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量的緩和はデフレの原因
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1128.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 23 日 12:37:06: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる 投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 01 日 05:42:04)


ガンドラック氏: 量的緩和はデフレの原因
2021年9月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15537


アメリカのインフレとその後のインフレ減速を見事予想したDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がValuetainmentのインタビューで政府の緩和政策と物価の関係について議論しているので紹介したい。

量的緩和がデフレを生む

先進国は長年量的緩和を行なってきた。コロナ後はそれに加えて政府は現金給付を行なった。日本でも10万円が給付されたが、アメリカではその3倍以上の金額が給付されている。

量的緩和政策は中央銀行が紙幣を印刷して債券などを買い上げる政策である。債券とは国や企業の借金を証券化したものであり、アメリカでは倒産リスクのある企業の債券であるジャンク債さえも中央銀行が買っている。

一般的には量的緩和は紙幣を無制限に印刷するためインフレを生むのではないかと言われている。しかしガンドラック氏の意見は逆である。彼は量的緩和の是非を聞かれ、次のように答えている。

短期的には良いことだと言えるかもしれない。だが長期的には債務には新陳代謝が必要だ。ゾンビ企業、非効率な企業を退場させる必要がある。だが、緩和のお陰でそれが起こらない。

これはデフレの一因だと言える。供給が過剰なのだから理屈が通るだろう。

市場経済では消費者の望む商品を作らない企業は淘汰される。しかしそれを政府が人為的に妨げると、消費者の望まないものを作り続けるゾンビ企業がどんどん増えることになる。

経済学では価格は需要と供給の兼ね合いで決まり、ゾンビ企業を生かすということは経済の供給(しかも不要な供給)を増やし続けるということである。供給の増加は当然ながら価格を押し下げる。つまりデフレになるのである。

デフレがインフレになる瞬間

しかし現在アメリカで懸念されているのはインフレであり、デフレではない。アメリカではコロナ禍で大量の現金給付を行なった結果、物価が上昇している。デフレが問題だったはずがいつの間にかインフレになっている。

それは何故か? 量的緩和を長年続けるとデフレと低成長が実現する。消費者の望まないものを作り続ける企業が増え続けるのだから当然である。インフレになる前に緩和は終了し、それで問題がないと人々は考える。

しかしそこにコロナショックのような衝撃が加わり深刻な景気後退に陥ると、インフレを引き起こす規模の刺激策なしには経済成長を支えられなくなる。インフレが起こると分かっていても緩和で経済を支えなければならなくなる状況に陥るのである。

ガンドラック氏は次のように続けている。

しかしこれほどの現金をばら撒いた場合、消費がデフレ圧力に打ち勝ってしまう。

この状況に陥った経済は急激なデフレと急激なインフレを行き来する非常に不安定な状態となる。緩和を止めれば急激なデフレになり、緩和をすれば急激なインフレになるからである。

まさにこれが現在のアメリカ経済の状況である。アメリカでは3回行われた現金給付が今年3月を最後に途絶えると、アメリカ経済は途端にデフレに向かい始めている。

予想通り減速の8月米インフレ率、デフレ相場に中国の不動産バブル崩壊の追い打ちか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15437


もうアメリカには選択肢が2つしかない。緩和を続けて物価高騰を受け入れるか、緩和を止めて不況を受け入れるかである。

この状況は短期的にはコロナだが、長期的には量的緩和が作り出したものである。量的緩和によるデフレと低成長がなければ、コロナ禍も経済的にはこれほど酷くはならなかっただろうからである。

新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10248


量的緩和政策のそもそもの原因

そもそも何故量的緩和政策が行われたのだろうか? 量的緩和政策とは基本的に貸し手より借り手に有利な政策である。金利を押し下げることで莫大な借金を背負っている借り手は利払い義務が軽減される。

一方で貸し手はお金を貸しても金利が得られない状況に陥る。得られないどころか、銀行にお金を預けるとむしろ手数料を取られるというのが貸し手が置かれている状況である。

ここで考えてみてほしいのだが、経済における最大の借り手とは誰だろうか? 政府である。そして貸し手とは誰だろうか? 国民なのである。

つまり、量的緩和政策とは経済最大の借り手である政府が、貸し手である国民を犠牲にして自分を利する政策なのである。こうすることで政府は莫大な借金を背負っても、東京オリンピックやGO TOトラベルなどの政策で自分の支援者に金をばら撒くことが出来る。

そして奇妙なことに何も知らない大半の国民は無邪気にもそれを支持しているのである。人々が自分の置かれた状況についてどれだけ何も知らないかである。

量的緩和危機と中国恒大集団

ガンドラック氏のこのインタビューはある意味ではタイムリーである。何故ならば、非効率なビジネスを生かし続けた結果が、いま中国でGDP2%分の負債を抱えて破綻しかけている恒大集団だからである。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15457


中国もまた消費者の望まないものを作り続ける企業を長い間野放しにしてきた。しかし報道によれば中国共産党は恒大集団を救済しない可能性が高いらしい。中国共産党傘下の環球時報は次のように主張している。

