02. 中川隆 2013年1月22日 22:12:49
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カイザーサウンド有限会社 貝崎静雄 ローゼンクランツ オーディオクリニック http://www.rosenkranz-jp.com/japanese_index.html 寺島靖国スペシャル その1 「イカの燻製」 カイザー 「寺島さ〜ん、カイザーです」。・・・(久し振りの電話です) 寺島 「はい♭♪」、「はい♭♪」。・・・(めんどくさそうな感じの低い声) カイザー 「レコード芸術にPB-BIGを取り上げて頂き有難うございました」。 寺島 「よく分かったね〜」。 カイザー 「はい、何人かのお客さんから教えて頂きました」・・・「レコ芸に寺島さんが書いていましたね!」って。 寺島 「そうなんだよ〜」・・・「イカの燻製なんか送ってくるから、書かなくっちゃいけなくなったんだよ〜」。 瀬戸内名産 まめいか墨作り カイザー 「今度また、違う美味しいもの送りますから〜」。 寺島 「もう、送って来なくっていいよ!」・・・「ローゼンクランツのことばかり書くようになるから・・・」。 「住所と電話番号が書いてあったから、今度からそこで直接買うから!」、 「それにしても、あれ美味いね〜!」・・・「ビールに合うのなんのって!」、 「女房にも評判いいんだよ〜!」、 「去年のより今年のほうがうまいねぇ〜!」 「金は掛かってないけどさ〜、ダンボールに『ポン!ポン!』と入れて」、 「しかし、憎いよね〜何百円で人をその気にさせるんだから〜・・・『まったく、も〜』」。 次から!次に!歯に衣着せない江戸っ子弁で、遠慮も、何もなく、歯切れのいい言葉が返ってきます。 カイザー 「実はですね〜、今日お電話を差し上げたのはいい知らせなんですよ!」。 寺島 「ほう!それは何かね?」 カイザー 「以前から寺島さんおっしゃっていたでしょう?」、「6穴がいい!」って。・・・(PB-6のこと) ローゼンクランツのデビュー作 PB-6 「シンバルの音は『ジャ〜ン!』でなくっちゃ」と。 「色々考えていたんですけど、やっとその謎が解けました!」。 寺島 「と、いうと?・・・それはどういうことかね?」・・・(乗ってきましたよ!) カイザー 「最近、『音のカラクリ』というのをまとめましてね」、 「『素材による音の違い』、『形状による音の違い』と、5項目からなるんです」が、 「シンバルその物を良く見ると、銅食器に見られるハンマーで叩いた物と形状が同じなんですよ」、 ジャ〜ン ♪、 ジャ〜ン ♪、この感じです! 「またゴルフボールのディンプル(くぼみ)、これも『6穴のインシュレーター』と同じ形状なんです」。 「Aマークを打ち間違えた失敗作がありますので、それを使ってBIGの『寺島スペシャル』を作ってみます」 「叩いて作るのか、削って作るのか、いつになるか分かりませんが、出来たら送りますので聴いて下さい」。 寺島 「それは楽しみだ!」、「今すぐにでも、うちにあるBIGをハンマーで叩きたくなってきたな〜!」。 今現在、寺島さんにはPB-BIGを12個使って頂いています。音色そのものは、今でも、やはり6穴が好きだと言う。 寺島 「ただ『圧倒的な迫力』と『能力の高さ』ではBIGが優れているからそれにしたんだけどさ〜」、 「それに『6穴の音色』が加わったら言うことないね〜!」。 これに成功したら、敢えてJAZZファン向けのインシュレーターが誕生するかもしれません。さて、さて、どうなることやら? http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020219.htm その2 「立て板の餅」 ▲ 寺島靖国のオーディオアクセサリー実体験ルポ オーディオ製品を売る人は自分の製品を磨くより言葉を磨いたほうがいい。
オーディオファンというのは、売る人の口車にのせられてついつい買ってしまうものなのである。 言葉がうまいと音もよく聴こえてしまうものなのである。 私は言葉のうまい人につかまって何度煮え湯を飲まされたことか。 と、今遠い目をして西の空を眺めやったが、うんしかし、あの人たちも悪い人ではなかったなあ。と優しいキモチ。 ローゼンクランツの貝崎さんは立て板に水の人であった。 立て板の餅の私としてはひとたまりもなく買わされてしまったのである。 インシュレーター。 イワシの頭も信心。 オーディオ・アクセサリーとして、これくらい疑心暗鬼のアイテムはあるまい。 貝崎さんは、歯の治療に通っているときにそのオーディオの極意を学び、数年前に真鍮とハンダの絶妙なブレンドによる6穴インシュレーター(PB-6)を完成。オーディオ界にその実力を問うことになるのであった。上下一対で12,000円。私は最初3組購入した。何も金持ちぶるわけではないが、けちけちしていてオーディオはいい音を得られない。 かくして私はローゼンクランツの6穴インシュレーターの信者になった。 普通のインシュレーターをはさむと音の抜けは良くなるがどうしても全体に薄くなりがちだが。
ローゼンクランツはそこが違った。
エネルギーが逆に増したのである。 中低域がドスンとなる。 現在はローゼンクランツの重量級の「ビッグ」という上下1組28.000円をモノラル/パワー・アンプ、トランスポート、D/Aコンバーターにそれぞれ3ケづつ、計12個敷いている。ウハウハと悦にいる毎日である。 「レコード芸術」連載の一部(’02/2) http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020220.htm その3 「たこ焼き器」 一気に図面を書き上げました。書いたといっても私が書くのではなく、書くのはK氏です。いつものように、私は横で「あーしろ」、「こーしろ」と言うだけです。このところ忙しいので、無理やり強引に割り込ませないと実現しそうもなかったので、逃げ道のない状態に自分を追い込みました。いや、K氏を追い込んだのかもしれません。 どっちにしても、出来上がった図面はまるで「たこ焼き器」です。それにしても、寺島さんのかたくなまでの、「シンバルの音にこだわる執念」がこうさせたわけですから、やはり半端な人ではありません。人は彼のことを耳が悪いとか、こき下ろす人もいますが、「どっこい!」、じゃあ、ここまで「JAZZ馬鹿に徹する」ことが出来る人が果たして何人いるでしょう。 急遽書き上げた図面 PB-BIG JAZZになるか・・・! つい最近、「音のカラクリ」というのを完成させてから、結局のところ、私自身も寺島さんに対する評価が変わりました。それまでは寺島さんの言うとおりにすれば、「ある音はいい」けど「ある音はからっきし駄目」というバランスになってしまう。そのエピソードは、知る人ぞ知る壮絶なバトルとなって「ジャズ桃源郷」の中に書かれたのはまだ記憶に新しいところです。 また、書かれた内容に「カイザーさんは腹を立てなかったか?」と、言うのがもっぱら周囲の気になるところだったようです。「腹を立てるどころか、いい訳一つしないで、笑っていたよ!」と言うことで、「太っ腹だなあ!」と、「一気にカイザーさんは男を上げたんだよ!」・・・とは、寺島さんの弁。 それは、手伝いに長男を連れて私が初めて寺島邸に訪問した時のことです、私がほとんど徹夜して作りあげた音(勿論彼の意向を汲みながら、また一つ一つ確認を取りながら)を、私が帰った後に、彼は根こそぎ変わってしまった自分の音=(その時の音を、彼は「低域をスパッと削ぎ落としてしまった音」と表現していました)が、不安になり世が明けるまで待てないで崩してしまったのです。 翌日気になって電話を入れると「グジャ、グジャになってしまった」。ホテル代を出すからもう1回寄ってくれということにまでなりました。私が手を入れる前の音(箱の定在波が抜け切らない金縛り状態の淀み)は、ベースとバスドラの区別がつかないほどでした。確かその時かけたディスクは、ウイントン・マルサリスのスタンダードシリーズのVol.3だったと記憶しています。このシリーズは私も5枚全部持っていますので、私なりのバランスは持っていました。そして、寺島さんと膝をつき合わせてじっくり話し込みをさせていただいた結果、音の好みとして合う部分と合わない部分の割合は如何でしょう?と尋ねると。その答えは3:7で、合わない方が多かったのです。 それから1ヶ月ぐらいして大分落ち着いてきて安心したと言うことになったのですが、振動が落ち着くまで、すなわち低域が出るようになるまでに、こんなに時間がかかるということが体験していないから分からなかったと言うことでした。 寺島さん独特のJAZZに対する音のこだわりは、誰がなんと言おうと譲らないできた、「頑固一徹」。そのことに私もある種の感銘を受けたのです。ひょっとしたら、目指す音こそ違えど「思いの強さでは勝てないかもしれない?」と、私の価値観とは違っても、一人のJAZZ気違いを満足させる「音の勉強をさせてもらうことが出来るんだ!」という、謙虚でゆとりを感じる心境になれたのです。これも今思うに、「音のカラクリ」をまとめ上げたことによって、確固たる自信が生まれてきたのだろうと思います。 どれだけの執念を燃やしても届かない、また手に出来ないでいる姿を横目で見ていると、「ヨ−シ!」私がその音を出してみようじゃないのと言う気になったのです。かくして、「寺島靖国スペシャル」となったわけです。成功した暁には正式名称は「PB-BIG JAZZ」になる予定です。果たして、日の目を見ることになるのか?はたまた、幻に終わるのか?この先が楽しみです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020221.htm その4 「グラマラスなサウンド」 「グラマラスなサウンドです!」。 「JAZZファンなら、ヨダレを垂らして欲しがりそうな音です」。 「聴く前のイメージは、音に濁りがあるかな?、という一抹の不安がありました」。 「しかし、出てきた音はなんのその!」、 「音にコントラストがあるのです!」、 「輝きと陰影と言い換えてもいいです」。 「コントラストという言葉自体、私は音に対して初めて感じるものです」。 完成したPB-BIG JAZZ この感触を掴んで、私はすぐさま寺島さんに電話を入れました。 受話器を取った瞬間に、”ハイ”と言う返事よりも先に電話の向こうから大音量が飛んできたので、私は思わず受話器を遠ざけました。真昼間からなんというエネルギーでしょう。すぐに音量を落としたので声で私ということは分かったらしい。 カイザー 「凄いですよ!、いけますよ!・・・あっ!カイザーです、寺島さん」。 寺島 「何が、そんなに凄いんだよ!」。 カイザー 「BIGの6穴仕様の話です」。 寺島 「ちょっと待って、今6穴インシュレーター取ってくるから、O.K!いいよ!、今手に持って見てるから、どの部分をどのようにしたのか説明してよ!」。 カイザー 「直径4.5ミリ、深さ0.5ミリ丁度ゴルフボールのようなくぼみを16個掘ったんです」。 寺島 「16個?!、6個の間違いじゃないの?」。 寺島さんはインターネットをやっていないから、この時点でローゼンクランツのウェブに自分のことが書かれていることは、まだどうやら知らないらしい。知らぬが仏とは正にこのことです。後で知ったらどんな言葉を発するでしょう? カイザー 「よく聞いて下さい、外周に10個、その内側に5個、そして円の中心に1個、合計16個の穴です」。 「そらそうと、この間、寺島さんと兄弟のようにそっくりの『北の富士』が赤い横綱を占めて還暦の土俵入りをしましたよねぇ?」 寺島 「そんなことはどうでもいいから、肝心な音はどうだったの?、それを聞かせてよ!」。 カイザー 「シンバルの音は、アーティストの好みによって、表面のハンマーリングを微妙に変えて作るそうですねぇ」 「『音のカラクリ』の中で、形状による音の違いを謳っているんですが、正にそのことを、今日、今、証明できました」。 寺島 「また始まった〜!、もう〜!学者みたいなことはどうでもいいから〜、音がどうだったのか?」 カイザー 「バッチリ!ですよ、今ここに1つだけ試作品が出来たんですが、これを真っ先にお送りしましょうか?」 寺島 「1つじゃ分らないよ!、カイザーさんとは違うんだから・・・3つ送ってよ、3つ」。 カイザー 「分りました、今日18個リファレンス用に頼みましたので、10日ぐらいでなんとかなるといっていましたので、出来上がり次第お送りします」。 「今回のは出来がいいから〜!高いですよ〜!」 寺島 「しょうがないなぁ〜、・・・まったく〜!」。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020307.htm その5 「官能的と禁欲的」
その日の夜、「ジャック・ディー・ジョネット」、「ピーター・アースキン」、「フィリー・ジョー・ジョーンズ」と立て続けにシンバルを中心に聴いてきましたが、いずれも申し分なく「音楽が生き生き」と「うねるように」、そして「切れ込みよくなる」感じの変化を示してくれます。正にBIGの表面にディンプル加工をしたその形状どおりの音に変身しています。音楽に味わい深いものが注入されたようでもあります。 マランツのDAコンバーター(プロジェクトD-1)の前1点を交換してのテストです。かれこれ4時間位は経ちましたでしょうか今のところ違和感は感じません。そこで、今度は魂の歌手「アビー・リンカーン」を聴くことにします。お目当ては「You Gotta Pay The Band」というアルバムの中の5曲目You Made Me Funnyという彼女自身の曲です。 BIGとBIG JAZZの比較試聴(10回ぐらい聴き比べました) チャーリー・ヘイデンのおぞましい雰囲気のベースに誘われるように歌い始める、アビーの凄みのある歌がどのように聞こえるのか?、システムに変化がある度によく聴く曲でありますが、今日のは、深い、深い二度と戻れない世界に引き込まれていくような不気味さを感じます。彼女のうめきのようなハミングは、これまた、素の声を聴いているようなリアルさ。 スタン・ゲッツのサックスも聴きごたえがあります こうなると、むさぼるように次々とディスクを聴きたくなってきます。BIG JAZZと名付けたわけですが、何故か無性にクラシックが聴いてみたくなってきました。オドロオドロした感じが出るのはよく分りましたので、今度は心が洗われるような曲はどんな感じになるのでしょうか?興味深いものがあります。 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮のバッハのマタイ受難曲です。声がよく通るような聴こえ方をします、すぐ気になって普段どおりのBIGに戻してみます。やはり感じたとおりの違いが確認できます。こちらは落ち着いた感じで、BIG JAZZに比べると少し引き気味に禁欲的に聴こえる感じです。 一晩リピートをかけて丸々一日聴きました もう一度BIG JAZZで聴いてみることにします。決してJAZZ向きということで荒れるような感じは全くありません。私の結論としてはどちらも有りというものです。ただJAZZにおいては不思議というか、当たり前というべきかBIGJAZZの方が文句無しにいいと感じました。今日は1個入れ替えただけのテストでしたが、次回に18個出来て全て入れ替えて聴いた時にどのようなことになるのか興味の尽きないところであります。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020308.htm その6 「トランペットは打楽器」
3年前の寺島邸訪問の時を思い出しながら、その時一番印象に残っていたディスクを取り出し今聴いています。 Wynton Marsalis Standard Time Vol.3 The Resolution Of Romance Wynton Marsalis-Trumpet&Vocal Ellis Marsalis-Piano Reginald Veal-Bass Herlin Riley-Drums 1曲目は軽快なナンバー、「InThe Court Of King Oliver」 ウィントン自身の作曲ですから、プレイに非の打ち所がありません。E.J.ジョーダンの9センチミッドユニットから出て来る音とは信じられない、まったく生そのもののサウンドです。ホーン型スピーカーから感じる凄みのある音とは違いますが、トランペットの音なんかすごく自然です。それもそのはず丸いコーンから発する音はペットの開口部の形状とそっくりですから。 ある時、日野照正がトランペットはパーカッション、打楽器と同じなんです。と言っていたのが印象に残っています。息を「吹き込む」と言うより、「叩き込む」と言うイメージの方が強いそうです。そんな感じがウィントンの演奏からもハッキリと分ります。 シンバルの音に至っては、初めて聞こえてくる「シュワァ〜ン!」という、走るようなスナップの効いた音は、これまたぞくぞくしてきます。リズムを取るハイハットの音等はややもすると他の音に埋もれがちですが、シッカリと芯のある音として決して派手ではないが己の存在を訴えてきます。こうした下支えを受け持つリズム陣がシッカリと鳴ってくれると音楽を味わい深いものにしてくれます。 ジャズはある一定のルールの下に、各人が自由に演じるというところにその魅力があるわけですから、その自己主張というものがハッキリと聞き取れるモノでなければ面白くありません。その為にはいつも言っていますが、人間の耳の一番感覚の鋭い音の帯域において生き生きと鳴ってくれなければなりません。鋭く立ち上がり、思い切り吹き上がるエネルギーです。 寺島さんが盛んに聴いていたのは7曲目の「A Sleepin' Bee」です。ブラシによるドラミングから始まる曲です。この録音は「バスドラの音」と「ベースの音」の区別が大変つきにくいものです。この曲を何とかうまく鳴らそうとしていたのですから、彼にとって至難の業ではなかったわけです。今もって聴いても、私の音離れのいいシステムでそう感じるのですから。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020309.htm その7 「生きたディンプル」
3日目に入りますので、PB-BIG JAZZの音に対して、段々と冷静に受け止められるようになってきました。「クール」に、「冷静」に、「客観的に」、と自分に言い聞かせようとしても、どうしてもひいき目に見がちなことは否定できません。単に、ひいき目に見るのとは少し違いますが、正確には「こうあって欲しい!という願望」から来るものです。それはいい物を作りたいという強い思いがそうさせるわけですから、それはそれでまた無くては困るものです。 聴くディスクも枚数を重ねてきますので、何か不自然なものがあれば必ず身体そのものが反応するはずです。そのマイナス反応は、今のところ症状として出てきておりません。 この度の試みから、「音楽の抑揚が豊かになる」変化を前にして、「何がどうして?」、「どうなるのか」、ということを私なりの答えを導き出さなければなりません。すなわち、「音のカラクリ」の『形状による音の違い』です。 過去に聞いた話ですが、ゴルフボールからディンプルを取ってツルンとした物にすると、すぐに失速して落下するそうです。また野球の場合、フォークボールやナックルボールも回転を殺して投げることによって空気抵抗を受け失速して落ちるもの、その反対に縫い目にシッカリと指先が掛かり回転力が加わると速い球が行きます。ピッチャーの投げた球が手元で伸びて、浮き上がる、打者にすれば黙って三球見逃し、失礼致しましたというお手上げ状態、そんな感覚です。 車の走りのイメージとして、表面がプレーンなBIGはオートマチックの車で快適に高速巡航して走っているのと、方やBIG JAZZはミッション車でシフトダウンしたり、シフトアップしたりしてメリハリのある走りが出来る違いと解釈することも出来ます。 今回の音における変化は、オーディオの技術的な面において、相当高度な感覚に当てはめられるような気がします。それは「生きている」というか、「気持ちが乗り移っている」というか、電気で萎えたステレオの音とは思えないような「生きた音に変身」するのです。 BIG JAZZの音を聴きながら、Aマークが示す水平方向の始点から、どの向きの「加工パターン」にすれば一番そのエネルギーを取り出すことが可能なのか?。図面を眺めていたら、更にその力を引き出す為の秘策がまた浮かんできました。 セッティングした時の音のイメージ http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020310.htm その8 「バルカン半島JAZZ」
今日も、何人かのお客さんがBIG JAZZを聴かせて欲しいといって来店されました。例によってDAコンバーターの前1点を入れ替えて聴くのですが、皆さん一様に感じることはJAZZのエッセンスすなわちSwingを感じるといいます。 「いいですねぇ!」。 「ノレますねぇ!・・・」。 「じゃ!今度は、これかけてみましょう」。 取り出したディスクは、正月休みにタップリと聴いたもの。 ssss TRUMPETS & RHYTHM UNIT バルカン半島セルビア出身のDUSKO GOJKOVIC(ダスコ・ゴイコビッチ)のTRUMPETS &RHYTHM UNIT、圧巻は4曲目のRUFUS、5曲目のDONNA LEE、6曲目のTHE AMBASSADORとつづく、息もつかさぬ程のノリで聴かせるところです。トランペッターというより「ラッパ吹き」という形容詞の方が似合っています。ノリノリ状態は聴いていてすごく楽しい気分にさせてくれます。聴衆を喜ばせるコツを心得ているとしか言いようがありません。 このディスクは’79ユーゴスラビア、ベオグラードで録音されたものですが、普段この地のことは我々なじみが薄いためJAZZとはどうしてもイメージが結びつきません。その為自分ではそういった情報を目にしても恐らく購入はしないでしょう。しかし、いつも買い付けのレコード店のマスターに任せているからこんな掘り出し物にも出会えるのです。有り難いものです。やはりその道のプロです。自分で探してレジまで持っていき、購入する店ではこうした喜びには出会いにくいですねぇ。 また、このBIG JAZZのサウンドは音楽の波を上下にうねるようにして、まるでイルカが泳いでいるみたいにJAZZを楽しく感じさせてくれます。カートリッジを替えて音楽を楽しむという習慣がありましたが、こんな風に簡単にインシュレーターを入れ替えて音楽を楽しむことがあってもいいでは?全く新しい音楽の楽しみ方です。 今のところまだ量産体制には入れませんが、気のせいか一気にブレイクしそうな予感がしてなりません・・・。それぐらいJAZZの魅力を引き出してくれるのです。またそれを物語るに余りあるように試聴希望者の数がここに来て増えてきました。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020319.htm その9 「深いオーディオの奥義」
