http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/408.html
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(回答先: jazz オーディオ 魔境の旅 投稿者 富山誠 日時 2013 年 1 月 23 日 12:20:25)
Jazz Spot "Half Note" in Iwate prefecture - JBL Paragon D44000 ジャズ喫茶ハーフノート
http://www.youtube.com/watch?v=aUGc_MG0hzo
JBL PARAGON SG520 JAZZ COFFEE-SHOP IN MIZUSAWA IWATE ハーフノート 2010/9
http://www.youtube.com/watch?v=sCFuigOPgro
水沢 jazz喫茶 ハーフノートのコスモス 2010/9/25 頑張ろう東北
http://www.youtube.com/watch?v=AQzL97cgFoI
Half Note (ハーフノート)
http://halfnote.me/halfnotecafe/second.html
http://tabelog.com/iwate/A0303/A030302/3005967/
岩手県奥州市胆沢区小山字北昼沢38-5
TEL 0197-47-1582
営業時間 11:00〜23:00
ランチ営業、日曜営業
定休日 第1・第2・第3木曜(但し祝日の場合は営業)
メニュー
Coffee 500yen〜
BeefCurry 900yen
Beer 700yen
RoastBeefSand 900yen
Whisky 800yen
AUDIO SYSTEM
PL EMT930st 、 MICRO 5000 U 、DENON-DP100M
TSD-15 、 XSD-15 、C・POINT SA-139st
CD WADIA 850 、 WADIA 2000+PO-s
PRE JBL SG520 、Mcintosh C29 、C40 、 C22
POW Mc 2500 、 Mc 1000 、 Mc 275×2
SP D44000 Paragon 1950年代製
普段は、930st 〜 SG520 〜 Mc2500 〜 JBL D44000
で鳴らしているそうです。
http://www.ijc.sakura.ne.jp/archives/enjoy/enjoy08/enjoy08.htm
アクセス
陸中折居駅から3,177m
東北自動車道水沢ICより8キロ
水沢駅から徒歩約1時間
タクシー:1300−1500円(推定)
路線バス:水沢駅付近から一日4本くらいあり。
貸自転車:駅前の観光センターにあるはず(ある事は電話で確認したが現場ではそのまま歩いたので未確認、1日500円のはず)
地図
http://tabelog.com/iwate/A0303/A030302/3005967/dtlmap/
http://www.mapion.co.jp/m/39.10812278_141.11506639_8/v=m2:Half%20Note/
「奥州市にパラゴンを設置してあるお店がある」との情報を入手。訪問してきました。
旧・水沢市の郊外、水沢農業高校の近くにあるらしい。
店の名称は“Half Note”。
のんびりとした田園風景が広がる郊外へ向けて愛車を走らせていると、それらしい建物を発見(県道236号線沿い)。
外観はwoody。看板には“coffee & jazz”と記されています。
11:00オープン。 中扉を開け店内へ。
中央にはグランドピアノが置かれ、右手が広い窓ガラス席、左手がリスニング席。
→窓際席から奥を眺めると・・・。
自分の習性からか、思わず明るい方(窓際席)へ座ってしまいました。
そこから店内の奥を見ると、頭よりも高い位置にエレクトロボイスのSENTRY 500シリーズ(!?だと思われる)が壁から吊されています。これって、確か重量自体が30kg/1本 以上はあったはず。
窓際席からはパラゴンは視界にないため、奥の席へ移動しました。すると・・・・・・
「お、お、おぉ〜〜〜〜!」
パラゴン様が鎮座しています。
→パラゴンのためだけに用意されたスペースですね。
床に直置きではなく、ちゃんと主神を祀るがごとく、上段(いや、祭壇と言ってしまいましょう!)を設置してあります。スピーカーユニットの高さが、客席に座った位置からの耳の高さに合わせてあるんですね。
天井は高めにゆとりをもってとってあり、内装も外装と同じくwoody-likeな壁で覆われています。パラゴンの木目調に合わせた内装であるとも思えます。
店内には本棚があり、店主の小野寺孝夫さんの関心があるものが置かれているのでしょう、きっと。
また、LPレコードが委託品として置かれていて、(たぶん)相場価格よりも低めの値付けがされているようです(もしかしたら、掘り出し物があったかも? 逆に「これにこの値段はないやろぉ!」的なものも・・・・)。
レコード収蔵枚数20000枚ともいわれ、その一部とともにアンプ部屋(!?)がガラスで店内と仕切られています。
パッと見る限り、MCINTOSHのMC2500が2台、目に入りました(マルチドライブ!)。
BGMレベルの音量よりも大きく、かといってガンガン音出しするほどでもなく、パラゴン側の座席でも会話ができる程度の心地よいレベルだと思います。
一聴して、LPレコードがかかっているのにノイズが殆どない。レコード盤を丁寧にクリーニングしてあり、使用している伝送(電送)系統にも無駄がないということでしょうか、立派だと思います。
この空間を独り占めして至福の時間を過ごすことができました。
http://www.geocities.jp/sjtsunoda/jazzshop/halfnote/halfnote.html
第二次東北ジャズ喫茶行脚: ハーフ・ノート 水沢 パラゴンの住まい
2011年1月20日(木)訪問。
北上の超安宿をゆっくりと離れて、雪の積もった道を北上駅へ歩く。今日の予定はまず、各駅で3つ目の水沢駅でおりて、水沢農業高校向かいの別荘風、JBLパラゴンを住まわせているジャズ喫茶『ハーフ・ノート』です。
11時が開店なので、あまり早く行っても仕方ない。雪も降っているので、雪を味わうためにも、やはり歩く事にした。従って、水沢駅には10時ころに到着すれば最も良い。
駅に着き、歩き始める。雪が降っていてやみそうにない。
雪が降り続く。
iPadを見ながら、約1時間弱、お約束の水沢農業高校に到着、正門を過ぎる、過ぎても、ハーフノートは出現しない。やばい、と思い始めた。道沿いと思ったが、奥まったところにあるのだろうか・・・・・それでも、尚進む。
電話をしてみた。誰も出てこない。やばい。
雪で歩道は狭く、滑る、やばいなぁ、これで、見つからなかったら困ってしまう。
と思ったところ、ゆるやかなカーブを抜けると、忽然とハーフノートが現れた。
降り続ける雪の中に、登場。 いやー、うれしかった。
雪が降る続けるのですから、大変です。(農業高校の正門を過ぎてかなり行かなければならない)
中に入ると、マスターらしき人と、女性が1人、カウンターの辺りで話していた。
私は玄関から少し離れた方の、つまりパラゴンが置かれ、その前に席がスクール・タイプで並んでいるエリアに進んだ。ここも、一般席と、パラゴン席が分けられているのです。
前から二番目の席に座り、今かかっている音楽を聴く。
きれいにメンテナンスされているパラゴンの前に陣取ると、昔の京都ビッグビートの感触がよみがえる。こんな音だったかなぁ、と想いながら、聴く、気持ちよい。
しばらく聴いて、一枚リクエストしようと思った、やはり、ここは、常套的ですが、コルトレーン、セルフレスネス、マイ・フェイバリット・シングズにならざるを得ないでしょう。
リクエストして、直後、私はもう一段前の席に、つまり最前列、目と鼻の先にパラゴンの出っ張ったスピーカの穴が迫ります。
パラゴンの、やはりちょっと古めかしい音が、荒れ狂います。最高!
