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国家的秩序の再定義/東京音頭さんのレスへの再レス(アジア7版から移転)
http://www.asyura2.com/07/dispute25/msg/451.html
投稿者 張良 日時 2007 年 4 月 02 日 12:45:02: YeLj0JQdWAK.A
 

アジア7版での東京音頭さんのレス「本質を見失うのではないか、国籍つながりより、経済的地位のつながりを見ることが大切」(http://www.asyura2.com/07/asia7/msg/429.html)への再レスです。意見内容の発展により議論版に場所を移させていただきました。


東京音頭さんへ。丁寧な解説ありがとうございます。搾取される者の置かれた立場は国境を越えて共通であるとの認識にはもちろん共感いたします。ナショナリズム対インターナショナリズムという構図においてインターナショナルの側に立つことに異論はありません。意見の違いが生じるのは、今日のグローバリズムに対する評価如何によるのではないかと思います。

いわゆるグローバリズムは国境の障壁を低くし資本の移動はもちろんのこと財や労働力の移動も自由化して利潤の極大化を図ろうとする今日的資本主義の別名だと思っています。もちろん見落としてならないのは、国境の障壁を低くするということが決して国家的秩序の否定ではないことです。むしろ、国家間の格差を利用することで利潤を獲得しようとする動きであることです。そして資本自身は国家に縛られることなく地球のいたるところを自由に徘徊するのです。

今日的資本主義のこうした姿は、かつてのナショナリズム対インターナショナリズムという構図を無意味なものにしてしまうのではないかというのが私の考えるところです。国家的秩序を無視して動き回る資本は、一方で、その国家的秩序の地球的格差を最大限に利用しています。だからこそグローバリズムは決して国家を否定せず、民族を否定せず、文化の多様性を否定しません。ただし、資本だけはそれらのものから自由であるとするのです。簡単に言えば、ナショナリズムを尊重しつつ自らはそれに縛られないということです。

こうした資本の姿は、一見したところインターナショナルな姿勢と似通っています。しかし、いずれの国家にも属さない資本はグローバルではあり得てもインターナショナルとは言えません。例えて言うなら、地球市民と国際人は違うということです。国際人には自らの所属する共同体や文化があります。そうした足場を持ちつつそれに囚われることのない見識を持つ者でしょう。一方、地球市民にとっての足場は地球そのものであり全き個人として世界を駆け巡ります。

もちろん個人の生き方としてならどちらでも構わないはずですが、資本は個人でもなく命ある存在でもありません。グローバルに活動する資本は世界を覆い尽くし均質化します。その結果、個人は競争の中で個性を失い単なる能力へと墜していきます。共同体や文化も同様です。商品のレッテル以上のものではなくなるでしょう。結局、グローバリズムは国家的秩序を保存しつつそれを空洞化するのです。真綿で国家の首を絞めながら、命を落とすのは国家の自己責任だというのです。

今日的資本主義に対抗しようとするとき、私たちは何に依拠したらよいのでしょうか。搾取されるもの同士の国際的連帯に異を唱えるつもりはありませんが、同時に、失われつつある共同体や文化そして生身の個人それぞれに備わる独特の個性を守り発展させることも大切だと思います。ナショナリズムではないかとの誤解を恐れずに、国家的秩序を再定義することもその一つであろうと思っています。

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