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第一章 一連の物語 2 出口直(1836〜1918)- その2 この神をさばける御方/艮の金神から知らされた弥勒大神(大
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投稿者 謝寅 日時 2004 年 12 月 18 日 09:55:16:Bat5keDwZxjsQ
 

(回答先: 第一章 一連の物語 1 近年における啓示の歴史 江戸期より始まった啓示(大本教・民間信仰・民俗) [99-03-18] 投稿者 謝寅 日時 2004 年 12 月 18 日 09:52:05)

*出口直(1836〜1918)- その2*

*この神をさばける御方*
 
 
 
 出所後も、直氏のお筆先は続いたものの、7月頃に再び、直氏の口を使って預言めいた事を叫ぶようになる。その内容は日清・日露戦争などで、最初の頃は周囲の人間も、相手にはしていなかったものの、この預言は的中する事となり、その頃になって注目されるようになってくる。

 このような形で、様々な預言が的中して来ると、周囲の人間も、お筆先や艮金神の事も、徐々に信頼され信者の様な人達が出来はじめた。そのお筆先の、ごく初期の中に、後に「大化け物」という異名をとる、出口王仁三郎氏が現れて来る、と受け取れるものが、出て来るようになった。
 
 
 
●おナオのそばへは、正真(しょうまつ)のお方がおいで遊ばすから、来た人を粗末なあしらい致すでは無いぞよ。(中略)不思議な人がみえたならば、我をださずとひっそりとお話を聞くが良いぞよ。

●この神をさばけるお方は東から来るぞよ。その者が来れば、ウシトラの金神の道はひらけるぞよ

●出口直に明治二五年に申してある事、この大望な仕組みのいたしてあることを、世界に一人知りておると、言い聞かしてあろうがな。この事が分かりてくるぞよ。

-いづれも『大本神諭』/出口直伝達より-
 
 
 
 こうして後に出口直氏と王仁三郎氏(王仁三郎氏は確かに、穴太という東からやってきた)が運命的な出会いをする事になる。「東から」という言葉も、何か少し象徴的な感じもあって、興味深い出来事であったものの、意外に最初のこの二人の出会いは、淡白なものであったらしい。

 一旦別れてしまった直氏と王仁三郎氏は、それから約一年後に再会する事となった。しかし、王仁三郎氏が大本に腰を据えてからも、暫くの間、この二名には理解不足から、互いに反目していたらしい。大本神諭を読んでいる限りでも、審神で身を立てた王仁三郎氏も、まだ艮の金神を見分けられず、互いに和して神業を追行するという処までは、至らなかった様に受け取れるものの、果たして王仁三郎氏の認識がまだ甘い(要するに審神に失敗した)ものなのか、それとも何かしらの経綸上、二人の仲違いが必要なものであったのか、それは解らない。
 
 
 
艮の金神から知らされた弥勒大神
 
 
 
 大正5年に「神島開き」という神業が執り行なわれ、その際に直氏自らが艮の金神に、直の待ち焦がれる本当の弥勒大神は、王仁三郎の事であると知らされるという、ちょっとした事件が起きた。直氏は

「何度伺っても、王仁三郎が弥勒の大神様だとおっしゃるのじゃ」

と大変な驚き様であったらしい。後に直氏自らは

「今迄王仁三郎氏の事を誤解をしていた」

と認める事となった。
 
 
 
- 大本発祥の経緯とその是非 -
 
 
 
 大本の発祥という経緯というのは、大体以上の様なものと言われているものの、自分は実は、その余りの壮絶さに、違和感を持っていました。お筆先の中には、非常に恐ろしい天変地異なのか、戦争なのか、大変な事が起こって来るぞ、と非常な勢いで警告を発しています。

 それを見れば、中にはこれは大変だという事で、その予言を信じた人達で結成された、信仰団体に王仁三郎氏がやって来て、脅迫的、脅しなどによって人に改心をせまる遣り方は、悪神の遣り方だとして、反発をしていた訳です。

 そう聴けば、成る程現在の多くの既成宗教は、多かれ少なかれ、この様な傾向が見られるのではないかと思います。この様な終末思想的な物が無い教団は、殆ど皆無と言っても良いと思いますが、何れも大した成果も無く、単に信者を増やす手段に成り下がった感があります。その最たるものは、オウム真理教と言えるでしょう。

 所が、お筆先に現れた国常立命、自称艮の金神とは、元来陰陽道でいえば恐ろしい祟り神であって、現在でも家の建築、改築の際に丑寅の方角にトイレ等の水周りを配置するのは、家相が悪いという事で、敬遠する人が多く居ます。キリスト教的に言えば、さしずめ悪魔が改心を促すような、或る意味非常に希有な神示であると言えます。