BIGの在庫切れの為、18個のBIG JAZZを作るつもりが1個足らない17個になってしまいました。仕方なくこの度はスピーカーを除いて4つのコンポに挿入して聴くこととしました。 ▲ トランスポート CEC TL-1X ▲ DAコンバーター マランツ プロジェクトD-1 ▲ パッシブコントローラー ローゼンクランツ C-1EX ▲ パワーアンプ ローゼンクランツ P-1EX 1111 111 11111111111111111111 111111111111111
こけら落しは、もちろんこの最近よく聴くウィントン・マルサリスのスタンダードタイムVol.3です。「予想を覆される音」とも言えるし、その半面、「予想通りとも言える音」です。前者の場合は数多くBIG JAZZを入れるのだから、よりそのエッセンスがよく出るであろうとの音。それが、「どっこい!」「なんでもない音!」なのです。そうです、こういう時はウンと期待が持てる時なんです。 予想通りというのは、オーディオラックに載ってある機材が全てBIG JAZZで統一される訳ですから、みんなの呼吸が揃い、「凄い事が何でもなく、当たり前のようになる」状態の音のこと。例の7曲目に差し掛かりました。ずいぶん野太い音に変わりつつあります、そしてシステム全体が細胞分裂を繰り返しながら大きくなって行っているイメージです。この感じはJBLで言えばLE-85のドライバーから375や2441に、またアルテックですと802-8Dから288-16Gに変わった感じ。
「リラクゼーションの中の緊張感」とでもいいましょうか、余裕を持って聴けます。7曲目はドラミングから入りますが、8曲目はウッドベースにリードされて始まる同じようなテンポの雰囲気、そのベースとブラシによるドラミングのコラボレーションなんか全く大人の世界という雰囲気です。これは多分にウィントンのお父さんであるエリスのピアノが、そういう「枯れた味」と「ムード」を醸し出させるのでしょう。 7〜8曲目は、一般のオーディオシステムならどうしても「ドローンとした重々しい低音」が緒を引くのですが、それは全くありません、むしろ軽やかさを感じる曲調です。しかしこうまで鳴り方や感じ方が変わるということは、アーティストの表わそうとしている気持ちの真意など汲み取れているようで実はそうでもなかったと言えそうです。イヤ!ハヤ!オーディオの奥義というものは「ナント!」「なんと!」「何と!」「深いのでしょう!!」。 15曲目の「You're My Everything」なんか、思わずスキップして飛び跳ねるように鳴ります。 16曲目の「Skylark」も何ともいえません。メランコリックなトランペットの音色です。 17曲目の「It' Easy to Remember」も美しい。 今日はあまりいいことがなく、実のところBIG JAZZはきょう試聴したいという気持ちがハッキリ言って湧いてこなかったのです。それが聴き始めたら何もかも忘れれJAZZの世界に浸れているのですから不思議です。何がこのような気持ちにさせるのでしょう?、あるいは今日の私はアドレナリンがドワーッと溢れているのでしょうか? 「It's Too Late Now」が最後に放たれた左手から緒を引くような低いピアノの余韻が何時までも続き、それが消え去って初めて21曲全てが終わりました。今とても、いい心地です。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020320.htm その10 「自己流の癖球」
以前、寺島さんに次のようなことを言ったことを、今ふっと思い出しました。それは音の追い込みをゴルフにたとえた話です。早い段階から「自己流の癖球」だけで乗り切ろうとしたら先でその「癖を矯正」しようと思った時にはどうにもならなくなる時が来ますよ!。半分脅しのように聞こえたかも知れませんし、「まだケツの青いのが!、この偉そうな奴!」、と思ったに違いありません。60%〜70%までは基本をマスターすべきで、いつでも真っ直ぐで素直な球が打てるようになってから、その後、はじめて自分独自のスタイルというものを磨くべきではないでしょうか、といったような内容です。 意識してその癖玉で勝負という雰囲気の鳴り方が出てきているような気がします。それは実は自分にも同時に言い聞かせていたことなのかもしれません、今、正にそのような雰囲気と余裕を感じることが出来ています。青木功のミラクルボールとでも言いましょうか、やっと私自身その奥の手を使えるようになったのか?、はたまた使う時が来たのか?、そういうことを思い出したわけです。 趣きを変えて、ROSEMARY CLOONEYを聴いてみましょう。 ROSEMARY CLOONEY vocals Featuring: JOHN ODDO piano&synthesizer CHUCK BERGHOFER bass JOE LABARBERA drums DENNIS BUDIMIR guitar GARY FOSTER alto,tenor&soprano saxophone, flute&recorder VINCE TRONBETTA tenor saxophone WARENN LUENING trumpet&fluegelhorn with Special Guest: KEITH CARRADINE duet vocal (Turn Around) Arranged and Conducted by JOHN ODDO 私のリファレンススピーカーはオールメタルコーンの3ウエイです。唯一の欠点は程よい内部損失に欠ける点から、「潤い」とか「コク」また「淀んだ澱」のようなものは苦手です。その点を「サラダ系の音」と「漬物系の音」と私なりに分けて呼んでいます。正に私のスピーカーはサラダ系に属します。その漬物系のドロドロした感じがBIG JAZZを12個入れた今日のシステムからは大分感じるようになってきました。その確認の為にローズマリー・クルーニーを聴きたくなったのです。 熟れた女性の声が、BIG JAZZによって「男勝りのような声」になっても困るという、一抹の不安を払拭する意味もありました。一番大きく変わったことといえば、声の発生が一音一音ハッキリと聞き取りやすくなったことでしょう。また、懐深い鳴り方となって、文句無しに感情表現がよく伝わってくるような、とてもいい鳴り方をしています。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020321.htm その11 「BIG JAZZのサウンドに興奮した」 ----- Original Message ----- From:T.W To: ローゼンクランツ Sent: Saturday, March 09, 2002 1:47 AM Subject: PB-BIG JAZZを聴いてみたい
貝崎様 いつもお世話になっております。 ホームページでPB-BIG JAZZなるものを拝見いたしました。私も正直言ってJAZZしか聴きません。ですから、非常に興味を持ってしまいました。BIG JAZZのメスをスピーカー(JBLMetregon)の木の脚の下に敷いたら、すごい音でJAZZが鳴るのではないか?1度こう思い出すと居ても立ってもいられません!BIG JAZZの製品化はどうなるのでしょうか?試聴はまだ出来ないのでしょうか?寺島さんが羨ましいですねぇ・・・。 CDプレーヤーの下に敷いているDADDYの設置方法をいろいろ変えてみました。前2点、後ろ1点にした場合、見た目には非常に安定感があり気に入ったのですが、肝心の音のほうはかなりおとなしくなってしまい、JAZZには前1点、後ろ2点が正解だと思っています。 では、PB-BIG JAZZの聴ける日を心待ちにしております。又、その価格はBIGとあまり変わらないですよね? -------------------------------------------------------------------------------- ----- Original Message ----- From: T.W To: ローゼンクランツ Sent: Thursday, March 21, 2002 3:46 PM Subject: PB-BIG JAZZの試聴レポート 貝崎様 いつもお世話になっております。 PB-BIG JAZZについての私の雑感を述べさせていただきます。 ところで、私のオーディオ歴(現在43歳ですから、25年強という所です。)を振り返ってみますと大ブレイクが2度程ございました。 (1度目のブレイク> Western Electricのパワーアンプに巡り合った時です。4inchの375コンプレッションドライバーにあこがれ続けて、【375】の入ったJBLのMetoregonをやっとのことで手に入れて、鳴らすアンプをいろいろ試しておりました。(試すと言っても貸し出し等というものは当時はあまりなく、購入という形をとらねばなりませんでした。また私の性格上、借りた製品では落ち着いて聴くことが出来ないのです。購入して定位置に置いてからでないと駄目です。) 国産では当時アキュフェーズに信頼をおいておりましたので、まずはアキュフェーズのパワーアンプ、それからJBLにはやはりアメリカ製のアンプを組み合わせるべきかと考えてマークレビンソンとマッキントッシュを聴き比べてマッキントッシュを購入しました。『これで良し!』と納得しながらも、もっと良い音が有るのではないかと思い、マルチ・アンプへと進みました。ただ、アキュフェーズはデザインが国産特有の画一的な雰囲気を脱していないので、手元には残しませんでした。 1111 低域用 マッキントッシュ MC2600 中域用 マッキントッシュ MC7270 高域用 パス・ラボ アレフ3 チャンデバ アキュフェーズ F-15L 再び『これで良し!』と納得しながらも、真空管のマッキントッシュMC30に入れ替えてみたりもしました。私は特別に真空管のアンプに拘りを抱いてる訳ではありません。トランジスタでもMOS-FETでも良かったのです。いやいや、真空管はスペアをストックしておく必要があるので、本当は敬遠したかったのです。 ある日、初めて行ったお店でアルティックのA7が今まで聴いたことが無いほどに美しい音で鳴っていました。最新のアンプとスピーカーの組み合わせに勝るとも劣らない聴感上のS/N比の良さと残留ノイズの低さにも驚きました。あの高能率のA7から荒々しさも、残留ノイズも聴こえないのです!これは何かあるはずだと思い周りを見ると、今まで見た事も無い古びた真空管のパワーアンプが接続されていました。 それが私とWesternのアンプとの出会いです。それからは頭の中は何時もWesternの事しかありませんでした。その時お店で聴いたのは350Bのプッシュプルの【124パワーアンプ】でしたが、なにせ高額なもので購入の目処もたたずにそのお店に通う日々でした。 しばらくたって349Aのプッシュプルの【133Aパワーアンプ】がそのお店に入りました。全ての真空管、トランス及びチョークがWesternオリジナル(124は前段の球がRCAのものが多い。)で、お店の人が自宅での試聴を勧めてくれたのです。我が家で聴くJBLとWesternの組み合わせが奏でるJAZZは最高の音に聴こえました。そうなると、Westernを持って帰られるのは耐えられなくなり、後先のことを考えずにとうとう置いていってもらいました。 そのお店は東京の【ウエスタン・サウンド・インク】の商品を委託販売しているのでメンテナンスは完璧な状態であり、購入後もう4年程度経ちますが1度も故障したことがありません。マルチ・アンプからネットワークによるシングル・アンプに戻しましたが、音の鮮度に於いてもマルチ・アンプを越えていると感心しています。出力はたったの7W程度ですが、我が家の8畳程度の部屋では不足を感じずに朗々とした音色でJAZZを奏でてくれています。 (2度目のブレイク> CDプレーヤーの付属の脚を外して、底板に直にDADDYを前1点後ろ2点で設置した時です!過去には色々なインシュレーターを試した経験があります。木・石英ガラス・金属(ステンレス、銅)・合成樹脂系(J1プロジェクト)・カーボン系(SRコンポジット)等それぞれの素材によって固有な音に若干変化します。(変化です。良くなったのかどうか・・・?)ただ私の場合、どの場合も1,2週間したら落ち着かずに元の鉄製のスパイクとスパイク受けに戻してしまいました。(鉄という素材は案外音楽再生に向いているのかも知れません。)例外としましてスパイク受けをPB-JR(H)にした場合だけ元には戻しませんでした。 これがローゼンクランツ殿のインシュレーターとの初めての出会いです。それからは貝崎殿もご存知のように、mailで教えていただいた通りに付属の脚を外して、底板に直にDADDYを前1点後ろ2点で設置しました。この時の音の激変には驚き、心の中で【たかがインシュレーター】と侮っていた自分を深く反省いたしました。 又、ワディアのCDプレーヤーの場合は4隅のパイプ部分が1番強度があり、インシュレーターを設置するのはこの部分しかないとの自分の思い込みも覆されました。何でも試してみないと本当のところは判らないものだと勉強させられました。 さて肝心のBIG-JAZZの音についてですが、私はBIGの音を聴いたことがありませんのでDADDYとの相違点について書こうと思います。 1.シンバルの音について JAZZにとって高域部を構成する重要な要素です。私の理想は重量感のある高音(羽根のように軽い繊細な音ではありません。)です。DADDYにした場合も重量感はかなり出ており満足しておりましたが、BIG-JAZZは更にその上をいくようです。それだけではなくシンバルの周りの空気も一緒に切り取って部屋の中で再現してくれているように感じます。スティックがシンバルに当たる瞬間の音、その後の【シュワ〜ン】という響きがまるで目の前で実物が鳴らされているような錯覚に陥ります。スピーカーから放たれた音が目の前で実物のシンバルが揺れているように空間で揺れているのです! 2.アコースティック・ベースの音について JAZZにとって低域部を構成する重要な要素です。DADDYの場合もぐっと重心が下がり満足しておりましたがBIG-JAZZを聴くにあたり、DADDYの場合は若干膨らみすぎかな?とも思えます。(これは部屋の特性、使用装置、接続ケーブルや電源廻り等の条件にも左右されますが・・・。)BIG-JAZZにした場合、ベースの音がぐっと締まり音程が明瞭に聴こえます。リズムもノリノリでレイ・ブラウンのウォーキング・ベースがごきげんです。又、バスドラとの区別もより明確になりました。 3.音像の出来方について(音場について) ソロイストの音像がDADDYよりも1,2歩前に飛び出してくる感じです。バックの演奏の位置は定位置ですので、それだけ空間の広がりが克明に再現されるということです。その上、ソロイスト(テナーサックスでもピアノでもボーカルでも)の音像が立体的に感じられるのです。2チャンネルのステレオから平面的ではなく立体的な音像が構成されるのは不思議です。バックの演奏の位置は定位置ですが、彫が深くなったように個々の音がはっきり聴き取ることができて他の音に埋もれてしまうということがありません。 更に、ソロイストの感情的な表現はDADDYよりも数段上のように思います。演奏しているときの演奏者の感情の起伏がこんなに判った(様に感じ取られた)のは初めての経験です。実際のライブのCDを再生すると、楽器から空間に放たれた直接音と会場の壁などに反響してできるエコーとの分離が克明です。 4.その他 DADDYの表面仕上げは光沢があり、BIG-JZAAの表面仕上げは半艶仕上げのようですが、それがそのまま音に反映されているように思います。表面仕上げも音に影響があるのでしょうか?DADDYは最新の海外高級アンプがよく聴かせてくれるような若干【つるつる】した大変美しい音です。反面、実際の音はそこまで美しく綺麗なものではないような気がします。BIG-JAZZにすると音の産毛のようなものまで表現され、大変自然な音触が感じ取られます。 DADDYとBIG-JAZZを対比してしまうと、上記のようにDADDYが劣っているとの表現となってしまいましたが、DADDYも非常に高度な性能を持つインシュレーターであることは事実です。又、聴く音楽の種類によってはDADDYが最高の実力を発揮できるものと確信いたします。私が聴くJazzに限っては上記の通りです。 まだBIG-JAZZを設置してから3日目です。今後、1週間、1ヶ月とどんどん音が変化していくのでしょうね。楽しみです。DADDYを使用しての経験と、今のBIG-JAZZの感触から更にどんどん良くなっていくことを確信しています。 以上です。購入に関する質問は別mailで送信させていただきます。まずはBIG-JAZZの感想から連絡させていただきました。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020326.htm その12 「清楚で柳腰」 3日経っても、4日経っても寺島さんから連絡がありません。そうです今日でBIGJAZZを3個送ってから6日目になります。おかしい?着くと同時に「これは凄い!、これこそ待ち望んでいた音だよ!」という、返事が返ってくるものと思っていたのに、一体どういうことなのか?これは期待した音とは違う方向に変化したとしか思えない。 シビレを切らしてこちらから電話をしました。 カイザー 「お気に召していただけましたか?寺島さん」。 寺島 「それが、そうじゃないんだよ〜、『清楚』になっちゃたんだよ〜」。 カイザー 「え〜?『清楚』ですか〜?」。 想像もしていなかった言葉が返ってきたものですから、さすがの私も頭の中が真っ白になってしまいました。 「私はテッキリ、BIG JAZZを聴くと同時にカイザーさん、いいね〜!とご機嫌の声が聞けると思っていたんですよ」。 寺島 「そうなんだよ〜僕も良かったらすぐに電話をしようと思っていたんだけど、それがLINNのCDに3個入れても、前に1個入れただけでも同じような変化はあるんだけどやはり傾向は同じ、『柳腰』になっちゃうんだよ〜」。 「上手く言えないけど、音に隙間が出来ちゃうんだな〜」。 カイザー 「そうですか、実はBIGとBIG JAZZの音の違いを、私は『静』と『動』の違いと感じてウェブ上でもそう書いたんですよ」。 寺島 「エッ、どっちが『静』でどっちが『動』?」。 カイザー 「BIGが『静』で、BIG JAZZが『動』です」。 寺島 「うちでは反対だよ〜」。 カイザー 「そう、おっしゃるんですから、そこではそのように聴こえるんでしょうね〜、これは私にとっては大変なテーマがまた出来ました」。「寺島邸では同じインシュレーターを入れても反対の感じをもたれた、『音のカラクリ』を今一番の研究にしているわけですからここで引き下がるわけにはいきません」。 「寺島さん、これはちょっと一筋縄では行きそうもないので長期戦で行きませんか?」 寺島 「あ〜いいよ!」。 カイザー 「それと、今日の今のやりとりをウェブ上にそのまま正直に書かして頂いてもよろしいですか?、僕としては真実を伝えていきたいんです」。 寺島 「それはいいことだ!カイザーさんは勇気がある、これからの時代はそうでなくっちゃ」。 カイザー 「それでは、次のロットが出来上がりましたらまた9個送りますから、他の機材と足並みが揃ったところでどのように変わるか、ジックリ時間をかけて試してみてください」。 私はこう言うのが精一杯でした。 しかし、どう考えても私には納得がいかない、「BIG JAZZは私の耳にはファイトを前面に思い切って出してくる音なのに」、「清楚で柳腰」とはまるで正反対じゃないか。 電話の向こうの寺島邸で何が起こって何がどうなっているんだろう? これはもう吉祥寺へ行くしかない。 次回、この耳で確かめるまでは死んでも死にきれない。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020328.htm その13 「寺島邸のシステムの特徴」 空手の真似事は男なら誰でも子供のころにやったことがあるでしょう、瓦にしても板にしても割れた時はいいのですが、割れなかった時はその衝撃が全て手に戻ってきますから痛いなんてもんじゃありません。 合板で出来たスピーカーエンクロージャーの話なんですが、丁度そのような状態にスピーカーユニットがさらされていると感じて頂ければいいと思います。何故ならば木の繊維が90度づつ互いに縦横に交差していますから、繰り返し発生する音楽振動がその場から逃げてくれにくい構造にあるのです。丁度金縛りの状態な訳です。 ですから、微弱音や音の余韻といったものを再現するのは苦手で、とに角パワーをぶち込んで鳴らすしかその長所を見出す方法はありません。力強い張りのある音を出すことに於いては局面次第ではいいこともあるでしょうが、至近距離におけるリスニングポジションが余儀なくされる一般家庭においての音楽鑑賞用には厳しいものがあると思います。まして大型のホーン型でしたら尚更のことです。その為、寺島さんは最近、医者から「大きな音で長時間聴かないように」と警告されているそうです。 そのレイオーディオのスピーカーの下には、汽車の線路を受ける枕木と間違えてもおかしくない程瓜二つの、これまた合板で出来た重さ40キロはありそうなものが前後方向に2本あります。その上にスピーカーは直置きです。また、これでもかとJDFのモノラル・パワーアンプを置いてある合板の特注ラックもその厚さたるや80〜100ミリはありそうな物。当然のことながらCDとプリを置いてあるラックもそれと同じ構造の横2連タイプです。 ローゼンクランツのケーブルを首にぶら下げ、ご機嫌な様子の寺島御大 すなわち、寺島邸のシステムの音の特徴は合板が大半を占めているのです。現代に於いてはスピーカーエンクロージャーもオーディオラックも80〜90%方はM.D.F、若しくは圧縮ボードタイプですから、皆さん方が普段馴染みのある音とは大きく違う鳴り方の音なのです。 そしてパワーアンプはACケーブルは交換出来ない直出しタイプなので、ご自慢の黒蛇、青蛇は使うことが出来ません。それとスピーカーケーブルも専用の物しかどうも使えないらしい、この2点が寺島さんにとって一番つらいそうです。パワーアンプ以前のみで色々と試行錯誤せざるを得ないので、いい音を出すのに大変難しいわけです。 特にケーブル関係で強力な物を持ってくれば、勿論そのもの自体の長所は確認出来て、「これは凄い!」ということになるのですが、信号の上手に凄い物が入れば入るほどパワーアンプ以降の流れ方とエネルギーバランスが取れなくなり、そのジレンマはどうにも解決されにくいということになります。前半、後半どちらも流れが良いのが理想ですが、やむなく半分の場合なら後半に抜けのいいほうが気持ちよく音楽が聴けるというものです。 その何かとトライし続けている前半部分のシステムは、LINNの280万円のCDとコンバーターはイルンゴ製、それに特注物のプリ。プリとスピーカーを除いてインシュレーターは、現在ローゼンクランツのPB-BIGを12個使っておられます。寺島邸の概要はざっとこういったものであります。ケーブル関係については最近どうなっているのかは分りません。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020402.htm その14 「音楽と出会えオーディオと決別」
