リーマン危機から10年、膨らみ続ける世界の借金の先に見える崩壊の危機=吉田繁治 https://www.mag2.com/p/money/668681 デリバティブ証券の下落をきっかけに起きたリーマン危機から10年、米国を中心に再び世界の借金が膨らみ続けています。この借金はどこまで許容されるのか。
自社株買いで上げた米国株、上昇できるのは秋までが限界? 主要国の中央銀行による、2,000兆円の増発の経緯と結果 リーマン危機は、米銀の連鎖危機をひきおこし、79年目の「大恐慌」になるスケールのものでした。 <2000年からの米国不動産バブル> 不動産のバブル化(全米平均価格は7年で2倍)を支援する金融政策(利下げ)を実行してきた元FRB議長グリーンスパンも、「100年に一度の危機。資産バブルは崩壊してはじめてわかった(言外:現役中はわからなかった)」といっていたくらいです。 広大な土地がいくらもある米国の住宅は、宅地が狭い日本と違い、90年代まではGDPを上回る価格の上昇はなかったからです。 不動産価格の年率平均7%(大都市の商業地やリゾート地では10%以上)の上昇の陰で、どんどん大きくなっていた証券化商品がAAA格でも40%下がり、BBB格以下は価格がつかなくなって、銀行資産の縮小がチェーンのように連なり、全部の大手銀行の同時破産までが想定されていました。 <2009年1月からの株価の回復> 金融資産の喪失において、もっとも重みがあった株価の底値は、リーマン危機の日から6か月あとでした。 無限信用をもつとされていることから、銀行のシステミックな連鎖の危機を救うミッションを与えられているFRBは、 ・95年の歴史ではじめての3度の緊急QE(ドルの増刷)を行い、 ・400兆円規模のマネーを投入し、銀行システムを救済しています。 予定されていなかった3度のQE(いわば3度の手術)になったのは、100兆円以上を投入した1回では、銀行のデフォルトの危機をおさめることができなかったからです。 FRBが行った、米国の大手銀行の救済 この金融危機は、不動産ローンの「回収権を証券化」しているMBS(不動産ローン担保証券)、CDO(資産担保証券)、ABS(資産証券)などの、銀行の間の双務契約であるデリバティブ証券の下落から起こったものです。AAA格の証券でも、下落率は40%と大きかった。 それらを、米国の大手銀行が保有していました。ほかに、金額が大きなものとして、債務の回収を補償する保険の機能をもつCDSがありました。 対比すれば、7,500兆円という銀行間デリバティブをもつ、ドイツ銀行の5倍以上のリスクのスケールだったでしょう。 リーマン危機のあとの、米国の負債の大きな増加
他方で、リーマン危機のあとの米国の総負債は、その前の08年の33.8兆ドル(3,780兆円)から、18年には50.1兆ドル(5,510兆円)に増えています。これは、リーマン危機のあとの、銀行が10年間続けて行ってきた、貸付金の増加である信用創造(貸付行動)を示すものです。 米国、日本、欧州の銀行が、米国の政府・企業・世帯に対して貸付金をふやし、社債・国債の購入の合計で、10年間で1,730兆円(1年平均173兆円)の信用創造、つまり貸付金をふやしたのです(米国の部門別負債:BIS)。 FRBのマネー投入(418兆円)に対しては、4.1倍の信用乗数です。FRBが1兆ドルを投入するにつき、銀行の貸付金が4.1兆ドル増えたという意味です。 2018年でのGDP比の政府・企業・世帯の総負債は、危機のあとの10年で2.5倍(246%)に増えています。平均年率では9.4ポイント(%)増加です。借り入れの増加を助けたのは、株価と不動産価格の上昇です。 不動産価格の動きは株価に遅れ、上昇も下落も株価よりはおだやかです。全米20都市の住宅価格指数は06年がピークの206でした(ケース・シラー住宅価格指数)。これがリーマン危機後の09年1月には、141へと約30%下がっています。 株価に3年遅れて2012年から上がり始め、そのあと株価を追って直線的に上げ続けて、2019年の1月には、06年の金融危機前のピーク価格を越える最高の214(基準の00年の2.1倍)に上げています。 住宅価格の上昇は、住宅と商業用の不動産のローンと貸付金の増加と健全化も示しています。不動産の価格という要素だけなら、2018年で完全に回復しました。1992年からの資産バブル崩壊から、日本の不動産が価格で回復していないのは、日米の人口構造の違いがあるあるからです。わが国では不動産需要が減り、米国では、海外からの買いもあり、価格下落のあとも増え続けたからです。 2009年からは、株価と不動産の価格をバブル的に上げてきた時代