(KENさんはどう言うかな、とチラッとかすめる)
私が20歳のころ、45年前ビッグビートで聴いていたころの近さだ。
こんなに長い間生きているスピーカー。
やはり、このスピーカーは、当然だが、居間のスピーカーです、近くに耳を持って行って聴くべきものなのでしょう。
コルトレーンのマイ・フェイバリットが終わって、私はどうしても、このパラゴンで、無謀かも知れないが、マイルスのエレクトリックを聴いて見たくなった。どんな風に聞こえるのだろう。しかし・・・
「また、リクエストですが、マイルスのパンゲアをお願いしたいのですが、・・」
一瞬間があって、
「すみません、そのアルバムは置いてないんです。」
なるほど、そうかそういう解決法もあるよね、と納得した。仕方ないので、
「では、フォア・アンド・モアを。」
とその場を繕った。
残念ながら、パラゴンでパンゲアは無理だった。どこかで試して見れるのかなぁ。
そうして、ランチの時間でもあったのでカレーライスを食した。美味しかった。
多分、11時過ぎから約2時間から2時間半居て、失礼しました。
ゆったりとして良い場所です。今は、真っ白く雪だらけですが、春には緑が美しいに違いないでしょう。冬以外の季節に、もう一度来たいですね。
今度は、パラゴンでパンゲアなど無謀なことは言いません。
できれば、開店から、周りの散歩も含めて夕方くらいまで過ごしたい感じです。
外に出て、うっかりしていたのに気づきました。帰りはタクシーを呼んでもらおうと思っていたのに忘れてしまっていたのです。約1300−1500円くらい、呼び賃は無料、と調べていたのに、タクシー会社の電話番号も持っているのですが、雪の中立ちすくむのも嫌だし、まあいいや、と歩き始めました。
今日の予定はちょっと盛りだくさんです。 ( >は営業時間です。
1)ハーフ・ノート 水沢 (11:00−23:00>
2)レイ・ブラウン 水沢 (14:00−21:00>
3)ベイシー 一関 (14:00−22:00だが日により異なる>
4)クレッセント 水沢 (19:00−24:00> (可能ならば)
つまり、これからこのまま歩いて、駅の方に進み、途中から折れて、レイ・ブラウンへ、それから水沢駅に行き、一関へ、ベイシーの後、可能ならば、あの北上の安宿へ帰る途中、再びこの水沢に降りて、クレッセントに寄ってから帰ろうかと思っているのです。
http://jazzangya.jugem.jp/?cid=25
みちのくジャズ喫茶巡り Half Note 2009年05月03日
ゴールデンウィークの休暇を利用して、みちのく、東北地方のジャズ喫茶巡りに行ってきました。岩手県・宮城県と併せて5件回ってきました。なかなかハードでしたが、とても面白い体験でした。
最初のお店は、岩手県・水沢の「ハーフノート」です。水沢農業高校の向かいにあります。最寄り駅は陸中折居駅ということですが、とてもとても「最寄り」などといえる距離ではなく、車でないと無理ですね。
11時のオープン時間のちょっと前に到着しました。山小屋風のしゃれた外観です。奥様らしき女性の方に一声かけて、ちょっと早めですが店を開けていただきました。
高い天井の広々とした空間に、JBLのパラゴンが置かれています。
コンソールルームの様子です。EMT、JBLのプリアンプ、マッキン、ワディアetc・・・。いずれ劣らぬ「ジャズを鳴らす」為の銘器がずらりと並んでいます。
バックバーにも溢れんばかりのレコード。何でもその数たるや2万枚に及ぶとか・・・。レコード専用の部屋もあるのだそうです。
ほどなくして、マスターが登場。店内を軽く片付け、コーヒーを淹れてくれました。ここのコーヒーは苦味も酸味も抑え目で、すっきりとしたとても飲みやすい一杯でした。
さて、いよいよ演奏開始です。まずは坂田明さんの「ひまわり」から「G線上のアリア」がかかりました。
厚く、輪郭のくっきりとしたサックスは、時に鋭さも見せながら、しかし決して耳にきつい音にはなりません。このあたりのさじ加減が実にお見事。そしてお腹に「ズーン」とくるベースの豊かな響き。次のトラックでのパーカッションの音も、スティックでどの部分を叩いているのかが見えるような生々しい再生でした。
続いて、ケニー・バレルの「ハンド・クラフテッド」がかかりました。バレルのギターとレジー・ジョンソンのベースの音が重なって太く、グルーヴ感満点の鳴り方でした。
壁にかかっていた、ジーン・ハリス=バンドのメンバーのサインが入ったLPのジャケット。"To Pony"とあるのは、以前ご主人が「ポニー」という名前でジャズ喫茶をやっておられた名残だとか。
写真に快く応じてくださった、店主の小野寺さん。物静かで柔らかい感じのお人柄ながら、音からはジャズに対するとても熱い情熱が感じられました。今回は短い時間の滞在になりましたが、次回来る時はもっと時間をかけて色々聴きたいと思いました。近くには中尊寺や毛越寺など、岩手県が誇る名勝もあるので、お近くに寄られた時には是非立ち寄っていただきたいお店ですね。
コメント
ハーフノートのご主人も、「ベイシー」には随分影響を受けた方のようです。
私がおいとまする際にも、わざわざ「一関のベイシーにも寄ってくださいね」と
声をかけられたくらいですから。
建物の作りは、正にログハウス的ですが、白い部分は有孔ボードでした。
空間が広いのと、適度に音が漏れる(外の車の音も聞こえる)ことから、気になる響きも無く、気持ちのいい音響空間でした。
byたくみ@深川 at2009-05-03 23:40
以前新幹線に乗ったとき、トランヴェールというJRの雑誌に東北のジャズ喫茶が特集されていました。それでこのお店を知ったのですが、ベイシーが街中で煉瓦造りの蔵に対して、ログハウス風でそれ程ガチガチの防音空間でも無さそうなので、興味はあります。
それにしても車がないと行けないところが、ちょっと厳しいかなと思っています。
でも11時開店でしたら一関でレンタカーを借りて、先にこちらに来てから、ベイシーに行くという手もありますね。