----- Original Message ----- From:T.W To: ローゼンクランツ Sent: Sunday, March 31, 2002 7:58 AM Subject: T.Wです。 貝崎様 いつも大変お世話になっています。 【貝崎さんはいつ寝ていらっしゃるのでしょうか?】という我が家のお茶目な疑問に詳しくお答えいただきまして、誠に有難うございます。私にとっては本当に羨ましいお仕事と強いご意思による取り組み姿勢で、家族のものには『もう読まないほうが良いよ・・・。』とまで言われました。(羨ましがるからです。)私もいつかはオーディオ・ショップかジャズ喫茶の頑固な店主となり、仙人(?:失礼!気を悪くなさらないでください。私にとってはこの表現が最も好きなんです。)のような日々を送りたいと数年前(もっと前かもしれません。)から真剣に考えておりました。 さて、PB-BIG JAZZをCDプレーヤーにセットして、10日程経ちました。その間に1度、セッティングが微妙に気に入らずやり直したことが1度ありましたが順調に音も成長し、昨日などは過去最高というような演奏を我が家のオーディオ・セットはしてくれました。もう低音がどうのとか高音がどうのとか、いつも音を分析して聴いている自分がそこにはおりません。心から音楽を楽しんでおります。アコースティック・ベースやドラム、ピアノ、ギターのリズムを受け持つ楽器の乗りの良いこと!トランペットやテナー・サキソフォン等のリード楽器及びボーカリストの深い表現力にも感動ものです。この音が明日も明後日も消えずに残っていますように・・・。いやいや、どんどん更に良くなっていきますようにと心から望んでおります。 このように外国のオーディオ機器と組み合わせて、一体となって音楽を表現できるポイント・ベースが『日本で作られていること』を非常に嬉しく思います。貝崎様は本当に音楽を良く理解されている方だと思います。本当に尊敬いたします。過去から現在、そして今後も日本で音楽を表現できるオーディオ機器が製作されることはまず有り得ないだろうというのが私の考えです。 過去の日本の製品を全て聴いたのかと問われれば、答えはNoです。私の聴いた製品などほんの一握りのものです。ですが、メーカーの今までやってきた姿勢を考えればそんなに外れてはいないだろうと思います。松下(テクニクス)、東芝(オーレックス)、日立(ローディー)、シャープ(オプトニカ)、サンヨー(オットー)、三菱(ダイヤトーン)等、大企業は『企業としての文化』をいとも簡単に捨ててしまいました。企業として文化の担い手となることを放棄してしまったのです。 三菱など、さも得意そうに砂丘だか砂漠だか判りませんがスピーカーを砂の中に埋め込んで無限大バッフルを実現し、マイクを上から吊り下げて周波数特性を測定しているCMがありましたね。部屋の中で音楽を聴くためのスピーカーを作るのに、なぜ砂丘だか砂漠のような非日常的な環境の中でデーターをとる必要があるのでしょう?私には理解できません。 唯一例外があるとすればヤマハの【NS1000M】が思い浮かびます。このスピーカーはベリリウムの振動板を使ったことばかりがクローズアップされていたように思います。それも要因のひとつだと考えられますが、システムとして音楽が鳴っていたように思います。ですが、ヤマハもこのNS1000Mをとうとう越えるスピーカーは作り出せなかった・・・。【まぐれ】だったのかもしれません。 正直に言いますと私は日本人が好きではありません。Minority(少数派)を尊重しないからです。何でも多数決で右に倣えをよしとする自分の意思を持たない国民性に思えるからです。個人の意思をこんなに軽視出来得る民族もそう多くはないでしょう。その上、文化(文明ではありません。)を理解する人の数の少なさは世界有数ではないでしょうか?私の文化レベルなどたかが知れていますが、あまりにも文化を理解しない(しようとしない)人が多すぎるように私には思われてなりません。これも敗戦で自国の文化を捨てざるを得なかった年代の人々なら理解できます。ですが現代はそういう時代ではありません。若者はもっと謙虚に(と同時に自分の未来に誇りを持ち)先達の文化を学ぶべきです。壮年の人はもっと自分の意思をしっかりと表現すべきです。今、日本は何処へ向かっていこうとしているのでしょう・・・。 また、近畿圏でもこの文化の消失は大阪が最も進んでいるように思います。神戸や京都はまだ大阪に比べれば文化を愛する人が残っているようです。それはジャズ喫茶の数に顕著に現れています。文化レベルとジャズ喫茶の数は比例する!との研究発表を行いたいぐらいです。 -------------------------------------------------------------------------------- ----- Original Message ----- From: info@rosenkranz-jp.com To: T.W Sent: Tuesday, April 02, 2002 1:39 PM Subject: Easy Come Easy Go T.W様 後になって気がついたことなんですが、「大企業が文化を捨ててしまった」ということについてですが、彼らはその事を文化とは最初から受け止めていたのではないのかもしれません。もちろん、携わっている当事者の中には純粋な人も多かったと思いますが、儲かるから参入しない手はないということの方が強かったと思うのです。 企業ですから営利が優先するのでしょう。しかし、儲かるからといって単純な動機で初めても、三度の飯より好きという人たちには最後は、かなわないという見本のようなものでしょうネ。それは、数ある部門の一つですから無くなったって命にはべつじょうありませんから。英語の諺の、「Easy Come Easy Go.」に当たるものです。 次々と廃部に追い込まれていく、今の企業スポーツの在り方なども全く似ていると思います。数字しか見ない銀行あたりから、融資の条件として突きつけられたりすることがきっかけとなるのでしょう。 しかし、本業として1本でやっている所は、それを止めるということは、死を意味しますからドッコイ違いますよね。ここらあたりが勝負の分かれ目になるのではないでしょうか。 ですから、そうなるべくして、そうなった必然と見るべきだと私は見ます。最初から答えは解っていたと言ってもいいのではないのでしょうか。 --------------------------------- ローゼンクランツ 貝崎 静雄 〒733-0003 広島市西区三篠町2−17−7 tel&fax 082-230-3458 info@rosenkranz-jp.com --------------------------------- http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020403.htm その15 「栄えあるBIGJAZZの初代リファレンス達」
栄えあるBIG JAZZの初代リファレンスに選ばれたメンバー達が演じる音楽を、今日これから聴くのですがどんな音になるのかワクワクします。初期ロットで作った物は待ちきれない何人かのお客さんが買って行きましたので、もう手元には2個しか残っていません。ですからしばらくはPB-BIGで聴いておりました。 2ロットめのBIG-JAZZ とりあえず、前回と同じくスピーカーを除いたコンポに3X4の12個入れての試聴です。毎度の事ながら、入れ替えていきなりは良くありません。足元から崩れたような安定しない音です。でもそんなひどい症状はごくわずかな時間で解消し、5曲目のBona And Paulあたりから俄然調子が出てきました。6曲目はあまり好きではありませんので、スキップして7曲目のA Sleepin' Beeを聴きますと、ますます調子が乗って来ているのが分ります。 いや〜!ブラシによるドラミングのリアルなこと。またリズムを受け持つベースも何とも言えずご機嫌なノリです。ピアノの輝きある音も素晴らしく、ハードメイプルを音色の基本に置いて組んでいますので、楽器の響きに瓜二つのような音空間を展開しています。その音空間というのがどういうものかと言えば、リード楽器のトランペットがフロント中央前部に位置して、ピアノは大きくその後方から包み込むような壮大な鳴り方を、またドラムスもその若干左かなというくらいで、やはり同じように拡がりを持っています。この曲はピンポイントのようにアーティストの位置関係がよく判るものではありません。 Wynton Marsalis Standard TimeVol.3 いきなり、Rejinald Vealのりりしいベースのリードで始まる8曲目のBig Butter And Egg Man、これは一転して位置取りが手に取るように見えます。左手にベース、右手にピアノ、後方にドラムス、当然ペットは中央のダイヤモンド型のカルテット構成です。 クッキリと浮かび上がるように生き生きとしたシンバルワークが聞こえるのはBIG JAZZのディンプル効果のせいでしょうか?。非常に耳によく通るように入ってきます。 自信に満ちたwynton Marsalisのトランペットの音色が部屋一杯に響き渡ります。微動だにしない音程を保ちながらメロウなSkylarkを聞かせてくれます。こうしたスタンダードな曲を演奏すると本当に実力が分ります。見事に乱れの無いメロディーを歌い上げます。 ローゼンクランツのリファレンスシステムは切れのある音楽を聞かせてくれますので、テンポとノリはこの上ありません。本当に生きのいいことといったら他に変わるものは何も無いでしょう。そのことの一点に絞って磨きに磨き込んだ音なのです。私は如何に大迫力の音がしようとも、萎えたような重さを感じる音は嫌いなのです。例えば、鉈のように重さでもって壊し切るようなものより、お互いの切り口がピタッとくっつくようなものでなければ嫌なのです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020409.htm その16 「Running Bass」 ローゼンクランツのリファレンススピーカーは、ウーハー、ミッド、トゥイーターと独立したエンクロージャーに納め、ひな壇式に積み上げた形になっております。そして、それぞれのサイズに適したインシュレーターを下から順番にPB-BIG、PB-DADDY、MB-18と使用しております。 この度、やっとBIG JAZZのメンバーが18個揃いましたので、全てに同じ物で聴く事が出来ます。丸々2昼夜は、スピーカーだけを除いてCD、コンバーター、コントローラー、パワーの4ヶ所に使用した形で聴きました。というのは、スピーカーのみBIGJAZZが入ると表面のディンプル加工が残りのミッドとトゥイーターの二つと違いますので、その音の違いの確認を取る必要があったからです。ここまでの状態の音は、・・・「その15」で報告させて頂きました。 スピーカーにBIG JAZZを入れて、深夜の2時から聴き始めましたが、10分間ほどは足並みが揃わず低音が全くと言っていいほど出なくなりました。15分目位からでしょうか段々と波動が揃って来る様子が分ります。それにつれて動きのある低音が出始めてきました。 その「動きのある低音」というのは、ちょうど鳩が首を振るような黒人特有のノリです。この感じはステレオと付き合って私も40年になりますが、初めて経験するものです。生でしか感じることの出来ないノリと言ったら分ってもらえるでしょうか?。特に19曲目の「I Gotta Right to Sing the Blues」に於けるWalking Bassなどは、軽快なあまりRunning Bassと言いたいぐらいのノリです。 今日の私はいたって冷静です。少しずつ積み上げて来た、この一連の「振動の時間軸」の研究の成果が、ここに来て真の意味で「花開いた」のでしょうか?いや!、いや!、そのもう一つ先の「結実した」状態なのかもしれません。感じることは、とにかく、音楽のエキスがものすごく濃いのです!。ですから、ボリュームも上げる必要を感じません。それでも十二分に満足出来るのです。 いくら大音量で聴いても一つも迫力を感じない音というのがありますが、それは簡単に言ってしまうと音楽のエキスが出ていないだけのことです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020412.htm その17 「スラップスケート」
スケートの堀井選手がとうとう引退することとなりました。一時は世界新記録まで出して世界のトップに君臨したことのある名選手ですが、長野で見せた彼の涙は強い印象として残っています。全てはスラップシューズが彼を狂わしたわけですが、何ともやり切れないものがあったのでしょう。 その堀井選手を悩ましたスラップシューズと彼の「微妙な関係」なるモノを、今”ひょっと”私は感じています。「それは何か?・・・」といいますと、一時いいと感じた音が2日、3日、4日と経っていくうちに次第に音楽の魅力を感じられなくなっていることに気づきます。 雛壇式に積み上げたローゼンクランツのリファレンススピーカーに「BIG JAZZ」、「DADDY」、「MB-18」と3種類のインシュレーターを「ウーハー用」、「ミッド用」、「ツイーター用」として鳴らして1週間です。どうしてもその音に耐え切れなくなって、確認の為にもう一度BIG JAZZをPB-BIGに戻してみることにしました。 入れ替えた途端、音楽が流れ始めたことにホッとした安堵を感じる自分が分ります。それは最初に懸念した通りのことがやはり起こってしまっていたのでした。それから今日でさらに3日経ちましたので、感じ方に変化の無いことを確認しています。 前回、「Running Bass」と言って、鳩が首を振るようにノリがよくご機嫌な様子をお伝え致しました。そしてその時、今日の私は「いたって冷静です」とまで言ったのですから、穴があったら入りたいぐらい恥ずかしい気持ちですが、改めて訂正致します。この事によって今私が感じていることは、「縦波」と「横波」の問題を整理して考えなければならないと新たなテーマを感じている所です。 このことについては、また後日感じたままを述べてみるつもりです。「振動の時間軸」というテーマを持って研究している当の本人の私でさえ判断を誤ることがあるという見本ですから、それぐらい振動のタイミングが揃うことが難しいということを皆さんに改めて感じていただければ幸いかと思います。こうした事は測定やデーターに決して現われることはありませんので、最終的には自分の感覚しか頼るものはありません。 特に気をつけて頂きたいこととしては、考え方や構造の違うインシュレーターを重ねて使っている方を時折見かけますが、音が複雑になって何が良くて何がよくないのか訳がわからなくなってしまいますので、そうした使い方は避けるべきであります。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020420.htm その18 「縦波」と「横波」 ドルフィンキック この「縦波」と「横波」という言葉から私がいち早く想像するのがイルカの泳ぎです。大半の魚は尾ひれを横に振って泳ぎます。その中でも特に「鯖」や「鰹」や「ブリ」といった回遊魚は大砲の弾のような形をしていてとても速く泳ぐことが出来ます。食物連鎖からしてもそれらを餌にして生きて行く為には、更にもっと速い泳ぎを身に着ける必要があります。その為に編み出されたのがドルフィンキックなのでしょう。 愛嬌のあるイルカがジャンプして輪くぐりする様子を見ていますと、もの凄い力であることが分ります。最近人気が出てきたシンクロナイズドスイミングでも水中からジャンプしますが、それも何人もが力を合わせて持ち上げても足首が水面以上まで出ることはありません。それぐらい強い力を彼らは持っているという事になります。 回遊魚は全身が筋肉 空気中よりも大きな抵抗のある水の中で、疲れを知ることなく泳ぐのですからその身体能力の高さには驚かされます。その力の秘密はどこから来るのだろうか?、とふとそんな事から鯖を輪切りにした煮付けを食べる時を思い起こしてみます。その身のほぐれ方から年輪のような形をしているのがそれら回遊魚の特徴で、全身がプリプリとした筋肉であることがよく分ります。鯛やヒラメのように平べったい形をした魚とは身の付き方が全く違います。 こうした身体の構造が強い力を生み出す源だということが分ります。イルカの肉体構造こそ知りませんが、それらを更に上回る身体能力を持っていることだけは確かです。ただ見ていて分ることですが、パッと身をこなす左右方向への急旋回ということについては「横波」の方がどう見ても有利ではあります。そのことはピアニシモの微弱音あたりの表現には向いていると言えるかもしれません。 形状の違う物は波動が合わない ここで我がローゼンクランツのインシュレーターに話を戻しますが、表面が平らな形状の物とディンプル型のBIG JAZZを同じ機器の中で混ぜたが故に波動が合わず、ハーモニーを生み出せなかったものと思います。特にスピーカーの場合は振動エネルギーが強いものですからその差がより顕著に表れるのでしょう。 4段のラックにはCDトランスポート、DAコンバーター、パッシブコントローラー、パワーアンプとBIG JAZZを3X4の12個使い、スピーカーのみPB-BIGにDADDY、MB-18とした場合が現時点において一番私の好みとする鳴り方がします。ただ、当社の場合は3段直重ねの特殊なスピーカーであることをお断りしておかなければなりません。まだ実験はしていませんが単体のスピーカの場合であれば間違いなく全部同じタイプのインシュレーターで揃えるのが、より一層足並みが揃って音楽の抑揚が出るものと思います。 「棒と板」より、「棒と棒」の方が波動が揃う この「縦波」と「横波」の違いということと関連して似たようなことを過去に経験しております。それはCD及びアナログのディスクスタビライザーの開発実験の過程においてのことです。2枚の真鍮板を貼り合わせる際に、「薄い鍋型の母材」と鳴き止めに使う「ドーナツ型の副材」の組み合わせの違いによる音の違いを調べたものです。「棒と板」、「棒と棒」の組み合わせた物を聴き比べますと、明らかに「棒と棒」の組み合わせの方が音楽が流れるようにハーモニーがより美しく聞こえます。 目は騙せても、耳は騙されない この事は伸銅品が出来る時に加えられるストレス(一種の波)は外から中心に働きます。方や板材はローラーで伸ばされますので当然ストレス波は水平方向に加わります。その波動の違う物を組み合わせた時には、何とも両者が嫌がっているような感じが、否が応でも、もう一方の波動の揃った「棒と棒」で出来た物と比べてしまうと判ってしまうのです。目で見ただけでは誰も製品の違いを言い当てることは出来ませんが、音としての違いは誰が聴いても分るのですから、「目は騙せても、耳は騙されない」、人間の耳の力というものは恐ろしいものです。またこれは回転するものですから、なおの事同心円状の波動の棒が良かったのです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020422.htm その19 「JAZZ喫茶メグ訪問」 寺島さん宅には、連休初日である28日の日曜日15時にお伺いする約束をしています。当日は早めに宿を出て、秋葉原のガード下のパーツ街で色々と買い物です。特に今日見つけた一番はビットのセットです。訪問先では何があるか分りませんので、工具箱に積んでおくと何かと便利で、これだけあれば回せないネジはないでしょう。 ( 広島に帰ってからの話 > 納品に来た、K氏に「これ買ったよ!」。 「これだけありゃー廻せんネジは無かろ〜?」。 ジーッとK氏がビットを見て、突然WBTのスピーカー端子を持ち出し・・・ 「廻せんネジがあったよ〜」とかる〜く一言・・・。 「どこにやぁ〜」。 「これ!」。 「ほんまじゃ〜」。 「カーッ!」と頭に血が上って行く私があった。 “このヤロー!!”、気の利かん奴じゃ・・。 -------------------------------------------------------------------------------- 一旦神田に戻り、中央線で吉祥寺に向かいます。今日のもう一つの目的はJAZZ喫茶メグに行くことです。駅を下りてタクシーに乗り運転手さんに番地を告げますと、このすぐ近くですからそこの交番で聞いて歩いて行った方がいいでしょう、と言って下ろされました。 線路沿いに歩いて2〜3分。この筋だと思い入りましたら、「ひ・ら・が・な」でスナック「めぐ」という看板が目に入って来ました。いくら変わり者の寺島さんとはいえども、JAZZ喫茶に「ひらがなはないよなぁ〜?」と思い、周りをウロウロ眺めると、紛れもなくJAZZ喫茶にふさわしいカタカナの「メグ」という文字がすぐ目と鼻の先で見つかりました。テナントビル風の2階です。 E/VジョージアンUとマッキントッシュMC2500 店内に入ると正面にはレジカウンターがあり、そのすぐ右手にジョージアンのスピーカーが店内の奥に向かって置いてありますから、お客さんが皆さんこちらに向いて座っている格好になります。どこのJAZZ喫茶も同じですが、7〜8人はいましたでしょうか一様に皆さんうつむいて一人JAZZの世界に浸っています。とはいえ、入った瞬間全員の視線がこちらに集中したかのような錯覚を覚えるようです。話し声一つ聞こえることはありません。