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如何にして恫喝に抗うべきか。[あっしらさんへ]
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投稿者 如往 日時 2004 年 12 月 30 日 15:26:44:yYpAQC0AqSUqI
 


 あっしらさん、こんにちは、大変ご無沙汰しています。
 非常に漠然とした疑問をぶつけることになりはしないかと、少なからず危惧があるのですが、思いつくままでOKですので、お答えいただけますならば幸甚の至りです。


 このところ私は恫喝[Threat]と慰撫[Appeasement]の政治[Politics]といった主題を基に、特に恫喝[Threat.Blackmail]について色々と思索を廻らしています。これは日本社会でも、国際社会でも、卑近なものでは企業の中でも現出している問題であると想っています。
 日頃の活動の中で、私自身が恫喝という挙に出たことは殆ど皆無であったと自覚しています。けれども、明らかに恫喝と云えるものを受けたことや、恫喝らしき場面に遭遇したことがありますし、また事の成り行きから見ても成就するはずのものが反故になってみたり、急に企画や担当者が変更になったりする場合等で、主導者やその賛同者にたいする何らかの恫喝的な力が働いたと容易に推測できる状況に直面した経験は多々あります。

 企業社会においては、取り分け恫喝は部長以上の階層における出世や権力争いに見られる事象ではないかと想っています。拮抗した力関係にある場合、あるいは正攻法を嫌う人間は相手を恫喝する材料を探そうとするでしょうし、また裏の手段や時には自身の手を汚さずに裏社会の力を利用するかも知れません。そこまでして権力争いを制したいものかと他人が批難しても、当人達は決して意に介することはないでしょう。
 政界ではもっと熾烈な恫喝合戦が行なわれていると推察しています。民主党の小沢一郎議員などは、その政策上の理念とは全く無関係に、与野党の議員を問わず個人的に恫喝するに足る十分な材料を今も尚所蔵していると考えています。他方、与党側の誰が野党や与党にたいする恫喝の材料を多く持っているのか、私には見当がつきません。ただし、例えば細川護煕氏の唐突にも思える首相辞任は、おそらく当時の野党側(自民党)の誰かに強力な材料を握られてそれを盾に恫喝されたためだと考えていますし、恫喝の材料がそれほど致命的なものであったか、細川氏自身の恫喝にたいする心構えやガードが軟弱であったことが大いに関係していると思っています。さらに、古くは中川一郎議員や新井将敬議員が自裁に到った背景には何らかの恫喝の事実があったのではないかと勘繰っています。けれども、これ等は憶測の域を出るものではなく、到底特定するのは困難ですので、出来ればあっしらさんをはじめとする阿修羅に集う諸氏による真相の究明に期待したいと考えています。

 ところで、恫喝というものに少なからぬ拘りがあるのは、企業経営や国家経営や外交は言うに及ばず、事を優位に運んだり、拮抗した力関係を打破するための裏面的(謀略)手段として厳然と行なわれているのではないかと推察しているからなのですが、個人に立ち返ってみると恫喝には非常に弱い存在であることが判明します。その弱い存在が、他者や権力による恫喝にどのように抗していくべきか、現状に照らし合わせて考えますと、実に暗澹たる思いにさせられます。
想えば日本人の国民性は恫喝に脆いと言えるかも知れません。明治以来の伝統的な心性と一括りにして片づけられない問題なのですが、外交的にも諸外国による恫喝に抗して堪え得るような戦略的思考の涵養やそのような外交的資源(人材)を発掘して来なかったことも、脆弱の状態から脱し切れないマイナスの要因になっていると思われます。
 正義を推し進めていきさえすれば、恫喝なんぞ何するものぞと考えるオメデタイ心向きの人は、恫喝が限りなく個人を対象にするもので、時には恫喝の材料を捏造して憚らない相手に対し個人が孤立したまま闘わなければならぬ事態の深刻さや苛酷さにたいする認識が足りないのではないかと思います。究極的には恫喝の内部的な実力行使が粛清、対外的には最後通牒を渡すという意味になろうかと思いますが、そのための選別や策動がここ日本国内においても政界や経済界ばかりではなく、一般社会の中でも静かに進行しつつあるような気がしています。

 おそらく、何らかの恫喝を受けたことがない9割以上の人々は自発的に他者を恫喝することはしないでしょう。そして、何らかの恫喝を受けてきた人も特殊な世界(政界や裏社会等)や特別な状況(出世争い等)に身をおかない限り、通常は他者を恫喝することは稀であると思われます。市井に棲む者同士の間では何処に恫喝の状況があるかと眺望してみても、なかなか顕在化して来ないのではないでしょうか。けれども、その一方で、住基ネットの設営や個人情報法等の制定によって着々と準備が整えられ、権力による市民への個別的で直接的もしくは間接的な恫喝が否応無しに行なわれ得る状態が定常化されつつあることも確かでしょう。
 話しは少し換りますが、私は戦争板の常連の木村愛二氏を論評することの困難性を、恫喝に関する認識の違いに据えて見ています。氏のこれまでの活動の中で培った習い性からも、如何なる言説よりも最終的には権力による恫喝に対し弱いか否かが他人(ひと)を信用するに値するか否かの判断基準になっているのではと見受けられるからです。

 普段の生活の中では恫喝の事実や問題はあまり表出して来ませんし、またとりだたされることも多くはありません。しかし、大きな政治的な流れや経済的な動力から見れば、物事の帰趨を決する上では些細な要因でしかないかも知れませんが、一個人に及ぼす影響力は甚大であると思います。ですから、こうした認識を基本に、何とか権力の恫喝の事実を暴き、回避できるものならば対策を立てつつ抵抗していこうと考えるうち、如何にしたらよいのか、果たして方策はあるのか、是非共あっしらさんの見解を伺ってみたいと思い立った次第です。それにしても、何やら論拠不明並びに論点多岐の提起になってしまい、大へん心苦しく思っていますが、どうかご斟酌のほど宜しくお願いします。

 また、会いましょう。

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