緩和しなければならない、そしてインフレは対処可能な問題だということだ。

景気後退のリスクから経済を守らなければならないということには同意するが、わたしの考えではインフレが加速した場合に中央銀行がそれをソフトランディングさせることの出来る実証済みの方法はほぼ存在しないということだ。

クルーグマン氏のようなリフレ派の元々の言い分は、インフレになれば金融引き締めをやれば良いというものだった。そしてついにアメリカはインフレになったが、今度は彼らはまだインフレではないと言い始めた。子供の言い訳だろうか。

しかしアメリカでは実際にあらゆる商品の価格が上がっており、日本ではまだガソリンや食料品の一部に限られ広範囲には広がっていないが来年にはそうも言ってはいられなくなるだろう。原油価格高騰は衣料など様々なものに転嫁されるからである。

リフレ派の経済学者が現実逃避を始めるのは構わないが、実際に高くなった商品を買わなければならない消費者はどうすれば良いのだろうか。そもそもリフレとは経済学ではなかったのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
誰も得しない現金給付

結局、アメリカ人は現金給付でもらった金額以上の金額をインフレで支払っている。しかも現金給付は一時的だったが、インフレは一時的ではないというおまけつきである。

現金給付という非常に共産主義的な政策は中国とソ連の失敗を欧米と日本にもたらそうとしている。ジム・ロジャーズ氏の以下の発言が思い出される。

ジム・ロジャーズ氏: 誰でも優れた投資家になれる方法
歴史から学べることは、人は歴史から学ばないということだ。

そこにリベラル派の脱炭素政策によってもたらされたエネルギー価格高騰が付いてくる。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
愚かな政策を支持した人々のお陰で来年の家計は世界中で厳しくなるだろう。リベラル派やリフレ派の人々は責任を取らないのだろうか? 彼らは自分が共産主義的だということが分かっていないのである。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17215

37. 2021年11月11日 20:25:37 : N6zpS5ezAw : Uy9UNkFvUTlYZm8=[63] 報告
10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
2021年11月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17244


最新のアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表され、10月は11.9%(前月比年率、以下同じ)の上昇となり、前月の5.1%から急加速した。

止まらないアメリカのインフレ

ついに家計に影響が出るレベルのインフレになってきたと言えよう。まずは全体のチャートを見てみよう。


見事に跳ね上がっている。夏場に半導体不足で中古車価格が高騰した時から一時的に収まっていたインフレが再発してきた。春過ぎに以下の記事でジェフリー・ガンドラック氏が予想していた通りの展開であり、流石は債券投資家だと言うべきだろう。当時の彼の発言は読み返す価値がある。

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判 (2021/5/17)
さて、ではCPIの内容を見てゆくが、夏にはインフレ高騰を先導していた中古車の10月の価格上昇は34.5%となり、前月のマイナス成長-8.1%から持ち直してはいるが、チャートを見れば一時のような強烈な高騰は収まっていることが分かる。


今回のCPIを押し上げたのは中古車価格ではなさそうである。

では住宅価格はどうだろうか? 住宅の価格を反映する CPIの要素である持ち家の見なし家賃(持ち家に家賃を払うと仮定して産出する項目)は5.4%の上昇となり、前月の5.3%から僅かに加速した。


上昇率は高止まりしており、住宅バブルは続いていると見るべきだが、先月からあまり変わっておらず、こちらも今回全体を押し上げた項目ではないだろう。

高騰するエネルギー価格

ではエネルギー価格はどうだろうか。10月のエネルギー価格は年率74.9%の上昇となり、前月の16.5%から大きく跳ね上がった。


明らかにこれである。脱炭素な人々が原油と天然ガスの供給を無理矢理制限した結果、エネルギー価格が高騰している。当然の結果で本当に馬鹿ではないのかと思う。

COP26の化石燃料事業への融資停止はエネルギー価格高騰をもたらす
原油価格のチャートは次のようになっている。


原油価格もそうだが、天然ガスの高騰はより深刻で、脱炭素政策を特に推し進めたヨーロッパでは貧しい人々が暖房なしで日本より寒い冬を過ごさなければならない瀬戸際になっている。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
脱炭素を推し進めた張本人であるリベラル派の裕福なヨーロッパ人たちは、それでも暖房の効いた部屋で冬を過ごすのだろう。彼らが偽善者でなければ誰がそうなのだろうか。

他に波及するエネルギー価格高騰

電力価格の高騰だけでも家計には結構なダメージだが、原油価格高騰はそれだけでは終わらない。

例えば衣料品の価格は今回0.0%と完全に横ばいだが、高い原油価格が定着すれば化学繊維の価格を通して衣料品価格も上昇してくるはずである。


更に、砂糖やコーンなどの一部の農作物はバイオ燃料になるためエネルギー価格と連動している。つまり、エネルギー価格が高騰すると農作物も高騰する。しかしタイムラグがある。それが本格的にスーパーの食料品の価格に反映されてくるのは恐らく来年のことだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17244

38. 2021年11月14日 10:38:39 : GOGU4P3R6A : RVliVmZjWkd0bi4=[11] 報告
世界最大のヘッジファンド: 資産価格が上昇しても裕福にはならない
2021年11月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17277


世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、LinkedInのブログでますます高まるアメリカのインフレについてコメントしている。

止まらないアメリカの物価高騰

先日、アメリカではCPI(消費者物価指数)が発表され、物価上昇が30年ぶりの高水準であることが示された。

10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
かねてより紙幣印刷が最終的にはインフレを生むと主張してきたダリオ氏がこれに反応したのは当然だろう。彼は次のように述べている。

昨日のインフレ統計はインフレが高まっており、人々の財産を溶かしていることを示している。これは当然である。

去年コロナの流行が始まり、現金給付や様々な救済措置が発表された時から筆者やダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏のような投資家たちは当たり前のように物価高騰が起こるとして警告を続けてきた。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
そしてそれが当たり前のように現実となっている。

まともな金融家には何の驚きもない、政治家によって引き起こされた経済危機がアメリカを襲っている。政治家が国民を襲っていると言っても良いだろう。票田にばら撒くために国民の生活を犠牲にしたからである。そして日本では、国民は自分を害した政治家に対して犬のように寝転んで腹を撫でられようとしている。自民党支持者のことである。

不可避の物価高騰

好む好まざるに関わらず、インフレは来る。日本でもガソリン価格が高騰しているが、こんなものはまだまだ序の口である。ダリオ氏は次のように続ける。

一部の人々は資産価格が上がって裕福になったと勘違いしているが、自分の購買力がどれだけ溶けているかを考えていない。一番被害を受けるのは、資産を現金で持っている人だ。

ダリオ氏は数年前から現金はゴミだと言い続けてきた。

世界最大のヘッジファンド: 現金はゴミ、別のものに投資を
それは当時は現金よりも金融資産をという意味だったが、今では現金を持っていてもものは買えないという意味に変わった。それがインフレの意味である。そういう時代が来ようとしている。

状況を上手く説明するために、ダリオ氏は4つの定式を立てている。

資産 = 購買力
資産 ≠ 金融資産
資産の創造 = 生産すること
資産の減少 = 購買力の減少
要するに、資産価格が上がってもそれを売却してものが買えなければ何の意味もないとダリオ氏は言っているのである。そして豊かになるためには紙幣を印刷するのではなく、ものを生産する必要がある。ダリオ氏は以前言っていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
紙幣は食べられない。

インフレ対策

人々はどうするべきだろうか。例えば株式の購入はインフレには勝てないのだろうか。

1970年代から80年代のアメリカのインフレでは、株価はインフレに大いに負け、インフレを差し引いた実質リターンでは酷い状況に陥っている。以下の記事は再読の価値があるが、当時の株価をインフレ率で割ったチャートを再掲載しよう。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で株式の実質リターンがマイナスになる

アメリカ株が10年間マイナスリターンだった時代があったのである。そしてそれはインフレによってもたらされた。この意味が今の投資家に分かるだろうか。

アメリカの凋落

物価高騰とは貨幣価値の暴落であり、それは一定のタイムラグを経て為替相場におけるドルの暴落に繋がる。ダリオ氏がその先に見ているのはアメリカの凋落である。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
ダリオ氏は人々が政府から降ってくるお金でリッチになった気分になる代わりに貧困に突入するのではなく、ものを生産することで豊かになってほしいと願っている。

アメリカは収入よりもよほど多くの消費をしており、しかもそれをばら撒かれて減価している紙幣で支払っている。状況を改善するには協力してより生産するしかない。今のところ、われわれは間違った方向に進んでいる。

だが人々がダリオ氏の賢明な助言を聞くことはないだろう。人々は賢明ではないからである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17277

39. 中川隆[-14863] koaQ7Jey 2021年12月04日 13:04:56 : GsebW1pNtY : OWJKeFZIcTZMVFE=[30] 報告
エンゲル係数が高止まり、低所得者層が増加…賃金低下+悪い物価上昇、家計貧しく(Business Journal)
http://www.asyura2.com/21/hasan135/msg/611.html
https://biz-journal.jp/2021/12/post_267059.html
2021.12.04 05:50 文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト Business Journal

■エンゲル係数で示される生活水準の低下

 経済的なゆとりを示す「エンゲル係数」が、我が国ではコロナショック以降高水準にある。特に今年5月以降は二人以上世帯で27%を超えており、無職世帯に限れば30%を超えている。この背景には、家計全体の支出減や食料品価格の上昇がある。

 エンゲル係数は家計の消費支出に占める食料費の割合である。食料費は生活する上で最も必需な品目のため、一般に数値が下がると生活水準が上がり、逆に数値が上がると生活水準が下がる目安とされている。

■背景にはコロナショックの後遺症

 最近の我が国のエンゲル係数上昇は、食料品価格の上昇と支出全体の減少が要因となっているが、その背景には、いずれもコロナショックが関係している。つまり、コロナショック以降の海外の需要急増等に伴う化石燃料や農産物等の資源高が食料品やエネルギーの価格を押し上げる一方で、国内では9月まで行動制限が敷かれていたことでサービス消費の機会が奪われてきたことがある。

 また、昨年度の企業業績の悪化も、タイムラグを伴って今年度の賃金低下をもたらしている。そして、行動制限緩和以降も新型コロナ感染に対する恐怖心に伴いサービス支出の機会が奪われることで家計の節約が続く一方で、世界の需要拡大やコロナに伴う供給制約等で食料品の価格が上昇基調にある。そして、こうした海外に所得が流出する中での生活必需品価格の上昇は、生活水準の低下に拍車をかけている。

■節約と食料品価格の上昇が係数押上げ

 2021年9月のエンゲル係数は前年比で▲0.2ポイント低下を記録している。しかし、食料品の値上げが相次いでいる一方で食料品の消費量は減っているように見える。そこで、エンゲル係数の上昇率を食料品の消費量、すなわち実質食料支出と相対価格および全体の消費性向と実質実収入・非消費支出に分けて要因分解してみた。

 すると、食料品の消費量減が▲1.2 ポイントもの押し下げに働く一方で、食料品の相対価格上昇と消費性向すなわち消費量全体の減がそれぞれ+0.3、+1.3ポイントの押し上げ要因になっていることがわかる。

 消費量減の背景には、緊急事態宣言発出に伴う外食量減と、食料品価格上昇に伴う購入減が考えられる。一方、消費性向すなわち可処分所得に対する消費の割合が下がった背景には、やはり緊急事態宣下発出に伴う移動や接触を伴う支出が減ったことが推察される。つまり、家計の節約と食料品価格の上昇が、このところのエンゲル係数押し上げの実体である。

■食料品価格の上昇は「悪い物価上昇」

 こうした食料やエネルギーといった、国内で十分供給できない輸入品の価格上昇で説明できる物価上昇は、「悪い物価上昇」といえる。そもそも、物価上昇には「良い物価上昇」と「悪い物価上昇」がある。「良い物価上昇」とは、国内需要の拡大によって物価が上昇し、これが企業収益の増加を通じて賃金の上昇をもたらし、さらに国内需要が拡大するという好循環を生み出す。

 しかし、現在の物価上昇は輸入原材料価格の高騰を原因とした食料・エネルギーの値上げによりもたらされている。そして、国内需要の拡大を伴わない物価上昇により、家計は節約を通じて国内需要を一段と委縮させている。その結果、企業の売り上げが減少して景気を悪化させていることからすれば、「悪い物価上昇」以外の何物でもない。

 このように、食料やエネルギーの価格が上昇している背景としては、(1)海外での需要増加等により輸入品の価格が上昇している、(2)世界的な脱炭素化の流れにより化石燃料の採掘関連に投資資金が流れ込みにくくなっている、(3)異常気象により農作物の収穫量が減少している―こと等がある。

 特に、世界的なコロナショックによる世界経済の低迷後、世界の経済成長は回復しつつあるが、主要先進国の金融政策が出口に向かう中でも海外経済は今後とも高い経済成長を遂げると見込まれる。こうなれば、世界の食料・エネルギー需給は、中長期的には人口の増加や所得水準の向上等に伴う需要の拡大に加え、脱炭素化や都市化による農地減少等も要因となり、今後とも需要が供給を上回る状態が継続する可能性が高い。つまり、食料・エネルギー価格は持続的に上昇基調をたどると見ておいたほうがいい。

■生活格差をもたらす食料品価格の上昇

 ここで重要なのは、食料・エネルギー価格の上昇が、生活格差の拡大をもたらすことである。食料・エネルギーといえば、低所得であるほど消費支出に占める比重が高く、高所得であるほど比重が低くなる傾向があるためだ。

 事実、総務省「家計調査」によれば、可処分所得に占める食料・エネルギーの割合は、年収最上位20%の世帯が16.8%程度なのに対して、年収最下位20%の世帯では28.2%程度である。従って、全体の物価が下がる中で食料・エネルギーの価格が上昇すると、特に低所得者層を中心に購入価格上昇を通じて負担感が高まり、購買力を抑えることになる。そして、低所得者層の実質購買力が一段と低下し、富裕層との間の実質所得格差は一段と拡大する。

 さらに深刻なのは、我が国の低所得者層が増加傾向を示している一方で、高所得者層が減少傾向を示していることがある。事実、総務省の家計調査年報で年収階層別の世帯構成比を見ると、年収が最も低い 200 万円未満に属する世帯の割合は2000年の2.4%から2020年には3.1%に拡大している一方で、年収が最も高い1500万円以上に属する世帯の割合は2000年の4.8%から2020年には3.1%まで縮小している。

 こうした所得構造の変化は、我が国経済がマクロ安定化政策を誤ったことにより企業や家計がお金をため込む一方で、政府が財政規律を意識して支出が抑制傾向となり、結果として過剰貯蓄を通じて日本国民の購買力が損なわれていることを表しているといえよう。そして、我が国では高所得者層の減少と低所得者層の増加を招き、結果として家計全体が貧しくなってきたといえる。

■日銀のインフレ目標達成判断に重要な「食料・エネルギー除く総合」

 これに対し、日銀はインフレ目標2%を掲げている。しかし、輸入食料品価格の上昇により消費者物価の前年比が+2%に到達しても、それは安定した上昇とは言えず、「良い物価上昇」の好循環は描けない。

 つまり、本当の意味でのデフレ脱却には、消費段階での物価上昇だけでなく、国内で生み出された付加価値価格の上昇や国内需要不足の解消、単位あたりの労働コストの上昇が必要となる。

 そしてそうなるには、賃金の上昇により国内需要が強まる「良い物価上昇」がもたらされることが不可欠といえよう。従って、日銀のインフレ目標は、米国のように「食料・エネルギー除く総合、すなわちコアコアCPI」のインフレ率も重視すべきだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

●永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。

40. 中川隆[-14749] koaQ7Jey 2021年12月07日 12:06:05 : 2zSsj4hxA6 : M1FvMG5mVWxiOGc=[80] 報告
サマーズ氏: 市場を急落させても4回の利上げが必要
2021年12月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17915


アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューでアメリカの来年の利上げについて語っている。

パウエル議長への注文

Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は長らくインフレを一時的だと言い張っていたが、先日の議会証言でそれを撤回するとようやく宣言した。

パウエル議長、ついに「一時的」を撤回しテーパリング加速を示唆
筆者を含め多くの金融家はパウエル氏の主張には根拠がないと指摘していたが、経済学の世界からパウエル氏を批判していた急先鋒がサマーズ氏である。ようやく起こったパウエル氏の心変わりにサマーズ氏は次のようにコメントしている。

パウエル氏が議会証言でインフレの議論から「一時的」という言葉を引退させると主張したのは良いことだと思う。そもそもそんな主張が必要なければ一番良かったが、インフレの現実を考えると議長の発言を喜ばしく思う。

去年現金給付を目の当たりにした時からインフレを警告していた多くの人々が同じように思っているだろう。

さて、問題は中央銀行の次の動きである。間違いを1つ認めたパウエル氏に対して、サマーズ氏は次の注文を付けている。

パウエル氏が次に認識する必要があるのは、様々な意味で金融政策のもっとも単純な指標である、市場で織り込まれている今後1年の金利から市場の期待インフレ率を引いた実質金利が史上最低水準だということだ。この数字はいまや-3%を大きく下回り、-4%に近づいている。

経済に対する影響を見る上でもっとも大事なのは実質金利である。

例えばトルコの政策金利は15%だが、金利が高いから金融政策が引き締め的なのかと言えば、インフレ率20%よりも大幅に低いため全然引き締め的ではない。金利はインフレ率との関係で見なければならないのである。

この意味では、インフレ率が先進国としてはかなり高くなっているにもかかわらず低金利が保たれているアメリカの金融政策は、トルコとそれほど変わらない水準で緩和的だということになる。

サマーズ氏は次のように続ける。

この状況では緩和的な金融政策はふさわしくない。だから量的緩和やモーゲージ債の買い入れを続ける理由はまったく無いこと、量的緩和をすぐに止めるべきではない理由はないこと、インフレが目標より十分高いときに始めるべきことを始める必要があるということを、パウエル氏は表明すべきだろう。

アメリカはようやくテーパリング(量的緩和縮小)を開始したが、逆に言えば物価が高騰する中でいまだに量的緩和を終了していないということである。

何故緩和を止められないのか? リーマンショック以来緩和の薬漬けになってしまった市場経済は、緩和がなければ空中分解するからである。

しかし緩和を続けても結局株価も経済も空中分解するだろう。その結果が株価暴落か、物価高騰かというだけの違いであって、量的緩和と現金給付で作り上げた砂上の楼閣はせいぜい10年か15年しか保たないのである。

債券投資家のスコット・マイナード氏はこの状況について次のように述べていた。

マイナード氏: 利上げ強化でアメリカ経済は墜落するがそれまでは株高継続へ
ここでは何かが起こっている。わたしが自分のキャリアで見たこともなく、歴史上に例も見つからないような何かだ。実質金利がこれほど低いにもかかわらず、それでせいぜい経済成長を何とか維持することしか出来ない。

明らかにサマーズ氏と同じものを見ている。

それでも利上げが必要になる

来年の金融政策はどうなるだろうか。サマーズ氏は次のように述べている。

わたしが議長なら、インフレが今後どう推移するかにもよるが、来年に4回の利上げを示唆するだろう。

インフレが一時的でないことをようやく認めたパウエル氏は、次にインフレ圧力がかなり強力であることを認めなければならなくなるだろうということである。

しかし市場や実体経済は4回の利上げに耐えられるだろうか? サマーズ氏は次のように続ける。

それは衝撃になるだろうが、金融政策が作用するまでのタイムラグを考えると、信任を取り戻すためには衝撃が必要なのだ。

結論

先進国の人々は今、金融緩和を繰り返して通貨下落が止まらなくなったトルコのエルドアン大統領を笑っているが、はっきり言うが遠くない将来多くの先進国も同じことになるだろう。アメリカもヨーロッパも日本も同じことをしているのである。

