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(回答先: 『政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である』 (毛沢東) 投稿者 書記長 日時 2002 年 9 月 02 日 17:20:49)
アシスト社のビル=トッテン氏の今年7月に書かれた論文を以下に転載します。私自身も日本の多国籍企業(30社)の輸出を禁止するか、それがいやなら彼らに日本から出ていってもらいアメリカ国籍の会社になってもらって結構だとおもっています。この30社の株主の利益を守るため、経済・農業政策が以上にゆがみで日本の一般人はたいへんな損失をこうむっているのです(たとえば彼らが輸出できることとの交換でアメリカ農産品を買わされ、自給率は40%を割っており、食料安保が成り立たず、アメリカが食料を止めれば直ちに日本を殺せる関係にある。産業空洞化も同じ。)。海外でがんばるトヨタ、ソニーを、日本人の自尊心を満たすために誇りたい日本の一般人の気持ちが実は日本の一般人が利益を失うという逆説が成立している皮肉をかんがえてください。
輸出がもたらすもの
ビル・トッテン
輸出が日本経済をけん引している、また、日本は資源がない国だから石油その他の天然資源を輸入するために、輸出をして外貨を稼がないといけないという主張は、過剰な輸出を正当化するためのうそであると以前から私は指摘してきた。
日本経済はGDP(国内総生産)の99%が国内経済で、海外に依存している部分が1%だというのは、過去40年を通して変わらない。60%は個人消費、30%が民間企業投資、9%が社会消費でこれらはすべて国内経済であり、残りの1%だけが海外の部分である。
円安は99%の害
輸出企業は円安を望む。なぜならそれによって輸出品の現地価格が下がり、価格競争力が上がるからである。しかし、円安は石油や原材料、その他の輸入品の価格をつり上げる。
従って円安は輸出(GDP11%)と輸入(10%)の差し引き1%にしか良い影響をもたらさない。その一方で円安は日本経済の99%に害を与える。なぜなら円の価値が下がれば、国内の預金や資産、賃金、給料、その他の収入の相対価値も併せて下がるからである。
日本経済の規模がまだ小さく弱かったころ、資源を輸入するために輸出をしなければならないのは真実だった。しかし今日、その逆が真実になっている。
つまり日本は、過剰に輸出をしている償いに、輸入をしている。米国に輸出をしたいから、国産のコメが余っていても米国からコメを買わなければならないのだ。
コメだけではない。日本の自動車メーカーが米国に車を輸出すれば、米国政府から日本に自動車部品を輸入するよう圧力がかかる。日本政府が国民にパンや肉食を奨励したのも、日本の食料自給率を犠牲にして農産物を輸入するためだった。今や日本の自給率は餓死者を出している北朝鮮並みの低さである。
米国の干渉を容認
さらに日本政府は、輸出企業が輸出を続けられるように諸外国、主に米国が日本の国内問題を干渉することも容認した。金融ビッグバンとよばれる金融規制緩和は、厳密には日本政府が米国からの圧力で行ったものである。
これによって日本の金融市場をウォール街の海賊に開放し、また日本の金利を常に米国より低くして日本の預金が米国に還流するようにしたのである。
一九九七年六月、当時の橋本首相は「新たな経済パートナーシップのための枠組みの下での規制緩和及び競争政策に関する強化されたイニシアティヴに関する共同声明」なるものを発表し、日本の法律や規制まで米国政府と交渉し始めた。
その後の首相も継続して日本の法律や規制を米国の指図のもとで決めている。世界のどこにこんな国があるだろうか。そしてそこまでする理由が、米国市場に輸出をさせていただくためという以外に考えられるだろうか。
それだけではない。貿易の多くはドル建てで行われるが、輸出企業は稼いだドルを日本で使うために日銀で円に換金する。そして日銀は日本全体の貿易黒字分として集まったそのドルで米国債を購入するのである。
つまり、日本の貿易黒字のほとんどを日銀は米国政府にその時の為替レートで貸し出しているのである。三十年ものの米国債を購入すれば償還時の三十年後に、米財務省から日銀にドルが返済される。
問題は過去三十年間、米国の国内産業が空洞化し、貿易赤字が増加してきた結果、ドルの価値が下落し続けてきたことにある。例えば三十年前に一ドル三百六十円だった米国債は、今では百二十円の価値しかない。
損失は納税者負担
私の試算では、日本はこの為替差損により、一九五五年からの貿易黒字の累積額百六十二兆円の13%に当たる二十一兆円を失っている。日銀の損失は納税者の負担となる。日本の納税者は、輸出をさせていただくお礼に、貿易黒字の13%分を米国に差し上げているのだ。
これは私の試算であって、実際いくら差し上げているか調べることはできなかった。なぜなら米国債の購入額を日銀が公表していないからである。日本国民のお金をどれだけ浪費しているかを隠すためであろう。
六月二十六日、日本政府は円高になることを恐れて、今回の円高局面で七回目、総額三兆円程度の円売り、ドル買い介入をしたという。
しかし、米国企業の粉飾決算などによる米経済への不信からくるドル安なら、日銀がいくら日本国民の税金を投入して単独介入したところで為替を安定させられるものではない。今後もドル安傾向が続けば、輸出企業のために日銀が円を売りドルを買うたびに、手にしたドルの価値はさらに下がっていくだけなのである。
日本政府がこれらの愚行を繰り返すのは、ひとえに輸出企業を助けるためである。日本の過剰な輸出に対して貿易相手国から苦情がくるのなら、輸出を減らすよう指導すべきで、相手国をなだめるために不要なものを輸入するべきではない。
また米国債の購入や為替介入で円の価値を下げ、国民の所得や資産価値を下げる必要もまったくない。納税者として、日本政府がこの愚行をやめることを願うばかりである