by山田野案山子 at2009-05-04 06:05
そうですね。ジャズファンなら一度は憧れるラインナップですよね。
パラゴンから出てくるドラムスの音は、あのホーンのせいなのでしょうか、 本当にスティックの「木質感」が実感できるような音なんです。 これがとても気持ちよかったです。
byたくみ@深川 at2009-05-04 07:56
車で無いと無理とは書きましたが、陸中折居の駅からタクシーなら十分アクセスできる距離だと思うので、帰りもタクシーを呼んでもらえれば何とかいけるのではないかと思います。
byたくみ@深川 at2009-05-04 08:04
レンタカーはいいアイディアだと思います。こちらに来てからお寺巡りをして、 ベイシーに向かうというのはいいコースだと思います。
byたくみ@深川 at2009-05-04 08:11
http://community.phileweb.com/mypage/entry/2022/20090503/
ジャズ喫茶 ハーフノート(Half Note COFFEE & JAZZ)
岩手県奥州市胆沢区にあるジャズ喫茶ハーフノート(Half Note)。JBLの名機パラゴン(Palagon) D44000が、木の響き豊かに、広い空間で朗々と鳴っています。ここでかかるレコードと音に衝撃を受けてしまった私は、また通うべきジャズ喫茶が増えてしまい、嬉しい悲鳴を上げています。
第1回目訪問(2008年6月下旬)
岩手県奥州市胆沢区にあるジャズ喫茶ハーフノート(Half Note)へ初めて行きました。国道4号から、田舎の県道を走り、迷わずにハーフノートへ来ることが出来ました。県道を挟んで向かいには、水沢農業高校があります。駐車場に車を止め、木の造りの建物に近づくと、もういい音が中から聴こえてくるのでした。もうこれだけで、中へ入ってもいいジャズが流れていると確信みたいなものを持てました。
扉を2つ開け店内へ入ると、天井は高く、内装は木で統一されており、非常に響きの美しい建物です。そうして、耳の高さに合わせるように、専用の木製のデッキに乗せられたJBL D44000は、建物と完全に調和が取れていて美しいと感じました。そして、その古くも美しい外観のスピーカーから流れてくる音も美しいのです。美しさと同様にジャズの驚喜、狂気、そして蠢きのような表現が出てくるです。何とも言えない気持ちになりました。
現代のハイエンドと呼ばれる高額なスピーカー。そして、私自身、出てくる音の物理特性よりも、見た目を優先させているのだろうと、勝手に考え、スピーカーというよりも骨董品とか美術品に近いものと思っていたD44000。そしてこのD44000、おおよそ現代の物理特性を重視しているはずのスピーカーの流行や理論から、外れた設計だと勝手に考えていた私。このスピーカーから、こんな音楽がジャズが聴けるなんて、ものすごい興奮と嬉しさと同時に、とても複雑な気持ちを抱きました。スピーカーってこのD44000が登場した昔から、進歩しているの?と。
そしてつくづく、スピーカーは使いこなしと、その置かれた空間で、違うスピーカーと思えるほど、出てくる音は違うと感じました。今ちょうど、西日が山の向こうに沈んで、パラゴンの陰影がより濃くなっています。あまりの美しさにため息を付きながら、この文章を書いています。
先客が帰り、この広いジャズ喫茶に客は私一人となっています。店主は私一人のために、レコードをかけてくれます。そして、私はパラゴンの前の中央の椅子に座っています。得も言われぬジャズが流れて来ます。なんとかけがえのない贅沢な時間を過ごしているのだろうと思います。
Max Roach・Connie Crothers/Swishのレコードがかかります。混沌として、FusionかRockの様なレコードです。美しいスピーカーと出会え、自分の知らなかったレコードに出会える。こういうジャズを聴きたかったんだ。と、声を大にして叫びたい程でした。
(Max Roach ・ Conie Crothers/Swish 注:LPのジャケットとはデザインが違います)
このレコードを聴いて、私の頭に思い浮かんだのはRadiohead/KID Aです。KID Aのアルバムの出る何年も前に、ジャズはとうにこういう表現をしていたのか、と愕然としました。1982年のアルバムです。音楽はロックが最先端をいっていたと思っていただけに、本当に衝撃を受けました。ジャズの方がずっと先に進んでいたではないかと。こんなレコードと出会えるなんて、本当に嬉しい衝撃です。
ジャズで言えば、John Coltrane/Live at the Village Vangured、Live at Birdland、Eric Dolphy/Out To Lunch、そしてロックで言えば、Radiohead/KID A、Sigur Ros/( )、Autechre/LP5などに出会った時のような衝撃です。こういう全身を震わせる程の音楽との出会いは私にとって滅多に無い。それだけに本当に嬉しいのです。
(Radiohead / KID A)
(Sigur Ros / ( ))
(Autechre / LP5)
(John Coltrane / Live at the Village Vangurd)
(John Coltrane / Live at Birdland)
(Eric Dolphy / Out To Lunch)
ケーキセットにコーヒーかお茶がつき、そしてこのジャズを堪能できて\750。来るまでの道のりは遠いが安い。遠くてもここに辿り着いてジャズを聴くことに大きな価値があると私は思いました。Half NoteのD44000と、今日このレコードに出会えたことに感謝し、店を出ました。
第2回目訪問(2008年7月中旬)