・米国の証券化商品の下落が、直接に影響した欧州のECB、 ・中国の輸出経済をひっぱる対米・対欧の輸出が、急減した中国の人民銀行、 ・そして、適用を間違えたクルーグマンの「流動性の罠」論を採用して、インフレ目標をとったアベノミクスの日銀も、FRBに時間をおきながら合計で18兆ドル(2,000兆円)の通貨をふやしてきました。 世界のGDPの85%を占める主要国の中央銀行の銀行に対する増発マネーが元になって、銀行の貸付金をその約4倍は増やして、リーマン危機のあと半年後からは株価を、2012年からは不動産を上げてきたのです。 【日本】 2015年には、2011年に対して50%の円安になり、円安になるとドル高の為替利益が増える輸出と海外生産が多い東証1部の株価指数(日経平均とTOPIX)は米国並みに3倍に上がっても(2015年)、不動産の価格があがらなかった例外は、年0.4%(50万人)の人口減の日本だけです。 人口減は、必要な住宅の総面積を減らし、人口増が続く東京圏以外では、空き家を大きく増やしているからです。 <負債バブルが、金融的商品の高騰を生んでいる> 2010年ころからの9年間、われわれは世界の総マネー量がバブル的に増えてきた時期のただなかにいます。経済に対して過剰なマネー量が、株価を高い水準に上げています。 21世紀は、通貨、生産コスト、賃金の低い国でのグローバル生産の進展により、 (1)主要国での消費者物価の上昇率が低いため、 (2)主要国の、高くとも3%という低い名目GDPの成長を超える通貨量の過剰(マネー量×流通速度)が、原理的にもたらすインフレが、 (3)消費財から金融的な資産(不動産・株式・国債・債券など)に移ったことが見えにくいだけです。 フィッシャーの交換方程式(M<(マネーサプライの増加)×V(預金の回転率)=P(物価)×T(実質GDP)>は、金融的な資産の領域で働いています。 名目GDPは、消費される商品だけの「生産=需要=所得」です。消費者物価の上昇は、消費財だけを対象にしています。不動産・株式・国債・債券などの多種の金融的資産は、GDPの物価上昇、需要額、所得額には含まれていません。 ところが、2010年代からはとりわけ、これらの金融的な資産にマネーが向かっています。2019年もそのただなかにあります。 「中央銀行+銀行」が借り手に対し増やしたマネーが向かうのは、時代を超え、価格が上がると人々から期待される対象物であることに違いがない。人類の5000年の歴史の普遍原理でしょう。 〔通貨発行の増加→貸し付けの増加→負債の増加→資産価格高騰〕マクロ経済で合成していえば、「中央銀行+銀行」の通貨発行の増加は、借り手の「負債=預金」を増やします。その増えた負債マネーは、「多種の金融的資産」に向かって価格を上げます。価格が上がった金融的資産は、「借り入れの担保になって→借り手の負債能力を増やし→借り入れを増えていき→投資されて→金融的資産の価格を一層上げる」という螺旋階段状の上昇にはいってバブルを作ります。 以上のマネー現象が、金額の大きな順にいえば、 (1)ゼロ金利から2%台の低い金利の、国債価格の上昇(金利は下落) (2)シラー10年PERが、30倍というバブル株価、 (3)人口減の日本を除く、世界の不動産の高騰です。 これらの価格の上昇は、投資家(金融機関、企業、世帯)の負債の増加によって生じたものです。マネー量増加の根源には、順にいうとFRB、ECB、人民銀行、日銀による合計2,200兆円の通貨量(マネタリーベース)の増加があります。その増加が、銀行の貸しを増やし、投資家の借り入れが増えて、金融的資産への買いを大きくしているのです。 【金融資産=金融負債の原理】 問題は「金融資産=他の人の金融負債」であるため、ゼロから3%以内の低い金利のなかで金融負債が増え続けて、2018年末では250兆ドル(2京7,500兆円:国際金融協会)になっていることです。 負債はいずれの日か臨界点に達し、資産バブルが崩壊して金融危機になる
2000年から18年までの世界の総負債は、250兆ドルに増えています。 世界の総負債は、2000年には80兆ドル付近でした。当時はまだ、穏やかでした。この総負債は、2018年の250兆ドルまで3.1倍に増え、年率の6.5%と世界のGDPの平均増加率より高い増えかたをしてきました。2018年の残高は、世界の8,000兆円のGDPの約3倍に達しています。 【その原因と結果】 世界の負債の増加額は、名目GDPの増加率より数ポイントは高いことが18年、途中でのリーマン危機という金融危機を挟みながら続いて、この負債の増加こそが世界の「金融的な資産のバブル価格」を生んできたのです。 返済と利払いが必要な負債が、1年プラス6.5%で負債が増え続ければ、必ず達する臨界点にきた前後には、金融的資産のバブルは崩壊する宿命にあることです。 (1)1990年は、日本5年で5倍になった資産バブル崩壊でした。 (2)10年後の2000年は、米国の11年間で13倍になったドットコムの株価バブル崩壊、 (3)8年後の2008年は、米国の10年で2倍に上がった住宅の下落からの、サブプライムローンの下落がデリバティブの証券化商品の全面的な崩壊に波及したことからの金融危機(リーマン危機)でした。 そのリーマン危機から10年目の2018年は、世界で250兆ドル(2京7,500兆円)というイマジネーションを超える金額の負債が世界の金融的な資産の高騰を生んでいます。 このバブルが崩壊すると、貸し手の中央銀行と銀行の不良債権になり、今度は全世界的な金融危機にも至るでしょう。 〔「時期」だけの問題〕 その年度、時期がいつかというだけです。負債の増加と金融的商品の価格上昇が続くと、価格が上がり過ぎたという原因から、金融危機に至ることは確定しています。〔早ければ2020年、遅くとも2022年〕 米国のこれからの懸念は、対外負債と株価のバブル
<増え続けている対外負債の問題> 米国についていえば、まず、2017年に36兆ドル(3,960兆円:日本の政府負債の3倍)を超えた対外負債です。これは、2017年からのトランプ減税、2019年度予算で500億ドル増える予定の軍事費(8,500億ドル)、増え続ける社会保障費(公的年金+公的保険の医療費)から、毎年、過去より大きな傾向で増えます。 米国の対外資産が26兆ドルなので、対外純負債は10兆ドルです。しかし、これは2018年の米国の利上げによる金利上昇で、海外からの債権引き揚げがおこっています。 2018年度、19年から米国の対外純債務は、年1兆ドルを超える増加になるでしょう。以下のサイトに、正確な、米国の対外資産と債務の総体の数字があります。他は、タックスヘイブンから負債(米国債と株式投資)が入っていません。 この対外債務が問題なのは、増える一方であることです。米国債と米国株を買って、米国に貸す第一は日本です。 日銀の異次元管緩和による円国債買いの代金は、金融機関の現金になり円国債を売った4大メガ銀行、GPIF(公的年金の運用:151兆円:18年12月末)、郵貯(資金量約180兆円)、かんぽ保険(同80兆円)は、その円をドルに換えて米国債、米国株を買い増して運用しています。問題は、これをいつまで「前年比で増やして」続けることができるかです。 日本からのドル買い、ドル国債買い、ドル株の買いが減ると、ドル安になり、金利は上がって、米国の株価は下がります。 中国は3.4兆ドルの米国債を外貨準備として持っていましたが、すでに2018年の輸出が大きく減ったことからのドル売りによって、これを3.1兆ドルに減らしています。 大きなドル買いができるのは日本と中国ですが、これが危うくなっています。これが、米国を対外デフォルトに向かわせる要素になってきたのです。(2020年から2022年) 米国は過去、 ・1871年の金・ドル交換停止による、FRBの金の引き渡しのデフォルト(金兌換のドルは、金を渡すという約束手形です) ・1985年のプラザ合意による、ドルの1/2への切り下げという形をとった、ドイツと日本への1/2デフォルトを経験しています。ドルの切り下げは、ドイツと日本のドル資産を、1/2に減らすというデフォルトです。 2020年から2022年も、米国の対外デフォルトの可能性が、日本と中国のドル買いの減少から起こる可能性が高くなっています。 米国は新興国のような、対外負債超過の国です。対外負債が超過している国は、 ・海外からのその国の、通貨の買いの、前年比での減少、 ・または、海外がもつドル資産の売りの超過で、あれ?と思うくらい簡単にデフォルトになります。 トランプの方法は、借金で買った不動産で3回行った借金の踏み倒しです。不動産はもったまま、債務を返さず、利払いもしないという方法です。 借金の金額が数千億円を超えると、トランプが破産すれば貸した銀行も連鎖で破産するので、やむなく追い貸し(追加の貸し出し)をして、銀行が毎年、資産を失っていくのです。 自社株買いによって、上げてきた米国株の問題