恒大集団は『大きすぎて潰せない』の原則に基づく政府による救済を期待すべきではない。

これは中国共産党がアメリカとは違う方向に舵を切ったことを意味する。不況か物価高騰か選べと言われたら、米国政府は迷わず物価高騰を選ぶだろう。

しかし少なくとも現状では中国共産党はゾンビ企業の末路を市場経済に委ねたように見える。一方で、どの企業が生き残るべきかを消費者ではなく政府が決定する量的緩和は共産主義の定義そのものである。

結論

以下の記事で説明した通り、中国政府の選択は短期的には中国の不動産バブル崩壊というかなり大規模な経済危機を引き起こす恐れがある。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15457


しかしそれがなければ、中国も(そして日本も)いずれ現在のアメリカのような状況に陥るだろう。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037


中国共産党はゾンビ企業の始末を市場に委ねようとしている。この意味では中国共産党は量的緩和を推進する日本の自民党よりよほど資本主義的である。

一方で、日本を含め多くの先進国の政治家は票田にばら撒くための政府予算にしがみつくためだけに緩和政策に執着している。増税と量的緩和という社会主義政策を推し進める政党を保守と呼んではならない。彼らは左翼である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15537  

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コメント
1. 中川隆[-15772] koaQ7Jey 2021年10月28日 06:38:39 : 7rSMKpZU2w : MERzTngyM09QTDY=[4] 報告
日本経済はこうすれば復活する 自民党が絶対に実行しない経済政策
2021年10月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16728


衆議院選挙を控え、丁度良い時期なので、以前書いた記事を更新し、日本経済を復活させるためにはどうすれば良いのかをもう一度考えてみよう。

日本経済はこうすれば復活する: 自民党が絶対に実行しない経済政策 (2016/5/26)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3366


今回は各党の経済政策も紹介しながら政策提言を書いてゆきたい。しかしここではっきりさせたいのは、自民党の政策が保守ではなく完全な左派であるということである。

現金給付

まずはコロナ禍で話題の現金給付から始めよう。

自民党は「困っている人に給付」、立憲民主党は低所得者に12万円、共産党は中間層も含めて10万円、維新の会は6万円から10万円のベーシックインカムとなっている。

まず1つ言えるのは、現金給付を行うくらいならば減税で良いということだ。政府から10万円程度が貰えるということで喜んでいる人々が多いが、はっきり言うがそれは自分が払った税金が少し戻ってきただけの話である。

日本国民の大半は10万どころではない税金を毎年納税しており、何百万取られた代わりに10万貰って喜んでいる自分の姿を少しは想像してもらいたい。強盗に100万取られたが10万返してもらって喜ぶ人がいるだろうか。政治の世界では、何故か居るのである。

更に悪いことに、この給付額と給付対象は政治家が自分の得られる得票数を考えて恣意的に決定する。減税であれば自分の稼いだお金がそのまま自分のところに入ってくるのだから公平だが、この公平さを捨てて現金給付にする意味は、政治家が国民に得をさせたという幻想を抱かせることと、票田に金を撒くこと以外に何かあるのだろうか。

それよりも更に悪いことに、この現金給付は日本の3倍以上の規模でアメリカで行われ、溢れた資金はエネルギー価格や農作物価格などの高騰を引き起こした。金が降ってきたという幻想は「それが泡銭である」という錯覚を引き起こし、コロナで工場などが停止している供給の足りない経済的場面で需要を増加させるからである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629


日本の現金給付はこれまでアメリカの1/3以下の規模だったから良かったものの、2回目以降を行うのであれば話は変わってくる。

ヨーロッパでは天然ガス価格が5倍になったために既に真冬に暖房が使えない人も出てくる状況である。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
脱炭素政策による化石燃料高騰も含めるとアメリカやヨーロッパの国民は物価上昇によって10万円では済まない損失を負っているのだが、日本人は本当にその真似がしたいのだろうか?

消費税

続いて消費税である。消費税は長らく5%だったが、その後自民党によって段階的に10%にまで引き上げられた。

現状ではこれを維持したがっているのが自民党で、立憲民主党と維新の会が5%への一時減税、共産党が5%への恒久減税となっている。

日本の財政は長らく増税と予算膨張を繰り返してきた。それが自民党の政治である。政府がより多く徴収し、より多く資金の使用先を決めるということである。

この政治方針のことを大きな政府と言う。逆により少なく徴収しより少なく使用する政府を小さな政府と呼ぶ。そして世界の常識では大きな政府は左派、小さな政府は右派なのである。

これは共産主義とは何であるかを考えてみれば当然である。共産主義とは政府が資源の配分を決めるやり方であり、政府が国民から資金を徴収して誰に振り分けるかを決める大きな政府は、共産主義の定義そのものであり、当然ながら左派である。

政府に予算の使い方を決めさせればどうなるか、日本国民はコロナ禍で思い知ったはずである。コロナ禍で多くの国民が金銭的、時間的、精神的負担を払っている時に自民党が行なったのはGO TOトラベルと東京オリンピックだった。

