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http://www.asyura.com/2002/dispute3/msg/789.html
レス2:「せいがく的経済社会」批判
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 09 日 19:18:33:

(回答先: 宿題の答え 投稿者 せいがく 日時 2002 年 11 月 09 日 05:37:43)

ご提示の経済社会像を興味深く読ませていただきました。

「失業者=公務員論」は、私も、なんやかんや言ってもそのようなセーフティ・ネットの張り方しかないのだろうと思っています。
生活資金を支給するのがセーフティ・ネットであれば、活動欲求や他者との関係維持欲求という人が持つ自己実現欲求の重みを軽く見過ぎていると言えます。
農業・リサイクル活動・草むしり・児童生徒への経験話などなんでもいいのですが、活動の対価として生活資金を支給するシステムが必要になると考えています。


>まず基本的な日本経済に関する認識です。供給者を左側にずらっと並べ、消費者を右
>側にずらっと並べます。両者の間に「経済のメカニズム」というブラックボックスを
>置きます。このブラックボックスが複雑怪奇で専門家もウンウン唸っているわけです

供給者と消費者を左右に並べてその間に「経済のメカニズム」があるという見方が、「経済のメカニズム」が複雑怪奇と思わせ、専門家もウンウン唸っている大きな要因ではないかと思っています。
「供給=需要」という考えは、供給者と消費者を左右に並べるのではなく、同一と捉えるものでもあります。
まず、人を個人ではなく家族(家計)と考えます。そうすれば、供給活動に従事しなければ消費するためのお金が稼げないことがわかります。この意味で、供給者と消費者は、同一主体の異なる活動局面ということになります。

もう一つ残っている経済主体は“純粋”政府部門です。(現業部門は供給者です)
政府部門は、供給活動に従事しない消費者ということになります。供給活動に従事しないまま消費者であるということは、供給活動従事者からその一部を吸い上げていることを意味します。端的に言えば、供給者=消費者は、国家(共同体)に必要な仕事を行う人々のために、余分に供給活動をしなければならないということです。
(赤字財政支出もまったく同じで、さらに始末が悪いことに、利息の分まで余分に供給活動をしなければらないものです)

政府部門は、経済論理的に言えば、民間の用役供給活動者と同じものと考えることができます。
民間の用役供給者はその都度料金を受け取るが、政府部門は税というかたちで用役の対価を受け取っていると言えます。
極端に言えば、政府部門が、税に代えてその活動成果を販売することも可能です。事務手続きは、それに要するコストの全額を負担してもらう。義務教育もコストに見合う授業料を徴収する。一般道路の結節点に料金所を儲けて料金を取る。経済分析の結果をセミナー参加者のみに高額で販売する、などなど。
まあ、そんなぎすぎすした金銭関係よりも、できるだけ受益者負担を制度化しながらも、大勢は所得応分でいいというコンセンサスで税制度が出来上がっているとも言えます。


>それはともかく、左側と右側を見るとはっきりしていることがあります。供給余力は
>十分にあるということです。つまり、ブラックボックスの機能がきちんと作動すれ
>ば、右側の効用は飛躍的に高まるということです。日本には史上空前の繁栄を謳歌す
>るための供給側の条件は整っているということです(この辺りはあっしらさんと同じ
>認識じゃないかと思います)。

「ブラックボックス」がきちんと作動しない根源的要因は、利潤獲得が経済活動の目的であることと通貨が銀行制度を通じて供給されていることだと考えています。

利潤獲得が経済活動の目的であることから、本来、供給者=消費者であるのに、供給者は“あっち”にいる消費者という認識をしてしまうことになります。

「ブラックボックス」をうまく作動させるキーである通貨が銀行制度を通じて供給されていることから、バブルが崩壊したり、利息や利ざやが稼ぎにくい経済状況が生まれると、通貨流通が梗塞することになります。

日本経済の物理的供給力に余裕はありますが、それも徐々に毀損していっています。
貿易収支が黒字なのか赤字なのかが、供給余力があるかないかのメルクマールです。

供給=需要の観点から言えば、需要不足=供給不足です。
デフレギャップは、物理的供給量に対して供給額(=需要額)が不足していると言うことができます。

このような観点がないことが、「ブラックボックス」のきちんとした作動を阻害しています。


>ご承知の通り、マクロ経済学では経済を分析するにあたり、経済主体を企業、家計、
>政府に分類します。この3主体の中で経済成長をリードするセクターはどこかと言え
>ば、企業だと思います。とりわけ、企業が行う投資行動が鍵を握ります。では、企業
>は何によって投資行動を取るのかと言えば、期待利益です。利益なきところに企業は
>存在しえません。従って、ブラックボックスの中で最も重要ないじるべきポイント
>は、「企業に利益が生み出せる環境」を整えることだと分かります。

暫定的には、利益獲得を企業活動の目的にすることはやぶさかではありません。
日本経済は、企業が利益を獲得できる条件を持っているからです。

「企業に利益が生み出せる環境」は、貿易収支及び経常収支の黒字です。


>具体的には、過剰な競争、過剰な設備、過剰な人員、過剰な負債、過剰な不良資産を
>削ぎとって行かなければなりません。政府部門によるルール作りはこれをサポートし
>強力に推進するものでなければならないと思います。