まるで、「音楽を聴く人の迷惑になりますから、一切会話はしないで下さい」。とのおふれが出ているのかと思うほどです。一般人からすると、何とも異様な雰囲気でしょう。 老舗のJAZZ喫茶だけあって、ソフトはほとんどLP中心みたいでした 皆さん奥側の席に座っていますから、私は店内の中央ぐらいの席に着きアイスコーヒーを注文しました。ウエイトレス一人しかいないようで、その娘が音楽もかけているようです。店内に流れている曲は誰の曲か判りませんでしたが、とってもいい曲が鳴っていました。「あそこの音はキツイから、耳栓をしないと聴けないぞ!」といった感想を過去に聞いたことがありましたが、決して今日鳴っている音はそんな風ではありません。明瞭度こそありませんが、構えて聴くことなく、とても雰囲気のある音で、寺島邸の凄い音とはぜんぜん違います。 値段はほとんどのドリンクが600円で安いです 同じ人物の音とはとても思えず、どちらの音が寺島サウンドなのか不思議でなりません。私でしたら、システムこそ違っても出てくる音楽のエキスには、共通したものが自ずと出るものと思うのですが如何なものなのでしょう?。 椅子やテーブルも年期が入って雰囲気は最高です アイスコーヒー代600円を払おうとレジに向かうと、そのすぐカウンター越しにトーレンスのレコードプレーヤーで鳴らしていました。「これから、寺島さんのお宅へお伺いするところなんですよ」と言っても、彼女はキョトンとした様子で何も知らないみたいでした。これまた不思議。 タクシーに乗って、「本町4-4お願いしま〜す」。 カイザー 寺島邸に着くや否や、「いま、メグに寄って来ましたけど」、 「どうしてすぐ近くに、同じ名前でひらがなの『めぐ』があるんですか?」と聞くと、 寺島 「そうなんだよ〜!」「世の中には変わった人がいて、その名前を使わして欲しいと言って来たもんだから仕方がなかったんだよ〜!」。 カイザー 「しかし紛らわしくて、間違うお客さんがあるでしょう?」「僕も、もうちょっとで、そちらに入るところでしたよ〜!」。 寺島 「そうだろう!、困っちゃうよな〜」。 「ところで、どんな感じだった?」。 カイザー 「どんなって、皆さんうつむいて音楽に浸っていましたよ!」。 寺島 「アッそう!、やっぱりそう!、そういう雰囲気って嫌いなんだよねぇ〜」。 「楽しそうに会話を楽しみながら、JAZZを聴いて欲しいんだけどなぁ〜」。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020507.htm その20 「柳腰の音とは?・・・確認の為に寺島邸へいざ!」 「お久し振りです」。 「やぁ〜こんにちわ」。 「失礼します」。 「まぁ〜、どうぞ!どうぞ!、今お茶でも入れるから」。 寺島さんは豪放らいらくで口は悪いけど、すごく気を使ってくれるところがあるんです。初めてお邪魔した時などは、寿司を取ってくれたり、イタリア風のサラダだかカルパッチョだったか、いっぱい、いっぱいご馳走になりました。私はてっきり出前を取っているのだろうと思ったら、ところが、”ドッコイ”後から聞くと、寿司は別にしても全部奥さんの手料理だったそうです。すごくおしゃれなお皿に見事な料理でしたから、さすが高級住宅地吉祥寺は違うなぁ!と思いその時は驚いた次第です。 目立って変わった所はありませんでしたが、エールのホーンツイーターの位置が20cm位後ろに下がっていました。 原稿が沢山溜まっているらしく、今日中に原稿用紙30枚くらい書かなくてはいけないそうです。そんな事で僕に与えられた時間は3時間。事前にBIG JAZZを3個、そして今回訪問前に9個お送りしていますので合計12個のBIG JAZZが手元にはあり、寺島さんのPB-BIG12個と併せて合計24個のインシュレーターが勢ぞろいです。 寺島 「今、新しい奴は外してるから、BIGだけの音を聴いてもらった後」、 「この間、リンのCDにBIG JAZZを1個入れた時の音を、それでは聴いてもらいましょうか?」。 寺島さん曰く、「このはみ出し具合が、大事なんだよ!」。 「カイザーさんは最近、マルサリスのスタンダードVol.3をよく聴いてるんだって?・・・それも7曲目を」。 「しかし、僕の場合リファレンスのディスクはその都度よく変わるから」、 「あのディスクはどこへ行ったかなぁ?」。 「他のディスクでもいいでしょう?」。 カイザー 「はい、構いません」。 寺島 10秒ほど鳴らして・・・「どう?この違いは!」。 「ハッキリ聞かせてよ!、カイザーさんの感想を・・・」。 カイザー 「どう?って、言われましても〜・・・」。 「僕にとっては、今出ている音がどうというよりBIG JAZZがいい方向に行きそうだなぁ、と感じることの方が強いですけど・・・」 寺島 「音が痩せるでしょう?」。 「少しスマートになるでしょう?」。 カイザー 声には出さず、”イイヤ、痩せたんじゃない!”、”締まったんだ!”。 「いいえ!、切れがよくなって更にいいと思いますけど・・・」。 寺島 「下が出なくなったでしょう?低い音が」。 カイザー 「僕にとっては箱の付帯音が少し取れて、更に『タイト』でいい方向に感じる音が、どうも寺島さんには『痩せた』ように感じるみたいですね!」。 ”これは3年前の議論の全く同じ再現だ!と、私は心の中でつぶやいた”。 「この度は、私の価値観を寺島さんに押し付けるつもりはありません!」。 「良い悪いは別にして、今回は、如何に寺島さんに気に入って頂ける音を作るかが私の目的なんです!」。 「いくら作った人間がいいでしょうと言ったところで、お金を払って買うお客さんが気に入らなければ何にもなりませんから」。 寺島 「そうだ!そうだ!全くだ!」。 カイザー 「混ぜるとどうも良くないので、最終的には揃った音を聴いて頂きたいのです」。 「ですから、更にひとつづつ、コンバーター、パワーアンプと順番にBIG JAZZを増やしていって聴いてみて下さい」。 寺島 「チョッと待って、それなら今デジタルケーブルの接触が悪く、綱渡りの状態だからパワーアンプから先にやって頂戴」。 「音が真ん中に塊となって飛んでこなくちゃ〜!」その為には前1点、後ろ2点の3点支持で決定。 カイザー 「ハイ、分りました」。 ”ラックの上に乗り、パワーアンプの下にインシュレーターを入れ替えるのに神経を使います”。 狭い所に手を伸ばし、やっとの思いで交換したPB-BIG JAZZ。 寺島 「気をつけてよ!、気をつけてよ!」、 「そのツイーターのケーブルが動くと拙いからねぇ〜」。 「如何ですか?」 「ヤッパリ!同じ傾向だねぇ」。 カイザー 「分りました、コンバータ-に入れると、これで全てBIG JAZZの揃った音になります」。 「僕がやるより、ここは寺島さんがやった方がいいでしょう?」といって、代わってもらいました。 「するとどうでしょう?」、 「デジタルの同軸ケーブルの先端が折れて、完全に外れるではありませんか・・・」。 ”全く考えられないことですが、面倒くさいとおっしゃる”。”こういう事が気にならないこと自体が私には信じられません”。 ”ご自分で何とか念力でつなげると、 寺島 「これは奇跡だ!」、「音が一発で出た!」。 カイザー ”なんと!当のご本人自身が一番驚いているのですから、呆れてしまいました”。 寺島 「いいじゃない!、いいじゃない!」。 「低い音が出たねぇ!、切れもいいし、いうことナシだよ!」。 「カイザーさん!これはどうして?」。 「不思議なことがあるもんだねぇ・・・」。 「これならいいよ!」。 「これはいい!」。 やけに神妙な顔の寺島さん。 カイザー 「やっと!、気に入っていただけましたか!」 「よかった!、よかった!」。 「この度は長期戦ですから、ジックリ聴いて下さい」。 「2ヵ月後にオーディオワールドで東京へ来ますから、その時にまた寄りますので」、 「今日のところは時間もありますでしょうから、失礼致します」。 寺島 「それじゃ!また!」。 カイザー ”やれ!やれ!、やっと理解してもらえた”。 ”ひとまず、安堵しました”。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020508.htm その21 「PB-BIGとPB-BIG JAZZの聴き比べ・・・H,Y氏」
H,Yです。 比較試聴を報告します。 セッティング条件は以下の通りです。 部屋:洋間6畳 ニードルパンチカーペットの上にウッドカーペットを敷いています。 CDプレーヤー:マランツCD94LTD改オーディオラック(ヤマハGTR-1B)の天面にPB-REX(A)を介して設置。オリジナルの脚ははずし、PB-REX(A)を後方2個、前方1個使用。 パッシブフェーダー:レイオーディオMSA202床に直置き。 パワーアンプ:JDF HQS2100UPMオーディオボード(イルンゴGrandezza)の上に直置き。ボードの下は同じ大きさにカットしたループカーペットを敷いています。オーディオボードはアピトン合板製の75mm厚。 スピーカー:レイオーディオKM1Vオーディオボード(タオック4547B)の上に専用台を介してセット。
今回、パワーアンプにPB-BIGあるいはPB-BIG JAZZをセットして、比較試聴しました。 PB-BIG:色付けがなく自然な音色。やや優等生的なサウンドで、おとなしいイメージ。 PB-BIG JAZZ:ごくわずかに固有の金属音が付与されるが、躍動感が出てきて、エネルギッシュな音。まさに音があふれ出るようなイメージ。
イルンゴGrandezzaは、振動を吸収して機器本来の音色を引き出すようなタイプのため、PB-BIGを使ったとき、それぞれの特徴が相殺され、あまりメリットが感じられませんでした。一枚板のような響きの美しいボードとの相性がいいのではないかと思われます。 一方、PB-BIG JAZZの場合は表情が一変しました。大げさではなく、音楽が生き生きとしてきます。不自然さがないため、ジャズだけでなくクラシックもOKです。 余談ですが、パワーアンプにPB-BIG JAZZをセットし、CDプレーヤーのPB-REX(A)をPB-BIGに変更してみました。すると、響きがなくなり、詰まったような音になりました。PB-BIGは重いため、ダンプしすぎてしまうようです。CDプレーヤーにはPB-REX(A)がベストマッチであることがわかりました。 -------------------------------------------------------------------------------- ----- Original Message ----- From: "H. Y" To: (info@rosenkranz-jp.com> Sent: Saturday, May 11, 2002 7:55 PM Subject: Re:PB-BIG返送します カイザーサウンド 貝崎殿 H.Yです。 BIG JAZZは気に入ったので購入します。 金額と振込先を教えて下さい。 PB-BIGは宅急便で返送しました。 5/12到着予定です(伝票No.****-****-****)。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020518.htm その22 「写実派と抽象派」 絵を書くこと、歌うこと、野球をやっても、ゴルフでも、何でも上手になろうとすれば、人は先ず物真似から始めます。私たち普通の者は先ず基本に忠実に元の姿を崩さないようにやるものです。それが寺島さんだけは基本をやらないでいきなり自分のスタイルを押し通すものですから、当然一般の人には理解できないことばかりです。ですから寺島邸を訪れた人すべてと言ってもいいほど彼の音をよく言わないのです。 私も何度お邪魔しても、寺島さんの求めようとしている音の価値観がほとんど分らないのです。言葉では「ガツ〜ン!」とか、「バシャ〜ン」とか、「ゴリッ!」とか言われるのですが、なかなか理解できません。たった一つでも、「この音がいい!」というのが両者一致すればいいのですが、残念ながら今までにはありません。寺島邸で出た音に対して具体的にこの音がいいというのが私には感じたことが無いのです。しかし、それでもただ一つ「ローゼンクランツ」の「インシュレーター」だけにはぞっこん惚れ込んでくれているのです。この事だけが寺島さんと私の唯一の接点なのです。 それが、この度ヤスケンさん宅にお邪魔して初めて気づいたことがあります。音が鳴るなり、「全く同感です!」と言うぐらい、ヤスケンさんが出している音と私が追い求めている音の方向が同じなんだ!、と言うのが会話を交わさずとも瞬時に感じ取れたのです。そしてヤスケンさんに話したことです。私たちは「リンゴ」を見て瓜二つの「リンゴ」を書こうとしていますが、寺島さんの場合なら「スイカ」に見えてもこれが「リンゴ」なんだと言われるようなもので、ひょっとして「ピカソ」や「岡本太郎」の抽象画ような飛びぬけた能力の感性なのかも知れません。 いつでも見事なリンゴが書けて、私たちにそれを見せてくれた後に、「スイカ」の姿をした「リンゴ」の説明をしてくれると理解できるかもしれません。同じような価値観や意思の通じる道具をお互いが持っていたなら理解し合えると思いますが、あまりにも能力がかけ離れていたならば私達凡人には分るはずがありません。 でも私は今日から思いを更に新たに、少しでも抽象画が理解できるように勤めさせてもらおうと思っています。なぜなら寺島さんは64歳にして、あれだけJAZZとオーディオに情熱を燃やし続けられるには凡人のエネルギーで出来るものではないからです。少なくともそのことだけを取ったら私など足元にも近づけません。全ては勉強です。これからも寺島さんとのお付き合いは永くなりそうです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020525.htm その23 「BIG JAZZ化は取り止め」 カイザー 「ディンプル加工に入りますから、必要な数送ってください」。 寺島 「エッ!、何の事?」。 カイザー 「何の事って!、手持ちのBIGをBIG JAZZに加工することですよ、ある程度の数量 をまとめて加工に入りますので、急いでるんですよ・・・」。 寺島 「いや〜!、今回アンプジラ(パワーアンプ)を買ったから、今のところBIGでいい みたい、今のところだよ!、いつ、また変わるか分んないよ・・・!」。 朝と夜とでは、もう、言うことが違うほど、いつも違う音を欲しがる人だから仕方 がありません。 カイザー 「でもアンプが変わったのなら、今度はACケーブルを交換出来るからいいじゃない ですか」。
寺島 「それがネェ〜、聞いてよ〜カイザーさん、アンプジラのトンチンカンめが、何を 考えてるのかこれがまたベルデンの安物で直出しなんだよ!」、「こいつら、電源 ケーブルの重要さ等、分ってないんじゃないのかな〜、まったくもう!、頭に来ちゃ うよ〜」。 カイザー 「あれだけ電源ケーブルに拘ってるんでしたら、着脱できる物にすればいいじゃな いですか?、僕には理解できませんネェ・・・」。 寺島 「そうなんだよね・・・、でもこれいいんだよねぇ〜」。 ・・・と言う訳で、今回も寺島さんのことがサッパリ分りませんでした。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020805.htm その24 「BIG JAZZのメスをJBLメトロゴンの脚に」 メトロゴンにBIG JAZZが何とか使えないかという、T.Wさんの新しい試みです。 現在、スピーカーの4本の脚の下に敷いている【黒檀】に替わって、今後素晴らしいJazzを奏でてくれるであろう念願の【PB-BIG JAZZ】が明日の午後に到着します。【PB-BIG JAZZ】は『メス』側のみの使用となります。 現在使用中の【黒檀】も非常に良い音を響かせてくれています。音の重心が下がり、ふわっとした音場感も大変素晴らしい。 【PB-BIG JAZZ】がどれだけこの【黒檀】を越える事ができるのか?期待で胸が一杯です。 今夜はなかなか眠れそうにありません。 スピーカーの脚の下に敷いている黒檀 約束通り、昼過ぎに【PB-BIG JAZZ】が届きました。 『メスだけの場合でも、Aの刻印の方向を合わせてください。』との親切なメッセージが添えられていました。 『うちの奥さん』と二人で200kg近くはありそうなメトロゴンを持ち上げて、【黒檀】と【PB-BIG JAZZ】の交換をしなければなりません。交換途中では『持ち上げるぞ!準備はOKか?』、『ああ、向こうがずれたわ!』などと大声の出し合い、交換後は汗だくで手足がわなわな震えていました。『うちの奥さん』によると、メトロゴンのインシュレーターの交換は前回で懲りていて、今回の出来事には恐怖さえ感じていたようです。 その上、Aの刻印の方向まで合わせなくてはなりません。 私は交換の後、『うちの奥さん』のマッサージで何とか生き返ったようです。 風呂上りにはインドメタシン配合の筋肉鎮痛剤まで塗る始末です!もう若くはないのだなぁとしみじみ感慨にふけりました。 PB-BIG JAZZに交換後 PB-BIG JAZZ全景 肝心の音は、聴いた瞬間にも判断できるぐらいの効果がありました。音の彫が深くなり、音に立体感が出てきました。高域のシンバルは元々芯があり、厚みもありましたが『シュワ〜ン』という響きが綺麗に乗り、目の前で実物が叩かれているような錯覚にまで陥りそうです。 ピアノはコロコロとよく転がり、低弦の音がとってもリアルです。スピーカーの周りの空気が綺麗になったように感じられて、これはまさにエアコンのよく効いた部屋の空気感に似ています。 低域のベースやバスドラの分離もよく、図太い低音とはこういうものなんだ!と自分で一人納得しています。 音楽が、Jazzが生き生きと鳴り響いている感じです。 ところで、過去にマルチ・アンプで鳴らしていた時のウーハー用パワー・アンプは600W(片チャンネル)でした。現在はシングル・アンプでたったの7W(片チャンネル)です。それなのに、現在の方が比べものにならないぐらい低音の量感もあり、ウーハーをぐっと鷲掴みにしてちゃんと制 動しているように感じるのはどうしてなのでしょう?各種ケーブルやインシュレーターもその時とはずいぶん替わっていますが不思議でなりません。(マルチ・アンプを使いこなせなかったと言われればその通りです。) 技術の進歩とは、コストの削減にしか生きていないように感じる今日この頃です。(^_^;) これから1週間、1ヶ月と時間が経つと馴染んで、ますます良くなっていくのでしょう。ありがたい事です。 -------------------------------------------------------------------------------- T.Wさんはご自分のホームページを持っておられますので興味のある方は訪ねてみてください。 http://www2.odn.ne.jp/jazz-audio/index.htm http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020808.htm その25 「すぐに送ってください。さっそく試したいです・・・」 第29回 「ジャズびたりオーディオ 桃源郷」 寺島靖国・・・オーディオアクセサリー106号より抜粋 まず、ローゼンクランツの「ビッグ・ジャズ」について報告しなければならない。毎々お知らせしているとおり、私はローゼンクランツのインシュレーターの愛用者である。我が家にはなぜかこの会社のアゴ上下関係の法則に則った製品が合う。というよりこれが無くては我がオーディオは機能しない。低音の製作者であり、音の凸凹の作り手でもある。特に低音については音の設計者と言ってもいい存在だ。 ビッグを購入、愛用していたが、ある日電話があり、アンタのために「ビッグジャズ」を作りましたよ、というのである。 「すぐに送ってください」。 「さっそく試したいです」。 「至急頼みます」。 来た。はめた。聴いた。何が「ジャズ」だ。せっかくの黒いジャズが白いジャズになってしまったではないか。タバコのケムで燻されたライブハウスの空気が一転、すっきりしてしまった。不良がいっきに秀才になった。 私の愛用する「ビッグ」との違いは、表面と裏面にうがたれたいくつかの穴。それだけである。それだけでこんなに変わるものなのか。私は自分の耳を自慢しているのではない。私のシステムはいつの間にか、変化に鋭い反応を見せるようになったのだ。 ジャズ。私はようく考えてみた。一口にジャズといっても広うござんす。多種多様である。ブルーノートからECMまで。そうか、分った。私とローゼンクランツのご主人のジャズは違うのだ。彼は私のジャズの好みを分っているはずである。にもかかわらず、始めると結局自分の好みのジャズの音を作ってしまうのだろう。 彼の音を思い出していた。みなさん、憶えておられるだろうか、彼が我が家へ来て、1日精魂傾け、私のシステムを自分の音に作り替えた。第1音が出て、私は嘆き「低音がなくなった」と言った。すると彼は言ったのだ。「低音て何です」。 低音も中音も高音もない音。オーディオマニアは最終コースにたどり着き「仙人」になると、そういう音を志望するようになる。広島の彼の店の音。それだ。今回の「ビッグジャズ」はそれに近い音だ。 私は突き返した。私はまだ仙人になりたくない。汚れた世間で右往左往していたい。10年先の話だ。10年後に相まみえよう。さらば「ビッグジャズ」。日本に30人ほどいる仙人ファンに可愛がってもらえよ。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020828.htm その26 「空気を切り裂き遠くへ届ける。ギッシリと濃密な再生」
テストルーム2002 PB-BIG JAZZ 30,000円(1個) 林 正儀 インシュレーターでジャズ専用なんて、ローゼンクランツぐらいのものだろう。PB-BIG JAZZのスペシャル仕様というのは分かるが、何とゴルフボールのようなディンプルが切ってある。空気を切り裂き、エネルギーを保ったまま遠くへ届け!そんな願いと着想から生まれたのであろうか。子穴は全部で16個。オス、メスともだが、精密に重量バランス確保したのはもちろんだ。 忠実にローエンドまで伸ばしたBIGよりわずか帯域はつまるが、その分ぎっしりと濃厚、濃密。太く骨格のがっしりとした、なおかつ鍛えあげた筋肉質なサウンドはまさにジャズライクといえる。シンバルのしなりや波面をこれほどリアルに再現するインシュレーターはめったにない。BIGの波動コントロールの進化の上に咲いた入魂の作品だ。 オーディオアクセサリー 106号より転載 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20020830.htm その27 「BIG JAZZの成約率は100%」
