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(回答先: 宿題の答え 投稿者 せいがく 日時 2002 年 11 月 09 日 05:37:43)
せいがくさん、こんにちわ。
>>貿易収支黒字が増加せず、赤字財政支出も増大できないのであれば、デフレを招か
>>ずに経済を拡大するためには、「給与を上げよ」しかありません。
>>それを梃子にすれば、供給活動力を量的拡大ではなく質的向上に転換させていくこ
>>とができます。
>企業が利益を減らさずに賃金のみを引き上げ、供給する財・サービスの”量”は増や
>さないとし、これがマクロベースで展開されると想像してみます。このことが意味す
>るのは、「実質成長ゼロ、賃金の平均上昇率が即ちインフレ率」という世界になるの
>ではないでしょうか(無論、極度に単純化したモデルでの話ですが)。
>確かに、当初、人々は賃金の上昇を喜び、消費性向を高めるかも知れません。しか
>し、その内、物価が上がっていることに気づき、実質ベースでは何ら賃金が増えたわ
>けではないことに気づき、やがて元の消費水準に戻してゆきます。
現在の「デフレ不況」を解消することを念頭に置いた政策提言ですが、その先も、「実質成長ゼロ」に近い国民経済を想定しています。
当初は失業率の減少で実質成長率が上昇し、“完全雇用”実現以降は、貿易収支黒字分がすべて再投資されることでその分が実質成長率を押し上げる力となります。
「賃金の平均上昇率が即ちインフレ率」にならないように、供給=需要の質的向上を求めています。そのためには、「労働価値」(生産性)の上昇が必要になります。
250万円で購入できる自動車が237万円で購入できるようになるといった変化と給与が上昇する変化がパラレルで進むことにより、「賃金の平均上昇率が即ちインフレ率」になるという実質性の無さを打ち消します。
>結局経済におけるWELFAREの増大とは、見た目の賃金の上昇ではなく、獲得した賃金
>で買い求める事のできる財やサービスの”量”を増大させることである点を見落とせ
>ないのではないか、ということです(勿論、質も重要なファクターですが)。実際、自
>分の財布と相談して、自動車を持つことを諦める人、子供を大学に行かせるのを諦め
>る人、住宅取得を諦める人、バーでの豪遊を止める人、は無数にいます。これらは
>皆、供給"量"に関わる問題だと思います。供給は(賃金上昇によって)増やすが、供給
>量は増やさない、というのは、インフレを招くだけであってWELFAREの増大には繋が
>らないのではないでしょうか。
「労働価値」の上昇と賃金の上昇がパラレルに進めば、“自然”と財やサービスの量も拡大していきます。
250万円の自動車が安くなったからといっても、同じように安くなった180万円の自動車でいいという人もいるわけですから、賃金上昇で増えた可処分所得を自動車以外の財や用役に向けるようになります。
財に対する欲求が充足されているのなら、旅行や娯楽を含む用役に余裕資金が向けられることになるはずです。
“完全雇用”状況で財や用役の価格が下がるようなことが起きたら、総労働時間を減少させるというのも重要な手段になります。同じ賃金で労働時間が短縮されたら、生産性が下がって財や用役の供給量は減る一方で需要額は変わらないので物価は上昇します。
このときは、単なるインフレになりますが、“自由な時間”が増加するのですから認められるでしょう。
“完全雇用”状態で名目・実質ともGDPが成長していくためには、貿易収支の黒字分がすべて再投資される状況が続き、不断に「労働価値」が上昇していくことが必要条件になります。