7月の中旬、奥州市胆沢にあるジャズ喫茶ハーフノート(Half Note)へ行きました。前回の訪問から2週間ぶりです。私が店内に入ったときには誰もいませんでしたが、すぐに2組のカップルが入ってきて席に着きました。やはり一人でジャズを聴くのは寂しいものがあります。前回と同じ頃、ちょうど日が沈む時間に来たので、店内は薄暗くなっています。ハーフノートでは必要最小限の照明しか使わないようなので、目が慣れるまでに時間がかかります。
私が店内に入ってすぐの時には、CDがかかっていました。曖昧さの少ない低温。コリッとして硬質感のある音は、低域に限って言えばLPレコードよりも良いくらいに感じます。このジャズ喫茶から道路をはさんで向こうには、水沢農業高校の広いグランドらしき敷地が見えます。土の地面ではなく、一面に芝か雑草が生えています。あれならば、砂ぼこりに悩むことなく部活動を送れるに違いありません。
白熱灯のランプが隣りの若いカップルを照らしています。ここはおしゃべりをして過ごすのには、少々ストイックな音量のジャズが流れるジャズ喫茶です。何も語らず。何を想っているのでしょうか。
JBL D44000 Paragonは美しい。こうして長い年月が経っても色褪せることなく、次の世代まで伝えられるデザインをすることは、どれほど難しいことでしょう。CDが終わり、LPレコードがかかります。やはり、お客が来るとレコードなのでしょうか。Milt Jacksonのバイブが聴こえます。耳にきつい高域ではありません。実に耳当たりの良い音です。中域も低域も、ここで鳴っているジャズそのものが最高に良い感じです。
会話を楽しむお客は、カウンター前の、スピーカーから遠い席へ座り、私のようなジャズのみ聴きたい者は、スピーカーの正面に座ります。広い店内だから可能なことです。このジャズ喫茶ハーフノート(Half Note)の周辺は本当にのどかな田園地帯です。だいたい東北本線の陸中折居駅から、道なりに6kmくらいで着くでしょうか。健脚の持ち主ならば、駅から徒歩一時間といったところです。
生のベースより生々しいベースの音が聴こえます。何とも楽しいことです。コントラバスベースをどんなに強くかきむしっても、こんな音量はでないでしょう。こんな楽しみがあるのもレコード演奏だと思います。「原音再生?何ですかそれは?」と、言ってしまいたい程楽しいジャズでした。
隣りの席の若いカップルは何も語らず笑顔で見つめ合っています。いいですね。こういう光景。ジャズ喫茶ではおおよそ見かけたことの無い光景です。
ところでパラゴンというこの愛称は、どこから付いたのでしょう。○○ゴンでは、まるで子供の頃に見たウルトラマンの怪獣の名前の様です。(笑)Paragonという愛称と、この流麗な曲線を描くスピーカーとは、私の感覚からすると合っていないように思えました。
白熱灯の明かりが、テーブルを照らします。どうしてこんなに優しい光なんだろうと思います。色だけ似せた蛍光灯では決して出ない明かり。この白熱灯も、そのうち省エネという理由で、消えていくのでしょう。すると蛍光灯を使いたくないオーディオマニアは、灯りに何を使えばいいのか。LEDへ行くしかないのでしょうか。果たしてLEDでこういう優しい光が出るのか。LEDは直流しか流せません。交流を直流に変換してやらなければなりません。いけない。ジャズ喫茶でまた余計な事を考えてしまいました。
私もSACD盤で愛聴しているMiles Davis / Sketches of Spein のレコードがかかります。このレコードはベイシーでも聴いたのを覚えています。ビックバンドを従えて、Miles Davisがかっこよく、渋くTrumpetを演奏しています。次ぎに、ビックバンドのライヴ盤が大音量でかかるも、全く破綻しない音を聴かせてくれます。耳に痛さも感じません。気持ちの良いビックバンドなのです。目を閉じて、ビックバンドを楽しみました。自然と身体が動いてしまい、演奏者のリズムに私は酔いしれてしまいました。
ビッグバンドの次はNina Simonの歌声です。女性にしては太い声で(ジャズでは、今の細い優しい声のジャズヴォーカルの方が例外的なのでしょう。)、なんとなく懐かしいメロディの曲を歌っています。
こんな事を思いました。アマチュアカメラマンが、霊峰の山頂から御来光を撮るため、登山者となり、さらに重い三脚とカメラ、レンズの機材を背負って山を登るのです。そしてベストショットが撮れれば良いのですが、そう簡単にお天道様は、最高の天候を易々とは作ってくれません。陽が雲に隠れる年もあれば、悪天候で何も見えないときすらあるわけです。しかし、最高の一瞬を撮りたいカメラマンは、毎年山に登るのです。天候が悪く、シャッターが切れなければ、また来年。Next Year One More Time です。ほんの一瞬の最高の光景を切り取るためにカメラマンは山に登るのです。これに、オーディオも似ていると思いました。ほんのひととき、最高の音楽を聴くために、その状況が用意されているかどうかわからない山に向かって、手間と暇とお金を使って、登るのです。しかもこれは仕事では無い、純粋な”遊び”です。決して自分の信条を曲げていくことができません。
天井の羽が回って、かすかに涼しい風が届きます。この夜もジャズを聴けて最高でした。
第3回目訪問(2008年7月下旬)
奥州市胆沢にあるジャズ喫茶ハーフノート(Half Note)へ行きました。着いたのは、今までと同じ、ちょうど日が沈む頃です。レコードが終わると、静寂に戻り、外の虫の音が聴こえます。遮音するのではなく、適度に音が抜けていくのが良いのだろうと思いました。
エレキギターのジャズがかかります。良いリズムです。リズム感。この感覚がまず違います。私はアマチュアバンドの録音をすることがあります。しかし、いかんせんアマチュアです。レコードとして残り、ジャズ喫茶の店主に愛され、ターンテーブルの上に乗せられるレコードの演奏者のプロとは、技術、リズム、すべてにおいて比較になりません。当然です。アマチュアがどうがんばっても到達できない極致にいて、それを生業とするのがプロなのです。
