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(回答先: 金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる 投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 01 日 05:42:04)
長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
2021年9月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210
アメリカではテーパリング(量的緩和縮小)が始まろうとしている。金融緩和と財政出動で株価と経済を押し上げた流動性相場が終わり、別の新たな相場が始まろうとしている。
催促相場の始まり
この新たな相場の1つの特徴はドルが上がりにくくなることである。直ちに下がるとは言わないが、以下の記事ではトランプ相場の例を挙げ、流動性相場ではドルが上がるがその後の催促相場(市場が「緩和なしでは駄目だ」と言い始める相場)ではドルが上がりにくいことを説明した。
ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14778
では金利はどうなるだろうか? アメリカの長期金利はテーパリングが噂された春頃から下がり始めたものの、8月からは小反発している。
これまで金利を低く抑えてきた量的緩和を縮小するテーパリング予想で金利が下がった。しかし最近の経済統計で経済活動が鈍化している状況が確認されるとテーパリングが先延ばしにされると観測され、金利は逆に上昇した。
予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14848
低調な雇用統計、テーパリング懸念後退で金利上昇となった理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15181
実体経済の様子
これが現在の状況である。テーパリングが行われるのは、当然ながらコロナ禍で行われた現金給付などの刺激策がアメリカで物価高騰を引き起こしているからである。
米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14575
一方で個人消費などの経済活動は、刺激策がなければアメリカ経済は成長しないというシナリオを支持している。個人消費は今年3月の現金給付で跳ね上がって以降、横ばいを続けている。
4月以降の横ばいのチャートが、緩和がない場合のアメリカ経済の姿である。
米国政府はどうするだろうか? 緩和がなければ、実体経済は恐らく2022年には横ばいか、悪ければマイナス成長となるだろう。
しかし現金給付などの緩和を行えば、ただでさえ高騰している住宅価格は手が付けられないほど上昇し、アメリカ国民はインフレに苦しむだろう。
金利の推移見通し
長期金利がテーパリングで下がっているのはそれが理由である。債券市場は緩和を撤回すると実体経済が沈むということを理解している。そして緩和を続けるとインフレが止まらなくなることも理解している。だからテーパリング懸念で金利低下、テーパリング延期で金利上昇なのである。
だからその両方のシナリオを考えてみよう。テーパリングが強行され、利上げが行われる場合、アメリカ経済は高い確率でそれに耐えられない。短期金利が利上げに連動して上がる一方で、長期金利はそれほど上がらないか、むしろ下がってゆくだろう。
ではテーパリングと利上げがそれほど進まず、緩和的な環境が続く場合はどうか? この場合は物価の高騰が進み、短期的には長期金利は上昇するものの、最後には中央銀行は利上げでインフレに対応しなければならなくなり、その引き締めは今すぐ引き締めした場合よりも苛酷なものになるだろう。
こうした場合、債券投資家によく知られている結末は、長短金利差の縮小である。つまり、利上げによって短期金利は上がらざるを得ないが、長期金利は利上げと景気後退の両方の影響を受けるので、短期金利ほどは上がることが出来ないのである。
長短金利差の縮小
上記の考察により、どちらの場合にも最終的には長期金利は短期金利よりも上がらない、つまり長短金利差が縮小するという結論が得られた。これはインフレシナリオにもデフレシナリオにも対応できる投資戦略である。
典型的なのはアメリカで物価が高騰した1980年前後の状況である。インフレ率が15%以上を記録する中で長期金利も高騰した時代だが、短期金利と比較すると長期金利はむしろ大幅に下がった。つまり、長短金利差は縮小した。
チャートを見ての通り、1980年前後には長短金利差は縮小するだけでなくマイナスになり、長期金利より短期金利の方が高い状況が続いている。
つまり、インフレシナリオになる場合、(金利と債券価格は逆相関なので、)短期国債を売って長期国債を買えば、短期金利上昇と長期金利低下の恩恵を受けられるということである。この場合、恐らく1980年と同様の長短金利差逆転が起きると筆者は推測している。
では引き締め政策でデフレシナリオになる場合はどうだろうか? その場合はこれまで投資家が長らく慣れてきた相場、つまりゼロ金利相場に戻ることになるだろう。短期金利も長期金利もゼロになる。現在の長短金利差は1%なので、金利差の下落余地は大いにあるということである。
結論
短期的には考えることが様々あるが、中長期的にはこのシナリオは不可避であるように思える。そしてこのシナリオは市場にまだ織り込まれていない、投資家に利益のチャンスがあるシナリオである。
現在、金融市場は緩和をして経済が浮揚して何の副作用もないという夢のようなシナリオを信じている。しかしその夢が崩れる時は確実に近づいている。
レイ・ダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏であれば、その副作用とは将来のドル下落だと言うだろう。
世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927
ガンドラック氏: ドル暴落は何年かの内に 米国株から避難せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15072
あるいはスコット・マイナード氏であれば金価格の高騰だと言うかもしれない。
マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13742
しかし著名投資家もあまり注目していない第3の副作用が存在する。長短金利差の縮小である。
このトレードはもはやあとはタイミングだけの問題であるように思える。ドルの推移予想についても以下の記事で書いているので、そちらも参考にしてもらいたい。
ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14778
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210
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