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(回答先: 保守主義とは Ddogブログ編集版 投稿者 Ddog 日時 2008 年 6 月 14 日 22:59:02)
(お前さんと同じ様に)現実主義の立場からその三島の死を否定したのが江藤淳だったのだが、しかしながら、「南州残影」をその批評活動の終わりにすることによって、その立場の無効を認めた、ことになった。
即ち、戦後過程において、彼が主張した「保守」という立ち位置は虚妄であったということが「南州残影」の執筆の動機(直接の切っ掛けは現天皇の憲法擁護発言)であろうし、西南戦争と日米戦争を繋ぐ事によって、戦後ばかりか、「脱亜入欧」を選択した近代日本において、そもそもが「保守思想」は成り立たなかったということー戦後過程を、あくまでも現実主義者として向き合った江藤氏の次の言葉こそその痛切な覚醒が表れてるーと見るべきだろう。
「文化の全的滅亡の前には保全出来る現実などない」(南州残影)
無論それは、かってはその「死」を否定した三島由紀夫の、自決を前にした言葉とも遥かに響き合うものだ。
「日本はなくなって、その代はりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、抜け目がない、或る經濟的大國が極東の一角に殘るのであらう。」(私の中の二十五年)
一体、<守るべきもの>が無くなっても「守るべきもの」とは何?
「保守」つまり保ち守るべきものが無いからこそ確固たる立ち位置というものはなく、残るは状況追随、即ち保身しかない。
バーグの「保守主義」は、日本には全く適用出来ない。 何故なら、依拠すべき伝統や慣習等総じて文化を無意味・無価値なものとして捨て去ることこそ<近代化>だったのだから。
過去の延長線上に未来を切り開いて行く西欧とは、その点において決定的に異なっているのだ。
それは、お前さんが得意げに「保守思想」の源流と位置付ける<尊皇攘夷>が、維新以後、事実上棄却されたことに現れておる(西郷の決起はそれ故だ)。 それに替わる体制イデオロギーが<脱亜入欧>ーこれが<脱夷入華>、即ち東の果ての野蛮人から脱し、文明世界に入って行くという意味であり、<攘夷>、即ち東の野蛮人(=欧米)を撃ち払うとした立場からの180度転換である事は明らかだろう。
ー<夷>の意味が全く逆転したのだから。
そうして、1930年代、近代日本が危機を迎え、<西欧化>そのものに疑問が生じた時、それまで顧られなかった<攘夷>の思想が突然蘇ってきて、対欧米の戦争へ雪崩れを打つ状況に威力を発揮した、ということだろう。 そうして、敗戦後は更に全面西欧化(アメリカ化)が進み、それまで以上に忘却の彼方に沈んだ、ということだ。
分るかね? <近代化>に立つ限り、要するに「司馬史観」に立つ限り、<尊王攘夷>とは相容れない。
ー単なるスローガン以上のものにはならない、それも現実感を全く欠いた。
>共産主義の脅威より、国体を護持する合理的な思想」
それこそが自己欺瞞であり、それ以上にアメリカの「インテリジェンス」に屈したことを証明してるに過ぎない。
>「東京裁判が左翼」日本語になってない。
つまらんチャチャ入れるなよ。 そしたら、オタクの御本尊、司馬遼太郎の「『昭和』という国家」という表現も、「昭和が国家」日本語になってない、となるわけ? www
「東京裁判」がアメリカによる占領=支配の正当化装置(イデオロギー)ということは認めておるんだろ? だとしたら、何故それが「左翼」と繋がるのか?聞いておる。
>私の場合、幕末から明治期にかけての歴史観は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」〜「翔ぶが如く」〜「坂>の上の雲」により形成されてしまっています
ここでオイラは爆笑してしまう。
司馬遼太郎? ホウ、司馬遼太郎、最後の国民作家かあ...w
ではオタク、赤軍派を始め、新左翼の多くが「竜馬がゆく」を読んで活動家になっていった、という事実を知ってるのかな? www 勿論、右翼も出ている。
この左右どちらにも影響力を持ってるという意味でも司馬遼太郎は国民作家なんだな。 そうして、彼の限界も、当然、そこにある。 上記のエピソードの如く左翼も又(右翼はそれでよいだろうが)。
何故、司馬遼太郎が肯定的に書く「国民の物語」が日露戦争までなのか?解りますかな?
それは、実質的には第一次大戦以降の、所謂「極端な時代」(ボブスボウム)になって、事実上「国民の物語」では対応出来なくなったから。
つまり、国民国家を超える「極端な物語」しか通用しなくなった、というわけ。
ーそれが米ソの登場という意味。 だから、日本も、それに対応して「大東亜共栄圏」や「八紘一宇」を作ったわけ。 自分の物語が破綻して、他(米ソ)の物語で代用してたけど、それも終わって、次なる物語が紡ぎ出せないのが今現在。 従って、だから、今更司馬遼太郎は有り得ない。
狭い井の中の、内向き話にしかならないのだよ。