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(回答先: 官田引水を越えて新しい秩序の生成へ 投稿者 マルハナバチ 日時 2003 年 9 月 27 日 12:57:26)
人民は弱し−官吏は強し
マルハナバチさん。 こんにちわ。
これは実は私にはどうしたら良いか良くわかっていない話ですので、レスすることができませんでした。
そこで、まずどこが難しいと考えているかについて簡単にお話しします。
現在の官田引水は目に余ります。
しかし、官田の直下には、やはり民田がありまして、それで食っている人も多いわけですね。
官田に引水されますが、その直下の田んぼだけはそこそこ潤うわけでしょう。
最終的には「民間」の問題であるわけです。
ちょっと独断的になるかもしれません。
これを解く鍵は、SF作家 星新一 の作品「人民は弱し 官吏は強し」(新潮文庫)にあると思っています。
星新一の父親である戦前の実業家星一の会社星製薬が、数々の偉業をなしとげながら、一部経済人と、これと結託した官僚とによってつぶされていくプロセスを、克明かつ客観的に淡々と描いた作品です。
しかし、この作品内容は、客観的で押さえた筆致にもかかわらず、どんなエゲツナイ暴力的な作品よりも後味の悪いものです。
星一は鎮痛剤モルヒネの国産事業に初めて成功の見通しをつけ、認可を申請しました(これがないと欧米から高価な薬品を多量に輸入する必要があるわけです)。
ところが認可が全然おりません。
何をしていたのかというと、ある経済人と官僚とが結託し、星の事業を強奪する相談をしていのですね。
この経済人は、自分で製薬事業を起こすような能力はありません。
最終的には、「国内製薬」というワケの判らない会社をでっち上げ、手練手管を弄して星のモルヒネ事業を強奪してしまいます。
星製薬の経営は傾き、戦後まもなく倒産してしまいました。
星一の青年時代を描いた作品があります。
「明治・父・アメリカ」(新潮文庫)
実にすがすがしく、みずみずしい星の青春時代を描いた作品です。
この青年に、あのような悲運しか用意できない国−絶句します。
日本近代文明には、間違いなく根本的な欠陥があります。
明治以来、無数の実業家が、この欠陥につぶされてきたわけです。
これから噴出する「官田引水」問題のツケは、まさにこの問題の現れですね。
現状ですと、基本的に、私たちは「星一の運命」をたどることになると考えています。
次回はこの欠陥について考えてみたいと思います。
(正直いいますと、あまり気が進まないのです。 難しいことがわかっているので)