物価高騰と金融緩和でトルコリラが暴落中
利上げについては筆者は金利だけ考えれば株式市場は5回以上の利上げには耐えられないと以前説明した。

世界的インフレで株価暴落が起きるのはいつか
一方で、中国の不動産バブル崩壊など他の要因によってそれが早められる可能性があるとした。総合すると利上げ3〜5回で株価崩壊となり、サマーズ氏も含め皆大体同じくらいの利上げ回数を考えていることになる。

著名投資家は既に株式市場から撤退を始めているようだ。あと1年にも満たない株式市場の上昇の可能性を追うよりは、他の市場で儲ける方が良いだろう。

ジョージ・ソロス氏、インフレトレードを継続 ハイテク株は一部利益確定
ドラッケンミラー氏、やはりインフレ懸念でハイテク株を利益確定


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17915

41. 2021年12月07日 17:35:42 : 2zSsj4hxA6 : M1FvMG5mVWxiOGc=[89] 報告

現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない
2021年12月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17958


金融市場がアメリカの物価上昇を懸念し始めてから数ヶ月が経つが、実際今後のインフレ率はどう推移してゆくだろうか。筆者がここで議論したいのは、恐らくインフレ率は一方的に上昇を続けてゆくわけでもなければ、中央銀行の引き締めで一方的に下がってゆくわけでもないだろうということである。

今後のアメリカのインフレ見通し

リーマンショック以来の紙幣印刷が現金給付によって臨界点を超え、世界経済は風前の灯となってしまった。そして風前の灯となった経済がどう振る舞うかということは、それほど単純ではないだろう。

アメリカでは明らかに物価が上がっており、投資家ではない普通の人々さえもインフレを懸念している。このインフレの勢いは来年には輸入物価を通して日本にも入ってくるだろう。

10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
今後の推移は2パターンしかないように見える。Fed(連邦準備制度)が金融引き締めを強めて株価と経済を墜落させ、物価はデフレに向かうのか、金融政策を十分引き締めることが出来ずに物価高騰が止まらなくなるかである。

しかし実際のところ、今後の物価見通しはそれほど単純ではない。それを示唆するのが米国債の金利である。


まず、2年物国債の金利はこのように上がっている。短期金利である2年物国債の金利は、今後の政策金利の見通しに影響される。Fedのパウエル議長はようやくインフレ抑制にやる気を見せ、今後利上げが行われるとの観測をそのまま反映しているのである。

一方で長期金利と呼ばれる10年物国債の金利はそれほど上がっていないどころか、やや下がり気味である。


この差はここでは何度も取り上げている通りである。

長短金利差の実体

しかしこの差は何を表しているのだろうか? もう少し詳しく見るために、市場の期待インフレ率のチャートも並べてみたい。

以下は10年物国債の金利(名目金利)から10年物のインフレ調整済み国債の金利(実質金利)を引くことで導出した、市場の期待インフレ率である。


これは10年物国債の金利から割り出した期待インフレ率なので、今後10年のインフレ率が年率で2.4%になると市場が予想しているということである。

ではこれを5年物国債について同じ計算をした期待インフレ率と比べてみるとどうなるだろうか?


5年の期待インフレ率は2.7%であり、10年のものよりも高く、しかもチャートの上がり方も激しいことが分かる。市場は今後10年のインフレよりも今後5年のインフレの方が酷くなると考えている。

今後の中長期的なインフレ率

この事実は、これから何年かインフレは上昇するが、今後必要となる金融引き締め政策のお陰で10年以内には沈静化する、つまりインフレ率はこれから上がって下がるという予想を市場がしていることが分かる。

そして恐らくそれは事実だろう。そして経済成長率も同じようになると想定される。恐らくは株価もである。

だが状況はそれで終わりというわけでもないというのが本稿の趣旨である。何故かと言えば、まずは前回アメリカがインフレに苦しんだ1970年代のインフレ率と、それにアメリカの政策金利を並べたチャートを見てもらいたい。


波が3回来ているのが分かる。もうお分かりだと思うが、コロナと同じように今のアメリカのインフレは第1波に過ぎないのである。

まずチャートの第1波の部分に注目してもらいたい。インフレ率は6%付近まで上がっており、この数字は今の前年同月比のインフレ率にほぼ等しい。

チャートを見て分かるように、この時はFedは9%近くまで利上げをし、結果としてインフレは沈静化された。

しかしそれでは終わらなかったのである。チャートの影がかかっている部分はアメリカ経済が景気後退に陥った部分であり、利上げをする度に経済が景気後退に陥っているのが分かる。

インフレでやむなく利上げをし、インフレはようやく落ち着いたが経済は死んでいる。人々が何を望むかお分かりだろうか? 緩和である。

それでもう一度金利は下がり、結果としてインフレ率は再び上がることになる。経済はコロナのために今でも十分疲弊しているが、今後利上げによる景気後退を経験すれば更に疲弊した状態になるだろう。

経済成長を維持するためには更に強力な緩和が必要になる。それでインフレの第2波は第1波より高いものになる。これが何度も続いて経済が壊滅的な物価高騰を経験するところまで行ってしまうというのが1970年代の教訓であり、恐らくこれから同じようになる可能性は高い。

結論

これまではインフレ第1波のことだけを書いてきたが、市場がようやく第1波を警戒し始めたので、ここではそろそろ第2波について考え始めても良い頃だろう。他人より早く先を読むことが投資家の仕事だからである。

しかし世界経済は本当に気の滅入る先行きになってきたようだ。リフレ派の人々は果たして責任を取るだろうか。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17958

42. 中川隆[-14521] koaQ7Jey 2021年12月20日 09:14:10 : r6Bg08QnFk : OGxIUmNIYWdJaFU=[9] 報告
日本銀行は日本政府の子会社である
2021-12-19
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12716442466.html


 先日の安倍元総理の、
「日本銀行は国の子会社。立派な中央銀行だが、5割は政府が株を持っているから、連結決算上は債務ではないという考え方も成立する」
 に、日刊ゲンダイが噛みついています。

『安倍元首相またまた妄言「日銀は国の子会社」…円の信認ガタ落ちで通貨危機に現実味
 安倍元首相の発言がまた物議を醸している。首相在任中のアベノミクスと放漫財政を正当化するためなのか、赤字国債は国の借金ではなく「背負っているのは日本銀行」などと言い出した。(後略)』

 いや、とりあえず「日銀は政府の子会社」は、否定できない事実ですよ。
 
『日本銀行法 第八条(出資金) 日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
2 前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。』

 日銀の資本金は一億円で、その内、政府が5500万円を持っているため、日本銀行は政府の子会社です。


 ちなみに、日本銀行はホームページで、
『日本銀行はわが国唯一の中央銀行です。日本銀行は、日本銀行法によりそのあり方が定められている認可法人であり、政府機関や株式会社ではありません。』
 と、説明していますが、実はJASDAQに上場していたりします。
 一応、JASDAQで取引されているのは「出資証券」であり、株式ではないという建前になっていますが、「資本」の売買がなされているのは同じです。しかも、JASDAQは「株式市場」であり、日本銀行の出資証券の価格は「株価」として掲載されます。


 ちなみに、日銀の株式を持っていたところで、何しろ「株主総会」は開かれず、株主に議決権はなく、配当金も制限されています。何か、頻繁に「日本銀行を支配しているのは国際金融資本だろ」と、凄まれるのですが、いや、日本政府です。何しろ、株式の55%を所有している。
 残りの45%を買い占めたところで、日銀に影響力を振るうことはできません。


 日銀は、自分たちは認可法人であり、株式会社ではないと主張していますが、55%の株を持つ日本政府が「親会社」であることに変わりはありません。親会社、子会社間のお金の貸し借り、利払いは、連結決算で相殺です。これは株式会社だろうが、認可法人であろうが、協同組合であろうが同じです。会計のルールがそうなっているのです。(日本政府は日銀保有国債の利払いをしていますが、日銀決算後に国庫納付金として政府に戻り、税外収入に組み込まれています)


 現在、政府の国債の48%は子会社の日本銀行が「貸し手」であるため、安倍元総理の発言は(用語の厳密性はともかく)正しい。

 ゲンダイの記事を読むと、
「建前であっても、中央銀行の独立性を元首相が否定したら円の信認に関わる」(日銀関係者)
「財政法が禁じる直接買い入れを事実上、認めるようなもの。日銀を私物化したアベノミクスの本質が発言に表れている」(財務省関係者)
 といった日銀「関係者」や財務省「関係者」のコメントが載っています。


「日銀は政府の子会社」
 は単なる事実であり、しかも日銀の独立性は「手段の独立」です。安倍・元総理のコメントが、なぜ「日銀の手段の独立」を否定したことになるのか、さっぱり分かりません。そもそも「円の信認」って、何でしょう?


 また、安倍・元総理は「市場を通じて日本銀行に買ってもらった」と、正しいことを主張している。日本銀行が市場から国債を買うことは、財政法五条とは関係ありません。というか、日銀は国債を買わなければ、通貨供給ができません。

 もっとも、日銀「関係者」や財務省「関係者」にしても、「日銀は政府の子会社ではない」とは主張できないようですね。事実に反してしまうから。


 さらに、ゲンダイは、
『(引用)それに、子会社に借金をツケ回して逃げるのは、バブル崩壊後に横行した「飛ばし」の手法である。山一証券はそれで倒産した。元首相の立場でこんな妄言を繰り返せば円の信認はガタ落ちで、それこそ通貨危機を招きかねない。』
 などと世迷言を言っていますが、民間の金融機関と日本銀行を同一視するわけですから、そのレベルの低さにあきれ果ててしまいます。


 日本銀行は「利益」を目的とした機関ではないため、時価会計を採用していません。国債を買い取り、地球滅亡の日まで借り換えをすればいいだけで、インフレ率が高騰しない限り、何の問題もない。


 さらに、日銀が買う国債は、すでに「政府支出」が終わった既発債で、インフレ効果は完了しています。


「日銀は政府の子会社」
 という、安倍・元総理の認識は正しい。そして、この認識こそが、
「日本円建ての国債の債務不履行はあり得ない」
 を導くのです。


 というわけで、本日は「日銀は日本政府の子会社」について、論点をまとめてみました。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12716442466.html

43. 中川隆[-14518] koaQ7Jey 2021年12月20日 09:35:57 : r6Bg08QnFk : OGxIUmNIYWdJaFU=[12] 報告
イギリスの先見性 _ 物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行


物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763


コロナ禍による景気後退で先進国のほとんどは野放図に量的緩和と現金給付を行なっている。アメリカでは既に物価高騰の初期症状が出ているが、気に留めている政治家は見られない。一方でインフレの危険性に気付いてインフレ主義から逃げ出そうとしている国がある。イギリスである。

米国がインフレが2%を超えて推移しても直ちに金融引き締めはしないと主張していることは以下の記事で報じておいた。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避


そしてアメリカでのインフレ懸念による金利高騰につられて金利が上がっているユーロ圏では、金利高騰を抑えようとECB(ヨーロッパ中央銀行)のパネッタ専務理事は債券買い入れの増額をほのめかしている。

パンデミック緊急買い入れプログラムの買い入れ枠すべて、あるいは必要ならばそれ以上の買い入れを行うことを躊躇するべきではない。

そんな中でひとり違う方向を見ている中央銀行がある。イングランド銀行である。

わが道を行くイギリス

日米欧がインフレを考慮せず緩和を続けるなか、イングランド銀行の主席エコノミストであるアンディ・ハルデーン氏は先月末の公演でインフレへの懸念を表明した。氏は公演のなかで次のように述べている。

フリードリヒ・フォン・ハイエクはかつてインフレ制御は虎の尾を掴もうとすることに似ていると言った。

ハルデーン氏が持ち出すのはここの読者にお馴染みの経済学者ハイエク氏である。財政出動を正当化したケインズ氏と論陣を張り合ったハイエク氏は、政府が財政出動にともなう利権を増やすために科学的根拠のないインフレ主義を隠れ蓑にしていると主張していた。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
世界最大のヘッジファンド運用者レイ・ダリオ氏の最近の主張もどうもハイエク氏の経済学を基盤にしているような論調であり、優れた論客は自然とハイエク経済学に集まるようである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
20世紀最大の経済学者(ケインズ氏ではない)に敬意を払うハルデーン氏は、コロナ禍による景気刺激によってインフレの虎が覚醒しつつあると主張する。

過去12ヶ月における未曾有の出来事と政策による対応で、虎はいまや興奮状態にある。

特に世界的にコロナの新規感染者数が減り、しかもアメリカでも日本でも更なる財政出動が予定されている今、インフレ率はどうなってゆくだろうか。ハルデーン氏は次のように続ける。

これから需要が回復し、供給に制約があるとすれば、予想よりも鋭くかつ持続的な物価の上昇がイギリスに起こり、インフレ目標をオーバーシュートする可能性があると判断している。

世界の金融市場はこの可能性を織り込み始めている。期待インフレ率は米国で上昇しており、ユーロ圏でも米国ほどではないが上昇している。

ハルデーン氏は中央銀行家というよりはヘッジファンドマネージャーのように経済を見る人物である。これまでの記事を既読の読者もそう思ったのではないか。彼は金融市場の動きを理解している。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる


イングランド銀行の先見性

Fed(連邦準備制度)や日銀が無視しているリスクをイングランド銀行は見つめている。個人的に面白く思うのはこのインフレゲームはイギリスが始めたものだという事実である。

中央銀行によるマネーゲームはイギリスによって発明された。イングランド銀行は世界初の中央銀行だからである。イングランド銀行が財政ファイナンスのために設立されたことは以下の記事で説明した通りである。

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
その後、中央銀行というシステムは政治家にとって便利だということが判明したため各国も追随した。

そして今、イギリスが始めたマネーゲームからイギリスだけが逃げ出そうとしている。非常にイギリスらしいことである。グローバリズムもいわば大英帝国によって広められたものではなかったか。そこから最初に逃げ出したのもイギリスであった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
イギリス人は危険を察知する嗅覚に長けている。中国主導のアジアインフラ投資銀行も欧州勢が参加を躊躇している中でまっさきに手を挙げ、欧州勢の出資を促して中国に恩を売ったかと思うと実際の資金はドイツに任せて自分の金はほとんど出さなかった。世界大戦でも元々中核に居たはずなのだがいつの間にか戦争は日本とドイツのせいだということになっていた。

そのイギリスがインフレ政策から手を引こうとしている。優れたファンドマネージャー並みのエコノミストを有していたことがイングランド銀行にとっての幸運だろう。そして筆者が懸念しているのが、最後まで沈みゆく船に乗り続けるのがまたもや日本になるのではないかということである。

第2次世界大戦でも西欧諸国が始めた植民地政策の後始末を何故か担当することになったのが引き際を理解しなかった日本とドイツである。世界大戦は日本とドイツの責任ということになっている。始めたのはスペイン、ポルトガル、イギリス、フランスである。

中央銀行というイギリスが始めたマネーゲームに最後まで乗っているのも恐らく日本になるだろう。中央銀行などそもそも必要ないのである。日本人がそれに気付く日はいつ来るだろうか。多分来ないだろう。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか
2021年12月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194


世界的にインフレが大きな懸念となる中、各国の中央銀行は物価高騰を抑えるための金融引き締めを渋っている。アメリカはいまだ量的緩和を終了できておらず、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁は金融緩和を続ける構えで「マダム・インフレーション」と揶揄されている。誰もみずから株価を下落させたくないのである。

そうした中で痛みを伴ってでも早く行動し早く傷口を塞ぐために利上げを開始した国がある。イギリスである。

イングランド銀行、予想外の利上げ

イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は12月16日、予告なしに政策金利を0.1%から0.25%へ利上げした。ベイリー総裁は中央銀行にとって事前にガイダンスを出すことは有害だと考えている中央銀行家だから、Fed(連邦準備制度)のように事前に予告しなかったことに驚きはないだろう。

イギリスの現在のインフレ率は5.1%(前年同月比、以下同じ)であり、莫大な現金給付を行なったアメリカの6%よりも多少ましである。グラフは最新月の分を含んでいないが次のようになっている。


それでもイングランド銀行は先に動いた。内部でいち早くインフレの危険性を指摘したのは以下の記事で報じたようにハルデーン氏だった。3月の時点でインフレの危険性を指摘できた中央銀行家が他に居ただろうか。

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行 (2021/3/4)
そして最終的にはベイリー総裁もそれに同意したということである。今回の利上げは8対1の多数によって支持されている。

開始された利上げ

イングランド銀行は今後、イギリスのインフレ率は冬のあいだ5%前後、春には6%まで上がると予想している。ちなみにこの予想は11月の予想に比べて上方修正を余儀なくされている。

しかしそれでもイングランド銀行は他よりも早く動いた。アメリカは量的緩和を3月頃までに終了、その後利上げを行うと考えられている。アメリカが金利を上げない間、つまりインフレ率が6%であるにもかかわらずゼロ金利をいまだに維持している間に、インフレは更に加速するだろう。

利上げは当然経済と株式市場にとってマイナスとなる。ただ、イギリスの株式市場は今のところ過剰反応はしていないようだ。


歴史的には、1回目の利上げですぐに株価暴落となることは少ない。以下の記事を参考にしてもらいたい。

世界的インフレで株価暴落が起きるのはいつか
マイナード氏: 利上げの初期には株を買え


しかしそれでもコロナで疲弊した現在の実体経済は何処の国も脆弱であり、株式市場もそれほど長くは耐えられないだろう。

結論

それでもイギリスはいち早く利上げを開始した。個人的にはこれが正しい選択だと思う。火は小さい内に消火するに限るからである。そうすれば消費者に及ぶ物価高騰の被害もアメリカやユーロ圏、そして日本よりも小さくなるだろう。

筆者はどの国が先にインフレに向き合うか興味を持って見ていたが、やはりイギリスだった。中東人をヨーロッパに甘言でおびき寄せて地中海で溺れさせる移民政策から一番最初に手を引いたのもイギリスだった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
そしてもっと言えば、2度の世界大戦で2度とも勝っているのもイギリスなのである。それは偶然でもイギリスが軍事的に強かったためでもない。イギリス人は沈みゆく船を嗅ぎ分けることに関して天賦の才を持っている。インフレ政策は沈みゆく船だということである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194  

44. 中川隆[-14508] koaQ7Jey 2021年12月21日 20:01:08 : Tcpj8XXBCE : RHV1SU9zZTg0ZHM=[2] 報告

