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『あっしらさん、米英軍は本当に追い詰められているのでしょうか?』( http://www.asyura2.com/0311/war43/msg/286.html )へのレスです。
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シジミさん、こんにちわ。
イラクの現局面は、残念ながら、大枠で米英政権のシナリオ通りだと考えています。
イラクで起きている“攻撃”も、相当部分が米英が後ろで画策したテロ(字義通りの意味で)だと思っています。
U.N.事務所・国際赤十字施設・イタリア軍警察施設・バクダッド水道管破壊など規模が大きく話題にもなった“攻撃”は、米英が後ろで糸をひいたテロの可能性が高いと思っています。
(「ニューズウイーク」誌は、攻撃が起きる要因としてイラク国内で300箇所近くの弾薬庫が放置されたままになっていることを上げていますが、破壊処理をするなり、別の場所に集約して管理すれば済むことです)
“テロ”を画策している米英諜報機関の最高レベルだけが、どれが本当の反占領支配勢力による“攻撃”かがわかる構図になっていると思っています。
このように考えるイラク内部の根拠は、イラクで反軍事占領=主権回復の明確な政治組織ができていないことです。
フセイン勢力のみは占領軍を追い出して政権を復活させることが政治目標になりますが、その他の勢力は、政治目標を掲げそれに人々を糾合する動きをしなければ目的達成に近づくことができません。
人口で多数派のシーア派は、今はことを荒立てずに早期の主権回復を求め占領軍に出ていってもらうという構えです。
(アフガニスタンのタリバン勢力は、フセイン勢力と同じ立場ですが、米英支配層と“お仲間”ではないことで大きく異なります)
これまで起きている“攻撃”は、米英軍の攻撃を受けて身内が殺されたことへの復讐や深く手を突っ込んできた米英を払いのけるための行動を除けば、フセイン勢力を含めてですが米英が後ろで画策したものだと考えています。
米英政権側から見た「テロ策動」の意義は、
● 米英軍は、軍事占領支配はともかく、長期的なイラク駐留を望んでいる
米英軍は、中東全域の「近代化」(彼らが言うところの「民主化」)が終わるまで中東の心臓部であるイラクから撤退することはありません。
米英政権が、フセイン政権の打倒や大量破壊兵器の根絶を目的にイラクへの軍事侵攻を始めたと信じることはできませんから、戦争(武力による政治目的の追求)は始まったばかりでこれから本格化すると考えるのが妥当です。
開戦間際にブッシュ政権が唱え始めた「中東全域の民主化」こそが、米英政権(世界支配層)の戦略であり、それを「対テロ戦争」と結びつけながら遂行していくのが戦術です。
中東全域の「近代化」は、同時革命的なものになるはずですから、イラクが終わったら撤退という段取りではなく、周辺諸国の「近代化」が完了するまでイラク駐留という橋頭堡を維持しようとするはずです。
(「近代化」や「民主化」は、戦後日本とりわけ80年代後半以後の日本のようになることだとイメージすればいいでしょう)
イラク侵攻を果たした米英が現在最優先課題としているのは、目的(戦略)を達成するまでの軍事駐留を政治的に勝ち取ることです。
(イラクに対する政治的主導力は現在の国際情勢であれば、それほど問題にはなりません。イラク攻撃に反対したフランスやドイツもそれを否定することはありません)
イラク国内の治安が安定しイラク国内諸政治勢力がまとまれば、米英軍がイラクの軍事占領を続ける大義名分が希薄になり、主権回復と部隊撤退を求める声が国際的にも高まります。(フランスやドイツも、そのような声を上げざるを得ません)
この間の“攻撃”にはこのような状況を避けるために意図されたものが数多く含まれていると考えています。
戦後日本のように、多数派によって構築されたイラク新政権が米英軍の駐留を認めれば、軍事占領支配から主権回復という手続きをとることもできますが、それが期待できないのであれば、軍事占領支配を継続するか、かたちだけの傀儡政権をつくって軍事占領色を薄めるしかありません。
ブッシュ政権は、かたちだけの傀儡政権に主権を移譲し、米英が軍事支配を続ける政策を選択したと思っています。
● アフガニスタン型の軍事支配を目指している
自分たちの利益のためであれば自国兵士の命や身体がどうなろうと知ったことではないと考えている米英政権ですが、制度的には民主主義ですから、勝利の見通しや見返りがないまま兵士たちが殺され続ける状況を放置するわけにはいきません。
