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(回答先: Re: やっぱり人民は弱いのでは? 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 9 月 29 日 18:03:55)
「人民は弱し 官吏は強し」には同意しますが、個別事例については、そのような観点で裁断できる場合とそうではない場合があると思っています。
国家統制品である阿片やモルヒネの栽培・製造・販売については、涜職も含め官吏の規制や裁断が行われるのは当然です。
(星製薬が胃腸薬や風邪薬で官吏に追い詰められたのなら、「人民は弱し 官吏は強し」ですが...医薬品は全体が国家統制でもあるわけですから、官吏との“癒着”=相互依存性なしに隆盛はないと言えます)
戦前日本の阿片(モルヒネ)に関する概要を書きます。
ケシの栽培が阿片収穫目的で本格的に拡大したのは日清戦争後の台湾領有からです。
台湾割譲を日本が喜んだのを受けて、清の高官は厄介なものを背負い込んで喜ぶとは愚かなものだと語ったくらい、台湾では阿片中毒者が数多くいました。
日本政府は阿片撲滅を図ろうとしましたが、阿片を求める暴動や日本支配反対の動きに手を焼くなかで、阿片の管理販売に路線転換することになります。(これで治安が確保されるようになります)
そして、阿片の輸入で正貨が流出しないよう国産化を進めていきました。
(日本の領有開始数十年後に、台湾の団体が当時の阿片中毒者のみを対象に販売するとしたのに、販売量が減っていないとクレームをつけたように、阿片販売が意図に関わらず国家的権益になっていたと推測できます。日露戦争→第一次世界大戦→大東亜戦争と軍事活動が活発化するなかで、日本のモルヒネ需要も拡大していきます。)
阿片栽培篤農家の子息の本は、第一次世界大戦で青島を占領した日本軍幹部が青島で不動産を手に入れた原資は阿片の販売利益だろうと書き、星製薬の“密輸”事件も、ロシアや中国大陸向け密売が表面化したものだろうと推測しています。(モルヒネ製造設備は台湾だけにあったことや密売ルートの動きから)
開戦時に陸軍軍務課長という中堅軍官僚だったにも関わらず極東軍事裁判でA級戦犯に指名された佐藤賢了氏(17年春から19年夏まで軍務局長の要職)も、「佐藤賢了の証言」という著作のなかで、満州建国後に、満州と北支のあいだにあった冀東政権の領域を利用して日本人が一般商品とともに阿片の対中密輸が行われていたと説明し、盧溝橋事件が起きなくとも、そのような動きだけでも日中が軍事衝突するのは避けられなかっただろうと述懐しています。
それほど豊かではなく軍の予算は議会で大きく制約されていたのですから、個人的な蓄財目的ではなくとも、軍が阿片密売で工作資金などを手に入れていただろうとは推測しています。
(満州事変につながっていく柳条溝事件も、中国人阿片中毒者を買収してやらせた爆破テロだと言われています)