日本人は東京オリンピックに3兆円が費やされたという事実を本当に分かっているのだろうか? 東京の真ん中に打ち立てられた巨大な便器だけでも1,569億円も日本人は払ったのである。


打ち立てるにしてももう少しマシなものはなかったのだろうか。GO TOトラベルも含め、すべては自民党が国民から徴収して自分の票田にばら撒くためだけの政策である。

こうした無駄な税金は減らすことが出来ない訳ではない。誰も文句を言わないから減らないだけである。これだけのことをされても日本国民は笑いながら自民党に投票する。だから減らないのである。

また、経済学的な観点からも消費税は撤廃して所得税と法人税に一本化すべきである。所得税や法人税は個人や企業の利益にかかるが、消費税は経済のトランザクションそのものにかかる。

消費税は経済活動を阻害する悪法なのだが、何故自民党が消費増税を好んで法人減税を行いたがるかと言えば、消費税は海外での売上には掛からないため、大企業は消費税をほとんど払っていないからである。経団連が大喜びというわけである。

私権の制限

コロナ禍で問題となるのがロックダウンなど私権の制限を伴う法的措置である。これについて自民党の岸田氏は、緊急時に政府の権限を拡大する緊急事態条項の創設を巡って、感染症への対応を追加することを議論すると表明している。

これは実質的に強制的なロックダウンを可能にする。「国民ではなく政治家が決める」を旨とする左派(大きな政府)の自民党なのだから当然の選択だろうが、簡単に言えばコロナ禍で好き勝手にしていた日本政府にもっと好き勝手にさせろということである。

他の政党はどうかと言えば、立憲民主党と維新の会もロックダウン支持、共産党がロックダウン反対である。

「議席なし」投票

ここまでの議論で給付金などの経済政策と私権制限についての大枠は説明した。残念ながら給付金に反対する政党はない。

こうした状況で思い出されるのは、経済学者ミルトン・フリードマン氏の次の言葉である。

ミルトン・フリードマン氏: リベラリズムは衆愚政治である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12998


こうした政策の中身は、現実には政府がまったく恣意的に国民の一部から税金を略奪して国民の他の一部に補助金として与えるということでしかない。

したがって今回の記事では、経済政策ではないが選挙制度改革として次のことを提案したい。選挙を行う時、投票先として政治家や政党の名前の他に「議席なし」を加える。この「議席なし」が最大の票数を獲得した場合、その選挙区から選出される議員はゼロとする。

はっきり言えば、政治家にはもういい加減にしてもらいたいのである。飲食店や国民に過大な負担を強いながら自分は利権の温床である東京五輪を実行し、しかもこれまで以上に国民の行動を制限したいなどというのはあまりに国民を舐めている。

むしろスイスのように国民投票を常習化し、政治家が独断で物事を決める機会を減らすことが必要だろう。国民を舐めた東京オリンピックを国民投票で止めさせることも出来たはずである。

結論

他にも言いたいことはあったのだが、現状重要なことにはすべて触れたのでここで筆を置く。量的緩和などもっと本格的な経済政策についてはこれまでの記事を参考にしてほしい。

ガンドラック氏: 量的緩和はデフレの原因
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15537

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


面白いのは、名前に共産主義の入っている共産党が一貫して政府の権限を国民に戻そうとしており、「自由」と「民主」の自民党が一貫してその逆だということである。というか上の自民党の政策で、国民から搾取して票田にばらまくこと以外を目的とした政策が1つでもあっただろうか。

自民党の政策は世界の基準から見れば左派、リベラル派の政策にあたる。アメリカでは大きな政府を標榜するのがリベラル派の民主党、小さな政府を標榜するのが保守派の共和党である。

国民に人気のある河野氏が落選し、政治家の話を聞くのが得意な岸田氏が選ばれたのも、2016年に人気のバーニー・サンダース氏を落選させて不人気のヒラリー・クリントン氏を党代表に選出した民主党と完全に同じである。

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/4615


そして自民党はそれでも票を入れてもらえると思っている。国民より政治家が大事だということなのである。

また、海外のリベラル派の妄言に騙されて脱炭素政策を進めているのも自民党である。無理矢理化石燃料を減少させた脱炭素政策は世界中でエネルギー価格を高騰させており、特にヨーロッパでは深刻な状態となっている。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16442


そして同様にリベラル派の推進した難民政策という名の移民政策に乗ったのも自民党であり、当時反対した唯一の政党が共産党だった。

安倍首相がシリア難民150人受け入れを発表、日本の治安と文化は終焉へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3324


そろそろ日本国民は自民党が保守だというまったくの幻想から目覚めてはいかがか。自民党は完全にリベラル派であり、左派である。

そして共産党は実はかなりの保守なのである。共産党は筋金入りの資本主義者であるファンドマネージャーらが低成長の根本原因として批判している量的緩和にも反対している。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