内部では、時価総額が3,000兆円の株価資産の崩壊です。3,000兆円は企業の金融資産、株主の金融資産、金融機関の金融資産になっています。2018年秋(10月から12月)のように20%下がると、600兆円が失われます。FRBのパウエルは、この株価下落を見て不安になり、2019年に予定していた3回の利上げと、国債の売りを停止しました。この2つとも、株価を下げた要素になっていたからです。 ところが、重要なことをいえば、18年秋の20%下落は18年の自社株買い1.2兆ドル(130兆円)にもかかわらず起こったことでした。高所恐怖症にかかっていた投資家の売りが大きかったからです。 幸い、FRBの3回の利上げと国債の売りの停止を好材料として、3回の利上げと国債の売りを織り込んでいた株価は20%戻しています。 社債の発行(借金)で行うものが多い自社株買いは、「借金の自社株買いで、買った以上に株価を上げる」ことがないと行えません。株価が上がらないと、社債の借金を増やしただけになり自己資本比率は下がって、CEOは株主から首をきられるでしょう。従業員と同じファイアです。 金融資産の60%以上が株価である社会の米国では、株価を下げるCEOは、存在が難しくなります。日本で言えば、個人の預金を減らした銀行と同じだからです。米国世帯の60%は株をもち、個人金融資産の60%が株だからです。 問題は、2019年に前年並みの1.2兆ドル(130兆円)の自社株買いが行えるかどうかです。最大限でも、1兆ドルをこえることは無理でしょう。株価が思うように上がらず、0.8兆ドルに減る可能性も高い。 2018年までの8年間、主導因が自社株買いだった米国の株価の下落の可能性は、今年の秋からでしょうか。もちろんこれも確率的な可能性です。 次回の、世界的になることが必然の金融危機でのもっとも大きな問題は、10年でふくらみきったB/Sをかかえしまった米・日・欧・中の4大中央銀行が、下がった債券や株を買い上げて、マネーを銀行に供給する「信用の余力」が乏しいことです。 このため、仮にこの金融危機が起こったとき、その先がどうなるか、いまは不明瞭。奈落か、あるいは4大中央銀行がペーパーマネーを1,000兆円増発しても、通貨を下落させない方法はあるのか。淡路の夕日を眺めながら、夢想したことでした。 https://www.mag2.com/p/money/668681 ▲△▽▼ 投資家ジム・ロジャーズ PHP Online 衆知(Voice) 4/22(月) 11:58配信 「歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどない」
――(大野)2018年夏、米中両国は互いの製品の輸入関税を引き上げ、以来、熾烈な貿易戦争を繰り広げています。その影響をどう考えますか。 【ロジャーズ】じつに愚かな措置です。貿易戦争から、勝者は生まれません。どの国にとってもマイナスになるのです。貿易戦争をしている当事者はもちろん、他の国まで苦しむことになる。日本も巻き込まれ、悪影響を受けるでしょう。 トランプ大統領はアメリカが貿易戦争に勝つと思い込んでいるようですが、それは間違っています。彼は、自分は歴史より賢いと思っているのだろうか。 歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどないとわかるはずなのですが……。 ――日本には「米中の仲介役を果たせ」という意見もありますが、貿易戦争の悪影響を軽視してきた面があります。 【ロジャーズ】経済危機というのは、1日や2日で起きるものではないのです。経済に実際に影響が与えられるまでには、時間がかかるということです。下げ相場は、たいていそのようにして起きます。 2008年は、リーマン・ショックで世界中がひどい下げ相場になった年でした。2007年4月、サブプライムローン業界2位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが破綻。 さらに同じ年の7月、格付け機関が住宅ローン担保証券を一気に格下げ。10月には、投資銀行大手のメリルリンチで、CEOが経営悪化の責任を取り辞任しました。 それから半年後の2008年5月、アメリカの大手投資会社ベアー・スターンズが破綻し、人びとは何かがおかしいとざわつき始めたのです。 そしてその4カ月後、2008年9月にあのリーマン・ブラザーズが破綻し、それでようやく誰もが気付いたのだ。「大変だ!何か大きな問題が世界で起きている」と。 危機というのは、いつもこのようにして起きます。誰も気付かないようなところで初動が起き、それが雪だるま式に大きくなっていくのです。そしてテレビで報道されたときに初めて、「何か大変なことが起きている!」と多くの人が知ることになります。 ――経済の先行きを悲観的にみているわけですね。 【ロジャーズ】歴史的にみると、どの下げ相場も誰もが知らないところで始まり、最終的に多くの国が破綻しています。 ここ数年で起きた出来事はすべて、もうすぐ甚大な経済問題が起きることを意味しています。リーマン・ショックから約10年が経ったいま、いつ何が起きてもおかしくありません。 アメリカの株式市場は、2009年3月に底を打って以降、10年近く上昇を続けている。