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(回答先: Re: ブラックジャックによろしくの7巻が今日発売 投稿者 シジミ 日時 2003 年 11 月 20 日 23:48:21)
ややすれ違いかもしれませんが、他の掲示板で日本の医療行政についての意見を見つけましたので転載します。(推察するに、書かれている方は現役の医療関係者のようです。)
この方の見解が的を獲ているなら、より医療費総額高騰に繋がりそうな治療法を保険外診療(=自費)としているの理由も解りやすくなります。
又、よくアメリカの先進医療がマスコミ報道されますが、アメリカの医療制度は日本の制度とは、全く異なります。
アメリカの医療制度は↓を参照して下さい。
http://village.infoweb.ne.jp/~fvbc6460/koho/no9/hyojun.htm
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医療に対する問題提起、ご自身は医療については素人です、と謙遜しておられますが人間である以上誰でも病気になりますし、政治経済に素人であっても人は毎日何らかの経済活動をしているのと同様、医療は全ての人が論ずる資格がある問題です。
ただ我々でも「日本の根本的な医療問題というのはそもそも何なのだ?」と問われると良く判らないように一般の人たちには何がもともと問題なのかよく判らないのではないかと思います。
マスコミは医療ミスばかりを取り上げて騒ぐので、ここ数年で日本の医療はレベルが低下してミスだらけになったのが問題だと勘違いしているひとが実は沢山いるのでは。
日本の医療問題と言われるもの、実は立場によって全く違ったことを論じているのではないでしょうか。
政府:日本の医療は金がかかりすぎるから医療費を抑制せよ。
実は日本の医療問題はこの一点しかないのです。それも日本の医療が国民皆保険制度の上に成り立っているから、それを支える政府と企業が経済的にきつくなったので今まで通りの右肩上がりの医療費増加は認めない、という経済的観点に立った問題のみが本来の日本の医療問題のはずです。医者の倫理だ、患者のアメニティだなんだと息巻いている問題も実は予算があれば解決することばかり、金を出さずに解決しようとするから誰かを悪者にしてその悪者の隠忍自重によって解決するしかなくなるわけです。
http://club.carenet.co.jp/JM/2003/09/0917_02.asp?SID=
に「医療構造改革の現況と今後」と題された日本臨床内科医学会のシンポジウムが紹介されていますが、ここで話されている内容は「医療構造改革」=診療報酬体系のことのみです。政府にとっては医療費抑制をしないと国民皆保険を前提とした医療は崩壊してしまうので日本の医療問題=医療費になるわけです。一方医療者側にとっても「北の医療通信」の医師が指摘する如く、医療費高騰の原因が病院の儲けによるものでなく医療材料や機器の増加が原因であるのに診療報酬がどんどん下げられて倒産する病院が増加している現状から、これ以上診療報酬を下げられたら医療は崩壊してしまう、と指摘するのです。
医師会:診療報酬を下げることが日本の医療問題の原因である、という主張になります。
問題を複雑にしているのはマスコミです。純粋に経済のことだけを論じていれば問題がすっきりしているのに、金がかかりすぎるのは病院の儲け主義がいけない、と特定の悪者を作ってしまった。おまけにアメリカの医療産業(薬や医療機器といったハード面のみでなく、病院や医療保険といったソフト面も)を日本に進出させるようアメリカの医療を宣伝しろという圧力がかかってしまった。そこでマスコミは乗り心地の良いアメリカ車がいかに素晴らしいか、大量生産の国産車がいかにみすぼらしいかを見境なく喧伝してしまった訳です。アメリカ車は燃費が悪く小回りがきかないなんて一言も言わない。世界では日本車が一番であるとの評価が下されている(WHOは日本の医療が世界一であると評価している)にも関わらずです。
一方、新聞の投書欄などにみる国民(患者側)からみた日本の医療問題は、
患者側:患者中心の医療でないことが日本の医療問題である。
という主張ではないでしょうか。病院も政府も医療に関して何を策しているのかよく判らない。隠ぺい体質、事故隠し、もっと患者に分かり易くしなさい、ということでしょう。
本来、国民皆保険を維持するための純粋な経済問題であった医療問題が、国民に届いた時には倫理や医療制度の問題にすり替えられてしまった。そして巧妙にアメリカ資本が30兆円産業である日本の医療に食い込もうとしているのが今の姿です。
公共投資を当てにした土建産業を中心にした日本に構造改革が必要なことは明確ですが、構造改革を進めていくうちに巧妙にアメリカに日本の産業基盤が乗っ取られてしまうのと同じ筋書きが医療においても起ころうとしています。
我々はもう一度日本の医療問題とは一体何なのかを整理して考えてみるべきでしょう。簡単には行きませんが「はじめに医療費抑制ありき」の前提を棄却すれば今問題になっていることの殆どは解決します。別の問題にすり替えて論争をしているところに医療問題が一向に解決しない理由があります。
補足として、小生の個人的な意見を述べます。
レセプトのIT化について:
日本は出来高制の診療報酬なので、行ったことの是非を検討しないといけない。しかしアメリカは疾患についていくら、と診療内容に関わらず始めから値段が決まっている。それも患者が入っている保険の内容によって受けられる医療内容も決まっているから単純計算のできるコンピューター化がしやすい環境にあります。日本もこの4月から大学病院は主な病気については「包括化」という方式になり、主たる疾患によって使った薬や治療内容に関わらず一定の報酬しか支払われなくなりました。病院にとっては合併症のない患者をベルトコンベアのように次々と治療して短期間で退院させるほど儲かることになります。包括化疾患のレセプトはIT化です。我々(と患者さん)にとってはレセプトのIT化が問題ではなく、包括化による医療がよいかどうかが問題でしょう。大学病院などの急性期病院(平均入院日数17日以下)は合併症の多い患者は入院させない方向にあります。
体外衝撃波
保険で認められた1回のコストは20万円です。機械は数千万円(10年前は2〜3億したから一回自費で100万円で治療していた)するので、ランニングコストを含めて300回以上使わないと元が取れません。病院の採算が取れるのは2〜3年してからということになります。しかし5年もすると既に古い機械となるので更新が必要になります。
アメリカをみれば将来の日本が見える。
このままなし崩しでアメリカ型医療を取り入れてゆけば、まさにおっしゃる通りです。