実際、自衛隊への攻撃を封印した共産党の政策は悪くない。経済政策だけ取り出せばマクロ経済学的に欠点がないくらいである。各党の政策がこの並びならば、立憲民主党などとは組まずに単独で過半数を取るべきだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16728

2. 中川隆[-14467] koaQ7Jey 2021年12月24日 05:12:54 : zPeXbWXQFc : RlBrUHl2NnpoOEU=[12] 報告
3回で足りるわけない米利上げ。2022年の米国経済は低速成長、日本株は20%超の下落も=藤井まり子
2021年12月22日
https://www.mag2.com/p/money/1140016


12月FOMCの結果は、市場の予想通りであり大きな波乱は起きずに済みました。しかし現在の米国経済のインフレ状況を見てみると、今のFRBの方針では抑えこむことは不可能です。2022年以降、FRBは掌返しで利上げを激しく行う可能性が高くなってきました。2022年以降の世界経済の行方について解説します。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)


パウエルFRBの「一日天下」
12月14〜15日に行われたFOMCの結果(=中身)と、その影響は15日当日だけの「わずか1日」だったことは、当メルマガ12月14日号で解説した通りになりました。

すなわち、パウエルFRBは、この日のFOMCの金利見通しを、金利先物市場の「のんびりと間違った金利予想」にこれ幸いと便乗して追随、「来年の利上げはおよそ年3回程度」としました。

記者会見も成功しました。議長は上手にしらばっくれて「内心のパニック」を市場に見透かされることはありませんでした。

その結果、内外の株式市場はほっと肩をなで下ろしました。アメリカ時間で12月15日当日は、アメリカ株式市場は「大幅上昇」で反応。翌日16日の日本株式市場もこのアメリカ株式市場に追随して、「爆上げ」で反応しました。

しかしながら、12月15日の「大幅上昇」は、よくよく調べてみるとその内実は「今回のFOMCの失敗」に賭けていた投機筋が、想定外の上昇に踏まれて、「売りポジション」を強制的に解消させられたことから起きていました。やはり、彼ら投機筋は「下げ」に賭けていたのです。

ですから、パウエル議長の「大芝居」が効力を発揮できたのは、踏み上げの起きたわずか1日だけでした。

一部の内外の市場関係者は、翌々日からは、もう一度改めて「FRBの来年の利上げ見通し」について精査を開始し始めた模様です。

12月16日、アメリカドル国債はさらに買い進められて、長期金利は再び1.40%台まで低下。 イールドカーブもフラット化したまま。 近い将来のアメリカ経済に「暗い見通し」を示します。

どちらにしろアメリカ経済はスローダウンする
これはローレンス・サマーズ元財務長官の指摘するように、ドル国債の金利市場が、次のことを警戒しはじめたことの現れでしょう。

すなわち、パウエルFRBは、来年3回しか利上げしない。つまり、インフレ退治を放棄して高インフレを放任する。その結果、アメリカ経済は向こう数年間スタグフレーション的な状態に陥って、成長はスローダウンする。

あるいは、FRBのインフレ退治のためのビシバシ利上げで、向こう2年以内にアメリカ経済がスローダウン、もしかしたらリセッション入りするかもしれない。

つまりは、「どっちみち、アメリカ経済はスローダウンする」ことを、市場が警戒していることの現れでしょう。

16日から、内外の株式市場は弱含みに転じて、調整局面入りへ。やはり、年末から年始にかけて、10%調整は巻き起こりそうです。

今年12月の株式市場は、「ドル国債市場の異変」すなわち「ドル国債のイールドカーブのフラット化」「アメリカ経済の近い将来の異変への懸念」に追随して、いつ調整を開始しても不思議では無かったのです。


2022年にFRBは激しい利上げをする
2022年は、FRBが「ビシバシ利上げ」を開始する最初の年です。

ところが、金利先物市場の来年の利上げ予測は、いまだに「のんびりと間違ってる」まま。先物市場は、来年2022年のFRBの利上げを3回くらいしか織り込んでいません。

パウエルFRBも、この「金利先物市場の間違っている、のんびり予測」に便乗して、FRBも12月のFOMCでは「しらばっくれて」います。

しかしながら、FRBがいま現在の「アメリカの7%近い高インフレ」を抑え込みたいならば、FRBが政策金利を中立金利よりもはるかに高いところまで引き上げることが必須です。

今のアメリカの中立金利は、「2.00〜3.00%」と推定されています(分りやすくするために、今後は、その中間を取って「中立金利:2.50%」と記します)。

すなわち、パウエルFRBが高インフレを退治したいならば、FRBは政策金利を「2.50%」よりはるかに高い水準へ、「ビシバシ」引き上げて、加熱気味のアメリカの内需をクールダウンさせて、アメリカ経済をスローダウンさせることが、必須です。

来年2022年のパウエルFRBは、7%近い高インフレを抑え込みたいならば、本当のところは、「1回の引き上げ率が0.25%ならば、1年間で8回をはるかに上回る政策金利の引き上げが必要」なのです。

