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[対談]水野和夫(エコノミスト)×白井聡(政治学者)
(上から一部引用)
≪資本主義の終わりの始まり≫
白井 いわゆるアベノミクスが始動して一年あまりが経ちました。しかし、水野さんが以前から主張なさっていたように、金融緩和や成長政策といった手段では、今日の世界的経済危機は解決できないことがますます明らかになってきた。現にアメリカが量的緩和を縮小する局面に入っただけで、株価の乱高下は激しくなり、新興国の経済が危うくなってきています。アベノミクスの三本の矢にしろ、アメリカの量的緩和にしろ、解決どころか、危機の本当の姿を覆い隠すことにしかなっていません。
水野 そのとおりです。リーマン・ショックのときの金融危機は、国家に債務を肩代わりさせて乗り切りましたが、こんなことはいつまでも続けられるわけがない。
いまや世界経済が先進国の量的緩和を与件としてできあがってしまっています。そうなると、たとえ一時的に緩和を縮小したとしても、どこかでバブルが弾けて経済が低迷すれば、量的緩和を再開せざるをえない。そのツケは、結局、公的資金というかたちで国民が支払わされるわけです。
白井 そんな状況を単なる長期停滞だと認識してはならない、これは資本主義の終焉の始まりなんだというのが水野さんのご主張ですよね。
水野 資本主義の死期が近づいてきているとしか思えないのです。
国債利回り二パーセント以下が一六年続く日本を筆頭に、先進国で超低金利状態が続いています。金利はほぼ利潤率に一致しますから、超低金利というのは、資本を投下しても利潤を得ることができない、という状況です。資本を自己増殖させることが資本主義の本質ですから、つまり、この超低金利状態から抜け出せないということは、資本主義の終焉を意味するのです。
その資本主義の終焉と同時に、資本主義とともに発展してきた国家や民主主義といったものも、大転換期を迎えているのではないか。政治思想がご専門の白井さんに今日はそのあたりを、ぜひうかがいたいです。
白井 近代そのものの終わりという世界史上の巨大な転換期にいるのではないかと私も感じています。まず、国家の変質という点から、資本主義と近代の終わりについて考えてみようと思います。
≪ブラック国家化する現代≫
白井 水野さんは近刊『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)をこう始めていらっしゃいますね。資本主義にはどうしても、フロンティアが必要である。中心がフロンティアを広げながら利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくものだと。しかし、グローバル化が進んで地理的な意味でのフロンティアは消滅し、バーチャルな「電子・金融空間」でも利潤を上げることはできなくなった。もう外部に利潤を上げるフロンティアはなく、そうなると、内側でフロンティアを作るしかない。つまり、国内の国民から巻き上げていくしかない。
水野 そうです。アメリカでいえばサブプライム層への収奪的貸付であったり、日本でいえば低賃金で働かされる非正規社員であったり。日本でもアメリカでも、景気が回復しても労働者の賃金は増えず、中間層の没落ということが明らかになってきました。そして、中間層が没落すると、国民の同質性が失われるので、民主主義が成り立たなくなるのではないかと思うのです。(引用終わり)
水野『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』を手にしたことがある。
印象に残っている部分は「グローバリゼーションの本質とは、19、20世紀と200年にわたって実質賃金が上がり続けた”労働者の黄金時代”に終止符を打つ”資本の反革命(資本による利潤回復運動)”ととらえて議論を展開した。日本の超低金利に象徴されるように、先進国で利潤率が趨勢的に低下しているから、”資本の反革命”が起きているのだと考えられる」というまえがきの所であった。
本文は多数の図表を使って逐一説明していたようだが、著者の思考過程に付き合うのはしんどいので読んでいない(もともと経済「学」というものを信用していない)。もっともアマゾン書評によると著者は歴史経済学的アプローチで論証を試みているようだから、「理論」を前面に掲げてぶん回すよりも好ましいとは言える。
”資本の反革命”の行く着く先は「国内の国民から巻き上げていくしかない」ということになり、「資本主義の終焉」ということだが、その先はどうなるのか。資本主義にとって代わる政治・経済システムを人類はまだ生み出していない。
水野氏の示唆はおよそ次の様な物(再び引用)/仁王像
≪定常状態が豊かさを取り戻す道≫
水野 だからこそ、次の時代の準備をしなければならないのに、ゼロ金利の先進国ですら、量的緩和政策などで、近代を延命させようとしています。近代を延命させる成長主義はバブルを生み出すだけですから、逆に近代の死、資本主義の死を早めてしまうんです。
白井 成長を前提とする近代経済学に対して、水野さんが根源的な批判を繰り返してきたのは、それゆえですよね。水野理論の最大のポイントは、資本主義が駆動するためには、「自然からの贈与」の必要性を論証していることだと思います。近代資本主義で言えば、自然からの贈与とはずばり石油です。石油をタダ同然で手に入れられたからこそ、先進国はオイルショックまで成長を謳歌できたとおっしゃっている。しかし、その「贈与」はもはやない。主流派の経済学は等価交換の世界を描き出し、そこからはみ出すものをたかだか「外部性」としか位置づけできません。実際は、交換の世界が交換ならざるものの上に乗っかっていることを水野理論は明らかにしました。
