<「自民党を打倒する」>小沢一郎、次期衆院選で政権奪取宣言「思い切った経済政策で必ず勝てる」〈週刊朝日〉 http://www.asyura2.com/21/senkyo283/msg/441.html ※週刊朝日 2021年10月8日号 2021/09/29 08:00 筆者:亀井洋志 週刊朝日
世間は自民党の総裁選の話題で持ちきりだが、一方の野党も次期衆院選に向けて着々と準備を進めている。政権の座を追われて9年。野党共闘も進展を見せる中、今度こそ、新たな時代を切り開くことができるのか。自身3度目の政権交代を狙う立憲民主党のキーマン、小沢一郎氏を直撃した。
* * * ──結党から1年。政権交代の受け皿を目指し、立憲民主はじめ共産・社民・れいわの野党4党が9月8日に政策協定を結びました。 「いまこそ政権を奪取する最大のチャンスです。安倍・菅政権のコロナ対策の失敗は目に余る。昨年、新型コロナの流行が始まった段階で、僕は早く臨時病院をつくれと訴えました。各自治体にある体育館など公共施設にベッドを置き、症状の軽い人はそこで療養してもらう。全国民を無料で何回でも検査し、陰性の人は日常生活を送れます。そうすれば緊急事態宣言をくり返す必要はなく、多くの国民に迷惑がかからずに済んだはずです。菅(義偉)首相ばかりたたかれているが、初動の対策を誤った安倍(晋三)さんの責任は大きい。しかも任期途中で放り出した」 ──飲食店などが破壊的ダメージを受け、国民の不満は高まっています。それなのに、野党の支持率が伸び悩んでいるのはなぜでしょうか。 「自公政権とは違う思い切った政策を打ち出して、国民の気持ちに訴えるメッセージを発信しなければならない。けれども、大変残念なことにわが党内には、かつての日本社会党のように万年野党でいいや、みたいな意識を持っている人たちがいるのも事実です。政権を取って国民のための政治を実現させようという意識が薄いのです。だから、支持率がなかなか伸びないのです」 ──4月の衆参三つの補選・再選挙では全勝し、横浜市長選でも擁立した候補が当選するなど一定の成果は上げています。 「それはいかに自公への批判票が多いかということです。例えば、横浜市長選では投票率が前回よりも約12ポイント上がりました。それだけ浮動票が増え、現政権への批判票となったのです。“敵失”だけで風を恃(たの)んでいるようじゃダメです。2009年9月の民主党政権誕生時に、僕は『国民の生活が第一』を掲げた。あの時のように、自分たちで風を巻き起こさなければなりません。国民の支持を背景に政権を取る意欲がない政党は、政党じゃない。枝野(幸男)代表には勇気を持って衆院選に挑んでほしい」 小沢一郎氏 (撮影/写真部・高野楓菜)
──自民党の総裁選が注目されています。18日の日本記者クラブでの討論会をどう見ましたか。 「党内議論が活発化しているとは感じられず、盛り上がりを欠きました。河野太郎氏は一定の年金額を保障する『最低保障年金』の創設に言及しました。財源は消費税を増税して充てるという。09年に民主党政権が最低保障年金を提案した時、給付額を月7万円とし、高所得者への給付を削減・廃止しても約13兆円かかると試算した。当時、自民党はさんざん批判したが、今回、河野氏は具体的な年金額も、消費税率をどれくらい引き上げるかも明言しませんでした」 ──河野氏は脱原発が持論だったのに、原発再稼働も認めています。 「やはり脱原発を公言している小泉進次郎氏も河野氏の支持に回っていますが、そういう矛盾点を他の候補者たちはなぜもっと強く問いたださないのか。岸田文雄氏もアピール力が弱い。天下を取ろうという人たちなのだから、年金改革も原発も曖昧にしていていい問題ではありません。国民も呆れているのではないでしょうか」 ──森友・加計問題や「桜を見る会」など政権を巡る疑惑について再調査を明言しているのは、野田聖子氏だけです。 「まったく反省がないし、僕はいまの自民党で改革はできないと思っています。誰が総裁になっても同じでしょう。こんな体たらくでは自民党に支持が集まるはずがないのですが、一方の野党も影が薄いとなると、国民の政治不信につながります。そうなるといよいよ民主主義の危機です」 ──しかし、新総裁が選出されると、「ご祝儀相場」で自民党の支持率が上がる可能性があります。 「日本人は情緒的でお人好しのところがある。目先の看板が変わるだけで、何かをやってくれるんじゃないかと期待感を抱いてしまいがちです。10月4日に臨時国会を召集して首班指名、その後は党役員人事と内閣の閣僚人事です。毎日、与党のニュースばかりで、メディアは自民党の広報担当のようになっています」 ──菅さんが相手のほうがよかった? 「菅政権のままであっても、そう簡単に勝てるものではない。自民党というのは、こういう危機的な時には底力を発揮します。いくら菅首相の人気が落ちても、個々の衆院議員の選挙が弱くなるというものではありません。まして、総理が新しい顔になると野党は大変です」 ──立憲と共産はまだ約70カ所の小選挙区で候補者が競合しています。 「共産党との選挙協力は不可欠です。09年衆院選では、民主党単独で勝てました。例えば、東京では25小選挙区のうち21選挙区を制することができました。しかし、いまの状況では、共産党に全国で候補者を立てられたら非常に厳しい」 ──国民民主党や連合は、共産との共闘路線から距離を置いていますが。 「野党が協力して、候補者を一本化すれば勝てる選挙区はいくらでもある。要は、自民党に選挙で勝って政権を取る気があるのかないのか、どっちなんだということです。国民民主や連合の主張をみていると、共産党が嫌いだから政権もいらないという話になってしまっている。これまでの仕組みを変えようとすれば、軋轢(あつれき)が生じるのは仕方がない。枝野代表には、あちこち気兼ねしないで思い切ってやってほしい」 ──衆院選の勝算は。 「このままでは勝てません。いまこそ大胆な政策を掲げるべきです。すぐにでも着手すべき問題は、コロナ対策だけではありません。いま、日本の非正規雇用の割合が雇用者全体の約40%を占め、相対的貧困率も高まっている。日本の国民1人当たりのGDP(国内総生産)は、かつてOECD(経済協力開発機構)諸国で2位でしたが、近年は20位前後にまで低迷しています。この状況を変えるために思い切った経済政策を打ち出せば、必ず勝てます。僕らには次の次を狙うという選択肢などない。今度の衆院選で政権交代を実現し、国民の生活が第一の政治を行うという気概こそが、国民から求められているのです」 (本誌・亀井洋志) ※週刊朝日 2021年10月8日号
|