まだまだ、PB-BIGに比べるとその売れ行き数は充分とは言えませんが、PB-BIGJAZZを試聴された方は今のところ100%購入に至っています。これはアナログディスク・スタビライザー(STB-DAIBUTSU)以来の出来事です。 何と言っても、その”ノリの良さ”がジャズファンにとっては堪えられないようです。”スイング”、”抑揚”、”溜め”、また、一気に解き放たれる喜びの表現などは、スピーカーから出てくる音とは信じ難いほどのリアリティーです。 萎えた電気仕掛けの音を、一気にライブの興奮へと導いてくれます。 そう、ローゼンクランツのBIG JAZZは”音”を”音楽”に変えてしまうのです。 信じ難いこの素晴らしい感動を、是非!貴方もご体験ください!。 貸し出し試聴のお申し込みはこちらへ。 詳しくは http://www.rosenkranz-jp.com/Product/Information/audition_information.htm http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20021225.htm その28 「PB-BIG JAZZ有り難うございます」 ----- Original Message ----- From: "H.K" To: (info@rosenkranz-jp.com> Sent: Sunday, December 29, 2002 3:44 PM Subject: PB-BIG JAZZ有り難うございます 貝崎様 PB-BIG JAZZって魔法のようですね。 JBL 4343から出くる音全てに音符がついているようです。 FMラジオのアナウンサーの声まで! そしてLPってこんな音が隠れていたんですね。 あの重いスピーカーが踊っているようです。 ほんとうに楽しい音を、有り難うございました。 つい最近、カイザーのジャンパーケーブルも手に入れて更に音に艶が出て、ただただびっくりです。 そこで質問なのですが、スピーカーのアタッチメントでJBL 4343にはあのままでは取り付けるスペースがありません。Yラグの部分が90度くらいに曲がっていれば取り付けも可能と思うのですが、そういった物はできる物でしょうか。 たいへん不躾な質問で申し訳ありませんがいずれアタッチメントも是非欲しいのでお教えいただけると嬉しいです。 よろしくお願いいたします。 H.K http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20021231.htm
その29 「軽い気持ちで一寸試しに聞いてみたい!」
◆ PB-DADDY JAZZの感想 ◆ 返却が遅くなりましてすみません。 「いや〜不思議ですねぇ〜」。 最初は軽い気持ちで申し込んだんです。 「ちょっと試してみるだけ」・・・ってな感じで。 カイザーさんには失礼でしたけど。 こんな高価なインシュレーター買うつもりなかったんです。 「そやけど、ビックリしました」。 何がどう作用しているのか分かりませんが、 ベースがブンブンやなくて、 バキバキ言い出して、 ボーカルが生き生きとしてきて。 ウーン、これはきっと気のせいや、 錯覚やと思って、また元に戻してみたりしてみましたが、 やっぱり、違いはハッキリとしてました。 もう元には戻せません。 「買い替えなアカンなぁ」。 と思ったX-10Wですけど、金も無いし、 もう少しこれで頑張ります。 カイザーさん、ありがとう。 今度、これをアンプとかに付けたらどうなんねんやろ。 楽しみです。 「もうちょっと、安くなったらええんやけど、 では、またよろしく」。 T. http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030115.htm その30 「JAZZ喫茶メグで”Kaiser Wave”のイベント」 秋葉原で寺島靖国さんにばったり出会いました。 「寺島さん、お久し振りです」。 『な〜んだ!、カイザーさん、最近冷たいね〜、私に三くだり半?、 東京へ出て来たっていうのに、全然連絡くれなくって・・・』。 「ごめんなさい・・・、寺島さんに聞いて頂くには、まだ音が出来上がっていなかったものですから・・・」。 「でも、もう大丈夫ですよ、いつでもいらしてください」。 『ところで最近はどう?、商売の方は?』。 「有難うございます、おかげさまで儲かっています」。 『呆れたもんだね〜、よくも、ぬけぬけと言うね〜・・・、こりゃ〜参ったな〜』。 『自分で言ってりゃ〜世話はないよ、でも、商売は先ず儲かんなくちゃねぇ〜』。 『今度ある企画で、変わった人間を取材する事になっているんだ、 ちょうど良かった、打ってつけだぁ〜カイザーさんは、近いうち訪ねていくから』。 「それはそうと、寺島さん!、 ”カイザーゲージ”という音の良さを計る物差しを、 近々発売しますので楽しみにしていて下さい」。 『また、相変わらず難しい事をいうから、さっぱり分からないなぁ〜・・・』。 「目で見て、音の良いポイントが分かる物なんです」。 『また、ウソみたいな?、そんな簡単な物があったら苦労しないよ・・・』。 「その内、段ボール箱に一杯それをアメリカに送って、 オーディオショーの会場でばらまこうと思っているんですよ」。 「そして、世界中の人達に、私が発見した音の良いポイントを見つける方法を訴えるんです」。 『それまた、カイザーさん大きく出たね〜』。 『そりゃ〜、楽しそうだ!、是非それ、うちのメグでイベント組んでくれないかな〜?』。 「お安い御用です!、楽しくやりましょう」。 『じゃ〜、話は決まった、3月下旬の日曜日にスケジュールを組んでよ』。 というような事で、とんとん拍子に話が決まりました。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030211.htm その31 「まるごと一冊寺島靖国」
『改めて、BIGの良さを再認識したよ!』。 と、持ち上げて下さった。 パワーがJDFからアンプジラに代わってから色々とやってみたが、 その威力には本当にビックリした。 『音楽の友社から出たんだけど、そんな事を大きく取り上げた、 僕の書いたムックを見てくれた?』。 「いいえ、申し訳ないんですがまだ見てません」。 「そのムックっていうのは、どういう意味なんですか?、 恥ずかしいですが、初めて耳にした言葉なので教えてください」。 『あっ、そう、単行本と雑誌の中間のサイズの物なんだよ』。 「そうですか、それではこの足で帰りに買って見させて頂きます」。 『わざわざ買わなくってもいいけど、一度見ててよ』。 そうなんです、寺島さんの立派なところは決して恩を着せるような事をしないのです。ですから、今までに私のところの製品を取り上げてくれても、ただの一度だって連絡してくれた事はありません。 私は、寺島さんのそういうきれいな所が好きなんです。 昭和通りの秋葉原ショセン・ブックセンターまで行き、探してみるのに見当たりません。そこで店員さんに聞いても分からなかったので、翌日村井さんに尋ねてみる事にしました。さすがは情報通です。 『あっ、それなら家にありますから持って行って下さい』。 ということで、早速頂きに上がる事になりました。 「それはそうと、ムックとはどこから来た言葉なんですか?」。 『10年も以上前に出来た呼び名で、 マガジンとbookを合わせた造語なんです』。 「ハハ〜ン、そういう事か!」。 持って帰って読んでみました。
本のタイトルは、「まるごと一冊寺島靖国」。 そのタイトル通り、これ一冊あれば寺島さんのすべてが分かる超お買い得です。 なかでも、この1月に無くなられた安原顕さんとの対談が特に面白いです。 お二人は同じ早稲田の悪友同士で、音の好みではまるで正反対ですが、 一番気が合った親友だったみたいです。 私自身は寺島さんの音より、安原さんの音と好みがピッタンコでした。 ( オーディオ武者修行と銘打って著名人宅の訪問記 >。 ( 寺島靖国人生の100枚 >。 ( メグのレコード係が語る寺島靖国の横顔 >。 ( 寺島オーディオの変遷 >。 と、内容も盛り沢山です。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030213.htm その32 「メグでのイベントで寺島さんはBIG JAZZの良さに気づくかな?」 BIG JAZZを一度は気に入ったかに見えた寺島さんではありましたが、 パワーがアンプジラに変わるタイミングだったものですから、 インシュレーターまで変わってしまったのでは判断の基準が狂ってしまうのが怖かったのでしょう。 そんな事で、BIGからBIG JAZZに変わることになっていたのが、 急転直下、元の鞘に納まったのです。 昨日と今日とでは、言う事がコロッと違うあの人ですから、 一向に気にはしませんが、 『俺はメロディー派だ!・・・』というのであれば、 私としては、そこらあたりの事はもうそろそろ読み切って欲しいのです。 でも、私にはどうしても寺島さんは『音派』にしか見えないのです。 ここらあたりのすれ違いが、いつまで経っても音の好みが合わない二人なんでしょう。 3/30日(日)18:00からメグで行うローゼンクランツ製品の試聴会には、
もちろん、その両者の聴き比べを、”衆目の一致した所”で、やろうとほくそえんでいる私なのです。 そして、その時の聴衆の反応を見た時に、 寺島さんの顔色がどう変わるのかが、 目下の所、私の最大関心事なのです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030215.htm その33 「寺島靖国のジャズ道場破り」 寺島さんがFM東京の方と一緒に取材にやって来た 吉祥寺から門前仲町までは東西線で乗り換え無しで一直線です。時間にして30分ほどで着いたそうです。カイザーサウンド東京試聴室までは歩いても5分ほどですからあっという間に着きました。 各々契約している人に渡されているシャッターのリモコンを操作してマンションの地下に車で下りていくのですが、寺島さんはそれにいと驚いた様子で、『カイザーさん凄いところに住んでいるんだね〜・・・!?』と大きな目をキョロキョロさせる。 ガラス張りのエレベーターから見える地下1階〜35階までの吹き抜け構造にたいがいの人が驚かれるみたいです。 『ところで、買ったんじゃないよねぇ?』。 「買える訳ないじゃないですか〜・・・」。 『とすると、家賃はいくらなの?』。 「22万です」。 『あっ、そう・・・!?ここらへんは意外と安いんだねぇ・・・』。 「窮屈なところですけどどうぞ!どうぞ!」。 『いや〜、スッキリしてるね〜』。
『カイザーさん、今日の取材インタビューはステレオについて詳しくないリスナーの方も多いから、あんまり難しい事はしゃべらないようにお願いしますね!』。 「はい、分かりました」。 『いきなりだけど音を聴かせてよ』。
ご持参のディスクはピアノトリオです。 「はい、音量はこれくらいでいいですか?」。 『まだ!』。 「これくらいですか?」。 『まだ!』。 この時点でアルミコーンのスピーカーは歪んでいます。 相変わらずの大音量派です。 『これでどうですか?』。 『まだ!』。 もう歪みまくりでコイルが焼けないか私は心配なのですが、やっとO.Kのサインが出た。 『いいじゃない!、カイザーさん!、好み変わった?・・・』。 『汚れた音が出てるよね〜、こういう音がリアルなんだなぁ・・・』。 気がついていたのかどうか、最後まで寺島さんはスピーカーが歪んでいた事には触れませんでした。 これから本格的なインタビューになるんですが、質問された事より私はついついこれから広めたい”カイザーゲージ”の事ばかりしゃべろうとするから、寺島さんは困った顔をして、
『どうしてもその話になるんだねぇ・・・、分かった、じゃそのスピーカーの位置による音の違いを聞かせてもらおう』。 待ってましたとばかりに、(緩い音>と(タイトな音>になるように52.5ミリずらした2ヶ所の音を聴いて貰いました。 一緒に来られたFM東京の I さんは持っていたマイクと録音機をその場に置いて、スピーカーの正面まで移動して真顔で聴き始めました。 『何で同じ曲がこうまで変わるんですか?、不思議ですね〜!?』。 この違いには I さんも驚いた様子。 それでは今度はジョニー・ハートマンの歌を聞いてみて下さい。
『あらっ!、ボーカルになると反対の方がいいや!』。 『どうしてこうも変わっちゃうの?、カイザーさん?』。 「僕も今研究中ですから、 これから色々と検証していっているところなんです」。 寺島さんもこれだけの音の違いにはビックリでしたが、それを自分のシステムで実験してみようというところまでではなかったみたいです。 『いや〜、今日は楽しかった、じゃ〜今度のメグでのイベントはよろしくね!』。 「分かりました、じゃ〜近くまで車でお送りいたします」。 放送予定日が決まりました ----- Original Message ----- From: "I . I" To: "貝崎 静雄" (info@rosenkranz-jp.com> Sent: Tuesday, March 25, 2003 9:16 PM Subject: 放送日 貝崎様 TFMのIです。本日の取材はどうもありがとうございました。 見るもの、聴くものすべてが驚きとはこのことです。大変感銘致しました。 さて 放送日時は以下の通りとなります。 4月5日 (土曜) 22時―23時 (ジャズ8) 4月12日 (土曜) 0時―2時 (ジャズ8) ミュージックバードはTOKYO FMがプロデュースする音楽専門の衛星ラジオ放送です。 世界最高(これホント!)の高音質のためジャズ・ファンやオーディオ・ファンに熱烈な愛好者がおります。 ジャズ8はこの中のジャズ専門チャンネルです。 そうそう忘れました。番組名は「寺島靖国のジャズ道場破り」です。 ミュージシャンのHPとのリンクの際は下記URLでどうぞ。 衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」http://www.tfm.co.jp/MB/今後ともどうぞよろしくお願いもうしあげます。 I . I 拝 -- I . I 株式会社FM東京 デジタル放送室 〒102-8080 千代田区麹町1-7 TEL03-3221-0080 FAX03-3221-4048 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030331.htm その34 「メグにおける試聴会は店内に入れないほどの大盛況」 スピーカーの置き場所が店内の奥に変わったという事は伺っていたのですが、何とエレクトロボイス・ジョージアンのスピーカーの上にあの40キロほどあるJDFのパワーアンプが乗っかっているのです。 「Oh! No! アンビリーバブル・・・」。 ナイアガラも聞いて頂こうと持ってきていましたが、何せACケーブルは延長コードでつないでいたので規格が違い他のACケーブルとは互換性無しです。スピーカーはというとセメントブロックらしき物に布でカバーをした物の上に乗せてありますから動かしようがありません。 ”カイザーゲージ”を使って何とか部屋とスピーカーとの空間の時間軸の関係を実演しようと思ったのですが、これまた断念せざるを得ません。山ほどあるネタの中でも、今日はインシュレーターによる音の違いを聞いて頂くぐらいの事しか出来ません。 店内は30人入ったら満席なのに 身動きが取れないほどの大盛況です。 スタッフの方に聞くと、 始って以来の記録でしょうという。 本来なら俄然ヒートアップするはずなのに、 スピーカーの後ろのワイヤリング状態を見ただけで、 私の気分はのっけからクライオ状態です。 「6時から10時までの4時間持つのかな〜・・・?」。 そこへ定刻丁度に、寺島御大がやって来ました。 遠慮しないでやってくれとの事です。 ディスクの選定を寺島さんにお任せし、 私は、半ばヤケクソ気味に、 「もうどうでもいいや!」。 「筋書き無しでやってやれ!」。 と心の中でつぶやきながら・・・。 「とりあえず、現状の音をお聞き頂きましょう・・・」。 この言葉からスタートです。 アンプで押さえつけられ鬱屈した鳴り方の音に、 私の体は悲鳴を上げているのが分かります。 幸いにほんの20秒ほどで止めてくれたので助かりました。 私はたまらず、自分の都合のいいように、 「それでは今度は、アンプをスピーカーから下ろして、 このボードを敷いた状態で聞いて頂くことに致しましょう」。 スピーカーが『楽になった・・・!』と喜んでいるのが私には分かります。 「いかがですか?・・・」。
「スピーカーが楽々と気持ちよく鳴るようになったでしょう?」。 大半の人達の顔は本当に気持ちのいい鳴り方になった、 と顔がほころんでいるのが雰囲気で分かるのです。 すると、そこへ待ったと言わんばかりに、 応じ切れないほどの注文と伝票の山 メグの常連客と思われる50前の男がいきなり喧嘩を売ってくるように、 『アンプを載せてあった時の方が良かった』と言い放った。 その理由は箱が鳴きすぎるというのです。 また仲間内の方が助け舟を出すようにこう付け加えた。 鳴くのはユニットだけで、箱は振動しない為にも重石を載せたほうが良いというのです。 そうしてもユニットの動きを妨げるものではないとも言う。 私の考え方とはまったく相反するものです。 その両者の音の違いが判別出来ないようでは 何を言っても始まりません。 「アンプは重石ではない!・・・」。 と心の中でそうつぶやく私の口からは 次のような言葉が出ていました。 「自由に鳴りたいと思っているスピーカーに、 動くなと命令しているようなものです!」。 そこへ待ってましたと言わんばかりに、 第2波の攻撃が寺島氏自身から飛んで来た。 『俺は人のやらない事をやるんだ!』。 「それは、何をしようと自由ですからとがめる事はしません」。 うぅぅ・・・またもや二人のバトル勃発か?と思わせる気まずい空気になってきました。 『そう!そう!、結局は好みの問題なんだ!』と言い切る寺島さん。 しかし、私にとっては余りにも早く低い点数の段階で、 好みの問題とは言って欲しくないのです。 どうやら被った振動とスイングする音楽振動の区別がつかないようです。 次にアンプを床のカーペットに直置きで 聞いていただきましたが、 音がボケて楽器の音がほとんどイメージ 出来なくなってしまいました。 この音には大半の人が受け付けなかったみたいです。 この時点で初めて敷物による 音の違いの大きさに関心が寄せられたみたいでした。 私としては床にハードメイプルボードを置き、その上にアンプを載せた状態でインシュレーターの効果を体験して頂こうとしたのですが、寺島さんの要望でスピーカーの上にアンプを載せた状態で実験して欲しいという事になったのです。 もう先ほどから私のスイッチは切り替わっていますので、私のやりたい事ではなく会場の雰囲気であり希望する事に照準を当てます。もう一度アンプをスピーカーの上に載せインシュレーターのBIGとBIG JAZZの聞き比べです。 何よりも皆さんが驚かれたのはインシュレーターの前後の向きによる音の違いでした。Aマークを正面から見えるようにしたら音楽のエネルギーが聞き手に伝わりにくくなります。ここらあたりの段階で、先ほどまで反抗的な態度をとっていた方達の態度が変わって来始めました。 何でこうなっているのかは別にして、
確かにこの効果は明らかに認めざるを得ないといった風です。 普段自宅ではAマークをそろえると綺麗になりすぎるからと言って、 わざとずらしている寺島さんまでもセオリー通りが今日は良いと言う。 これまた私には理解不能です。 『BIGとBIG JAZZのどちらが好きか、手を挙げてもらったら?』と寺島さんが提案。 「皆さんそれではお願い致します」。 結果は1:2の割合でBIG JAZZが人気がありました。 私がニンマリしていると、 『カイザーさん!、勝ち誇ったような顔をしているけど、 どっちが良いかじゃなくやっぱり好みの問題なんだよ』。 『家で聞いたのと同じようにBIG JAZZになると音が少し腰高になるから、 やっぱり僕はBIGが好きだなぁ!』。 またその後寺島さんがとんでもない事を言い出したのです。
『BABYとBIGを聞き比べてみようじゃないか?』。 「分かりました!、分かりました!、やりましょう!」。 普段ならゴム足の下にインシュレーターを敷くなんて絶対にしないですが、 今日の私はまな板の鯉状態ですから言いなりです。 もう低音と高音がバラバラになって、 私の聴覚センサーのヒューズが切れて呆然としているところへ。 『村井さん如何ですか?』と寺島さんが同じライターの村井裕弥さんに意見を求めた。 『BABYになるとさすがに、解像度、情報量、立ち上がり等、 全てがBIGに比べるとルーズになった感じがします』。 その後、ディスクSHOWAの松崎さんが自ら手を挙げてBABY(E)の鳴り方が好きだと言い出した。 この音の違いの中でBABY支持派の方が3人ほどいたのには信じ難い出来事でした。 そして、寺島さんまでもがBABY(E)をそのまま使いたいという事になったのです。 今日の件でやっぱり、寺島さんと私は音の好みが合わないと確信がもてました。 ここで一息コーヒーブレイクです。
その間色々な方と雑談を交えましたが、中でも特に印象に残ったのは高校生くらいの息子さんを連れて来られた方のエピソードでした。先日BABY(E)とCOUSINを買ってその音に息子さんが感激して、是非ローゼンクランツのイベントに連れて行って欲しいというのでやって来ましたという話です。その彼の目は吸い込まれるように澄んで輝いていました。 また、メグでも演奏する事があるというミュージシャンの方が、インシュレーターによって音楽の表現が素晴らしく向上したのには驚いたといって握手を求められた事も私には大きなインパクトでした。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030403.htm その35 マニアが聴きたがっていたインシュレーター&ボード