これは史上2番目の長さです。歴史を学んでいれば、現在のアメリカの上昇相場がいつか必ず止まるということは、誰にでも予想できるでしょう。 アメリカの中央銀行(連邦準備制度理事会)の前議長ジャネット・イエレン氏は、「経済問題は2度と起きない」と断言した。 もし彼女の言うことを信じるのなら、私の言葉を聞く必要はありません。しかし、いつか彼女が愚か者に見えるときが来るでしょう。 次に起こる経済危機は、われわれの人生で最悪のものになるでしょう。その危機から脱出できる人は、そう多くはない。それほど深刻で破壊的な危機が、いま目の前に迫っているのです。 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190422-00010000-voice-bus_all ▲△▽▼
5月開催の米中通商協議をきっかけに米株市場は調整へ?FRBはいつも対応を間違える=藤井まり子 2019年4月22日 https://www.mag2.com/p/money/669291 5月の初旬から中旬にかけて行われる米中通商協議は、マーケットの期待を大きく裏切ることになりそうです。これ以降、米株市場は大きな調整に入るでしょう
米株市場に近づく調整の影、日本市場はその時どうなる? インフレを警戒して利上げをやりすぎた疑い トランプ減税が行われたので、2018年のアメリカは過熱気味になり、インフレが巻き起こりそうになりました。2018年のパウエルFRBは、インフレを警戒するあまり、利上げをやり過ぎた疑いがあります。 パウエルFRBが「0.50%の利下げ」を行わない限り、今後ともアメリカ経済は減速してゆくことでしょう。 加えて、5月初旬から中旬にかけて、米中通商協議が合意されそうです。この合意内容は、マーケット期待を大きく裏切るものになることでしょう。 イールドカーブがいびつになって、極限までフラット化しています。すなわち、近い将来のアメリカ経済の「さらなる減速」を予測しています。 長期金利も2.50%台にまで低下しました。これは低下のし過ぎです。一部のマーケット関係者は「ゴルディロックスの再来」と楽観して、マーケットが溶け上がっていますが、長くは続きません。調整は近いでしょう。
ただし、「逆イールド」が3か月以上継続して発生したわけではないので、パウエルFRBが利下げへと動きさえすれば景気後退も起きませんし、30%以上の暴落も回避できるでしょう。 震源地はアメリカFRBと米中貿易協議 消費増税先送りの「観測記事」が出たので、日本株式市場の下落幅は小さくなるだろう。最も大きく下落するのは、アメリカ株式市場だろう。 2018年で学習したように、「溶け上がった(メルトアップ)」の後のグローバル株式市場では、「溶け下がり(メルトダウン)」が待っています。では、どこまで「溶け上がる(メルトアップする)」のか? 兼ねてから繰り返しお伝えしておりますように、S&P500は昨年秋に記録した史上最高値:2,940ポイントを上回ることはあるかもしれませんが、これを大きく超えて上回ることは無いでしょう。これくらいしか分かりません。 5月1日のFOMCでは、パウエルFRBはマーケット期待には応えられないでしょう。5月初旬から中旬にかけて、米中通商協議での合意は、マーケット期待を大きく裏切るものになるでしょう。 グローバル株式市場での大幅調整は近いでしょう。「12月の大虐殺」を上回るものになると予測されます。30%以上の暴落は起きないでしょう。 安倍自民党政権が「消費増増税先送りの解散総選挙」に打って出る可能性が大きくなっています。昨日4月18日から観測記事が広く流されています。 プラチナウィーク前の日本株式市場は上がることはあっても、大きく下がる可能性は低いでしょう。プラチナウィーク中に海外株式市場が荒れ始めても、この「観測記事」は「出遅れ気味の日本株式市場」への影響をかなり減らせます。 実際の「消費増税先送りと解散総選挙」の発表は5月20日以降か、あるいは、7月1日以降。 春から夏にかけての「大幅下落」の「震源地」は、アメリカ経済でもなく、明確に「アメリカFRB」と「米中貿易協議での合意」です。アメリカ株が最も大きく下落することでしょう。 「12月の大虐殺」でもそうでしたが、VWO(新興国株)の下落はアメリカ株の下落ほどではないだろう。 TOPIXも既に「観測記事」が流れ始めたので、アメリカ株よりも下落幅が小さくなるでしょう。 今はキャッシュポジションを厚めにしてゆこう。 夏から秋にかけて「新しい株式ブーム」が始まる可能性が高い。「新しい株式ブーム」は、ITバブル真っ青の「大型バブル」へと成長する可能性もあります。 この夏から秋にかけて、ビックチャンスが訪れることでしょう!