2021年12月21日
アメリカはインフレ警戒で利上げ、世界は同時不況の法則

インフレを解消するため政府は意図的に不況を作り出す


米利上げが終わらせる10年来の金融資産バブル

世界では新型コロナ異種のオミクロンが再流行しているが、オミクロン以上にインフレが恐れられれている。

各国の物価上昇率は1年前と比べて、アメリカ、ドイツが6%台で高く、イギリス4%台、フランス、中国は2%台だった。

日本は主要国唯一の1%未満となる0。1%で、マスコミはインフレ危機をあおっているが実際はデフレです。

インフレ率は相対的なものなので日本はアメリカと比べて年2%、中国と比べても年2%デフレです。

アメリカはインフレを警戒していて、不況下で物価だけが上がるスタグフレーションや、ハイパーインフレを懸念している。

スタグフレーションは1年で物価が10%上がるのに、成長率はマイナス10%になるような状況です。


日本もバブル期にはインフレに悩まされ、悩んだあげく急激な利上げでバブル崩壊させた。

アメリカもインフレ退治のために利上げを決断し、2022年は3回ほど利上げする。

米政策金利は現在0.25%だが過去には利上げによって世界的な不況を引き起こしている。


一般的に米金利が5%を越えると不況になり、日本や外国もその影響を受ける。

5%はまだ遠いがこれも相対的もので、0%から3%程度に利上げすれば、2%から5%になったのに等しい。

過去の世界的不況の多くには米利上げが関わっていて、逆に世界的好景気には米利下げが関わっている。

世界不況の震源地はいつもアメリカ

例えばリーマンショック以降の世界金融バブルはアメリカが不況対策で利下げを10年以上続けたので起きた。

コロナによる金融バブル、株価バブルもアメリカが数百兆円ものお金をばらまいたので起きた。

利上げは逆にお金を回収する事なので、株価は下落し金融バブルは縮小します。


例えばソフトバンクは新興企業を買収しては上場し、巨額の資産を築いてきました。

その大元のお金はFRBが利下げや緩和政策でばらまいたお金で、決して孫正義の千里眼とかではない。

アメリカの利上げは最初目立った影響がないが、これも過去の利上げではそうでした。


最初の小出しの利上げは効果が薄いので、どんどん追加利上げをし、インフレが収まるまで無限に利上げします。

利上げが2年目、3年目になると目に見えて株価が下がり、景気が悪化していきます。

こうなると全世界同時不況になり、新たな経済ショックが発生します

https://www.thutmosev.com/archives/87383457.html

45. 中川隆[-14449] koaQ7Jey 2021年12月24日 09:44:58 : zPeXbWXQFc : RlBrUHl2NnpoOEU=[32] 報告
3回で足りるわけない米利上げ。2022年の米国経済は低速成長、日本株は20%超の下落も=藤井まり子
2021年12月22日
https://www.mag2.com/p/money/1140016

12月FOMCの結果は、市場の予想通りであり大きな波乱は起きずに済みました。しかし現在の米国経済のインフレ状況を見てみると、今のFRBの方針では抑えこむことは不可能です。2022年以降、FRBは掌返しで利上げを激しく行う可能性が高くなってきました。2022年以降の世界経済の行方について解説します。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)


パウエルFRBの「一日天下」
12月14〜15日に行われたFOMCの結果(=中身)と、その影響は15日当日だけの「わずか1日」だったことは、当メルマガ12月14日号で解説した通りになりました。

すなわち、パウエルFRBは、この日のFOMCの金利見通しを、金利先物市場の「のんびりと間違った金利予想」にこれ幸いと便乗して追随、「来年の利上げはおよそ年3回程度」としました。

記者会見も成功しました。議長は上手にしらばっくれて「内心のパニック」を市場に見透かされることはありませんでした。

その結果、内外の株式市場はほっと肩をなで下ろしました。アメリカ時間で12月15日当日は、アメリカ株式市場は「大幅上昇」で反応。翌日16日の日本株式市場もこのアメリカ株式市場に追随して、「爆上げ」で反応しました。

しかしながら、12月15日の「大幅上昇」は、よくよく調べてみるとその内実は「今回のFOMCの失敗」に賭けていた投機筋が、想定外の上昇に踏まれて、「売りポジション」を強制的に解消させられたことから起きていました。やはり、彼ら投機筋は「下げ」に賭けていたのです。

ですから、パウエル議長の「大芝居」が効力を発揮できたのは、踏み上げの起きたわずか1日だけでした。

一部の内外の市場関係者は、翌々日からは、もう一度改めて「FRBの来年の利上げ見通し」について精査を開始し始めた模様です。

12月16日、アメリカドル国債はさらに買い進められて、長期金利は再び1.40%台まで低下。 イールドカーブもフラット化したまま。 近い将来のアメリカ経済に「暗い見通し」を示します。

どちらにしろアメリカ経済はスローダウンする
これはローレンス・サマーズ元財務長官の指摘するように、ドル国債の金利市場が、次のことを警戒しはじめたことの現れでしょう。

すなわち、パウエルFRBは、来年3回しか利上げしない。つまり、インフレ退治を放棄して高インフレを放任する。その結果、アメリカ経済は向こう数年間スタグフレーション的な状態に陥って、成長はスローダウンする。

あるいは、FRBのインフレ退治のためのビシバシ利上げで、向こう2年以内にアメリカ経済がスローダウン、もしかしたらリセッション入りするかもしれない。

つまりは、「どっちみち、アメリカ経済はスローダウンする」ことを、市場が警戒していることの現れでしょう。

16日から、内外の株式市場は弱含みに転じて、調整局面入りへ。やはり、年末から年始にかけて、10%調整は巻き起こりそうです。

今年12月の株式市場は、「ドル国債市場の異変」すなわち「ドル国債のイールドカーブのフラット化」「アメリカ経済の近い将来の異変への懸念」に追随して、いつ調整を開始しても不思議では無かったのです。


2022年にFRBは激しい利上げをする
2022年は、FRBが「ビシバシ利上げ」を開始する最初の年です。

ところが、金利先物市場の来年の利上げ予測は、いまだに「のんびりと間違ってる」まま。先物市場は、来年2022年のFRBの利上げを3回くらいしか織り込んでいません。

パウエルFRBも、この「金利先物市場の間違っている、のんびり予測」に便乗して、FRBも12月のFOMCでは「しらばっくれて」います。

しかしながら、FRBがいま現在の「アメリカの7%近い高インフレ」を抑え込みたいならば、FRBが政策金利を中立金利よりもはるかに高いところまで引き上げることが必須です。

今のアメリカの中立金利は、「2.00〜3.00%」と推定されています(分りやすくするために、今後は、その中間を取って「中立金利:2.50%」と記します)。

すなわち、パウエルFRBが高インフレを退治したいならば、FRBは政策金利を「2.50%」よりはるかに高い水準へ、「ビシバシ」引き上げて、加熱気味のアメリカの内需をクールダウンさせて、アメリカ経済をスローダウンさせることが、必須です。

来年2022年のパウエルFRBは、7%近い高インフレを抑え込みたいならば、本当のところは、「1回の引き上げ率が0.25%ならば、1年間で8回をはるかに上回る政策金利の引き上げが必要」なのです。

2022年の米利上げは、年8回以上も必要?
ところが、年8回以上の利上げは、ものすごい勢いの利上げです。今のパウエルFRBは「とても厳しい現実」に直面しているのです。

「イールドカーブがフラット化して、長期金利が極度に低いまま」のドル国債の金利市場は、「後手後手に回り過ぎたパウエルFRBがさっさとインフレ退治を諦めて、今後はたいした利上げを行なわないまま、アメリカ経済をスローダウンさせてゆく」ことを織り込んでいるかもしれないのです。

一方、ローレン・サマーズ元財務長官によれば、もしかするとひょっとすると、「今のパウエルFRBさえも、この『厳しい現実』については、ちゃんと理解していない」かもしれないとのことです。

この「厳しい現実」を知った時、パウエルFRBは改めてパニックに陥って、内外の株式市場も震かんすることでしょう。

2022年はジェットコースター相場。どこかで20%の調整も
来年2022年のFRBは、どこかのFOMC会合で「間違っている市場予想」を大きく裏切りながら「今年は年8回の利上げが必要だ」と正直宣言して「タカ派へ急旋回」するかもしれません。この時、内外の株式市場は20%くらいの大幅調整をすることでしょう。

あるいは、来年2022年のFRBは、FOMCの会合が開かれるたびに、「2022年の利上げ見通し」を幾度も幾度も「小幅のタカ派修正」をして、幾度も幾度も「間違っている市場予想」をちょっとずつ驚かせていくかもしれません。

この場合は、内外の株式市場は5〜10%調整を繰り返すでしょう。が、どこかの時点で市場は、「自分たちもFRBも大きく間違っている」ことに気がついて、大幅調整するかもしれません。

いずれにせよ、来年2022年は、FOMCの会合が開かれるたびに、内外の株式市場は「市場予想を大きく上回る利上げ予告」に、動揺して調整することでしょう。

かくして、2022年は株式市場は乱高下が激しくなり、どこかの時点で、20%調整も起こり得るでしょう。

すなわち、来年2022年の内外の株式市場は、おそらく、「毎年株価が弱含む春から秋」(?)にかけて、一時的に20%くらいの大幅下落などなど、乱高下の激しい年になることが今から警戒されています。

それでも、2022年は、アメリカ経済では実質金利はマイナスのままです。S&P500は年間を通じては、まだ5〜6%の運用益は得られるだろと予想されています。 1年を平均してみると、おおむね株式ブームは継続することでしょう。

2022年末の株価目標は、とてもとてもザックリですが(2022年の予測は今までで一番ざっくりした予測です!)S&P500は、5,000〜5,100ポイント。2022年末のS&P500の株価目標については、モルガン・スタンレーなどの弱気派は(12月に入ってからさらに下方修正して)4,400ポイントとしています。ちなみに、モルガン・スタンレーは毎年弱気派です。

ヨーロッパ株式市場:高パフォーマンスが期待できる
ヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも「出遅れ感」が強いです。2022年のヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも高パーフォーマンスが期待されています。

日本株式市場:アメリカよりもさらに売り込まれる
主体性の無い動きを続ける日本株式市場は、来年もアメリカ株式市場の動きに追随することでしょう。

岸田政権による経済刺激策は、張りボテなだけで「中身はしょぼい」のが実態です。日本経済は、引き続き内需が弱い状態が続きそう。

ですから、日本では2022年においてもたいしたインフレは起きないでしょう。

さらに、2022年の日本経済は引き続き中国経済の影響も強く受けます。が、その中国経済も2022年に入っても不動産バブル崩壊の後始末に手こずったまま、来年は成長が大きくスローダウンすることが見込まれています。

結果、来年アメリカ株が大きく売り込まれたときは、日本株はアメリカ株よりももっと売り込まれることでしょう。来年は、おそらく春から秋にかけて、一時的にせよ日経平均が2万4,000円を大きく割り込むなんて「悪夢」が現実になるかもしれません。裏を返すと、「ビック・チャンス」なのですが…。

2022年末の日経平均は、2万9,500円〜3万0,500円と予想しています。

中国株式市場とその他の新興国株式市場
中国は、来年も「大型不動産バブルの後始末」に追われて成長が大きくスローダウンしそうです。株式市場の大幅な上昇は、あまり期待できません。

中国と関係の深い新興国株式市場もあまり期待はできないでしょう。

ただし、2022年のどこかの時点で、「ドル安」基調が始まって、「ドル安新興国通貨高」トレンドが始まるならば、この限りではありません。

「ドル安トレンド」が始まるならば、中国株式や新興国株式にもチャンスが訪れるかも知れません。


アメリカの高インフレは向こう3年は続く?
繰り返しになりますが、今のアメリカでは7%近い高インフレが猛威をふるっています!

今から記すことは、2022年内はあまり心配しなくても良いかもしれません。心配し始めたほうがよいのは、再来年(2023年)以降でしょう。

この高インフレは向こう3年くらいは続くことでしょう。

来年2022年は、パウエルFRBが「高インフレと戦うために、ビシバシ利上げをする、向こう2〜3年間の『最初の年』」です。

FRBが「大きく後手後手に回っている、回り過ぎている」ために、今の7%近い高インフレは、今後もますます燃えさかっていく可能性が高いです(夏場には、二桁近いインフレが起きても不思議ではないです)。

さて、繰り返しになりますが、この高インフレを抑え込むためには、「中立金利:2.5%」よりもはるかに高い政策金利が必須になります。

パウエルFRBが「来年1年間で0.25%の政策金利の引き上げを8回行なった」としても、「来年末の政策金利は2.00%」です。まだ「中立金利:2.50%」には及びません。「政策金利:2.00%」では、まだ高インフレを抑え込むことはできないのです。すなわち、この「2.00%」水準では、来年末になっても、7%近い高インフレは加速することはあっても、沈静化したり、下火にはなっていないのです。

さらに、「金融引き締めによるインフレ退治」には、半年か1年のタイムラグが必要です。大変驚くべきことかもしれませんが、アメリカの政策金利が2.50%よりも遙かに高くなった時点から、さらに半年から1年の時間が経過しないと、高インフレは沈静化し始めないのです。

すなわち、来年2022年は無理だとしても、再来年の2023年のどこかに時点で、FRBの政策金利が「中立金利2.50%」よりはるかに高くなるかもしれません。そして2023年に、やっとこさ、はるかに高くなったとしても、7%近い高インフレは2023年末になっても燃えさかっているはず。FRBがここまでバカスカがんばっても、アメリカで高インフレが止まるのは、2024年に入ってから。これが、パウエルFRBが後手後手に回ってしまった結果の「厳しい現実」なのです。

かくして、パウエルFRBがどんなにうまくやっても、現在進行形の高インフレは2024年に入って「やっと静まり始める」程度でしょう。

パウエルFRBの「高インフレとの戦い」、言い換えると、「ビシバシ利上げを続ける年」は、少なくとも「向こう2〜3年間は続く」のです。

3年間の「高インフレ」がアメリカ経済に及ぼす影響
7%を軽く上回るようなインフレが向こう2〜3年間は続くと、アメリカ経済はどうなるのか?

2022年から2023年のどこかの時点で、インフレが二桁に近づいたりすると、パウエルFRBがますますパニックに陥りやすくなります。パウエルFRBがパニックに陥って利上げをし過ぎて、アメリカ経済が大きくスローダウン、リセッション入りしてしまう可能性は、かくして生まれるわけです。確率としては30%〜40%。

反対に、パウエルFRBが中央銀行としての責任を放棄する可能性もあります。パニックに陥り過ぎて、無気力になったFRBは、何もしなくなる可能性があるのです。すなわち、驚きべきことに、FRBはビシバシ利上げなどは行なわずに、高インフレを放置する可能性が今から指摘されているのです。

来年2022年の利上げでは、パウエルFRBは「市場予測通りの年3回の利上げ」だけに留めて、インフレ退治を最初から諦めてしまう可能性があるのです。

結果、アメリカ経済は向こう数年間は「スタグフレーション的」な状態に陥って、やはり経済成長は大きくスローダウンしてしまうことでしょう。最終的には、アメリカは数年後あたり(?)にアメリカ経済は正真正銘のスタグフレーション(不況の中の物価高)に陥ってしまうことでしょう。確率としては、33%くらいと読んでいます。

かくして、アメリカ経済が無事にソフトランディングする確率は20〜25%くらいに低下しています。

46. 中川隆[-14408] koaQ7Jey 2021年12月28日 11:16:55 : Y4RaJLU9Ds : VDdQZHR4alRReXc=[10] 報告

2021年12月28日
サマーズ元財務長官、アメリカはスタグフレーションになると予言

大きな不況ではその場に留まれず下に落ちていく


リセッションが目前に迫っている

今アメリカ人が最も恐れているのはコロナではなくインフレと不況で、非常に高い確率で現実化すると予想されている。

サマーズ元米財務長官は最近、アメリカはリセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあると語った。

日本語では「深刻な不況とハイパーインフレが同時に起きるだろう」とでも翻訳でき、かなり強い表現でした。

今まで10年ほどアメリカの経済関係者は「世界がどうなろうとアメリカ経済は無敵」のような発言を繰り返してきた。

それが今はみんなインフレ、リセッション、スタグフレーション、利上げなどの話をしている。

事の始まりは2007年のサブプライムショックで、ホームレス向け住宅ローンである事を隠して投資家に販売していた。


こんな物がうまく行く訳がないのだが、成るべくしてサブプライムは破綻し、連鎖的にリーマンショックに至った。

当時の状況はアメリカの破綻は秒読み、ドルは明日にもデフォルトし紙切れになるとされていました。

大手メディアもすべてアメリカ破産の現実味を記事にしていて、もうアメリカは復活しないと思われていた。


ところがバーナンキというFRB議長が「お金は使えば使うほど増えていく」というヘリコプター理論を展開した。

「金がなければ空から撒けば良い」という名言を残して無限大の金融緩和を行い、政府も無限大の支出をした。

この結果アメリカ政府は破綻したりせず、面白いようにお金が増えてあっと言う間に経済回復しました。

再びリーマン級の不況がやってくる

これがMMT理論の始まりで、アメリカが実際にやってみて大成功したが日本政府は拒否しています。

中央銀行がお金を無限に発行し、政府は無限大の支出をし、それでGDPが増えて税収が増えるので良いじゃないかという考えです。

こうしてアメリカ経済は奇跡の復活を遂げ、2020年まで空前の好景気を続けました。


ここでコロナウイルスがアメリカを襲い、アメリカはまたまた無限のお金を発行し政府は無限の支出をしました。

アメリカは2020年の1年間だけでコロナ対策で数百兆円を使い、国民は受け取った金で消費し空前の好景気になった。

土地や住宅から株からビットコイン、自動車にPS5まであらゆる商品が売れまくりました。


その結果2021年のインフレ率は6%を超え、これはアメリカでは危険な水準と認識されている。

日本のバブル経済と同じ話で、景気を良くし過ぎたらインフレになったので、インフレ鎮静化する必要が生じた。

インフレ率を下げるには利上げが有効だが、利上げは「お金を動かなくする」ので景気を悪化させます。


サマーズ元財務長官は、利上げをしてもハイパーインフレを防げず、不況とインフレが同時に起きると予言している。

実際そうなったらアメリカだけでなく、日本や全世界がリーマンショック級の不況に陥るでしょう

https://www.thutmosev.com/archives/87423256.html

47. 中川隆[-14201] koaQ7Jey 2022年1月14日 16:28:50 : YiKsQr8iaU : Y0FrLlhZZEZ2NkE=[2] 報告

2022年01月14日
米利上げでアメリカと世界の好景気は終わる

米利上げは世界経済を悪化させます

利上げの影響は徐々に大きくなる

アメリカは2020年から21年にかけて新型コロナへの経済対策で数百兆円を支出し、金融バブルを創出しました。

米企業や米国民は政府からお金を受け取り投資や消費をし、米企業は空前の好業績で消費が拡大した。

アメリカだけでは使い切れないほどのお金を手にしたので人々は投資し、企業の株価は空前の高値を更新し続けた。

余った金はビットコインなど仮想通貨にも向かい、それでも使い切れないので全世界に投資され駆け巡った。

これが2020年から21年に起きた世界マネーバブルで、大元のお金は米政府とFRBが出していました。

だがアメリカは景気が良くなりすぎてインフレになり、21年のインフレ率は6%以上にもなりました。


インフレで好景気がずっと続けば良いが、インフレで不況になるとスタグフレーションという南米型経済崩壊が起きる。

ジンバブエとかベネズエラでは物価が年に何倍にも値上がりするのにマイナス成長で、こうなってしまうと再生は困難です。

アメリカはジンバブエのようになる前に利上げで経済を冷やしてインフレ率を低下させる事にしました。


2022年は4回の利上げが予定されていて、現在の0.25%から一度に0.25%ずつ利上げし年末には1.25%にするでしょう。

それでインフレが収まらなければ来年も利上げが続き、利上げは数年間つづくことがあります。

米利上げになるとドル高円安になるとマスコミや評論家は言いますが、実際には逆に円高ドル安になります。

デフレの日本が勝者になるか

これはマスコミの人は短期的な予測を好むからで、利上げすると金利収入を当て込んで一時的にドルが買われます。

だが『金利』は本質的に信用度を表すもので、高金利通貨は信用度が低く、低金利通貨は信用度が高い。

だからジンバブエやベネズエラやトルコの通貨は必ず暴落し、日本円のような超低金利通貨は結局円高になります。


米金利が1%なら影響は小さいが、2%、3%、4%と利上げすれば、ドル円レートは「1ドル100円、90円、80円」と円高になります。

2013年以降は円安が進みましたが、これは米国が低金利政策を続けたので日米金利差がゼロに近くなったからです。

米国が利上げを続け日米金利差が拡大すると通貨が不安定になり、1997年のアジア通貨危機もこんな状況下で起きました。


2007年からのリーマンショックも米利上げの最中で、過去の多くの世界不況はアメリカの利上げで発生していました。

リーマンショックの始まりである2007年8月に5.25%だった米政策金利は2008年1月には3%、12月には0.25%に引き下げられました。

例えば現在0.25%の金利を1.25%に上げると、銀行は金利として5倍もの金額をFRBに支払う必要がある。


金融機関は貸し出しを渋るようになり、社会にお金が回らなくなって不況になり、インフレ率が下がる仕組みです。

日本は相変わらずデフレなので、少しインフレ率が上がっても米国のようにはならないでしょう。

すると世界で日本だけ低金利という事になり、これは恐らく超円高要因になります。


米国が急ピッチで利上げを続けると、ドル円レートは100円を割り込み95年や2011年の円高を試しに行くでしょう。

同時に日本だけお金を借りやすいという事でもあるので、もしかしたら日本経済にはプラスになるかも知れません

https://www.thutmosev.com/archives/87538507.html

48. 中川隆[-14154] koaQ7Jey 2022年1月18日 07:50:53 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[9] 報告
サマーズ氏、インフレを強欲な企業のせいとした民主党を批判
2022年1月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18847