しかし、音そのものを聴いても、昔のレコードの方が良いように思えるのです。何十年前のプロ用の録音機器。そして今のメモリーレコーダー。何十年の時を経ても、尚昔の機器にはかなわないのでしょうか。プロ用の最新鋭の録音機器ならば、軽く昔のそれを凌駕するのでしょうか。
昔の、業務用の真空管を使った巨大な電子計算機は、今の1,000円に満たない、民生用の電卓や、格安のPCの表計算ソフトに太刀打ちできません。しかし、音楽は録音機器も、それを収める記録媒体もたいして進歩していないように思えます。進歩したのは、小さくなったことと、使い勝手が良くなったことだけでしょうか。進歩があったのなら、その成果の限界までソフトに詰め込んで、聴き手に届けて欲しいと、いつも強く思っています。
日も沈み、完全に暗くなると、虫の音色も変わります。レコードが終わり、次のレコードまでの静寂の時間には、壁に立てかけてあるゼンマイ式の時計の「コチコチ」という時を刻む音が聴こえます。祖父母の家へ行くと、巨大な壁時計があり、「コチコチ」と鳴りながら、ずっと時を刻み続けるのを思い出します。そしてゼンマイを巻く作業と、時間を合わせる作業が必要なのですが、今の電池で動くクオーツ時計には無い何かを感じさせてくれます。
JBL D44000 Paragon パラゴンは実に多彩な表情を見せてくれます。ピアノの音色など、角が丸まった音かと思えば、ドラムは迫真の音が、スパン、スパンと軽く飛んできます。面で押し寄せてくるような音は、ジャズにうってつけのスピーカーだと思います。ではクラシックは、ロックは?などと考えてみても、ジャズ喫茶なのですから、想像を巡らせてみるしかありません。きっと悪い音はしないと思います。
何とも切ない感じのメロディと、悲しい旋律のバラードがかかります。それで終われば普通の曲なのですが、それで終わらない、先が読めないのがジャズの面白いところです。突如ドラムが入り、急にテンポが上がり、激しいリズムと旋律が駆けめぐるジャズに変化していきます。このテナーサックスの音が絶品。
ジャズと音そのものの力を身体で受け止められるのが嬉しいのです。先ほどはピアノの角が丸いと書きましたが、今聴いているレコードからは鮮烈なピアノの音色が聴こえます。レコードに込められた演奏者と録音技師の想い、装置を使いこなす人によって、いかような表現もできるスピーカーなのではないかと思いました。
今日も、ジャズを聴けて満足でした。遠い家路への道のりは気にならなくなります。
第4回目訪問(2008年8月上旬)
今日も、日没頃にジャズ喫茶ハーフノートへ来ました。店内に入るとCDがかかっていました。ラテン系のギターサウンドです。ノイズレベルが小さく低域の輪郭が明瞭なところがCDの良いところだと思っています。
壁を見ると、Count Basie Orchestra / Basie is Back のジャケットが飾られています。ジャズ喫茶エルビン、ベイシー、ハーフノートと、3軒で飾られているのですが、私は未だにそのレコードを聴くことができないのが残念でなりません。私は、ジャズ喫茶の音や内装、雰囲気、香りに加え、選曲も店主の信条であると考えていますので、店主の選曲を全面的に信頼しています。そのうち、店主と波長が合えばレコードを聴くことができるでしょう。
今夜は少々蒸し暑いです。夏でも東北の朝夕は涼しいのが常なのですが、少し汗ばんできます。そして、レコードは蒸し暑さとは正反対のクールなジャズといいたいところですが、パラゴンから聴こえてくるのは、ぶ厚く熱いジャズです。この熱で、今夜の蒸し暑さを吹き飛ばそうという感じです。
ピアノと女性ボーカルがかかります。静かなジャズです。女性とはいえ、低音もふくよかで、若干ホーンにマスクされるような気がするものの、中高域は天井知らずに伸び上がる声が聴こえます。やはり、人間の声は普段、一番聴き慣れているだけに、オーディオにとって一番厳しいソースであると思います。
しかし、そんな小さな事はどうでも良いではないか。ジャズを熱く楽しく、体感させてくれるのです。十割を目指そうと、とてつもない苦労というか、コチラを建てればアチラが立たずで、返って曖昧になるのは明らかです。オーディオは欠点を消していくのでは無く、長所を伸ばす工夫をした方が楽しいと思っています。しかし、ベイシーの菅原店主がおっしゃる八割バッターもとてつもなく難しいのです。私のオーディオはとりあえず、三割バッターを目指そうかな、などと思いました。
第5回目訪問(2008年8月下旬)
奥州市丹沢区にあるジャズ喫茶ハーフノートへ来て、久しぶりにJBL D44000に出合いました。外は雨が降っていて、8月だというのに肌寒い日でした。いつも座っていた中央の席に先客がいたので、他の席へ座りました。
そうすると、先に座っていたお客の方から、「真ん中で聴きなよ。」と、声をかけていただいたので、有り難く相席させていただきました。いつも夕刻にこの店に来ているのですが、だんだん日が短くなっているのが感じられます。駐車場にはBMWの高級車が停まっていました。
しばらくすると、お客が帰ってしまい、私一人のために店主はレコードをかけて下さいます。この日はジャズ喫茶ベイシーでジャズを楽しんでから、さらにハーフノートでジャズを楽しもうという魂胆でした。本当はもっと明るい時間に来て、陽の光に照らされるパラゴンの色や、お店の内装を見たいのですが、いつもここへ来るのは日暮れ時になってしまっています。
暗くなると、目からの情報が少なくなりジャズへの集中力が上がっていきます。そして音楽は、耳で聴くのではなく脳で聴くのだと感じています。脳には、他に視覚や触覚、嗅覚、記憶と、あらゆる感覚と感情が支配しており、私自身耳だけで聴くことはほとんど不可能に近いことで、いつも脳で聴いていると感じます。なので、客観的に良い音と判断できる耳を私は持っていません。それはいつも感じていることです。