 更には又、「出口家には代々、悪神の懸かる系統であるぞよ」という、自ら(艮の金神)の足元をすくう様な内容も書かれてあります。これで見る限りにおいて、既に迷宮に入ったかのような、昏迷状態になる訳です。確かに、お筆先の中に書かれた文章は、「確かにそうだ」と思える事が多くある反面、王仁三郎氏が言うような事も、分かるような気がします。
 
 
 
●大本は善悪二つの世界の型を出すところ、他人には傷はつけられぬから、ナヲの血筋に悪の御役をさせるぞよ

-『大本神諭』/出口直伝達より-
 
 
  
 この筆先の後に、三女久に神懸かり現象が有り、王仁三郎氏排除の運動をはじめるのですが、元々三女の久は、王仁三郎氏と直氏の取り次ぎをするなど、普段は正常な状態で、時折発狂現象が起きて居た事をうかがわせます。艮の金神とは悪の仮面を被った、つまり敢えて悪役をしている神ではないかという気が致します。

 それに元々直氏が産まれた綾部という所は、豊受大神を奉る、比沼麻奈為神社が元々在ったといわれる所であり、又出口家は代々大工を生業としていたから、藩主の九鬼家(九鬼文書を伝承する家柄)とも交流があり、出口家に何かの厄災があると、九鬼家の本興稲荷に参拝する事があったといいます。

 九鬼文書に記された鬼門祝詞には、『宇志採羅根真(ウシトラコンシン)大神』という名前が出て来るのであり、又直氏自身が、熱心な金神教(大本と同じく金神を奉る)の信者であったという事実から考えてみれば、何かしら直氏の潜在意識の中に、一つの金神というイメージが出来上がり、それが知らぬ間に表面に出てきて、艮の金神の筆先を書くように成ったのではないかとも、考えられます。
 
 
 
 
謹啓

御懇篤なる尊書を賜わり有り難く御礼申し上げ奉り候。

大本教の神示については貴家と最も深き因縁これある様、故教祖(注:直氏)より毎日聞き及び居り候得者、何れ、機熟する時は、閣下の御世話様に頼らねば成らぬ事之有り候に付き、向後宜敷く御願い申し上げ奉り候。

申し上げたき事之山々有り候得共、赴神(注:神戸行き)の時に譲り申し候。早々
不備

九月十七日
子爵、九鬼隆治様

-『謎の九鬼文書』/佐治芳彦著:徳間書店より-
 
 
 
 
 上記は、王仁三郎氏が、九鬼家21代隆治(子爵)宛てに出した手紙であります。つまり、九鬼家に出入りした直氏は、その潜在意識下にて、艮の金神を創造した物では無く、むしろ九神家との因縁が深いと、自ら認めていた訳ですが、確かに初期の大本の神旗は、『九陽紋』と言われる、九鬼家の家紋と同一のものです(後に大本は十陽紋になった)

 更に、九鬼神学秘法『鎮魂帰神法』が、大本で継承された点、王仁三郎氏が旧九鬼家邸跡地の綾部市上野小学校構内に、九鬼水軍の総師「九鬼嘉隆」氏の記念碑を立てようとした点、後の『九鬼文書の研究』を顕した三浦一郎氏を大本の最高顧問に招請する点、合気道の創始者で大本信徒であった植芝盛平氏の「私の武道は九鬼家神伝の武道である」という発言等、大本と九鬼家の関係は、案外深かった様です。

 また直氏は元来は文字の読み書きが出来なかったのは、恐らく本当の事であって、当時の状況を考慮すると、学校等で読み書きの勉強をする事などは、到底かなわない事であります。また大人でさえも、無学文盲なのは珍しい事ではなったのですから、逆に少女時代から住み込み奉公で、働く一方の直氏が、自我で神示を書いたというのは、少々無理があろうかと思われます。

 それでも神示の内容的に言えば、どちらかというと、確かに思い付きで書いたような出放題、何も考えずにドンドンと話す人のように、唐突に話しの筋道が変ったり、今迄と違う事を書いてみたりと、非常に人間臭いといえば、人間臭いのです。

 しかし、余りにもそれが反って怪しいのであり、又筆先に書かれた事が、実際に現在の日本や世界に大きく反映している事実を見る限り、およそ人智を越えた、想像以上の影響力を持つ神であり、それが又こんな穴だらけの神示を、単に書くのは妙であり、むしろ何かしらの秘密が内包されていると、見た方が良さそうです。

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