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(回答先: Re: 【世界経済のゆくえ】米国経済のゆくえ 《現在の「ドル安」傾向の意味》 投稿者 とうしろ 日時 2002 年 6 月 29 日 14:28:16)
オリジナルでも書いているように過去の債務に対する切り捨て効果で、厳密に言えば、『自国通貨をドルに転換してドル建て債権を手に入れた経済主体は「ドル安・自国通貨高」によって債権価値を減少させ、ドル建て債務経済主体は、債務負担を軽減できる』というものです。
これは、自国通貨の債権・債務が、インフレによって減価する論理と同じです。
仮に、97年が1ドル=100円、00年が1ドル=70円だとします。米国債の金利は10%とします。
1)ある日本の経済主体が100億円をドルに転換して3年物米国債を1億ドル買います。
2)米国政府が1億ドルを日本製半導体の購入に充てました。これは、100億円に相当します。
3)償還期の00年は、1ドル=70円で、1億ドルが70億円になりました。
4)償還期直前まで1ドル=100円だったので、利息を3千万ドルを受け取り、3億円を手にしています。
5)97年に米国政府が購入した日本製半導体は、00年でも100億円です。
はっきりしているのは、米国債を買った日本の経済主体が27億円の損失を被ったことです。
わかりにくいのは、米国政府が“得”をしたかどうかです。
米国政府は、1億ドルの債務を1億3千万ドルで返済し終わったのですから、利息分多く負担したということになります。
表示通貨の債務額ベースで言えば、何ら“得”をしていないことになります。
しかし、通貨は通貨として価値があると思うのは、“守銭奴”の価値観です。
通貨は、財やサービスを手に入れることができるから価値があるというのが、“理性的”な価値観です。
米国政府は、日本製半導体100億円分を手に入れました。しかし、返済した金額は73億円で、その時点の日本製半導体は買ったときと同じ100億円です。
利息を加えた返済額でも、かつて手に入れらた同じ財を手に入れられないのです。
半導体という財をベースに考えれば、100億円−73億円=27億円と27億円の債務を切り捨てたことになります。
もっとどぎつくわかりやすい例を書きます。(条件は前述と同じで日本国債は米国債の半分の5%の利子だとします)
1)ある日本の経済主体が100億円をドルに転換して3年物米国債を1億ドル買います。
2)米国政府が1億ドルで日本の3年物国債を100億円購入しました。
3)償還期の00年は1ドル=70円で、米国政府は、1億4285万ドルを手にしました。
4)米国政府は、1億ドルで日本の経済主体に債務を返済しました。日本の経済主体は、円に転換して70億円を手にしました。
5)償還期直前まで1ドル=100円だったので、日本の経済主体は、利息を3千万ドルを受け取り、3億円を手にしています。米国政府は、15億円の利息を受け取り、1,500万ドルを手に入れています。
6)米国政府は、1億5,785万ドル−1億3,000万ドル=2,785万ドルの利益を上げました。(利益率は3年間で27.8%です)
こちらだとすべてが金融取引なので、金額の損得がはっきりします。
おわかりいただけたでしょうか?
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