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(回答先: 「匿名希望」氏と私の相違点について 投稿者 あっしら 日時 2002 年 8 月 21 日 20:26:37)
あくまでもデフレ解消政策に固執すべきであるという貴殿の論旨には敬意を表します。
前にも少し述べましたが、まずは近未来のあるべき日本経済の青写真を描くことが重要です。この作業は我々内部である程度できあがっています。公表はここではできませんが、今問題視されている諸々のことが解決した姿だとご想像下さい(税制、医療、年金などを始めとする諸制度、公的機関の形態、産業界のあり方、などガラリと変わっています)。問題はそこへ至る経路です。あらゆる改革を経て痛みを乗り越えてそこへ至るのか、その諸改革の試みが失敗し非常事態宣言の発令に至り政府紙幣の導入など近代国家の経済政策の枠組みを超えた経路でそこへ至るのか、はたまたは貴殿の仰るような、ケインズ政策にもマネタリー政策にも頼れない中で実施される微温的な脱デフレ政策への転換が効を奏してそこへ至るのか、ということです。
小渕政権下で打たれた最後の巨額財政出動が失敗に終わりました。これによって日本のケインズ政策推進派の命脈は断たれると共に、残された道は一つだけとなりました。この政策のインパクトに比べ、景気浮揚とデフレ阻止の観点から相当見劣りすると思われる貴殿の掲げられた微温的政策群でどうして日本経済が蘇生すると断言できるでしょう。デフレ抑止効果がゼロだとは言いませんが、焼け石に水の域を出ません。
また、貴殿の経済論理は為政者に現状認識の大転換を迫るものです。ご自身お気づきの通り、アングロサクソン流の市場主義の否定もそこには含まれています。道路公団の民営化を声高に叫ぶ評論家風情一匹も論駁して黙らせる事ができない現状で、到底そのような正論がマジョリティを占める社会状況になるとは考えられません。各界に支配的な思潮の転換は長いスパンでもたらされるものです。政策立案は常に現実的でなければならないのです。
正直に告白しますと、デフレをさらに深刻化させるであろう構造改革路線が成功する確率は1割か2割だと考えています。それよりもはるかに高い確率で破綻を経験し、非伝統的政策を持ち込まなければならないということになるでしょう。各種国家統制も時限的ではありますが強めなければなりません。こうして国民各位が被る事になる災厄は「新しい皮袋」を用意するための代償だと言う事です。
貴殿が繰り返し力説される通り、資本化されない余剰通貨の問題は80年代からの一貫した日本経済にとっての中心課題でした。レッセ・フェールでは使われるあての無いこの余剰は、然るべく政府が吸い上げ再分配するシステムを作り上げるべきでしたが、これを怠ってきました。例えば、日米構造協議で議論されたごとく、400兆円超を公共投資に向ける、と使途のみを示し、その財政的基盤となるべき税収増の方は議論が放置されたりしたわけです。この咎が今国民にふりかかりつつある、とも言えます。
「かなりの高い確率で一旦は破局を迎えるしかない」、などと言うと「第一の敗戦をまた繰り返すのか」と貴殿から御叱責を受けそうですが、それしか道がなさそうです。政府通貨の導入等により問題が解消した暁に国民は叫ぶかも知れません。「なぜ、もっと早く導入しなかったのだ。」と。その時私はこう言うでしょう。「私を独裁者にしてくれればできました。皆さんが味わった艱難辛苦は民主主義のコストです。」と。