<■336行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 2023年12月17日 未来の総理、進ちゃん / 小泉家のファミリー・ビジネス http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68951521.html「彫物大臣」の又さん Koizumi Shin 843Koizumi Jun 435 もはや末期的症状を呈しているのか、岸田内閣の支持率がドンドン落ちている。マスコミはパーティー券問題を取り上げ、私腹を肥やした議員を狙い撃ちだ。ところが、奇妙なことに、岸田総理の側近は“お咎めなし”ときている。 この騒動を画策したのが誰なのか判らない。けど、宏池会は分裂する清和会(安倍派)を観て、チラっとほくそ笑む。 そもそも、政治家に賄賂や腐敗は“附き物”だ。馴染みの企業や特殊団体にタカらない、清廉潔白な議員なんて、よほどの無能か奇人変人の唐変木でしかない。追求する野党だって、脛に傷を持つ前科者だ。懐の中を“ガサ入れ”されれば、連行される奴が続々と出てくる。 Kishida 356(左 / 岸田文雄) 増税眼鏡に金銭スキャンダルが追加されれば、岸田文雄が崩壊するのも時間の問題だ。では誰が次の総理の後釜になるのか? 先月の産経新聞によれば、1位が石破茂で、その次が河野太郎や立憲民主党の泉健太であるという。(「次期首相候補トップの石破茂氏、自民支持層でも1位」産経新聞2023年11月13日) 赤い朝日の世論調査によると、次期首相候補のトップは小泉進次郎で、回答者の16%が彼を望んでいるそうだ。毎回解せないけど、石破茂が2位につけている。小学生でも「ヤラセ質問があるんじゃないか?」と思えてしまうが、なぜか15%の支持率を得ている。これまたガッカリしてしまうが、河野太郎が13%の“期待”を得て第3位に浮いている。(君島浩「いま首相にふさわしいのは「小石河」だけど…… 朝日世論調査」朝日新聞2023年12月7日) Ishiba 11Kouno 23Takaichi 00213Motegi 554 (左 : 石破茂 / 河野太郎 / 高市早苗 / 右 : 茂木敏充 ) さすがに、「陰鬱な茂木敏充を総理にしたい」と思う国民は少数派であった。しかし、この嫌われ者は、まがりなりにも自民党の幹事長となっているから、周りがシラけていても本人はヤル気満々だ。保守派国民の一部は未だに高市早苗を期待しているが、安倍派が凋落している中で彼女が“のし上がる”のは、ちょっと無理だろう。 そこで、“ダークホース”となり得るのは小泉進次郎である。ただ、没落街道まっしぐらの自民党を立て直し、嵐の中で首相に就任するのは「貧乏籤」でしかない。たぶん、自分の利益と保身を考えれば、「今回は“パス”!」と決めるんじゃないか? もしかすると、謙虚な態度を示して、粗大ゴミの先輩に席を譲ったりしてね。とはいえ、いずれ進次郎は総理の椅子を目指す。退屈でイライラするマスコミも“次世代の新星”と煽るから、近い将来、「小泉劇場シーズン2」を拝観できるだろう。ただし、小泉家の4代目には巨大な背後霊が控えているから、我々は彼の素性とお家事情を把握しなければならない。 「小泉王朝」の“始祖”となるのは、「刺青の又さん」と呼ばれた小泉又次郎である。この「又さん」は、総理大臣となった小泉純一郎のお爺ちゃん。衆院議員に当選して、若槻内閣や濱口内閣で逓信大臣になった人物だ。しかし、その背中には「昇り龍」の入れ墨があった。これじゃあ、インテリ・ヤクザの安藤組よりイメージが悪い。国粋会の故・工藤和義(くどう・かずよし)会長の方が立派に見える。だから、又さんは毛並みの良い“貴族院の先生”というより、歌舞伎町で見かける“粋な任侠オヤジ”といった感じである。 元々、又さんは港湾人足を率いる「小泉組」の親方だった。気の荒い鳶(とび)職の連中を束ねる訳だから、刺青の一つや二つ体に彫っていても不思議じゃない。帝大卒のエリート議員と違って、又さんは“職人上がりの貴族院議員”であったが、青年の頃は陸軍士官になりたかったそうだ。