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(回答先: 起業するより多国籍企業に投資する(現物株を買う)方がギャンブル度は遥かに低い 投稿者 中川隆 日時 2018 年 3 月 25 日 18:23:53)
2020年1月22日
「フランチャイズ」という搾取システム〜大企業が仕掛ける「詐欺」に騙されるな!〜
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/15251
こんにちは、表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。
別のところで配信した記事でも詳しく解説差し上げましたが、先日、映画「家族を想うとき」を観て参りました。
「映画評論『家族を想う時』 〜政府与党の政治家達が理解できない、『山本太郎人気』の背景にあるもの〜」
https://foomii.com/00178/2020011712374762765
この映画は、イギリスの普通の労働者が、「マイホーム」を実現するために、「独立」をして個人事業主となり、宅配企業と「フランチャイズ」契約を結ぶものの・・・尋常ではない超長時間労働を強いられると共に、様々なトラブルによる「罰金」のせいで、働けば働くほど「稼ぐ」どころか「借金」がかさんで行くという悪夢のような泥沼にはまりこんでいく・・・という様を描いています。
(詳しくは、当方の映画評をご参照ください。本当に衝撃的な映画でした。
https://foomii.com/00178/2020011712374762765)
この映画を観てから、改めて、「フランチャイズ契約」について、これまで見聞きしてきたお話を思い起こしながら、あれこれ調べてみたのですが・・・
当初、当方は誠に恥ずかしながら「フランチャイズ契約」というものがそこまで危険なものとは思っていなかったのですが、よくよく調べてみると、とんでもない危険性と、それを取り結ぼうとする大企業側のおぞましくも浅ましい魂胆が明確に潜んでいる実態がありありと見えて参りました。
もちろん、分野によっても様々な違いもあるでしょうし、デフレが深刻化していくにしたがって、その内容もどんどん悪質化して来ているのだと思いますが、「家族を想うとき」に描かれていた様な阿漕(あこぎ)なフランチャイズ契約は、決して遠い異国のものなのではなく、まさに今、我が国日本で、激しく横行している、という様子が改めて浮彫となりました。
特に昨今話題になっているのが、コンビニ業界のフランチャイズ契約の問題。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/seven-eleven-mitoshi-matsumoto_jp_5d26d24ae4b07e698c4578eb
この問題は、要するに、以下のような話です。
「・24時間営業のコンビニの中には、深夜営業は売り上げが少なく、人件費がかさむだけで、コンビニ店の個人事業主(店長)さんは「赤字」になってしまう(ならびに、バイトがいなければ自分が店で超長時間働き続けなければならなくなっていまう)ところが多い。
・だから、(そういう)個人事業主は、深夜は店を閉めたいと考えている。
・しかし、「コンビニ本社は、モノが一つでも売れれば利益が出る」という契約内容になっているので、本社は、深夜営業の停止を認めない(というか、そもそも、24時間営業をするという契約になっている)。
・だから、個人事業主さんは、仕方なく赤字覚悟、超長時間労働覚悟で、深夜もお店を開け続ける。」
もちろん、夜中も大量にお客さんが来てくれるところは、こうした問題は比較的軽微で済むわけですが、多かれ少なかれ、24時間営業のコンビニ店はこうした問題を抱えているようです。
ちなみに、「コンビニ本社は、モノが一つでも売れれば利益が出る」となっているのは、その契約内容が次のようなものになっているからです。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/062800034/
1)個人営業主は、売り上げから原価を差し引いた金額(つまり、粗利益)を計算し、そのおおよそ半分(4〜7割程度)を、本社に支払う、
2)そして、個人事業主は、残った金額(粗利益の3割〜6割)から、人件費を払う、
つまり、(多くの契約ケースにおいて)本社は、人件費を一切負担しない契約内容になっているわけです! そして、夜中に100円の利益がでるジュースが一本売れるだけで、本社は、40円〜70円の利益を得ることになるのです!