2022年の米利上げは、年8回以上も必要?
ところが、年8回以上の利上げは、ものすごい勢いの利上げです。今のパウエルFRBは「とても厳しい現実」に直面しているのです。

「イールドカーブがフラット化して、長期金利が極度に低いまま」のドル国債の金利市場は、「後手後手に回り過ぎたパウエルFRBがさっさとインフレ退治を諦めて、今後はたいした利上げを行なわないまま、アメリカ経済をスローダウンさせてゆく」ことを織り込んでいるかもしれないのです。

一方、ローレン・サマーズ元財務長官によれば、もしかするとひょっとすると、「今のパウエルFRBさえも、この『厳しい現実』については、ちゃんと理解していない」かもしれないとのことです。

この「厳しい現実」を知った時、パウエルFRBは改めてパニックに陥って、内外の株式市場も震かんすることでしょう。

2022年はジェットコースター相場。どこかで20%の調整も
来年2022年のFRBは、どこかのFOMC会合で「間違っている市場予想」を大きく裏切りながら「今年は年8回の利上げが必要だ」と正直宣言して「タカ派へ急旋回」するかもしれません。この時、内外の株式市場は20%くらいの大幅調整をすることでしょう。

あるいは、来年2022年のFRBは、FOMCの会合が開かれるたびに、「2022年の利上げ見通し」を幾度も幾度も「小幅のタカ派修正」をして、幾度も幾度も「間違っている市場予想」をちょっとずつ驚かせていくかもしれません。

この場合は、内外の株式市場は5〜10%調整を繰り返すでしょう。が、どこかの時点で市場は、「自分たちもFRBも大きく間違っている」ことに気がついて、大幅調整するかもしれません。

いずれにせよ、来年2022年は、FOMCの会合が開かれるたびに、内外の株式市場は「市場予想を大きく上回る利上げ予告」に、動揺して調整することでしょう。

かくして、2022年は株式市場は乱高下が激しくなり、どこかの時点で、20%調整も起こり得るでしょう。

すなわち、来年2022年の内外の株式市場は、おそらく、「毎年株価が弱含む春から秋」(?)にかけて、一時的に20%くらいの大幅下落などなど、乱高下の激しい年になることが今から警戒されています。

それでも、2022年は、アメリカ経済では実質金利はマイナスのままです。S&P500は年間を通じては、まだ5〜6%の運用益は得られるだろと予想されています。 1年を平均してみると、おおむね株式ブームは継続することでしょう。

2022年末の株価目標は、とてもとてもザックリですが(2022年の予測は今までで一番ざっくりした予測です!)S&P500は、5,000〜5,100ポイント。2022年末のS&P500の株価目標については、モルガン・スタンレーなどの弱気派は(12月に入ってからさらに下方修正して)4,400ポイントとしています。ちなみに、モルガン・スタンレーは毎年弱気派です。

ヨーロッパ株式市場:高パフォーマンスが期待できる
ヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも「出遅れ感」が強いです。2022年のヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも高パーフォーマンスが期待されています。

日本株式市場:アメリカよりもさらに売り込まれる
主体性の無い動きを続ける日本株式市場は、来年もアメリカ株式市場の動きに追随することでしょう。

岸田政権による経済刺激策は、張りボテなだけで「中身はしょぼい」のが実態です。日本経済は、引き続き内需が弱い状態が続きそう。

ですから、日本では2022年においてもたいしたインフレは起きないでしょう。

さらに、2022年の日本経済は引き続き中国経済の影響も強く受けます。が、その中国経済も2022年に入っても不動産バブル崩壊の後始末に手こずったまま、来年は成長が大きくスローダウンすることが見込まれています。

結果、来年アメリカ株が大きく売り込まれたときは、日本株はアメリカ株よりももっと売り込まれることでしょう。来年は、おそらく春から秋にかけて、一時的にせよ日経平均が2万4,000円を大きく割り込むなんて「悪夢」が現実になるかもしれません。裏を返すと、「ビック・チャンス」なのですが…。

2022年末の日経平均は、2万9,500円〜3万0,500円と予想しています。

中国株式市場とその他の新興国株式市場
中国は、来年も「大型不動産バブルの後始末」に追われて成長が大きくスローダウンしそうです。株式市場の大幅な上昇は、あまり期待できません。

中国と関係の深い新興国株式市場もあまり期待はできないでしょう。

ただし、2022年のどこかの時点で、「ドル安」基調が始まって、「ドル安新興国通貨高」トレンドが始まるならば、この限りではありません。

「ドル安トレンド」が始まるならば、中国株式や新興国株式にもチャンスが訪れるかも知れません。


アメリカの高インフレは向こう3年は続く?
繰り返しになりますが、今のアメリカでは7%近い高インフレが猛威をふるっています!

