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ここでは表題を論考するので、出てくる式の意味はいちいち問わない。
自然を観察し、各種の実験結果から次の理論式が得られている。
(エネルギーE、振動数λ、運動量p、波長νの間にはプランク乗数をhとする)
E=hν (1)
p=h/λ (2)
この関係式をアインシュタインの関係といい、あらゆる粒子の間に成り立つ大切な式である。
一方、素粒子の質料をmとすると、ニュートン力学からエネルギーと運動量の間に
E=pの二乗/2m という関係式がある。この関係式と(1)(2)式を組み合わせると、次の式が成り立つ。
hν=1/2m×(h/λ)の二乗 (3)
ここで、シュレディンガーが実在波と考えた波動関数ψを(3)式の両辺に掛け、少しばかりの微分演算をすると、波動方程式が得られる(略)。
この波動方程式を解くと、
ψ(x.t)=Aexp[-i(ωt-kx)] (4)
という波動関数が得られる(一次元)。(ω=(hk/2π)の二乗/2m)
(4)式は波動を表す式である。
ここで、出発点となった式(1)、(2)、(3)には自然の原理が凝縮されているということ。そして数学という強力な言語を用いて(4)式が得られた、ということは自然の原理が保存されたまま、式(4)のなかに反映されているということである。
そして人類は式(4)という新しい知見を手に入れることができたことになる。
数学にもまた、自然の原理が濃縮されている。数式を変形(演算)していくということは、数式が考えてくれることにも等しい(演算の過程で数式がウソをつくことはない)。式(3)を目の前にして、日本語あるいは英語、ドイツ語、その他の言語を使っていくら思索を重ねても(4)式を手にすることができなかっただろう。
言い方を変えれば、シュレディンガーが観念的な思索を重ねて、波動方程式を勝手にに書き下したのではないということである。勝手に式を書き下したなら、そこに自然の原理が反映することはまずない。
その後、ψをシュレディンガーは実在する波だと判断したが、ボルンは確率の波だと判断した。シュレディンガーが猫の例え話を持ち出して反論したが、現在ではボルンの考えが正しいと広く認められていることは先に見たとおり。
(文系の方は、式の意味をいちいち考える必要はありません。シュレディンガーの方程式の成り立ちと必然性を感じ取っていただければよいのです)。
(参考書)
「よくわかる量子力学の基本と仕組み」潮秀樹/秀和システム’04年