また、ジャズ喫茶でオーディオのコトを考えるという悪い癖が出てしまいました。ジャズを無心で聴く。音に込められた狂気や狂喜を聴く。こちらの脳に想像力と集中力がないと、なかなかそういうレコードに出会えません。身を震わす程のジャズに、いつも出会いたいと夢見ています。
http://exp.bakufu.org/exp063_half-note-01.htm
第6回目訪問(2008年10月下旬)
奥州市水沢区胆沢にあるハーフノートへ久しぶりに行きました。最近私は休日にジャズ喫茶へ行くいとまがないのです。それでも真冬になればすることもなくなるはずなので、冬には未だ行ったことのないジャズ喫茶巡りでもしようかと思っています。
久しぶりに来たハーフノートの音は、自分の曖昧な記憶を頼りにすると、以前と比べ高域がずいぶんと華やいで聴こえるような気がしました。レコードのソースにもよるのでしょうが、ハイが持ち上がっている感じがしました。しかし、決して耳に痛い高音ということではないです。金曜の夜で、一週間の仕事が終わってから来たということもあって、自分自身が少し疲れていたのかも知れません。
ここで聴くレコードは知らないものばかりなので、新鮮です。ただし私にはジャズの知識が全くと言ってよい程無いので、年代やジャズのスタイルなど全然分からないのです。しかし、こうしてレコードを聴いているだけで楽しんでいます。ジャズ関連の雑誌や書籍を読みあさりたいという気持ちもあるのですが、そうすると、ますますジャズの深みにハマリ、CDソフトやオーディオに身の程を弁えずに、大金を使ってしまいそうなのが恐ろしいのです。と言いますか、もう既に私はそうなっている可能性が・・・。
自分で自分を管理できなくなる恐ろしさがジャズやオーディオにはあると思います。良く考えれば、趣味というものは常にその危険性があるとも思えます。この日は夜の10時半過ぎ頃までジャズを楽しんで店を出ました。
第7回目訪問(2009年2月中旬)
年始にジャズ喫茶Lost and Foundへ行って以来、久しぶりにジャズ喫茶へ行きました。以前はルーティンのようにジャズ喫茶へ行っていたのですが、最近は色々とあり、なかなか思うようにいきません。年を重ねるごとに、少しずつ自分の自由になる時間が少なくなっていくようです。しかし、家でチマチマとヘッドホンやスピーカーで聴いていて、大概は満足できるのですが、それがジャズとなるとどうしてもある程度の音量を浴びたくなります。
ということで、どうもジャズを浴びるように聴かないと調子が出てこないので、ハーフノートへ行きました。冬の水沢ということで、雪を覚悟していたのですが、以外に雪は見あたらず、路面もドライな状態でした。ジャズ喫茶ベイシーと違って、営業時間が確定しているのも私にとってかなり重要なことです。
ところで、私の年代にオーディオマニアやジャズを聴くひとはほとんどいません。まったくいないと言ってよいくらいいません。たとえばCDを1000枚以上持っていると言おうものなら、確実に変人扱いです。しかし、知人にアマチュアでジャズを演奏したりする人はいます。しかし、その人のオーディオは?と聞くと、聞くだけ野暮というものです。またトロンボーンを吹いている女性もいるのですが、将来リタイアしたときの夢は「ジャズ喫茶をやる。」ということだとか。それを聞いた私は驚きをとおりこして、「止めた方がいいよ。」などと口走りそうになりましたが、野暮なこを言うのはよして、彼女の夢が叶うよう祈らずにはいられませんでした。
今の自分には少し甲高く感じがするパラゴン。JBLの最新型スピーカーDD66000が登場しても、以前のモデルが全く色褪せることがないというのは、メーカーとして希有な存在だと思います。2時間程、頭を空っぽにしてジャズを浴びました。そして、こういう時間は自分にとって無くてはならないものだとあらためて思いました。
第8回目訪問(2009年3月中旬)
奥州市胆沢にあるジャズ喫茶ハーフノートへ行きました。これほど日の高い頃にハーフノートへ来るのは、おそらく初めてではないでしょうか。渋い内装の店内に、昼間見てもJBL DD-33000 パラゴンは調和していました。
店の中へ入ると、HORACE PARLAN GEORGE TUCKER AL HAREWOOD/US THREEのレコードがかかっていました。どこか聴き覚えのあるリズムとメロディでした。ガツンと衝撃的に頭を揺さぶるようなジャズではありませんが、良いジャズだと思いました。私のオーディオ装置では、ただ聴いているディスクも、こういう本格的なシステムと音量で聴くと、俄然旨みが感じられるジャズになったりするので油断できません。
せっかく買ってみたものの、ほとんど聴いていないディスクに私が見逃しているジャズの旨みが詰まっており、私がそれを引き出してやれてないものがたくさんあるように思いました。
次ぎにかかる曲も、どこか聴き覚えがある日本的なジャズがなっているとジャケットを見たら、坂田明/ひまわり でした。ジャズ喫茶ベイシーでの実際のライヴでの思い出が甦ります。
たまに自由になる時間、ジャズ喫茶でレコードを聴くのは幸せなことです。
THE GIFTED ONES/Dizzy Gallespie Count Basie Ray Brown Micky Roker のレコードがかかりました。いいジャズです。しかし、ジャズ喫茶で素晴らしいレコードに出合い、いざ自分でCDを買って、自分のシステムで鳴らしてみても、がっくりすることが少なくありません。
ベイシー御大のピアノは最小限でいて、本当に絶妙のタイミングとリズムで鳴っていました。こういうリズム感と、それを生み出す感性、ベース、ドラムその他楽器と一体となり混じっていて、聴いていて楽しいのです。
Eric Dolphy At The Five Spot Vol.1という、私の大好きなレコードがかかりました。最高でした。こういう音楽。音。ジャズを自分のオーディオで鳴らすのに、あとどれくらいの時が必要なのでしょうか?
