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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031130ig90.htm
恐れていたことが、不幸にも現実となってしまった。痛ましい犠牲である。
だが、ひるんではならない。自衛隊の派遣をはじめ、日本のイラク復興支援が後退することがあってはならない。
イラクで、日本人大使館員二人が乗った四輪駆動車が銃撃され、奥克彦参事官と井ノ上正盛三等書記官の死亡が確認された。テロに遭った可能性が高い。
北部イラクの復興支援に関する会議に出席するため、バグダッドの北にあるティクリートに向かう途中だった。フセイン元大統領の故郷で、米英軍への抵抗勢力の拠点である。
そんなところで、なぜ会議を開いたのか。なぜ警護要員なしに現地に向かったのか。外務省は、襲撃事件の背景を調査するとともに、情報収集や安全対策にぬかりはなかったのかについても厳しく点検し、今後に生かすべきだ。
小泉首相は、「テロには屈することなく、イラク支援活動に全力を挙げて取り組んで行く方針は不変」とする姿勢を、改めて強調した。当然である。
奥参事官は、外務省ホームページの連載コラム「イラク便り」で、テロで犠牲になった数々の尊い命から、テロに屈しないという「強い決意」を汲(く)み取るべきだ、と書いていた。
日本が積極的な支援に動くことこそ、任務半ばで、無念の死を遂げた二人の外交官の遺志を継ぐことにもなる。
日本は、イラク復興支援特措法で、人道復興と安全確保の支援活動を「適切かつ迅速に実施する」ことをうたった。自衛隊派遣の基本計画を近く閣議決定し、年内にも先遣隊を派遣する方向だ。その実行は、国際的な責務である。
今回の事件で、野党などからは、改めて反対論や慎重論が出ている。それではテロ勢力の術中に陥るだけだ。
イラクの安定には、今後半年間が決定的に重要だ。来年六月には、暫定政府が発足し、主権が移譲される予定だ。
多くのイラク国民の願いは、主権の早期回復だ。イラク自立のために、国際社会も支援態勢を緩めてはならない。
現地では、テロ攻撃がなお頻発している。五月の「主要な戦闘終了」宣言後も米軍の死者は増え続け、テロの標的も国連や他の支援国などに拡大してきた。
だが、米英はもちろん、イタリアやスペインなど、人命を失う痛手を負ったイラク支援国の中に撤退した国はない。イラクの混乱を放置し、テロの横行を許せば、国際社会全体が不安定になる。
日本も、イラクが安定する日まで、支援の戦列から離れることはできない。
(2003/12/1/01:47 読売新聞 無断転載禁止)
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