しかし、依然として「成長教」はとどまる気配はありません。そういう現状を見ると絶望的になりますが、水野さんはその中でも今後の展望をなんとか描き出そうとしています。そのポイントは何かというと、「余剰の収奪がない」ということだと思うのです。封建制と資本制はシステムこそ違いますが、「余剰の収奪」という点ではモデルチェンジにすぎませんでした。
しかし、水野さんが主張している今後のあるべき経済社会の「定常状態」というのは、「余剰の収奪がない」状態ですよね。
水野 そのとおりです。定常状態は、すなわちゼロ成長ですから、純投資をしないということになります。純投資をしないということは、余剰を使って拡大再生産をしないんですね。イメージしやすくいえば、これはある意味で、豊かな時代の家計に近い状態です。身の回りにモノが溢れている時代において家計は将来を心配せずに消費を行います。正常なあり方ですよね。無理に利潤を上げたり、ストックを増やしたりする必要がない状態です。それが私のイメージする定常状態です。(引用終わり)
筆者の頭では、これが資本主義とは違うシステムなのかどうかよくく分からないが、インド人の経済学者ラビ・バトラはが提起した「プラウト」という経済概念と似ているようにも思える。
さらに乱暴な言い方をすれば、1929年の大恐慌のようにビッグ・クランチを起こすことが「資本主義の終焉」なのか、そして再びビッグ・バンならぬスモール・バンでも始まり、再び資本主義が復活していくということなのか/仁王像
・ラビ。バトラ wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%A9
・西洋伝来の経済学の根底に横たわる虚構が日本人によって原理的に暴き出されつつある
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/154.html
投稿者 仁王像 日時 2014 年 2 月 18 日 20:03:59: jdZgmZ21Prm8E
・地球人類はエネルギーの過消費をどこかで抑え込むことが可能か?〜二夜連続のNスペを見た感想
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/181.html
- 経済成長という信仰〜成長が止まる時期が「目前」に迫っている/水野和夫 仁王像 2015/1/24 13:51:53
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- Re: 130年間は、先進国の15%の人びとが豊かな生活〜21世紀は国内に周辺(貧困)生み出し資本が増殖/水野和夫 仁王像 2015/1/25 12:59:37
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- Re: 欧州危機が告げる本当の危機とは? EUですら結局は資本の論理に巻き込まれて…(失業者の増大と低賃金)/水野和夫 仁王像 2015/1/25 09:50:52
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- Re: もはや覇権国家の交替はあり得ない〜中国も次の覇権国にはなりえない/水野和夫 仁王像 2015/1/24 15:41:09
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- Re: 130年間は、先進国の15%の人びとが豊かな生活〜21世紀は国内に周辺(貧困)生み出し資本が増殖/水野和夫 仁王像 2015/1/25 12:59:37
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- Re: フランスの経済学者トマ・ピケティ著「21世紀の資本」がベストセラーに/今晩のN7 仁王像 2015/1/10 19:54:40
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- グローバリゼーションを「ヒト、モノ、カネが国境を自由に越えるプロセス」と考えること自体、資本の反革命の片棒を担いで… 仁王像 2015/1/08 20:11:53
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- Re: グローバリゼーションというイデオロギーを具体化したものがEUだろう 仁王像 2015/1/09 21:03:35
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- Re: グローバリゼーションというイデオロギーを具体化したものがEUだろう 仁王像 2015/1/09 21:03:35
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- 「資本の反革命」によって先進国の賃金が抑制され〜「一億総中流意識」が崩壊〜格差は構造的問題で、景気回復では解決不可/水野 仁王像 2015/1/08 20:04:58
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