5枚のレコードを聴いて店を出ました。3月中旬で小雪が舞っていました。今年は例年に比べ、とても雪の少ない年でした。
第9回目訪問(2009年7月上旬)
ジャズ喫茶の扉を開くのはいつ以来でしょうか。ノートをめくると、ロストアンドファウンドへ行ってからおよそ2ヶ月ぶりでした。以前に比べ、ジャズ喫茶へ行く頻度が小さくなっています。
夏に入ろうとしていますが、ここで温度計を見ると23度でした。東京の殺人的と言ってよい暑さからすると、大したことはないのです。しかし湿度は高く、ジメッとしています。しかもここは米どころの東北地方です。水田には水が引かれ、常に稲の葉からは水分が蒸発しているので、おそらく湿度は首都圏に比べ高いのです。
久々にジャズ喫茶でレコードの音を聴いて、いいなぁ、と思うことしきりでした。これだけの音量を身体で感じることができるのです。オーディオで一番高い買い物と音に影響のあるものと言えば、部屋(空間)であるとつくづく思います。しかし、部屋が高いといっても、最近のオーディオを見ると家一軒分の価格が付いたコンポネントがあったりするので、それらは別とします。ヘッドホンだけやっていれば、このような煩悩にさいなまれることもなかったろうに。
しかし煩悩を捨て去り、仙人や聖人の域に達しようにも私では無理です。ある程度の欲を持って生きていた方が幸せだと思えるときがあります。何事も過ぎたるは及ばざるが如し。不足も過度にもなることなく適度な欲を持っていきたいです。
そして、ハーフノートへ入ってジャズの事を全然書いていないことに気付きました。店内に入ると響きの多い内装とスピーカーですが、レコードを一枚聴くと、私の脳内イコライザーが働くためか慣れてしまうから、自分の耳は当てに出来ません。自分がかなりデッドな環境でオーディオをしているためなのか、響きの豊かなところへくると、いいなぁ、と考えながらも、これを味方につけるのはスピーカーでも部屋でも難しいだろうと思います。
ところで、自分のオーディオは今すこぶる快調で、ごく自然に、ごく普通に音楽を奏でてくれています。超高域も低域もあまりでないスピーカーVICTOR SX-500DEをSHARPの1 bitアンプのSM-SX1とSACDプレーヤーのDX-DX1などで鳴らしています。刺激も少なく、特にSACDのディスクをかけると、あまりの自然さにオーディオマニアを忘れ、一日中何か別なことをしながら、聴き流していることが多くなっています。考え方によってはオーディオマニア失格な聴き方です。
静かなボサノヴァ風のギターソロがかかりました。何とも切ない調べです。ジャズ喫茶に来るたび、ジャズ喫茶とは何と良いところだと思います。まず、ジャズ喫茶の店主で、金儲けを第一に考えジャズ喫茶を経営する店主はいないはずです。ジャズ喫茶などを経営するよりは、お金を稼ぐということだけを観点にするならば、普通にサラリーマンなどをしていた方が余程安定した収入を得られます。そもそも金儲けを第一に考える人は、無限に続くオーディオの調整、回転率の悪い客に一杯数百円の珈琲を出すような商売はしないでしょう。
ジャズ喫茶の店主には、おそらく趣味と仕事と人生が一致しているところに、他の仕事ではあまりないものを感じます。私を含め大多数のサラリーマンなど、明日一人、二人、十人程度居なくなったところで、会社なり組織は滞りなく回っていくでしょう。私などのように、逆に居なくなったほうが、良くなったりする場合すらあり得ます。(笑)しかし、ジャズ喫茶の店主には代わりが居ません。店主と店が運命共同体という、儚い存在であると思います。中には店主が亡くなられても、店が続いていく場合もあるのでしょうが、ほとんどが店主とともにお店も消えてしまいます。
そして、ジャズ喫茶の店主という仕事は、仕事と同時に趣味であり、"遊び"でもあります。遊びに妥協はありません。仕事、特に会社や組織で働いているサラリーマンは、仕事は食うためにお金を稼ぐ手段と、割り切らなければならないときがあるでしょう。「いや私は自分の信念や信条に一片の妥協もない仕事をしている。」という方もおられるかも知れません。そういう方には心から尊敬いたします。
で、結局何が書きたいのかというと、仕事と割り切れば続く状態も、遊びとなるととことん完璧を求めてしまう。そして遊びなので自分に嘘は付けない状態で、そうなると遊びを続けていると、仕事以上に疲労をためてしまうこともあると実感しています。なので、毎日遊びを仕事にしているジャズ喫茶の店主などは、考えようによっては知らず知らずのうちに疲労を貯めているのではないかと思うのです。
そういえば、私の好きなジャズ喫茶ロストアンドファウンドのブログを読むと、店主が店を休むということが書かれていました。数ヶ月休み無しで毎日営業。早い店主の回復を祈る他ありません。遊びは重要ですが、恐ろしいことのようにも思えてきます。
水沢のハーフノートへ来て、ジャズのレコードを聴きながら考えることが多くありました。全国の絶滅危惧のジャズ喫茶の店主様方、お身体大切に。この店内から外へ出る頃は、夜も更けてひんやりとした涼しい空気になっているのでしょう。最後にMiles Davis Kind of Blueのレコード聴いて店を後にしました。
第10回目訪問(2009年10月上旬)
ジャズ喫茶ハーフノートへ行きました。日が高いうちにお店へ入ったのは久しぶりです。最近は秋晴れが続き、過ごしやすい気温になりオーディオ日和の季節になってきています。他にも、野外活動や何をするにしても良い時期です。