現在はコントロールもできる“攻撃”ですからまだ対処ができますが、軍事占領や傀儡政権が長期化すれば、コントロールできない“攻撃”に晒されることになります。
この間のブッシュ政権“攻撃”をコントロールできる間に諸外国から兵力を派遣させ、コントロールできない“攻撃”に晒されるようになったときに矢面に立たせるという政策を追求しています。
この政策をうまく進めるためには、かたちだけであってもイラクの主権回復を行い、U.N.安保理から確固たるお墨付きを手に入れる必要があると思っているはずです。(フランスやドイツも、それで軍事的に動けるようになります)
現状では、反軍事占領勢力は自決権に基づく抵抗と見られる側面もありますが、かたちだけでも主権が回復すれば、抵抗運動として好意的に見る割合が低下し、反乱分子やテロリストという負のイメージで見られるようになります。
さらに進んで傀儡政権よりももっともらしい手続きを経て確立した政権が生まれれば、抵抗勢力は、平和と復興を阻害する悪党とみなされることになります。
このような状況までもっていけば、イラク駐留多国籍軍部隊は、存在に大義名分が得られるとともに、抵抗勢力に対する攻撃も正当化されることになります。
民主主義的手続きで政権が確立し、その政権が「近代化」を推し進めるというベストな構図が生まれれば、それを反イスラムということで抵抗する勢力は、平和と復興を阻害する悪党というだけではなく、反民主主義反自由主義の極悪人となり、イスラム=悪魔というイメージ醸成に使われることになります。
また、アフガニスタンのように、殺戮状況があまり報じられないようにしたいという思惑もあるはずです。
アフガニスタンの米軍のほうが累積死傷者数も最近の平均死傷者数も多いはずですが、断片的に報じられるだけです。
● 戦いの性格を大量破壊兵器やフセイン政権に対するものから「対テロ」に変えたい
日本のメディアは揃いも揃って、イラクで起きている“攻撃”をテロと呼んでいます。
彼らは、それらの“攻撃”を反軍事占領勢力のものだと思っているはずですから、反植民地武装闘争や独立武装闘争をテロリズムと呼び、それらに参加している人たちをテロリストと呼んでいることになります。
これまで学校でも教えてきた民族自決権や独立闘争=反植民地主義の大義という近代価値観を吹き飛ばす言動をしながら、その自覚さえないようです。
(2週間前の土曜日に放送されたNHKの番組は、イラクの「占領計画」を「復興計画」と呼ぶとんでもないものでした)
米英の今回の軍事行動は9・11同時多発空爆テロが端緒ですから、米英支配層が軍事行動の正当化を「対テロ」に結び付けようとするのは当然です。
イラク軍事侵攻の正当性が当初の賛成派からも疑われている今、大量破壊兵器もフセインも早く忘れてもらって、これは「対テロ戦争」なんだという意識をもってもらいたいと思っているはずです。
それでこそ、9・11に自国民を中心に2800名を虐殺した意義があると思っているでしょう。
米英が画策した“攻撃”がテロとみなされていることで、本当の武力抵抗が本格化してもテロだとみなされる土壌ができあがっていきます。
このような狙いも、この間の“攻撃”に付与されているはずです。
イラクの現局面はこのようなものではないかと考えています。
※ イラクへの自衛隊派兵は、当初は米英からの“攻撃”に晒されることになり、ある時点からはイラク抵抗派の攻撃に晒されることになると思っています。
自衛隊が米英の策動で攻撃を受けたとき日本国内でどのような反応が起きるかが、その後の日本を大きく規定することになると考えています。
一部の人は、自衛隊がイラクに派兵されて犠牲者が出れば、日本人も目が覚めるとか小泉政権が大打撃を受けると考えているようですが、それはあまり期待できないと思っています。
嫌な見通しですが、不幸にして自衛隊員に犠牲が出たとき、読売新聞などを中心に「対テロ戦争」への本格的参加の必要性が声高に叫ばれ、派遣部隊の重装備化や増員の方向に流れていくだろうと予測しています。
そう予測するのも、現段階から占領支配抵抗=テロという刷り込みが行われている現実があるからです。(戦前の歴史を顧みても、その危険性を排除できません)
こう考えたとき、既に膨大なお金を拠出している日本が地上部隊も本格的に派遣しお金もさらに拠出するようになる“絶好の機会”を米英が見逃すことはないと思われます。
日本を米英の「対イスラム戦争」に本格的に引きずり込む格好のネタとして自衛隊が標的になる可能性があることを含んで自衛隊派遣の是非を考える必要があります。