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、先週発表されたCPI(消費者物価指数)を受けてインフレについてコメントしている。

1970年代の物価高騰を繰り返す

12月のアメリカのインフレ率は遂に7%台に到達した。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
この発表を受け、サマーズ氏はこの水準がどれだけ高いか説明している。

インフレ率が去年の2/3の水準だった時にニクソン大統領は賃金の統制を行なった。現在のインフレ水準はベトナム戦争に起因する物価高騰の頂点よりもなお高い。

これはつまり、アメリカで物価高騰が止まらなくなった1970年代におけるインフレ第1波より高い水準にあるということである。当時のインフレ率は以下のようになっている。


少し前まで1970年代のインフレのようにはならないと言っている人が何人も居たが、現在のインフレ率は既に当時の水準に達しているということである。

インフレは一時的ではない

何故物価がここまで上昇するまで放置されてきたかと言えば、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長やバイデン政権の政治家たちが何の根拠もなくインフレは一時的だと主張してきたからである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
彼らは最初何の根拠もなくそう主張し、次に債券投資家のスコット・マイナード氏らがコロナによる一時的な半導体不足で中古車市場が高騰していると指摘すると、その主張をオウムのように繰り返してきた。

しかしインフレはそうした一時的な要素だけではないと何度も主張してきたのが、経済学者のなかで恐らく世界で唯一、金融の実務家にも一目置かれるサマーズ氏である。この状況をこれまで警告し続けてきたサマーズ氏は次のように言う。

経済統計はわたしが言い続けた通りの展開となっている。確かにインフレのいくらかの要素は一時的なもので、それらは後退するが、全体としては根強い物価上昇に向かっている。それはインフレ期待にも賃金の上昇にも労働力不足にも表れている。

労働市場はかなりの過熱状態にある。失業者に対する求人の比率はかなりの期間なかったほど高い。カウンセラーからマクドナルドの店員まで、労働者は何処でも不足している。経済の生産能力に比べて購買力と需要は過剰となっている。

このままではインフレは高止まりするだけでなく、加速し続けるだろう。

問題はもはやコロナで一時的に生産不足となった一部の商品だけのものではなく、経済全体のものとなっている。その証拠の1つは労働市場であり、もう1つの証拠は以下の記事でジェフリー・ガンドラック氏が言及していた住宅バブルだろう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
インフレが止まらなければ、これまで経済と株価を支えてきた低金利政策を撤回して利上げなど金融引き締めを行わなければならなくなる。これまで低金利に依存してきた経済と株価がどれだけ耐えられるかは、あまり希望のある話ではない。

サマーズ氏は次のように言う。

実体経済は過熱しており、Fedは混乱を招くことなしに経済を冷却するという本当の困難に直面するだろうが、それに成功した例は過去にほとんどない。

目を背け続ける政治家たち

しかしどうやらFedとバイデン政権はインフレに上手く対処できそうにない。そもそもインフレという事実を1年以上の間認めなかった彼らに何が出来るだろうか。

彼らは最近になってようやくインフレの事実を認めたものの、今度はその原因を他人に押し付けようとしている。

アメリカ民主党のエリザベス・ウォーレン議員などは、現在の物価上昇は「強欲な企業たち」のせいで起こったと企業を非難している。自分たちの現金給付と脱炭素政策で起こったインフレに対してあまりにも馬鹿げたことである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
サマーズ氏はこうした政治家たちを次のように批判する。

政治家たちが現在のインフレは企業の強欲さから引き起こされたと主張するとき、雇用の安定とインフレの沈静化の両方を達成できる日はどんどん遠のいてゆく。

上で述べたように今や物価高騰は労働市場と住宅バブルの問題となっており、コロナによる一時的な供給減少の問題、あるいはウォーレン氏の主張するように(何の根拠があるのだろう?)個別の企業の問題ではなくなっている。

インフレは加速する

現在のインフレが政策金利が1%以下の低金利下で続くとき、間違いなく1970年代のような2桁のインフレ率が待ち受けているだろう。

サマーズ氏: 中央銀行と市場はインフレを過小評価、政策金利は2.5%以上まで上がる
1970年代には当時のFed議長ポール・ボルカー氏が強烈な利上げを行い、厳しい不況と引き換えにインフレを沈静化させた。サマーズ氏はその繰り返しが起こらないよう祈っている。

ポール・ボルカー氏がFedの議長となった時に必要とされたような過激な経済縮小を回避できることを祈っているし、避けられるとも思っている。

しかしインフレの原因を企業の強欲さや特定の業界のせいにするような政治家たちのやり方は、経済を最終的に景気後退に導くリスクを生じさせる。

だがバイデン政権がサマーズ氏の期待に応えるようなことはありそうもない。もはや問題は、単に経済と株式市場はいつまでもつかということなのである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する
レイ・ダリオ氏など一部の投資家は、まだもう少し猶予があると考えている。

世界最大のヘッジファンド: インフレでも株式は魅力的な投資先


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18847

49. 中川隆[-14148] koaQ7Jey 2022年1月18日 11:04:39 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[17] 報告
金利上昇で高騰する銀行株の買い時・売り時を解説!
2022/01/14



金利上昇で高騰「銀行株」は買いか売りかホールドか?日本特有の値動きを考慮したトレード戦略=栫井駿介
2022年1月18日
https://www.mag2.com/p/money/1148067


金利上昇で株価が上がっている銀行株について、主にファンダメンタルズの方面から詳しく分析します。銀行株を持っている、またはこれから買おうとしている場合、どのような行動を取るべきでしょうか?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)


銀行の利益はどこから?
アメリカの長期金利が上昇していて、2021年末には1.5%ほどだったものが2022年に入ると一時は1.8%を超えるまでになりました。

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

これを受けて、「金利の上昇と言えば銀行株」ということで銀行株の株価が上昇しています。

220118_kakoi_1

しかし、PERを見てみるとまだかなり低い水準となっています。

株価が上昇しているのにPERは割安なので、まだ買えるのではないかと思えてしまいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。



まず、銀行のビジネスモデルを簡単に説明します。

銀行は、人々からの預金を企業に貸し出したり有価証券で運用したりします。

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企業に貸し出して回収するときの利息から、人々からの預金に付く利息を差し引いたものが利ざやとなり、そこから人件費などのコストを引いたものが最終的な銀行の利益となります。(図は預金利息を0.1%、企業への貸出利息を2.0%と仮定したもの)

このように銀行のビジネスモデルは非常に単純なものとなっています。



企業に貸し出す金利は市場金利+αという形で決まるので、市場金利が上昇すれば企業への貸出金利も上がることになります。

よって、【金利の上昇=銀行株の上昇】という連想が生まれるのです。


日本の金利は上がらない!?
では、アメリカの金利が上がったからと言って日本の金利も上がるのかというところです。

短期的に見ると、確かにある程度の連動性はあります。



日本の10年利回り国債金利も今年に入って大きく上がっています。

日本国債10年 日足(SBI証券提供)
日本国債10年 日足(SBI証券提供)

そもそもなぜアメリカが金利を上げようとしているかというと、最大の理由はインフレの抑制のためです。

これはアメリカのCPI(消費者物価指数)の推移です。

米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

物流の混乱や生産者の不足などでものの価格が上がっているところにさらに金融緩和でお金をばらまいていて、物価の上昇に拍車がかかっています。



2021年12月にはなんと7%も価格が上昇しました。

これが続くと、低所得者層や年金生活者は苦しくなってしまうので、これを抑えるために金利を引き上げて物価を下げるという動きを行わなければなりません。

ところが、今の日本のCPIはこのようになっています。

全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

確かに物価は上がっていますが、数字を見ると、0.6%に過ぎません。

アメリカの7%に対して0.6%なので、大して上がっていないというのが正直なところです。

日本も物価が上がり始めてはいますが、これは金融緩和によるものではなく、物流費や原油価格の上昇によるいわゆる“コストプッシュ型”のインフレなので、利上げを行ったところで物価にはさほど影響がないということになります。

国内情勢だけを見ると、日本は金利を上げる必要は必ずしもありません。

しかし、アメリカの金利に合わせて上げなければならないケースもあります。

アメリカの金利が上がると、自国で運用するよりアメリカに持って行って運用するほうが利益が出るということになるので、世界中からアメリカにお金が集まる、つまりドルが買われ、ドル高となります。

円安ドル高となってしまうと輸入物価が上昇してしまうので、それを抑えるために利上げを行ってアメリカに流れてしまったお金を引き戻さなければならないという側面があります。

一方で、日本には輸出企業が多く、円安になると海外競争力があがるので、円安はどちらかというと歓迎される向きがあります。

したがって、円安になったからと言ってそう簡単に利上げを行うかというと必ずしもそうではありません。

また、ドル/円のレートを見ても、今は1ドル=115円といったところで、過去と比べてもそこまで円安の状況ではありません。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)


【関連】1ドル130円超に備えよ。日銀が円安を放置する3つの理由とは?逆風・追い風が吹く企業も解説=栫井駿介
https://www.mag2.com/p/money/1127780


この間も日本の政策金利はほぼゼロでしたから、それでもそこまで円安になっていないので、日本はそう簡単に金利を上げないのではないかというのが私の考えです。


銀行の業績と金利の関係
しかしながら、メカニズムとしてはアメリカの金利が上がれば日本の金利も上がりやすいというところがあるので、仮に日本の金利が上がった時のことを考えてみましょう。

三菱UFJフィナンシャルグループを例に、金利と業績の関係を見てみます。



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直近10年で、日本の金利は右肩下がりとなっていて、1%あったものがほぼゼロというところになっています。

しかし、1株当たりの利益は横ばいで、業績(株価)もほぼ横ばいとなっています。

長期的に見ると、金利と業績はあまり連動していないという結論がここから導き出せます。

したがって、今、金利の上昇で銀行株が上がっていますが、そんなに長くは続かないのではないか、という仮説が立てられるわけです。



では、金利と業績がなぜ連動しないのかということを考えてみます。

1つ目の仮説として、1%以下の微々たる金利変動では業績にそれほど影響は与えないのではないかというものです。

金利に対する業績の感応度はそれほど高くないということです。

逆に言えば、金利が2%3%と大きく上がっていくようであれば業績(株価)にも影響が出る可能性があると考えます。

2つ目の仮説は、銀行の利益の本質は「長短金利差」なのではないかということです。

先ほどは銀行の利益は運用金利(企業への貸出金利)から調達金利(預金利息)を引いたものと言いましたが、運用金利が上がる時には同時に調達金利も上がることになるので、単純に金利が上がったからと言って利益が増えるというわけではありません。

これは「イールドカーブ」と呼ばれるもので、金利とその償却期間の相関関係を表したものです。

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期間が長くなるほど金利が上がっています。

預金者には6ヶ月や1年など比較的短い期間で利息を払い、企業には3年・5年といった長い期間で貸し出し、その金利の差が銀行の利益となります。

この長期と短期の金利差が大きくならないと銀行の利益は上がらないということになります。

イールドカーブの傾きが上がった時(スティープ化)、初めて銀行の利益が上がります。

しかし、長い期間で貸し出すと当然リスクも大きくなるので、今日本の銀行はそのリスクを下げようとして貸出期間を短くするという動きをしています。(レギュレーションの短期化)

それによって、この長短金利差の恩恵をあまり受けられなくなっているのです。

3つ目の仮説として、オーバーバンキングによる金利競争というものがあります。

実は今、預金量自体はどんどん増えています。

しかし、それを貸し出す先が無いのです。

国債で運用してもそれこそ金利がゼロに近いですから、できれば安定的に金利を払ってくれる優良企業に貸したいところですが、企業の方にも資金需要があまり無く、仮に借りたい企業があったとしても、貸したい銀行がたくさんあるので、より金利が低い銀行から借りようとし、どんどん金利が引き下がることになります。



長期金利とは直接関係なく、銀行は利益を得にくくなっているところです。

以上のことから、短期的な株価を見れば、金利が上がれば銀行株が上がりやすい側面がありますが、長期的に見ると、株価が上がり続けるためのベースとなる業績は簡単には上がらないということが言えます。


売る?買う?ホールド?銀行株の扱い方
結論としてはこうなります。

1. 国内金利が米国と連動して上がるかどうかは不透明
2. 国内金利が上昇したとして、過去10年の業績・株価の連動性は低い
3. 上昇基調の継続あるいはイールドカーブの鋭化があれば、長期的な株価の伸びも期待できる
(3)に関しては、金利やイールドカーブの状況によるので、事前に予測するのはなかなか難しいと思われます。



これを受けて、投資家はどのように動くべきか、私から提案させていただきます。

割安感もあり、既に銀行株を保有しているなら、もう利確のタイミングを探っても良いのではないかと思います。

このグラフを見れば分かるように、株価はボックス圏で、上がったり下がったりを繰り返しています。

(SBI証券提供)
(SBI証券提供)

なぜこのような動きをするかというと、銀行に成長性が見込まれておらず、上がったら早めに売ろうと考えている投資家が多いからです。



これから右肩上がりで上昇し続けることは、よほど金利が上がり続けたり長短金利差が広がり続けない限り、難しいと思われます。

したがって、ここまで上がればラッキーと思っていったん売るということを検討するべきだと思います。

配当目的で保有しているのなら、配当利回りは4%くらいあり、配当としては手堅いので、そのまま持ち続けても良いと思います。

1つの方法として、先ほども示した通り株価はボックス圏で動いているので、上がった時に売って下がったら買いなおすというのも配当株の買い方としておすすめです。

今、上昇しているのでこれから買おうとしている方も多いと思います。

確かにこの上昇トレンドでPERも低いので、上昇がしばらく続く可能性も大いにあります。

しかし、やはり成長性は厳しいですから、どこかで下げに転じることが考えられます。

今から買ってすっと放置というわけではなく、どこで売るかを意識したうえでエントリーするべきだと考えます。

まとめ
1. 割安感で保有していた人 → 利確のタイミングを探る
2. 配当目的で保有していた人 → 基本保有継続だが利確もアリ
3. これから買おうと思っている人 → まだ悪くないかもしれないが、売りどきは意識
50. 中川隆[-14105] koaQ7Jey 2022年1月21日 12:14:27 : 8TUb5hYdHg : dDF5OVNWVlpkLk0=[16] 報告
2022年のスタグフレーションに投資する方法
2022年1月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18949


年始から著名投資家の相場観の紹介に忙しかったため、なかなか書けていなかったが、2022年の投資戦略について包括的に書いてみよう。

インフレと景気後退の合わせ技

2022年のテーマはスタグフレーションである。

スタグフレーションとはインフレと景気後退が同時に来ることである。物価は需要と供給に左右されるが、景気が後退すると通常需要も後退するため、物価押し下げの要因となることが多い。つまりはデフレである。

ここ数十年の間、経済のテーマはデフレと景気後退だった。インフレが起こることはなかった。だがデフレにあぐらをかいて、どんなに紙幣を印刷してもインフレにはならないと高をくくって紙幣をばら撒き続けた結果、アメリカでは前年比7.1%の物価高騰が起こっており、しかも収拾の目処は立っていない。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
リフレ派の似非経済学者たちにインフレは良いものだと教えられてきた多くの人々は、スーパーの食料品の値段が上がり始めてようやく、インフレとはものが同じ値段で買えないことだという事実に気づいたようである。面白い話ではないか。政府やマスコミの言うことを信じるからそういうことになるのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
結果として中央銀行は金融緩和の撤回、そして金融引き締めを強いられている。しかし利上げを行うとインフレが抑制されるより先に株価が暴落するということは、以下の記事を読んだ人には確実に思える話だろう。

金融市場、今年5回以上の利上げを織り込み始める 株式市場は風前の灯火
インフレ対策とは違うスタグフレーション対策

このままでは物価高騰は止まらず、先に景気後退が来そうである。景気後退にもかかわらず物価上昇が収まっていない状態、つまりスタグフレーションは、著名投資家やここの読者には2022年のメインシナリオである。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは半年以上前からこの状況を的確に予想していた。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)
今後の経済動向を予想するのは簡単である。それはスタグフレーションである。

しかし投資家にとってはややこしい問題が待ち構えている。スタグフレーションに賭ける投資は、インフレに賭ける投資よりも複雑だということである。

単にインフレに賭けるだけならば、ゴールドやシルバー、原油や大豆やコーンなどを買えば良い。暗号通貨も上がり続けるかもしれない。物価が上がるのだから、ものを買えば良いのである。金融市場で売買できるこうした商品はコモディティと呼ばれている。

事実、コモディティ銘柄はインフレを織り込んで1年半前から上昇してきた。ここではそうした動きを最初から報じ続けている。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
例えば原油価格は次のように推移している。


だが2022年、金融引き締めは経済成長を殺してしまうだろう。そうなれば株価は暴落し、それはこうしたコモディティ価格にもマイナスに働く。リーマン・ショック時に金価格が暴落していることを思い出したい。

リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
スタグフレーション相場では、単にコモディティ銘柄を買うだけでは駄目なのである。

スタグフレーションへの賭け方

では投資家はどうすれば良いだろうか?