しかし、その夢が叶わなかったので、自棄(やけ)になったのか、自分の背中に刺青を彫ってしまった。親族の話によると、又さんの背中を風呂場で流せるのは、娘の芳江だけであったらしい。この芳江と結婚したのが、後に純一郎の父となる「鮫島純也」だ。婿養子の純也は「小泉純也」と改め、義父の跡を継ぐ「小泉家の二代目」となった。 Koizumi Matajiro 111Koizumi Junya 532Koizumi Jun 324Koizumi Shin 345 (左 : 小泉又次郎 / 小泉純也 / 小泉純一郎 / 右 : 小泉進次郎 ) 小泉家の婿殿は、神奈川県の“浜っ子”じゃなく、九州の“薩摩隼人”であったという。彼は1936年に地元の鹿児島一区から出馬するが、あえなく落選。再度の挑戦でやっと代議士になった苦労人だ。しかし、内閣の要職にあったため、敗戦後、GHQの公職追放に遭ってしまう。義父の又次郎も公職追放の身であったが、こちらは六畳二間の貸家に隠遁し、愛人の松元寿々英と一緒に晩年を過ごしていた。後に純也は防衛庁の長官となるが、安保騒動で批判の矢面に立たされる。また、自衛隊の「三矢研究」が問題となり、その責任を問われる立場になってしまった。 Curtis LeMay 213(左 / カーチス・ルメイ ) これに加え、小泉長官には後々まで言及される不名誉な歴史があった。大東亜戦争末期、日本の都市部を空爆し、大勢の民間人を焼き殺した司令官、あのカーチス・ルメイ(Curtis Emerson LeMay)将軍が、何と、1964年に勲一等旭日大綬章の叙勲対象になってしまったのだ。長官の純也は椎名悦三郎と一緒にルメイ将軍を推薦する破目となり、総理大臣の佐藤栄作が最終的に決定した。さすがに、昭和天皇による“親授”はなく、代わりに空幕長が勲章を授けたというが、我が国の自衛官は悔しさで唇を噛みしめた。筆者も引退した柿谷勲夫・陸将補が憤っていたのを今でも覚えている。 Robert McNamara 213(左 / ロバート・ストレインジ・マクナマラ) たぶん、ルメイ将軍の補佐役(共犯)だったロバート・ストレインジ・マクナマラ(Robert Strange McNamara)も驚いていたんじゃないか。いくら何でも、女子供と老人や怪我人を標的にした計画殺戮であったのに、その主犯格を標章するなんて正気の沙汰じゃない。国土を塩漬けにされたカルタゴ人が、勝者のローマ人に感謝し、白菜の漬け物を寄贈したらペルシア人でも“アホ”と呼ぶだろう。気違いのフェニキア人だって、スキピオやファビウスの彫像は造らないぞ。(Brian Herbert Warmington, 'The Destruction of Carthage : A Retractatio', Classical Philology, Vol.83, No. 4, 1988, p.309.を参照。) ちなみに、ハーヴァード大学の助教授だったマクナマラは、第二次世界大戦中、陸軍の航空隊に所属し、大尉から中佐にまでなっていた。彼には絨毯爆撃が「戦争犯罪」にあたるという認識があったから、ドキュメンタリー映画『The Fog of War』で当時を振り返っていた。戦後、大学教授からフォード自動車の社長になったマクナマラは、ケネディー政権とジョンソン政権で国防長官を務めている。) 「安保男」と揶揄された純也は、1969年に癌を患って急死する。当時、息子の純一郎は日本に居らず、英国のロンドンに“留学”していた。父の死去を聞きつけ、純ちゃんは直ちに、故郷へ帰還することに。祖国の空港に現れた純ちゃんは、黒いサングラスを掛けたまま、姉や弟、そして支援者らの出迎えに応じたが、その目は涙で赤くなっていた。(岩崎大輔『ダークサイド・オブ・小泉純一郎』洋泉社、2006年、pp.133-34.) 正確な裏附け情報は無いけれど、純ちゃんの“留学”には複雑な経緯があった。「小泉劇場シーズン1」の純一郎しか知らない世代だと、子供の頃の“おとなしい”純ちゃんは想像できまい。高校の恩師や同級生の話によれば、少年時代の純一郎は、独りで本を読んでいるような“物静か”な少年であった。