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(回答先: 宮本元議長 共産党を支えたカリスマの死(7月19日付・読売社説) 投稿者 熊野孤道 日時 2007 年 7 月 19 日 19:19:41)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070718ig15.htm
7月19日付 編集手帳
終戦の翌日、ひろ子は網走の刑務所にいる夫重吉に手紙を書く。一行、それだけ書けば心は足りる。「いつお帰りになるのでせう。書きたい言葉はその一行である」◆宮本百合子の小説「播州平野」である。夫の重吉は政治犯として12年間、獄中で転向を拒みつづけた。のちに委員長や議長として戦後の共産党を指導する宮本顕治氏である◆東大在学中に書いた評論「『敗北』の文学」は小林秀雄の「様々なる意匠」を抑え、雑誌「改造」が募集した懸賞の第1席に選ばれている。文名の頂点から獄中へ、中央政界へ、振幅の激しい昭和という時代を映した生涯であろう◆宮本氏が98歳で亡くなった。風雪の刻まれた厳しい風貌(ふうぼう)が印象に残っている。主義や主張を是とするにせよ、非とするにせよ、昭和の「顔」のひとりに数えることには、おそらく誰にも異存はあるまい◆共産党の顔はソフトな微笑の不破哲三氏から、実直な勤め人を思わせる志位和夫氏に引き継がれたが、党勢はいまだ低迷のなかにある。去りゆく人には心残りであったろう◆百合子が獄中に宛(あ)てた手紙に、「だんだん自分の身が細まって矢になるような心持ちよ」とある。矢になって網走に飛んでいきたい、と(顕治・百合子「十二年の手紙」、筑摩書房)。百合子が世を去って56年、遠い時を隔てての再会である。
(2007年7月19日1時36分 読売新聞)
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