溶け上がる内外の株式市場では、調整は近い!
夏から秋にかけて「新しい大型バブル」が生成する!内外の株式市場が「溶け上がって(メルトアップ)」しています。 2018年で学習したように、「溶け上がった(メルトアップ)」の後は「溶け下がり(メルトダウン)」が待っています。 では、どこまで「溶け上がる(メルトアップする)」のでしょうか?
兼ねてから繰り返しお伝えしておりますように、S&P500は昨年秋に記録した史上最高値:2,940ポイントを上回ることはあるかもしれませんが、これを大きく超えて上回ることは無いでしょう。実際に、この程度の「ざっくり感」しか予測できません。 テクニカル的にも、アメリカ株式市場は「三尊天井」を形成しそうです。 5月初旬から中旬にかけて、米中通商協議はとりあえずの合意に至るでしょう、トランプ大統領はその時は自国民に向けて「勝利宣言」を行うでしょう。 しかしながら、その合意の中身はマーケット期待を裏切るものになるでしょう。
米中貿易協議では、トランプ政権は、目先のアメリカ株の大幅下落には目をつぶってでも、「長期的なアメリカの国益(知財や安全保障)を守る」スタンスも採るだろう。 米中通商協議の合意の行方について、マーケットはトランプを小馬鹿にして「株式市場に優しい結果」を予測していますが、それは楽観のし過ぎです。近いうちにこういった楽観は大きな失望へと転じることでしょう。 たいていのシンクタンクの予測は、「米中通商協議で合意形成されるので、アメリカ経済およびアメリカ企業業績は年後半からV字回復」といったシナリオに沿っていることに、私たちは注意すべきです。 消費税先送りの解散総選挙に売って出る可能性 安倍自民党政権が「消費増増税先送り」の解散総選挙に打って出る可能性が五分五分よりもずっと大きくなっています。 貞子ブログでも記しましたが、4月18日から「消費増税先送りと解散総選挙」の観測記事が広く流されています。 4月21日の衆院大阪12区補欠選挙では、勢いに乗って、消費税反対の維新が勝利しそうです。 21日に維新が勝てば、安倍自民党政権も遅かれ早かれ「消費税増税先送りと解散総選挙」へと打って出ざるを得なくなるとの、観測記事が今から流されています。 ただし、あくまで「4月21日の補欠選挙で維新が勝てば」の仮定です。 4月21日の衆院大阪12区補欠選挙で維新が勝てば、プラチナウィークが始まる直前までは、日本株式市場は上昇気流に乗ることでしょう。プラチナウィーク前の日本株式市場は、上がることはあっても大きく下がる可能性は低いでしょう。 プラチナウィーク前の「観測記事」は、プラチナウィーク中の「天皇退位と新天皇即位」の「祭典」への「不敬」には当たりません。 プラチナウィーク中に海外株式市場が荒れ始めても、「観測記事」は日本株式市場への影響は減らすことはできます。安倍自民党政権もよく考えたものです。 実際の「消費増税先送りと解散総選挙」の発表は、5月20日(=「日本の第一四半期のGDP成長率」が発表される!)以降か、あるいは、7月1日(=日銀短観が発表される!)以降のようです。 これで、次の「グローバル規模での大幅調整」からは、「日本株が最も大きく売り崩される」という可能性は低くなりました。 春から夏にかけての「大幅下落」の「震源地」は、アメリカ経済でもなく、明確に「アメリカFRB」と「米中通商協議での合意」です。ですから、アメリカ株が最も大きく下落することでしょう。 「12月の大虐殺」でもそうでしたが、VWO(新興国株)の下落はアメリカ株の下落ほどではないだろう。TOPIXも既に「消費増税先送り」の観測記事が流れ始めているので、アメリカ株よりも下落幅が小さくなる。 各自、基本に戻って、「30%弱くらいの一時的な評価損」に耐えられる範囲まで、ポジション圧縮してゆこう。今はキャッシュポジションを厚めにしてゆこう。
