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Re:経済学の古典的名著の作者?エセ科学の権威者なのか?トルストイの手紙より
http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/210.html
投稿者 ジャック・どんどん 日時 2003 年 6 月 10 日 04:15:01:V/iHBd5bUIubc

(回答先: 「社会ダーウィニズム」はクロポトキンが言うようにダーウィン理論の“誤読” 投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 08 日 16:28:42)

あっしらさん、いつも丁寧な回答ありがとうございます。毎回、ピントが外れまくって申し訳ありません。人は、長年教え込まれて、学習して身につけた理論、事実が、実は全くのデッチ上げだったとすぐに方向転換できるほど柔軟ではないようです。そうしないと、『これまで、わしの信じていたことは何だったんだ。いやいや、これまで長年費やした年月、苦労を考えると、わしの考えはやはり正しいのだ』と信じないと平常の精神状態を維持できないじゃないでしょうか。それまでに費やした年月・エネルギーが無駄に帰すのですから。そういうことから考えて、現代主流になっている、近代的価値観から抜け出すには相当な摩擦、エネルギーが必要になって当然ですね。今では経済学の古典的名著が、当時の植民地政策、階級支配を正当化するためのプロパガンダのためのイカサマ経済理論であることを、アングロサクソン流の弱肉強食の経済思想から自由だったロシアのアナーキストだけでなく、ロシアの保守主義者・君主主義者も同じ感想をもっていたのです。近代的価値観・経済思想にどっぷりつかってしまい、曇りのない目を失ってしまった今時日本の一般人はもとより、知識人、経済学者ですら、マルサスの『人口論』を古典的名著として奉っているのは滑稽な感じがします。(私も、残念ながら一般人のひとりです)

トルストイは、マルサスのことを徹底的にこきおろしています。マルサスのことを、貧困・競争・個人主義を正当化しようとする一人のとんでもない悪い凡人として描いています。

『その著作はすべて忘れ去られ、くだらないものの中で最もくだらないものとみなされている一人のまことに哀れむべき著作家が、人口に関する論考を残しており、その中で彼は、生計の手段と釣り合わないような人口増加に関する虚構の法則をでっち上げている。この虚構の法則を,この著作家は、いかなる根拠にも基づかない数学的な公式によって取り囲み、そして、それを世界に向けて送り出す。彼の仮説のつまらなさと馬鹿馬鹿しさからすれば、誰の関心も引かず、同じ著者のその後のすべての作品と同じように忘却のふちに沈んでいった思うだろう。しかし、層はならなかったのだ。この論考を記したこの雑文書きは、たちまち科学の権威者になり、ほとんど半世紀の間、その高い地位を維持したのである。』

半世紀はおろか、一世紀以上も維持してることになるのかも。トルストイにとって、マルサス理論の長期にわたる人気は、科学に対する偏見の影響を立証するものでした。弱く、しかもあやまてる大衆はただ、『「科学」という押し付けられた言葉を、自分たちの見方を正当化するために」使うだけなのだ。マルサス主義の実際的な帰結は、抽象的な「科学」にではなく、堕落した知識人の本能の中に、その起源があることを明らかにしている。

『この理論から直ちに生じてくる推論の結果は以下のようになる。すなわち、労働者階級の悲惨な状況は、人間とは何の関わりのない不変の法則に合致するものであり、この件に関して誰かが咎められなければならないとすれば、それは腹を空かした労働者階級それ自身である。食べさせるものがないというのがわかっているときに、なぜ彼らは愚かにも子供を生んだりするのか。そして,有閑階級にはありがたいこの推論は、それなりの成果をもたらした。すなわち、あらゆる学識者が、このような推論の誤り、全くの恣意性、そして証明不能性を見過ごした。そして、いわば多数の教養アル有閑階級の人々が、この理論を熱狂的に歓迎し、それに科学の真理という刻印を授け、それを半世紀もの間引きずりまわしたのだ。』

ダーウインはこれと同じ価値観を生物学に導入した。マルサスの見方を自然にまで拡張することによって、ダーウインは人間の「怠惰と残酷さ』をさらに正当化した。トルストイはダーウインのマルサス主義を暴露したロシアの思想家・生物学者を賞賛した。『アンナ・カレリーナ』では、主人公が、ダーウインの見解がもたらす道徳的な帰結に対してあまりにも辛辣な鋭い攻撃を
浴びせているらしいのです(読んでないので、すみません)。

トルストイの最後の手紙には、子供たちあてに次のように語られていた。

『ダーウィズム・進化・及び生存闘争に関してお前たちが知っている考え方は、お前たちの人生の意味を説明しないばかりか、お前たちのなすべきことの指針を示してもくれないだろう』と警告している。

クロポトキンは、マルサス主義を「富を所有する階級の密かな願望」を表すエセ科学的なデッチアゲだとこき下ろしてますが、『相互扶助論』では説明する価値もないものとみなしています。トルストイも同様のことを述べています。

現代生物学・進化理論を武器に人間の道徳の起源を解明しようとした傑作『徳の起源』マット・リドレー著(翔泳社)がおすすめです。「人はなぜ助け合うのか?」、冒頭の、クロポトキンの監獄からの脱走劇に思わず引き込まれることでしょう。文化人類学データの錯誤ぶり、経済理論、優生学の起源までかたられています。

またまた、ピンとはずれになってしまいました。
権力者側から考えれば、『「国家さえ、宗教さえ、民族さえ、複雑な経済システムさえなければ−−−さえなければ、戦争もテロも、経済的混乱もなく、安全な、安定した世界が訪れるのに。」と民衆が渇望する』時こそが、新世界帝国を完成させる一大チャンスであり、その時こそが、最終決戦に違いありません。それに敗れれば、世界統一政府、統一通貨、統一宗教、そして、安定した、予定調和の、まったくオモしろない、貧乏人同士の相互扶助で成り立つ究極の福祉専制の社旗主義ワールドが訪れてしまうのでしょうか。もちろんこの新世界帝国では、強権的な独裁政治など必要なく、民衆が民主主義という錯覚によって維持される、とんでもない世界なのでしょうか。
ユートピアになってしまうんでしょうか。

生物進化思想の錯誤

生物進化思想を自分たちの経済・社会システムを正当化するため悪用する方法について

@自然界が弱肉強食の競争世界であることが、真実であるかのように科学的に粉飾する。
A人間の経済社会も、自然界と同じ原理(弱肉強食)で働かなくてはいけないと民衆(知識階級も)に信じこませる
B。@・Aを確実にするために、科学業界、学会、新聞、マスコミ、出版関係には、@・Aについて大いに宣伝する御用学者を有名大学のポストに付け、大衆(知識階級)に対して権威付けを行う。
C子供に対し、低学年から、教科書・マスメディアを通して刷り込みを行う。

以上、ダーウィン教(社会的ダーウィニズム)も完成です。ダーウィン教を信仰しないものに対しては、『お前は科学を信じないのか、』と罵倒されてしまうので大変です。(いつから、科学は、信じる対象になってしまったのでしょうか?)
ほんとは、@の仮定自体からして大いに疑義の出るところで、2重、3重の錯誤を自然界に対して行ってしまっている可能性があります。
これまた、近代的価値観の再検討でしょうか。社会的ダーウィニズムだけでなく、『富を所有する階級の密かな願望』を具現化するためのエセ科学的なデッチアゲ経済・社会理論も、じっくり検討してみれば山ほどあるかもしれません。


長々と書いてしまいました。どうも、まとまりがなくすみません。

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