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米英が主導しているイラク攻撃の背後にある隠れた目的として「石油利権」が取り上げられている。
世界中で沸き起こっているイラク攻撃反対運動も、大義や名分のない戦争によるイラク国民殺戮に反対する意識とともに、石油のための戦争に反対する意志表示も多く掲げられた。
昨日パキスタンのカラチで行われた数十万人規模の反戦デモでも、「石油のための戦争に反対」というプラカードが多く掲げられていた。
昨日夜9時から放送された「NHKスペシャル:アメリカとイラク・蜜月と対立の20年」も、埋蔵量世界第2位でしかも良質であるイラク原油をめぐる米国・ロシア・フランス・中国のあいだでの利害対立を説明していた。(全体がイラク攻撃石油目的という印象を持つ構成)
「クルドとシーア派を煽って見捨てた極悪米政府」さんが『3/2のNHK特集でも、煽ったのはむしろCIAの側だったことを当事者である工作員が語っていた』(http://www.asyura.com/2003/war24/msg/1381.html)で書き込みされているように、日本政府代弁増幅装置として機能してきたNHKが、米国とフセイン政権の腐れ縁・“大量破壊兵器”を売ったのは米国企業・イラク攻撃の後ろに隠れている目的・湾岸戦争時から98年にわたる米国のイラクでの謀略活動を暴いたという点で評価できる番組であった。
イラク攻撃を止めさせるために有効な論であれば、石油目的でも人道的価値観でも構わないと思っているし、様々な考えを持つ人たちがイラク攻撃反対に傾くためにはいろいろな視点や考え方による説明が必要だとも思っている。
しかし、「石油目的論」があまりも広く浸透すると、米国主導のイラク占領後に有効な対ブッシュ政権批判力を維持できなくなると危惧している。
米英は、イラクの原油資源を自分のものにするつもりはない。
現在、イラク原油の輸出はUNの管理下にあり、なぜか国際市場よりも安値で販売されている。(これ自体がイラクからの収奪である)
米英は、イラク原油を国際市場価格で輸出し、UNが物資のかたちでイラクに還元している以上の“取り分”を認める可能性が高いと考えている。
これだけを考えれば、米国の占領支配は、UN管理以上にイラク国民の生活向上に“貢献”したことになる。
原油資源を自分のものにしたわけではなく、イラクの“取り分”も増やした米国の政策をもって、「石油目的」でイラクに侵攻したとは言えないだろう。
イラク原油の輸出販売権を米英系石油企業が一手に握ったからといっても、それは、これまでロシア・フランス・中国などの石油企業が得ていた権益が米英系石油企業に移っただけの話で、イラクの損得には無関係である。
米英系石油企業(メジャー)は、油田の維持管理・掘削・開発でより高い技術力を持ち、原油の販売力でも群を抜いているから、イラクの石油関連収入の増加に資すとも思われる。
ブッシュ政権を先兵とした中東戦略はあくまでも「中東近代化」である。
それは、土地や資源を奪い取ることではなく、中東全域に欧米諸国や日本と同じ「近代経済システム」を確立することである。
それができれば、イラクをはじめ中東産油国に残る原油販売代金を利息取得を通じて徐々に吸い上げていくことができる。(危機を煽って拡大する兵器の輸出も重要な吸い上げ手段である)
現在の米英を19世紀から20世紀中期までの植民地主義者と同じように見ていれば、彼らが中東で展開しようとしている“蛮行”を見逃し、近代主義に毒された人は、「きっかけは悪かったが、民主化と近代化が達成されたのは良かった」という総括さえしかねない。
世界支配層の目的は貨幣的富の蓄積極大化であり、個々の財は、近代産業と同じく、それを効率よく達成するための手段でしかないのである。