アメリカの株式専門家の多くが
夏から秋にかけて「新しい株式ブーム」が始まる可能性が高いので、決してゼロポジションにはしないように。(新しい株式ブームに乗り遅れたら目も当てられません) 春から夏にかけて「株式ブーム」は一旦は終わるものの、夏から秋にかけてに再び「新しい株式ブーム」が始まることでしょう。この「新しい株式ブーム」は、ITバブル真っ青の「大型バブル」へと成長する可能性もあります。 さて、アメリカ国内でこれほど多くの専門家が警戒して待ち構えている「大幅調整」というのも、とても珍しいです。
ガンドラックしかり、ウィークしかり、シーゲル博士しかり、シラー博士然り、エラリアン然り…。多くに投資家たちがキャッシュポジションを厚くして「次の大幅調整」を待ち受けているわけです! やはり、アメリカのプロフェッショナルたちは、みんな、トランプほど赤裸々には口には出さないけど、パウエルFRB議長に「0.50%の利下げ」を強く望んでいるのだろう。 みんなして、今度こそ「大型バブルの到来」を切望しているのだろう。 「今回のアメリカの株式ブーム」に乗り遅れていた人は、この夏から秋にかけて、ビックチャンスが訪れることでしょう!
今現在のアメリカ株式市場は、「ITバブル前夜の1998年夏から秋にかけてのロシア通貨危機時の時」の状態にかなり近い。(利下げの原因は違うけど…) FRBはしょっちゅう間違えている! この秋、2020年に向けて「大型バブル」が発生するかもしれない。アメリカFRBには「金融緩和」のDNAが脈々と流れている。 「FRBは間違えてもよいのか?」という質問がありました。ことパウエル議長に限らず、アメリカの歴代FRBは、けっこう頻繁に間違えますし、間違えてきました。 一時は、「アメリカ経済を繁栄へと導いた神」とまで崇め(あがめ)られたグリーンスパンこそは、しょっちゅう間違えていました。 彼は、90年代前半は金融の引き締めをし過ぎた結果、94年から中南米危機を招いています。中南米危機はその後97年にはアジア通貨危機へと飛び火、このアジア通貨危機は最後の98年にはロシア通貨危機にまで飛び火して、最後はアメリカ本土を襲います。 (当時は、まだ「のどかな時代」で、新興国通貨危機が「弱小の新興国」から「大国の新興国」へ伝播するまで、およそ3年〜4年の年月が必要でした。今現在はアルゼンチンやベネズゥエラの弱小国がおかしくなってから大国のトルコや中国に飛び火するのに1年もかからなくなっています) 幾度もお伝えしておりますように、グリーンスパンは、「ロシア通貨危によるLTCM破たん」が引き金になって、98年9月から12月にかけて政策金利を引き下げます。計3回、0.75%もの引き下げです。 この引き下げは下げ過ぎだったので、その後「巨大ITバブル」を形成します。 この「巨大ITバブル」崩壊後、やはりグリーンスパンは低金利を確信犯的に長く維持して、その後、サブプライムバブルを形成させます。 グリーンスパンの後継者であるバーナンキは、サブプライムバブルが起きているのに気が付くのが遅れて、利上げが後手後手に回っています。 かくして、歴代のFRBもしょっちゅう間違えていました。 そして、アメリカ中央銀行には、グリーンスパン以来、なにかあったらすぐに「金融を緩和気味にする」DNAが脈々と流れています。 これは、1990年代後半から、アメリカでも物価が上がりにくくなったのが原因です。 https://www.mag2.com/p/money/669291
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