まずはスタグフレーションとはそもそも何であるかを思い出したい。まず名目経済成長率とはインフレ率と実質経済成長率の和である。

名目経済成長率 = インフレ率 + 実質経済成長率
スタグフレーションとは、この内インフレ率はそれほど下がらないが、実質経済成長率が下がってしまう状態のことである。結果として名目経済成長率は必ずしも下がるわけではない。

この名目と実質ということが重要である。例えば株価はインフレを差し引きしていないので名目の数字であり、(銘柄にもよるが)インフレはプラスに働くものの実質経済成長率の減少はマイナスに働く。

この状況で株式という資産クラスが微妙なのは、インフレというプラス要因と実質経済成長率減少というマイナス要因の両方の影響を受けるからである。グロース株など銘柄によってはインフレもマイナス影響となり、そうしたものはむしろ空売り対象だろう。著名投資家も手を引き始めている。

ドラッケンミラー氏、やはりインフレ懸念でハイテク株を利益確定
ジョージ・ソロス氏、インフレトレードを継続 ハイテク株は一部利益確定
そこで、投資家は「名目の成長率からインフレを差し引いたものが下落する」ことに賭ける必要があることが分かる。

名目のものとは、例えば株式である。

一方でインフレに連動するものには金属やエネルギー資源、農作物などのコモディティ銘柄がある。

ここまで言えば多くの読者には分かるのではないか。株式を空売りして、同額のコモディティを買うのである。そうすれば「名目からインフレを差し引いた、実質的な価格減少に賭けるポジション」が出来上がる。それこそがスタグフレーショントレードである。

スタグフレーションで空売りすべきもの

しかし株式と言っても様々な種類がある。2018年の世界同時株安からの読者は実体験として覚えているだろうが、株価暴落と言ってもすべての銘柄が同時に下落を始めるわけではない。

2018年の例ではまず中国株などの新興国株が下落し、次に日本やヨーロッパなどの株式が下落し、米国株が下落した。

同じ国の株式市場でも株価指数に採用されている大型株が下落するのは最後で、日本のマザーズやアメリカならRussell 2000など小型株指数から先に下落する。詳細は当時の記事を読んでもらいたい。

遂に米国株にも減速の兆し (2018/10/8)
世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
また、ガンドラック氏は大型株より先に下落するものとしてジャンク債を挙げており、金利上昇に耐えられない銘柄としては随一のものであるので、筆者もお勧めしている。

ガンドラック氏: 株価急落のタイミングはジャンク債が教えてくれる
ジャンク債の空売りは安全なヘッジになるか
こうした階層構造をランク分けすると次のようになるだろうか。

ランク1: S&P 500など
ランク2: Russell 2000、日本株、欧州株、ジャンク債など
ランク3: 日本や欧州の小型株、新興国株など
現状、ランク1はまだ上昇基調であり、ランク2は横ばい、ランク3は下落済みという感じである。

2018年の例ではランク2はランク1が下落する相場の最後まで上がらずに横ばいを続けたケースが多かった。日本株については最後に一瞬だけ上がったのでそういう可能性もあると考えるべきだが、ランク2の中で分散して空売りしておけばリスクは大きくないだろう。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
スタグフレーションで買うべきもの

一方で同額買うべきものはコモディティである。あるいは株式の中でもコモディティを産出する銘柄についてはコモディティ扱いしても良い。小型株指数とのロングショート(買いと空売りの組み合わせ)はまさにスタグフレーショントレードである。

具体的にはどうだろうか。筆者はそろそろゴールドに手を出して良いと考えている。(しかし上記の空売りと組み合わせたスタグフレーショントレードとしてである。)


ゴールドはこれまでコモディティの中では売られてきた方である。これは利上げがゴールドにマイナスだったからだが、現状の利上げペースではインフレを止められないということがはっきりしてきた今はゴールドに風が向き始めているだろう。

また、現在のインフレのもう1つの原因は脱炭素政策である。化石燃料の供給を強制的に減らしたために化石燃料が高騰している。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
脱炭素に取り憑かれたフランスなどは天然ガスの高騰に現金給付で対応してまさに火に油を注いでいる。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
彼らはどうしても化石燃料を使いたくないため、ヨーロッパでは原子力発電に予算が組まれるなど原発が再注目されている。

原油や天然ガスに直接賭けるのも悪くはないが、天然ガスや原子力などの関連株式銘柄に割安なものがまだ残っている。

そして最後に紹介するのが農作物である。今回のインフレの問題は1970年代以来の大問題だが、農作物にはまだ10年来の高値さえ越えていないものが山ほどある。

例えばとうもろこしである。


他には大豆もある。


とうもろこしと大豆はバイオエタノールの原料となるためエネルギー価格高騰と連動する。

連動しないものとしては、小麦などはまだまだ安いだろう。


また、コモディティでも中国バブル崩壊の影響が大きいものは避けるべきだろう。中国の影響の少ないコモディティと大きいコモディティでロングショートを行うことも出来る。中国については詳細は別の記事に譲りたい。

サマーズ氏: 中国恒大集団のデフォルト危機は日本のバブル崩壊と同じで極めて深刻
恒大集団倒産と中国不動産バブル崩壊で空売りすべき銘柄リスト
結論

以上、買いと空売りを組み合わせたスタグフレーショントレードを紹介した。まとめると、買うべき銘柄は以下のものである。

ゴールド
エネルギー資源や関連銘柄の安いもの
とうもろこしや大豆、小麦など農作物
空売りすべき銘柄は以下のものである。

米国小型株指数
日本株やヨーロッパ株
ジャンク債
中国関連コモディティ
このように、スタグフレーショントレードはインフレトレードよりもよほど難しく、しかもここ何十年もスタグフレーションは起こったことがないため、経験ある投資家は世界にもほとんどいないだろう。

また、物価水準に基づいたトレードの第一のものは米国債のトレードであり、筆者の第一のポジションもそれであることは、もう一度述べておきたい。以下の記事で詳しく説明している。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18949

51. 中川隆[-14041] koaQ7Jey 2022年1月27日 09:34:38 : sUlbBSxYZw : VDIxWXo3Vmwud3c=[19] 報告
マイナード氏: アメリカは2018年世界同時株安を繰り返そうとしている
2022年1月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19117


Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏が顧客向けのレポートでアメリカの利上げがインフレではなく株価を殺してしまう可能性について語っている。やはり優れた投資家は誰もが2018年の株安を思い出しているようである。

量的引き締めの脅威

Fed(連邦準備制度)は元々インフレは一時的なものに過ぎないのでゼロ金利政策を当面維持すると言っていたが、ここ数ヶ月の間にまず量的緩和を縮小し始め、次に今年3回の利上げを宣言し、しかも最近では一部メンバーがバランスシートを拡大した量的緩和を逆回し(縮小)する量的引き締めにまで言及するという豹変ぶりを見せている。

12月FOMC会合結果: 利上げ3回示唆でタカ派に転換も株価は上昇

量的引き締めとはつまり、市場に資金を注入する量的緩和とは反対に市場から資金を吸い上げるということである。Fedの一部メンバーは物価高騰を止めるために量的引き締めもやむを得ないと考えている。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%


この状況についてマイナード氏は次のように述べている。

2018年にFedが利上げを行いながら実行した前回のバランスシート縮小が金融市場にどれほど酷い結果をもたらしたかを考えれば、Fedがまた利上げとバランスシート縮小を同時にやろうとしていることは興味深いことだ。

Fedが最後に行なった金融引き締めは、2018年の世界同時株安を引き起こした。以下は当時の株価チャートである。


当時の議長も今と同じパウエル氏であり、今回インフレが一時的なものではないと長らく認めなかったのと全く同じように、当時彼は株安が自分の金融引き締めのせいだということを認めようとはしなかった。

12月FOMC会合結果は空売り派への満額回答 (2018/12/20)
これは当時も書いたことだが、そもそも量的緩和で投資家がどれだけ株を買ってきたかということを考えれば当たり前のことである。

量的緩和で株価が大いに上がったのだから、量的引き締めでは株価が大いに下がらなければ理屈が合わない。2018年の相場では筆者だけがこの当たり前の理屈を暴落前から主張し続けたが、株価の高騰にのぼせ上がった周囲のファンドマネージャーやバンカーは誰も耳を貸さなかった。バブルとはそういうものである。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)


インフレが量的緩和バブルにとどめを刺す

だが今回の相場では2018年と違う点が1つある。インフレになっているということである。

2018年の世界同時株安は最終的にパウエル氏が間違いを認め、金融引き締めを撤回したことで収束した。

しかし今回は金融引き締めを撤回すると物価高騰がそのまま継続してしまう。株価が暴落してもインフレは金融引き締めを強いるだろう。金融引き締めが止められないとなれば、株価は何処まで下がってゆくだろうか。

特に根拠もなくリフレ派に騙されてインフレを賛美していた人々は、インフレになってようやく物価は安い方が良いという当たり前の事実に気付くようになる。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


12才児でも分かるような事実に誰も気付かなくなる現象のことをバブルと呼ぶのである。あるいは人間は元々12才児よりも頭が悪いのかもしれない。筆者はもうこれはどうしようもないと思っている。人はあまりに簡単に騙されてしまう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


マイナード氏は次のように言う。

明らかに金融市場は投機家の天国となった。ミーム株、ジャンク債、アート、住宅市場、ほとんどすべてのものが青天井に上がっている。

この状況にどう収拾を付けられるだろうか。金融引き締めは緩和によって引き起こされたバブルに終止符を打ち、インフレを抑制できるだろうか。

マイナード氏の答えは、バブルに終止符を打つことは出来るがインフレは抑制できないという何とも悲観的なものである。

もし市場に予想外のショックが与えられれば、それはインフレには即座に影響を与えはしないが、既に過大評価されている資産価格には即座に影響を与え、消費者心理を冷やし経済を不安定化させるだろう。

だが予想外のショックを与えないならば、つまりインフレ率が7.1%の状況で市場の織り込み通り政策金利を1%程度までにしか上げないならば、間違いなく物価高騰は継続するだろう。

結論

現状の問題は明らかである。金融引き締めを行えばインフレよりも先に株式市場が死んでしまう。しかし行わなければ物価が高騰し、後でより大きな金融引き締めを強いられる。アメリカ経済はもう詰んでいるのである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する


投資家に出来ることはいくつかある。まず前回金融引き締めが行われた2018年の世界同時株安を勉強することである。

2018年の世界同時株安では何から順番に暴落したかを振り返る


そしてその上でどういう投資が出来るのか考えてみるべきだろう。繰り返しになるが2022年はかなり難しい相場になる。読者の幸運を祈りたい。

2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19117

52. 中川隆[-14028] koaQ7Jey 2022年1月28日 10:29:27 : 8BXFZ7d3Hw : blVPV25wWkNUY3M=[2] 報告
アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
2022年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19181


やってしまったと言うか、他にどうしようもなかったと言うか、どうだろうか。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合の結果を米国時間1月26日に発表し、政策金利の維持を決定した。

しかし問題は同時に発表された量的引き締めである。

「バランスシート縮小の原則」

まず、ゼロ金利が今回の会合で維持されることは事前に説明したように織り込み済みである。市場では利上げ1回目は3月と織り込まれており、今回発表された声明文でも以下のようにアナウンスして3月の利上げを確認している。

雇用の最大化と2%のインフレ目標達成のため、政策金利を上げることがもうすぐ適切になると予想している。

だが今回のFOMC会合ではいつもの声明文および記者会見とは別に「バランスシート縮小の減速」と銘打たれた文書が公開された。この文章の最初にはこう書かれている。

FOMCはバランスシートの規模を大きく縮小する計画的なやり方についての情報を今回の会合で公開することが適切であるとの合意に達した。

ここの読者には説明不要かもしれないが、量的緩和とは中央銀行が債券などを買い入れて市場に現金を供給する金融緩和であった。中央銀行が保有する証券の量が膨らむので、量的緩和はバランスシート拡大とも言われた。

今回発表されたのはそれを逆回しにする「バランスシート縮小」である。つまり中央銀行が保有する債券の量を減らすことで市場から資金を吸い上げる量的引き締め政策なのである。

量的引き締めと株価暴落

量的引き締めが最後に行われたのは2017年の秋で、これは結局2018年終盤の世界同時株安を引き起こすまで続いた。2018年の株価暴落のチャートをもう一度掲載しておこう。


当時の株式市場は量的引き締めが開始されてから4ヶ月後の2018年1月末に一度下落し、そこから再上昇してから2018年終盤に大きく下落した。

だがこれから起こる今回2022年の暴落に比べれば当時の20%の下落などほとんど下落していないに等しいだろう。当時は結局Fedのパウエル議長が金融引き締めを撤回したから株価は戻ったのだが、今回は金融引き締めを撤回できない理由がある。インフレである。

インフレと金融引き締め

日本の3倍以上の規模で行われた現金給付と化石燃料の供給を無理に減らす脱炭素政策によって、アメリカのインフレ率は7.1%に達している。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%


経済の中に資金が多すぎ、脱炭素やコロナのお陰でものの供給は少なすぎるのである。物価高騰を抑制するためには資金を吸い上げなければならない。パウエル氏はまず今年3回の利上げを宣言し、そして今回量的引き締めを発表した。

前回の量的引き締めでは開始から4ヶ月で株価の下落が始まった。では今回の量的引き締めはいつから始まるのだろうか? 例の「バランスシート縮小の原則」には次のように書かれている。

バランスシートの縮小は政策金利を上げるプロセスが開始された後に始まると予想している。

上記のように利上げは3月に始まるから、量的引き締めは早ければ春には開始されるというシグナルをFedは送っているわけである。

金融引き締めと株価の今後

前回の量的引き締めがトランプ政権の強力な経済政策でかなり強かった市場経済を4ヶ月で屈服させ始めたことを考えれば、コロナで弱体化している今の経済では株価は今年の半ばまでも持たないということはほぼ間違いがないだろう。それが春の量的引き締め開始が意味することである。

また、パウエル議長は記者会見でかなり無責任なことを言っている。

バランスシート縮小の詳細は最大雇用と物価安定の目標に応じて決められることになる。

縮小の具体的なタイミングやペースやその他の詳細については何も決めていない。

実際には何も決めていないのではなく、決められないのである。

パウエル氏の心中

今回の会合はどちらかと言えばタカ派側に振れたと思う。そしてその理由を考えれば、金融引き締めが今後どのように決められるかが分かる。

パウエル氏は金融引き締めをずっと躊躇っていた。物価がどんどん高騰していたにもかかわらず、特に根拠もなく「インフレは一時的」だと言い張っていた。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ


だが物価高騰がアメリカで社会問題となり、バイデン大統領がインフレ抑制を要請して初めて金融引き締めに取り掛かり、そして今度は動揺する株式市場を無視して量的引き締めを行おうとしている。

このパウエル氏の変わり身をどう解釈すべきだろうか? 筆者が思い出したのは、ジム・ロジャーズ氏の以下のコメントである。

ジム・ロジャーズ氏: 金融市場でまだ安いのはコモディティだけ


長らく相場にいた結果、こういう人々の言うことには耳を貸しても仕方がないということを学んだ。彼らが気にしているのは自分の職を維持することで、あなたやわたしや子供たちのこと考えているわけではない。彼らは自分の職のことしか考えていない。

つまり、パウエル氏は人々が「インフレはまだ大丈夫」と思っている間から早期にインフレ対処のために金融引き締めを行い、市場を暴落させて自分の責任になることを嫌って緩和を続けていたが、人々がインフレを気にし始めたならば、金融引き締めを行なって株価が暴落しても「そうしなければインフレが酷くなった」との言い訳が成り立つ。

パウエル氏が自分の職と責任のことしか考えていないということは投資家にとって非常に重要である。筆者はこの推論から、今のパウエル氏は株価をある程度犠牲にしてもインフレが収まるまで金融引き締めを続けると予想している。

いや、ある程度どころか、仮に株価が暴落してもインフレが高止まりしていた場合、金融引き締めをそれでも継続するかもしれない。そうなれば、株式市場の下げ幅は2018年の20%ではなく、以前アメリカが物価高騰で金融引き締めを止められなかった1970年代の60%下落になりかねない。


ちなみにこの場合ドル円も下落するので、米国株を為替ヘッジなしで買っている日本の投資家は株安とドル安で本当に死ぬことになる。この点についてはここでは何度も警告してきたので、ここの読者にそういう人は流石にいないだろう。

今後の見通し

2022年前半の市場と経済はどうなるだろうか。Fedが3月に利上げをしてもインフレ率7.1%に対して政策金利0.25%である。インフレが止まるはずがない。

Fedのタカ派的なスタンスにもかかわらず、4月にかけてインフレはますます酷くなり、Fedが何もしなくても市場では金利が上がってゆき、株価にはかなりの重しになってゆくだろう。以下の記事で説明した通り、結局金利を決めているのは市場であってパウエル氏ではないのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


パウエル氏が何も気付かないとしても、4月頃には現在織り込まれているような4回程度の利上げ(つまり1%程度の政策金利)では7%のインフレは止まらないということに市場は気づき始めるだろう。そして金利は株式市場が耐えられる水準を越えて上がってゆく。中央銀行が何もしなくともそうなるだろう。

著名投資家の中には株価の天井はまだだと踏んでチキンレースを繰り広げている人々もいるが、筆者は今回の量的引き締め発表で株価は遅くとも今年半ばまでの命だということを確信した。

仮にここから株価が短期的に反発したとしても、それに乗ることは本当にお勧めできない。仮に株高基調に戻ったとしても数ヶ月の命だからである。

そもそも何故この状況で株高に賭けなければならないのだろうか? 以下の記事で書いた通り、この相場で儲ける方法ならいくらでもあるのである。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19181

53. 2023年1月24日 12:46:02 : 9EFmn2TYns : aEdyUUVXVk5WdE0=[2] 報告
ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
2023年1月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32998

世界中が日銀に注目している。何故ならば、日銀のイールドカーブコントロールが破綻しかけているからである。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797


DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社のRound Tableで日本の金融政策を皮肉っているので紹介したい。

日銀のインフレ政策と日本のインフレ

2013年のアベノミクス以来、日本銀行は大規模な量的緩和を行なってきた。

日銀の量的緩和は途中でイールドカーブコントロールに進化した。イールドカーブコントロールとは、長期金利に上限を設け、金利がその上限を超えないように長期国債を買い入れるもので、イールドカーブコントロールがある限り政策金利どころか長期金利についても永遠の低金利が実現されたかのように見えた。

だが40年続いた米国株上昇相場が終わるように、何事も永遠には続かない。

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する


何故ならば、アメリカの低金利がインフレで終わったように、日本の低金利もインフレで終わるからである。

日本のインフレ率は去年の半ばから上昇を始め、最新の数字では4%に達している。

その原因の多くは日銀のインフレ政策による円安経由での輸入物価高である。(ウクライナがどうこうと未だに言っている人に言うべきことはもはやない。)

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


去年の為替相場では日銀の緩和政策のお陰でドルやユーロどころか東南アジアなどの通貨に比べても円の価値は下がった。日銀が日本円を刷りまくっているからである。

インフレ下でインフレを目指す日銀の愉快な緩和政策がガソリンや食料品などの価格を上げ始めたため、インフレ政策が実はインフレを目指すものだったというアベノミクスの頃からの自明の事実に日本国民がついに気付いてしまった。

あまりに素早い頭の回転である。それで日銀はイールドカーブコントロールを修正し、長期金利の上限を0.25%から0.5%に上げた。当然ながら長期金利は上がった。2013年以来の低金利の終わりである。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31979


日銀の方向修正

ドル円はアメリカ側の状況もあり下がり始めている。ドル円の下落予想は2023年の筆者のメインのトレードである。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2022-1-23-usdjpy-chart.png


輸入物価高だけが問題ならば、ドル円のレートが下がればインフレは収束する。

だが同じようなことを2021年にアメリカの中央銀行も言っていたではないか。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)


アメリカでもインフレの起源は2020年に行われた莫大な現金給付がエネルギーや農作物などコモディティ市場に流れ込んだことが原因の局所的なインフレだった。

伝播するインフレ

だがインフレは伝播する。エネルギー高が結局はアメリカのサービス業などのインフレに繋がったように、輸入物価高が長く続けばそれは日本のサービス業などのインフレに繋がってゆく。

そして日本のCPI(消費者物価指数)の内訳を見てみれば、それがもう始まっていることが分かる。今年の日本のインフレ率はドル円の下落で一時的には落ち着くかもしれないが、輸入物価高が引いた後にはサービス業などのインフレが明らかになる。

そうなれば日本もアメリカのようにインフレ抑制のためにどんどん金利を上げなければならなくなるだろう。

金利を上げれば、もう何十年も低金利に依存していた日本経済は不況に陥るだろう。上げなければどうなるか? イールドカーブコントロールによる金利上限により日銀は無尽蔵に国債を買い入れなければならなくなる。