A&Vvillage 62号でインシュレーター11種類とオーディオボード3種類の一斉試聴がありました。レポーターはいつもおなじみの村井裕弥さん、今井 明さん、深川響司さんの3人です。 ローゼンクランツ PB-BIG JAZZ ¥30,000/1個 ● 村井裕弥 音楽の表情がダイナミック うわっ。JAZZなんていう名前が付いているから、クラシックには不向きかと思ったがとんでもない。アテフ・ハリムのヴァイオリン、躍動感5割り増し! さっきまで添え物にしか聞こえなかった伴奏ピアノまで、いきなり自己主張を始めた。 とにかく音楽の表情がダイナミック(乱暴という意味ではない)。だから、マーラー「巨人」第4楽章もスケール感抜群。これに比べると、他のインシュレーターを使ったときの音は、どこか抑えられた感じに聞こえてしまう。 大体弾き方そのものが違って聞こえるし、楽器から放出されたエネルギーがどこまでも伸びて行く。ロイ・ヘインズのドラムは、1打1打がいい意味重い。音像の彫りがいかにも深く (陰翳が濃く) なったのだ。 ● 今井 明 マーラーでは今回ベスト 1 サイズはBIGと同じながら表面に精密なディンプルを刻み振動のコントロールをさらに積極的に取り入れた最早作品とでも言えそうなモデル。基本的にBIGに比べて、という表現になるがアテフ・ハリムでは明るく抜けが良い音だが、響きは深みを増していて音の内面というか密度が充実したような演奏だ。 マーラーでは空間のスケールが一回り大きくなったような印象。より前に積極的に出るような音は正にJAZZ向きだろうがオーケストラも良い。マーラーでは今回ベスト1。 ロイ・ヘインズではドラムのアタック、ベース、ピアノのそれぞれの音の分離が良く開放的で演奏者に一歩近寄ったような感じになる。ケミストリーでは声のニュアンスが深くなるがちょっと上品過ぎかもしれない。 バランスの良さでBIG、積極的で深みが欲しいならJAZZと言った所か。どちらも最高峰の名に恥じないインシュレーターで、買える人で至福の音楽に包まれたいならこれしかない!。 ● 深川響司 音楽のジャンルを選ばない 「JAZZ」と銘打ってはいるが、ジャズファン向けのインシュレーターというわけではなく、BIGの上位バージョンという位置づけ。ヴァイオリンの音はエッジがより鮮明になり、ピアノのアタックの強靭さと余韻の美しさの描き分けが見事。 奏者の張り詰めた緊張感まで伝わってくるような再生。オーケストラは一層大らかで彫りの深い鳴り方になる。金管やトライアングルの輝かしい音色は特筆もの。 ジャズでは、バスドラやスネアの一発で周囲の空気が震えるのが感じ取れるには驚かされる。ポップスもヴォーカルの分離や、打ち込みのリズム感が明快で、ノリが素晴らしい。ジャンルに関係なく、音楽が正にそこで生まれているような表現をしてくれる製品だと思う。 A&Vvillage 62号より転載 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20030701.htm その36 「怒っていますか?」 今年の正月は東京で過ごした関係で年賀状を見るのが10日を過ぎていました。その中の一枚に「怒っていますか?」の一言が書かれた寺島さんからの物がありました。 昨年の春先にやったメグでのイベントが緊迫したムードになり、その時の様子を私は自分のウェブに、一方寺島さんはジャズ桃源郷に両者が思った事を好きに書いたのです。そんな事があった上に春先から半年以上連絡とっていなかったので、てっきり私が怒っていると思ったのでしょう。 秋には寺島さんがアバンギャルドのスピーカーを自宅と店に導入したというニュースは私の耳にも入っていましたが、電源タップを中心に私はこの半年物作りに没頭していましたから、正直言ってそんな事など忘れてしまうほどの忙しさでした。 「もしもしカイザーです、年賀状の件ですがご心配なく」。 『それならいいけど、例のお客さんだって気にしてはいないから・・・』。 「スピーカー思い切って変えたそうですね!」。 『今のは低音がスッキリしていて、レイオーディオとは鳴り方が全く違うから戸惑いがまだあるんだよ・・・』。 『あのドロッとした低音も捨てがたいよね』。 「近い内に聞きに行かせて貰います」。 『あ〜、どうぞ!、来月になれば少し時間が取れるから来て下さい』。 こんな会話を交わしてすぐに電話を切りました。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20040206.htm その37 「喧嘩相手のいない寺島さんは酢漬けのイワシみたい」 「寺島さ〜ん、カイザーです」。 『どうしたんだよ〜、カイザーさん!、めずらしいネェ』。 「本当にすみません」。 「アバンギャルドを聴きにお邪魔させて頂くのを楽しみにしていたのですが、 何せ忙しいもので延び延びになってしまいました」。 「もう大丈夫です、すっかり一段落しましたから」。 「それはそうと、この最近文章に迫力がないですネェ、特にアクセサリーの113号あたりは・・・」。 『そうなんだよ!、この最近刺激が無くって』。 「それはいけません、私が今回BIG JAZZのリターンマッチに伺いますから」。 『久し振りにカイザーとバトルをくりひろげるか?』。 『ほ〜ぉ、そしてまた、何かいい物作ったかね?』。 「出来ましたよ!、ボス(親分)という名前のインシュレーターなんです」。 「それはそうとアバンギャルドの音は、盟友だった安原さんと寺島さんと私の三角形の真ん中にある音だと思うんですけどどう思われますか?」。
『そう言われてみるとなんとなく分る気もするネェ』。 『カイザーさんはアバンギャルドのあのスカッとした抜けるような音は好きでしょう?』。 「はい好きですよ」。 「そのアバンギャルドは上手く鳴っているんですか?」。 『そうなんだよ、あんまりにもすんなりいい音で鳴ってくれるもんだからする事が無くて困っているんだよ』。 寺島さんにしては、信じ難いような言葉が返ってきました・・・。 「いつお邪魔に上げればいいでしょうか?」。
『ちょっと待ってね今予定表を見るから、今月だったら23、24、25が空いてるけど』。 「分りました、それでは23日の2時ごろでいいですか?」。 『広島からわざわざ来るんじゃないだろうネェ』。 「いいえご心配なく東京からです」。 『じゃぁその時、カイザーさんの本音の感想を聞かせてよ』。 久し振りの寺島邸で何が起こりますやら・・・。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20040613.htm その38 「”生より生らしい音”」
音力(おんりょく)
「分りました、解りましたよ!、決定的な違いが!」。 「結局はドラムなんですよ!」。 「このドラムの衝撃音のリアルさは他のどんなスピーカーからも出ないでしょう」。 「これぞ、寺島さんの言いたかった音力(おとぢから)ではないのですか?」。 『そう、音力(おんりょく)なんだよ!!』。 『大きいだけでは駄目なんだ!、音には力が無ければ・・・』。 このアバンギャルドの音を何と言えばいいでしょう・・・。
古くて一番新しい音とでも言いましょうか・・・、 すなわち良いとこ取りの音なんです。 ”生より生らしい音”が寺島邸のアバンギャルド・トリオの音です。 何もしていないこの時点で、カイザー指標値がいきなり400と出ました。 これは凄い事です。 このニュアンスを私の場合は「生命感のある音」と呼んでいます。でも、私の好む音と全く瓜二つではありません。私の欲しいのは、この音力と同時に豊かな感情表現力が伴う必要があるんです。先ずは、今鳴っているこの音があっての事ですから、その点においてはブッチギリの勝利の初戦でしょう。それから先の音を作るのは、ローゼンクランツのアイテムさえあればいくらでも可能です。 アンプで増幅した音と違って、小さな振動板の弾けるようなピストニックモーションをそのままホーンで増幅、いや、爆発させたその音にはスフェリカル(球面波)ホーンならでと思わされるものです。 今まで使っておられたレイオーディオとはまるっきり違います。 その決定的な違いは音の抜けです。 同じホーン型のスピーカーであっても、 箱の持つ固有の付帯音がアバンギャルドには無いんです。 このホーンの能力は凄いですね。 寺島さんとの間に会話が成立し始めた とにかく不思議なのは、私と寺島さんとの間に会話が成立し始めたことです。 鳴らし方に問題があったかどうかはさておいて、寺島さんの雇っていた同時通訳者(レイオーディオを中心とした以前のシステム)が私に正確に伝えてくれなかった事が全ての原因だと分りました。それにしてもアバンギャルドという寺島さんの新しい通訳は優秀です。 「この音でしたら、どんな方とも会話が成立するでしょう?」。 『そうだね、私の音に不快感を表明していた人達もこぞって変わったね!』。 『カイザーさんがアバンギャルドの音を聴いた時に、どんな感想をもらすか?が今日の最大の楽しみ』と仰っていた寺島さんですが、あまりにも私のべたほめに嬉しいのを越え、かえって拍子抜けしてしまったようです。 BOSSの試聴 すっかり余裕の出た寺島さんは、 『どれなのよ、今日聴かせてくれる新製品というのは?』と切り出してきました。 「はい、これです、ボスといいまして、 今までのジャズバージョンのインシュレーターとの違いはディンプルパターンを変えてあります」。 「オスは同じなんですが、メスが5から6になりました」。 パワーアンプの下にある6穴インシュレーターに入れ替えて聴いて貰います。 『カイザーさんの音だこれは!・・・統率の取れた』。 なるほど6穴の音は暴れるけど、ワイルド感溢れる魅力です。
これが寺島さんの心をずっと掴んで離さないのでしょう。 「私が寺島スペシャル」と名づけなければならなかったのは、 BIG JAZZにではなく、むしろ6穴インシュレーターだったのです。 首の皮一枚で私と寺島さんを結んでいた理由がハッキリした瞬間でもありました。 私のデビュー作は、荒削りですが怖い物知らず的なところが今聴くとよく分ります。 10年近くも前の製品であっても、今となっては性能面では格段の違いこそあれ、 圧倒的な感情表現力を誇るボスに決して迫力では負けていないのです。 スピーカーアタッチメントの試聴には強いアレルギー反応 次に私が出したのがスピーカーアタッチメントです。 いくら説明しても、寺島さんの頭から「余分な物を継ぎ足して音が良くなるはずがない」というイメージを払拭出来ません。それでもやっとの思いで承諾させた後に、一気に情報量アップを狙ってホーンセクションの方に繋いだのです。2ミリほどの単線ケーブルですから、アタック感はあるのですが如何せん響きや雰囲気といったものは出ておりません。 それがアタッチメントを繋いで出てきた音はというと、 良くなるどころか大崩れになってしまいました。 私の完全な読み間違いで、ウーハーとのタイミングがずれて音楽どころではなくなったのです。 これには、『ほら!、言わん事じゃないか・・・』 とすっかり冷めきった顔をした寺島さんが相撲取りのように大きく見えたのです。 ウーハー部分にはWBTのターミナルに入らないほどの太い撚り線のケーブルが使われております。 「そうだ、これとの関係で上手く行かなかったのだ!」。 「申し訳ありませんが、もう一回ウーハーの方に繋ぎ直した状態で聴いてみて貰えませんか?」。 『いくらやったって、良い結果になるはずなどないでしょう・・・』と言わんばかりのしらけムードです。 繋いでいる端から音のイメージが出来上がってくるのが今回は分ります。 「ウーハーとミッドローの繋がりがスムーズになり、音は間違いなく良くなるはずだ!」。 それと同時にモノラルパワーアンプの向きが左は外に向き、右は前向きというのをキッチリ左右のスピーカーのエネルギーが揃うように、また不利に働かないようにベストのポジションを探り出した上で整然とレイアウトしました。 変更前 変更後 どうでしょう!、まったく別次元のスピーカーに化けてしまったのです。 これほど化けた例はちょっと見当たらないほどです。 とにかくベースの音がすごく良くなりました。 圧倒的な情報量です。 ピアノも良いです。 寺島さんの顔色が変わったのが分りました。 次から次にディスクを換えては聴き始めたのです。 こういう時は気に入っている証拠です。 『このディスクは特別だから、中庸な録音バランスの物に変えましょう、 そうしないと音のチューニングをとるのにやりづらいでしょう?』。 特にこの2枚のディスクの音は凄かったです。 Green Grove/John Stetch 2曲目のChips For Crunch Out Of This Mood/LYAMBIKO 9曲目のParakeet Prowl AC-1S(8NLimited)の試聴 この寺島さんの行動に気をよくした私は、次にAC-1S(8NLimited)の電源ケーブルをパワーアンプに入れて聴いて頂こうとするのですが、ここでまたもや、苦言を呈されます。 『何だよ、黒いジャケットで、それじゃどこにでもある安物と同じじゃない』。 『このオルトフォンの赤いACケーブルを見てごらん!、 美しいでしょう?、おしゃれでしょう?』。 『色も購入意欲を大きく刺激するんですよ、 オーディオはとにかく楽しまなくっちゃ』。 『だから目立つように、この赤いケーブルを空中を這わすようにしてあるんだよ』。 『どう?、赤のホーンの色とマッチするでしょう?』。 『気をつけて見てください、ツイーターのホーンだけは緑にしてツートンになってるでしょ、 これも世界に一つしかない私だけのオリジナルなんですよ、 やる事が凄いでしょう?、カイザーさんももっと色に気配りしなくっちゃ』。 「分からないでもありませんが、私の場合は色と音との関係を調べているうちに、
黒が一番音が良いからそうしてるだけで、決して無頓着なわけではないんです」。 その瞬間、ムッとした顔つきに変わりました。 まだ音も聴いて貰っていない段階で色の談義に熱を入れても仕方ありません。 とにかくどんな音になるのか体感して頂くことの方が大切です。 ケーブルにおいては寺島さんと縁が薄いですから気楽に聴いてみてください。 とにかく評判は最高なんです。 『そうだね、じゃ聴かせてもらおうか?』。 今繋いでいるオルトフォンの赤いケーブルに比べるとちょっと線が細くなったようですが、何より音楽のグルーブ感が違います。打楽器系を好む寺島さんはあまり頓着しないところでしょうが、それでも『良いネェ、良くなったネェ!』の連発です。 インシュレーターの調整 『でも、少し腰高な感じがしないでもないネェ・・・』。 分りました、ちょっと調整してみましょう、 と言いながらインシュレーターの位置をアンプのシャーシーのエンド位置まで広げます。 『ウ・・・ム!?』。 「じゃあ、これでどうでしょう?・・・」。 5ミリぐらい内に入れてみますと、音に力が出ると同時に低・中・高と非常にバランスが良くなりました。 『こうまで変わるか!、インシュレーターの位置だけで・・・?』。 「さらに良くなりますよ!」。
「エ、エイッ!、こうなったら隠し玉を出しましょう」。 まだ公開出来ませんが、試作インシュレーターに換えてみる事にしました。 これに変えると私の顔を覗くように、 『空気がいっぺんに変わったねェ!・・・・・』。 寺島御大の顔色が変わったのは、良くも悪くもこれで今日三度目です。 この驚きは相当のものとみました。 全機種にACケーブルを繋いで聴いてみる こうなるとついつい調子に乗ってしまうのが私の常です。 「ついでの事ですからオーラルの青蛇が差されてある、 トランスポートとコンバーターにも入れて聴いて欲しいんですけど如何でしょう?」。 『あぁいいですよ』。 「これで今日の持ち駒は終わりです」。 運も手伝って寺島邸はスピーカーのポジションがほぼ理想のポイントに入っている状態なんです。特にホーンセクションは完璧です。ウーハーボックスを左を9ミリ、右を12ミリ後ろに下げてピンポイントに合わせ込みました。 完璧にスピーカーの姿は消え、緑のツイーターホーンから低音のエネルギーが聞こえるバランスなんです。これは低い方から次第に高い方のユニットに力が取り込めている証明なんです。ホーンシステムでこれだけ位相から空間定位と揃った音を聴くのは私とて生まれて初めてです。とにかく恐れ入りましたと脱帽する以外にありません。アバンギャルド恐るべし。 それも、私の頭の中ではまだああもしたいこうもしたいとやりたい事は山盛りのようにあっての上ですから、細心のノウハウとセッティングを施してやればどこまで成長するのかこの先が恐ろしいぐらいです。 「カイザー指標値は」一気に700へ これだけ荒削りでありながら、カイザー指標値は一気に700まで上がりました。これはカイザーの試聴室以外で出た数字では最高です。現時点でこれだけの音は日本中でどこにもないですよ。紛れもなくNo.1の音を体験したと思って頂いて構いません。 この鳴り方は文句なしに私の好む方向ですが、ここで寺島さんと意見が分かれました。 『低音に重さが減った』という感想です。 『奥行きも拡がりも凄いのは分る、また、こんな音は初めて聴いた』。 『この音は忘れられない一つの音になるのは間違いないだろう』。 『しかし私の場合は、いくら音が良くてもじっとしていられなくなるんだ』。 『だから良い音だからといって、ずっとそのままでは聴いていられないだろうネェ』。 『とにかく今の状態でしばらく聴いてみたいから貸してくださいよ』。 「それがですね、あさって別の評論家さんに聴いて貰う約束をしているものですから今日のところは外して3日後にはお送りいたします」。「試作のインシュレーターだけは置いて帰ります」。時計を見ると日付は変わって1時半でした。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20040630.htm その39 「20畳以上なければアバンギャルド・トリオは鳴らない?」 寺島邸のアバンギャルド・トリオを聴いたのを機にふと気になることが出てきました。それはステレオサウンド誌150号「世界のハイエンドスピーカーその多彩なる音響美」の中で取り上げられた、アバンギャルド・トリオを聴いた4人の評論家による集中試聴の評価や対談の内容です。 選定された16機種すべてについては目を通していませんが、気になる機種だけは読んでいました。その中でもアバンギャルドについては良い印象として残っていませんでしたのでもう一度読んでみる事にしました。やはり4人とも能力は認めつつも聴けた状態ではないという事を言っています。 語り始めの菅野氏の言葉からしてホーンに対して勘違いがあるように思います。『アバンギャルドのスピーカーはホーン型の中でもきわめて特異なスピーカーだ』と言っておられるますが、確かに今まで主流であった四角い形状の物からするとその通りで異論はありません。しかし本来ホーンというのは音の事を考えるなら丸いのが本道で、作りやすいし、積み重ねやすい、また梱包や持ち運びにも利点がある関係等から角型が多くなったものと思います。蓄音機しかり、ホーンというのは丸い物で、アバンギャルドは基本に忠実に理想を求めて作っただけです。 集中試聴に使われた部屋のサイズは20畳ほどの広さらしいですが、『無理して後ろに下げて置いたとしても、それでもホーンの開口部から試聴位置まで2m70cmしか取れない』とあります。その結果として『3つのホーンのブレンドする以前の音しか聴けない事になり、現に今鳴っている音はバラバラだ』とさえ言っています。また、その距離は最低でも4〜5mは必要との事。 三浦氏 『今日の音はとにかく部屋に入れて無理して鳴らしたという感じ』と述べています。 柳沢氏 『インパクトのある音の可能性は伝わって来たものの、今日の音は音楽をまともに聴けるものではなかった』とハッキリ語っています。 傅氏 『鮮度は感じるけど聴いていて落ち着かない』。 このように4氏ともに良くない評価はハッキリしています。 また、『このスピーカーはセッティングが難しい』と口を揃えて言っています。 どんなスピーカーも難しいといえば難しいし、簡単といえば簡単です。 要するにどんなスピーカーであれ、セッティングには高度な技能が要求されます。 今現在鳴っている音が良くないのは分っているけれど、
どうしたら良い音になるのかに対しては、 誰一人として口を開けようとはしません。 簡単に言ってしまえばほんの数センチスピーカーを前後して、 その部屋とスピーカーとの和音関係を紡ぎ出してやりさえすれば、 いっぺんに皆さん方の音の評価は変わるのです。 食べ物を食べて美味しいとか、不味いと言った感想を述べるだけなら誰でも出来ます。
その場に立ち会ったスタッフをも含め良い音にした上で聴かなければ、 機材を提供してくれた会社や製作者に対して義を欠く事になります。 日本を代表する評論家だという自負があるのであれば、 その場でセッティングの問題点を指摘し、 即座に良い音にした状態で聴くのが責務ではないでしょうか。 変形12畳の寺島邸で日本でも1、2と思えるほどの音を現実に体験したからです。
スピーカーをその部屋に於ける「音楽波動」に乗せてやりさえすれば、 ホーンの開口部から最低1,8mあれば鳴ると断言します。 もちろん大きな3つのホーンの音も一つにまとまりハーモニーします。 菅野氏の言っている「音がバラバラ」と言うのは、 試聴位置までの距離が短いのが原因ではなく、 部屋とスピーカーの位相が合ってないのが原因なのです。 いくら広い部屋に入れたとしても、 「音楽波動」に乗せなければどこまで行ってもバラバラです。 「音は見れても、音が診れない!」。 その場で直せて初めて診れた事になるのです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20040704.htm その40 「アバンギャルド・デュオの音を是非とも聴いて欲しい」
そのデザイン、いでたちには賛否両論あるでしょう。しかし買う買わないは別に、是非とも多くの方にアバンギャルドの音を一度は聴いておいて頂きたいと思います。音楽愛好家とオーディオ愛好家のどちらも満足させる音です。熱く生きた音楽の感動を聞かせてくれる稀有なスピーカーです。 私個人の統計では、音楽の好きな方ほどウェスタンに代表されるスピーカー、いわゆるヴィンテージと呼ばれているタイプの物を好むようです。具体的にはシーメンス、ジェンセン、アルテック、ローサー等が挙げられます。これらのスピーカーに共通しているのは能率の高さです。反応が良い分それだけ生きた音楽のリアリズムを感じる事が出来るのです。この手のスピーカーの音を聴くと、「他に望むものなど何があろうか」と思えるほど音楽の感動を教えてくれます。 それに比べて現代のハイエンドと呼ばれるスピーカーはどうでしょう?。たしかに低音から高音まできれいでゴージャスな音を聞かせてはくれるのですが、何故か熱く感じるものの伝わり方が乏しいのです。重低音まで出そうとするがあまり、ユニットの質量が重くなるのが大きな原因です。 相撲取りの体型を思い起こして頂くといとも簡単に理解して頂けるでしょう。曙、武蔵丸といった200キロを軽く超える大型力士全盛の時代がありました。これが現代のスピーカーに例えられるでしょう。その大型ハワイ時代が去り、今は朝青龍に代表される速さとワザのモンゴル相撲の時代に入っています。 その両者の良い所を合体させたのがアバンギャルドなのです。ですから、アバンギャルドの奏でる音でしたらどちらの流派も満足させるだけのポテンシャルを秘めているのです。ただトリオは価格も720万もしますし、サイズもかなり大きいですから実現性は乏しいかもしれません。そんな方の為に用意されたのが280万のデュオです。 そのデュオを見事に鳴らしているお店が九州の福岡に アートクルー http://www.artcrew.co.jp/ という店がありますので、出張のついでにでも足を伸ばしてみて下さい。いや、ついでといわずワザに行く価値は充分にあります。ちなみにこのお店にはローゼンクランツのインシュレーターは全種類展示してあります。そんな所が良い音の出ている秘密なのかもしれません。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20040710.htm