学校でも「目立たない生徒」であったというから意外だ。高校生の純ちゃんは、父親の家業(政治家の職)には興味が無く、もっぱら映画や音楽の話ばかり。エルヴィス・プレスリーの歌を口ずさみ、その姿を真似たり、といった茶目っ気もあったらしい。 政治家の息子ならよく解ると思うが、純一郎は代議士の家系を嫌っていた。親友の安藤正宣によれば、純ちゃんは地元の横須賀を避けているような節があった。潔癖症のせいなのか、青年時代、そして政治家になったてからも、“孤高”の純ちゃんは“ドブ板選挙”が大嫌い。支援者のオッさん達と朝まで酒を飲み交わすようなタイプじゃなかった。たぶん、私生活に他人が割り込むような、濃厚で密接な関係を嫌っていたのだろう。別れた女房(宮本佳代子)に関しても、一切マスコミに語らなかったのは、自分のプライヴァシーを“聖域”にしたかったからじゃないのか? 1950年代から60年代にかけて青春を送った日本人には、言葉に出来ない複雑な心境がある。ハリウッド映画やビートルズとかプレスリーといった洋楽、パリやNYのファッションは大学生の心を摑み、旧態依然とした日本社会への嫌悪感を醸し出していた。代議士の家庭に育った純ちゃんが、ベトベトした人間関係を嫌ったのも理解できる。政治家の支援者は“義理と人情”で動くし、時には“理不尽なしきたり”に堪えねばならない。 たぶん、映画ファンの純ちゃんなら、菅原文太や高倉健のヤクザ映画より、絢爛豪華な『ゴッド・ファーザー』の方を好むんじゃないか、と思ってしまう。マフィア映画の『バラキ(The Valachi Papers)』(1972年)には、ローマの古典を愛読するコーザ・ノストラ(闇組織)のボスが登場したりする。日本のヤクザ映画で『韓非子』や『六韜』を繙く暴力団の組長が描かれるのか? 高校時代、純ちゃんは親友の安藤氏に「将来の希望は外交官」と打ち明けたそうで、ソフト父の跡を継ぐ「政治家」ではなかったらしい。小泉家のお坊ちゃんは、得意の「英語を活かして外交官になるんだ」(p.106)と話していたそうだ。確かに、北米や歐州に赴任する外交官の方が格好いいし、交渉相手がイギリス人の紳士やフランス人の官僚なら、御洒落なユーモアを交えた会話になる。 一方、地方議会の泥沼選挙では、敵陣営に対する陰湿な“嫌がらせ”は少なくない。昔、県会議員選挙で、小泉系だった牧島功が謀叛を起こし、小泉家の恩人である竹内清と対立したことがあった。牧島の“造反”に激怒した竹内陣営は、牧島の家に「棺桶」を送りつけたというから凄い。(上掲書、pp.193-94.)この“エピソード”は横須賀で有名な伝説らしく、牧島氏の義母によると、子供用の棺桶であったという。それでも普通の人が聞けばビックリするだろう。ホント、昭和時代の選挙は今と違っていた。中選挙区制度の時代だと、本当に有権者に「実弾(現金)」が飛んでいたんだから。 強姦疑惑と英国留学 「政治家三世」という身分であっても、純ちゃんは田中派や竹下派にいるような“泥臭い”世襲議員じゃなかった。彼には独特の“オーラ”があり、その“ウェール”は透明でもチタン合金のように固く、液体窒素のように冷たい。永田町で偉くなっても純ちゃんは意外なほど“気さく”で、誰でも迎え入れるような“度量”があった。しかし、その奥底には、何か得体の知れない“暗闇”が横たわっている。おそらく、親友でも覗き見ることができない領域で、何重にも閉ざされている密室のようなものだろう。 高校生の純ちゃんが、親友の安藤氏と話している時のことだ。「政治家の家庭は公私がなく、正月休みまで誰かしらが家に上がり込んでくる。支援者に挨拶されるのはイヤだ」と“か細い声”で呟いていたそうだ。(上掲書、p.107) 小泉総理は時折“冷酷な男”と評されるが、それは彼が厳格に「公私」を分けているからだろう。幼い時から自宅に他人が出入りすれば、誰だって腹が立つし、「何で、いつもいつも、他人がドカドカと家に入り込んでくるんだ!」と不愉快になる。 おおよそ、政治家の女房子供には、普通の人が持つ“プライヴァシー”が無い。たとえ、選挙で親父(オヤジ)を励ましてくれる支援者であっても、夕飯時に闖入してくれば「何だ、この野郎! 