Round Tableでガンドラック氏らが指摘しているのは、日銀が市場に存在する国債の半分以上を既に買い入れてしまっていることだ。

そして今後のインフレ指標でインフレの悪化が明らかになれば、国債の売り圧力が増え、日銀の買い入れ額が爆発的に増加する。これも既に起こっている。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する


だからこのまま行けば、金利が爆発的に上昇するか、日銀の国債買い入れが国債をすべて買い入れてしまうことで終了するか、どちらかである。

結論

どちらにしても緩和の終了には違いない。国債をすべて買ってしまえばもう緩和は出来ない。社債を買い入れることも出来るが、市場規模が国債よりも小さいため、すぐに終わってしまうだろう。

そもそも市場に国債が存在しない先進国など前代未聞であり、どういう事態が起きるのかもう少し精査してみる必要がある。単に緩和の終了では済まないかもしれない。

最初から分かっていたことだが、10年続いたアベノミクスの結末は、金利高騰か物価高騰である。そもそも物価高はアベノミクスの目的である。何故そうだったのかは、以下の記事で説明している。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198


日銀の黒田氏は「目標がまだ達成できていないことが残念だ」などと供述しているが、もはや意味が分からない。日本経済は彼のお陰で十分に詰んでいる。

だがまだ詰んでいない。インフレ率はまだ4%で、国債もまだ暴落していない。日銀の緩和もまだ破綻していない。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する


インフレ政策は少なくとも8年間インフレを引き起こさなかった。そして9年目でインフレになった。結局は当たり前の帰結に帰ってゆく。

ガンドラック氏は次のように言う。

日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32998

54. 2023年1月25日 19:51:01 : GuZxplAGKc : QjEvSEd0YzZCRkE=[8] 報告
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
2023年1月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013

世界最高の、というよりは彼ぐらいしか存命でまともな経済学者はいないのだが、アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が世界経済フォーラム(通称ダボス会議)でインフレについて語っている。

インフレの原因

2022年、インフレがようやく話題になった。だがここの読者には「今更か」と思われたことだろう。

何故ならば、サマーズ氏のような経済学者や、筆者やレイ・ダリオ氏、ジェフリー・ガンドラック氏などの投資家は、2021年に既に起こっていた物価高騰について何度も警告していたからである。

サマーズ氏は2023年のダボス会議でインフレについて振り返っている。当たり前のことなのだが、インフレを語るこの優れた経済学者の口からは「ウクライナ」という単語は出ない。ウクライナ情勢はインフレとはほぼ無関係だからである。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


その代わりに彼が持ち出すのは政府によるコロナ後の財政刺激である。彼は次のように説明している。

コロナ禍が生じ、アメリカはGDPの14%の規模の財政刺激を2年連続で行なった。この財政刺激はアメリカが第2次世界大戦時に行なった規模の半分を超えていた。

この規模の財政刺激は、それまでの長期停滞していた経済の需要不足を補って余りあることは明らかだった。

これこそがわたしが2021年前半に、インフレが深刻化するという予想に非常に自信を持っていた理由だ。

財政刺激の規模は、厳密には2020年に15%、2021年に12%である。そしてその多くは、合計で1人当たり40万円以上の現金給付に使われた。

1人当たり40万円をばら撒いておきながらインフレにならないと想定した政治家や中央銀行家は何を考えていたのだろうか?

インフレ率を押し上げた現金給付

データを見てみよう。以下のチャートはアメリカの可処分個人所得とインフレ率を並べたものだが、現金給付によって可処分所得が3回急増したことが、インフレ率を大きく持ち上げた様子が見て取れる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/10/2022-aug-us-disposable-personal-income-and-cpi-growth-chart.png


そしてロシアのウクライナ侵攻があった2022年末以降、インフレ率は上がっていないどころかむしろ下がっている。

その事実は原油価格のチャートを見ても分かる。原油価格はウクライナ情勢のもっと前から上がっていた。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-24-wti-crude-oil-chart.png


2022年2月末のウクライナ情勢で一度急上昇はしているが、全体から見れば僅かなものであり、しかも日本を含む西側のロシア産原油の禁輸措置が簡単に迂回できるザルな措置であることが明らかになってからは、急騰分をすぐに巻き戻し、その後はアメリカの金融引き締めもあり、ウクライナ前の水準よりも低い位置で推移している。

制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される


以上により明らかなように、インフレの原因はウクライナ情勢ではなく、コロナ禍で行われた現金給付である。2020年、アメリカだけではなく世界的に行われた現金給付が原油や農作物などのコモディティ市場に流れ込み、世界的なインフレの素地を作ったことは、ここでは2020年に既に報じている。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)


2021年、インフレを否定した政治家や官僚たち

さて、上記のような状況のもと、筆者を含む投資家や、サマーズ氏などの専門家は、2021年にはインフレの脅威について何度も警告していた。サマーズ氏は2021年5月に次のように言っている。

ラリー・サマーズ氏: インフレリスクは本物、利上げで景気後退へ (2021/5/25)


コロナ禍において山のように積み上げられた2兆ドル以上のアメリカ人の貯金がインフレ圧力を生んでいる。

だが2021年、インフレを生み出した張本人である政治家や中央銀行家はインフレの脅威を否定し続けた。

合計でGDPの30%近い現金をばら撒いておきながら、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長などはインフレは脅威ではないと主張し、ゼロ金利政策を継続した。それがインフレの火に油を注いだ。

例えばアメリカのインフレ率が7.7%に達していた2021年4月の段階でパウエル氏は次のように話していた。

4月FOMC会合結果: パウエル議長のインフレ無視は続く コモディティバブル継続へ (2021/4/30)


実体経済はまだ雇用と物価の目標からは程遠い所にある。

この時点でインフレ率は7.7%である。彼は例えば10%のインフレでも目指していたのだろうか。

こうした馬鹿げた発言は、例えば2023年の黒田なにがしの発言と完全に一致している。彼は緩和政策が問題を引き起こしたこの完璧なタイミングで職場を離れるにあたり、「インフレ目標を達成できていないことが残念」などという意味不明な供述をしている。日本のインフレ率は既に4%である。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32998


2021年のパウエル氏でも十分に愚かなのに、それから2年も経ってから同じ愚かさを踏襲している日銀の黒田氏は、まさに先進国アメリカに追いつき追い越そうとする戦後日本人の鏡ではないか。黒田氏がいれば、日本もインフレに関してはアメリカに勝てるかもしれない。

結論

リーマンショックの時もそうだったが、金融や経済学の本物の専門家たちがこぞって警告を発していたにもかかわらず、政治家や中央銀行家はなぜ経済危機を予想できないのか。

彼らに比べてサマーズ氏らの頭が途方もなく良かったということなのだろうか。しかし筆者はむしろ、GDPの30%近いばら撒きをしてインフレにならないという結論に至ることのできる稀有な頭の方に解説の必要性を感じる。

インフレを予想できなかった人々は、次は間違えないことが出来るだろうか。サマーズ氏は彼らにこうアドバイスする。

経済学の秘伝のソースは算数だ。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013

55. 中川隆[-12617] koaQ7Jey 2023年4月29日 01:37:54 : PbNStSQJWk : WS40ZEhLVW1PcGc=[8] 報告
ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
2021年5月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619

引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は量的緩和と現金給付が貧富の差を是正するかという議論だが、ガンドラック氏の論点は示唆に富んでいる。

コロナと財政政策

コロナで職を失ったり商売が立ち行かなくなった人が大勢いる。それで現金給付のような政策が支持されており、アメリカでは増税と景気刺激の組み合わせを行おうとしているバイデン政権が選ばれたのである。

しかし国民から多く徴収して多くばらまくという政策には経済学的には疑問も残る。増税をすればその分国民は消費が出来なくなるだろう。その分を政府が代わりに投資するというコンセプトなのだが、これは実際にはライブのチケットを買おうとする音楽ファンの国民からチケット代を取り上げ、代わりに五輪のチケットを渡す政策に等しい。

日本で自民党が行なっている増税・財政支出の組み合わせも同じである。このような経済政策が機能するだろうか。それを考えるためには、歴史上同じような政策が採用された例を探せば良い。ガンドラック氏は次のように論じている。

現在のような節操のない金融・財政政策を行なった結果を歴史上の例から探すと、かなり悲惨な結果となる。その結果は大体内戦か革命だ。

歴史的に著名な例はフランスの王政である。ガンドラック氏はフランス革命の時にも現在と同じような経済政策が取られたとし、次のように述べる。

例えばフランス革命だろう。フランスは1770年代に金本位制度から離脱したが、1780年代には食糧を求めて暴動が起きた。パンが不足してパンの価格が高騰したので、女性たちはヴェルサイユ宮殿にいるルイ16性と王妃マリー=アントワネットに対してデモを起こした。

金本位制度からの離脱とは、元々中央銀行が紙幣と金を交換する約束をしていたのをその約束を反故にし、紙幣を持ってきても金は渡さないと宣言することである。

つまり金本位制度からの離脱は中央銀行の債務不履行であり、紙幣の価値を下落させる量的緩和と基本的に同じである。アメリカでは1970年代に同じことが起こり、ニクソンショックと呼ばれた。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
それと同じことがフランス革命においても起こった。当時パンの価格が高騰したことは、現在金融市場において物価高騰が懸念されている状況と重なる。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
現金がばら撒かれたにもかかわらず、何故フランスの人々はデモを起こさなければならなかったのか。ガンドラック氏はこう語る。

何故それが起こったか。紙幣印刷と現金給付によって中流階級が貧乏になり、貧困階級は死ぬほど飢えた。一方で紙幣印刷のレバーを握っている側は更に裕福になった。

量的緩和がどういう理由で行われているかを考えればそれは明らかだろう。量的緩和は政府債務を支えるために行われている。金利を低く抑えられなければ政府は膨大な借金の利払いで他の支出が出来なくなる。他の支出が出来なくなれば何故困るのか。政府予算に依存して利益を得ている人々が利益を得られなくなるからである。

だからばら撒き政策は既得権益層をますます裕福にし、その恩恵は中間層には返ってくることはない。

アメリカの消費と中国の輸出

ガンドラック氏は今の状況に照らし合わせてより具体的な話もしている。

こうした政策はアメリカの消費を促進している。だがアメリカの生産者にはほとんど関係のない話だ。消費は増えたが、消費されるものは中国から来ている。アメリカ人が中国のものを大量に消費しているので中国のGDPはどんどん上がっている。

現金給付によりGDPの構成要素である個人消費は上がった。現金給付によって毎月の消費が押し上げられる様子は以下の記事で解説している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
しかし消費される商品は何処から来ているのか。これらの商品の多くは現代においては中国で作られている。つまりアメリカの資金が中国に流れているのである。アメリカは借金をしてこれらの政策を行なっているので、アメリカは実質的には借金をして中国に貢いでいることになる。

更に言えばその資金は何を通して中国に流れてゆくのだろうか。ガンドラック氏によれば、その資金はAmazon.comなどのオンラインストアを通して中国に流れてゆく。

こうした消費はどうやって起こるか。単純化して言えばこうした消費はアマゾンを通して行われている。アマゾンはこうしたビジネスで大きなシェアを獲得している。だからジェフ・ベゾス(訳注:Amazon.comのCEO)のようなシリコンバレーの億万長者が政府の現金給付によって相当に豊かになる。

しかしその資金は中流階級の自国民には返ってこないのである。中間層に何が起こるかと言えば、後に残った莫大な政府債務を返すために増税のくびきに掛けられることになる。

大きな政府と小さな政府

増税と財政出動を組み合わせ、国民から大きく吸い取り大きく吐き出す政府のことを大きな政府と言うが、予算の大きな政府の政治家達が資金を吐き出す時には当然ながら彼らの利益となる場所に資金吐き出すことになる。

日本政府が消費増税を行いオリンピックやGO TOトラベルを強行する理由は何か。一般国民から吸い取って自分の票田である宿泊業界や大手メディア、広告代理店などに吐き出すためである。保守派とは伝統的にこうした政府の利権を認めず政府の予算を縮小しようとする立場のことを言うので、自民党は保守ではない。何度も言っているのだが大半の日本人にはこれが分からないらしい。

純粋に資本主義的な存在であるガンドラック氏やドラッケンミラー氏などの大物ファンドマネージャーらが、政治家たちの政治的な言い分とは距離をおいて本当に国民のためになる政策とは何かという話が出来るのは興味深い。実力のある人間は利権がなくとも金を儲けられてしまうので反利権派になるのである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619

56. 保守や右翼には馬鹿し[178] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年5月15日 06:36:14 : 9usjMQj4Jk : bWtvMnUxT04zUXM=[1] 報告
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ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
2023年5月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36808

引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用したことで知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏のSohn Conferenceにおけるインタビューである。

ドラッケンミラー氏のインフレ率の推移予想

前回の記事ではドラッケンミラー氏がハードランディングまであと半年ほどだと予想している部分を取り上げた。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

だが今回はこれまでの経済危機とは違い、インフレが起こっているという問題がある。

ハードランディングが起こった時、インフレ率は下がっているのか? 下がっていれば、普通の不況だ。下がっていなければ、不景気と物価高が両方来るスタグフレーションになる。

ドラッケンミラー氏は今後のインフレ率の推移について次のように語っている。

難しいのはマネーサプライをどう見るかだ。

エド・ハイマン氏はマネーサプライが史上最速の速さで縮小していることを指摘した。

だが話はそれほど簡単じゃない。マネーサプライは数年前と比べると30%後半から40%ほど拡大している。だから積み上がっているお金の量はそれでも極めて多いということだ。

マネーサプライとは市中に存在している現金や預金の総額である。コロナ後に現金給付によってばら撒かれた多額のお金は今どうなっているのか? 実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


Fed(連邦準備制度)の金融引き締めによってマネーサプライは急減している。だが絶対水準で言えばそれでもコロナ前よりもかなり多いのである。

そもそもコロナ後にマネーサプライが酷いことになったのがグラフから分かるだろう。それを押し上げたのは現金給付である。これでインフレにならないと言った馬鹿は今どうしているのか。ジェフリー・ガンドラック氏はそれくらいは12才児でも分かると述べていた。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
ドラッケンミラー氏のインフレ率の推移予想

マネーサプライが急減しながらもまだ積み上がっていることは、恐らくアメリカに景気後退がまだ来ていないこと、特に消費がいまだに強いことの原因だろう。

以下の記事でGDPの内訳を分析しているが、それがなかったらアメリカ経済は既に景気後退しているはずだ。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
しかしそれでもマネーサプライは急減速している。

ドラッケンミラー氏は年末年始頃にアメリカ経済はハードランディングになると予想した。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

ではその頃にはインフレ率はどうなっているのか? 彼は以上のことをすべて考慮に入れた上で次のように予想する。

インフレ率は今後6ヶ月から9ヶ月で恐らく3%から3.5%辺りまで下がるだろう。

現在アメリカのインフレ率は5.0%である。

サプライズなしの4月米国インフレ率発表でドル安に動いた理由

インフレ率の長期見通し

だが問題はその後である。ハードランディングに陥った時に中央銀行がどうするのかによってその後のシナリオが変わってくる。

ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

そこからが難しい。Fedがどうするか予想しなければならないからだ。

Fedが緩和に逆戻りすればインフレ第2波になり、引き締めを続ければ経済恐慌になる。

前回の記事でも言っていたが、ドラッケンミラー氏は基本的にインフレ第2波をメインシナリオとしている。理由は歴史上緩和をやり過ぎて問題を引き起こしてきたFedの経歴である。彼は次のように述べる。

わたしは2000年や2021年から2022年前半までにおけるFedの対応に本当に驚いている。そして来年が大統領選挙の年であることを考慮すべきだ。

ドラッケンミラー氏はバイデン政権がパウエル議長に圧力を掛けることを想定しているのだろうか。

また、ドラッケンミラー氏は1970年代におけるFedの議長、ポール・ボルカー氏の前任者で緩和的な政策でインフレを悪化させたアーサー・バーンズ氏を持ち出して次のように述べている。

インフレ率が3%か3.5%まで下がった時に彼らがアーサー・バーンズ氏のように対応するならば、インフレが下がった時に即座に反応せず龍を殺しきらないならば、今後数年はインフレーションか、恐らくはスタグフレーションになるということを強調したい。

だが一方で、次のように現在の世界経済には巨大なデフレ圧力も存在することにも言及している。

あるいは現在の巨大な資産バブルが弾けた場合、もう経済はどうにもならないかもしれない。

結局はFedが物価高騰か経済恐慌かどちらを選ぶのかという問題に帰着する。だからドラッケンミラー氏は笑いながら次のように言っている。

先週社内で会議があったのだが、そこでわたしはこう言った。インフレ率は今後3年8%で推移するとも言えるし、デフレになるとも言える。

結論

だがインフレ第2波でも経済恐慌でも経済は酷いことになるだろう。それがインフレというパンドラの箱を開けてしまった紙幣ばら撒きの末路である。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
それはどれくらい酷い結果になるのか。ドラッケンミラー氏は次のように続けている。

これは2007年や2008年とは違うということが繰り返し言われている。

だがそう言っている人々が2007年に危機を予想したという話を聞いたことがない。

わたしは2008年より悪い状況を予想しているわけではない。明日のニュースでわたしがそう言ったという見出しを付けてほしくはない。

だがこれだけの資産バブルの後であること、ゼロ金利のあとに史上もっとも急激な金利の上昇があったことを考えると、本当に酷いことが起きる可能性を除外するのは本当にナイーブだと思う。

一体どうなるだろうか。だがドラッケンミラー氏を含め、あと1年以内だと言い始めた専門家が多いのである。

世界最大のヘッジファンド: 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36808

57. 中川隆[-12250] koaQ7Jey 2023年10月19日 13:39:57 : tN1Obb5VKs : T0FSUDg2NmZUOUU=[13] 報告
<■91行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
ガンドラック氏: ウクライナ戦争はアメリカの最高のビジネス
2023年10月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40696

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、Fox Businessのインタビューでアメリカの政府債務と戦争の関係について語っている。

政治家と政府債務

多くの専門家が政府債務について語っている。最近のアメリカの金利上昇は、債券市場に米国債があふれかえっていることが原因だとされているからである。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
しかし何故政府債務は増えるのか。一時的に増えても、同様に減るケースがあってもおかしくない。だが先進国の政府債務は一様に、ほとんど常に増加してゆく。

原因は、それが政治家にとってメリットのあることだからである。政治家にメリットがあり、誰も止めなければ、永遠にそのようになってゆく。

何度も言うが、国民から税金を徴収して票田にばら撒くのが政治家の仕事である。だから政治家は補助金は出しても減税はしない。あるいは減税はしてもそれ以上の支出を増やしてゆく。

そのようなことをしていると国家はどんどん衰退してゆくのだが、国にお金がなくなっても票田への減税が進むと、他の国民への強烈な増税が不可避となる。

日本の莫大な政府債務も、日本人には多額の資産があるから大丈夫だという主張は面白い。政府の借金は徴税によって国民の資産でチャラにできるから政府は破綻しないだろう。確かに大丈夫である。

2つの票田

この状況を批判しない大半の国民をよそに、ヘッジファンドマネージャーにはこうした状況に批判的な人が多い。ガンドラック氏もその1人である。彼は次のように述べている。

多くの人がもううんざりしている。貧富の差の激しい経済で、政治献金を行なう超富裕層と、補助金で生きている貧困層が手を組んでいる。奇妙な結婚だ。

ガンドラック氏が指摘しているのは、政治献金で政治家と直接繋がっている票田と、そうでない票田がいるということである。

そしてアメリカではその貧富の差は極めて大きい。政治献金を行なう富裕層は数としては極めて少ないため、票数を集めるためにはあまり頭の良くない層を取り込んで投票させるしかない。

