現在地 HOME > 掲示板 > 日本の事件10 > 437.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: Re: 今、再び神戸事件の真相を問う-----(3)渦中から見た神戸事件 投稿者 竹中半兵衛 日時 2003 年 10 月 30 日 10:16:30)
A少年の筆跡と犯行声明の筆跡は一致しなかった!
浅野: あと、重要なのは、筆跡鑑定ですね(資料@)。井垣裁判官の異例の決定文の要旨(編者による追加資料U)の中で、少年が「僕はやってません。物的証拠はあるのですか」と聞いたら、取調官が捜査ファイルを見せて、「筆跡が一致したんだ」、と。それで彼は泣いて自白した、と。そう井垣さんは書いていて、それは違法な取調べだったんだ、と言っている。そして、警察調書はいっさい採用しないで検察調書だけを採用し決定した、と井垣さんは言っているわけですけども、筆跡鑑定については、学校側に問い合わせかなんかあったんですか?
岩田: 警察がA 少年を逮捕した後でも筆跡鑑定をしたことは確かやと思います。あれはA少年が逮捕されてからだいぶたってやったと思いますけども、警察は「彼の書いたのを出してくれ」、と言ってきたわけですよ。「何でもいいからと」。そうは言うてもねぇ、学校というのは、生徒に何かを提出させたらそれに少なくとも評価をして返さないかん。学校に留めとったらいかん、無責任やというわけですわ。簡単に言いますと、丸をつけて返すとか、点数つけて返すとか、添削して返すとか、そういうことをせないかん。昔は提出させっぱなしでね、放っておいても済んだんですけども、今そんなことをしたらいろいろ非難を受ける時代になってるんですわ。だから私も「提出物を集めたら、すぐ評価して返せ」と、そのように先生に言うとるわけです。だから先生は「そんなん出せ言われても何もあらへん、全部返しとる」、とみんな言うわけですね。すると警察は「それやったら、今度いっぺんガサ入れさしてもらうで」、と言う。「学校のなか探されたら困るで」「なんかないんか」と、学校の中ですったもんだしたんですね。やっと担任が思いあたってね、なんかその、年度の初めの決意か何かを書いて、教室の後ろに貼ってるいうことを思い出したわけですわ。ほんで、それを出して、やれやれと。ほんまにやれやれなんですわ。そういうことをしとるから、筆跡鑑定したことは間違いないと思います。
司会: それは葉書ですか? ちょっとした絵が書いてあった?
岩田; 葉書ではなく、まあ小さな色のついたような紙にね、自分でなんか形を切ったりね,例えば魚の形に切って、魚の絵の中にメッセージを書いたとかね。そんなような工夫したものを四月のはじめに、生徒全員の分を教室に貼っとったわけです。ところが担任の先生はそんなこと忘れてしまって、作文とかノートとかそんなことばっかり頭にあって、「いや、なんもありません」言うとったわけです。
浅野: 担任の先生は、何歳ぐらいの方なんですか。
岩田: 五十歳前の女の先生ですわ。男の先生だとあまりそういうことはしないが、女の先生は割合、こまめにそういうことをするんです。
浅野: それを警察が持っていったんですか?
岩田: そうそう、そうそう。
少年には「懲役13年」などはとても書けないと感じる(岩田)
警察の違法な取調べで少年が自白したと知り驚いた(浅野)
浅野: 校長先生は、そういう時は何かサインとかするんですか?
岩田: そうですね。なんか一筆書いてね。「これについては返していただく必要はありません」とか、そうしたことを書いて、判を押したものを提出して、持っていきました。
浅野: それが勝手に使われたんですかね。
岩田: ん、それはまあ「貸して」と言われて、出したんです。
浅野: 家からも持っていったんでしょうかねえ。
岩田: 家からもいろいろ持っていっとると思いますけど、それはわかりません。
司会: しかし、それらの筆跡は犯行声明の筆跡とは、まったくかけ離れていた。
浅野: 井垣さんの「家裁決定要旨」は、新聞で見て初めて知ったんですか?
岩田: ええ、新聞で…。
浅野: 「決定要旨」を読まれて、筆跡鑑定のくだりについてはどう思われました?
岩田: いや…あれはなんか指導主事がどっかから手に入れてきて、学校に届けてくれたんです。思い出しました。
浅野: 現物ですか?
岩田: 現物ではなくコピーですね。「決定要旨」をプリントして配るかなんかしたんでしょう。それのコピーを指導主事がどっかから、たぶん教育委員会から貰ってきたんでしょうね、それを読んだのだと思います。
浅野: その筆跡鑑定のくだりのところは、驚かれたんですか? 警察・検察が嘘をついてA少年から自白を引き出した……。
岩田: ええ、たいへん驚くという感じとは、ちょっとちがいますが。
浅野: 井垣さんの「家裁決定」によると、兵庫県警の科学捜査研究所が筆跡鑑定した結果、「一致しているとは判断できない」、という答えが出た。にもかかわらず、「一致した」と嘘をついて、それを少年に伝えて、それによって少年は自白した、と。だから警察の取り調べ方は偽計、違法である、と。従って証拠採用できない、と。私なんかそれでびっくりしたんですけども。こんなことを裁判所が言う自体が、普通の刑事裁判ではあまりないことですからね。
岩田: それやったら弁護士がなんかもの言うやろと、私はその方が先に頭に浮かびましたね。
浅野: 弁護団は以前にそれを知っていて、審判でも「調書を証拠から排除せよ」という意見を一度は出していた。本人も「騙された」と訴えていた、という。このことについて、産経は割と大きく書いていた…。
岩田: 私、どの時点で知ったんでしょうね。要するに、ごまかして自白させたということを私が知ったのは、「決定要旨」が開示された時ですかね。それとももっと前に聞いとったんですかね。そのへんは今はちょっと自信ないです。「決定要旨」を読んでもそんなに驚いたという気がしませんでしたから、そのことからすると、前もって知っていたのかもしれません。
浅野: 私もそのへんは知っていたんですけど、裁判所がそれを認めたというのがね、しかも警察の取調べを違法だということで全部証拠採用しませんというのがね、びっくりしたんです。こんなことは、私の記者経験のなかでもなかったことなんですよ。
岩田: 私は、そういうことだったら弁護士がなんでもっと動かんのやと思った記憶があります。弁護士が動かんということは、たとえば親の方が納得してしまって「もう何もせんでもええわ」「もうこれ以上やってくれるな」と言うたというようなことがあったのかなあ、よく分かりませんが、それしか考えられないなあ…そういう気がしましたね。
浅野: A少年のご両親とは、事件後接触あったんですか?