相変わらず、パラゴンの色と内装が一体になっているように見えました。テーブルの配置を少し変えたようです。そして、暗い時には見えませんでしたが、店内の壁は、多孔式の吸音パネルでできていました。今まで気付きませんでした。
CDがスチューダーと思しきプレーヤーで演奏されていましたが、ゴリゴリとした低音が飛んできました。ここの、パラゴンは低音がやや不足気味に聴こえたりすることがあり、このスピーカーは中音重視のスピーカーなのか、それとも店内が広いからなどと色々考えたりします。
そういえば、オーディオ評論家の山口孝先生が、SACD101という本をだされました。SACDを聴いている私には願ってもない本です。山口先生もJBLのパラゴンをスピーカーに使われ、確か、CDプレーヤーにはLINN CD12を使われていたはずです。さて、SACDプレーヤーには何を使われているのでしょうか。
ジャズ喫茶へ行く回数がめっきりと減ってしまいました。しかし何度も書いているように、大音量でジャズを聴くのは良いものです。たまに行く方がありがたみが増すのでしょうか。そういえば、私の愛器スタックスのイヤースピーカーも修理へ出して、戻ってきてひと月ぶりに音楽を鳴らしたときは絶品でした。
レコードのジャケットを見るときに、オーディオの操作室を見ると、マッキントッシュ、JBL、スチューダーなどまばゆいばかりのオーディオ機器が見えます。しかし私はこのスピーカーが、未だ何のアンプで鳴らされているのか判らないのでした。
店からでて、薄暮の風景を撮ってみました。水沢農業高校の校庭なのか、採草地なのか分かりませんが広々としています。
http://exp.bakufu.org/exp070_half-note-02.htm
第11回目訪問(2010年3月上旬)
一関のジャズ喫茶ベイシーで、思わず気分が盛り上がってしまったので、その後北上し、ハーフノートへ来てしまいました。ジャズ喫茶のハシゴです。当初の予定は、モリソンやミネソタで、BDMにジャズを聴きながら静かにクールダウンしようと考えていたのですが、気づいたら奥州の山々を遠くに見ていました。
この日は、パラゴンの前から2番目の席に座りました。ベイシーで38cm 2発の音を聴いてきた直後だけに、贅沢にも、もの足りなく感じてしまったらどうしようかと思いましたが、杞憂でした。十分な低域が感じられました。スパッと軽くドラムの決まるベイシーに対して、少しこってり目なハーフノートのドラムという感じでしょうか。好みの領域の話だと思います。
例えば、邪道ですがサブウーハーとツイーターを追加したらどんな音になるんでしょう。
(この壁の向こうにJBL D44000パラゴンがあります)
ジャズを聴いていると、自然に身体が揺れてきます。こうなると、デザインディレクターの川崎和男先生が設計したロッキングチェアFLIPが欲しくなってしまいます。しかし、私はリスニング用のチェアをデスク用のと共用しており、スピーカーの高さも、デスクチェアの高さに合うようにスタンドを含めて設置しているので、我慢です。自然な身体の動きをイスが解放するというこの製品を、いつか使ってみたいです。
http://exp.bakufu.org/exp083_half-note-03.htm
大好きな場所 〜ジャズ喫茶ハーフノート〜
昨日、奥州市胆沢にある 「ジャズ喫茶 ハーフノート」 (参考記事はこちら) のマスターと奥様が訪ねてきてくれました。ここは金ヶ崎の温泉サロン時代、私の安らぎの場所でした。今でも仕事終わりに、ふと車を飛ばしてでも行きたくなります。
ハーフノートさんを知ったのは、新幹線の中。座席シートの前に挟まっている「トランヴェール」という小冊子の記事を見たのが始まりでした。
「ジャズって全然知らないけど、どーしてもこのお店に行って見たい」
何故だか、そう強く思いました。でも、ジャズを全く知らない自分が行っても、場違いかなーとビビッてしまいずっと行けないまま半年近く。けれども、やっぱり行ってみたい!
勇気を出してその扉を開けると・・・。
そこは想像を超えた別世界。浦島太郎のような気持ちになりました。
「こんな田舎にこんなすてきな場所があるんだぁ」
少し緊張しながら珈琲とチーズケーキを注文しました。お客さんは誰もいなくて、薄暗い店内には私ひとり。スピーカーから流れるジャズの音だけがまわりを包み込みます。
運ばれてきた珈琲を口にしたら、スーッと涙がこぼれました。どこかのお店に入って、自然と涙が出てきたのはここが初めてでしてた。やわらかい間接照明の光と音と、コーヒーの香りと・・・。
張っていた気が緩んだのでしょうか。現実じゃないような世界観の中に居たこと、今でも憶えています。
マスターは恐れていた「頑固一徹!ジャズを知らない奴は帰っておくれ!」
・・・そんなキャラクターでは全くなく、とっても笑顔が素敵な優しい方でした。
(コーヒーを入れるときは超真剣なお顔になります)
奥様も気さくで、新参者のわたしをすんなり受け入れてくださいました。
『軽食も丁寧な作りで美味しいです』
県南の皆さん、そしてちょっと遠くの皆さんも、県南へ行く機会がありましたら、美味しいコーヒーをぜひどうぞ
気の合う友人と昼にゆっくり行くのも良し、夜に1人で自分を見つめるために行くのも良し・・・。
皆さんのお気に入りの場所はありますか?週末はのんびりといい時間をお過ごしくださいね♪
http://littleme530.blog135.fc2.com/blog-entry-42.html
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