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(回答先: 詳しい御説明を有難うございました。 投稿者 とうしろ 日時 2002 年 7 月 01 日 14:45:33)
「とうしろ」さん、こんにちわ。
>「0.7億労働時間の返済しかしていない」というのは日本の生産性に基づいた計算で
>あり、米国側としては3年後にもやはり、1億労働時間をかけて、1億ドルを産み出
>し、返済していると思います。
説明が中途半端でした。
0.7億労働時間は、日本の生産性というだけではなく、米国の生産性でもあるのです。
絶対値ではなく相対値ですから、日本:米国=1:1であったものが、日本:米国=1:0.7に変動したということです。
「米国側としては3年後にもやはり、1億労働時間をかけて、1億ドルを産み出し、返済している」のはその通りですが、“日本側は、1億労働時間をかければ、1億4千万ドル超(100億円)を産出します”ので、日本側も、3年前と同じように、1億労働時間で100億円を産出していることは変わりません。
異なるのは、単位労働価値=単位資本価値の相対的比較が、1:0.7になったことです。
同一単位の労働価値ベースで、米国は日本の七掛けしか価値を持たなくなったということです。
>「実質的な債務切り捨てを享受できた米国政府にとって、具体的にその"得"はどのよ
>うな形で現れるか」
1億労働時間を借りて、3年後に、0.7億労働時間しか返済しなかったことにつきます。
ドルを借りたのではなく、財やサービスの価値実体である労働価値=資本価値を借りたと考えれば、1億4千万ドル返さなければならないのに、1億ドルしか返済しないで済んだということで“得”になります。
貨幣経済のマジックとも、米ドル国際基軸通貨制の錬金術とも言えますが、紙幣の価値を決める労働価値=資本価値をベースに国際取引が行われていないことが、この事実を見えにくくさせています。
米国以外の国がドル建てで借金していることと比較すれば少しは明確になるのでは思います。
97年:自国通貨1ペソ=1ドル=100円
00年:自国通貨2ペソ=1ドル=70円
1)アルゼンチンが1億ドルを借り入れて、1億ペソを財政支出した。
2)アルゼンチンと米国の相対的生産性変動が、0.5:1になったので、1ドル=2ペソになった。
3)00年に、アルゼンチンが1億ドルを返済するためには、2億ペソ用意しなければならない。
この例では、ドルを借りたのではなく、財やサービスの価値実体である労働価値=資本価値を借りたという事実がよくわかります。
1億ペソしか借りていないのに、労働価値が米国との関係で半減したため、2億ペソ返済することになりました。この債権債務関係では、ドルベースでの損得は発生していません。
(日本の経済主体であれば、100億円を貸して、70億円しか返却されないことは日米関係と同じで変わりません)
米国は自国通貨ドルが国際基軸通貨であることで、このような当然の“調整”から逃れられる“得”を手に入れているわけです。
米国は、ドル建ての対外債権で損をすることはなく、ドル建ての対外債務で得をすることができるというとんでもなく有利な立場にあります。