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(回答先: [日本人殺害]「イラク支援の戦列から退くな」(読売新聞・社説) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 01 日 05:31:14)
http://www.tokyo-np.co.jp/sha/
ついに恐れていたことが起こった。イラクで日本外交官二人が殺害された事件は、国際社会全体に対する挑戦だ。政府は深刻に受け止めて安全対策を講じるべきだ。
これほど不条理な事件があるものか。殺害された二人は、イラク国民や地域の安定のため、日本の国民を代表し、武器も持たずに現地で人道支援や社会基盤復興に尽力していた文民だ。
復興支援は国連安保理決議に基づいた国際貢献であり、ましてや領土や資源権益などの野心が日本にあるはずもない。
■やるせない非情な結末
事件直前、国際テロ組織アルカイダを名乗った集団が日本を名指しして襲撃を警告していた経緯から、二人を襲ったのは反米的なテロリストである可能性がかなり高いが、丸腰の文民を狙い撃ちにした犯行に正当な理由はない。
この事件がテロであるならば、二人の外交官の生命を奪った犯罪であるだけでなく、国際社会の秩序や日本の主権、善意に対する不法な挑戦でもある。
国際社会があらためてテロリストたちの脅威を認識し、今回の事件の首謀者や実行犯の逮捕、処罰に協力するよう強く求める。事件を厳しく追及する努力が、今後のテロ防止にもつながることを期待する。
命を落とした二人の外交官は、任地の危険を承知のうえ、日本を代表してイラクの安定化を手助けしていた。任務の非情な結末は、だれにとってもやりきれない。政府には、残された家族らの生活や精神面の面倒を十分にみる責任がある。
一方、今回の事件は、日本の今後の対イラク政策をめぐり、大きな教訓を残した。
まず、二人が乗っていた官用車が襲撃された経緯を、詳しく検証する必要がある。走行予定路の情報が漏れて待ち伏せに遭った可能性はないのか。二人は武装警備員を伴っていなかったと伝えられるが、その判断は妥当だったのか。
■安全確保の対策を急げ
二人が官用車として使用していた四輪駆動車の防弾性能も、点検すべきだ。テロなどの危険の察知に役立つ具体的な情報が得られていなかったのかどうかも確かめたい。
そうした反省点を洗い出したうえで、事件の再発防止のため、現地に残った外交官の安全確保策を急いで講じねばならない。あわせて、現地で人道支援などに取り組んでいる非政府組織(NGO)などの民間人の安全も確認する必要がある。
襲撃の危険に直面するのは、車で移動する場面だけとは限らない。大使館や住居などの施設についても、安全確保は緊急の課題だ。
最近の一連のテロ事件では、警備対策の手薄な施設や地域が標的とされる傾向がみられる。安全対策は、テロ抑止のためにも、万全を期す必要がある。
もっとも、イラクに軍隊を派遣して大使館の警護にあたっている他国などと比べれば、日本の対策には限界がある。検討の結果、ただちに十分な安全確保策を講じられないと判断されるのならば、態勢を整え直すため、外交団などを一時的にイラク国外に退避させる措置もやむをえないのではないか。
ただ、日本がここでイラクから完全に手を引けば、まんまとテロリストたちの術中にはまる。要員の安全と憲法順守の立場を確保しつつ、主要国としてテロとの戦いに責任を果たす方策を、さらに見極めていかねばならない。
テロとの戦いは、国際社会全体が連携しなければうまくいかない。米国が欧州の一部主要国との関係を修復するには、イラク国民の代表となる正統政権を早期に樹立することが要点となる。イラク人による統治が実現されれば、テロリストも隠れ家を見つけにくくなるはずだ。日本政府には、米国と国際社会の橋渡し役をぜひ務めてもらいたい。
今回の事件は、自衛隊のイラク派遣問題をめぐっても、状況の難しさを目の前に突きつけた。
小泉純一郎首相は今回の事件について「日本が国際社会の一員としてテロに屈してはならない」「イラクの復興、人道支援には、国際社会の一員として責任をしっかり果たす」と述べた。しかし、自衛隊派遣の基本計画を決定する前に、安全確保策や憲法尊重の大前提の信頼性を十分に点検しておく政府の責任は、さらに重くなったといえる。
■国会で早急に議論を
国会も、閉会中ではあっても審査を行って、政府に今回の事件の報告を求めるべきだ。その議論の過程では、当然、自衛隊のイラク派遣をめぐる問題点を重ね合わせて検証を深めねばならない。
テロリストたちがイラク国外でも事件を起こしている状況をみれば、今後、イラク以外の国にある在外公館や企業、日本国内の重要施設などが標的にされる恐れがあるのかもしれない。危険情報を収集、提供する政府の責任も重いが、国民一人ひとりにも、テロに対する自覚や対応が求められる時代なのだ。