今から記すことは、2022年内はあまり心配しなくても良いかもしれません。心配し始めたほうがよいのは、再来年(2023年)以降でしょう。

この高インフレは向こう3年くらいは続くことでしょう。

来年2022年は、パウエルFRBが「高インフレと戦うために、ビシバシ利上げをする、向こう2〜3年間の『最初の年』」です。

FRBが「大きく後手後手に回っている、回り過ぎている」ために、今の7%近い高インフレは、今後もますます燃えさかっていく可能性が高いです(夏場には、二桁近いインフレが起きても不思議ではないです)。

さて、繰り返しになりますが、この高インフレを抑え込むためには、「中立金利:2.5%」よりもはるかに高い政策金利が必須になります。

パウエルFRBが「来年1年間で0.25%の政策金利の引き上げを8回行なった」としても、「来年末の政策金利は2.00%」です。まだ「中立金利:2.50%」には及びません。「政策金利:2.00%」では、まだ高インフレを抑え込むことはできないのです。すなわち、この「2.00%」水準では、来年末になっても、7%近い高インフレは加速することはあっても、沈静化したり、下火にはなっていないのです。

さらに、「金融引き締めによるインフレ退治」には、半年か1年のタイムラグが必要です。大変驚くべきことかもしれませんが、アメリカの政策金利が2.50%よりも遙かに高くなった時点から、さらに半年から1年の時間が経過しないと、高インフレは沈静化し始めないのです。

すなわち、来年2022年は無理だとしても、再来年の2023年のどこかに時点で、FRBの政策金利が「中立金利2.50%」よりはるかに高くなるかもしれません。そして2023年に、やっとこさ、はるかに高くなったとしても、7%近い高インフレは2023年末になっても燃えさかっているはず。FRBがここまでバカスカがんばっても、アメリカで高インフレが止まるのは、2024年に入ってから。これが、パウエルFRBが後手後手に回ってしまった結果の「厳しい現実」なのです。

かくして、パウエルFRBがどんなにうまくやっても、現在進行形の高インフレは2024年に入って「やっと静まり始める」程度でしょう。

パウエルFRBの「高インフレとの戦い」、言い換えると、「ビシバシ利上げを続ける年」は、少なくとも「向こう2〜3年間は続く」のです。

3年間の「高インフレ」がアメリカ経済に及ぼす影響
7%を軽く上回るようなインフレが向こう2〜3年間は続くと、アメリカ経済はどうなるのか?

2022年から2023年のどこかの時点で、インフレが二桁に近づいたりすると、パウエルFRBがますますパニックに陥りやすくなります。パウエルFRBがパニックに陥って利上げをし過ぎて、アメリカ経済が大きくスローダウン、リセッション入りしてしまう可能性は、かくして生まれるわけです。確率としては30%〜40%。

反対に、パウエルFRBが中央銀行としての責任を放棄する可能性もあります。パニックに陥り過ぎて、無気力になったFRBは、何もしなくなる可能性があるのです。すなわち、驚きべきことに、FRBはビシバシ利上げなどは行なわずに、高インフレを放置する可能性が今から指摘されているのです。

来年2022年の利上げでは、パウエルFRBは「市場予測通りの年3回の利上げ」だけに留めて、インフレ退治を最初から諦めてしまう可能性があるのです。

結果、アメリカ経済は向こう数年間は「スタグフレーション的」な状態に陥って、やはり経済成長は大きくスローダウンしてしまうことでしょう。最終的には、アメリカは数年後あたり(?)にアメリカ経済は正真正銘のスタグフレーション(不況の中の物価高)に陥ってしまうことでしょう。確率としては、33%くらいと読んでいます。

かくして、アメリカ経済が無事にソフトランディングする確率は20〜25%くらいに低下しています。  

3. 中川隆[-14407] koaQ7Jey 2021年12月28日 11:17:21 : Y4RaJLU9Ds : VDdQZHR4alRReXc=[11] 報告

2021年12月28日
サマーズ元財務長官、アメリカはスタグフレーションになると予言

大きな不況ではその場に留まれず下に落ちていく


リセッションが目前に迫っている

今アメリカ人が最も恐れているのはコロナではなくインフレと不況で、非常に高い確率で現実化すると予想されている。

サマーズ元米財務長官は最近、アメリカはリセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあると語った。