図々しいな!」と思ってしまうし、母親がその“がさつ者”に頭を下げる姿を見れば、子供としては居たたまれなくなる。大衆というのは普段は常識的でも、基本的に下品だ。選挙となれば「女房を連れて挨拶に来い!」と要求するし、毎晩のようにやって来ては、タダ酒の宴会で大騒ぎとなる。選挙事務所に集まった古株の支援者も同じ類いで、候補者の夫人が事務所や街頭に姿を現さず、亭主だけが演台に立って熱弁を振るえば、「カミさんは手伝わないのか!?」と野次を吐く。代議士に必要なのは法案作成能力や政治理念なのに、烏合の衆は候補者の私生活を知りたがる。「どんな女房を持っているのか?」とか、「息子はどこの大学に通っているのか?」といった“どうでもいいゴシップ”に興味を示す。おそらく、進次郎が総理大臣になれば、女房のクリステルがマスコミの取材を受けるだろう。もしかすると、古巣のフジテレビが出演依頼をするかもね。 横須賀高校に通っていた純一郎は、卒業前に東京大学を目指すが、あえなく受験に失敗。二浪の末に慶應義塾大学の経済学部入った。それもそのはず。浪人中の純ちゃんはガリ勉とならず、「息抜き」と称して結構、スキーや映画を楽しんでいたというから、帝國大学に入れなくても自業自得だろう。 だが、「慶應ボーイ」となった純ちゃんは一変する。「慶應横須賀学生会」で会長を務めていた純ちゃんは、OLや女子学生を集めてダンス・パーティーを開いていたというから、『フットルース』の日本版だ。国会議員と同じく、パーティー券を売りさばいて資金を集めていた。だが、プレイボーイとなった純ちゃんは、“ハメ”を外し過ぎたのかも知れない。「やっつけ」の度が過ぎたのか、純ちゃんは“ある慶應の女子学生”を“やって”しまったようだ。 この“強姦事件”は父の純也によって揉み消されたようだが、窮地に陥った純ちゃんは、急遽(1967年)、“避難場所”を求めてロンドンへ留学することに。たぶん、“熱気(ほとぼり)”を冷ますための逃避行だろう。父の死後、選挙に望んだ純一郎は、選挙公報に「ロンドン大学政治経済学部へ留学」と書いてしまったが、「ユニヴァーシティー・カレッジ・ロンドン(University College London)」には、政治学部があるけど、そこへ入学できる程の語学力と予備知識があったとは思えない。もしかすると、英語の習得コースみたいなクラスに入ったのかも知れないけど、「London School of Economics and Political Science」への留学なら嘘だろう。もし、沈黙したままだと、純ちゃんは小池百合子と同じタイプになっちゃうぞ。 ヤクザの選挙対策本部長 1969年の初出馬は、亡き父の「弔い選挙」となったが、祖父から受け継いだ地盤にもかかわらず、孫の純ちゃんは落選する。準備不足や公明党のネガティヴ・キャンペーンもあったけど、“当選”を“当然”のように期待していた支援者は愕然とした。そこで、母の芳江や姉の道子・信子は、「大先生(おおせんせい)」と呼ばれる竹内清(本名「青木清」)を頼ったそうだ。 竹内氏は1955年から横須賀市議を四期務めた後、1975年に神奈川県会議員に進出し、五期当選を果たした元県会議長。息子の竹内英明が父の跡を継いで県会議員になっている。この重鎮は横須賀政財界の“顔役”と目され、土木工事や建築、飲食店関係の者から圧倒的な支持を受けていた。日本各地の選挙区には、よく“この手の大物”がいて、地元の政財界に幅を利かせている。地元の有力者であった竹内氏は、小泉家の芳江と道子、信子らに懇願され、1972年に小泉純一郎の選挙対策本部長に就任したそうだ。 ところが、「後ろ楯」となってくれる選挙対策本部長には、更なる“後ろ楯”があった。何と、彼は指定暴力団「稲川会」の三代目である稲川裕紘(いながわ・ゆうこう/ 本名「稲川土肥」)会長が襲名披露式を行う際、来客名簿に名を連ねる関係者であったのだ。(上掲書、p.33.)というのも、「横須賀一家」の竹内氏は、稲川会の石井隆匡(いしい・たかまさ / 本名: 石井進)二代目会長と深い繋がりがあったからだ。 