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(回答先: さらなる反論 投稿者 楽観派 日時 2002 年 5 月 30 日 20:35:06)
楽観派さん、こんにちわ。
● 金の価値について
金の使用価値は装飾用と電子機器を中心とした工業用で認められていますが、金の価値(経済学的)も、掘り出され精錬されることで生産されるものですからきちんと存在しています。
この価値には、美しいとか、魅惑的だとか、腐食しないとかといった意味は全くありません。ただたんに、労働を通じて生産されたものという意味での価値です。
(その労働も、実際の労働ということではなく、抽象的な労働と考えてください。労働を経なければ、ゴールバーや金貨はできないという意味で解釈してもらえればいいと思います)
金が同じ物理特性だとしても、空気と同じように自然に存在する無尽蔵のものであったり、それを消費しなければ人が生存できないものであれば、金が貨幣になることはなかったはずです。(消費的使用価値が低く、腐食せず、細分化が容易であることが金が貨幣になった主要条件です)
ほんとうに金が“無価値(価値観的意味)であれば、鉱脈にある金が掘り出され精錬されることはなかったでしょう。
● 管理通貨=ペーパーマネー制度
「誰かが”金に何の価値がある?”といえばそれでおしまい」というのは、ある意味では正しいことだと思いますが、それは、必需品以外の様々な商品のみならず紙幣=お金にも言えることです。
お金に何の“価値”(価値観的意味)があるかと問えば、多くの人は、それで様々な商品やサービスが手に入るからだと答えるでしょう。(お金儲けが好きな人は、それに加え、さらにお金を手に入れる手段として使えると答えるはずです)
現代においてお金の“価値”がたいへん高いのは、ほとんどの人がお金なしでは生存さえ維持できない条件に置かれているからです。
自分の身体的諸能力を売ることでお金を稼がなければ、自分と家族の日々の暮らしが成り立たないという状況に置かれているからです。(江戸期のように自営農民が多数を占めていれば、お金の“価値”はずっと低下します)
経済論理的に言えば、何ら価値の裏付けがない紙幣が価格尺度・支払い手段・富の蓄積手段になっている紙幣制度のほうが驚くべきことです。(71年以降、国内・国際を問わず通貨は価値の裏付けをなくしたままで、それで大きな障害をもたらさずにきました)
これは、ほとんどの人がお金なしでは生きていけない状況にあれば、金が裏付けになくても、価格尺度の役割を果たし強制通用力がある紙幣で経済が動いて行くことの証左でもあります。
国際交易の拡大と日常化が、国内のみならず国際支払い手段としての紙幣(兌換停止後)を許容させた要因だと考えています。とりわけ、最大の貿易国である米国のドルが国際基軸通貨であったことが大きな支えになったと思っています。
● 世界経済の激変
世界通貨と金の貨幣的復権を主張する背景は、今後世界経済が激変すると考えていることです。
具体的には、戦争はともかく、「世界同時不況」と「米国政府債務のデフォルト」です。
「世界同時不況」に陥れば、国民レベルからの圧力で保護主義が強まります。EUはEU域外からの輸入をできるだけ制限しようとし、米国を中心としたアメリカ経済圏も同様な動きに出ると考えられます。EUは、北アフリカ及び中東に触手を広げ、米国は、南米に触手を広げることになるでしょう。
それぞれのブロックや国家が、域外への輸出拡大をはかりつつ、域内への輸入を抑制しようとします。(国際競争力がある主要経済主体は、そのような動きに反対ですが、国民レベルの強い要請でそうならざるを得ないでしょう)
このような動きで大きな痛手を受けるのは、日本や中国をはじめとするアジア諸国です。
今後の世界経済は、国家→ブロック→世界という重層的な構造が強まると考えています。
ブロック化ができていないアジアは、右往左往し、アジアのブロック化を志向したり、個別的に米国やEUに擦り寄っていくといった動きを見せると思います。(米国やEU諸国も、アジア拠点を使って対外収益の拡大をはかろうとします。アジア拠点はアジア諸国への輸出や自国経済ブロックへの輸出にも活用されるでしょう)
「米国政府債務のデフォルト」が起きれば、ドルの信認が一気に低下します。
日本など対米債権を多く保有している国は、債務に対する利払いや返済が行われない上に、これまでのように米国に輸出ができないというダブルの痛手を被ります。