岩田: いえ、直接あって話したことはありません。電話で話したことはありますけど。
浅野: 電話で? それはいつ頃?
岩田: いつ頃と言われろとはっきりしませんけど、「ご迷惑をかけました」いうような…。
浅野: 電話がかかってきたんですね?
岩田: そうです、はい。それでね、それから後も直接こちらから電話はかけられない。教育委員会を通し、教育委員会が弁護士を通して、それで親と連絡をとる。まあ、そういう風なことになっていたんです。
浅野: A少年のご家族は、その後はどこにいらっしゃるのか?
岩田: 『週刊文春』記者の森下香枝さんがつきとめたのか、『文藝春秋』がつきとめたのか、それは知りませんが、両親の所に森下さんが行って、話しを聞いて文章にして、それを『「少年A」この子を生んで……』と言う本にしたということですわ。どないして見つけたんか、私も知りません。よう見つけたな。誰がどうやって見つけたんか、知りませんけど。
弁護士はなぜもっと動かないか(岩田)
調査を基礎に、推論し、真実に迫る(司会)
浅野: 僕は両親の居場所は絶対警察から出ていると思う。
司会: そうです。そのいきさつはこうです。警察は当時、ご両親をかくまっていました。ですからご両親の居所を知っていたのは、警察はもちろんですが、あとは神戸事件の対策協議会代表の羽柴修弁護士などごくわずかです。この羽柴弁護士が、『週間文春』編集長・松井清人、同担当記者・森下香枝としめしあわせ、森下香枝の取材に応じ手記を出すように両親を説得したのです。もちろん警察の許可のもとにです。
岩田: 羽柴弁護士が教えた?!
司会: ええ。羽柴弁護士の考えは、要するに、どこかに公開しなければいつまでもマスコミから両親を隠し続けないといけない、それではいつまでも自分たちが世話しなくてはならない…ということです。
浅野: それは間違いないんですか。
司会: ええ。当時ご両親には、損害賠償の民事訴訟が起こされ、1999年3月11日の判決で一億円余の賠償金を支払うことが決まっていました。そこで彼らは、「本の印税を賠償金の支払いにあてるしかない」と両親を説得したのです。もっとも、発刊されたこの本は「父と母 悔恨の手記」などというサブタイトルが付けられているにもかかわらず、よく読むと、A少年を偽計を用いて犯人にしたてた警察と弁護活動を放棄した弁護団への「告発の書」となっているのですが…。
浅野: なるほど。…ところで岩田さん、全体的な印象として、あの犯行が少年一人で出来るのか、それとも少なくとももう一人は別の男がいる――たとえば最初に出てきたような黒いゴミ袋を持った30歳代の男とか黒いブルーバードの男とか――そういう別の犯人が介在しているとか、さらにはA少年はまったく無関係で何者かによるきわめて組織的で計画的な犯行であるとか、そのあたりはどう思われます?
岩田: どう言ったらいいんでしょうね。「まったく無関係だ」とは言いきれないが、そうかといって「彼がやった」とも、言い切れない。つまり、「少年が一人でやった」というには絶対におかしいなと思うけども、逆の立場から考えた時に、もし冤罪をつくるのならこんなけったいないことをするだろうかと思う所がいろいろあって、どのような方向にも言い切れなくなるんです。だから「そのへんをはっきりさせるのがマスコミの仕事やろ」と言いたいんです。「少年が犯人」というにはきわめて疑問に思うけれども、事実をもって「ちがう」とも言い切れない。そこをマスコミがはっきりさせてくれ、と言いたいわけです。
浅野: そのへんは、僕とよく似ているんです。全体が完全に謀略という意見にはちょっと賛成しかねる…。
司会: そのあたりは、事実と推論と真実という難しい問題につながっているような気がします。マスコミに期待するのではなく自分自身で真相を究明しようとするなら、私たちはまず、与えられた条件のなかで動かしがたい諸事実を収集するしかない。そして、私たち自身が調査してつかんださまざまの事実を基礎にして懸命に推論し、真実に迫るしかない。また、そういうふうにしないと、実際は何を調査したらよいのかも分からないことになると思うんです。
岩田: だからこの事件を調査した団体はマスコミの代わりをしとるなと、それはそう思うんですよ。これが本来はマスコミがやらなければならないことだという気はするんです。ただやはり、たとえば「懲役13年」(資料E)ですが、なぜあんなものをわざわざ出してきたのだろうという疑問は、どうしても解けないのです。