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(回答先: [日本人殺害]「イラク支援の戦列から退くな」(読売新聞・社説) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 01 日 05:31:14)
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh03120102.html
治安が悪化する一方のイラクで、ついに日本人の犠牲者が出た。それも現地をよく知る外交官、奥克彦参事官(45)と井ノ上正盛三等書記官(30)の二人である。事件後も、政府はイラク支援のための自衛隊派遣の計画に変更はないとしている。米軍だけでなく、米国に協力する国々や外交官にまでテロや襲撃が無差別に広がるイラクの深刻な状況を、政府はきちんと直視すべきだ。
犠牲となった二人は、イラク北部のティクリットで開催される復興支援の会議に向かう途上だった。乗っていたのは窓ガラスを防弾仕様にした軽防弾車。武器は対戦車砲などではなく小火器だったという。日本人を狙ったテロだったのか、強盗目的だったのか、はっきりしない部分も多い。背景なども含めた徹底調査が必要だ。ただ、戦争終結宣言後のイラクの治安悪化が、外務省の予想をはるかに上回っていることを示したのは確かだろう。
これまで、米軍以外を狙った攻撃だけでも、八月にヨルダン大使館、国連事務所、十月に赤十字国際委員会などで爆弾テロが相次いだ。十一月に入っても南部のナシリアのイタリア警察軍司令部で爆発が起き、十八日には日本大使館が銃撃されたばかり。さらに二人が襲われたのと同じ日、バグダッド南方でスペイン情報機関員らが待ち伏せ攻撃を受け、七人が死亡している。
相次ぐテロで、イラクにある大使館や公的な施設はバリケードなどで固められ、要さい化されてきた。だから、移動中の車両が狙われやすいのでは、と警戒を強める民間人もいた。
奥参事官は、自衛隊派遣の候補地をイラク南部のサマワに絞り込む際、情報提供に活躍するなど、支援のあり方を模索し東奔西走してきた人である。フセイン元大統領の出身地で、反米感情の強いティクリット付近の危険性はよく知っていたはずだ。それなのになぜ護衛を付けていなかったのだろう。米国などでは必ず前後を装甲車などで護衛する、と指摘する専門家もいる。外務省としての安全対策に甘さはなかっただろうか。
事件に大きなショックを受けながらも、小泉純一郎首相は「日本はイラクの人道復興支援に責任を有する国で、テロに屈しないとの従来方針に変更はない」と強調している。
多くの市民を犠牲にするテロはもちろん許されない。イラク復興へ向けた人道的な支援も欠かせない。イラク特別措置法は、戦闘状態終結による治安回復を大前提としていたはずだ。現地を熟知した外交官でさえ殺害されるイラクには、現状では安全な「非戦闘地域」がないに等しい。自衛隊の派遣について、与党内でも慎重論が浮上し、野党も臨時国会の開催を要求している。国民に見える形であらためて議論し直す必要がある。