その41 「寺島御大の右脳は85%、左脳はわずかに15%」 DAコンバーターが言うこと聞かなくなった 先日三重県にサウンドステーションを納品に伺った先で電源ケーブル/AC-1S(8NLimited)が3本売れてしまいました。その方は、どうせなら戸籍簿管理をした続き番号のケーブルが欲しいとなったのです。しかし、今の私にはすぐに作るほど時間に余裕がありません。とりあえずプリとパワーに試聴して頂いた2本は置いて帰る事にし、CDプレーヤー用の残りの1本は試聴の為に寺島さんにお預けしている続き番号の物をお送りする事で納得していただきました。 急きょ寺島さん宅に取りに行かなければなりません。 電話をしますと、相変わらずぶっきらぼうな声で、 『はい♭、は〜い♭・・・』。 「お預けしていた電源ケーブルを取りに上がりたいんですけど、如何でしょうか?」。 『カイザーさんこれまた大変な時に電話をかけてきたネェ』。 「どうされたんですか?」。 『いやね、DAコンバーターがいうこと聞かなくなったんだよ!』。 『いつもは点く二つの赤いランプの一つが急に点かなくなったの・・・』。 『ケーブルを取っ換え引っ換えしてるんだけどどうも駄目なんだ、 これからリンのCD12から47研のピットレーサーに変えてみようと思ってたところ』。 「そうですか、お役に立てるかどうか分りませんけどこれから伺いますよ」。 『悪いネェ、じゃぁご足労願えますか?』。 サービスマンに変身 寺島邸に着いたのは20時ぐらいでしたでしょうか、車で約40分でした。デジタル機器間に繋がれているケーブルがとにかく硬くて曲がりません。そこそこの重さの機械もそのテンションによって動いてしまうのです。それを避ける為に機材の上には真鍮の重石が幾重にも重ねて置かれてあります。そんなハードな状態でコネクションされていますので当然機器側の端子達はいつも悲鳴を上げております。 「ちょっと様子を見てみましょうか?」。 デジタルケーブルを他の物と交換してみますが、同じ症状でトランスポートとコンバーターの同期が取れません。どうやらケーブルではないようです。次に予備としてあるワディアのコンバーターを繋いでみます。これまた変化がありません。どうやらトランスポート側に原因があるようです。 「CD12の取扱説明書はありますか?」。 『う〜ん、どこにあるか分らない』。 この間もあるお客さんのお宅で、リンのプリアンプの設定が上手く行かず音が出ないで苦労していた事がありました。 それではと47研のピットレーサーに入れ替えてみますが、こんどはピックアップ部が動こうとしません。最近調子が悪いのと読み取りまでに時間が掛かるのが理由で、ほとんど使っていない状態だそうです。
『近くだし、これから47研の木村さんに電話してみようか?』。 ピピポ、パピポポ・・・・・・。 『留守みたいだネェ』。 「この調子ですと九分九厘トランスポートが原因ですよ」。 週休二日は困る 硬いケーブルを繋いだり外したりしている間に、内部の基盤と端子の間にストレスが掛かり半田部分に亀裂が入っているのでは?というのが私の読みだったのですが、意外にも端子はゆるんでなくてシッカリとしています。 その間に寺島さんはリンの古川さんに電話をしています。これまた留守のようす。『CD12の調子が良くないので、電話を下さい』とメッセージを残します。そんな状態ですから仕方なくリンを単体のプレーヤーとして使うことになりました。 『単体ではキレイ過ぎるのと、こじんまりまとまるので僕には聴けたもんじゃないんだ!』。 でもそんな事も言っておれないので、とにかく聴ける状態にするしかありません。 『今日は金曜だからメーカーに連絡が取れるのには丸々二日掛かる』。 『こういう時に困るようネェ、週休二日っていうのは・・・』。 『オーディオマニアが二日も音楽を聴けないっていうのは耐え難い苦痛だよ』。 やりたい事が山ほどある へ〜、そんなものかねぇと一人で思いながら、 「夢中になれることがあるのはどんな事でもいいですよね」と誘い水をかけると。 『そうなんだよ!、この年になってもトロンボーンは習いたいし、 ジムにも通いたいし、ジャズは聴きたいし、やりたい事が一杯あって困るのよ!』。 事実この人にとって、音楽は片時も無くてはならないのが本当のようです。 寺島流インシュレーターの使いこなし とりあえずコンバーター無しで音を聴いてみますが、なるほど仰るとおり小さくまとまった鳴り方です。 『どうですか?、音がいやいやしてこちらに来ないでしょう?』。 全く仰るとおりです、でも密度の濃い凝縮した魅力のある音を持っているのも事実です。 「寺島さんが気に入る音になるように、インシュレーターの調整だけで、 これから出来るだけの事をやってみますのでジックリと聴いてみて下さい」。 寺島流インシュレーターの使いこなしは機材の端っこにはみ出すように置くやり方です。口では『音が塊のように凝縮して鳴って欲しい』と日頃から言っていますが、この方法ですと、音が開放と暴れる方向に変化します。ここらあたりの感じをワイルドと結び付けているのでしょうか?。しかし、これでは瞬間のアタック音を楽しむ事は出来ません。それは芯から外れているからなのです。 好む方向に音が向いていない場合には、いくらその原因の話をしようとしても、興味を持って話に聞き耳を立ててくれません。寺島さんとの過去の何度ものやり取りの中から学びましたので、その時点では説明する事はしません。大分私も利口になりました。 初めて納得したインシュレーターの方向性 「とりあえず、寺島さんの好みかどうかは別として、 機器とインシュレーターの理想のセッティングポジションに入れた状態で一先ず聴いて貰えますか?」。 1回目は機材の端から10oほどインシュレーターの端が中に入った状態です。 『ギュッと真ん中に凝縮して来たネェ』。 『カイザーさん気がついていた?、私がAのマークを揃えているのに・・・』。 『やってみたよ!、この数日前にAのマークを揃えてみるのを』。 『どうせ売る為の口先だけの事だろうと思っていたけど、どっこいその効果が確かにあるんだねェ!』。 『インシュレーターの方向性なんて、何年も信じていなかった』と打ち明けられたのです。 そういわれて、改めて見てみると、あれれれ??・・・、 パワーアンプの下のインシュレーターのAのマークが全部聴き手方向に向いているではありませんか?。 さっき、音がイヤイヤして聴き手に届いてこなかったのはこのせいですよ!。 凝縮と開放のバランス 『カイザーさんこの音どう?』。 私が訊ねたいのに先に聞かれてしまいました。 「どちらも駄目ですネェ」。 『エッ、どちらも駄目ってどういうこと?』。 「両者の間に良いバランスの音があるということです」。 「すなわち全ては凝縮と開放のバランスなんです」。 「それを寺島さんはケーブルで為さってこられた訳です」。 「そういう点では微妙な音の綾を聴き逃さないはずです」。 「それと同じ事を、今インシュレーターでやろうとしているだけです」。 「ところで、揃えてみたとおっしゃるAのマークが反対ですよ寺島さん」。 『何故?、どうしてわざわざ見えにくい後ろ側になるようにAのマークを付けるの?』。 「前側にAマークをハンマーで打刻しますと、金属素材にストレスが掛かり音抜けが悪くなるからです」。 この説明には理解の範疇を超えたようで、寺島さんの顔が拒絶反応を示しているのがすぐに分ります。子供と同じように感情が顔にそのまま出るこの人は本当に正直なんでしょう。ですからすぐにその説明は打ち切ります。 インシュレーターによる音の調整術 「何はともあれ、これからそこらあたりの音を少しずつ紡ぎ出していきますからよく聴いていて下さい」。 「その間といっても、寺島好みに近いバランスに持っていきますから」といって、 ハンダの溝が見えないぎりぎりのところまで広げて置きます。 この音の変化には驚いた様子です。 『音が立ったネェ!、こちらにぐっと来るようになった!』。 「ぐっと来る感じは方向性の違いによるものです」。 『音の出方がまるで変わった、これは好きだよ!』。 「分ってますよ!、もう寺島さんの好む音は」。 「もう少し暴れ気味が欲しいんでしょう?」。 ハンダの溝幅が見えるところまで外に出して再度の試聴です。 『あれ!、急に音が散漫になってしまったネェ』。 ここまで行くと寺島さんにとっても行き過ぎなんです。 ミクロの世界を聞き分けた寺島さん 今のが1ミリの違いの音ですが、これからその半分に当たる0.5ミリの調整をします。 すなわち半田の溝が半分はみ出している格好です。 『これは凄い!、今まで聴いた事の無い音だ!』。 『CD12単体でこんな音が出るなんて信じられない!』。 「寺島さんの耳はインシュレーターの0.5ミリの設置場所の差を聞き分けたんですよ」。 『いや〜、カイザーさん改めて見直したよ!』。 『カイザーさんと私とでは大学院生と高校生ぐらいの差があるネェ』。 五感で身についたエネルギーの伝達の瞬間 ここで初めてメモ用紙を片手に野球のバッティングの芯に当たった時の説明をさせて頂きました。高校時代毎日毎日何百球という球をフリーバッティングのキャッチャーとして受けてきた経験から、時間軸とボールへのエネルギーの伝達というものを身体に嫌というほど叩き込んできていることを。 自慢するわけではありませんが、当社のインシュレーターの溝の深さは、1/100ミリの違いの物を実際に20個作ってヒヤリングの末に決めているのです。10年近いお付き合いになりますが、寺島さんとやっと会話が通じるようになりました。それもこれもアバンギャルドのスピーカーが、試みた事に対して素直に正直に反応してくれるからです。それと同じようにローゼンクランツのインシュレーターの性能が良いのも、実はリファレンスであるオーデイオモニタリングシステムが理想に近いノンカラーレーションだからなのです。 それが出来るのも、全ては目や耳といった五感を通して野球から身に付いたことなんです。ですからまだ聞かぬ音であっても理想とする音が頭にイメージ出来るのです。これが私の持つ類いまれな音に対するアドバンテージなのです。その音の代弁者がローゼンクランツの製品群であります。 リモコンという便利さの裏返し 丁度CD12単体で良い音が出た後にリンの古川さんから電話が入りました。『前にも同じ事がありましたけど、リモコンの設定が何かの弾みで外れたのでしょう』。『CDのボタンを押して次に0のボタンをしばらく押し続けていると同期が取れるようになりますからやってみて下さい』といわれ、その通りにやってみると、何事もなかったようにコンバーターとリンクしたではありませんか。これだから多機能リモコンは困るのです。 寺島さんの思いやり 『カイザーさんお腹減ったでしょう?、簡単に食事の用意をしたから腹ごしらえをしてからやって下さい』。 これは残りそうだなと思いましたが、ボリュームたっぷりのハヤシライスと野菜サラダをぺロッと平らげてしまいました。何度もご馳走になっていますが、奥さんは料理がビックリするほど上手なんです。 音における犬猿の仲といわれた両者が理解し合えた瞬間 腹ごしらえが出来たところで、もう一度、いつものセーターのコンバーターとのコンビに組み替えです。 それがどうでしょう?、寺島さんの好みのはずであるセーターの音がCD12のまとまりのある音を聴いた後では散漫で大作りなのがよく分ります。良いも悪いもアメリカ的ですね。『開放と凝縮のバランスとカイザーさんが言ったのがよく分るネェ』。 もう一度気を取り直してインシュレーターの微調整を計り、寺島好みの音に仕立て上げて行きます。レイオーディオの時には相容れなかった両者が、ことごとく音の好みというか、この作業の工程中は不思議なほど音の良し悪しの判断基準が同じになってきたのです。 ここで分った事は、一般の人が数学(音のバランス)を最初の脚切り点の対象にするのに対して、寺島さんの感じる脚切り点は単にその科目の順番が違うだけである事が判明したのでした。その点アバンギャルドはどの項目も高得点が故にお互いが合格点を与える事が出来るのです。 レイオーディオの時には誰もが寺島さんの音を良くいう人はいませんでした。私もその中の一人でした。そんな埋もれた音の中であっても、自分の出したい音のイメージは確固として描いておられたのでしょう。でも今日の出来事は、目指す最終目標は「誰が聴いても良い音は良い」というのが証明出来たようで嬉しい気持ちになれたのでした。 寺島さんはオーディオ界の長嶋さん その22の「写実派」と「抽象派」といったタイトルで「スイカをリンゴといわれても分らない」といった例えを書きましたが、「ゴリッ」とか「バッシャーン」とかいった表現をするのも寺島さんはオーディオ界の長嶋さんなのかもしれません。 人並み外れた直感型の人だったという事が判明した今回の一件でした。 「カイザー指標値」によりますと、 寺島さんは右脳が85%、左脳が15%の人なんです。 ちなみに長嶋さんは右脳が90%、左脳が10%。 私は右脳が55%、左脳が45%。 やはり長嶋さんが右脳型人間の横綱、寺島さんは大関です。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20040728.htm その42 「寺島氏の口から”付帯音”という信じられない言葉が出てきた」
前回のスピーカー(レイオーディオ)の時にはBIG JAZZの事をこてんぱんにこき下ろした寺島さんでしたが、今回のBIG BOSSの試聴では好感触を示してくれました。ただ、すぐに飛びついて失敗した例が過去に色々とあるから、しばらく様子を見させてくれという話になっていました。特にインシュレーターの場合はモロ振動に関することだから・・・。 『今回の出来事はオーディオアクセサリーの連載、「オーディオ桃源郷」に持って来いだ!』。 そのように言っておられたので、本が発売になるのを待っていて、その内容を見てから電話をしてみようと思っていました。その内容の一部ですがご覧下さい。 「どんな感じですか、最近は」。 久し振りに広島のカイザーサウンドから電話がかかった。 最近は東京の事務所にいることが多いらしい。 距離は近づいたが、双方の距離は遠くなっていた。 「いや、結構よく鳴っていますよ」。 「それで『オーディオアクセサリー』にあんな酢漬けのニシンみたいな文章書いているんですね」。 ガーン。 私は頭に血が上った。 人をなんだと思っているんだ。 人は誰しもその人にとって一番大切なものがある。 私の場合、それが文章なのだ。 なにかの形で仕返ししてやろう。 しかしいわれてみれば思い当たらないこともない。 文章というのは競争である。 つまらなければお後が控えている。 そういう状況で初めて緊迫感のある文章が生まれるのだ。 毎月決まった欄を持つ筆者が、もっとも気をつけなければいけないことだろう。 私は氏の言葉を警告と受け取った。 ありがとう。 しかし仕返ししてやろう。 「新製品が出来ましてね。例の歯茎の構造のインシュレーター、 現在ビッグというのを使ってもらっていますが、 今度ディンプルを付けたんですよ。 それを寺島さんに聴いてもらおうと思って」。 私は以前この会社のディンプルもので懲りている。 インシュレーターの表面にたくさんの穴を開けたビッグジャズ。 ディンプル分だけ音に隙間が生じ、 風圧が下がってしまったのだ。 ようしこれでカタキをとってやろう。 ビッグボスが送られてきた。 私はそれをパワーアンプの下にはめ込んだ。 あ、これは仕返しにならんわ。 音に小気味よい響きがついてしまったではないか。 余韻がいつまでも消えるのを惜しむようにスピーカーの間に漂っている。 ディンプルがこういう形で功を奏したのか。 以前は裏目に出たのが今回は吉と出た。 これはスピーカーの違いだろう。 アバンギャルドはとにかく抜けがいい。 一点の付帯音も感じられない。 楽器の素材がそっくりそのまま出てくるようだ。 楽器一つ一つくっきり目鼻立ちを整え、 なおかつ各々1個1個に力がある。 前のスピーカーは主として面で出たが、 そして私もそのように調教したが、 アバンギャルドは点で出来してくるのだ。 その点を上手い具合にグレードアップしたのがディンプルなのかもしれない。 響きのよさがメリットの大きなひとつであるアバンギャルドに、 ディンプルは合ってしまったのだ。 響きの強いところもジャズを聴く私に好都合。 この文章の中で私が一番驚いたのが、 『一点の付帯音も感じられない』。という表現です。 寺島さんの口から”付帯音”という言葉が出て来るなんて信じられませんでした。 何度も寺島邸を訪れ、付帯音についてディスカッションした事がありますが、どうしてもその区別や違いを理解して貰えなかった経緯があります。今をして思うに、生演奏と等量の音量に到達しなければ、どんなに素晴らしい音であっても満足出来ない。音量第一主義なんだろうと思います。 私なんかはどんなに小さな音でも、ダイナミックレンジさえ豊かであれば、等分の縮小として脳が理解して音楽を楽しめるんです。 この「オーディオ桃源郷」を読んだ後に寺島さんに電話をしました。 「凄いですネェ、最初2ページだったのが4ページになり、今回は6ページですが、これからずっと6ページになるんですか?」。 『いや、いや、今回はたまたま書く事が多かったからで、これからずっとではないんだよ』。 「BIG BOSSは如何ですか?」。 『いや〜、いいよ、9個貰うから安くしてよ!』。 有難う御座います、お気に召してくださって。 また、”ディンプルは駄目!”だといわれたらどうしようかと思っていたんです。 モノラルパワーアンプに6個、リンのCDプレーヤーに3個です。 コンバーターとウーハーの下には従来のビッグです。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20041008.html その43 「何ゆえに、そのケーブルのブランド名を伏せたのか!?」編
お得意様から次のようなメールを頂きました。 メールを頂いたTさんにはKさん宅での出来事はお話していましたので、 あの件だとピンと来たのでしょう。 なのにその件とは関係のない他のメーカーを誉めているから、 当て馬に使われたような気分になったのかもしれません。 それで以下のようなメールをくれたのです。 一人の男とは私貝崎のことです。 これが「今回話題になったページ」です。 ----- Original Message ----- From: T To: info@rosenkranz-jp.com Sent: Monday, January 10, 2005 4:31 PM Subject: レコ芸の記事 Att'n:貝崎さま From: T 毎度お世話になります。 今年もよろしくお願いします。
さて、今月はCDカタログ付ということで久しぶりにレコード芸術 を買ってみると、クラシックの専門誌なのになぜか寺島さんのコーナーがあって、どうもKさん宅での出来事と思われることを書いていました。 ある人の宅にお邪魔して・・・・ぜんぜん良い音で鳴ってなかった。 ところがひとりの男がケーブルを次々と繋ぎかえると・・・・・3人とも 顔を見合わせた・・・・。 と、いうような内容です。 なのに後の方ではTMD他を持ち上げていて、カイザーのカの字もローゼンクランツのろの字もない。 ヒマがあれば本屋で立ち読みでもして確認してみてください。 以上 寺島さんにとって、ローゼンクランツのインシュレーターは絶対外すことが出来ませんでしょうから、その上ケーブルまでも「カイザーが一番」と口を開けてしまうと、寺島さんはこの先書くネタがなくなってしまうかもしれません。 なぜなら、悶絶苦闘している様子がファンに受けているわけですから。 多分そんな心境だったのかと推測しますが・・・。 しかし、真意は分かりません。 でも、そんな事など気にしないで、本当に良いと思ったのなら「今回のローゼンクランツのケーブルは凄い!」と寺島さんらしく豪快に書いて欲しかったですね。 しかし、Kさん宅での新作ケーブル「RGBシリーズ」の音には本心からビックリしていたようでした。それもお聞かせしたのは一番安いRGB1です。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20050206.html その44 「オーディオはただの普通の「いい音」じゃ面白くない」 寺島さんにインシュレーターの新製品PB-COREを聴いてもらいました。 プルルル、プルルル ガチャン(受話器を取る音) 『はァい ⊆⊆⊆⊆』 いつものようにぶっきらぼうな返事 「寺島さん、カイザーです」 「インシュレーター如何でした?」 『見た目通りつるつるのきれいな音になったよ』 『でも凄い効果だね!、磨いてないのはないの?』 「商品としては出せませんが、ありますよ」 『それを送ってよ、俺はピカピカでないほうがいいんだ』 『あっ、それと赤と緑の派手なケーブルがあったよねぇ?、それも一緒に聞かせてもらえませんか』 「分かりました、色々用意してお送りします」 何日かして、電話してみました
「磨いていない物との違いは如何でした?」 『さっぱり分からなかった』 『プリ本体では良くなかったんだけど、その電源部に使うと物凄くいいんだよ』 『それと、オレンジとグリーンの電源ケーブル、あれが良かった!、ビシッと音が締まるんだよ』 そんな内幕がありましたが、有り難いことにオーディオアクセサリー128号でさりげなく取り上げてくれていました。 寺島邸の音の基礎部分を支えているローゼンクランツのインシュレーター。 この最近ではPB-COREとACケーブルのRG2を導入して頂きました。 どちらもパワフルな音が特徴です。 耳から血が出そうになる音を好む寺島さんはマッチョオーディオの典型です。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20080313.html その45 「For Jazz Audio Fans Only Vol.1」
