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マルキシズム Vs. アナーキズムや「最終決戦」について
http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/168.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 05 日 23:19:47:

(回答先: Re:「最終決戦」ですね 投稿者 如往 日時 2003 年 6 月 05 日 07:39:35)


如往さん、お久しぶりです。


如往さん:それにしても、取り分けアングロサクソン・アメリカンを飼い馴らすにはどうしたらよいのでしょうか。武器と敵を造ることでしか自らの存在価値を示すことができない彼等を飼い馴らすためには、先ずはパトロンである世界経済支配層が彼等を傭兵(世界治安警察)とすることを止めさせなければならぬでしょう。では、どうしたら止めさせることができるのでしょうか。例えば、世界経済支配層とその子孫達の特権や安堵を保障することで足りるのでしょうか。
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この部分が「最終決戦」の様相を決定する要素なんでしょうね。

個人的にも、楽観主義と悲観主義が錯綜しています。

楽観主義の根拠は、米国という国家権力を動かしている人たちや世界経済支配層も単純な破壊志向や強欲主義ではないだろうから理や利で論議する余地はあると考えていることにあります。

悲観主義の根拠は、先進諸国の多くの人たちが、近代的価値観(民主主義や経済的自由主義)を普遍的なものだと錯誤し、与えられた現実のなかでなんとか生存を維持し生存の楽しみを見出していると受け止めていることにあります。(生存する意義を見出せなくなった人は死を選択したり絶望に陥ります)

楽観主義の根拠と悲観主義の根拠がともに現実のものであれば、世界的な経済不況の過程を通じて、社会主義や福祉を標榜した「世界帝国」の確立に向かっていくと思っています。
(“無駄飯食い”の一部抹殺や“反乱者”の抑圧は行なわれますが、国家が強制する隷属者の相互扶助で無所得者の生存は維持されます)

楽観主義の根拠が現実のものであり、悲観主義の根拠が覆れば、「最終決戦」は穏和的なものになるはずです。

悲観主義の根拠が覆り、楽観主義の根拠が妄想であったならば、「最終決戦」は苛烈なものになるかもしれません。(イデオローグや世界経済支配層が自ら戦うことはないので、苛烈さは傭兵の動きに左右されます)

何にしても、悲観主義の根拠を覆すことが肝要だと考えています。

「世界経済支配層とその子孫達の特権や安堵を保障することで足りるのでしょうか」については、安堵は保障されるはずですが、特権は剥奪されるでしょうね。
そして、特権を剥奪されるほうが望ましいと判断される意識情況に持ち込められれば大団円です。

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如往さん:アントニオ・ネグリが説くマルチチュードが覚醒するとしたら、それは最早マルキシズムではなく、おそらくはアナキズムでありましょう。すなわちグローバリズムに関する対抗軸はアナキズムに覚醒したマルチチュードをおいて他にはないと思料しています。
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19世紀後半の第一インターナショナルが甦るようなテーマですね。

マルクス−レーニン派共産主義は、集産主義を基礎にし、抽象的共同意志に個人を隷属させるものだと受け止めています。(個人はプロレタリアート階級という無名称として存在することになります)
そして、抽象的共同意志を決定するのは位階型革命組織の頂点に立つ人になり、“共同意志”を受け入れない個人は、“異端者”・“政治犯”・“狂人”として取り扱われます。
このような意味で、マルクス−レーニン派共産主義がマルチチュードや「開かれた地域共同体」に向かうことはないでしょう。

ざっくりと言ってしまえば、集産主義を基礎にする限り、支配−隷属という関係性が必要になります。
(指導的人物の存在を認めないという立場ではありません。このあたりは、カソリックの聖職者とイスラムの宗教指導者の違いをイメージしていただければ幸いです)


アナーキズムについては、アナーキズム故に百花繚乱の考えという印象を持っています。
アナーキズムの共通基軸は、反権威=非隷属の自由な個人を基礎にした相互主義的連合社会をめざすことだと思っています。
生産手段に関しては、バクーニンやクロポトキンのような集産(共有)主義とプルードンやシュティルナーのような個人所有尊重に分かれています。
個人の位置付けや家族制度そして社会秩序の考え方も様々です。

無神論者が多い勢力を識別するのにおかしなたとえですが、マルクス−レーニン派共産主義はユダヤ教ないしカソリックやオーソドックス(正教会)で、アナーキズムはグノーシス派やマニ教そしてポゴミール派やカタリ派という見方をしています。
世界観(創造論や歴史動因)はともかく、位階組織の是非、信仰の主体性、他者(異端や異教)に対する寛容性などによる判断です。
(福音派プロテスタントは、二つの中間に位置するものです)

持論の「開かれた地域共同体」に近いのは、プルードンなのかもしれません。
「財産とは窃盗である」と唱えたプルードンは財産と生産手段の個人的所有を峻別し、個人の自由を確かなものにするためには、生産手段の個人的所有が不可欠であると考えていました。近代法的意味の所有概念なのかは別として、生存維持手段の保有なくして自由はないと考えています。(ここでいう自由は、権威や支配者に意に反して隷属しないという意味です)

「近代」が終焉を迎えようとしている今、マルキシズムやアナーキズムという近代的イデオロギーを持ち出す(再構築する)ことがふさわしいとは思っていませんが、アナーキズムが語ってきたなかに重要なタネが含まれていることは確かであり、20世紀初頭にはテロリズムや放埓と同義語にまでなってしまったアナーキズムの見直しは大きな意義を持っていると思っています。

それと同時に、変革運動の有効性を考えたときは、権威的位階型政治組織による近代国家の乗っ取りのほうが“合理的”と言えるかもしれません。
(自由な個人の連合でそれを達成するのは無理とは言いませんが困難です。共通の目的意志(グランド・デザイン)を持つ自由な個人の連合を構築すること自体が、現在の教育やメディア状況に照らせば、気が遠くなるような持久戦になります)

「世界帝国」の確立後に「近代」を終わらせるほうが合理的なのかな、とも考えています。(ある種の「世界同時革命」ですからね)

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如往さん:しかし、その最終決戦は現実にあるのだろうか、それでも「永久革命」はその名の如く継続していくのであろうか、あるいは人類は桎梏をも引き受けることができぬままそう遠くはない未来に最も無惨な事実を手にすることになるのだろうかと、そのような諦観に囚われた予測が脳裡を駆け巡ります。何れにしても、人類が真実を打ち立てられるのはその後のことであろうと推察しています。
私自身は「永久革命」続行の立場ですが、あっしら氏はどのように考えられているのでしょうか。
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「ポスト近代」は、“たいそうな世界”ではなく、ある意味で“お気楽な世界”だと思っています。

そう思っているので、困難なのは、「ポスト近代」の構築ではなく、「近代」を終わらせることだと考えています。(トルストイのような宗教的アナーキズムを現実化するのは至難で、「永続革命」が求められると思いますが...)

ひとは、生まれることになる契機から相互依存関係であり、生れ落ちて死ぬまで相互依存関係のなかで個を形成し生存を維持していくものです。
そうである限り、アナーキズムが唱える相互扶助や連合という意識は、動物の種と同じように、人の本性であるはずです。

自分(家族)や相互扶助のための生存維持活動を担える人はそれを行ない、それ以上に対象的活動をしたい人はそうすればいいし、できるだけ“自堕落”な時間を過ごしたい人はそうすればいいと考えています。

近代的産業の行き詰まりが認識されるなかで、「近代」の価値観や制度の是非が激しく問われることになるのは間違いないと思っています。(これが「最終決戦」の本義です)


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