ジャーナリストの岩崎大輔は、竹内氏を取材すべく彼の自宅を訪ねた。岩崎氏は竹内氏の過去を尋ねたが、最初は否定していたという。(上掲書、p.46) だが、岩崎氏が諦めずに問い続けると、竹内氏は観念したのか、腕に彫った刺青を披露した。この老人はシャツの袖をまくり上げ、その腕を岩崎氏に見せると、「洗った、です」と答えた。(上掲書p.47) 確かに、竹内氏の腕には刺青があったが、その箇所は“ケロイド状”になっていた。竹内氏は「全部手術して、こんなの」と語り、刺青の除去を決意した理由を話す。 子供ができたし、夏になれば半袖も着たいし、海水浴に行きたい。こんな苦しいものはなかったですよ。(上掲書、p.48) Tattoo 111 確かに、刺青を彫った者でも、月日が経つと後悔する人は結構多い。不良だった女性でも、結婚や出産を機に、刺青を消そうとする。確かに、幼い子供を育てるようになれば、幼稚園の保母や他の母親の視線が気になるし、周囲の“噂話”も気になる。例えば、夏になっても長袖を着ていたり、いつも包帯を腕に巻いていれば、同じ幼稚園の母親達から「何か変!」と思われる。それに、我が子と一緒にプールに入れないとなれば、幼い子供は不思議そうに、「ママ、どうしてプールに入らないの?」と訊かれてしまうし、ビキニ姿の母親達からも奇異な目で見られてしまうだろう。だから、我が子を不憫に思う母親は、意を決して病院に赴く。“若い頃の愚行”を悔いた母親は、激痛に堪えて何度もレーザー治療を受ける。こうして色鮮やかな刺青は徐々に消えてゆく。だが、その傷跡はケロイド状態だ。 岩崎氏は竹内氏のヤクザコネクションと小泉家に及ぼす影響を尋ねたが、竹内氏は頑なに「選挙のことで石井さんに何か頼みに行ったことはない」と断言した。おそらく、直接、何かを頼んだことはないだろう。もし、純ちゃんに利益誘導とか瀆職行為の“疑い”があるとすれば、それは竹内氏を介した不正行為なのかも知れない。事実、地元の選挙や支援者への配慮は、姉の信子が仕切っているし、ドロドロした利害関係は弟の正也が担っていた。 純一郎より三歳下の「小泉正也」は、地元で「正也代議士」と呼ばれるくらいの存在だった。彼の役割は「兄貴を陰で支える代理人」といったものなんだろう。正也は表向き、兄の純一郎に仕える“私設秘書”となっていたが、裏舞台では「地元利権の調整役」となっていた。実際、「コンステレーション」を経営する正也には、日立金属へ公共事業を流す役目もあったらしい。颯爽とした純ちゃんには、二階俊博や竹下登といったベテラン議員とは違い、金銭スキャンダルとは無縁の“クリーンさ”があった。しかし、それは竹内清や正也といった“裏方”が資金調達に奔走していたからだ。 初出馬で落選した時も、純ちゃんは支援者に助けてもらっている。1969年から4年間、浪人だった純ちゃんは横浜市にある「三福不動産」の“幽霊社員”だった。建前として、福田赳夫の秘書となっていたが、三福不動産からは20万円の月給をもらっていた。当時、サラリーマンの平均月収が7万8千円であったから、かなりの厚遇である。(上掲、p.188) この不動産会社を経営する福住喜代治・社長は、亡き小泉純也の支援者であった。おそらく、落選中の新人を養うつもりで面倒を見てやったのかも知れない。 他の国会議員も似たり寄ったりだが、小泉家には親子代々、“直臣”や“陪臣”みたいな支援者がいるし、選挙を手伝う代わりに“報酬”をねだる経営者や業界団体も存在する。進次郎が太陽光発電の業者を支援したのも、小泉家の利権構造があったからだ。「小泉組」の歴史と一家の腐れ縁を考えれば、小泉政権で公共事業を請負い、“甘い汁”を啜った企業は1つや2つじゃないだろう。「クリーンな純ちゃん」から「セクシー進ちゃん」に変わっても、相続した利権構造に変化は無い。進次郎が総理大臣になる頃には、もっと“支援企業”とか“タニマチのオジさん”が増えているかも知れない。 「アメリカの忠犬」たる進次郎 昔、丸大ハムのCF(TV宣伝)に、「腕白でもいい、たくましく育ってくれれば!」というセリフがあった。でも、小泉家の床の間には、「馬鹿でもいい、総理大臣になってくれれば!」という家訓があるんじゃないのか? 