寺島靖国プレゼンツ For Jazz Audio Fans Only Vol.1 お奨めの1枚です 寺島靖国さんにはローゼンクランツのインシュレーターをコンポーネントの全機種に使って頂いております関係上、オーディオについて色々とお話しする機会があります。
レイオーディオのスピーカーの時には音の価値観が全く噛みあわず、一触即発の場面がよくありました。それが、不思議なことにアバンギャルドに変わってからというものは、音や音楽観が一致するようになったのです。ご本人が打ち明けられるにも、自分のシステムを聴いた多くの人達も同じような感想に変わって来たそうです。 ミュージシャンの大半の方はオーディオに凝る事はありません。彼らは条件の悪い中でも音楽の読解力が長けているので、音よりも指揮者や演奏者が何を意図し何を表現しようとしているのかの方に意識が向けられます。 他方オーディマニアと言われる人達は、音そのもののリアリズムの方にむしろ惹かれる傾向があります。 どこにどんな風にスポットを当てて聴くのか・・・? そこら辺が人によって大まかなゾーンに別けられます。 寺島さんの場合はそういう意味では、ミュージシャンに近いスタンスにある人です。特に今回のFor Jazz Audio Fans Only Vol.1を聴いて頂けるとよく分ると思います。
1曲目のPATCHWORKのベースソロのイントロに始り、その楽しそうなリズムに誘われるようにシンバルの音が続きます。この時点で誰もが”このディスク欲しい!”と思うはずです。 14枚のアルバムから寺島氏が抜粋した14曲ですが、耳を奪われあれよあれよという間に最後まで聴いてしまいます。
1枚聴き終った時点で私は寺島さんに直ぐに電話していました。 For Jazz Audio Fans Only 「良かったです!」 『こんな感じの曲はカイザーさんには合わないでしょう?』 「いえ、いえ、ステレオの音で合わない事はありますが、いい音楽はいいですよ」。
「最低でも100枚は売りますよ!」 「Jポップ中心に聴く若い人達にも、このディスクならジャズの楽しさや面白さを分って貰える思うので価値あるディスクですよ」。 『泣かせるような事を言ってくれるじゃない』
是非とも買って下さい ●お求め方法 2,940円(税込) メール便の場合送料無料 3,240円(税送料込み) エクスパックの場合200円値引き 銀行振込み 三菱東京UFJ銀行 広島中央支店 普通口座 1178633 カイザーサウンド有限会社 ご入金後メールにてお名前、ご住所、電話をお知らせ下さい。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20081007.html その46 「売れ過ぎて品切れを起こしていましたが、本日入荷しました」 寺島ディスクが好調です。 「For Jazz Audio Fans Only」 三週間で110枚も売れました。 単品売り上げの記録でしょう。 少しの間、品切れしておりましたが本日入荷致しました。 ご注文お待ちしております。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20081117.html その47 「何が気に入らないんだか!?、すっかりお見限りだねぇ・・・」
寺島さんに、2年ぶり位に電話をしました。
『は〜い♭・・・』 更に磨きが掛かった面倒臭そうな返事(私の頭の中でそう思っている) 「寺島さん、カイザーです」 「お変わりありませんか?」 「何だよ!!もぉ〜、カイザーさんか?」 『何が気に入らないんだか!?、すっかりお見限りだねぇ・・・』 『どういう風の吹き回しか知らないけど・・・』 「都合の良い時にしか電話しませんで、済みません!」 「このところの寺島さんは白鵬みたいですね」 『何だよそれ!』(ジャズの事以外一般情報に全く興味なし) 「相撲ですよ、62連勝の横綱ですよ、誰も負かす事の出来ない」 『そんな歯の浮いたようなお世辞はいいから』 『本題は?』 「はい、今までに無い、掟破りのような構造のケーブルを開発したので聴いて頂けませんか?」 「寺島さんに聴いて頂くに値するケーブルです」 「いつもはお送りするだけですが、今回は久しぶりにお伺いした上で聴いて頂きたいんですが・・・」 「”カイザーが10年ぶりに果たし状を持ってやって来た!”という感じでお願いします」 『書く事が決まったようにしゃべられちゃぁ困るねぇ!』 『書きたいと思った時に書くんだからさぁ!』 「勿論です、勿論です、解っています」 こういう時は絶対反論しないのに限る(私の頭の中でそう思っている) 『ケーブルねぇ?・・・、カイザーさんのインシュレーターは一番だと認めるけど、ケーブルは俺の好みじゃないんだよねぇ、スッキリまとまり過ぎ』 『俺はゴリッとしたTMDの音が一番気に入っているだよ!』 「そう言われると思っていました」 「寺島さんが気に入らなければ、けちょんけちょんにけなして頂いても結構ですから」 『いいんだな!、知らねぇぞ!』 「勿論です」 『よし解った、それじゃぁ、予定表を見てみるよ』 11月に入って訪問する事になりました。 この結末はどんな事になるのでしょうか?・・・。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20101012.html その48 TMDサウンドが炸裂したメグでのイベント
メグのジャズ愛好会が主催するオーディオイベントも今では恒例となった感があります。10月は47研究所、11月はTMDでした。12月の下見を兼ねてTMDのイベントにオーディエンスとしてお邪魔しました。 TMDの畑野さんとは電話では何度かお話した事がありましたが、お会いするのは初めてでした。製品には寺島さんのお宅だとかお客様のお宅で拝見していましたのである程度の事は理解しているつもりでしたが、実際にフル装備のTMDサウンドを体験するのは初めてでした。 最前席に陣取っていたので一際異彩を放っていたのがかの有名な寺島アンプです。思っていた以上に大きなアンプです。プリ部はソーラーバッテリー駆動との事ですが、それを充電する為のランプの光が天板から漏れているのがやけに気になりました。しかし、その音はパワー溢れるサウンドで、手配線の良さが明らかに出ていました。 その日は主にピンケーブルの試聴がメインに組まれたイベントでした。合計7本のピンケーブルを次々と交換して行くという変わった企画です。資料を見ただけの時点では、あまり意味がないのではと訝しく思っていたのが正直なところです。 最初の組み合わせでピアノトリオを聞かされた時には、長い私のオーディオ人生の中で、一度たりとも体験した事のない魅力のある音だと感じました。2本目、3本目と聴いて行く内に借り物のDUOとの関係からか、ところどころに気になる点はありましたが、さすがと唸らされる音も随所に出ていました。 好印象 → 気になる点 → 一家言持った音・・・。 オーディオ屋の性からそんな風に思っていた矢先に、 寺島さんからいきなり感想を求められたのです。 会場の雰囲気も盛り上がっていた時に、 『カイザーさん!、TMDサウンドはどうですか?』 「ハイ! 一言で言うと、さすがだと思いました」 どんな音を創りたいのか、出てくる音を聴くとその理念が読み取れるのです。昨今の物作りが証明しているように、市場迎合主義と利益追求型の商品ばかりです。そんな中にあって、魅力あるTMDサウンドを聞かせられたのは、畑野さんの頭の中に、出したい音のテーマがハッキリ決まっているという証明でもある訳です。私はその点に敬服しました。畑野さんご自身もドラムを叩くと仰っていましたので、ドラムの音が際立た、なるほどと頷ける音でした。 私も畑野さんと同じように理念追求型で頑張っていますので、来月の24日のカイザーサウンドのイベントにも是非とも足を運んで下さいますようお願いします。とちゃっかり宣伝も忘れませんでした。 更に追い討ちをかけるように、『ジャズとクラシックを同時に良く鳴らせるようなシステムは可能なのか? 可能だと思う方は手を挙げてみて下さい』 私は手を挙げましたが、外に2〜3人だけでした。『畑野さん如何でしょう?』畑野さんは今までの経験上では無理があるとの立場でした。この手の議論になると理屈っぽくなり朝まで語っても答えは出ないので、壮大なテーマの割には静かな内に終わりました。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20111206.html その49 メグではカイザーサウンドの真の実力を披露 カイザー節が炸裂 ジャズ喫茶メグでのイベントはクリスマスイブという事もあって、お客様の入りを心配してたのですが、先月のTMDさんの立見で溢れるまでにはならずも、何とか満席に近い状態になりホッとしました。 喋り始めるや否や、カイザー節が炸裂し、独演会になろうとするその暴走を『どうやって止めようか!?』と、呆然・苦慮する司会進行役の中塚会長と私のやり取りが、生漫才をやっているかのような緊張感と面白さがあったようです。 『まぁ! まぁ! カイザーさん! 長話はそれ位にして、ここらで、ケニーバロンのピアノトリオを1曲聞いて頂きましょう』 『カイザーさんが喋り出したら止まらないんだから・・・』 入り口に陣取っている寺島御大の声が・・・ スピーカーのセッティング技術に驚きの声 今日の出し物のメインは今売り出し中のフルレンジスピーカーの RK-AL12/Gen2 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/Information_about_the_Rosenkranz_product/Speaker/information_about_MarkAudio/20111202_0001.html です。開演ぎりぎりまで準備に時間を取られていたので、適当に置いただけでのスタートとなりました。 全く調和のない音に私はやり切れず、お客さんに背を向けた状態のままスピーカーの位置調整を始めました。サウンドステーションUにスピーカーを設置していたので、思い通りに動かす事が出来ました。クリニックに伺った先でいつもやっているように、ほんの4〜5センチの間隔を前後左右に微調整するだけで音の調和を取って行きます。 あっという間に完璧な音空間を作り上げたものだから、会場の皆さんは何がどうなって音が変化しているのか、まるで出世魚が、やず→はまち→ぶり、と見る見る大きくなって行くのを見る思いだったでしょう。 已む無く始めたスピーカーの調整法と、その音の変化具合に皆さん方は驚かれたようです。私は決して試聴位置へ戻って音を確認する事はありません。スピーカーを動かしながらその場でセッティングしますし、スピーカーの後ろからでも音合わせが出来ます。 前席左端、即ち右のスピーカーより外に座っている方が、『こんな部屋の端にいても音が見事にスピーカーのセンターに定位して行くのが分かった』と私に耳打ちしてくれたのです。 オーディエンスの「凄い! 凄い!」との囁きが聞こえる様子に気を良くした会長が、曲が終わると同時に、『如何でしたか?』と問いかけると、会場からはヤンヤの大喝采が起こったのです。 そこで私が間髪入れずに、「この程度の事で喜んで頂けるなら私も楽なものです」。「しかし、私が今日出そうとしている音の目標からすると、現時点の音は18点〜20点位のものです」。 いつものように、私は大風呂敷をひろげました。 BIG3インシュレーターの威力 特に10月に発売したばかりのローゼンクランツ・インシュレーターBIG3をCDトランスポートの下に入れた時は、メグの空間が大化けした瞬間でもありました。RK-AL12/Gen2からウッドベースのエキゾチックでうねるような低音が正確なピッチで展開し始めたのには、正直私もちょっとビックリでした。エンクロージャーの設計の成せる技でもあります。 『さて、今回で点数はどれ位まで行きましたでしょうか?』 口々に、『35点! 38点! 40点!』 またまた、会場は大拍手です。 それは、それは、楽しいクリスマスイベントになりつつあります。 「これ位の事で喜んで頂けるのなら、私にとっては楽なものです」 その決め台詞に、又もや大喝采です。 フルレンジスピーカー・RK-AL12/Gen2の実力 ネットワーク回路を介する一般のマルチウェイスピーカーが逆立ちしても表現する事が出来ない、音の深さ方向への浸透力は望遠鏡で覗き見るほどです。"ドラムの叩く音"と"ベースの弾く音"の区別が、まるでそれらの姿が見えるようです。 だから、聴き手の脳はウーハーとかツイーターとか、スピーカーの音として微塵も認識する事はありません。昨今の性能ばかりを追い求めようとする、意味も芸も無いオーディオ業界の流れに、強烈なノックアウトパンチを喰らわした気分です。 オーディオ本来の進むべく道は、今提示しているこの音楽性豊かな表現にあるのです。初志貫徹、志を忘れてはいけません。目先の利益を追っかけているようでは魂を揺さぶる本物の感動は逃げて行くばかりです。 カイザーサウンド イベント PK-RL12gen2.m4v http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=tUZMk0DZ-TY 大沢親分に代わって、堕落した業界に私が渇を入れます。
ゲストとしてその場に居られた評論家の林正儀さんが、オーディオアクセサリー143号でRK-AL12/Gen2のレビューを書いて下さったのですが、『音元出版の試聴室での音とは、まるっきり違う実力にはハッキリ言って驚きである!』とまで口にされたのです。 また、音的には良い場所とは言えない店内入口近くの寺島御大からも、親指を立てて私にGoodのシグナルを送って頂きました。 ジャズ向けのディンプルパターン・インシュレーター 『さて、カイザーさん! 次なる出し物は何でしょう?』 『次はDAコンバーターに、ディンプルの入ったBOSSというインシュレーターを入れて聴いて頂こうと思います』
カイザーサウンド イベント2.m4v http://www.youtube.com/watch?v=-M7y77yZOsw&feature=player_embedded このディンプルで思い出しますのは、寺島さんをギャフンと言わせようとの意気込みで開発を始めたのがその経緯なのですが、シンバルの表面に波打つ、鈍く渋い音を生み出すハンマーリング効果を狙っての挑戦がテーマでした。 私はBIG JAZZに寺島スペシャルというニックネームまで付けて開発したにも拘らず、そのワイルドかつ魅力ある音を分かって貰えず、寺島さんに駄目出しを喰らったのです。その後改良を加えBIG BOSSとBOSSの大小二つのインシュレーターは、空前の大ヒット商品となったのです。このBOSSは10年近く経った今も現行商品として活躍しています。 『入れる度に音が良くなって行くローゼンクランツ・インシュレーターですが、果たして何点まで上がりましたでしょう?』 拍手はどんどん大きくなります。 そして、『口々に信じられない!』 とか、 『インシュレーターでここまで変化するのは、理屈としてどう理解して良いのか全く分からない』というのが皆さんの本音のようです。 『音楽にリズム感や抑揚、そしてノリの良さなどが際立って来たと思います』 『ジャズのエッセンスが注入されました』 高評価で順調に60点位まで貰えたようです。 『カイザーさん! 満点まで行きそうでしょうか?』 会長のそんな突込みにも負けず、 『この程度の事で喜んで頂けるなら、私も楽なものです!』 ・・・と強気に、言いつつも、予定していたスパイク受けインシュレーターを今使っているBASIEからCAPTAINに交換する予定だったのが、BIG3と間違えて忘れた事に気がついたものだから、急遽次の言葉が口から飛び出したのです。 「実は、時間切れ引き分けを狙っているところです」 会場はどっと笑いに包まれました。 響きの方向性が音楽の感動を演出する 『次は管球アンプの下にBIG3を入れて聴いて頂きましょう』 入れてすぐはさほどの変化は感じられませんでしたが、徐々に地味に良くなって行くのが確認出来ます。しかし、冷静に考えてみれば、僅か12センチの振動板一発でメグの店内は生きたジャズの音楽に満ち満ちています。どこの席に座っていても、素晴らしい音がするのには全員の方が驚いているようです。 次々とインシュレーターを入れて音を良くして行く事を何度も続けたので、次は音を悪くする方向での試みをしようと思います。ローゼンクランツのインシュレーターには上下の方向性は勿論の事、360度の水平方向に関しても響きの管理をして作られています。 それを示すアルファベットのAマークが刻印してありますが、そのAマークは機材の背面側になるように設置して頂くのが正しい使い方であります。今日のBIG3の場合はタイプUと混乱しないように数字の3を刻印しています。 CDトランスポートの前の一ヶ所だけクルッと180度回転させ、正面に見えるようにすると、どのような音になるのかを聴いて頂こうと思います。私がやったのでは、何か手を加えたと思われてもいけないので、前にいる一番若い方に青年代表としてやって頂こうと思います。 私がペンライトを照らします。 「出来ましたでしょうか?」 『ハイ! 出来ました』 「それでは、会長鳴らして下さい」 『うわっ! 気持ち悪い音!』 『音がグジャグジャでバラバラになった!』 「それでは、青年代表! 元に戻して下さい」 『おお・・! 元に戻った!』 ここで、寺島御大が一言。 『カイザーマジックを見ているようだ!』 「皆さんどうしてこういう現象が起こるのか理屈を考えてみて下さい」 更に、寺島御大が二言目。 『Aマークなんていい加減だと思って今まで信用してなかったが、今回ハッキリと方向性の違いが分かった!』 『じゃぁ!、何故俺んとこでは分からないのだ?』 「そりゃぁ! 寺島さんところの音が悪いからですよ!」 『言ってくれるじゃない!!』 「色々な方向性を管理出来ていないメーカーの商品が殆どの中で、1個変えた位では分かり難いのが当たり前なんです」。「例えて言うなら、オセロの板面で白と黒が半々状態だとその変化に気がつき難いですよね?!」。「皆さんのシステムはそういう状態にある訳です」。「そんな時は私だって難しいですよ」。 「しかし、当社のように方向性を管理した物作りをしているメーカーはどこにもありません」。「そんな状態の中で音の良し悪しのA.B比較をしたところで、決して正しい判断が出来ない事をお解かり頂けたでしょうか?」。 「皆さん合点ですか?」 『ハイ!』 ラックの調整によるセッティングの極みを披露 カイザーサウンドでは日夜努力してセッティング技術の向上に勤めていますが、オーディオラックの位置調整で果たしてどのように音が変わるのでしょうか? この技術はちょっとハードルが高いので、上手く行くかどうか分かりませんが頑張ってみたいと思います。 「それでは、青年代表前へ出てチェックしていて下さい」。「私の免許証を動かしたい位置まで目印に置きます」。「その動かす幅は免許証の約半分です」。 「それでは、動かします!」 「よしっ!」 『うおおおおお〜〜〜!!!』 会場はうめきとも、声とも区別がつかないようなどよめきが起きました。 「不思議でしょ!」 「これこそが、オーディオの謎なんです!」 『時間も来ましたので、名残惜しいですが、お開きにしたいと思います』 「会長! 1分だけ時間を下さい!」 「では、今日おいでの皆様に特別クリスマスプレゼントを差し上げたいと思います」 「皆さんのオーディオシステムのクリニックを無料で行います」 「その代わり昼飯だけ奢って下さい」 「500円のランチでも結構です」 『本当ですか? 名詞を下さい!』 「私も! 私も!」 こんな大盤振る舞いで幕を閉じた、メグでのクリスマスイベントでした。 ご参会下さいました皆様に、「有難う!」と感謝の言葉を申し上げたいと思います。 カイザーサウンドは、世界に誇れる日本人の真の実力を磨く事を誓います。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20120118.html その50 ジャズ喫茶MUSICBIRDのゲストとして FM東京から放送される寺島靖国さんの番組、「ジャズ喫茶MUSICBIRD」にゲストとして呼ばれたのですが、その日はジャズ評論家の岩浪洋三さんと初めてご一緒させて頂きました。かつてスイングジャーナルの編集長だった事でも知られていますが、ジャズ批評の大家であります。 話の流れの中で岩浪さんの生まれ故郷が私と同じ松山だという事を知り大変驚きました。23年末は松山出身の偉人3人を描いたNHKドラマ「坂の上の雲」で賑わいましたが、岩浪さんはその中の主人公の一人である正岡子規と同じ松山中学(現松山東高)で、かたや私は秋山好古陸軍大将が晩年校長を勤めた北予中学(現松山北高)の出身とあって、寺島さんを他所に故郷話に花が咲きました。 岩浪さんご自身が旧制中学卒だという話には二度ビックリ!。戦後数年は旧制中学だったんですね。私は終戦と共に高校に変わったとばかり思っていました。ちなみに岩波さんは78との事ですから昭和8年、寺島さんは13年、私が23年です。この話に割って入った寺島さんは都立杉並高の一期生だそうです。何だか凄い昔の話になって来ました。 実は野球という言葉を考案したのは正岡子規だと言われています。寺島さん! 松山は日本の野球の発祥に地なんですよ。ちなみにお座敷遊びに欠かせない野球拳もそうなんですよ!。 『じゃぁ! 一曲やってよ!』 「では! 行きますよ!」 や〜きゅうう〜う、す〜うるなら♪ こういう具合にしやしゃんせ♪ アウト! セーフ! よよいのよい! 『分かった! 分かったよ!』 『この話は一旦置いといて、ジャズの話に戻しましょう』 『ところでカイザーさん、何枚かディスクを持って来てくれました?』 「はぁっ?! 持って来ていません・・」 『どんなディスクや曲を使って製品開発しているのか等を聞くから・・と言っておいたでしょう!』 「確かにそう聞いていました。それは対談で会話の内容の事かと思っていたんです」 『ったくもう! ゲストでディスクを持って来ないなんて、カイザーさんが初めてだよ!』 そんな面白可笑しな調子で、二時間の収録時間もあっという間に過ぎました。 http://www.rosenkranz-jp.com/Information/People_musical_instrument_music_car/TerashimaYasukuni_special/20120126.html |