要するに有り体に言えば、コンビニ本社のビジネスというのは、単なる「ピンハネ」商売なわけです。だから、本社は兎に角24時間働かせ続けたいわけです。
何とも理不尽な話ですが、コンビニ本社の強みは、(ほとんど誰も読み切れない程の大量の事項が)全て書かれてある契約書に個人営業主がサインをした、という点。コンビニ本社にしてみれば、
「契約書に、そう書いてあるじゃないか。お前が勝手にサインしたんだろ!? 今更文句を言うな!」
という次第。そして、コンビニ本社は何もかも分かった上で、
「だいたい俺のブランド名使って、金儲けさせてやってるんだし、超高度な物流システムやら料金システム使わせてやってるんだから、文句言うなんざぁ、100年早いわ!! 文句があるんだったら、別に辞めてもらってもいいんだよ。お前の代わりなんて掃いて捨てるほどいるんだから。」
という高圧的な態度に出るわけです。で、多くの個人事業主さん達は、こう言われてしまえば、結局は何も文句が言えなくなり、泣き寝入りする・・・というのが、哀しい現実なのです(そして、その理不尽さを克明を描いたのが、映画「家族を想うとき」なわけです)。
要するに、フランチャイズ本社からしてみれば、個人事業主をたくさん集めて、彼等を締め上げて、働かせて、売り上げを1円でも多くあげさせればそれだけで、何のリスクもなく金儲けができる、という次第。
・・・
ただし、資本家が労働者からこうやって「搾取」するというのは今に始まった話しじゃなくて、18世紀に産業革命と共に「資本主義」(キャピタリズム)始まったころから、繰り返されてきた事でもあります。
つまり、資本主義というものは、よくよく注意しておかないと、労働者から理不尽に搾取する資本家(キャピタリスト)が出てくるものなのです。
人類は、資本主義が生まれてから200年以上の時間をかけて様々に「労働法制」を築き上げ、「経営者・資本家が、労働者をあまりに理不尽に酷使・搾取できないような仕組み」を作り上げてきました。
しかし、今、抜け目のない大企業達・資本家達は、その労働法制の「抜け穴」をかいくぐって、合法的に労働者を理不尽に酷使・搾取できる仕組みを作り上げたのです。
それこそ、「フランチャイズ」、という新しい仕組みです。
「がんばりゃぁ、すごい儲かるぞぉ・・・」
「マイホームも夢じゃないぞぉ・・・」
「もう嫌な上司にこき使われず、店を持って、一国一城の主になれるんだぞぉ・・・」
なんていう甘い言葉で誘い出し、フランチャイズ契約のリスクをきちんと説明しないままに契約書にサインさせる―――しかしサインしたら最後、全てのリスク(そして、全ての人件費!)を個人事業主に負わせて、後は、事業主を脅して締め上げて24時間働かせ、搾取し、ノーリスクで金儲けをしよう・・・と企んでいるわけです。
それはもはや、「詐欺」といって、何ら言い過ぎではありません。
※ 詐欺=他人をだまして錯誤におとしいれ、・・・瑕疵(かし)ある意思表示(この場合はフランチャイズ契約)をさせたりする行為。
つまり、フランチャイズ本社にとっての顧客とは、実は、お店に来るお客様方だけじゃないです。個人営業主こそがフランチャイズ本社にとっても最大の「客」というか「搾取対象」なのです。
そして恐るべきことに、こうしたフランチャイズビジネスは、宅配ビジネスやコンビニだけではなく、
「ラーメン店、ファーストフード、居酒屋、串焼き屋、カフェ、パン屋、イタリアン、パソコン教室、学習塾、個別指導塾、保育園、幼児教育、子ども向け英語教育、デイサービス介護、マッサージ、掃除、ビル清掃、靴修理、鞄修理、美容室、金券ショップ、放置自転車回収、貴金属買取、接骨院」
http://www.jicl.jp/old/hitokoto/backnumber/20170306.html
等、あらゆる業種に浸透しています。
もちろん、あらゆるフランチャイズ本社が、阿漕な搾取を続けているとは言いませんし、誰もが「ウィンウィン」の状態になっているフランチャイズもあるとは思いますが、多かれ少なかれ、フランチャイズ契約にはそうしたリスクがあり、かつ、現実に阿漕な搾取を続ける悪質業者がたくさんいるというのは、否定し難い事実なのです。
ついては、読者の皆様におかれては、フランチャイズ契約にリスクがあることをしっかりとご認識いただき、決して「だまされ」ないように、そして契約するとするなら覚悟を持って契約されるよう、お気をつけいただきたいと思います。
そして、これまで資本主義国家が延々と続けてきた「労働搾取」との戦いの最前線は、今、単なる会社内の労使関係のみならず、フランチャイズの本社・事業主関係に至っているのだという事実をご認識頂きたいと思います。
適正な労働法制・フランチャイズ規制法制が一日も早く出来上がらん事を、心から祈念したいと思います。
追伸:この問題をしっかりご理解頂くためにも是非、こちらご一読ください。
https://foomii.com/00178/2020011712374762765
「映画評論『家族を想う時』 〜政府与党の政治家達が理解できない、『山本太郎人気』の背景にあるもの〜
https://38news.jp/economy/15251
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