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日本人にはあまり興味がないかもしれませんが、ニュージーランドの情勢をお話します。
ニュージーランドとは、ご存知のとおり、もともとポリネシア人(マオリ族)が住んでいた島ですが、後から他の地域同様 イギリス軍が来て、植民地化され、結局イギリスの一部のような国になってしまった というところです。
アメリカや、オーストラリアと違う所は、アオテアロア(マオリ語でニュージーランドの島のこと)は、一応、条約でイギリス人の植民を認め、マオリの自治、や財産権が認められていることです。
このマオリ族とイギリスとの間の関係を決めたのが、ワイタンギ条約といって、様々な取り決めがされました。英語訳とマオリ語訳が食い違い、今でも色々な所で問題になっています。
さて、地球規模の環境破壊や、温暖化などが、近年の大問題になっていますが、この小さい国の先住民の主張の中に、これから我々が目指さなくてならない生き方のヒントが含まれているのではないか と考えここに投稿しました。
2004年、ニュージーランドにひとつの騒ぎがありました。たくさんのマオリが沿道に出て、何日間もプロテストを行いました。
原因は、海岸線の所有問題でした。ニュージョーランド政府は、海岸線を国の財産にして、売れるところは不動産として売りたい と考えていたようです。現にニュージーランド(NZ)やオーストラリアなどは、海に面している素晴らしい所は、公共のエリアと、ブッシュのほかは、民間の別荘として売られることが多いのです。旅館などにはあまりならず、貝や海藻類をあまり食べない英国圏では、そういう産業に従持する人々との利害関係もあまりありません。
私はニュージーランドに、当時いましたが、こんな大きなマオリ族の抗議行動は初めて見ました。
海からのめぐみで生きてきたマオリ族は この政府の案に黙ってはいられません。
そしてワイタンギ条約の内容まで話しが及ぶのです。
マオリは、この島の財産(特に海岸線は)マオリに属し、彼らの許可なしでは、開発などできない、と主張、パケハ政府(ヨーロッパ人政府)は、イギリスの統治権を主張します。
さて、どちらの主張が法律的に正しいか はおいておいて、このふたつの主張の間で、どちらが今後の私達がとるべき道なのでしょう。
マオリを始め、ポリネシア人は、身近な自然、特に海の幸でずっと生きてきた民族です。だから海岸線は命そのものなのです。マオリであっても、個人の財産として独占できないし、第一そんな、私的財産の発想もありません。皆のもの(もしくは、そこに住む部族のもの)なのです。彼らは、マオリ以外の人が海岸で遊ぼうが、釣りをしようが、(自分や家族が食べる範囲内)何もいいません。貧しいマオリは、身近な海で取れる魚介類がすべてで、(現実には、都会のマオリは店で輸入品を買うが、発想は変わらない) 遠洋漁業で、魚を獲って食べればいい、とは考えていません。
一方 パケハ政府はそういう 土地はみんなのもの、という発想はありません。
マオリも土地が欲しければ買えばいい、という考えなのです。又、マオリも土地を売れば、大もうけが出来るのに、何故売らないのか、理解できない様子です。
その顕著な違いは、住民の反応からもわかりました。
私は、日本人なので、ヨーロッパ系NZ人は、仲間として話し掛けてきます。
私はその頃、海岸近くに住んでいて、美しい白浜の海岸線には、おお、という感じの素敵な別荘がずらっと並んでいました。もちろん夏場やホリデー以外は、人はすんでいません。空家が素晴らしい場所を独占しています。あるところで別荘がなくなります。
「ここから別荘がないのね。」と私。すると イギリス系が、「そうよ、マオリがもっているのよ、」という。そう、「きっと聖地なのね」。と私。(こういう聖地は豪州にもよくある。)
すると、イギリス系女性は、「違うのよ。もっと値があがるのを待っているのよ。いろいろ格好いい事いうけど、結局お金、お金が欲しいのよ。」と。
こういう事をいう”白人系”には、ずいぶん会いました。実は、悲しいことに、日本系NZ人も例外ではありません。白人系のいうこととほぼ同じようにいい、マオリはお金が欲しい、といいます。しかし、現実マオリたちが、私有地として、不動産でお金儲けをする例などないのです。
話をするマオリの人々は、みな真剣なまなざしで、海が汚れたら、海岸線で自由に魚や貝が取れなかったら、生きていけない、なんとか守らなくては。と言います。
そして、その気持ちの底には、共有という気持ちがいつもあります。決して、自分がそこを独占し、欲しい人に売れば 大金持ちになれる、という 商売の発想はまったくありません。
だから、彼らは、資本主義社会では、決して成功できないのでしょう。いつも貧乏なのです。
今回のことは、海岸線所有問題でしたが、自分達の食べ物は身の周りの自然の恵みであり、そこを汚したら、壊したら、自分達も生きてはいけない、何より大切 という発想は、実に人間の基本であり、何々主義などの知識がなくても、先住民が現にそういう生き方をしようとしているのです。
もう二百年近くもヨーロッパ人に占領されながら、自分達の文化の基本、共存の発想を持ちつづけ、お金儲け、というのか、拝金主義に冒されないマオリ族の人々(多くのポリネシア人も同様)の文化の強さに脱帽します。
もう地球は破壊されつづけていますが、彼らの生きたかに、将来の私達の生き方へのヒントがあるのではないでしょうか。日本人もついこの間まで、似たような生き方をしてきたはずです。
自然崇拝の気持ちを今日まで残す私達は、彼らの行き方を、”馬鹿じゃない”と一蹴しない、生活に根ざした思想がまだあるはずです。
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