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(回答先: 量的緩和はデフレの原因 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 23 日 12:37:06)
デフレとインフレは簡単に入れ替わる
好調な2021年第4四半期米国GDPはインフレと経済過熱に依存している
2022年2月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19492
2021年第4四半期(10月-12月)のアメリカGDP統計が発表されているのでそちらも解説しておこう。
GDP統計は数字だけ見て上がった下がったを考えてもあまり意味がない。中身を見なければアメリカ経済の実体は見えてこないのである。
好調だった第4四半期の数字
まずは全体の数字からである。今回の実質GDP成長率は5.5%(前年同期比、以下同じ)となり、前回の4.9%から加速した。
チャートは成長率ではなくGDPの数字自体のものだが、これを見ればかなりの好調であることが分かるだろう。
だが重要なのは中身である。内訳を見てゆこう。
コロナに左右される個人消費
まずは個人消費である。実質個人消費は7.1%の成長となり、前回の7.1%と同じ数字で横ばいである。
個人消費だけは四半期ごとではなく月次の数字があるので実情がよく分かる。10月、11月は好調なのだが12月はオミクロン株の蔓延で減速している。
筆者はこのチャートを見て、金融引き締めで先に衰えるのはインフレではなく消費だと確信した。覚えている読者も居るだろうが、同じく12月のインフレ率はコロナで鈍化したものの減速はしていなかった。
コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
明らかに消費の方が物価よりも弱い。これは投資家にとって非常に重要である。金融引き締めが起これば、物価よりも先に実体経済が死ぬだろう。
マイナード氏: 中央銀行は株価暴落以外に利上げの行き過ぎを知る方法がない
高騰する投資の意味
次は投資で、今回これが一番重要なのではないか。
実質国内民間総投資は8.6%の成長となり、前回の7.1%から加速した。前年2020年との比較ではあまり差が出ていないが、チャートを見れば第4四半期の伸びは驚異的である。
これは勿論、供給不足を意味するインフレ(物価上昇)に対応するために企業が供給を増やそうとして、設備投資を行なっているのである。
つまり今回のGDP統計は消費も投資もインフレと不可分であることが分かる。物価が上昇する分だけ景気も向上すれば良いのだが、このままインフレが進むと厳しい金融引き締めが待っているということを忘れてはならない。
アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
そうなれば株価の暴落が実体経済にも悪影響を及ぼし、インフレが原因でデフレが発生するだろう。
思い出してほしいのだが、以下の記事で筆者は現在のアメリカの物価高騰がこれまでのデフレが転換したものだと説明した。
資本主義者ドラッケンミラー氏、アメリカの金融緩和終了を歓迎
そしてそれはインフレからデフレへの転換も起こり得るということである。これほど急に生産能力を増加させた後に金融引き締めによって株価が暴落し、デフレに逆戻りしたらどうなるだろうか? 過剰な生産能力が過剰な商品を生み、株安と供給過剰で酷いデフレが発生するだろう。
このようにデフレとインフレは簡単に入れ替わる。しかし変わらないのは、デフレでもインフレでも経済は酷い状態になるということである。ジェフリー・ガンドラック氏が去年から指摘していたではないか。
ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)
これが緩和バブルの終わりである。これまで40年も政治家が緩和に依存して好き勝手に散財してきたツケは、それを支持した国民がどうしても払わなければならない。
存在感薄い政府支出
次は政府支出である。実質政府支出および総投資は0.0%の成長となり、前回の0.6%から減速してゼロ成長となっている。
チャートの通り頭打ちしている。バイデン氏が選挙で約束した公共投資が弾切れになったということである。
今年は11月に中間選挙があるため、それに向けてバイデン政権が何か新しい支出増加を約束するかもしれないが、これからのアメリカ経済の主役はやはり消費と投資だろう。そもそも11月まで株式市場が持つ可能性はかなり低い。
アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
貿易赤字が示すアメリカからの資金流出
さて、経済成長とは別の意味で深刻なのが輸出入である。今回の実質純輸出はマイナス幅が18.1%拡大し、前回の28.9%からは減少したものの、アメリカの貿易赤字は底なしのグラフとなっている。
何故これがまずいかと言えば、この貿易赤字のチャートがアメリカからの怒涛の資金流出を意味しているからであり、それはドル相場への下落圧力になるからである。
世界最大のヘッジファンド: ドルとユーロと円は暴落する
何故ドルがまだ下落していないのかということについてはガンドラック氏が説明している。ドル下落のタイミングについても書いているので、参考にしてもらいたい。
ガンドラック氏: ドルが下落しないのは向こう見ずな日欧の投資家がドル資産を為替ヘッジなしで買っているから
結論
このように、今回のアメリカGDP統計は物価高騰の影響を色濃く残したものとなっている。
纏めると、まずインフレが収まる前に消費が死ぬだろうこと、投資はインフレに反応して増えているが、株価暴落が起きるとデフレを悪化させること、そして貿易赤字増大によるドル暴落へのカウントダウンが進んでいるということである。
5.5%という数字だけ見れば絶好調に見えるのに、何と悲観的な結論だろうか。しかしいずれにしても、株価が暴落すれば実体経済も沈む。やはりここから先は株式市場がすべてを決めるのである。
2022年2月、株式市場は下落相場から反発したのか?
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19492
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