「過剰な競争」を防ぐ手だては、まず、中国などに移した製造拠点から製品を輸入しないことです。国内で供給活動が行われていない製品を日本で販売するということは、需給ギャップ要因の最たるものです。「過剰な競争」とは、供給>需要のことです。

「過剰な設備」は、非完全雇用状況ですから、抜本的にはデフレ不況が解消されてから整理すべきだと考えています。もちろん、国内競争条件と国際競争条件で過剰と認定できるものは、現在でも整理する必要があります。

「過剰な負債=不良債権」も、抜本的にはデフレ不況が解消されてから整理すべきですが、「過剰な設備」と認定されたものに対応する「過剰な負債=不良債権」はすぐにでもクリアする必要があります。「過剰な設備」=「過剰な負債=不良債権」です。

>これに加えて、公共部門での無駄と過剰が日本を押しつぶしつつあることも衆目の一
>致するところです。民間部門同様、またはそれ以上の厳しいリストラが必要であると
>言えます。そのリストラ計画も役人に作らせるのではなく、例えばアメリカの一流コ
>ンサルタントに作成させるくらいのドラスティックさが求められると思います。
>こういう徹底的な合理化案を出すと、次のような批判が予想されます。いわく、それ
>でなくてもデフレなのにデフレが一層深刻になるではないか。いわく、失業者が加速
>度的に増え、自殺者も増加するのをどうするつもりだ。いわく、そのような大規模な
>整理、淘汰による金銭的重圧に日本経済が耐えられるはずがない。

>このような懸念は妥当なものですが、さりとて他に妙案があるかとなるとそうは思え
>ません。せいぜい痛みの先送り(と言う事は、矛盾は将来の時点でさらに大きなもの
>になっているということ)しかできないでしょう。

懸念を書かれているのでことさら書くことはないかとも思いますが、「非完全雇用状態」での「デフレ不況」という経済状況においては、リストラは慎重に進めなければ、さらなる失業者(非就業者)の増加と「デフレ不況」の深化をもたらすことになります。
(後ろで書かれている「失業者=公務員論」というセーフティ・ネットがあるのなら、本当にムダで過剰な部分を削除することにも理はあります)

「完全雇用状態」や「資金不足状態」にあるのなら、“リストラ”は創造的破壊という前向きの役割を果たします。
しかし、そうでないのなら、それによって輸出の拡大が見込まれない限り、たんなる破壊行為になります。
ここでも供給=需要という観点が重要ですし、物理的供給量の国内向け供給削減を経済論理(利益獲得)に従って実現できるのは輸出しかありません。

公共部門での無駄と過剰は、突き詰めれば、政治及び官僚の利権だと考えています。
もう一つ重要なのは、地価の高さです。100億円の公共事業に占める用地買収費が30億円というようなムダは減らす必要があります。土地に支払われるお金は、たんなる通貨の移転でしかありません。

リストラについては、人減らしではなく、経済的に余裕があると想像できる国会議員・天下り官僚・官僚のコストを切り下げることに専念すべきです。(公的資金の注入を受けた銀行幹部も同じです)
その部分のコスト切り下げを、「失業者=公務員」の原資の一部に充当するというのが望まれます。


>ここで、かなり唐突なのですが、失業者=公務員論というのを掲げたいと思います。
>失業者は税金から給付を得ているという意味では公務員に似た性質を持っています。
>一歩進んで、職を失った人は公務員として認定してしまえば良いのです。

最初に書いたように、就業先を探す活動の見返りに失業給付金を支給するよりも、就業先を見つけることもそうですが、それ以外のなんらかの有用な活動に従事する対価としてお金を支給する制度が必要だと考えています。
45歳以上の失業者は1年後も1/3程度が就職先を見つけられないというのが現状です。その結果生活保護を受ける事態になれば、ほとんどの人の精神がずたずたになる可能性があります。(精神が図太い人もいるでしょうが(笑))


>一番最初の供給者と需要者(消費者)の図式に戻って、供給者の方に注目してみます
>(この供給者には行政サービス供給者=公務員を含みます)。このセクターで生産性を
>極限まで高めて行くと、生産量は増大しても必要な人員は減少することがかなり高い
>確率で起こると想定されます。こうした余剰人員を無理矢理供給側におしとどめた
>り、その人員を活かすために無理矢理需要者側に政府がしゃしゃり出て需要を作り出
>すことはこれまでの歴史を振り返り有効であるとは思えません。ブラックボックスの
<中に擬似公務員制度というインフラを作り、供給者側からあぶれてきた人々を受けと
>め、再び供給者側へ送り返してやる仕組みを整備してみてはどうかと思います。

過渡的なシステムとしては、ご提示のようなかたちしかないと思っています。

しかし、その分、先ほど書いた供給者の“余分な活動”が増えます。
“余分な活動”は、増税や給与の引き上げというかたちで目に見えるようになります。

それで経済社会の論理が見えるようになり、それならば、労働時間を減らして、同じ財や用役の量でも“自由な時間”が増える方がいいということになると予測しています。

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