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二人の外交官の死――「たじろぐな」では済まぬ(朝日新聞・社説)
http://www.asyura2.com/0311/war43/msg/829.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 01 日 07:32:59:eWn45SEFYZ1R.

(回答先: [日本人殺害]「イラク支援の戦列から退くな」(読売新聞・社説) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 01 日 05:31:14)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

恐れていた事が本当に起きてしまった。

 イラクで二人の日本外交官がイラク人の運転手とともに殺害された。奥克彦参事官とその通訳も兼ねていた井ノ上正盛書記官は、大規模戦闘の終結が宣言される前の4月にバグダッドに入り、人道支援や復興への協力態勢づくりに取り組んでいた。

 イラクを愛し、危険も顧みずに身を粉にして働いていた人たちが、なぜ殺されなければならないのか。事件は余りに痛ましい。どんな理由があろうと、犯人を絶対に許すことはできない。

●何という悲劇か

 バグダッドの日本大使館は自爆テロを警戒して、厚いコンクリートの防護壁を設けた。自衛隊の派遣前に被害者を出すなというのが合言葉だったようだ。しかし、大使館員たちは復興支援の最前線にいる。館内にいては仕事にならない。

 若い頃から行動派だった奥氏は、水や電気、学校の教材不足といった身近な問題に日本の15億ドルの支援をどう役立てるかを探ろうと、地方にも足を運んでいた。先月イタリア警察軍が襲われ、多数が犠牲になったナーシリヤにも一人で出かけた。

 事件は、日本人を意図的に狙った襲撃の可能性がある。イラク人を助けたいという両氏の情熱ゆえに、逆に目立ちやすい標的になってしまったのだとしたら、何たる悲劇だろうか。

 先月半ばには日本大使館が銃撃を受けた。今度の事件とかかわりがあるかどうかは不明だが、アルカイダを名乗る組織から中東のメディアを通じて2度にわたり、日本を攻撃するという声明が伝えられた。現地の日本外交官の安全を守るために、政府はあらゆる努力を尽くしてもらいたい。

 事件の起きた同じ日、バグダッド郊外では米英軍に協力しているスペインの情報機関員の車が待ち伏せ攻撃に遭い、7人が殺された。また、先月1カ月の米兵の死者が3月の開戦以来の最多を記録した。

●戦争は終わっていない

 どんな国であれ、復興の大前提となるのは治安と秩序の回復だ。ところが、米国の占領統治はうまくいっているどころではない。国連や各国の外交官の引き揚げが続いていることが、何よりの証拠である。

 感謝祭にあわせてバグダッドを電撃訪問したブッシュ米大統領はイラクの民主化の意義を強調した。だが、イラクの民衆から拍手喝采(かっさい)を浴びるような演出をすることさえできなかった。

 ゲリラ攻撃や自爆テロを続ける勢力がフセイン政権の残党ならば、テロと言うよりも戦争が続いているに等しい。内外のイスラム過激派が「聖戦」を挑んでいるのだとすれば、占領が続く限り攻撃はやまず、それを完全に抑え込む手はない。

 自衛隊をイラクに派遣しようとしている小泉首相にとって、事件は大変な衝撃だったろう。「テロに屈してはならない」「自衛隊員であれ文民であれ、やるべきことはやらなければならない」と、方針に変わりがないことを強調してはいる。だが、自衛隊派遣のために作ったイラク特措法の想定とはかけ離れた現実になってしまったことは、いよいよ認めざるを得まい。

 何よりもまず、復興支援活動が円滑に行えるような状況ではない。非戦闘地域の特定はおろか、法律で義務づけられた派遣部隊の安全確保などとてもおぼつかない。

 政府、与党内では「イラクは危ない。だから自衛隊は派遣すべきではない」という議論が強まる一方で、逆に「武器を持たない外交官が危険な目に遭っているのに、自衛隊を派遣しないのはおかしい」という主張も出るだろう。

 しかし、だからといって、たじろぐな、さあ派遣だとなっていいはずはない。そもそも派遣の目的は人道支援や復興への協力であって、ゲリラやテロを制圧するためではない。そんな短絡した考え方は、泥沼への道につながりかねない。

 政府はこの事件を機に、イラクの混迷の原因をはっきりと見据え、復興支援のありかたを根本から再検討すべきである。

●復興支援を練り直せ

 事態を改善するには、米英による占領の早期終結とイラクの主権回復が不可欠だ。この点については、すでに国際社会の合意がある。国連安保理決議に基づく主権回復へのプロセスも公表された。

 ところが、米国が親米派イラク人による政権をつくり、米軍駐留などの長期的な中東戦略に新生イラクを組み込もうとしているのではないかという疑念が、イラクだけでなくアラブ世界に蔓延(まんえん)している。ここにテロや襲撃を生む土壌がある。

 米国は国連をはじめとした国際機関の役割を、なお限定的なものにとどめようとしている。

 当面は米軍が治安維持を担うにせよ、いま進めるべきは一日も早いイラク側への主権の移譲と、国連を中心にした国造りへの協力だ。武装勢力の大義名分を失わせ、復興や民主化に対するイラク民衆の意欲をもり立てなければならない。

 首相は日米同盟とともに国際協調も大事だと言う。日本には独自に築いた中東外交の実績もある。ならば、米国にものを言いつつ、イラク復興と反テロ協調の旗を振ることはできるはずだ。

 ブッシュ政権の要請に基づく自衛隊派遣だけにとらわれた狭い視野から抜け出さなければならない。それが本当の意味でテロに対抗し、イラクの復興に資することになるのではないか。

 復興支援が進むような確かな土台を国際社会とともにつくる。それが、亡くなった二人の遺志を生かすことに通じる。

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