日本語では「深刻な不況とハイパーインフレが同時に起きるだろう」とでも翻訳でき、かなり強い表現でした。

今まで10年ほどアメリカの経済関係者は「世界がどうなろうとアメリカ経済は無敵」のような発言を繰り返してきた。

それが今はみんなインフレ、リセッション、スタグフレーション、利上げなどの話をしている。

事の始まりは2007年のサブプライムショックで、ホームレス向け住宅ローンである事を隠して投資家に販売していた。


こんな物がうまく行く訳がないのだが、成るべくしてサブプライムは破綻し、連鎖的にリーマンショックに至った。

当時の状況はアメリカの破綻は秒読み、ドルは明日にもデフォルトし紙切れになるとされていました。

大手メディアもすべてアメリカ破産の現実味を記事にしていて、もうアメリカは復活しないと思われていた。


ところがバーナンキというFRB議長が「お金は使えば使うほど増えていく」というヘリコプター理論を展開した。

「金がなければ空から撒けば良い」という名言を残して無限大の金融緩和を行い、政府も無限大の支出をした。

この結果アメリカ政府は破綻したりせず、面白いようにお金が増えてあっと言う間に経済回復しました。

再びリーマン級の不況がやってくる

これがMMT理論の始まりで、アメリカが実際にやってみて大成功したが日本政府は拒否しています。

中央銀行がお金を無限に発行し、政府は無限大の支出をし、それでGDPが増えて税収が増えるので良いじゃないかという考えです。

こうしてアメリカ経済は奇跡の復活を遂げ、2020年まで空前の好景気を続けました。


ここでコロナウイルスがアメリカを襲い、アメリカはまたまた無限のお金を発行し政府は無限の支出をしました。

アメリカは2020年の1年間だけでコロナ対策で数百兆円を使い、国民は受け取った金で消費し空前の好景気になった。

土地や住宅から株からビットコイン、自動車にPS5まであらゆる商品が売れまくりました。


その結果2021年のインフレ率は6%を超え、これはアメリカでは危険な水準と認識されている。

日本のバブル経済と同じ話で、景気を良くし過ぎたらインフレになったので、インフレ鎮静化する必要が生じた。

インフレ率を下げるには利上げが有効だが、利上げは「お金を動かなくする」ので景気を悪化させます。


サマーズ元財務長官は、利上げをしてもハイパーインフレを防げず、不況とインフレが同時に起きると予言している。

実際そうなったらアメリカだけでなく、日本や全世界がリーマンショック級の不況に陥るでしょう

https://www.thutmosev.com/archives/87423256.html

4. 中川隆[-9668] koaQ7Jey 2024年8月01日 05:18:46 : LSt1PIly1Q : MGIyTDdPUTVFVms=[3] 報告
<■77行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ
2024年7月31日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51799

7月31日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げることを決定した。また、現在行われている国債の買い入れについて、徐々に減額すると発表した。いわゆるテーパリングである。

ゼロ金利脱出とテーパリング

まずは利上げからだが、政策金利がゼロ金利から0.25%に引き上げられた。これは3月にマイナス金利から離脱したことに続いての動きである。

日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量的引き締めを視野に (2024/3/20)
これで長年続いたゼロ金利政策が終了した。経済への影響としては、変動金利で住宅ローンを借りていた人に対する金利がいよいよ上がることになる。固定金利が超長期国債の金利に影響される一方で、変動金利は政策金利に影響されるからである。

また、この会合では日銀による国債買い入れ(つまり量的緩和)の金額を段階的に縮小することが発表されている。現在6兆円である毎月の買い入れ額は、2026年第1四半期までに半分の3兆円に減らされる。

金融引き締めの理由

こうした決定の理由は当然インフレ対策である。植田総裁は会合後の記者会見でまず実体経済について次のように発言している。

賃金と物価が連環を高めつつ緩やかに上昇してゆくと見込まれます。

そしてやはり言及しなければならないのが円安である。植田氏は次のように述べている。

これまでの為替円安もあって、輸入物価が再び上昇に転じていまして、物価の上振れリスクには注意する必要もあると考えています。

こうした状況を踏まえ、物価安定目標の持続的安定的な実現という観点から、今回政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整することが適切であると判断しました。

利上げは正しかったのか?

さて、植田氏はいつもの冷静な表情で淡々と述べているが、筆者はこれがかなりの苦渋の選択だったのではないかと考えている。

何故ならば、植田氏の発言は円安については正しく、実体経済については正しくないからである。

それは最新のCPI(消費者物価指数)統計を見れば分かる。日本のインフレ統計はアメリカのものとは逆になっており、食品とエネルギーを除くコア指数は減速しているが、エネルギーは加速している。

食品とエネルギーは海外のコモディティ市場に影響されるため、ドル円が高くなれば物価が上がる。

一方で内需の強さに依存しているコア指数(日銀が勝手にコアと呼んでいるものとは別である)のインフレ率は1.9%まで下がってきており、特に直近2ヶ月のデータが弱い。更に、GDPは消費の減速から最新のデータはマイナス成長となっている。

一方で日銀自身の金融緩和によってドル円は上昇しており、その結果特にエネルギーのインフレが加速していた。

弱い内需と上がるドル円のジレンマ

だから日銀は選択を迫られていた。緩和を止め、利上げでドル円の上昇を止めなければ、ドル円と輸入物価は上がってゆく。しかし利上げをしてしまうと既にかなり弱っている日本経済はますます弱ってゆくだろう。

このジレンマについてはかなり前から指摘しておいた。日銀はインフレか経済減速か、どちらかを選ぶしかないと。

そして中央銀行の役目は物価の安定であり経済成長ではないから、植田氏は輸入物価の上昇を止めるため、黒田前総裁が開始した円安政策を徐々にもとに戻してゆくことを決定したのである。