霞ヶ関の高級官僚、とりわけ財務省や経産省のキャリア官僚は、劣等生の進次郎を小馬鹿にし、「あんなのが将来の首相なのか!?」と嘆く。ところが、米国のパトロン連中は指を数えて楽しみにしている。 「英語を得意」とする進次郎が留学先に選んだのは、フランクフルト学派の左翼が蠢くコロンビア大学であった。しかも、このボンクラ息子を指導した恩師が、日本政治を専門とするジェラルド・カーチス(Gerald Curtis)なんだからウンザリする。これまた唖然としてしまうが、進次郎が所属したとされるシンクタンクというのは、かの有名なCSIS(国際戦略研究所 / Center for Strategic and International Studies)で、素人の進次郎を預かるハンドラー(世話係)というのも、これまた日本学を専攻する「日本通」だった。その名はマイケル・グリーン(Michael Jonathan Green)。GHQの日本分析官からコロンビア大学の教授になったハーバード・パッシン(Herbert Passin)が生きていたら何と言ったことか。(パッシンはユダヤ人学者であったけど、カーチスとグリーンの血筋はどうなのか。彼らが話さないので判らない。) Gerald Curtis 1Koizumi Shin 233Michael Green 3 (左 : ジェラルド・カーチス / 中央 : 「小泉家」のお坊ちゃん / 右 : マイケル・グリーン ) 日本人の取材を受けたグリー氏は、進次郎を「大名の人質みたいなもさ!」と、笑って答えたが、たぶん本当に“将来の手駒”として育てていたのだろう。かつて、ローマ共和国の元老院は、ガリア人やゲルマン人の野蛮国を統治するため、酋長の息子をローマに招き、ローマに従順な指導者を育てていた。華やかな都でローマ風の教育を受けた若者は、「ローマの友人」として故郷に帰り、未開の同胞達を束ねる棟梁になっていた。米国のエスタブリッシュメントからすれば、日本人なんて極東の未開部族に過ぎず、進次郎はさしずめ「便利な馬鹿(useful idiot)」という扱いだったのかも。褒めそやして学位を与えれば、地元の有権者は「進ちゃん凄い!」と驚くし、アメリカ風の英語を喋れば、これまた「進ちゃん格好いい!」と大喜びだ。これじゃあ、コーラの空き瓶を手にして喜ぶアフリカのブッシュマンと同じだ。 一方、引退した純ちゃんは、出来の悪い息子を案じたのか、米国の石油業界に媚びを売ることにした。でも、引退した細川護熙と一緒に「反原発」を叫ぶなんて情けない。おそらく、ワシントンやウォール街に潜む大御所達に向けたメッセージなんだろう。「どうか、愚息の進次郎を何とぞよしなに・・・!」と言いたかったのかも知れない。小泉家の人別帳には、「家族と使用人と敵」しか記されていないというが、肝心の「庇護者」が抜けている。たぶん、ここに「アメリカの有力者」が記されているんだろう。 世襲議員の進次郎が総理大臣になった時、我々は「彼が何を政治理念にしているのか?」じゃなく、「どんな“勅令”を拝領しているのか?」を考えるべきだ。おそらく、テレビや新聞は待ちに待った「小泉劇場シーズン2」を大々的に取り上げるだろう。そして、テレビを観た地元の有権者や一般国民は、“爽やかで若い指導者”に歓喜するはずだ。しかし、この新鮮な首相が持ち込む“旋風”は、ちっとも“新鮮”じゃなく、“手垢にまみれた”利権構造の再構築か、“言葉を変えただけの旧式政治”に違いない。民衆政治(デモクラシー)は娯楽を与えながら民衆を苦しめ、いつの間にか国家を衰退へと導く。進次郎にも竹中平蔵みたいな“オンブお化け”が附くけど、「進ちゃ〜ん、素敵〜! 頑張ってぇ〜」と応援する国民には見えない。彼らに見えるのは、笑顔を振りまくクリステル夫人だけ。でも、老婆となった安藤優子が現れると怖いなぁ〜。 http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68951521.html
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