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(回答先: Re: レス1:それにしても腑に落ちない点 投稿者 PBS 日時 2002 年 5 月 16 日 23:57:51)
PBSさん、こんばんわ。
デフレ下にあることを考えると、日本国債は既に限界値を超えていると思っています。
企業部門は金融資産的にはマイナスで、家計部門も1400兆円とか言われていますが債務を勘案すると800兆円くらいの金融資産です。
貯蓄の正味は、500兆円あるかどうかで、今年度中には国債発行残高のほうが上回ることになると考えています。
(政府債務全体の670兆円でみれば、とっくに貯蓄不足です)
この意味では、日本経済は既に債務超過状態に陥っていると言えます。
>金利の引き下げ余地はなく、財政出動も国債暴落阻止という大目標があるために使う
>ことができない
金利を引き下げることが、デフレ脱出だと考えているところに根源的な誤りがあります。不況下で金利を下げれば、コスト軽減効果でさらにデフレが進みます。
>どうもいろいろ考えていくと、とりあえず今のところ日銀による国債の買いきりを当
>面進めても直ぐにハイパーインフレになるような状態でもない。むしろデフレを解消
>し穏やかなインフレ基調に導いた方が都合がいいということらしい。となると、まだ
>まだ、国債を発行して財政出動する余裕もあるわけで、なのになぜ、小泉総理は「財
>政出動も国債暴落阻止という大目標があるために使うことができない」と考えてしま
>うのか。
発行額として問題になる国債は、1年超の長期もので5年や10年が高い比率を占めています。今年発行されるという100兆円は、長期国債のみで短期国債は含まれていません。そのうち70兆円は借り換え債ですから、預貯金や保険料が国債から日銀券に変わる役割を果たすだけで(すぐにまた国債に変わることになりますが)、財政支出には向けられません。
財務省は、とりあえずの期間ではなく、長期的な視点で国債問題を捉えて抑制に動いたと思います。
現在のデフレ基調をインフレ基調に変えるための追加財政支出は、従来型の財政支出であれば雑ぱくに言って4、50兆円ほど必要になると思われます。
効果的にインフレ基調にするのであれば、その分を減税に充当して個人に還元するのが合理的です。(おそらく税金0+還付金というマイナス税金になる)
公共事業などでの企業向けの財政支出であれば、産業連関的に日銀券が動き、相当部分が利益・債務返済・納税というかたちで銀行や政府に還流します。(操業率や生産性の上昇には貢献しても人件費はそれほど増えないでしょう)
個人の可処分所得が40兆円増えれば、少しは違うかもしれません。
80%が消費に回ると想定すれば32兆円で、GDP民間消費支出290兆円の1割を超える金額になりますから、相当な物価上昇圧力になると考えられます。
しかし、これも、短期的な祭で終わり、ゴミの山=国債が築かれることになります。結局は、利益・債務返済・納税というかたちで銀行や政府に還流するからです。
単年度限りの40兆円個人減税ということがわかっていれば、企業も、残業増加や輸入拡大で対処し、設備投資を行ったり人員増強をはかってまで生産力を増強することはないと思われます。
このような減税策は、同じことなんですが、財政支出の増大よりも危険なことだとみなされ、“国債不安”や“円信用不安”を噴出させることになると思います。
米国というか近代経済の支配者は、日本経済を“生育”の対象から“刈り取り”の対象に切り換えているようです。
そのために、日本経済を立ち直らせる処方箋を封じていると思われます。
「デフレ不況」を継続させ「不良債権処理」を推し進めることで、金融資産・不動産・企業などのなかからおいしいものを破格値で手に入れるという狙いです。
多くの国民は、消費税や所得税のかたちで“相互扶助”して生活すればいいというものです。
小泉首相がそのような意向を了解しているとは思えませんが、政策立案者の一部はそのような意向に沿って動いていると思っています。