結果、ドル円は下がった。経済成長より輸入物価抑制だという植田氏の決意が伝わったのか、ドル円は下落している。


しかし既にマイナス成長(2四半期続けば定義上景気後退である)に陥っている日本経済は、利上げを受けてどうなってしまうのか。

結論

植田氏は今後の経済見通しについて次のように言っている。

背景として賃金や物価が上昇しているという中での動きですので、経済・物価がこれを契機に減速するという風には必ずしも見ていないということと、より長期的な観点から申し上げますと、非常に低い水準にある金利を経済物価情勢に合わせて少しずつ調整しておいた方が、物凄い急激な調整を強いられるというリスクを減らすという意味で、全体としてはプラスになるという考え方もあり得るかなという風に思っております。

だが利上げは今回だけではないらしい。植田氏は同時に次のようにも言っている。

経済物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整してゆく方針です。

植田氏は確かに「引き続き」と言っている。つまりこれからも利上げするということである。

だが正直筆者は日本経済がそれに耐えられるとは思えない。何度も言うが、日本経済は既にマイナス成長なのである。

そして利上げは株価にとってもマイナスである。2022年、米国株はアメリカの利上げによって急落した。世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏は以下の記事で、日銀の利上げによって日本株も同じような急落を経験する可能性を指摘している。

レイ・ダリオ氏: 日本、金利上昇で経済崩壊の可能性


会合後の日経平均は、むしろ上がってる。だが筆者は日本経済の展望にかなり警戒している。本当に大丈夫だろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51799

5. 中川隆[-8015] koaQ7Jey 2025年1月06日 07:03:25 : 8PDGD1z8rg : enJyOFFKSElrcUE=[3] 報告
<■56行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
植草一秀の『知られざる真実』2025年1月 5日
失われた30年という現実
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-6d6c13.html

世界は変わる。

変わる世界を認識し、自らを変えなければ変化に対応することはできない。

世界のなかで取り残される日本。

経済成長のない10年、20年、30年が経過した。

その原因はどこにあるか。

2012年12月に政権交代があった。

「アベノミクス」が叫ばれた。

2013年7月の参院選で「ねじれ」が解消。

安倍政治が長期間存続した。

私は2013年6月に「アベノリスク」(講談社)を上梓した。


「日本を融解させる7つの大罪」

として以下の問題を提示した。

第1の罪 インフレ 第2の罪 増税 第3の罪 TPP参加 第4の罪 原発再開 第5の罪 シロアリ公務員温存 第6の罪 改憲 第7の罪 戦争へ

安倍政治によって日本の悲劇が生じることを予言した。

安倍政治は「成長戦略」を掲げたが、日本は成長しなかった。

安倍政治が掲げた「成長」は「大企業利益の成長」であって、「国民利益の成長」ではなかった。

日銀が掲げた「インフレ誘導」

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2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げると「公約」したが実現しなかった。

拙著で私は2%公約が実現しない可能性が高いと記述した。

短期金融市場に資金を注入しても金融機関の与信が増えなければマネーストックは増大しない。

マネーストックが増大しなければインフレは実現しない。

このことから2%公約の達成が困難であると記述した。

2023年に4%インフレが発生したのは日銀の政策誘導によるものでない。

海外初のインフレが日本に波及したと同時に、日銀が日本円暴落誘導を実行したからだ。

4%インフレを容認することはできない。

日銀はインフレ抑止に舵を切るべきだったが、黒田日銀は最後までインフレ誘導の旗を振った。

その結果、4%インフレを招いてしまった。

「賃上げ」を誘導すると主張されたが、労働者にとって重要なのは名目賃金の上昇ではない。

名目賃金が上昇してもインフレがこれを上回れば実質賃金は減少する。

過去27年間に実質賃金が小幅増加したことが5回ある。

そのすべては物価下落の局面。

物価下落=デフレの局面でのみ実質賃金が小幅増加した。

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元々、インフレ誘導は実質賃金を引き下げるために発案された。

1990年代以降、世界の大競争激化のなかで先進国産業の価格競争力が低下した。

新興国に対抗するために労働コスト引き下げが求められた。

「賃上げ」は可能だが「賃下げ」は困難である。

実質的に賃金コストを抑制するには、インフレが生じる際に賃上げをしなければよい。

そうすれば実質賃金の切り下げが可能になる。

このためにインフレ誘導が提案された。

インフレ誘導は労働者のための施策ではなく、実質賃金切り下げを狙う資本のために提案された政策だった。

ここに「アベノミクス」の欺瞞性があった。

「アベノミクス」の柱である「成長戦略」は以下の五つを柱にした。

1.農業自由化
2.医療自由化
3.解雇自由化=労働規制撤廃=実質賃金引き下げ
4.法人税減税
5.特区創設

このすべては、「大企業利益の成長」戦略であり、「労働者不利益の成長」戦略だった。

「法人税減税」の裏側は何か。

「消費税大増税」である。

「大企業利益の成長」だけを追求して日本経済の長期低迷を招いてきた。

この経済政策全体を根底から改変しなければ日本経済は浮上しない。

経済政策の抜本転換が2025年の課題である。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-6d6c13.html

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