そのための政策が補助金政策である。ガンドラック氏は次のように述べている。

底辺の人々は降ってくるお金のために投票する。そうするべきではないが、彼らはそうする。

残念ながら、こちらの票田の人々への報酬は、お金が降ってきてリッチになった気分になることだけである。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
何故ならば、量的緩和は資産家しか裕福にせず、現金給付はインフレを引き起こすからである。だから気分はリッチになるが、実際にはどんどん貧しくなってゆく。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
それでも彼らは補助金に投票する。お金が降ってきて努力せずに儲けられるという夢を見たいからだが、その対価はインフレである。市場経済は常にその人にふさわしい対価を与えてゆく。

政治家の債務ビジネス

一方で、政治献金する方の票田はきっちりと報酬を受け取ってゆく。何故ならば、こちらは市場経済ではなく政治を介しているからである。

彼らはどのように報酬を受け取るのか? ガンドラック氏は次のように説明している。

そして上層の人々は世界中で金儲けの仕組みを機能させているが、その1つはウクライナ戦争と呼ばれている。製品を爆発させて新しいのを買わせることほど素晴らしい商売はない。そして値段は自分で決められる。

バイデン氏とその家族がロシアのウクライナ戦争より前からウクライナ政府を補助金漬けにし、そこから利益を得ていたことは以前から報じている。

ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
最近、アメリカではその事実がどんどん明るみに出、バイデン氏への批判が高まっている。

ウクライナ戦争がバイデン政権において起きたことは偶然ではない。上の記事で書いたが、バイデン氏はロシアの侵攻直前に「アメリカは派兵しない」と主張することでロシアが迷いなく侵攻できるようにした。

また、ハマスのイスラエル攻撃の前には凍結していたイランの資金60億ドルを凍結解除した。ハマスはイランに支援されているので、ほとんどハマスを支援したようなものである。

結論

バイデン氏は政治家としての仕事をきちんと果たしている。ガンドラック氏はあまり大きくは言わないが、この状況をウクライナ戦争開始直後から憂慮していた。彼は次のように述べていた。

ガンドラック氏: 米国は半年以上戦争なしではいられないようだ (2022/3/7)
アメリカ国内の特定の利害グループはどうやらアメリカ国外で半年間戦争をしないことさえ耐えられないようだ。

この問題は解決され得るのか。問題は、インフレや戦争で自分を害するような政策に自分から投票するような愚かな方の票田である。

ガンドラック氏は次のように言う。

わたしの意見では、人々は目を冷まし、この二極化した不平等な経済のために投票するのを止めるべきだ。だが人々はそうしていない。

だがガンドラック氏に言いたいのだが、アメリカの状況はまだましである。アメリカの票田は、インフレも受け取っているが補助金も受け取っているからである。

ちなみに日本の補助金(例えば住民税非課税世帯向け)は高齢者に行っているが、現政権を支持しているのは実は補助金をもらっている高齢者ではない。前の選挙で誰が自民党を支持したかを見ればそれは明らかである。


出典:読売新聞
日本では補助金をもらっている高齢者はむしろ自民党に投票せず、何故か所得税と社会保険で生活費を絶賛吸い取られ中の30代および40代が自民党の支持基盤である。

日本では一番搾取されている層が票田となっている。だが言っておくが、殴られた相手に媚を売る人間は永遠に殴られ続ける。

こうした状況に憤っているのはガンドラック氏だけではない。スタンレー・ドラッケンミラー氏も政治の馬鹿馬鹿しさを批判している。だが状況は変わらない。そういうものである。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40696

58. 中川隆[-10935] koaQ7Jey 2024年4月11日 21:37:35 : VplZEXoBSA : QjdzRFljdGNhVTI=[21] 報告
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賃上げできないゾンビ企業は淘汰される時代
2024.04.10
https://www.thutmosev.com/archives/34468.html

ゾンビ企業にはゾンビが大勢いる


賃金マイナスはインフレではなく企業のせい

厚労省発表の24年2月実質賃金は前年同月から1.3%減少し23カ月連続マイナスで過去最長にならぶ最悪の状況に成っている

これがどのくらい長いかというと前回の過去最長はリーマンショックの2007年9月からの23か月間だったので、現在は世界経済危機と同じ状況といえる

賃金そのものは増えていて2月の現金給与の総額は28万2265円、前年同月比から1.8%増え26か月連続の上昇になった

総務省発表の24年2月消費者物価は前年比2.8%だったので、物価が2.8%上がって賃金は1.8%上がったので単純計算でもマイナス1.0%実質賃金が減ったのは分かる

政府は賃金も物価も前年比で調査するので一度大きな増減があるとそのマイナスやプラスは「前年」が過ぎる12カ月間続くことが多い

実質賃金減少が始まったのは22年4月からで、このころ日本の物価上昇率が1%を超えてインフレが始まり22年末には4%を超えていました

日銀は物価目標を2%に設定し最近も2.8%だったので、賃上げ率が1%台である限り実質賃金が減少し続けます

日銀によるとインフレ率が2%未満はデフレ状態で、日本以外の(中国を除く)国はどこでも物価2%以上で賃金も2%以上は上昇しています

物価上昇が2%なら過度のインフレとは言えず問題は賃金上昇率が低すぎる事にあり、原因として挙げられるのがゾンビ企業の延命です

日本は1990年のバブル崩壊以降経営不振に陥った企業がバタバタと倒産したが、政府は不況を防ぐため経営不振の大企業が倒産しないように救済してきた

2000年代後半のリーマンショックと続く東日本大震災、続く超円高不況、安倍首相の2度の消費増税不況、2020年からの新型コロナ不況でも政府は経営不振企業の救済を余儀なくされた

90年代後半から2000年代初めは救済せず大企業がバタバタ倒産して数万人のホームレスが発生したので、対策として必要だったと思われる

ゾンビ企業の淘汰や更新が必要
だが日本政府が30年以上も経営不振企業を救済し続けた結果、従業員を人間扱いせず「しぬまで働けるのに感謝しろ」と社長が公言するような会社がはびこる事になった

経営や会社に問題があるからサービス残業やブラック労働をさせるのだが、本来そうした企業は改革を迫られるか優れた企業に倒されて消える運命です

だが30年の不況で新たな優れた企業は出て来ず、市場原理で倒産する筈の会社政府の救済で生き延びて無数のゾンビ企業として低賃金で社員や派遣を働かせています

自動車産業だけを例に挙げても日産による下請けへの不当な値下げ圧力やダイハツ、日野、三菱などの不祥事、毎年起きる欠陥車騒動やEVへの対応遅れなどはゾンビ企業の症状でした

たまたまEV勢は今自爆テロで自滅しているが、だからといって日本企業が旧態依然のままだったらチャンスを生かすことが出来ずハイブリッドや次世代EVでもサムスンやBYDあたりに抜かれてしまうでしょう

非効率なゾンビ企業が多数存続しているせいで給料が上がらず、人々はお金がないので消費せず、消費が減るので経営悪化し財務省は増税を繰り返しますます景気を悪化させてきた

自動車産業はマシなほうで社員や期間工に高収入を払っているが、サービス業や飲食業は特に酷く非効率を「サービス」として売りにしている場合がある

安倍政権の外国人観光客誘致で不愉快だったのが「おもてなし」という宣伝で、おもてなしとは要するに従業員にブラック労働をさせて客へのサービスを増やす事にすぎない

例えば飲食店でセルフサービスで客が取りに来て食べた後で決まった場所に置くのは「おもてなし」ではないが、店員がテーブルに配膳して丁寧に説明したりし、食べ終わったら全員で客にお辞儀するのが「おもてなし精神」らしいです

両者の客1人当たり人件費は2倍以上差が出る筈ですが、それを同じ給料でブラック労働でやれというのが典型的なゾンビ企業です

このようにゾンビ企業はお客様重視で一見すすると外面が良いのだが内情は最悪、例えば不祥事続出のなんとかモーターなんかは中古車業界1位でした

今では世界企業になった×××ロは裁判所も認めたブラック労働だったし、××家のワンオペ騒動ではバイトに「病気で休むなら賠償金払え」と言ったとされています

××ミの騒動では「働けることに感謝しなさい」と社長が仏のような事を言っていたし、電通や三菱電機の過労死は社内風土に問題があったとされている
https://www.thutmosev.com/archives/34468.html

59. 中川隆[-10799] koaQ7Jey 2024年4月27日 02:16:01 : wBgTO9vBKo : OWRBdlExei91MlU=[2] 報告
円安進行で日銀方針転換!量的緩和終了!?【一般ライブ】4/26 (金) 17:00〜17:30【渡邉哲也show】渡邉哲也×西村幸祐×小野寺まさる
https://www.youtube.com/watch?v=YmI8pwhIu0o
60. 中川隆[-9670] koaQ7Jey 2024年8月01日 05:17:52 : LSt1PIly1Q : MGIyTDdPUTVFVms=[1] 報告
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日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ
2024年7月31日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51799

7月31日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げることを決定した。また、現在行われている国債の買い入れについて、徐々に減額すると発表した。いわゆるテーパリングである。

ゼロ金利脱出とテーパリング

まずは利上げからだが、政策金利がゼロ金利から0.25%に引き上げられた。これは3月にマイナス金利から離脱したことに続いての動きである。

日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量的引き締めを視野に (2024/3/20)
これで長年続いたゼロ金利政策が終了した。経済への影響としては、変動金利で住宅ローンを借りていた人に対する金利がいよいよ上がることになる。固定金利が超長期国債の金利に影響される一方で、変動金利は政策金利に影響されるからである。

また、この会合では日銀による国債買い入れ(つまり量的緩和)の金額を段階的に縮小することが発表されている。現在6兆円である毎月の買い入れ額は、2026年第1四半期までに半分の3兆円に減らされる。

金融引き締めの理由

こうした決定の理由は当然インフレ対策である。植田総裁は会合後の記者会見でまず実体経済について次のように発言している。

賃金と物価が連環を高めつつ緩やかに上昇してゆくと見込まれます。

そしてやはり言及しなければならないのが円安である。植田氏は次のように述べている。

これまでの為替円安もあって、輸入物価が再び上昇に転じていまして、物価の上振れリスクには注意する必要もあると考えています。

こうした状況を踏まえ、物価安定目標の持続的安定的な実現という観点から、今回政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整することが適切であると判断しました。

利上げは正しかったのか?

さて、植田氏はいつもの冷静な表情で淡々と述べているが、筆者はこれがかなりの苦渋の選択だったのではないかと考えている。

何故ならば、植田氏の発言は円安については正しく、実体経済については正しくないからである。

それは最新のCPI(消費者物価指数)統計を見れば分かる。日本のインフレ統計はアメリカのものとは逆になっており、食品とエネルギーを除くコア指数は減速しているが、エネルギーは加速している。

食品とエネルギーは海外のコモディティ市場に影響されるため、ドル円が高くなれば物価が上がる。

一方で内需の強さに依存しているコア指数(日銀が勝手にコアと呼んでいるものとは別である)のインフレ率は1.9%まで下がってきており、特に直近2ヶ月のデータが弱い。更に、GDPは消費の減速から最新のデータはマイナス成長となっている。

一方で日銀自身の金融緩和によってドル円は上昇しており、その結果特にエネルギーのインフレが加速していた。

弱い内需と上がるドル円のジレンマ

だから日銀は選択を迫られていた。緩和を止め、利上げでドル円の上昇を止めなければ、ドル円と輸入物価は上がってゆく。しかし利上げをしてしまうと既にかなり弱っている日本経済はますます弱ってゆくだろう。

このジレンマについてはかなり前から指摘しておいた。日銀はインフレか経済減速か、どちらかを選ぶしかないと。

そして中央銀行の役目は物価の安定であり経済成長ではないから、植田氏は輸入物価の上昇を止めるため、黒田前総裁が開始した円安政策を徐々にもとに戻してゆくことを決定したのである。

結果、ドル円は下がった。経済成長より輸入物価抑制だという植田氏の決意が伝わったのか、ドル円は下落している。


しかし既にマイナス成長(2四半期続けば定義上景気後退である)に陥っている日本経済は、利上げを受けてどうなってしまうのか。

結論

植田氏は今後の経済見通しについて次のように言っている。

背景として賃金や物価が上昇しているという中での動きですので、経済・物価がこれを契機に減速するという風には必ずしも見ていないということと、より長期的な観点から申し上げますと、非常に低い水準にある金利を経済物価情勢に合わせて少しずつ調整しておいた方が、物凄い急激な調整を強いられるというリスクを減らすという意味で、全体としてはプラスになるという考え方もあり得るかなという風に思っております。

だが利上げは今回だけではないらしい。植田氏は同時に次のようにも言っている。

経済物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整してゆく方針です。

植田氏は確かに「引き続き」と言っている。つまりこれからも利上げするということである。

だが正直筆者は日本経済がそれに耐えられるとは思えない。何度も言うが、日本経済は既にマイナス成長なのである。

そして利上げは株価にとってもマイナスである。2022年、米国株はアメリカの利上げによって急落した。世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏は以下の記事で、日銀の利上げによって日本株も同じような急落を経験する可能性を指摘している。

レイ・ダリオ氏: 日本、金利上昇で経済崩壊の可能性


会合後の日経平均は、むしろ上がってる。だが筆者は日本経済の展望にかなり警戒している。本当に大丈夫だろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51799

61. 中川隆[-8267] koaQ7Jey 2024年12月10日 16:33:44 : cgTuRwGi0A : dkNJeTRpcE9pWGc=[3] 報告
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レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
2024年12月9日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が日本やアメリカの政府債務とマネタイゼーションについて語っている。

政府債務の意味

アメリカでは政府債務が大いに話題になっている。アメリカではコロナ後に金利が上がり、GDPの129%という莫大な政府債務に多額の利払いが発生しているからである。

米国政府は借金の利払いのために借金を増やしている。政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが開始しており、利払いの金額はGDP比で見て次のように増えている。


だがアメリカのこのプロセスは始まったばかりだ。まだ利払いがGDPの1%ほど増えたに過ぎない。上がり方が急速だから非常事態ではあるのだが、まだこれから始まる話に過ぎない。

政府債務はなぜ問題か

アメリカで政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが始動していることはただの事実である。だが政府債務はなぜ増えてはいけないのか?

それは国債市場にも需要と供給があるからである。買い手に対して供給が多すぎれば国債の価格は下落するだろう。

グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ましてや今はインフレによって中央銀行が量的緩和を出来なくなっている。だから政府債務だけではなくて、インフレ政策によるあらゆるツケが回ってきているのである。

では国債の価格が下落すれば誰が困るのか。ダリオ氏は次のように言っている。

誰かの負債は誰かの資産だ。

困るのは国債の保有者である。では国債の保有者とは誰か? 銀行である。

だが銀行はもともとお金を持っていない。お金を預かっているに過ぎない。銀行は預かったお金で国債を買っている。ではそれは誰のお金か? 預金者である。

麻生太郎氏も言っていたではないか。借金をしているのは政府であって国民ではないと。

だから国債価格が下がって困るのは政府ではない。国民の方である。

国債価格が下落しない代わりに

預金者は銀行を通して大量の国債を保有している。だからダリオ氏は次のように言っている。

通貨が富の貯蓄手段だと言うとき、実際にはそれは債務が富の貯蓄手段だということを意味している。

そしてそこに大きなリスクがある。

だが実際には、先進国で国債価格が大幅に下落する可能性は低い。多くの人は漠然とそう思っているだろうし、それは正しい。

しかし国債の需給問題は事実として存在する。では政府はこの問題をどうするのだろうか?

ここで登場するのが日本である。国債価格を下落させられないなら、量的緩和で日銀に国債を買わせたり、低金利を維持させて債務負担を減らすしかない。

ダリオ氏は次のように述べている。

日本は非常に良い例だ。

日本が過去15年ほど行なってきたことは、平均してアメリカよりも3%低い金利を維持することである。そして自国通貨の価値を年率4%下落させている。だから日本人は年間7%を失っている。

誰も気付いていないが、低金利政策で得をするのは金利を払う側である政府であり、損をするのは金利をもらう側である国民である。

更に2022年まで誰も気付いていなかったが、政府のインフレ政策もまた、債務(イコール日本円)の実質的な価値を下落させ、日本円の保有者の犠牲によって債務者である政府の借金を実質的に帳消しにする政策である。

数年前まで誰も知らなかっただろうが、インフレとは物価上昇という意味なのである。インフレ政策を支持していた人にとっては何という驚きだろうか。その結末は名前に書いてある。

ダリオ氏は次のように言う。

インフレは通貨の保有者から少しずつ資金を奪う。人々は名目の金額で物事を考えすぎだ。インフレを差し引いた実質ではお金のことを考えない。

マネタイゼーションのために債務の保有者を犠牲にしているのだ。

結論

更に日本人にとって物悲しいのは、ダリオ氏が次のように述べていることである。

同じことがわれわれアメリカ人にも起きる可能性がある。

お分かりだろうか。ダリオ氏にとっては日本人の資産減少は既に起きた話なのである。アベノミクス以来、日本円の価値は半分になっている。

減価された日本円で計算した日本のGDPが上がって喜んでいるような国民が気付けるわけのない話なのだが、減価した通貨で計算したGDPや株価が上がるのは当たり前の話である。それはGDPや株価が上がったのではなく、円が下がったのである。

恐らく日本人はこのまま自分が資産を失っていることにさえ気づかずに、日本政府によるマネタイゼーション完了を見届けるのだろう。まさにダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予言した、衰退してゆく先進国の典型的なシナリオである。

すべてはこれまで数十年の選挙の結果である。日本国民が自分で望んだことなのだから、他人がどうこう言えることではないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066

62. 中川隆[-8053] koaQ7Jey 2025年1月03日 11:01:54 : 9mcl7fHk7E : a2h4bEQyNjBOY2M=[7] 報告
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レイ・ダリオ氏: 中央銀行はいずれ緩和能力を失う
2025年1月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57900

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の著書『世界秩序の変化に対処するための原則』から、中央銀行による緩和政策が最終的にどのような結末を辿るのかを説明している箇所を紹介したい。

中央銀行とインフレ

インフレ政策の結果引き起こされたハイパーインフレからアルゼンチンを救ったミレイ大統領は、中央銀行をなくそうとしている。その第1段階として、中央銀行が自由に紙幣印刷できる自国通貨以外の通貨を自国内で不便なく使えるようにしている。

ミレイ大統領: 政府が紙幣印刷で価値を薄める通貨は他のまともな通貨との競争に晒されるべき
ヘッジファンドマネージャーのジョン・ポールソン氏は、中央銀行による量的緩和がコロナ後の物価高騰に大きな役割を果たしたと主張していた。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
だがそもそも中央銀行とは何か。ダリオ氏は次のように書いている。

お金と信用の量を増減させることで、中央銀行は金融資産や商品やサービスの需要と供給を増減させることができる。

要するに世の中に存在する紙幣の量を自由に変えられるということである。お金をばら撒けば、与えられた人はお金を使おうとする。よって人々の経済行動を操作できるというわけである。

中央銀行の金融政策

中央銀行は普段、景気が悪い時に金融緩和をし、景気が良いときに逆に引き締めようとする。

だが単にそれだけであれば、中央銀行はそもそも必要ないのである。なぜならば、景気が悪くなれば債券市場では自動で金利が下がり、景気が良くなれば自動で金利が上がるからである。

