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(回答先: あっしら経済学批判 投稿者 せいがく 日時 2002 年 11 月 06 日 07:17:35)
せいがくさん、こんばんわ。
「あっしら経済学批判」というタイトルをいただきましたが、経済学という論理体系を築こうとしているのではなく、資本主義経済の“誤読”で成り立っている経済学の批判を行っています。
「微温主義者」という評価をもらい、本人もそう自覚していますから、せいがくさんの批判内容は十二分に理解できるものです。
せいがくさんの指摘に即しながら簡単に思いをまとめます。
>別の言葉で言うと、資本主義を認め、現行体制を革命的に変えるつもりがないなら
>ば、大企業家達の行動は批判できないということであり、もっと言えば、あっしら氏
>は率直に資本主義批判をするべきなのではないか、ということである。
“革命”を打ち出していないことから提起された批判だと思っていますが、せいがくさんがいみじくも提起されているように、「資本主義下における企業は何のために存在するか。私的に所有される財産をその活動によって拡大するためである。そのことを是認する社会が資本主義社会である。即ち、企業が産み出す付加価値の内、できるだけ利益(私有財産の増加部分)を極大化し、原材料や人件費などのコストは抑えようとするのがその基本原理である」のであれば、私の論はそれに反するものですから“資本主義批判”になります。
「大企業家達の行動は批判できない」ということについては、どちらかと言えば政府を強く批判しており、企業経営者に対しては、そのような行動に走る資本の論理は理解できるとしつつ、マクロとミクロの関係をきちんと考えれば、それでは「私的に所有される財産をその活動によって拡大する」ことができないという資本主義的観点から批判しています。
率直に言えば、「次なる革命」(経済社会とその統治制度が変更されるという意味)は、“政治革命”ではなく“文化革命”が先行すると考えています。
言い換えれば、ある政治勢力が、善と考える理念や好ましいと考える経済的政治的関係性を実現するために政治権力を奪取し、その政治権力を梃子として社会関係の在り方を変えていくという一般的持たれている革命イメージではなく、多数派の人々の理念や価値観が変わることで、政治権力の在り方を含む人々の社会的関係性が変わっていくものになると予測しています。(革命が起きたと気が付かない人もいるかもしれません)
そのような「文化革命」が起きる契機は、これまで肥大化させてきた生産諸力を社会にとって有効に使えない経済状況が日常化してしまうことだと思っています。(この間の日本経済を思い浮かべてもらえればいいでしょう)
人々の意識は現実規定的(保守的)ですから(追い詰められると時として死のジャンプを選択しますが)、現在の価値観や経済システム論理に即して、その行き詰まりを説明しながら打開策を提示したほうがスムーズな移行ができるのではと考えています。
日本経済は、現状であれば、合理的な政策を採ることで「私的に所有される財産をその活動によって拡大する」条件を持っています。
それを活かしながら経済再生を行うことで、持論及びめざす経済社会に対する理解を深めてもらう契機になればラッキーと思っています。
現状の日本経済、そして今後予測できる世界的なデフレ不況をどういう政策で克服するかが、歴史の大きな転換になると考えています。
率直な資本主義=「近代経済システム」批判は、末尾に添付している参照先リストで行っているつもりです。
>あっしら氏の考えを煎じ詰めると、企業活動によって産み出される付加価値の内、利
>益に回るポーションは限りなくゼロに近づけ、賃金や原材料などに多くの貨幣を費消
>するのが望ましい、それなくして経済を正常化することは不可能である、という主張
>である。
利益に回すなというより、獲得した利益を使わずにしまい込むことをゼロに近づけるように主張しています。
「賃金や原材料などに多くの貨幣を費消するのが望ましい」というのも、物理的な供給量を増加させないというのが大命題ですから、賃金を増加させろとのみ主張しています。
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※ 参照書き込みリスト
【世界経済を認識する基礎】
1)『【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:基礎 〈その1〉』から〈その7〉までの前半部分。
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/903.html )
2)『【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:「近代経済システム」における金利と物価の変動 〈その8〉 前半部』から〈その14〉までの後半部分。
( http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/108.html )
『【世界経済のゆくえ】世界経済にとって70年代はどういう時代だったのか』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/787.html )
『【世界経済のゆくえ】経済支配層は70年代に何を考えたのか』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/788.html )
『【世界経済のゆくえ】産業資本的利益育成から金融資本的利益収穫へ』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/789.html )
『【世界経済のゆくえ】80年代以降の金融資本的収穫を支える価値観と経済政策』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/791.html )
『【世界経済のゆくえ】日本経済が突きつけたマネタリズムへの“最後通牒”』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/792.html )
『【世界経済のゆくえ】「定常状態」あるいは「歴史段階的動態均衡」という経済状況』
( http://www.asyura.com/2002/hasan12/msg/1190.html )
『【利潤なき経済社会に生きる】「利潤なき経済社会」の“経済論理” 〈その3〉』
( http://www.asyura.com/2002/hasan13/msg/948.html )
『「利潤なき経済社会」におけるストック・“報酬”・税』
( http://www.asyura.com/2002/hasan13/msg/995.html )
『「利潤なき経済社会」にイメージされているようなたいそうな社会ではありません』
( http://www.asyura.com/2002/hasan13/msg/1003.html )