こういう状況になっても、対米金融投資を続けるという愚かな投資家はいないはずです。それは、ますます対米輸出が減少することを意味します。
世界経済のこのような状況は、1929年のNY株式大暴落を契機にした第二次世界大戦前の世界状況に似たものですが、戦争によって解消できるものではありません。
自国経済主体の商品販売市場を拡大するために、軍事力を背景に政治的支配地域を拡大するという政策は採れなくなっています。
「世界同時不況」と「米国政府債務のデフォルト」がもたらす政策や経済活動の変化が、世界経済(個々の国民経済)をさらに悪化させることになります。
● 救世主としての世界通貨
「世界同時大不況」が続けば、様々な解決策が提示されることになるでしょう。
そして、論議は、国際交易や国際投資の停滞をどうやって解決するかに絞られていくはずです。
ブロック化の問題・ドル信認低下の問題に焦点が当てられ、交易・投資ルールと新世界通貨が俎上に上ると考えています。
ユーロや円がドルに代わる国際基軸通貨になれないことは自明です。それでも、国際交易を続けなければ、近代経済システムそのものが存続できません。
米国政府がデフォルトしたり、米国が経常収支が厖大な赤字を続けているからと言って、米国の主要経済主体が、富を失ったり、赤字に落ち込んでいるわけではありません。
米国籍の主要経済主体から見れば、米国国民も、米国政府も、自分たちの資本(富)を拡大するための手段でしかありません。(彼らは、ドル高を利用して、生産拠点をメキシコやアジアに移したり、世界中で投資活動をすることで、資産を増大させてきました。米国正規の経済主体が外国で生産した商品を米国に輸出しても、貿易赤字は増大します)
米国籍の主要経済主体は、現在まで蓄積してきた富が保全され、今後も増大できる条件であれば、たとえドルがなくなろうが米国政府の権限が縮小されようがいっこうに構わないのです。
米国の中央銀行であるFRBも、民間資本であり、主要経済主体です。
新世界通貨制度が金を裏付けにした通貨を発行すると考えるのは、その発行主体が超国家だからです。
ドルであれば、米国で強制通用力を持っているので、米国で商品を買ったり投資に使うことができます。しかし、超国家が発行する国際通貨には、そのような保証がありません。そうであれば、やはりなんらかのか知的な裏付けが求められることになるでしょう。(現在、最強の軍事力を誇っている米国が、当初は賛同していながら、ある時点でそのような紙切れは受け付けないと言い始める事態を想像してみてください)
また、どれだけの量を発行し、どれだけの量をどこに割り当てるかということも問題になります。
発行及び割り当ての根拠を人口(中国・インドで40%)やGDP(米国・日本で40%)に求めるのは論外になるでしょう。
やはり、各国の中央銀行が保有している金をベースにすることで落ち着くと考えます。
各国の中央銀行が保有している金を供出し、それの対価として、新世界通貨を受け取り、自国通貨を持つ“内国民”にレートを含む特定条件で新世界通貨を売り渡すことになるのではと予測しています。
金の保有高が必要な国際通貨に較べて少ない国は、新世界通貨発行元から借入をすることになります。(より条件がシビアになるIMF融資と同じものだと考えてもらえば結構です)
世界通貨の発行元は、商業銀行と同じように、貸し出しで利益を膨らませていきます。
国際投資については、これまでのドルやハードカレンシーが新世界通貨に代わると考えればいいと思います。(直接投資ではなく金融投資は、今もそうですが、新世界通貨の自由な持ち込みと持ち出しが許されていない国に対しては行われなくなると思います。「後進国」は、直接投資を呼び込み、それを自国経済主体の国際取引に使いたいと考えるでしょう)
「エネルギーと考えます」については、まとめて再度投稿されるのを待ちたいと思いますが、消費されてしまうものであれば、富の蓄積手段という通貨の役割からその裏付けにはならないと考えています。
このような新世界通貨も過渡的なもので、その行き詰まりのなかで、世界通貨の発行元の権限強化(軍事機構を保有する世界政府機能を含む)や世界通貨の国内通貨化が俎上に上っていくと思っています。
何にしろ、「世界同時大不況」という災厄に見舞われることで、世界通貨は現実化されることになるでしょう。苦境に置かれた人たちは、藁にもすがりたいものですから...