つまり、中央銀行が単に景気に合わせて金融政策を適切に調整するだけなら誰も中央銀行を作ろうと思わなかったわけであり、だから中央銀行には別の目的がある。

それは政府の国債を買い支えることである。例えばイングランド銀行はほとんど政府の借金を処理する目的で作られたものであり、17世紀の昔から中央銀行の目的はそもそもそれだったことが分かる。

金利を上げないこと

政府の借金を何とかするためには、まず金利を上げないことが重要である。金利を市場に任せていては借金だらけの政府の国債の金利は上がってしまうので、市場による適正金利以下に金利を低く抑えることが、借金が増えても政府支出を続けたい政府にとって必要なわけである。

だから政府の息がかかった中央銀行は必要以上に緩和をする。政治家は自分の票田の関心を買うために、中央銀行に紙幣を刷らせてそれを配り始める。

それは経済危機から国民を救うためという名目で行われる。ダリオ氏は次のように述べている。

経済危機において政府はお金と信用と購買力を何処に振り分けるかを、市場に任せるのではなく自分で決める権限を持っている。そしてわれわれの知る資本主義はその姿を消す。

それこそがコロナ禍への対応として世界中で行われたことである。

そして人々は給付された現金とともにインフレを受け取った。給付を受け取っていないにもかかわらずインフレだけ受け取った人はもう本当に最悪である。

だからオーストリア学派の経済学者であるミレイ大統領やフリードリヒ・フォン・ハイエク氏らは、政府の権限を出来る限り制限せよと言っているのである。

ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る
ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想
緩和をすればものの値段が上がる。アベノミクスで資産価格が上がったときに株式をほとんど持っていない人が喜んでいたのは全く意味不明だが、本当に資産を持っていた一部の人は喜んだかもしれない。

だがダリオ氏はこう書いている。

こう考えてみてほしい。あなたが家を所有していて、政府がお金と信用を創造すれば、家を買おうとする人が増えてあなたの持ち家の価格は上がる。

だが家自体は何も変わっていない。あなたの実質的な資産は何も増えていない。ただ計算上の資産価格が変わるだけである。

緩和によって株価や住宅価格が上がるとき、それは株式や住宅の価値が上がったのではない。自国通貨の価値が下がったのである。

だからドルを買ってドル円が上がったからといって喜んでいる場合ではない。それはドルが上がったのではなく、円が下がったのである。そして日本人の多くはリスク資産だけでなく日本円も持っているはずだ。

インフレ政策の結末

政府と中央銀行による緩和政策の副作用は、金融危機を経るたびに悪化してゆく。2000年代の金融緩和の副作用はリーマンショックだった。コロナ後の現金給付の副作用は物価高騰である。

インフレ政策の副作用は国民の生活にどんどん近づいている。そして最終的にどうなるか? ダリオ氏は1944年のブレトン・ウッズ協定に始まる今の金融システムは終わりに近いと主張する。

ダリオ氏は次のように言っている。

負債が増加し、中央銀行がお金と信用の創造によって経済の実質成長を生み出す能力を失って緩和能力が尽きるとき、そのサイクルは終わる。

例えば日本の状態を考えてもらいたい。日銀植田総裁が黒田前総裁のインフレ政策の後始末を引き受けたお陰でドル円は何とか150円前後で推移しているが、アベノミクス後日本円の価値は10年でほぼ半分になり、つまり輸入物価はほぼ倍になっている。

今の状態で日本が景気後退に陥った場合、中央銀行は今までのようには緩和できない。あるいは緩和してしまえば、円安が止まらなくなり景気後退の上に物価上昇が日本経済に降りかかるだろう。

だから中央銀行はいずれ緩和できなくなる。あるいは、緩和できないのに緩和をしてしまえば国民はインフレと通貨安を味わうことになるだろう。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
日本人はどう対処すべきか。ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で詳しく説明しているように、緩和が始まって中央銀行が破綻するまでのプロセスは、歴史上何度も起こっているいつもの出来事であるということをまず理解しなければならない。

その長期サイクルは通常1世紀弱にわたり、1人の人間の一生には1度しか起きないから、それは本から学ぶしかないのである。

レイ・ダリオ氏、フリードリヒ・フォン・ハイエク氏、アダム・スミス氏の3人を読むべきである。それは経済的に生き残るための必須の知識である。

ハイエク氏: 金融緩和でデフレを防ごうとすれば経済は悪化する
アダム・スミス氏: 乞食だけが補助金や給付金にすがる、そうでない人々は自分の成果を他人と交換する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57900

63. 中川隆[-8017] koaQ7Jey 2025年1月06日 07:02:47 : 8PDGD1z8rg : enJyOFFKSElrcUE=[1] 報告
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植草一秀の『知られざる真実』2025年1月 5日
失われた30年という現実
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-6d6c13.html

世界は変わる。

変わる世界を認識し、自らを変えなければ変化に対応することはできない。

世界のなかで取り残される日本。

経済成長のない10年、20年、30年が経過した。

その原因はどこにあるか。

2012年12月に政権交代があった。

「アベノミクス」が叫ばれた。

2013年7月の参院選で「ねじれ」が解消。

安倍政治が長期間存続した。

私は2013年6月に「アベノリスク」(講談社)を上梓した。


「日本を融解させる7つの大罪」

として以下の問題を提示した。

第1の罪 インフレ 第2の罪 増税 第3の罪 TPP参加 第4の罪 原発再開 第5の罪 シロアリ公務員温存 第6の罪 改憲 第7の罪 戦争へ

安倍政治によって日本の悲劇が生じることを予言した。

安倍政治は「成長戦略」を掲げたが、日本は成長しなかった。

安倍政治が掲げた「成長」は「大企業利益の成長」であって、「国民利益の成長」ではなかった。

日銀が掲げた「インフレ誘導」

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2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げると「公約」したが実現しなかった。

拙著で私は2%公約が実現しない可能性が高いと記述した。

短期金融市場に資金を注入しても金融機関の与信が増えなければマネーストックは増大しない。

マネーストックが増大しなければインフレは実現しない。

このことから2%公約の達成が困難であると記述した。

2023年に4%インフレが発生したのは日銀の政策誘導によるものでない。

海外初のインフレが日本に波及したと同時に、日銀が日本円暴落誘導を実行したからだ。

4%インフレを容認することはできない。

日銀はインフレ抑止に舵を切るべきだったが、黒田日銀は最後までインフレ誘導の旗を振った。

その結果、4%インフレを招いてしまった。

「賃上げ」を誘導すると主張されたが、労働者にとって重要なのは名目賃金の上昇ではない。

名目賃金が上昇してもインフレがこれを上回れば実質賃金は減少する。

過去27年間に実質賃金が小幅増加したことが5回ある。

そのすべては物価下落の局面。

物価下落=デフレの局面でのみ実質賃金が小幅増加した。

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元々、インフレ誘導は実質賃金を引き下げるために発案された。

1990年代以降、世界の大競争激化のなかで先進国産業の価格競争力が低下した。

新興国に対抗するために労働コスト引き下げが求められた。

「賃上げ」は可能だが「賃下げ」は困難である。

実質的に賃金コストを抑制するには、インフレが生じる際に賃上げをしなければよい。

そうすれば実質賃金の切り下げが可能になる。

このためにインフレ誘導が提案された。

インフレ誘導は労働者のための施策ではなく、実質賃金切り下げを狙う資本のために提案された政策だった。

ここに「アベノミクス」の欺瞞性があった。

「アベノミクス」の柱である「成長戦略」は以下の五つを柱にした。

1.農業自由化
2.医療自由化
3.解雇自由化=労働規制撤廃=実質賃金引き下げ
4.法人税減税
5.特区創設

このすべては、「大企業利益の成長」戦略であり、「労働者不利益の成長」戦略だった。

「法人税減税」の裏側は何か。

「消費税大増税」である。

「大企業利益の成長」だけを追求して日本経済の長期低迷を招いてきた。

この経済政策全体を根底から改変しなければ日本経済は浮上しない。

経済政策の抜本転換が2025年の課題である。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-6d6c13.html

64. 中川隆[-7971] koaQ7Jey 2025年1月13日 02:28:05 : EtreNK33Rb : WU0xbGExbW83Lkk=[21] 報告
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植草一秀の『知られざる真実』2025年1月12日 (日)
地獄の始まり高額療養費改変
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-149266.html

2012年12月に発足した第2次安倍内閣は三つの経済政策方針を示した。

・インフレ誘導=金融緩和

・財政出動

・成長戦略

金融緩和と財政出動は財政金融政策に関する方針。

目新しいものでない。

しかし、この三つの経済政策を総称して「アベノミクス」としてアピールした。

しかし、インフレ誘導政策は一般国民=労働者=消費者=生活者=主権者にとって「百害あって一利のない政策」。

国民にとっては物価下落の方がはるかに恩恵が大きい。

しかし、政府と大企業にとっては逆。

インフレ進行は実質賃金を減少させ、企業の賃金コストを軽くする。

また、インフレ進行は政府の借金の重みを減らすとともに税収を拡大させるから政府にとってもインフレは大歓迎だ。

財政政策では2013年度に積極財政が実行されたが2014年度には消費税大増税実施が強行された。

積極財政は1年で終わった。

14年は消費税大増税による緊縮財政。

これを「アベコベノミクス」と呼ぶ。


財政金融政策は経済政策の中核でアベノミクスに目新しさはなかった。

アベノミクスを特徴づけたのは「成長戦略」だった。

「成長」という言葉はプラスの響きを持つが、「何の」成長であるかが重要。

アベノミクスの「成長戦略」は

「大企業利益の成長戦略」

=「一般国民不利益の成長戦略」

だった。

その内容は次の五つに要約できる。

1.一次産業自由化

2.医療自由化

3.労働規制撤廃=解雇自由化

4.法人税減税

5.特区創設

アベノミクスによって日本経済の成長率は上昇しなかった。

成長率平均値は2009年から2012年の民主党時代の方が高かった。

日本経済の成長率は年平均0.6%程度にとどまる。

日本経済の成長は実現しなかった。


「成長戦略」の1は日本の一次産業を外国資本に支配させるもの。

小規模農家による地産地消の農業、漁業等が破壊されてきた。

「働き方改革」なる施策が実施されたが、内実は「働かせ方改悪」だった。

長時間残業が合法化され、「定額働かせ放題労働プラン」が拡大され、正規非正規労働条件格差も温存されている。

さらに進んで、解雇の自由化が推進されている。

税制では所得の少ない国民から税金をむしり取る「消費税大増税」が推進される一方で巨大な法人税減税が遂行された。

所得税の金持ち優遇は温存されたままだ。

「特区」は特定業界、特定企業に利益を供与する政策。

新たな利権政治の温床と化した。

医療においてはすべての国民に提供される医療と富裕層だけが享受できる「二本立ての医療」への移行が推進されている。

保険適用外の医療が拡大し、十分な医療は富裕層しか受けられない状況が強まっている。

このなかで一般国民の命をぎりぎり繋いできた制度が「高額療養費制度」。

一般国民の命綱である。

社会保障支出を切りたい財務省はここに焦点を当ててくることを予言した。

それがいよいよ本格化する。

一般国民の命綱はいま切り落とされようとしている。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-149266.html

植草一秀の『知られざる真実』2025年1月11日 (土)
インフレ誘導が間違っている理由
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-fcef83.html

日本のインフレ率は公式発表で2%台とされているが実感とかけ離れている。

さまざまな分野で広範な価格上昇が観察されている。

インフレ抑制は日銀の責務。

日本銀行法は第1条で目的として「通貨及び金融の調節を行うこと」と定め、第2条で「通貨及び金融調節の理念」を

「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」

と定めている。

2022年から2023年にかけて日本でも深刻なインフレが発生した。

ところが黒田日銀はインフレ抑止の政策スタンスを示さなかった。

2023年に日銀総裁を退任するまで黒田東彦氏は「インフレ推進」の旗を振り続けた。

日銀総裁が植田和男氏に交代して、ようやく日銀の金融政策運営の修正が始動した。

世の中では「インフレ推進」、「金融超緩和継続」を求める声が存在する。

2013年に始動した「インフレ誘導政策」を主張した人々だ。

彼らは日銀が短期金融市場に大規模資金を投入すればインフレが実現すると主張したが、現実には実現しなかった。

インフレ誘導政策は失敗した。

ところが、2022年から23年にかけて、これとは別の要因によって日本でインフレが発生した。


海外のインフレが日本に波及したこと、日本銀行が日本円暴落政策を遂行してきたことが背景。

しかし、インフレ進行は日本の国民=消費者=労働者=生活者にとっては「百害あって一利なし」の現象だった。

したがって、日銀は早期にインフレ抑止の政策を遂行するべきだったが、黒田日銀の対応が著しく遅れた。

黒田日銀はインフレを推進し、そのインフレの力によって賃上げを実現することを提唱した。

激しいインフレが発生して、たしかに一部で賃上げの動きは広がった。

しかし、労働者にとって重要な指標は単純な賃金上昇率ではない。

労働者にとって重要なのは「実質賃金上昇率」だ。

賃金が2%増えても、物価が4%上昇したらどうか。

実質賃金は2%減少してしまう。

2022年4月から2024年5月まで26ヵ月連続で労働者実質賃金は減り続けた。

24年6月と7月に実質賃金が前年比でわずかにプラス数値を記録したが、8月以降は再び前年比マイナスに転じた。

8月から11月まで再び4ヵ月連続の前年比マイナスが記録されている。

これまでに指摘してきたが、インフレ誘導政策は元々企業の賃金コストを削減するために提案されたものなのだ。

インフレが実現すれば賃金を据え置くだけで実質賃金を削減できる。


物価下落=デフレの局面では「賃下げ」が困難であるため実質賃金コストが拡大する。

これを回避するためにインフレ誘導が提案された。

したがって、インフレ進行下で実質賃金が減少するのは順当なこと。

労働者の実質賃金増大を目指すなら「インフレ誘導」は適正な政策対応でない。

インフレ進行を受けて一部の企業で賃上げが実施されているが、重要なことは賃上げがすべての企業で一律に実施されるものではないこと。

力のある大企業の正社員の賃金は増加するが、力の弱い企業では大幅賃上げは実現しない。

正社員の賃金は増加するが非正規労働者の賃金は増加しない。

インフレを推進して賃上げを奨励する結果、労働者間の格差が拡大する。

賃上げの恩恵を受けることができない弱い立場の労働者は賃金が増えないのに生活必需品の物価が大幅に上昇するという現実に直面している。

庶民のなけなしの虎の子預金はインフレで目減りする。

つまり、インフレを推進する政策は間違っているのだ。

日銀に求められる行動は「物価安定」を確実に確保すること。

「物価安定」を確実にしたうえで企業に賃上げを求めるのは正当。

ただし、企業に対しては正規労働者だけでなく非正規労働者の賃金引上げを強く求めなければならない。

国会においては、「インフレ誘導」が間違った政策目標であることを確認することが重要だ。

日本経済の回復=経済成長はインフレ誘導によっては実現しない。

経済成長政策を担うのは財政政策であることを確認するべきだ。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-fcef83.html

植草一秀の『知られざる真実』2025年1月 9日
害悪だらけの日銀超緩和政策
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-16de73.html

12月19日の金融政策決定会合で日銀は金利引き上げを見送った。

利上げを見送った直接の要因は、前日の12月18日に米国FRBが利下げを決定したものの、先行きの金利引き下げペースを緩やかにする方針が明示されて米国株価が急落したことにある。

NYダウは12月17日終値43,449ドルから1,123ドル急落して18日は42,326ドルで取引を終了した。

FRBはFFレートの見通しを公表した。

9月FOMCでは2025年末のFFレート水準を3.25〜3.50%としていたが、12月FOMCでは3.75〜4.00%とした。

12月18日のFOMCでFRBはFFレートの誘導目標を4.25〜4.50%に引き下げた。

昨年9月FOMC以来12月までに3回のFOMCが開催されたが、そのすべてで利下げが決定された。

しかし、12月のFOMCでは2025年の利下げをペースダウンする方針が決定された。

9月時点での、2025年に0.25%幅の利下げを4回実施するとの見通しが、2回実施方針に修正された。

パウエルFRB議長は会見で

「今後は利下げでより慎重になる可能性」

「インフレ率が持続的に2%に向かわなければ、利下げペースをより鈍化させることが可能」

と示した。

FRBの利下げペースが鈍化する方針が示されたことに反応してNYダウが前日比1123ドル急落した。


昨年7月末の金融政策決定会合で日銀は利上げを決定。

利上げ決定は想定の範囲内のもので、日銀の利上げ決定を受けて日本株価は反発した。

ところが、その後の記者会見で植田和男日銀総裁が

「今回の展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。」

と述べて金融市場が激烈な反応を示した。

日銀の利上げ対応は適正なもの。

しかし、利上げ後の会見で「利上げを継続する」と宣言する必要はなかったと言える。

日経平均株価は7月11日の42,426円から8月5日の31,156円へ11,270円、26.6%の暴落を演じた。

歴史的な株価大暴落になった。

しかし、1990年の大暴落とは異なり、今回の株価急落は「バブル崩壊」ではない。

私は株価が反発に転じる可能性が高いとの予測を明示した。

実際、その通りになった。

この経験があるため、12月19日の利上げは見送る以外に道はなくなった。


しかし、日銀の短期金利引き上げは適正な政策対応である。

日銀の利上げを闇雲に批判する者がいるが正しくない。

日銀の責務は「通貨価値の維持」と「金融システムの安定性確保」。

「通貨価値の維持」とは「物価安定」のことだが、対外的な「通貨価値」が為替レートであり、日本円暴落は「通貨価値の暴落」を意味しており、日銀は日本円暴落を回避するために行動しなければならない。

マクドナルドのビッグマックはさまざまな要素価格が組み込まれたものであるとともに、各国で販売されていることから、為替レートの偏りを判定する上で有用な財である。

ビッグマック1個の価格がA国とB国で等しくなる為替レートを計算することができ、これを「購買力平価」と捉えることができる。

現在のビッグマック価格を基準とするとドル円レートの購買力平価は1ドル=85円程度になる。

1ドル=160円は日本円暴落水準である。

日本円暴落は日本国民保有資産のドル表示金額を激減させる。

グローバルスタンダードでの日本国民保有資産金額の激減を招いている。

国民は海外から輸入した財を消費する。

円が暴落すると輸入財に対して多くの日本円を支払わなければならない。

日本円暴落によって日本国民は巨大な損失を蒙っている。

日本円暴落によって利益を得るのは輸出者のみである。

また、2023年には日本で4%を超えるインフレも発生した。

インフレも消費者、労働者、生活者、主権者、国民に損失を与える。

金利が上がると住宅ローン金利 が上昇して困ると言うが、家計の預金と借金を比較すると圧倒的に預金が多い。

金利上昇はプラスマイナスを相殺すると家計にはプラスになる。

1月の金融政策決定会合で日銀が利上げを決定することは適正な措置になる。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-16de73.html

65. 中川隆[-7908] koaQ7Jey 2025年1月22日 01:40:58 : 82yiTmDROI : c1hNNHJSNUZOL1U=[9] 報告
日銀の利上げは世界株式の最大のリスク?
石原順チャンネル 2025/01/21
https://www.youtube.com/watch?v=HKyMUAUtynk

<チャプター>
00:00 日銀の利上げは世界株式の最大のリスク?
02:46 ナスダック100(日足)利上げでも下がらない株
06:01 米ハイテク企業のバリュエーションは、「日本の実質利回り」に連動している
08:06 世界の中央銀行の政策金利と実質金利
17:52 日銀は世界の中央銀行による型破りな政策の大実験の終結を示すことになるだろう21:30 日本の異常低金利と量的緩和が、世界のエブリシングバブルを支えてきた
24:50 ドル/円(日足)
26:44 ドル/円(月足)

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